JP2009138729A - 外燃機関 - Google Patents

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Abstract

【課題】
本発明は、本出願人が出願中の外燃機関の起動特性、高圧運転性能及び熱効率の向上などに関する改良に関するものであり、従来のスターリンエンジン方式、ランキンサイクル方式、太陽電池等に比べて効率が高く、低い温度の廃熱及び太陽熱、地熱、海水温度差等のクリーンな自然エネルギーを広く利用できるものであり、応用範囲の極めて広い外燃機関を提供するものである。
【解決手段】
気相と液相が共存する状態でエーテル系熱媒体を充填した循環流路内に受熱部と放熱部と動力機構部と循環ポンプ部を設け、動力機構部内において受熱部側に開口部を有する中空の回転軸を設け、該中空の回転軸に半径方向に伸びた中空腕を固着し、該中空腕の先端に気相熱媒体を円周方向に向けて放熱部側に噴出すべきノズルを形成し、放熱部で液化した液相熱媒体を前記中空の回転軸の回転力によって駆動する循環ポンプで受熱部側に移送するごとく構成した外燃機関。
【選択図】 図1

Description

本発明は、機関内部での燃焼を行なわず、外部から供給される熱エネルギーによって動くと言う意味で、いわゆる外燃機関に類するものの一種であり、熱媒体への外部からの熱量の授受により液体と気体とに変化することを利用することで、気相状態における大きな体積から生じる流動エネルギーによってタービンを駆動し、液相状態で体積が小さくなった熱媒体をポンプで循環する方式のいわゆるランキンサイクルを応用した外燃機関において、構造的な改良と使用熱媒体の新規選択理論の確立による受熱部と放熱部の温度差を低減することで比較的温度の低い廃熱や太陽熱などを有効に利用することを可能とし、起動時に別の動力を必要とせずに自己起動が可能であり、更に高い圧力差での高出力運転も可能とする外燃機関を提供するものである。
従来のランキンサイクルは熱媒体として水又はアンモニア水を用いたものが多く、気化した熱媒体をタービンに送る前に更に過熱してタービン内部での断熱膨張によってその一部が液化することを防止することが必要であり、そのための高温熱源を必要とするものであった。 一部にフロン系の熱媒体を使用したものも提案されているがそれでも使用可能な熱源の温度は200℃以上に限られ、それ以下では大幅な効率ダウンによって有効性が損なわれている。 又、太陽光を利用する場合においては、いわゆるソーラーパネルによって直接発電する方法があるが、効率が低い割にはコストが高い等の理由により、用途が限定されている。
しかし、石油燃料による炭酸ガス及び高温廃熱の増加、また原子力発電の場合には膨大な量の高温排水の処理方法、地震などによる危険性、放射性物質処理の問題が未解決である等による理由から敬遠され、廃熱及びクリーンな自然エネルギーを利用できる新しい動力機関の必要性は日々強まっている。
この状態における対策として本出願人が出願中の特許があるが、特許文献1に開示する発明では、一旦停止した場合、受熱部が放熱部の上方にあるために起動時に何らかの別動力によって熱媒体を放熱部側に移送する必要がある。 又、特許文献2に開示される発明は、熱媒体の循環を受熱部と放熱部の高さの差による重力落差によるものである為に自己起動は可能であるが受熱部の内部圧力を重力落差以上に高めることが出来ない。 本発明はこれらに開示された発明の構造を改良して、更に熱効率を高め、実用状態における課題を解決し、コストの低減及び熱効率の大幅な向上を可能とした外燃機関を提供するものである。 又、特許文献3に開示される発明には、別途太陽熱の利用との複合的な機関も提案されているが利用できる廃熱の温度は200℃以上であり、その応用範囲は限定されたものとなる。
特願2003−406705 特願2005−138013 特願2003−227315
本発明は、上記背景の下に成立したものであり、新たな熱媒体の利用により熱サイクル中における蒸気過熱行程を無くすことにより、外部熱源の温度の大幅な引き下げと熱効率の向上を実現し、実用状態における上記の課題を解決し、自己起動、高圧運転をも可能として、応用範囲の極めて広い熱機関を提供しようとするものである。
本発明の第1の手段は、気相と液相が共存する状態で分子量が46以上の熱媒体を充填した循環流路内に受熱部と放熱部と動力機構部と循環ポンプ部を設け、動力機構部内において受熱部側に開口部を有する中空の回転軸を設け、該中空の回転軸に半径方向に伸びた中空腕を固着し、該中空腕の先端に気相熱媒体を該中空腕の回転円周方向に向けて放熱部側に噴出すべきノズルを形成し、放熱部で液化した液相熱媒体を前記中空の回転軸の回転力によって駆動する循環ポンプで受熱部側に移送するごとく構成したことを特徴とする外燃機関を提供するものである。
本発明の第2の手段は、受熱部を放熱部と動力機構部の下方に配置し、回転ポンプを受熱部と放熱部を連通せしめる流路内に設け、該回転ポンプによって放熱部内の液相熱媒体を受熱部に移送するごとく構成したことを特徴とする外燃機関を提供するものである。
本発明の第3の手段は、放熱部内の液相熱媒体を受熱部に移送する回転ポンプを動力機構部内の回転軸から磁気継手を介して駆動するごとく構成したことを特徴とする外燃機関を提供するものである。
本発明の第4の手段は、内部に充填する熱媒体としては分子量が46g/mol以上のものが望ましくエーテル系、ベンゼン系、クロロホルム系、アルコール系のものを用いた事を特徴とする外燃機関を提供するものである。
本発明の外燃機関は、熱媒体への外部からの熱量の授受により温度上昇なしに液体と気体とに変化することを利用することで、気相状態における大きな体積から生じる流動エネルギーによってタービンを駆動し、液相状態で小さくなった熱媒体をポンプで循環する方式のいわゆるランキンサイクルを応用した外燃機関において、構造の改良及び使用熱媒体の新規採用で蒸気過熱行程を不要とすることで、利用可能な外部熱源の温度の低下と高い熱効率で利用することを可能としている。 又、起動時に別の動力を必要とせずに自己起動が可能であり、更に高い圧力差での高出力運転も可能とするものである。
更に、本発明の外燃機関は、加熱熱量の増減及び冷却水の流量による冷却熱量の増減によって出力を容易に制御する事が出来るものであり、実用性の向上は大きく、自然エネルギー及び廃熱利用の可能性を大幅に拡大できるものである。
以上の説明で明らかなごとく、本発明の外燃機関は、構造の改良及び新規理論に基づく使用熱媒体の選択により、ランキンサイクル中の蒸気過熱行程を不要とすることで外部熱源及び受熱部の放熱部との温度差の低減によってこれまでより温度の低い廃熱や太陽熱などを高い熱効率で利用することを可能とし、起動時に別の動力を必要とせずに自己起動が可能であり、更に高い圧力差での高出力運転も可能とするものである。 又、加熱熱量の増減及び冷却水の流量による冷却熱量の増減によって出力を容易に制御する事が出来るものであり、実用性の向上は大きく、自然エネルギー及び廃熱利用の可能性を大幅に拡大できるものである。
更に、本発明の外燃機関が冷却用に使用する水は適度な温度に温められることで温水として、家庭用としてそのまま利用される他、更に加熱して湯として使用する場合も冷水から加熱する場合と比べて熱量を大幅に削減することが出来る。
本発明の構造は、気相と液相が共存する分子量が46g/mol以上の熱媒体を充填した循環流路内に受熱部と放熱部と動力機構部を設け、該動力機構部内を仕切る固定の隔壁を設け、該隔壁によって動力機構部を高圧部と低圧部に分割し、該高圧部を受熱部に連通せしめ、該低圧部を放熱部に連通せしめ、受熱部と放熱部を連通せしめ、動力機構部内に回転自在に支持され該隔壁を貫通する中空部を有する回転軸を設け、該回転軸の中空部の高圧部内に吸気口を設け、低圧部内に半径方向に伸びた中空腕を固着し、該中空腕の先端に気相熱媒体を該中空腕の回転円周方向に向けて噴出すべきノズルを形成した外燃機関である。
受熱部は放熱部と動力機構部の下方に配置し、回転ポンプを受熱部と放熱部を連通せしめる流路内に設け、該回転ポンプによって放熱部内の液相熱媒体を受熱部に移送するごとく構成することが望ましい。
又、放熱部内の液相熱媒体を受熱部に移送する回転ポンプを動力機構部内の回転軸から磁気継手を介して駆動するごとく構成することが望ましい。
更に、内部に充填する熱媒体としては分子量が46g/mol以上のものが望ましくエーテル系、ベンゼン系、クロロホルム系、アルコール系のものが望ましい。
以下図について本発明の実施形態について説明する。
図1は本発明の一実施形態の構造を示す模式構成図であり、図2は本発明における動力機構部の一実施例の部分側断面図である。
図1及び図2において、分子量が46g/mol以上の気相熱媒体1と液相熱媒体2を充填した循環流路3内に受熱部4と放熱部5と動力機構部6を設け、該動力機構部6内を仕切る固定の隔壁7を設け、該隔壁7によって動力機構部6を高圧部8と低圧部9に分割し、該高圧部8を受熱部4に流路10で連通せしめ、該低圧部9を放熱部5に流路11で連通せしめ、受熱部4と放熱部5を流路12で連通せしめ、動力機構部6内に回転自在に支持され該隔壁7を貫通する中空部13を有する回転軸14を設けている。 該回転軸14の中空部13の高圧部内には吸気口15を設け、低圧部9内に半径方向に伸びた複数の中空腕16を固着し、該中空腕16の先端に気相熱媒体1を該中空腕16の回転円周方向に向けて噴出すべきノズル17を形成するごとく構成したこと外燃機関である。
尚、受熱部4は放熱部5と動力機構部6の下方に配置され、回転軸14の回転で駆動する回転ポンプ18を受熱部4と放熱部5を連通せしめる流路12内に設け、該回転ポンプ18によって放熱部5内の液相熱媒体2を受熱部4に移送する。 又、放熱部5内の液相熱媒体2を受熱部4に移送する回転ポンプ18は動力機構部6内の回転軸14から磁気継手19を介して駆動するごとく構成することが望ましい。 又、流路12内には逆止弁20を設けて熱媒体の逆流を防止するのが望ましい。 更に、内部に充填する熱媒体としては後述する理由により分子量が46g/mol以上のものが望まし望ましく、エーテル系、ベンゼン系、クロロホルム系、アルコール系のものが望ましい。 21は図示しない磁気継手を介して回転軸14の回転力によって駆動される出力用発電機であり、22は放熱部5内で気相熱媒体1及び液相熱媒体2を冷却する冷却水であり、23はその排水である。
上記のごとく構成された本発明の作動について説明する。
受熱部4で外部からの加熱で気化した気相熱媒体1は流路10を通って高圧部8に移送され回転軸14の吸気口15に入り複数の中空腕16を通って該中空腕16の回転円周方向に向けてノズル17から低圧部9内に噴出する。 中空腕16はその反動で回転軸14を回転駆動する。 回転軸14は図示しない磁気継手を介して出力用発電機21を駆動する。 この方式は蒸気タービンの一種であるエオリアの球と似た構造であるが球の内部の液体を外部から加熱する方式に比べて回転部分の質量が小さく、太い中空軸を回転自在に支持するものではないので軸受の負荷が少ない他振動発生の原因がないなどの利点がある。 又、噴出する気相流体を羽根車に当ててタービンを駆動する方式は噴出する気相流体が周辺の気相流体との接触摩擦でその速度エネルギーの多くを失うことと、回転する羽根車が周辺の気相流体との摩擦によって回転力を失うことの為に駆動効率が極めて悪い。 本発明における中空腕16の先端のノズル17から気相熱媒体1を該中空腕16の回転円周方向に向けて噴出する方式はノズル17の先端形状を超音速噴射に適したものとすることによって気相熱媒体1の静的な圧力を動圧に有効に変換することが可能であり、比較的少量の気相熱媒体1でタービンを駆動する方式として機械的及び流体的損失が少なく効率が高い上構造も簡単な為、装置全体の効率を高める上で有効である。
又、受熱部4は放熱部5と動力機構部6の下方に配置されているので運転を停止している状態でも重力によって液相熱媒体2が移送されてくるために外部からの加熱によっていつでも自己起動することが出来る。 しかし、受熱部4の加熱及び放熱部5の冷却が強まると受熱部4と放熱部5との圧力差が大きくなり、重力による圧力差を上回ることになる。 この場合は、動力機構部6内の回転軸14が磁気継手19を介して駆動する回転ポンプ18によって放熱部5内の液相熱媒体2を受熱部4に移送することが出来る。 充分な量の液相熱媒体2が放熱部5から移送されると放熱部5内の液相レベルがラインLまで下がりポンプ18は気相内に露出するので液相熱媒体2の移送は自動的に停止する。 尚、回転ポンプ18は回転軸14によって磁気継手19を介して駆動されるので駆動機構部6を軸が貫通して耐圧シールを使用する方式と比べて、駆動機構部6の機密性を損なうことはない上耐圧シールによる機械的摩擦損失の発生を防ぐ為に有効である。 又、出力用発電機21の出力の一部を使用してモータで回転ポンプ18を駆動することも可能であるが電気出力の損失を伴うこととなる。 回転ポンプ18気相内に露出することによる熱媒体の逆流は逆止弁20で防止する。 従って、外燃機関の出力は、外部熱源を加減すること及び冷却水の量を加減することで容易に制御することが出来るものである。 冷却水22の量を増加すると放熱部5内の温度は下がり受熱部4との温度差が大きくなるので外燃機関の出力は大きくなるが排水23の温度は下がる。 逆に冷却水22の量を減らすと外燃機関の出力は小さくなるが排水23の温度は上がり温水としての用途は高まる。 このように必要に応じて運転状態を選択することが出来る。
図3は水を使用した場合のランキンサイクルをT-S線図上で示したものであり、図4及び図5は、本発明に使用するべき熱媒体を使用したランキンサイクルのT-S線図を示すものである。 縦軸が温度T、横軸がエントロピーSである。 図3、図4及び図5においてカーブPQRは温度Tによる熱媒体のエントロピーSの変化を示すものでカーブPQは液相状態(乾き度0)、カーブQRは気相状態(乾き度1)を示すものである。 Qは臨界点である。
熱媒体としては、気化潜熱が比較的小さく、構造部材への化学的影響が少ないものが適している。 装置が破損した時の火災を防止する上では分子構造の一部を、フロンなどの安定なものに置き換えたものも使用可能である。 更に、より高圧、高温で作動する地熱利用などの目的の用途もあり、その場合には別途検討が必要である。
熱効率を重視するならば、気化潜熱が小さいものが望ましいが1モルあたりの気化潜熱は各種の媒体であまり大きな差はない。 又、質量当たりの比熱については大きな差は無い。
ランキンサイクルの熱効率は気相状態での高圧部と低圧部のエンタルピーの差を気相状態での高圧部と液相状態での低圧部のエンタルピーの差で割ったもので算出される。
水の場合、液相状態と気相状態のエンタルピーの差が温度差によるエンタルピ−の差に比べて非常に大きいことから上式によって算定すると、水を使用した場合の熱効率は温度差を大きくして高圧の蒸気を使用しなければ向上する事ができないことがわかる。
また、図3に示すごとく、エンタルピーをそのときの絶対温度で割った値としてのエントロピーSを横軸として温度Tを縦軸としたいわゆるT-Sカーブ上に水を熱媒体として使用した場合のランキンサイクルをABCDEFに示す。 Aは高温気化ポイント、Bは過熱終了ポイント、Cは断熱膨張終了ポイント、Dは高温気化ポイントからの断熱膨張終了ポイント、Eは低温液化ポイント、Fは高温液状ポイントである。 図3に示すT-Sカーブの各温度での気化ポイントのカーブQRが右下がりとなっているために、高圧部で気化した水蒸気が断熱膨張しながら低圧部に放出されると、断熱膨張を示す垂線ADに示すごとくその一部が液化して体積の収縮と流動摩擦の発生を引き起こす状態がある。 これを防止するためには気化した水蒸気をA点から更にB点まで過熱して蒸気の乾燥度を高め垂線BC上を断熱膨張する必要があった。 しかし、そのためには外部の加熱熱源の温度は気化温度より更に数百度高温であることが必要となる。 E点は放熱部を通過して液化した状態を示し、F点は加熱部によって過熱された液状状態を示す。
本発明のごとく低温の廃熱を使用しようとする為には上記の気相状態での高圧部と低圧部のエンタルピーの差が、気相状態での高圧部と液相状態での低圧部のエンタルピーの差に比べて大きい媒体を選択することが必要であると共に、断熱膨張時に液化しないものを選択することが出来れば、上記のABに示すごとき蒸気過熱工程が不要となり外部加熱熱源温度の低温化と共に熱効率の向上が可能となる。 本出願人の研究によれば夫々の熱媒体は1モルあたりの気化熱に大きな差がないことから分子量が大きい熱媒体が相対的に気相状態での高圧部と液相状態での低圧部のエンタルピーの差が小さいために熱媒体として有利であることが判明した。 例として水の分子量は18g/molであるが、その約3倍の46g/molの媒体について、0021項で述べた計算式で計算した場合、同じ条件で水の2倍以上の熱効率を得ることが出来ることがわかった。 水の10倍の分子量をもつ熱媒体の場合は4倍以上の熱効率を得られる可能性もある。 より大きな分子量の熱媒体を使用することで更に高い熱効率を得る事が出来る。
更に、図4に示すごとく、分子量の大きな熱媒体の特徴として、T-SカーブPQRを観察したとき、PQは液相状態を示し、臨界点Qを越えたカーブQRは気相状態を示すものである。 この場合、気相状態を示すカーブQRが右側にオーバーハングしていることがわかる。 このカーブQRでは断熱膨張を示す垂線ADに示すごとくその一部が液化して体積の収縮と流動摩擦の発生を生じないことが解る。 従って、図4のカーブに示すごとき熱媒体は0022項に記述するごとき過熱工程は不要となるので熱サイクルはBC点を省略したABEFとなり、図3に示すごとき気化温度より更に高温であるべき外部の加熱熱源の温度は不要となる。
本発明の外燃機関にはこのような熱媒体が望ましい。 気化温度に関しては内部圧力の設定によって変化するのでその圧力での気化膨張を考慮することも必要である。 このような熱媒体を使用することで太陽熱あるいは各種廃熱などのこれまで利用できなかった低い温度の外部熱源を有効に使用することが出来る。 本出願人の研究によれば上記T-Sカーブは分子量が46のエチルアルコールでは図5に示すごとくほぼ垂直となり、これ以上の分子量の物質についてはオーバーハングの形状となることが多い事を確認した。 従って、この条件が過熱工程を不要とすることが出来る熱媒体選択の1条件となる。 又、使用する熱媒体は通常の気象状態で凝固しないことが望ましいことは云うまでもない。 本出願人の研究によれば分子量が比較的大きく取り扱いの容易なジエチルエーテル、ジメチルエーテル、ハイドロフルオロエーテルなどのエーテル系の熱媒体が望ましいもののひとつである。 特にハイドロフルオロエーテルは分子量が240以上のものが多く、取り扱いも容易で安全なため本発明の熱媒体として極めて望ましいものである。
他にはベンゼン系の熱媒体が望ましいもののひとつである。 分子量は78で取り扱いは比較的容易であり、装置が破損して熱媒体が外部に漏れた場合でも大きな障害が発生する可能性は少ない。 気化温度は80℃であり、ほぼ常圧での使用が可能である。
他にはクロロホルム系のものも望ましい。 分子量は119、気化温度61℃であるので熱媒体としての性能としては望ましいが取り扱いには注意が必要である。
他にはアルコール系のものも望ましい。 エチルアルコールの分子量は46、気化温度78℃であり、60℃程度の温度で作動するためには内部圧力をやや低くする必要があり効率は低下する。 しかし、安全性及び取り扱い上の容易さには優れた点がある。
以上の説明で明らかなごとく、本発明の外燃機関は、構造の改良及び使用熱媒体の新規選択理論の確立により熱媒体を選択することによって、蒸気過熱工程を不要とすることで、外部熱源と放熱部の温度差を大幅に低減することが出来る。 それによってこれまで有効な利用が制限されていた比較的温度の低い廃熱や太陽熱などを有効に利用することを可能とし、装置全体の配置等を改善することで起動時に別の動力を必要とせずに自己起動が可能であり、更に高い圧力差での高出力運転も可能とするものである。 又、加熱熱量の増減及び冷却水の流量による冷却熱量の増減によって出力を容易に制御する事が出来るものであり、実用性の向上は大きく、自然エネルギー及び廃熱利用の可能性を大幅に拡大できる外燃機関を提供するものである。
本発明の一実施形態の構造を示す模式構成図である。 本発明における動力機構部の一実施形態の構造を示す部分側断面図である。 水を使用した場合のランキンサイクルをT-S線図上で示したものである。 本発明に使用するべき熱媒体を使用したランキンサイクルをT-S線図上で示すものである。 本発明に使用するべき他の熱媒体を使用したランキンサイクルをT-S線図上で示すものである。
符号の説明
1:気相熱媒体
2:液相熱媒体
3:循環流路
4:受熱部
5:放熱部
6:動力機構部
7:隔壁
8:高圧部
9:低圧部
10:流路
11:流路
12:流路
13:中空部
14:回転軸
15:吸気口
16:中空腕
17:ノズル
18:回転ポンプ
19:磁気継手
20:逆止弁
21:出力用発電機
22:冷却水
23:排水
A:高温気化ポイント
B:過熱終了ポイント
C:断熱膨張終了ポイント
D:高温気化ポイントからの断熱膨張終了ポイント
E:低温液化ポイント
F:高温液状ポイント

Claims (4)

  1. 気相と液相が共存する状態で分子量が46以上の熱媒体を充填した循環流路内に受熱部と放熱部と動力機構部と循環ポンプ部を設け、動力機構部内において受熱部側に開口部を有する中空の回転軸を設け、該中空の回転軸に半径方向に伸びた中空腕を固着し、該中空腕の先端に気相熱媒体を該中空腕の回転円周方向に向けて放熱部側に噴出すべきノズルを形成し、放熱部で液化した液相熱媒体を前記中空の回転軸の回転力によって駆動する循環ポンプで受熱部側に移送するごとく構成したことを特徴とする外燃機関。
  2. 受熱部を放熱部と動力機構部の下方に配置し、回転ポンプを受熱部と放熱部を連通せしめる流路内に設け、該回転ポンプによって放熱部内の液相熱媒体を受熱部に移送するごとく構成したことを特徴とする請求項1記載の外燃機関。
  3. 放熱部内の液相熱媒体を受熱部に移送する回転ポンプを動力機構部内の回転軸から磁気継手を介して駆動するごとく構成したことを特徴とする請求項2記載の外燃機関。
  4. 内部に充填する熱媒体としてエーテル系、ベンゼン系、クロロホルム系、アルコール系のいずれかを用いた事を特徴とする請求項3記載の外燃機関。
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