JP2009138440A - 耐火性コンクリートセグメント - Google Patents
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Abstract
【解決手段】耐火性コンクリートセグメント1は、セメントと細骨材2と粗骨材7と水とを含むコンクリート3と、所定の温度(火災時等に耐火性コンクリートセグメント1が達すると想定される温度で、例えば、250℃〜500℃程度)で気化する有機繊維4と、コンクリート3の材料不分離性を良くするための混和材・混和剤5と、硬化後の耐火性コンクリートセグメント1の靭性を向上させるための鋼繊維6とを所定の割合で配合することにより製作される。
【選択図】図1
Description
本発明による耐火性コンクリートセグメントによれば、有機繊維の太さを17.5μm以下にすることにより、良好な施工性を得ることができるとともに、連通した通気路をつくるために必要な繊維の本数を確保することができる。
本発明による耐火性コンクリートセグメントによれば、有機繊維の配合割合を0.2体積%にすることにより、良好な施工性を得ることができるとともに、連通した通気路をつくるために必要な繊維の本数を確保することができる。
本発明による耐火性コンクリートセグメントによれば、ポリプロピレン繊維は市販されているので、入手性が良い。
本発明による耐火性コンクリートセグメントによれば、有機繊維の分散性を高め、あるいは、セグメント型枠への充填性を高めるためにコンクリートを高流動状態にしても、コンクリートの材料不分離性を高める混和材又は混和剤を含むので、コンクリート材料の分離を防ぐことができる。
本発明による耐火性コンクリートセグメントによれば、フライアッシュや増粘剤は市販されているので、入手性が良い。また、安価なので、コンクリートセグメントを経済的に製作することができる。
本発明による耐火性コンクリートセグメントによれば、鋼繊維を含むことにより、コンクリートセグメントの靭性を大きくすることができる。
図1は、本発明の実施形態に係る耐火性コンクリートセグメント1を示す断面図である。図1に示すように、耐火性コンクリートセグメント1は、セメントと細骨材2と粗骨材7と水とを含むコンクリート3と、所定の温度(火災時等に耐火性コンクリートセグメント1が達すると想定される温度で、例えば、250℃〜500℃程度)で気化する有機繊維4と、コンクリート3の材料不分離性を高めるための混和材又は混和剤(以下、混和材・混和剤という)5と、コンクリート3が硬化した後の耐火性コンクリートセグメント1の靭性を向上させるための鋼繊維6とを所定の割合で配合することにより製作される。
コンクリート試験体は板状で、横×高さ×奥行の長さがそれぞれ1000mm×200mm×500mmである。
有機繊維4のアスペクト比及び上記各材料の配合割合の異なる複数のコンクリート試験体を製作した。
図3及び図4に示すように、アスペクト比が114で、太さ及び長さが17.5μm×2mmの有機繊維4を含む3種類のコンクリート試験体No.1、No.2及びNo.3を製作した。
具体的には、コンクリート試験体No.1は、アスペクト比114の有機繊維4と、普通ポルトランドセメントと、鋼繊維6と、細骨材2と、粗骨材7と、水とを混合した中流動性のコンクリート試験体である。また、コンクリート試験体No.2は、コンクリート試験体No.1の材料に混和材・混和剤5である増粘剤を添加し、この増粘剤により高い材料不分離性を有する高流動性のコンクリート試験体である。そして、コンクリート試験体No.3は、コンクリート試験体No.1の材料に混和材・混和剤5である石灰石微粉末を添加し、この石灰石微粉末により高い材料不分離性を有する高流動性のコンクリート試験体である。
図3及び図4に示すように、アスペクト比が281で、太さ及び長さが42.7μm×12mmの有機繊維4を含む3種類のコンクリート試験体No.4、No.5及びNo.6を製作した。
具体的には、コンクリート試験体No.4は、アスペクト比281の有機繊維4と、普通ポルトランドセメントと、鋼繊維6と、細骨材2と、粗骨材7と、水とを混合した中流動性のコンクリート試験体である。また、コンクリート試験体No.5は、コンクリート試験体No.4の材料に混和材・混和剤5である増粘剤を添加し、この増粘剤により高い材料不分離性を有する高流動性のコンクリート試験体である。そして、コンクリート試験体No.6は、コンクリート試験体No.4の材料に混和材・混和剤5である石灰石微粉末を添加し、この石灰石微粉末により高い材料不分離性を有する高流動性のコンクリート試験体である。
図3及び図4に示すように、アスペクト比が410で、太さ及び長さが48.8μm×20mmの有機繊維4を含む4種類のコンクリート試験体No.7、No.8、No.9及びNo.10を製作した。
具体的には、コンクリート試験体No.7は、アスペクト比410の有機繊維4と、普通ポルトランドセメントと、鋼繊維6と、細骨材2と、粗骨材7と、水とを混合した中流動性のコンクリート試験体である。また、コンクリート試験体No.8は、コンクリート試験体No.7の材料に混和材・混和剤5である増粘剤を添加し、この増粘剤により高い材料不分離性を有する高流動性のコンクリート試験体である。そして、コンクリート試験体No.9は、コンクリート試験体No.7の材料に混和材・混和剤5である石灰石微粉末を添加し、この石灰石微粉末により高い材料不分離性を有する高流動性のコンクリート試験体である。また、コンクリート試験体No.10は、コンクリート試験体No.7の材料に混和材・混和剤5であるフライアッシュを添加し、このフライアッシュにより高い材料不分離性を有する高流動性のコンクリート試験体である。
図3及び図4に示すように、アスペクト比が570で、太さ及び長さが17.5μm×10mmの有機繊維4を含む4種類のコンクリート試験体No.11、No.12、No.13及びNo.14を製作した。
具体的には、コンクリート試験体No.11は、アスペクト比570の有機繊維4と、普通ポルトランドセメントと、鋼繊維6と、細骨材2と、粗骨材7と、水とを混合した中流動性のコンクリート試験体である。また、コンクリート試験体No.12は、コンクリート試験体No.11の材料に混和材・混和剤5である増粘剤を添加し、この増粘剤により高い材料不分離性を有する高流動性のコンクリート試験体である。そして、コンクリート試験体No.13は、コンクリート試験体No.11の材料に混和材・混和剤5である石灰石微粉末を添加し、この石灰石微粉末により高い材料不分離性を有する高流動性のコンクリート試験体である。また、コンクリート試験体No.14は、コンクリート試験体No.11の材料に混和材・混和剤5であるフライアッシュを添加し、このフライアッシュにより高い材料不分離性を有する高流動性のコンクリート試験体である。
図5は、各コンクリート試験体の耐火試験方法を示す概略図であり、図6は、本耐火試験における加熱方法のRABT加熱曲線を示す図である。
図5に示すように、各コンクリート試験体を耐火炉8にそれぞれ設置し、各コンクリート試験体の加熱面を加熱した。
加熱方法は、トンネル火災を想定して、図6に示すように、加熱開始後5分間で1200℃まで昇温するRABT曲線にしたがって加熱した。
図7〜図21は、耐火試験後の各コンクリート試験体の加熱面の状態を示す図であり、図22〜図36は、各コンクリート試験体の加熱面における損傷の分布状態を示すコンター図である。
図7〜図9、図22〜図24に示すように、コンクリート試験体No.1、No.2、No.3は、加熱面を含む表層部で爆裂が生じ、損傷が加熱面に広い範囲で見られた。具体的には、コンクリート試験体No.1、No.2、No.3の損傷面積率がそれぞれ21.2%、56.7%、35.9%、平均爆裂深さがそれぞれ1.0mm、5.7mm、3.4mm、最大爆裂深さがそれぞれ12.0mm、28.0mm、17.0mmであった。
図10〜図12、図25〜図27に示すように、コンクリート試験体No.4、No.8、No.11は、表層部で爆裂が生じ、損傷が加熱面に広い範囲で見られた。具体的には、コンクリート試験体No.4、No.8、No.11の損傷面積率がそれぞれ43.7%、71.4%、69.3%、平均爆裂深さがそれぞれ2.3mm、8.9mm、5.8mm、最大爆裂深さがそれぞれ20.0mm、35.0mm、21.0mmであった。
図13〜図16、図28〜図31に示すように、コンクリート試験体No.7、No.8、No.9、No.10は、表層部でわずかに爆裂が生じ、損傷が加熱面に部分的に見られた。具体的には、コンクリート試験体No.7、No.8、No.9、No.10の損傷面積率がそれぞれ8.7%、12.6%、6.1%、14.3%、平均爆裂深さがそれぞれ0.1mm、0.4mm、0.1mm、0.4mm、最大爆裂深さがそれぞれ3.0mm、7.0mm、4.0mm、8.0mmであった。
図17〜図20及び図32〜図35に示すように、わずかに爆裂が生じた結果と全く爆裂が生じなかった結果が得られた。
わずかな爆裂は、図17、図19、図32、図34に示すように、コンクリート試験体No.11、No.13に見られた。これらのコンクリート試験体No.11、No.13では、表層部でわずかに爆裂が生じ、損傷が加熱面に局部的に見られた。具体的には、コンクリート試験体No.11、No.13の損傷面積率がそれぞれ5.2%、9.5%、平均爆裂深さがそれぞれ0.1mm、0.3mm、最大爆裂深さがそれぞれ0.1mm、8.0mmであった。
一方、図18、図20、図33、図35に示すように、コンクリート試験体No.12、No.14では、ほとんど爆裂は生じず、加熱面への損傷も全くなかった。具体的には、コンクリート試験体No.12、No.14の損傷面積率がそれぞれ0%、3.5%、平均爆裂深さは共に0mm、最大爆裂深さも共に0mmであった。
アスペクト比570のコンクリート試験体No.11〜No.14のうち、コンクリート試験体No.12及びNo.14は、爆裂が全く発生していないので、増粘剤又はフライアッシュを含むことにより、爆裂を抑制できることがわかる。
図21、図36に示すように、コンクリート試験体No.15は、表層部でわずかに爆裂が生じ、損傷が加熱面に部分的に見られた。具体的には、損傷面積率が17.3%、平均爆裂深さが0.7mm、最大爆裂深さが14.0mmであった。
アスペクト比857の有機繊維4を含むコンクリート試験体No.15の損傷面積率、平均爆裂深さ及び最大爆裂深さは、アスペクト比410の有機繊維4を含むコンクリート試験体No.7〜No.10と同程度であった。
上述したすべての耐火試験結果より、アスペクト比570の有機繊維4を含むコンクリート試験体No.11〜No.14の損傷面積率、平均爆裂深さ及び最大爆裂深さが最も小さく、ほぼ爆裂が抑制されていることがわかる。
さらに、アスペクト比を570よりも大きい857にすると、コンクリート試験体の損傷面積率、平均爆裂深さ及び最大爆裂深さは、大きくなる。したがって、アスペクト比が857まで増加すると、爆裂を抑制する効果はアスペクト比570の場合よりも低くなることがわかる。
すなわち、コンクリート試験体は、アスペクト比570付近の有機繊維4を含むことにより、爆裂を効果的に抑制できることがわかる。そこで、耐火性コンクリートセグメント1に用いる有機繊維4のアスペクト比の下限をアスペクト比410と570とのほぼ中間値の500とし、また、上限をアスペクト比570と857のほぼ中間値の700として、アスペクト比500以上700以下の有機繊維4を用いることにより、爆裂を効果的に抑制することができると考えられる。
具体的には、有機繊維4の配合量がそれぞれ0.1体積%、0.2体積%のコンクリート試験体No.16、No.17を作製して耐火試験を行った。コンクリート試験体No.16、No.17を構成する材料及びそれらの配合割合を図3の下部に示している。コンクリート試験体No.16、No.17は、上記各コンクリート試験体No.1〜No.15と同様に、有機繊維4、鋼繊維6の混入率、水セメント比を同一にし、また、コンクリート3のスランプフロー値は同程度となるように作製した。
なお、有機繊維4の配合量を0.3体積%以上にするとコンクリート3の流動性が低下してコンクリート試験体の作製が困難になるので、有機繊維4の混入率をそれぞれ0.1体積%、0.2体積%とした。
なお、コンクリート試験体No.17の各材料の配合割合は、コンクリート試験体No.14とほぼ同一とした。これはコンクリート試験体No.14の耐火試験の結果得られた爆裂を抑制する効果の再現性を確認するために、再度、同一の配合割合で耐火試験を行った。
一方、図38、図40に示すように、コンクリート試験体No.17は、爆裂はほとんど生じなかったが、加熱面への損傷がわずかに見られた。具体的には、損傷面積率が2.2%、平均爆裂深さが0.0mm、最大爆裂深さが2.0mmであった。
これらの結果より、コンクリート試験体No.17の損傷面積率、平均爆裂深さ及び最大爆裂深さは、コンクリート試験体No.16のそれよりも小さい。したがって、有機繊維4を0.2体積%配合した方が爆裂を抑制できることがわかる。
さらに、フライアッシュを含むことにより、耐火性コンクリートセグメント1製作時におけるコンクリート3の材料不分離性が高くなるのでコンクリートを流動状態にしても、有機繊維4を均一に配合することができる。また、有機繊維4を均一に配合した状態で、コンクリート3の流動性を高めることができるので、ワーカビリィティが良好になり、充填作業を効率的に実施することができる。
さらに、鋼繊維6を含むことにより、耐火性コンクリートセグメント1の靭性を大きくすることができる。
なお、本実施形態においては、加熱方法として、一般的に行われているRABT曲線に基づく加熱方法を採用したが、これに限定されるものではなく、現場条件等に応じて他の加熱方法を採用しても良い。
2 細骨材
3 コンクリート
4 有機繊維
5 混和材・混和剤
6 鋼繊維
7 粗骨材
8 耐火炉
Claims (7)
- トンネルの内周に設置される耐火性コンクリートセグメントであって、
所定の温度で気化する性質を有するとともに、紐状で、長さと太さの比であるアスペクト比が500以上700以下の有機繊維を含むことを特徴とする耐火性コンクリートセグメント。 - 前記有機繊維の太さは、17.5μm以下であることを特徴とする請求項1に記載の耐火性コンクリートセグメント。
- 前記有機繊維の配合割合は、0.2体積%であることを特徴とする請求項1又は2に記載の耐火性コンクリートセグメント。
- 前記有機繊維は、ポリプロピレン繊維であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の耐火性コンクリートセグメント。
- コンクリートの材料不分離性を高めるための混和材又は混和剤を更に含むことを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の耐火性コンクリートセグメント。
- 前記混和材又は前記混和剤は、粉末状のフライアッシュ又は増粘剤であることを特徴とする請求項5に記載の耐火性コンクリートセグメント。
- 鋼繊維を更に含むことを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の耐火性コンクリートセグメント。
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