JP2003146721A - 耐爆裂性高強度セメント質硬化体およびその製造方法 - Google Patents
耐爆裂性高強度セメント質硬化体およびその製造方法Info
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Abstract
ント質硬化体について、火災熱による爆裂性を改良(爆
裂防止)することにあり、もって火災に対する安全性を
向上させること。 【解決手段】 圧縮強度が105MPaを超える高強度
セメント質硬化体を製造する配合物(有機質繊維を含ま
ない場合が好ましい)に、長さが異なる有機質繊維
(例;長さが5mm未満のもの、および、5〜30mm
のもの0.1〜20:1(体積比)に組合せた合成繊
維、直径はいずれも0.04〜0.4mm)を0.5〜
10体積%添加したのち、混練し成形し硬化させた耐爆
裂性高強度セメント質硬化体およびその製造方法。
Description
メント質硬化体及びその製造方法に関し、特に、火災時
において高強度セメント質硬化体に生じる爆裂を改良し
た耐爆裂性高強度セメント質硬化体およびその製造方法
に関する。
度が著しく改良された高強度セメント質硬化体が開発さ
れ、様々な構造物への適用が期待されている。しかしな
がら、その高強度セメント質硬化体が緻密質であるため
に、その周辺で火災が発生し高熱状態になり、該硬化体
内部の水が水蒸気に変化し体積を膨張させても、外部へ
飛散できず蓄積されて膨張圧が高まり、ついには爆裂を
起こし該硬化体自体を部分的・全体的に破壊する、とい
う現象が生じる。このように、高強度セメント質硬化体
は、高強度を具備する一方で、火災安全性に対する信頼
性が低い、という問題点を有していた。
爆裂防止手段として、以下のような技術が知られてい
る。特許第2620910号公報には、圧縮強度105
N/mm2のコンクリ−ト製プレハブ部材について、火
災曝露したときに、150〜300℃の温度で軟化、収
縮、溶融、または分解して毛細管孔を形成できる材料と
して、直径0.003〜0.35mm、長さ5〜35m
mの有機繊維(例;ポリプロピレン繊維)をコンクリ−
ト1m3について0.05〜1容量%含有させることに
より、耐 スポ−リング性が改良される旨、が記載され
ている。
時に発生する爆裂を正確に制御する方法として、水セメ
ント比および合成繊維(爆裂防止用材料)の混入量を制
御因子とし、まず前者で調整し、それで不十分な場合に
後者を原材料に添加して調整する方法があり、該合成繊
維(例;ポリエチレン、ビニロン)として、長さ5〜5
0mm、太さ10〜100μmのものを用いることが知
られている(特開平11−1973号公報)。
10号公報に開示された技術は、圧縮強度が比較的低い
105N/mm2以下のセメント質硬化体を対象とし
て、その原材料に有機繊維を混入することにより、該硬
化体の耐スポ−リング性を改良する点にある。しかし、
この方法では、105MPa以上の高強度を期待して設
計された原材料に該有機繊維を添加し製造された硬化体
は、緻密過ぎて火災熱による毛細管孔の形成が不十分な
ために爆裂するという、という問題点を有していた(後
記表4の比較例1および比較例4参照)。
強度セメント質硬化体を製造する場合、水セメント比は
配合設計時に決められ自由に変更できないので、前記特
開平11−1973号公報に開示される方法を高強度セ
メント質硬化体の爆裂防止手段として採用できない。
原材料に有機質繊維を配合する目的は、コンクリ−ト・
モルタルの引張強度、曲げ強度などの向上を図ったもの
であり、圧縮強度は該有機質繊維を配合しなかった場合
に比して低下する傾向にあることから、コンクリ−ト・
モルタルの用途に応じて、いずれの特性を重視するかに
よって有機質繊維の配合の適否が決められている。
鑑みなされたものであって、その目的は、圧縮強度が1
05MPaを超える高強度セメント質硬化体について、
・火災熱による爆裂性を改良(爆裂防止)することにあ
り、もって火災に対する安全性を向上させた耐爆裂性高
強度セメント質硬化体およびその製造方法を提供するこ
とにある。
を達成するために鋭意研究した結果、長さでもって群分
けされ組合せた有機質繊維を特定量添加することによ
り、硬化体の圧縮強度の低下が見られるが、耐爆裂性に
顕著な効果を発揮する、との知見を得て本発明に到達し
たものである。
ト質硬化体)は、 「・圧縮強度が105MPaを超える高強度セメント質
硬化体を製造する配合物に、 ・長さが異なる有機質繊維を0.5〜10体積%添加し
たのち、 ・混練し成形し硬化させたものであること」(請求項
1)を要旨とする。
硬化体の製造方法)は、 「・圧縮強度が105MPaを超える高強度セメント質
硬化体を製造する配合物に、 ・長さが異なる有機質繊維を0.5〜10体積%添加し
たのち、 ・混練し成形し硬化させること」(請求項2)をも要旨
とする。
の製造方法の発明は、 ・有機質繊維が長さ5mm未満のもの、及び、5〜30
mmのもので構成され、かつ、それらの割合(体積比)
が0.1〜20:1であること(請求項3) ・有機質繊維が直径0.04〜0.4mmであること
(請求項4)、および ・有機質繊維がビニロン繊維、ポリプロピレン繊維、ポ
リエチレン繊維、アラミド繊維から選ばれる1種または
2種以上からなること(請求項5) を特徴とする。
本発明の耐爆裂性高強度セメント質硬化体は、大まかに
言えば、圧縮強度が105MPa、特に110MPaを
超えるような高強度セメント質硬化体を製造するために
予め配合設計された原材料の配合物に、長さでもって群
分けし組み合わせた有機質繊維を特定量添加して製造さ
れた硬化体であって、有機質繊維の添加による圧縮強度
のある程度の低下を認めつつ、耐爆裂性を改良させた硬
化体である。耐爆裂性高強度セメント質硬化体は、その
用途にもよるが圧縮強度が90MPa以上発現するもの
が望ましい。
が異なる有機質繊維を均一に分散されているために、火
災熱によって硬化体内部に容易に毛細管孔が形成され、
逐次発生する水蒸気を誘導・飛散させ膨張圧を上昇させ
ず、また、硬化体に不規則な熱応力を生じさせないの
で、爆裂,表層剥離,スポ−リングなどが発生すること
がない。
維を適当な長さで群分け(グル−プ分け)することを意
味する。そして、有機質繊維は、一つの群内の長さ範囲
は特に限定しないが、異なる長さの群が組み合わされて
構成されていることが重要である。群分けは、硬化体の
大きさによって一概に決めることはできないが、例え
ば、1.0〜3.0mmの群、6.0〜10.0mmの
群、15.0〜20.0mmの群というようにである。
維の入手のし易さ、混練時におけるファイバ−ボ−ルの
形成の防止、製造時の作業性(例;成形時における打設
の難易)、爆裂性の改良などの観点から、繊維長さが
5mm未満の群、および5〜30mmの群である。前
者で好ましい長さは0.5〜4.0mm、より好ましい
のは1.0〜3.0mmのものであり、後者で好ましい
長さは5.5〜20mm、より好ましいのは6.0〜1
0.0mmのものである。
・用途などによって一概に決められないが、4〜5cm
である。
0℃以下の温度)を受けて分解、溶融などにより硬化体
中の水蒸気が容易に流動できる大きさの毛細管孔を形成
させることのできる繊維である。そのような繊維として
天然繊維、合成繊維いずれも使用でき、好ましくは合成
繊維である。合成繊維は、具体的に、ビニロン繊維、ポ
リプロピレン繊維、ポリエチレン繊維、アラミド繊維な
どが挙げられる。また、有機質繊維は、2種以上の混合
繊維であっても良く、爆裂防止効果の点から、ビニロン
繊維および/またはポリプロピレン繊維が好ましい。
硬化体を製造するための配合物に0.5〜10体積%添
加することが重要である(後記表1〜3参照)。添加量
が0.5体積%未満の場合、爆裂防止効果が低下するの
で、逆に、10体積%を超えた場合、硬化体の圧縮強度
が極端に低下するので、いずれの場合も好ましくない。
製造時の作業性、コストなどの観点から、好ましい添加
量は1.0〜9.0体積%、より好ましいのは1.0体
積%を超え8.0体積%以下、さらに好ましいのは1.
0体積%を超え6.0体積%以下である。
裂性高強度セメント質硬化体の製造時の作業性などの観
点から、0.04〜0.4mmの範囲のものが好まし
い。より好ましいのは、有機質繊維の長さに応じて直径
を変更することである。例えば、前記した長さが5m
m未満の群、および5〜30mmの群を組み合わせた
場合、前者の直径は0.1〜0.2mm、後者のそれは
0.04〜0.05mmのものを用いるのが好ましい。
(体積比)は、適宜決めることができる。前述した長さ
が5mm未満のもの(群)、および5〜30mmの
もの(群)の組合せの場合、その割合(体積比)は0.
1〜20:1が好ましく、1〜10:1がより好まし
く、1.5〜8:1がさらに好ましい。
明する。本発明が耐爆裂性改良の対象とする高強度セメ
ント質硬化体は、その圧縮強度が105MPa、望まし
くは110MPaを超えるものであり、その硬化体の製
造に使用される原材料について、特に限定するものでは
ない。
合物に行なうことができる。 前者の配合物が好ましい。後者の配合物は、例えば、特
定の長さ範囲に整合された一群のみで構成され、かつ、
その割合が0.5〜10体積%未満含まれている配合
物、複数の群で構成され、0.5体積%未満含まれてい
る配合物などであるが、それら有機質繊維が含まれてい
る配合物への添加は、長さが異なる群の有機質繊維を規
定の範囲内で添加することができる。
るために用いる原材料(有機質繊維を除く)、および配
合・混練・成形・養生の各方法は、従来の高強度セメン
ト質硬化体を製造する場合と同じであり、それらについ
て限定するものではない。
発明を実施例に基づいて説明する。 1.使用材料 使用した材料は、次のとおりである。 1)セメント;普通ポルトランドセメント(太平洋セメント(株)製) 低熱ポルトランドセメント(太平洋セメント(株)製) 2)シリカフュ−ム 3)骨材;細骨材(珪砂5号) 粗骨材(砕石2005) 4)金属繊維;鋼繊維(長さ15mm、直径0.2mm) 5)高性能AE減水剤;ポリカルボン酸系 6)水;水道水 7)石英粉(平均粒径7μm) 8)高炉スラグ粉(平均粒径8μm) 9)有機質繊維;長さ1.0〜3.0mmのビニロン繊維(直径0.1mm) 長さ6.0mmのビニロン繊維(直径0.04mm) 長さ15.0mmのビニロン繊維(直径0.04mm)
(配合番号No.1〜No.22)を二軸練りミキサ−
に投入し混練して、モルタルおよびコンクリ−トの各混
練物を製造した。なお、表中、No.1〜18はモルタ
ル混練物、No.19〜22はコンクリ−ト混練物であ
る。
て、下記の特性を測定し、結果を表4に列記した。 1)モルタル(No.1〜18) ・フロ−値:JIS R 5201「セメントの物理試
験方法、11.フロ−試験」に規定された方法に準じて
測定した(ただし、15回行うべき落下運動について
は、操作しなかった)。 ・圧縮強度:有機質繊維を添加した場合および無添加の
場合のそれぞれのモルタル混練物をφ50×100mm
の型枠に流し込み、20℃で48時間前置き後、90℃
で48時間蒸気養生し、得た各硬化体の圧縮強度(3本
の平均値)を測定した。 ・爆裂:全てのモルタル混練物をφ50×100mmの
型枠に流し込み、20℃で48時間前置き後、90℃で
48時間蒸気養生して得た硬化体を電気炉(30kW)
に挿入し1時間で1000℃まで昇温させ冷却させたの
ち、爆裂の有無を観察した。
ランプ試験方法」に準じて測定した。 ・圧縮強度:有機質繊維を添加した場合及び無添加の場
合のそれぞれのコンクリ−ト混練物をφ10×20cm
の型枠に流し込み、20℃で48時間前置き後、90℃
で48時間蒸気養生し、得た各硬化体の圧縮強度(3本
の平均値)を測定した。 ・爆裂:全てのコンクリ−ト混練物をφ10×20cm
の型枠に流し込み、20℃で48時間前置き後、90℃
で48時間蒸気養生して得た硬化体を電気炉(30k
W)に挿入し1時間で1000℃まで昇温させ冷却させ
たのち、爆裂の有無を観察した。
える高強度セメント質硬化体製造用原材料に、長さが異
なる有機質繊維を組合せて規定量添加し製造したモルタ
ル・コンクリ−ト硬化体は、爆裂の形跡が観察されず、
目的を達成できることが判明した。
維が無添加の場合および長さが1種類の有機質繊維を
0.3体積%添加した場合のモルタル・コンクリ−ト硬
化体は、爆裂が認められた。また、比較例2から、有機
質繊維の添加量が過多の場合は、爆裂は起こらなかった
ものの、混練物の流動性および圧縮強度とが急激に低下
し、好ましい配合でないことが確認された。
高強度セメント質硬化体は、高強度セメント質硬化体製
造用原材料の配合物に、長さが異なる有機質繊維を組み
合わせ該繊維全量が0.5〜10体積%(外割)になる
ように添加し、含有させた硬化体およびその製造方法を
特徴とし、これにより、高強度セメント質硬化体の圧縮
強度の低下の許容できる範囲において、高強度セメント
質硬化体の耐爆裂性の向上(爆裂防止)という効果を奏
し、もって、火災に対する安全性の実を上げることがで
きる。
Claims (5)
- 【請求項1】 圧縮強度が105MPaを超える高強度
セメント質硬化体を製造する配合物に、 ・長さが異なる有機質繊維を0.5〜10体積%添加し
たのち、 ・混練し成形し硬化させたものであることを特徴とする
耐爆裂性高強度セメント質硬化体。 - 【請求項2】 圧縮強度が105MPaを超える高強度
セメント質硬化体を製造する配合物に、 ・長さが異なる有機質繊維を0.5〜10体積%添加し
たのち、 ・混練し成形し硬化させることを特徴とする耐爆裂性高
強度セメント質硬化体の製造方法。 - 【請求項3】 前記有機質繊維が ・長さ5mm未満のもの、および、5〜30mmのもの
で構成され、かつ、 ・それらの割合(体積比)が0.1〜20:1であるこ
とを特徴とする請求項2記載の耐爆裂性高強度セメント
質硬化体の製造方法。 - 【請求項4】 前記有機質繊維が ・直径0.04〜0.4mmであること を特徴とする請求項2または請求項3に記載の耐爆裂性
高強度セメント質硬化体の製造方法。 - 【請求項5】 前記有機質繊維が ・ビニロン繊維、ポリプロピレン繊維、ポリエチレン繊
維、アラミド繊維から選ばれる1種または2種以上から
なることを特徴とする請求項2〜4のいずれかに記載の
耐爆裂性高強度セメント質硬化体の製造方法。
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JP2003089561A (ja) * | 2001-09-14 | 2003-03-28 | Taiheiyo Cement Corp | 耐爆裂性高強度セメント質硬化体の製造方法 |
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CN107746219A (zh) * | 2017-09-20 | 2018-03-02 | 广州大学 | 抗爆炸抗高温混凝土及其制备方法 |
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2001
- 2001-09-10 JP JP2001273504A patent/JP3549507B2/ja not_active Expired - Lifetime
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