JP2009138994A - 熱交換器 - Google Patents

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真智子 木田
Naotake Kokubu
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Abstract

【課題】連続蛇行曲げした冷媒チューブを有する熱交換器において、製造工程における冷媒チューブの工程不良を低減する。
【解決手段】第一端板4に設けた第一貫通穴6は、矩形部6aと、矩形部6aの短辺に接続された短辺寸法より短い寸法を直径とする2つの半円部6bからなる形状とし、第一貫通穴6の矩形部6aの長辺に隣接して加工穴7を有し、第二端板5に設けた第二貫通穴8は、矩形部8aと、矩形部8aの短辺に接続された短辺より長い直径の円形部8bとからなる形状とし、第一端板4の第一貫通穴6の矩形部6a長辺と略矩形の加工穴7で挟まれた部分を、冷媒チューブ3側に変形させて冷媒チューブ3を固定することにより、熱交換器の製作過程において、冷媒チューブ3が第一貫通穴6を貫通する際の摩擦抵抗を大幅に低減し、冷媒チューブ3の工程不良を低減し、製造コストを低減することができる。
【選択図】図1

Description

本発明は、冷凍サイクル等に使用される熱交換器に関するものである。
冷凍空調機器に用いられる熱交換器の冷媒漏れは、冷凍空調機器自体の機能を喪失してしまうことから、熱交換器の冷媒漏れの低減が大きな課題である。また、地球温暖化対策として冷媒のノンフロン化が加速する中で、代替冷媒の大きな候補の可燃性であるHC冷媒においては、製品安全の面からも熱交換器の冷媒漏れの防止は必要不可欠である。
かかる構成の熱交換器において、冷媒漏れの発生箇所は主に配管の接合部分であり、かかる点から、冷媒回路を一本の連続した冷媒チューブで構成した接合部を有しない熱交換器が知られている(特許文献1参照)。
図11は、特許文献1に記載された従来の熱交換器の斜視図である。
図11に示すように、熱交換器51は、複数の冷媒チューブ挿入用長穴を設けた一群のプレートフィン52と、直管部および曲管部が連続する蛇行状に折り曲げた一本の連続した冷媒チューブ53と、複数の冷媒チューブ挿入用長穴54aを設けた、冷媒チューブ挿入側の側板54と、曲管部側の側板55とからなる。
そして、熱交換器51は、冷媒チューブ53を挿入する際、冷媒チューブ挿入側の側板54側から、冷媒チューブ53の曲管部(湾曲部)53aを長穴54aより挿入し、冷媒チューブ53が、冷媒チューブ挿入側の側板54、一群のプレートフィン52、曲管部側の側板55を貫通した後、液圧等を利用して冷媒チューブ53の拡管を行うことにより、冷媒チューブ53と側板54、側板55、およびプレートフィン52群を密着固定させ、製造されるものである。
特開平11−333539号公報
しかしながら、上記従来の熱交換器51は、複数の冷媒チューブ挿入用長穴54aを設けた側板54に冷媒チューブ53を挿入する際、まず、冷媒チューブ挿入側の側板54側から、冷媒チューブ53の曲管部53aを挿入し、冷媒チューブ53の曲管部53aが冷媒チューブ挿入側の側板54、一群のプレートフィン52、曲管部側の側板55の順に通過した後に、その状態を維持し、冷媒チューブ53と挿入側の側板54、曲管部側の側板55および一群のプレートフィン52を密着固定するという製作手順となる。
このとき、冷媒チューブ53の直管部は、挿入先から挿入元に亘って連続して冷媒チューブ挿入側(挿入元)の側板54に設けた冷媒チューブ挿入用長穴54aと摩擦接触した状態で挿入が行われるため、特に冷媒チューブ53が側板54(挿入元)を通過する際の摩擦抵抗が大きく、その結果、冷媒チューブ53の挿入工程で冷媒チューブ53の座屈、反り、折れ曲がり等の工程不良が発生し、製造歩留まりが悪化して製造コストが高くなるという課題を有していた。
また、冷媒チューブの工程不良防止のために、冷媒チューブ出入り口側の側板54の冷媒チューブ挿入用穴を、冷媒チューブ53に対して十分なクリアランスを確保した寸法にすると、冷媒チューブ53の挿入性を改善することができるが、冷媒チューブ挿入側の側板54の冷媒チューブ挿入用穴が、冷媒チューブ53に対するクリアランスが大きすぎて、拡管工程後においても、冷媒チューブ挿入側の側板54と冷媒チューブ53が固定されず、品質が悪化するという課題も有していた。
本発明は、上記従来の課題を解決するもので、製造歩留まりがよく、低コスト、かつ高品質な熱交換器が提供できるようにすることを目的とするものである。
上記従来の課題を解決するために、本発明の熱交換器は、一群のプレートフィンを挟んで位置し、かつ冷媒チューブの曲管部が貫通する穴を設けた側板において、前記側板を、前記冷媒チューブの曲げ加工された曲管部が貫通する貫通穴と、前記貫通穴と並設され、かつ前記冷媒チューブの貫通状態においてその一部が前記貫通穴内側へ突出して冷媒チューブの外壁面に密着する密着部を設けた加工穴を具備し、前記貫通穴を、矩形部と、前記矩形部の短辺寸法より短い寸法を直径とする半円部が、該矩形部両側においてそれぞれの短辺に連続した長穴形状とし、前記冷媒チューブが前記端板、プレートフィン、端板を貫通した状態で、前記端板における加工穴と前記貫通穴の間に介在する部分(密着部)を、その一部が前記冷媒チューブの管壁に密着するまで前記貫通穴側へ突出するように塑性変形させるようにしたものである。
これにより、熱交換器の冷媒チューブは、端板の貫通状態において、前記加工穴の塑性変形により、端板と強固に密着固定することができるため、前記端板に設けた貫通穴寸法を冷媒チューブの貫通構造(曲管部構造)寸法よりも大きくすることができる。
その結果、熱交換器の組立て時において、冷媒チューブと貫通穴の摩擦接触が抑制され、冷媒チューブの変形、折れ曲がり等の不具合の発生リスクが軽減される。また、冷媒チューブと端板は、加工穴周縁の塑性変形による該周縁と冷媒チューブの密着により、強固に固定することができ、製造歩留まりがよく、また端板と冷媒チューブの密着不良による端板のがたつき、外れが抑制でき、高品質の熱交換器を製造することができる。
さらに、前記貫通穴を、矩形部と、前記矩形部の短辺より短い径の半円部が、該矩形部両側においてそれぞれの短辺に連続した長穴形状とすることにより、冷媒チューブの外形が該半円部に沿って密着するため、熱伝導性の低下が抑制でき、また組立て後における第一端板との固定も確実となり、熱交換器の信頼性を高めることができるものである。
本発明の熱交換器は、熱交換器の製作過程において、冷媒チューブの損傷、反り、あるいは折れ等の不具合の発生を抑制した歩留まりのよいものとし、不要なコストをかけることが少ない熱交換器とすることができる。
また、本発明における熱交換器の製造法は、加工穴を塑性変形させることにより、端板の冷媒チューブへの密着固定が行えるため、前記端板と冷媒チューブの密着不良による端板のがたつき、外れが抑制でき、高品質の熱交換器を製造することができる。
さらに、前記貫通穴を、矩形部と、前記矩形部の短辺より短い径の半円部が、該矩形部両側においてそれぞれの短辺に連続した長穴形状とすることにより、冷媒チューブの外形と該半円部の密着性を高めることができ、組立て後における第一端板との固定も確実となり、熱交換器の信頼性を高めることができる。
請求項1に記載の発明は、直管部および曲管部が連続する如く蛇行状に曲げ加工された冷媒チューブと、前記冷媒チューブが貫通する長穴を複数有し、相互に間隔をおいて配置された多数のプレートフィンと、前記冷媒チューブが貫通する穴を複数有し、前記プレートフィンを挟んで配置された一対の端板を具備し、前記端板の一方向から前記冷媒チューブを挿入可能とした熱交換器であって、前記端板を、前記冷媒チューブの一方の曲管部が貫通した第一貫通穴を有する第一端板と、前記一方の曲管部と反対側に位置する他方の曲管部が貫通した第二貫通穴を有する第二端板より構成し、さらに、前記第一貫通穴または第二貫通穴の少なくとも一方を、矩形部と、前記矩形部の短辺寸法より短い寸法を直径とする半円部が、該矩形部両側においてそれぞれの短辺に連続した長穴形状とし、前記プレートフィンに設けた長穴を、矩形部と、前記冷媒チューブの外径より大径の円形部よりなり、該円形部が、該矩形部の両側においてそれぞれの短辺に連続した形状とし、さらに、前記長孔形状の貫通穴を有する端板に、前記貫通穴と並設され、かつ前記冷媒チューブの貫通状態においてその一部が前記貫通穴内側へ突出して冷媒チューブの外壁面に密着する密着部とその密着部を形成する加工穴を設けたものである。
かかる構成とすることにより、前記端板に設けた貫通穴の寸法を前記冷媒チューブの曲管部寸法にクリアランスを設けた寸法とすることができ、その結果、組立て時における冷媒チューブの前記貫通穴との摩擦接触に起因する損傷、反り等を抑制した熱交換器を得ることができ、不要なコストをかけることが少ない低コストの熱交換器とすることができる。
また、前記端板に設けた加工穴の一部の冷媒チューブとの密着により、端板と冷媒チューブの密着を強固なものとすることができ、その結果、端板のがたつき、外れといった不具合の少ない高品質の熱交換器とすることができる。
さらに、前記貫通穴を、矩形部と、前記矩形部の短辺より短い径の半円部が、該矩形部両側においてそれぞれの短辺に連続した長穴形状とすることにより、冷媒チューブの外形と該半円部の密着性を高めることができ、その結果、熱伝導性の低下が抑制でき、また組立て後における第一端板との固定も確実となり、熱交換器の信頼性を高めることができるものである。
また、前記第一貫通穴と第二貫通穴を同じ形状とすることにより、第一端板と第二端板が汎用化でき、部品数の削減と部品管理の簡素化がはかれ、またコストの増加を抑制することができる。
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の発明において、前記加工穴を、前記端板における少なくとも最も外側に位置する貫通穴の近傍に設けたものである。
かかる構成とすることにより、端板の左右両側で端板と冷媒チューブの密着を行った構成となり、端板周縁に撓み等の応力が作用しても加工穴と冷媒チューブの密着の緩みが生じ難く、密着状態を良好に維持することができる。
請求項3に記載の発明は、請求項1または2に記載の発明において、前記加工穴を、前記端板周縁との間に前記貫通穴が介在する位置に設けたものである。
かかる構成とすることにより、前記端板と貫通穴の間部分の強度を確保することができ、前記加工穴の一部を冷媒チューブに密着させる場合において、端板の特に周縁部における変形が抑制され、熱交換器の品質を損なうことが抑制できる。
請求項4に記載の発明は、請求項1から3のいずれか一項に記載の発明において、前記長孔形状の貫通穴を第一貫通穴とし、前記第二貫通穴を、矩形部と、前記冷媒チューブの外径より大径の円形部よりなり、該円形部が、該矩形部の両側においてそれぞれの短辺に連続した形状とし、前記プレートフィンの長穴を形成する円形部の直径寸法を、前記第一端板に設けた第一貫通穴の半円部の直径寸法より大きく設定し、前記第一貫通穴の半円部の直径寸法を、前記第二端板に設けた第二貫通穴の円形部の直径寸法より大きく設定したものである。
かかる構成とすることにより、冷媒チューブは、最小径の第二貫通穴の円形部と密着することができ、第二端板と冷媒チューブとの密着が強個となり、第二端板のがたつき、外れを抑制することができるものである。
請求項5に記載の発明は、請求項1から4のいずれか一項に記載の発明において、前記第一端板および第二端板の少なくとも一方の材質を、鋼板としたものである。
かかることにより、安価な鋼板を使用することで、熱交換器の材料費を低減することができる。
請求項6に記載の発明は、請求項5に記載の発明において、前記鋼板により形成された端板の貫通穴を、プレス成型加工により形成し、前記加工時に形成される貫通穴周縁のバリの延出方向が、前記曲管部が貫通する方向となるように前記端板を配置したものである。
かかることにより、冷媒チューブの端板貫通時において前記バリが冷媒チューブを損傷するリスクが少なくでき、自動化装置による冷媒チューブの挿入とした場合であっても冷媒チューブの損傷を少なくすることができ、損傷を少なくして熱交換器の品質を損なうことも抑制できる。
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。なお、この実施の形態によってこの発明が限定されるものではない。
(実施の形態1)
図1は、本発明の実施の形態1における熱交換器の斜視図である。図2は、同実施の形態1における熱交換器の第一端板側からの平面図である。図3は、同実施の形態1の熱交換器を構成する第一端板の組立て前の平面図である。図4は、同実施の形態1における熱交換器を構成する第一端板に設けた第一貫通穴の平面図である。図5は、同実施の形態1の熱交換器を構成する第二端板の平面図である。図6は、同実施の形態1の熱交換器を構成するプレートフィンの平面図である。図7は、同実施の形態1における熱交換器の冷媒チューブの貫通状態を示す局部断面図である。図8は、同実施の形態1における熱交換器の第一端板に設けられた第一貫通穴部のバリ側からの平面図である。図9は、同実施の形態1における熱交換器の第二端板に設けられた第二貫通穴部のバリ側からの平面図である。図10は、同実施の形態1における熱交換器の製造工程において冷媒チューブをプレートフィン群へ挿入する前の工程図である。
図1において、熱交換器1は、直管部3aおよび曲管部3bが連続し、かつ縦列Aおよび横列Bに複数となるように蛇行状に曲げ加工して成る冷媒チューブ3と、該冷媒チューブ挿入用の長穴2a(図6)を複数設け、互いに間隔をおいて配置され、冷媒チューブ3が挿入された一群のプレートフィン(以下、プレートフィン群と称す)2と、プレートフィン群2を挟み込むようにプレートフィン群2の両端に位置し、冷媒チューブ3が挿入され、冷媒チューブ3と密着するように固定された第一端板4および第二端板5を具備している。ここで、第一端板4は、冷媒チューブ3の挿入側となり、第二端板5は、冷媒チューブ3の貫通側となる。
冷媒チューブ3には、一般に銅あるいはアルミ材等の材料が用いられ、またプレートフィン群2にはアルミ材が用いられ、さらに第一、第二の各端板4、5には、鋼材が用いられている。
第一端板4は、図3に示す如く冷媒チューブ3の曲管部3b、3Aが貫通する長穴状の第一貫通穴6と、該第一貫通穴6の近傍で、かつ第一貫通穴6の長径と平行方向に延出する矩形の加工穴7を具備している。第一貫通穴6および加工穴7は、プレス成型加工によって打ち抜き形成されるものである。
第一貫通穴6における対角に位置する貫通穴には、熱交換器1の組立て状態において冷媒チューブ3の始端3cと終端3d(図1、図2)がそれぞれ貫通している。
第一貫通穴6は、図3、図4に示す如く、矩形部6aと、該矩形部6aの短辺寸法より短い寸法を直径とする半円部6bより形成され、矩形部6aの短辺に半円部6bを連続させることにより、長穴状に形成されている。
第一貫通穴6を貫通する曲管部3bは、冷媒チューブ3の直管部3aを所定の径に湾曲させたもので、その結果、第一貫通穴6は、冷媒チューブ3の径に近い寸法を幅とする長穴形状に形成されている。具体的には、冷媒チューブ3の貫通において、クリアランスが大きすぎると冷媒チューブ3との密着性が確保できないため、摩擦接触が少なくなる、あるいはほとんどない程度の寸法に設定されている。
特に、第一貫通穴6を形成する半円部6bは、冷媒チューブ3の外形との密着性を高めるべくその直径が冷媒チューブ3の外径と略等しく設定されている。
また、加工穴7は、第一端板4の周縁との間において、最も外側に位置する第一貫通穴6が位置するように設けられており、本実施の形態1においては、左右それぞれにおいて横2列に亘り縦列した第一貫通穴6に対応して設けられている。かかる加工穴7の形成は、熱交換器1の大きさ、あるいは冷媒チューブ3の縦列数、横列数に応じて任意に設定するもので、小型軽量の場合であれば、左右の再外側に位置する貫通穴にのみ対応した加工穴の形成とすることができる。
そして、加工穴7は、熱交換器1の組立て状態においては、第一貫通穴6の矩形部6aと加工穴7で挟まれた部分(以下、密着部と称す)7aを、その一部が冷媒チューブ3と密着するように塑性変形されている。したがって、加工穴7は、図2に示す如く、台形を基調として斜辺が湾曲した形状に変形している。
さらに、第二端板5には、図5に示す如く冷媒チューブ3の曲管部3Aが貫通する第二貫通穴8がプレス成型加工によって設けられている。
第二貫通穴8は、矩形部8aと、矩形部8aの短辺の寸法よりも大寸法径の円形部8bより形成され、矩形部8aの短辺に円形部8bを連続させることにより、長手方向両端が膨らんだ形状に形成されている。また、円形部8bは、冷媒チューブ3の管径よりも微小に大きく設定されている。
第二貫通穴8をかかる形状とする理由は、冷媒チューブ3の曲管部3Aが、プレートフィン群2および第二端板5を貫通する際に、その貫通が円滑となるように該曲管部3Aの円弧部を若干扁平に加工しているためである。また、第二貫通穴8を冷媒チューブ3の管径より微小に大きく設定する理由は、冷媒チューブ3の貫通が比較的円滑に行えるようにするためである。
したがって、冷媒チューブ3が第二端板5を貫通した状態では、第二貫通穴8の円形部8bと冷媒チューブ3は略密着した状態となっている。
なお、第二貫通穴8における矩形部8aと円形部8bの接続部8cを、尖りがないように面取り加工を行うことにより、冷媒チューブ3が貫通する際に懸念される冷媒チューブ3の傷付き等が抑制できる。
ここで、第一貫通穴6および第二貫通穴8は、前述の如くプレス成型加工にて形成されるため、その周縁には、打ち抜き方向であって微小に延出するバリが残存しているものである。この様子を、図7、図8、図9においてバリに符号9a、9bを付して説明する。
また、第一端板4と第二端板5の間に介在されたプレートフィン群(プレートフィン)2には、図6に示すように、第二端板5に設けられた第二貫通穴8と略相似形となるように、矩形部2bと、この矩形部2bの短辺寸法よりも長い寸法を直径とし、矩形部2bの両短辺に連続した円形部2cによって形成された長穴2aがプレス成型加工によって設けられており、第二貫通穴8よりも若干大きく形成されている。そして、長穴2aの周囲には、相互のフィン間隔の規制、および冷媒チューブ3との熱伝導を良好とするためのカラー部2d(図7)が設けられている。
さらに詳述すると、プレートフィン群2の長穴2aを形成する円形部2cの直径寸法は、第一端板4に設けた第一貫通穴6の半円部6bの直径寸法より大きく設定され、さらに、第一貫通穴6の半円部6bの直径寸法は、第二端板5に設けた第二貫通穴8の円形部8bの直径寸法より大きく設定されている。
次に、以上のように構成された熱交換器1の組立て方法について、図7および図10を参照しながら説明する。
まず、図10に示す如く、積層状態にあるプレートフィン群2の積層方向両端に、第一端板4および第二端板5を、それぞれに設けた第一貫通穴6、長穴2a、第二貫通穴8が一致するように配置する。このとき、第一端板4、第二端板5は、第一貫通穴6、第二貫通穴8の周縁に残存したバリ9a、9bとプレートフィン群2に設けられたカラー部2dの延出方向がそれぞれ同一方向となるように配置している。
次に、真直ぐなパイプを縦列Aおよび横列Bに複数となるように蛇行状に曲げ加工した冷媒チューブ3を、その曲管部3Aから図10に示す如く矢印方向に第一端板4に設けた第一貫通穴6へ挿入し、さらに挿入を続けてプレートフィン群2に設けた長穴2a、および第二端板5に設けた第二貫通穴8を順次貫通させ、曲管部3Aを第二端板5から突出させて図7の状態を構成する。
ここで、第一貫通穴6、第二貫通穴8に残存したバリ9a、9bは、同一方向であって曲管部3Aの挿入方向と同一方向に延出しているため、冷媒チューブ3の挿入工程において、バリ9a、9bが冷媒チューブ3の表面に食込むことが抑制される。
そして、上述の如く冷媒チューブ3が所定の位置に挿入された状態において、第一端板4に設けた加工穴7と第一貫通穴6に挟まれた密着部7aを、第一貫通穴6側へ突出するように塑性変形させる。その突出度合いは、冷媒チューブ3の直管部3aと接触する程度が好ましい。また、密着部7aの塑性変形は、例えば、第一端板4の周縁と加工穴7の第一貫通穴6に近い辺を挟み込み、その状態で力を加えて前述の如く塑性変形を形成する治具、あるいは機構を具備した設備機器で行うことができる。
その後、冷媒チューブ3内に、高圧に加圧された水、あるいは油等の液体を流す(圧入する)ことにより、その液圧によって冷媒チューブ3が拡管され、冷媒チューブ3とプレートフィン群2、第一端板4、および第二端板5の相互を密着固定させる。
かかる工程を終えることにより、熱交換器1の組立てが完了する。
上述の如く組立てられた熱交換器1は、第一、第二の各端板4、5に設けた第一貫通穴6、第二貫通穴8の形状及び面積が、冷媒チューブ3の貫通方向に見た投影面形状と相似もしくは略相似でかつ面積が微小に大きく設定されているため、第一、第二の各端板4、5と冷媒チューブ3の摩擦接触(擦れ、引っかかり等)が少ない構成となる。
特に、第一端板4においては、冷媒チューブ3が第一貫通穴6を貫通した後で加工穴7の密着部7aを塑性変形させ、冷媒チューブ3との固定を行う構成であるため、第一貫通穴6の寸法を冷媒チューブ3に対して十分なクリアランスを有する寸法とすることができる。
したがって、組立て時における第一端板4と冷媒チューブ3の摩擦を極力軽減することができ、その結果、冷媒チューブ3における座屈等の損傷を少なくすることができ、変形がほとんど生じない熱交換器1を得ることができる。さらに、前述の変形に伴う例えばプレートフィン群2の変形により、通風抵抗が増大し、熱交換器1の性能が低下するといった弊害を抑制することができる。
さらに、前述の如く、冷媒チューブ3等の損傷(坐屈、反り、折れ曲がり等)を抑制した組立てが可能なため、歩留まりがよく、生産性を高めることができ、製造コストの低減化が可能となるものである。
また、冷媒チューブ3の始端3cと終端3dの長さを適宜設定することにより、従来リードパイプと称する流体回路側との接続を容易とするパイプ(短寸法)のロウ付け作業が不要となり、ロウ付け不良に伴う品質低下を抑制することができる。
さらに、加工穴7は、第一端板4における最も外側に位置する第一貫通穴6の近傍に設けた構成であるため、第一端板4の左右の両側で冷媒チューブ3との密着を行う構成となり、その結果、第一端板4の周縁に撓み等の応力が作用しても、加工穴7と冷媒チューブ3の密着の緩みが生じ難く、効果的な密着固定構造が得られ、密着状態を良好に維持することができる。
特に、第一端板4と冷媒チューブ3の固定は、まず、加工穴7の密着部7aをカシメ加工等により塑性変形させ、一旦第一端板4と冷媒チューブ3の密着を確保した状態で冷媒チューブ3の拡管を行う構成であるため、強固な固定構造が得られるもので、第一端板4のがたつき、外れがない強固な固定構造が得られるものである。
また、加工穴7は、全ての第一貫通穴6の矩形部6a長辺と隣接して配置してもよいが、製造工程短縮のために、例えば、冷媒チューブ3の出入り口を有する列のみに設置するなど、冷媒チューブ3と第一端板4を固定することができれば、その他の適切な配置にしてもよい。
さらに、加工穴7は、第一端板4の周縁との間に第一貫通穴6が介在する位置に設けているため、第一端板4と第一貫通穴6の間部分の強度を確保することができ、加工穴7の密着部7aを冷媒チューブ3に密着させる、所謂塑性変形加工時において、第一端板4の特に周縁部における変形が抑制され、熱交換器1の品質を損なうことが抑制できるものである。
また、第一貫通穴6および第二貫通穴8を、冷媒チューブ3における曲管部3b、3Aの貫通方向における投影面形状と略相似形で、かつ該投影面積と略等しく大きな面積としているため、冷媒チューブ3の挿入時における第一、第二の各端板4、5と冷媒チューブ3の摩擦接触を抑制することができ、損傷あるいは反りの極めて少ない冷媒チューブ3の貫通構造が得られ、熱交換器1の品質を高めることができる。
さらに、第一端板4に設けた第一貫通穴6を、矩形部6aと、該矩形部6aの短辺寸法より短い寸法を直径とする半円部6bより形成し、矩形部6aの短辺に半円部6bを連続させた長穴形状とし、第二端板5に設けた第二貫通穴8を、矩形部8aと、冷媒チューブ3の外径より大径の円形部8bを組み合わせた形状としたものであるため、第一、第二各貫通穴6、8の形状を冷媒チューブ3が形成する貫通形状と近似させることができる。
したがって、冷媒チューブと第一、第二の各端板4、5の接触面積を可能な限り確保することができ、冷媒チューブ3の拡管後における冷媒チューブと各端板4、5との密着を良好に維持することができる。その結果、密着部7aを含む加工穴7の一部と冷媒チューブ3の密着をより良好とすることができ、第一端板4のがたつき、外れ等の不具合の抑制をより確実なものとすることができる。
また、第一端板4および第二端板5に鋼板を使用しているため、熱交換器1の材料費を抑制することができ、熱交換器1のコストダウンが可能となるものである。
さらに、第一、第二の各端板4、5に設けた第一、第二の貫通穴6、8のプレス成型加工時に形成される貫通穴6、8周縁のバリ9a、9bの延出方向を、曲管部3Aが貫通する方向となるように前記端板を配置したことにより、冷媒チューブ3の端板貫通時においてバリ9a、9bが冷媒チューブ3を損傷するリスクが少なくでき、損傷の少ない熱交換器を構成することができる。
また、列数および段数が多く、本数の多い冷媒チューブ3を有する場合においても、比較的容易に熱交換器1を製作することができる。
さらに、第二の端板5に設けた第二の貫通穴8の矩形部8aと円形部8bの接続部8cに面取りを施すことで、矩形部8aと円部8bにおける接続部分の角部の尖りを緩和することができ、第二端板5の貫通穴8を冷媒チューブ3が貫通する際に懸念される冷媒チューブ3の損傷をさらに低減することができる。
また、第一貫通穴6、第二貫通穴8における冷媒チューブ3の通過部分にバーリングを設けることもできる。それによって、冷媒チューブ3の挿入をよくすることができ、冷媒チューブ3と第一、第二の各端板4、5の固定状態をよくするという効果が得られる。
さらに、プレートフィン群2に設けた冷媒チューブ挿入用の長穴2aにおける円形部2cの直径(幅寸法)を、第一端板4に設けた第一貫通穴6の半円部6bの直径より大きく、また第一貫通穴6の半円部6bの直径(幅寸法)を、第二端板5に設けた第二貫通穴8の円形部8bより大きくすることで、組立てが容易でかつ、組立て後の冷媒チューブ3と第一、第二の各端板4、5の固定状態を良化することができる。
また、第一端板4に設けた第一貫通穴6および第二端板5に設けた第二貫通穴8は、冷媒チューブ3を曲管部3b(3A)側から見た時の曲管部3b(3A)と同配置になるようにその位置が設定されているため、第一端板4と第二端板5を同一仕様とすることが可能であり、部品の標準化を図ることもできる。
かかる場合は、第一端板4、第二端板5共に加工穴7に隣接する密着部7aの塑性変形工程を必要とすることになる。
本発明にかかる熱交換器は、製造コストを低減した熱交換器であり、またその製造方法は、冷媒チューブの工程不良を低減する歩留まりのよい製造方法で、製造コストを低減することができ、冷蔵庫、自動販売機等の如く、流体を冷媒とする熱交換器の他に、ラジエター等の如く水等の液体を流体とする熱交換器を具備した産業機器分野にわたって広く適用できるものである。
本発明の実施の形態1における熱交換器の斜視図 同実施の形態における熱交換器の第一端板側からの平面図 同実施の形態における熱交換器を構成する第一端板の組立て前の平面図 同実施の形態における熱交換器を構成する第一端板に設けた第一貫通穴の平面図 同実施の形態の熱交換器を構成する第二端板の平面図 同実施の形態の熱交換器を構成するプレートフィンの平面図 同実施の形態における熱交換器の冷媒チューブの貫通状態を示す局部断面図 同実施の形態における熱交換器の第一端板に設けられた第一貫通穴部のバリ側からの平面図 同実施の形態における熱交換器の第二端板に設けられた第二貫通穴部のバリ側からの平面図 同実施の形態における熱交換器の製造工程において冷媒チューブをプレートフィン群へ挿入する前の工程図 従来例における熱交換器の斜視図
符号の説明
1 熱交換器
2 プレートフィン
2a 長穴
2b 矩形部
2c 円形部
3 冷媒チューブ
3A 曲管部
3b 曲管部
4 第一端板
5 第二端板
6 第一貫通穴
6a 矩形部
6b 半円部
7 加工穴
7a 密着部
8 第二貫通穴
8a 矩形部
8b 円形部
9a バリ
9b バリ

Claims (6)

  1. 直管部および曲管部が連続する如く蛇行状に曲げ加工された冷媒チューブと、前記冷媒チューブが貫通する長穴を複数有し、相互に間隔をおいて配置された多数のプレートフィンと、前記冷媒チューブが貫通する穴を複数有し、前記プレートフィンを挟んで配置された一対の端板を具備し、前記端板の一方向から前記冷媒チューブを挿入可能とした熱交換器であって、前記端板を、前記冷媒チューブの一方の曲管部が貫通した第一貫通穴を有する第一端板と、前記一方の曲管部と反対側に位置する他方の曲管部が貫通した第二貫通穴を有する第二端板より構成し、さらに、前記第一貫通穴または第二貫通穴の少なくとも一方を、矩形部と、前記矩形部の短辺寸法より短い寸法を直径とする半円部が、該矩形部両側においてそれぞれの短辺に連続した長穴形状とし、前記プレートフィンに設けた長穴を、矩形部と、前記冷媒チューブの外径より大径の円形部よりなり、該円形部が、該矩形部の両側においてそれぞれの短辺に連続した形状とし、さらに、前記長孔形状の貫通穴を有する端板に、前記貫通穴と並設され、かつ前記冷媒チューブの貫通状態においてその一部が前記貫通穴内側へ突出して冷媒チューブの外壁面に密着する密着部とその密着部を形成する加工穴を設けた熱交換器。
  2. 前記加工穴を、前記端板における少なくとも最も外側に位置する貫通穴の近傍に設けた請求項1に記載の熱交換器。
  3. 前記加工穴を、前記端板周縁との間に前記貫通穴が介在する位置に設けた請求項1または2に記載の熱交換器。
  4. 前記長孔形状の貫通穴を第一貫通穴とし、前記第二貫通穴を、矩形部と、前記冷媒チューブの外径より大径の円形部よりなり、該円形部が、該矩形部の両側においてそれぞれの短辺に連続した形状とし、前記プレートフィンの長穴を形成する円形部の直径寸法を、前記第一端板に設けた第一貫通穴の半円部の直径寸法より大きく設定し、前記第一貫通穴の半円部の直径寸法を、前記第二端板に設けた第二貫通穴の円形部の直径寸法より大きく設定した請求項1から3のいずれか一項に記載の熱交換器。
  5. 前記第一端板および第二端板の少なくとも一方の材質を、鋼板とした請求項1から4のいずれか一項に記載の熱交換器。
  6. 前記鋼板により形成された端板の貫通穴を、プレス成型加工により形成し、前記加工時に形成される貫通穴周縁のバリの延出方向が、前記曲管部が貫通する方向となるように前記端板を配置した請求項5に記載の熱交換器。
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