JP2009138656A - スタータおよびエンジン始動装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】ピニオン4がリングギヤ3に噛み合い可能となる位置まで回転してリングギヤ3に噛み合った後に、モータへの通電がオンされるスタータにおいて、スタータの耐久性を向上することにある。
【解決手段】モータへの通電がオンされる前に、リングギヤ3に当接したピニオン4をリングギヤ3に対して回転させるのに必要なトルクを「始動前噛み合わせトルク」と定義し、クラッチ部材59に一定の当接状態を解除させるのに必要なトルクを「空転トルク」と定義すると、始動前噛み合わせトルクは空転トルクよりも小さくなるように設定されている。これにより、ピニオン4とリングギヤ3との噛み合い時期と、モータへの通電オンの時期との逆転が発生する将来の時期を遅らせることができるので、スタータの耐久性を向上することができる。
【選択図】図2

Description

本発明は、スタータおよびスタータを備えるエンジン始動装置に関する。
従来から、スタータは、エンジンを始動するためのトルクを通電により発生するモータと、エンジンのリングギヤに噛み合うギヤを有し、軸方向に進退するピニオンと、ピニオンを軸方向に押し出すとともに、モータへの通電をオンオフする電磁スイッチと、ピニオンをスプライン結合により軸方向に相対的に進退自在に支持するピニオン軸と、ピニオンとピニオン軸とに支持され、ピニオンのピニオン軸に対する相対的な進退に応じて軸方向に圧縮応力を蓄えるピニオンスプリングと、電磁スイッチの押出し力をトルクに変換してピニオン軸に伝達し、ピニオン軸を回転させるヘリカルスプライン結合部とを備える。
また、ピニオン軸は、ピニオンとともに電磁スイッチにより押し出されて軸方向に前進するように設けられている(例えば、特許文献1参照)。
以上のような構成により、ピニオン軸は、電磁スイッチにより押し出されたピニオンがリングギヤに当接した後も、電磁スイッチの押出し力により、回転しながら軸方向に前進してピニオンスプリングを圧縮するとともにピニオンをリングギヤに対して回転させる。そして、電磁スイッチは、ピニオンがリングギヤに対して回転しているときに、モータへの通電をオンする。これにより、ピニオンは、リングギヤに噛み合う位置まで回転してリングギヤに噛み合い、その後に、リングギヤがモータのトルクにより回されて、エンジンが始動する。
このように、特許文献1のスタータによれば、リングギヤに当接したピニオンは、モータのトルクにより回転してリングギヤに噛み合う。このため、噛み合い時の衝撃が大きいので、ピニオンの素材には熱処理を施した高硬度の素材を用いる必要がある。
そこで、モータのトルクによる噛み合いを避けるため、電磁スイッチによりモータへの通電がオンされる前に、電磁スイッチの押出し力によるトルクのみで、ピニオンをリングギヤに噛み合う位置まで回転させてリングギヤに噛み合わせるスタータが公知となっている(例えば、特許文献2参照)。すなわち、特許文献2のスタータによれば、電磁スイッチは、ピニオンがリングギヤに噛み合い可能となる位置まで回転し、ピニオンスプリングの圧縮応力により押し出されてリングギヤに噛み合った後に、モータへの通電をオンする。
つまり、特許文献2のスタータでは、「ピニオンがリングギヤに噛み合い可能となる位置まで回転してリングギヤに噛み合った後に、モータへの通電がオンされる」という動作が実現されるように、ピニオンストロークおよびヘリカルスプライン結合部の捩り角が設定されている。ここで、ピニオンストロークとは、「ピニオンがピニオンスプリングを圧縮しながらピニオン軸に対して軸方向に後退することができる相対距離」のことである。
これにより、ピニオンは、リングギヤに噛み合った後にモータのトルクにより回転するので、噛み合い時の衝撃が発生しない。この結果、ピニオンの素材に高硬度の素材を用いる必要がなくなるので素材コストを低減できるとともに、ピニオンの耐久性を高めることができる。
しかし、スタータの耐久性向上に対する要求は厳しく、さらなる耐久性向上策が求められている。また、近年、環境問題への配慮から、交差点等における車両の停止時にエンジンを停止し、発進とともにエンジンを再始動するエコランモードに基づくエンジン制御が、顕著に見られるようになっている。そして、このエコランモードに基づくエンジン制御によれば、スタータの使用頻度も高く、各部材の摩耗劣化の進行も速いと考えられる。したがって、エコランモードに基づくエンジン制御の観点からも、さらなる耐久性向上策が求められている。
実公昭56−10931号公報 特開2006−161590号公報
本発明は、上記の問題点を解決するためになされたものであり、その目的は、ピニオンがリングギヤに噛み合い可能となる位置まで回転してリングギヤに噛み合った後に、モータへの通電がオンされるスタータにおいて、スタータの耐久性を向上することにある。
〔請求項1の手段〕
請求項1に記載のスタータは、ピニオンをスプライン結合により軸方向に相対的に進退自在に支持し、ピニオンとともに電磁スイッチにより押し出されて軸方向に前進するピニオン軸と、ピニオンとピニオン軸とに支持され、ピニオンのピニオン軸に対する相対的な進退に応じて軸方向に圧縮応力を蓄えるピニオンスプリングと、電磁スイッチの押出し力をトルクに変換してピニオン軸に伝達し、モータへの通電がオンされた後はモータのトルクをピニオン軸に伝達して、ピニオン軸を回転させるヘリカルスプライン結合部と、ピニオンおよびピニオン軸とともに電磁スイッチにより押し出されて軸方向に前進し、モータのトルクがピニオン軸の方へ伝達するのを許容するとともに、エンジンのトルクがモータの方へ伝達するのを禁止する一方向クラッチとを備える。
また、一方向クラッチは、ヘリカルスプライン結合部を介してトルクが入力されて回転する入力側部材と、入力側部材に連動して回転し、入力側部材に伝達されたトルクをピニオン軸の方に出力する出力側部材と、入力側部材と出力側部材との間に配されるクラッチ部材とを有する。そして、クラッチ部材は、モータのトルクが入力側部材に入力されるときに、入力側部材および出力側部材の両方と一定の当接状態を維持することで、モータのトルクがピニオン軸の方へ伝達するのを許容し、エンジンのトルクが出力側部材に入力されるときに、一定の当接状態を解除して出力側部材から離間することで、エンジンのトルクがモータの方へ伝達するのを禁止する。
また、ピニオン軸は、電磁スイッチにより押し出されたピニオンがリングギヤに当接した後も、電磁スイッチの押出し力により、回転しながら軸方向に前進してピニオンスプリングを圧縮するとともにピニオンをリングギヤに対して回転させる。そして、電磁スイッチは、ピニオンがリングギヤに噛み合い可能となる位置まで回転し、ピニオンスプリングの圧縮応力により押し出されてリングギヤに噛み合った後に、モータへの通電をオンする。
そして、モータへの通電がオンされる前に、リングギヤに当接したピニオンをリングギヤに対して回転させるのに必要なトルクを、始動前噛み合わせトルクと定義し、クラッチ部材に一定の当接状態を解除させるのに必要なトルクを、空転トルクと定義すると、始動前噛み合わせトルクは、空転トルクよりも小さくなるように設定されている。
ここで、「一定の当接状態」とは、クラッチ部材が入力側部材および出力側部材の両方に当接しており、かつ、クラッチ部材と入力側部材との間、およびクラッチ部材と出力側部材との間で滑りが発生していない状態を意味するものである。したがって、一定の当接状態において、入力側部材、出力側部材およびクラッチ部材の回転角速度は全て略一致しており、クラッチ部材は、入力側部材および出力側部材に対して相対的に位置を変えることなく、また、自転することもなく回転する。
なお、以下の説明では、一方向クラッチにおいて、一定の当接状態が解除されて、クラッチ部材と入力側部材との間、またはクラッチ部材と出力側部材との間で滑りが発生したり、クラッチ部材が入力側部材または出力側部材から離間したりする現象を、「空転」と呼ぶ。
また、ピニオンがリングギヤに当接してから噛み合うまでの期間を、「噛み合わせ期間」と定義する。
ピニオンとリングギヤとは、当接の繰返しにより、互いに当接しあう当接部が劣化して摩擦係数が増大し、電磁スイッチによるピニオンの押出しにおいて、ピニオンがリングギヤに対して回転しにくくなる虞がある。この結果、ピニオンとリングギヤとの噛み合い時期(以下、「噛み合い時期」と略す)と、モータへの通電オンの時期(以下、「通電オン時期」と略す)とが逆転してしまい、モータのトルクによる噛み合いが生じて、噛み合い時の衝撃が発生するようになる事態も想定される。
ここで、電磁スイッチによるピニオンの押出しにおいて、ピニオンとリングギヤとの当接部の摩擦係数が大きく、ピニオンがリングギヤに対して回転しにくい場合、一方向クラッチの出力側部材も回転しにくいので、一方向クラッチに空転が生じる虞がある。
そして、一方向クラッチに空転が生じても、クラッチ部材が入力側部材および出力側部材の両方に当接して入力側部材と出力側部材とが同方向に回転していれば、滑りによる損失を除いてトルクが伝達されており、出力側部材およびピニオンの回転は可能となる。このため、空転が生じない場合に比べて噛み合わせ期間が長くなるものの、モータへの通電開始前にピニオンとリングギヤとを噛み合わせることが可能である。
しかし、当接部の劣化が進行して摩擦係数が増大し、ピニオンがリングギヤに対してさらに回転しにくくなると、一方向クラッチの空転による噛み合わせ期間の遅延が著しくなり、上記のように、噛み合い時期と通電オン時期とが逆転する事態も考えられる。そして、このような逆転は、使用初期(例えば、製造直後や出荷時)において、一方向クラッチに空転を生じさせるのに必要なトルク、つまり空転トルクが大きいほど、発生時期を遅らせることができる。
そこで、使用初期において、空転トルクを始動前噛み合わせトルクよりも大きく設定しておき、少なくとも使用初期の電磁スイッチによるピニオンの押出しにおいては、一方向クラッチに空転を生じさせることなく入力側部材から出力側部材にトルクを伝達させて、ピニオンをリングギヤに対して回転させる。
これにより、噛み合い時期と通電オン時期との逆転が発生する将来の時期を遅らせることができるので、スタータの耐久性を向上することができる。
〔請求項2の手段〕
請求項2に記載のスタータによれば、出力側部材と入力側部材とは、噛み合わせ期間の間、クラッチ部材と一定の当接状態を維持するとともに互いに圧接し合い、噛み合わせ期間の空転トルクは、入力側部材と出力側部材との圧接により増大する。そして、始動前噛み合わせトルクは、噛み合わせ期間の空転トルクよりも小さくなるように設定されている。
エンジン始動後の空転トルクは、エンジンのトルクがモータの方へ伝達するのを早期に禁止するために小さいほうが好ましい。そこで、空転トルクを高める必要がある噛み合わせ期間において、出力側部材と入力側部材とを圧接させて出力側部材を入力側部材に対して回転しにくくさせ、空転トルクを高める。この結果、噛み合わせ期間のみ空転トルクを高めることができるとともに、噛み合わせ期間以外の空転トルクを低めに設定して、エンジン始動後に速やかにエンジンのトルクがモータの方へ伝達するのを禁止することができる。
なお、噛み合わせ期間の間、入力側部材には電磁スイッチの押出し力が作用し、出力側部材にはピニオンスプリングの圧縮応力が作用し、電磁スイッチの押出し力とピニオンスプリングの圧縮応力とは互いに逆向きに作用する。このため、出力側部材と入力側部材との圧接は、極めて容易に実現できる。
〔請求項3の手段〕
請求項3に記載のスタータによれば、入力側部材と出力側部材とは、噛み合わせ期間の間、各々に設けられた圧接面が互いに面接触して圧接し合う。そして、噛み合わせ期間の空転トルクは、入力側部材の圧接面および出力側部材の圧接面の少なくとも一方の摩擦係数を上げることで高められている。
これにより、摩擦係数を操作することで、噛み合わせ期間の空転トルクを自在に設定することができる。
〔請求項4の手段〕
請求項4に記載のスタータによれば、入力側部材の圧接面および出力側部材の圧接面の少なくとも一方の摩擦係数は、面粗度を大きくすることで高められている。
この手段は、摩擦係数を操作する一手段を示すものである。
〔請求項5の手段〕
請求項5に記載のスタータによれば、入力側部材の圧接面および出力側部材の圧接面の少なくとも一方の摩擦係数は、入力側部材および出力側部材とは別の素材を塗布または貼付することで高められている。
この手段は、摩擦係数を操作する一手段を示すものである。
〔請求項6の手段〕
請求項6に記載のエンジン始動装置は、請求項1ないし請求項5の内のいずれか1つに記載のスタータと、車両の運転状態に応じてエンジンの停止および再始動を行うエコランモードに基づいて、スタータを制御する制御手段とを備える。
これにより、エコランモードに基づき制御されることにより、使用頻度が高いスタータにおいても、耐久性を向上することができる。
最良の形態1のスタータは、ピニオンをスプライン結合により軸方向に相対的に進退自在に支持し、ピニオンとともに電磁スイッチにより押し出されて軸方向に前進するピニオン軸と、ピニオンとピニオン軸とに支持され、ピニオンのピニオン軸に対する相対的な進退に応じて軸方向に圧縮応力を蓄えるピニオンスプリングと、電磁スイッチの押出し力をトルクに変換してピニオン軸に伝達し、モータへの通電がオンされた後はモータのトルクをピニオン軸に伝達して、ピニオン軸を回転させるヘリカルスプライン結合部と、ピニオンおよびピニオン軸とともに電磁スイッチにより押し出されて軸方向に前進し、モータのトルクがピニオン軸の方へ伝達するのを許容するとともに、エンジンのトルクがモータの方へ伝達するのを禁止する一方向クラッチとを備える。
また、一方向クラッチは、ヘリカルスプライン結合部を介してトルクが入力されて回転する入力側部材と、入力側部材に連動して回転し、入力側部材に伝達されたトルクをピニオン軸の方に出力する出力側部材と、入力側部材と出力側部材との間に配されるクラッチ部材とを有する。そして、クラッチ部材は、モータのトルクが入力側部材に入力されるときに、入力側部材および出力側部材の両方と一定の当接状態を維持することで、モータのトルクがピニオン軸の方へ伝達するのを許容し、エンジンのトルクが出力側部材に入力されるときに、一定の当接状態を解除して出力側部材から離間することで、エンジンのトルクがモータの方へ伝達するのを禁止する。
また、ピニオン軸は、電磁スイッチにより押し出されたピニオンがリングギヤに当接した後も、電磁スイッチの押出し力により、回転しながら軸方向に前進してピニオンスプリングを圧縮するとともにピニオンをリングギヤに対して回転させる。そして、電磁スイッチは、ピニオンがリングギヤに噛み合い可能となる位置まで回転し、ピニオンスプリングの圧縮応力により押し出されてリングギヤに噛み合った後に、モータへの通電をオンする。
そして、モータへの通電がオンされる前に、リングギヤに当接したピニオンをリングギヤに対して回転させるのに必要なトルクを、始動前噛み合わせトルクと定義し、クラッチ部材に一定の当接状態を解除させるのに必要なトルクを、空転トルクと定義すると、始動前噛み合わせトルクは、空転トルクよりも小さくなるように設定されている。
また、ピニオンがリングギヤに当接してから噛み合うまでの期間を噛み合わせ期間と定義すると、出力側部材と入力側部材とは、噛み合わせ期間の間、クラッチ部材と一定の当接状態を維持するとともに互いに圧接し合い、噛み合わせ期間の空転トルクは、入力側部材と出力側部材との圧接により増大する。そして、始動前噛み合わせトルクは、噛み合わせ期間の空転トルクよりも小さくなるように設定されている。
また、入力側部材と出力側部材とは、噛み合わせ期間の間、各々に設けられた圧接面が互いに面接触して圧接し合う。そして、噛み合わせ期間の空転トルクは、入力側部材の圧接面および出力側部材の圧接面の少なくとも一方の摩擦係数を上げることで高められている。
なお、入力側部材の圧接面および出力側部材の圧接面の少なくとも一方の摩擦係数は、面粗度を大きくしたり、入力側部材および出力側部材とは別の素材を塗布または貼付したりすることで高められている。
また、このスタータを含んで構成されるエンジン始動装置は、車両の運転状態に応じてエンジンの停止および再始動を行うエコランモードに基づいて、スタータを制御する制御手段を備える。
〔実施例1の構成〕
実施例1のスタータ1の構成を、図1〜図3を用いて説明する。
スタータ1は、例えば、通電によりトルクを発生するモータ2と、エンジン(図示せず)のリングギヤ3に噛み合うギヤを有し、軸方向に進退するピニオン4と、ピニオン4を軸方向一方側に押し出すとともに、モータ2への通電をオンオフする電磁スイッチ5と、電磁スイッチ5により軸方向に進退するように設けられ、エンジンのトルクがモータ2の方へ伝達するのを禁止する一方向クラッチ6とを備える。
そして、スタータ1は、電磁スイッチ5によりピニオン4を軸方向一方側に押し出してリングギヤ3に噛み合わせた後、モータ2への通電をオンし、モータ2のトルクによりリングギヤ3を回してエンジンを始動する。
また、スタータ1は、車両の運転状態に応じてエンジンの制御を行う電子制御装置(ECU;図示せず)とともにエンジン始動装置を構成し、ECUは、例えば、車両の停止時にエンジンを停止し、発進とともにエンジンを再始動するエコランモードに基づくエンジン制御を実行する。つまり、スタータ1は、エンジンの再始動のたびに動作してエンジンを始動するように制御される。
モータ2は、界磁極9、電機子コイル10およびブラシ11等を備える周知の直流電動機であり、界磁極9により形成される磁界と、電機子コイル10に流れる電流との相互作用によりトルクを発生するものである。そして、この相互作用により得られたトルクは、減速機構12により減速されて出力軸13に伝達される。
界磁極9は、例えば、ヨーク16の内周側に配される永久磁石であり、電機子コイル10は、電機子軸17、および電機子コイル10と電気的に接続される整流子18とともに電機子を構成する。また、ブラシ11は、リード線19により電磁スイッチ5のモータ側端子ボルト20に接続するとともに、整流子18に摺接する。
なお、界磁極9は界磁コイルにより構成することもできる。
また、電機子軸17は、軸方向一方側が出力軸13に相対回転自在に支持され、軸方向他方側がエンドフレーム21に回転自在に支持されている。
減速機構12は、電機子軸17に設けられた太陽歯車24、太陽歯車24に噛み合う複数の遊星歯車25、および遊星歯車25の外周側と噛み合う内歯歯車26を有する周知の遊星歯車装置である。
出力軸13は、電機子軸17と同軸に配され、軸方向一方側がフロントハウジング28に回転自在に支持されている。また、出力軸13の外周には、ヘリカルスプライン29が設けられており、このヘリカルスプライン29は、後記する入力側部材30の軸方向他端側の内周に設けられたネジ溝に螺合して、ヘリカルスプライン結合部31を形成する。
これらの構成により、モータ2では、電磁スイッチ5のオン動作により、ブラシ11、整流子18を経て電機子コイル10への通電がなされてトルクが発生する。このトルクは減速されて出力軸13に伝達され、減速されたトルクは、ヘリカルスプライン結合部31を介して一方向クラッチ6、ピニオン4等に伝達される。
なお、電磁スイッチ5のオン動作では、後記するようにモータ2への通電開始前にプランジャ32の変位が開始されており、ヘリカルスプライン結合部31は、プランジャ32の変位により生じる電磁スイッチ5の押出し力が伝達され、伝達された押出し力をトルクに変換して一方向クラッチ6、ピニオン4等に伝達する。
ピニオン4は、後記する出力側部材35と一体に設けられるピニオン軸36に支持され、リングギヤ3との間にギャップG3を形成するように配される。ここで、ピニオン軸36は、出力軸13に進退自在に遊嵌されており、ピニオン軸36の外周にはスプライン37が設けられている。そして、スプライン37は、ピニオン4の内周に設けられた内歯と噛み合ってスプライン結合部38を形成し、ピニオン軸36は、スプライン結合部38によりピニオン4を軸方向に相対的に進退自在に支持する。
また、ピニオン4の内周側に設けられる段差面と、ピニオン軸36の外周側に設けられる段差面との間には、ピニオンスプリング40が配設されている。ピニオンスプリング40は、ピニオン4のピニオン軸36に対する相対的な進退に応じて軸方向に圧縮応力を蓄えるものであり、所定の初期荷重を付与されて配設されている。なお、ピニオン軸36の一端には、ピニオンストッパ41が装着されており、ピニオンスプリング40により軸方向一方側に付勢されるピニオン4は、ピニオンストッパ41に当接することにより前進が規制されている。
また、ピニオン軸36の他端にも、ストッパ42が設けられており、このストッパ42とピニオン4の他端との軸方向距離は、ピニオン4がピニオンスプリング40を圧縮しながらピニオン軸36に対して軸方向に後退することができる相対距離の最大値(以下、ピニオンストロークS1とする)と一致する。
そして、ピニオンストロークS1とギャップG3との和は、ピニオン軸36が出力軸13上を軸方向に移動できる距離S0以下となるように設定されている。すなわち、ピニオンストロークS1およびギャップG3は、下記の数式1が成り立つように設定されている。
〔数式1〕S0≧S1+G3
これらの構成により、ピニオン4およびピニオン軸36は、ヘリカルスプライン結合部31を介して電磁スイッチ5の押出し力が伝達され、回転しながら軸方向一方側に押し出されて前進する。そして、ピニオン4およびピニオン軸36は、ピニオン4の一端がリングギヤ3の他端に当接するまで、ギャップG3の長さだけ軸方向一方側に変位する。
さらに、ピニオン軸36は、ピニオン4がリングギヤ3に当接した後も、回転しながら軸方向に前進してピニオンスプリング40を圧縮するとともにピニオン4をリングギヤ3に対して回転させる。やがて、ピニオン4は、リングギヤ3に噛み合い可能となる位置まで回転し、ピニオンスプリング40の圧縮応力により押し出されてリングギヤ3に噛み合う。
電磁スイッチ5は、始動スイッチ(図示せず)のオンにより所定の車載電源から通電を受けるソレノイドコイル44、ソレノイドコイル44の内周側に固定されて磁束を通すステーショナリコア45、ソレノイドコイル44の内周側でステーショナリコア45に対向するように配され、励磁されて軸方向他方側に変位するプランジャ32、プランジャ32を軸方向一方側に付勢するリターンスプリング46等を有する。
また、ステーショナリコア45の軸方向他方側には接点室が形成され、この接点室には、可動接点47が軸方向に移動自在に収容されるとともに、可動接点47の当接を受ける固定接点48が固定されて収容されている。
可動接点47は、ステーショナリコア45の内周に軸方向に移動自在に配されるロッド49の他端に装着されている。ロッド49は、プランジャ32との間に軸方向にギャップG1を形成するように装着されている。また、ロッド49の外周側には、可動接点47が固定接点48に当接するときの接点圧を設定する接点圧スプリング50が配され、ロッド49の軸方向他方側には、ロッド49を軸方向一方側に付勢するリターンスプリング51が配されている。
固定接点48は、電源の方からリード線(図示せず)が接続される電源側端子ボルト52、およびモータ2の方からリード線19が接続されるモータ側端子ボルト20の一端にロウ付けされている(図1では、電源側端子ボルト52にロウ付けされた固定接点48のみが示されている)。なお、固定接点48と可動接点47との間には、軸方向にギャップG2が形成されている。
そして、ギャップG1とギャップG2との和は、プランジャ32が軸方向他方側に移動できる距離S2よりも小さくなるように設定されている。すなわち、ギャップG1、G2は、下記の数式2が成り立つように設定されている。
〔数式2〕S2≧G1+G2
また、プランジャ32の一端には、ピニオン4等を押し出して前進させるレバー56の上端が保持されている。なお、レバー56は、下端が一方向クラッチ6に支持され、支点57を中心に揺動するように装着されている。そして、レバー56は、プランジャ32の軸方向の変位をピニオン4、一方向クラッチ6等に伝達してピニオン4、一方向クラッチ6等を軸方向に進退させる。
そして、レバー56において、支点57から上端の力点までの距離をL1、支点57から下端の作用点までの距離をL2としたとき、ギャップG1〜G3、ピニオンストロークS1、および距離L1、L2は、以下の数式3を満たすように設定されている。
〔数式3〕(S1+G3)×L1/L2<G1+G2
そして、数式1〜数式3を満たすように、ギャップG1〜G3、ピニオンストロークS1、および距離L1、L2、S0、S2を設定するとともに、ヘリカルスプライン結合部31の捩り角を、適宜、設定することで、リングギヤ3に当接したピニオン4は、可動接点47が固定接点48に当接する前に(つまり、電磁スイッチ5がモータ2への通電をオンする前に)、電磁スイッチ5の押出し力のみによりリングギヤ3に噛み合い可能となる位置まで回転してリングギヤ3に噛み合う。
これらの構成により、電磁スイッチ5では、ソレノイドコイル44に通電が行われると、プランジャ32がリターンスプリング46を圧縮しながら、軸方向他方側に磁気吸引される。また、プランジャ32は、ギャップG1の長さだけ軸方向他方側に単独で変位して、ロッド49の一端に当接する。
そして、プランジャ32がロッド49に当接した後、プランジャ32とロッド49とは、一体となってリターンスプリング46、51を圧縮しながらギャップG2の長さだけ軸方向他方側に変位する。そして、この変位により可動接点47が固定接点48に当接して、モータ2への通電が開始される。
また、プランジャ32およびロッド49がギャップG2だけ変位する間に、ピニオン4は、リングギヤ3に噛み合う位置まで回転してリングギヤ3に噛み合う。なお、プランジャ32およびロッド49は、可動接点47が固定接点48に当接した後も接点圧スプリング50を圧縮しながら、軸方向他方側に変位する。
エンジン始動後、ソレノイドコイル44への通電が停止されると、プランジャ32およびロッド49はリターンスプリング46、51により付勢されて軸方向一方側へ変位する。これに伴い、可動接点47も軸方向一方側へ変位して固定接点48から離脱し、モータ2への通電が停止される。また、これらの動作の間に、ピニオン4がリングギヤ3から離脱する。
一方向クラッチ6は、ヘリカルスプライン結合部31を介してトルクが入力されて回転する入力側部材30と、入力側部材30に連動して回転し、入力側部材30に伝達されたトルクをピニオン軸36の方に出力する出力側部材35と、入力側部材30と出力側部材35との間に配されるクラッチ部材59とを有し、レバー56の揺動により軸方向に進退するように設けられており、ピニオン4とともに押し出されて前進する。
入力側部材30は、軸方向一方側の部分が、クラッチ部材59、および出力側部材35の軸方向他方側の部分等を収容するバレル60をなし、クラッチ部材59の外周側に配されている。また、軸方向他方側の部分は、出力軸13のヘリカルスプライン29が設けられた部分とともにヘリカルスプライン結合部31を形成する。
出力側部材35は、出力軸13に遊嵌されている。そして、軸方向他方側の部分がバレル60に収容されてクラッチ部材59の内周側に配され、軸方向一方側の部分がピニオン軸36をなす。
クラッチ部材59は、図3(a)に示すように、円柱状の部材であり、クラッチスプリング61により付勢されて、バレル60の内周面と出力側部材35の外周面との間に強固に挟まって、入力側部材30および出力側部材35の両方と一定の当接状態を形成している。そして、クラッチ部材59は、モータ2のトルクが入力側部材30に入力されるときに、入力側部材30および出力側部材35の両方と一定の当接状態を維持することで、モータ2のトルクがピニオン軸36の方へ伝達するのを許容する。
ここで、「一定の当接状態」とは、クラッチ部材59が入力側部材30および出力側部材35の両方に当接しており、かつ、クラッチ部材59と入力側部材30との間、およびクラッチ部材59と出力側部材35との間で滑りが発生していない状態を意味するものである。したがって、一定の当接状態において、入力側部材30、出力側部材35およびクラッチ部材59の回転角速度は全て略一致しており、クラッチ部材59は、入力側部材30および出力側部材35に対して相対的に位置を変えることなく、また、自転することもなく回転する。
また、クラッチ部材59は、図3(b)に示すように、エンジンのトルクが出力側部材35に入力されるときに、一定の当接状態を解除して出力側部材35から離間することで、エンジンのトルクがモータ2の方へ伝達するのを禁止する。すなわち、エンジンが始動してピニオン4がリングギヤ3により回されるようになると、出力側部材35の回転が入力側部材30の回転よりも速くなり、クラッチ部材59は、クラッチスプリング61を圧縮して出力側部材35から離間する。この結果、入力側部材30と出力側部材35とは、互いにフリーになって干渉することなく回転する。
なお、以下の説明では、一方向クラッチ6において、一定の当接状態が解除されて、クラッチ部材59と入力側部材30との間、またはクラッチ部材59と出力側部材35との間で滑りが発生したり、クラッチ部材59が入力側部材30または出力側部材35から離間したりする現象を、「空転」と呼ぶ。
〔実施例1の特徴〕
実施例1のスタータ1の特徴を説明する。
まず、特徴の説明にあたり、以下のとおり用語を定義する。すなわち、モータ2への通電がオンされる前に、リングギヤ3に当接したピニオン4をリングギヤ3に対して回転させるのに必要なトルクを「始動前噛み合わせトルク」と定義し、クラッチ部材59に一定の当接状態を解除させるのに必要なトルクを「空転トルク」と定義し、ピニオン4がリングギヤ3に当接してから噛み合うまでの期間を、「噛み合わせ期間」と定義する。
スタータ1によれば、始動前噛み合わせトルクは、空転トルクよりも小さくなるように設定されている。
ここで、始動前噛み合わせトルクは、主に、ピニオン4とリングギヤ3との当接部における摩擦係数により定まり、空転トルクは、主に、クラッチ部材59と出力側部材35との当接部における摩擦係数、およびクラッチスプリング61のセット力により定まる。
また、出力側部材35と入力側部材30とは、噛み合わせ期間の間、クラッチ部材59と一定の当接状態を維持するとともに、出力側部材35の他端面63がバレル60の底部の一端面64に圧接することで互いに圧接し合う。このため、噛み合わせ期間の空転トルクは、入力側部材30と出力側部材35との圧接により増大する。
すなわち、噛み合わせ期間の間、出力側部材35は、初期セット時よりも圧縮されたピニオンスプリング40により軸方向他方側に付勢され、入力側部材30は、電磁スイッチ5の押出し力により軸方向一方側に付勢される。このため、出力側部材35と入力側部材30とは互いに強力に圧接し合い、出力側部材35は入力側部材30に対して回転しにくくなるので、結果的に、噛み合わせ期間の空転トルクが増大する。
そして、始動前噛み合わせトルクは、噛み合わせ期間の空転トルクよりも小さくなるように設定されている。
また、噛み合わせ期間の空転トルクは、出力側部材35の他端面63、およびバレル60の底部の一端面64の少なくとも一方の摩擦係数を上げることで高められている。
なお、摩擦係数の増加は、例えば、他端面63および一端面64の一方または両方の面粗度を大きくしたり、他端面63および一端面64の一方または両方に入力側、出力側部材30、35とは別の素材を塗布または貼付したりすることで達成できる。
〔実施例1の効果〕
実施例1のスタータ1によれば、電磁スイッチ5は、ピニオン4がリングギヤ3に噛み合い可能となる位置まで回転し、ピニオンスプリング40の圧縮応力により押し出されてリングギヤ3に噛み合った後に、モータ2への通電をオンする。そして、始動前噛み合わせトルクは、空転トルクよりも小さくなるように設定されている。
ピニオン4とリングギヤ3とは、当接の繰返しにより、互いに当接しあう当接部が劣化して摩擦係数が増大し、電磁スイッチ5によるピニオン4の押出しにおいて、ピニオン4がリングギヤ3に対して回転しにくくなる虞がある。この結果、ピニオン4とリングギヤ3との噛み合い時期(以下、「噛み合い時期」と略す)と、モータ2への通電オンの時期(以下、「通電オン時期」と略す)とが逆転してしまい、モータ2のトルクによる噛み合いが生じて、噛み合い時の衝撃が発生するようになる事態も想定される。
ここで、電磁スイッチ5によるピニオン4の押出しにおいて、ピニオン4とリングギヤ3との当接部の摩擦係数が大きく、ピニオン4がリングギヤ3に対して回転しにくい場合、一方向クラッチ6の出力側部材35も回転しにくいので、一方向クラッチ6に空転が生じる虞がある。
そして、一方向クラッチ6に空転が生じても、クラッチ部材59が入力側部材30および出力側部材35の両方に当接して入力側部材30と出力側部材35とが同方向に回転していれば、滑りによる損失を除いてトルクが伝達されており、出力側部材35およびピニオン4の回転は可能となる。このため、空転が生じない場合に比べて噛み合わせ期間が長くなるものの、モータ2への通電開始前にピニオン4とリングギヤ3とを噛み合わせることが可能である。
しかし、当接部の劣化が進行して摩擦係数が増大し、ピニオン4がリングギヤ3に対してさらに回転しにくくなると、一方向クラッチ6の空転による噛み合わせ期間の遅延が著しくなり、上記のように、噛み合い時期と通電オン時期とが逆転する事態も考えられる。そして、このような逆転は、使用初期(例えば、製造直後や出荷時)において、一方向クラッチ6に空転を生じさせるのに必要なトルク、つまり空転トルクが大きいほど、発生時期を遅らせることができる。
そこで、使用初期において、空転トルクを始動前噛み合わせトルクよりも大きく設定しておき、少なくとも使用初期の電磁スイッチ5によるピニオン4の押出しにおいては、一方向クラッチ6に空転を生じさせることなく入力側部材30から出力側部材35にトルクを伝達させて、ピニオン4をリングギヤ3に対して回転させる。
これにより、噛み合い時期と通電オン時期との逆転が発生する将来の時期を遅らせることができるので、スタータ1の耐久性を向上することができる。
また、噛み合わせ期間の空転トルクは、入力側部材30と出力側部材35との圧接により増大する。そして、始動前噛み合わせトルクは、噛み合わせ期間の空転トルクよりも小さくなるように設定されている。
エンジン始動後の空転トルクは、エンジンのトルクがモータ2の方へ伝達するのを早期に禁止するために小さいほうが好ましい。ここで、噛み合わせ期間において、出力側部材35と入力側部材30とは互いに圧接し合い、出力側部材35は入力側部材30に対して回転しにくくなるので、噛み合わせ期間の空転トルクが高くなる。
そこで、噛み合わせ期間以外の空転トルクを低めに設定しておき、始動前噛み合わせトルクを、噛み合わせ期間の空転トルクよりも小さくなるように設定する。
これにより、噛み合い時期と通電オン時期との逆転が発生する将来の時期を遅らせることができるとともに、エンジン始動後に速やかにエンジンのトルクがモータ2の方に伝わるのを禁止することができる。
また、噛み合わせ期間の空転トルクは、出力側部材35の他端面63およびバレル60の底部の一端面64の少なくとも一方の摩擦係数を上げることで高められている。
これにより、摩擦係数を操作することで、噛み合わせ期間の空転トルクを自在に設定することができる。
また、ECUは、車両の停止時にエンジンを停止し、発進とともにエンジンを再始動するエコランモードに基づくエンジン制御を実行する。つまり、スタータ1は、エンジンの再始動のたびに動作してエンジンを始動するように制御される。
これにより、エコランモードに基づき制御されることにより、使用頻度が高いスタータ1においても、耐久性を向上することができる。
〔変形例〕
実施例1のスタータ1は、エコランモードに基づいて制御されていたが、エコランモードに基づかないでスタータ1を制御するようにしてもよい。
実施例1のスタータ1によれば、ピニオン4は、電磁スイッチ5の磁気吸引力に基づく押出し力により、リングギヤ3に対して回転するように設けられていたが、例えば、電磁スイッチ5に周知のドライブスプリングを装着し、ドライブスプリングの圧縮応力によりピニオン4の回転をアシストするようにしてもよい。
スタータの部分断面図である。 スタータの要部断面図である。 (a)は一定の当接状態を維持している一方向クラッチを示す説明図であり、(b)は一定のエンジンの出力により空転している一方向クラッチを示す説明図である。
符号の説明
1 スタータ
2 モータ
3 リングギヤ
4 ピニオン
5 電磁スイッチ
6 一方向クラッチ
30 入力側部材
31 ヘリカルスプライン結合部
35 出力側部材
36 ピニオン軸
40 ピニオンスプリング
59 クラッチ部材
63 他端面(出力側部材の圧接面)
64 一端面(入力側部材の圧接面)

Claims (6)

  1. エンジンを始動するためのトルクを通電により発生するモータと、
    前記エンジンのリングギヤに噛み合うギヤを有し、軸方向に進退するピニオンと、
    前記ピニオンを軸方向に押し出して前進させるとともに、前記モータへの通電をオンオフする電磁スイッチと、
    前記ピニオンをスプライン結合により軸方向に相対的に進退自在に支持し、前記ピニオンとともに前記電磁スイッチにより押し出されて軸方向に前進するピニオン軸と、
    前記ピニオンと前記ピニオン軸とに支持され、前記ピニオンの前記ピニオン軸に対する相対的な進退に応じて軸方向に圧縮応力を蓄えるピニオンスプリングと、
    前記電磁スイッチの押出し力をトルクに変換して前記ピニオン軸に伝達し、前記モータへの通電がオンされた後は前記モータのトルクを前記ピニオン軸に伝達して、前記ピニオン軸を回転させるヘリカルスプライン結合部と、
    前記ピニオンおよび前記ピニオン軸とともに前記電磁スイッチにより押し出されて軸方向に前進し、前記モータのトルクが前記ピニオン軸の方へ伝達するのを許容するとともに、前記エンジンのトルクが前記モータの方へ伝達するのを禁止する一方向クラッチとを備え、
    この一方向クラッチは、前記ヘリカルスプライン結合部を介してトルクが入力されて回転する入力側部材と、この入力側部材に連動して回転し、前記入力側部材に伝達されたトルクを前記ピニオン軸の方に出力する出力側部材と、前記入力側部材と前記出力側部材との間に配されるクラッチ部材とを有し、
    このクラッチ部材は、前記モータのトルクが前記入力側部材に入力されるときに、前記入力側部材および前記出力側部材の両方と一定の当接状態を維持することで、前記モータのトルクが前記ピニオン軸の方へ伝達するのを許容し、前記エンジンのトルクが前記出力側部材に入力されるときに、前記一定の当接状態を解除して前記出力側部材から離間することで、前記エンジンのトルクが前記モータの方へ伝達するのを禁止し、
    前記ピニオン軸は、前記電磁スイッチにより押し出された前記ピニオンが前記リングギヤに当接した後も、前記電磁スイッチの押出し力により、回転しながら軸方向に前進して前記ピニオンスプリングを圧縮するとともに前記ピニオンを前記リングギヤに対して回転させ、
    前記電磁スイッチは、前記ピニオンが前記リングギヤに噛み合い可能となる位置まで回転し、前記ピニオンスプリングの圧縮応力により押し出されて前記リングギヤに噛み合った後に、前記モータへの通電をオンするスタータにおいて、
    前記モータへの通電がオンされる前に、前記リングギヤに当接した前記ピニオンを前記リングギヤに対して回転させるのに必要なトルクを、始動前噛み合わせトルクと定義し、
    前記クラッチ部材に前記一定の当接状態を解除させるのに必要なトルクを、空転トルクと定義すると、
    前記始動前噛み合わせトルクは、前記空転トルクよりも小さくなるように設定されていることを特徴とするスタータ。
  2. 請求項1に記載のスタータにおいて、
    前記ピニオンが前記リングギヤに当接してから噛み合うまでの期間を噛み合わせ期間と定義すると、
    前記出力側部材と前記入力側部材とは、前記噛み合わせ期間の間、前記クラッチ部材と前記一定の当接状態を維持するとともに互いに圧接し合い、
    前記噛み合わせ期間の前記空転トルクは、前記入力側部材と前記出力側部材との圧接により増大し、
    前記始動前噛み合わせトルクは、前記噛み合わせ期間の前記空転トルクよりも小さくなるように設定されていることを特徴とするスタータ。
  3. 請求項2に記載のスタータにおいて、
    前記入力側部材と前記出力側部材とは、前記噛み合わせ期間の間、各々に設けられた圧接面が互いに面接触して圧接し合い、
    前記噛み合わせ期間の前記空転トルクは、前記入力側部材の圧接面および前記出力側部材の圧接面の少なくとも一方の摩擦係数を上げることで高められていることを特徴とするスタータ。
  4. 請求項3に記載のスタータにおいて、
    前記入力側部材の圧接面および前記出力側部材の圧接面の少なくとも一方の摩擦係数は、面粗度を大きくすることで高められていることを特徴とするスタータ。
  5. 請求項3に記載のスタータにおいて、
    前記入力側部材の圧接面および前記出力側部材の圧接面の少なくとも一方の摩擦係数は、前記入力側部材および前記出力側部材とは別の素材を塗布または貼付することで高められていることを特徴とするスタータ。
  6. 請求項1ないし請求項5の内のいずれか1つに記載のスタータと、
    車両の運転状態に応じて前記エンジンの停止および再始動を行うエコランモードに基づいて、前記スタータを制御する制御手段とを備えるエンジン始動装置。
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