JP2009138169A - 紫外線硬化型接着剤組成物 - Google Patents

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Abstract

【課題】精密ガラス加工分野において、理想的な仮止め剤として低毒性で短時間硬化に正確な位置決めで硝子と基盤を接着できる紫外線硬化型接着剤組成物において、加工後必要に応じて水に浸漬することにより短時間で硝子面に残ることなく剥がし取ることを可能とする処方を提供する。
【解決手段】本発明の仮止め剤としての紫外線硬化型接着剤組成物としては、紫外線によりラジカルを発生する紫外線開始剤と、1分子あたり8モル以上のエトキシ化された構造を有する2官能以上のアクリルまたはメタアクリレートの単量体であり、特に1分子あたり10モル以上、20モル以下のエトキシ化された構造を有する2官能のアクリルまたはメタアクリレートの単量体を必須成分として、全体の50重量%以上を添加しておくことで有効な性能を発揮する。
【選択図】なし

Description

本発明は、精密ガラス加工分野において、加工時に基材に固定し作業を容易ならしめ、必要時に剥がし取る事を可能とする紫外線硬化型接着剤に関する。
従来の精密ガラス加工分野において、加工時に基材に固定し作業を容易ならしめ、必要時に剥がし取る事を可能とすることを目的とする接着剤としては、一般にバルサムと呼ばれる松科の樹木から採取した樹脂やその類似のワックスや合成樹脂成分を溶剤に溶かしたものを塗布して適度に乾燥後に圧着して固着し、加工作業を実施した後に150℃前後まで加熱して剥がし取るホットメルトタイプのものが用いられて来た。
機能としては、ガラスを基材にしっかりと素早く固定出来て切削などの加工中は摩擦熱での温度上昇を抑える為に水などで冷却することも多いので適度な耐水性と、必要に容易に剥がせるということで一般に仮止め剤と呼ばれている。
近年に到って、引火性や作業員の健康の為に溶剤が嫌われたり、接着に時間を要するのが生産性で問題になったり、位置決め精度の甘さや、付着力が弱いのが精密加工の精度の問題になったり、加熱して剥がし取るのが火傷の危険性や加工硝子への熱歪みをもたらすこと、また硝子表面からワックスなどが除去し難いことなどから、特に精密加工分野において、これらの問題を解決できる画期的な仮止め剤への要望が高まっている。
上記の機能の改善としては、シリコンウエハーの加工分野では粘着剤として精密加工に使用した後に、紫外線照射によって粘着剤中で架橋を促進することで柔軟性を失わせることで付着力を低下させることにより加熱なしに剥がし取ることを可能にすることも行われている。また紫外線硬化型接着剤として接着し加工後に、温水によって付着力を失わせ剥がし取る工夫の提案も出て来ている。
特願2005−199585号公報
本発明は、精密ガラス加工分野において、加工時に基材に正確に強固に固定出来て精密加工作業を容易ならしめ、必要時に加工品に過度な熱や歪みを与えることなく短時間に剥がし取る事を可能とする紫外線硬化型接着剤に関するものであり、無溶剤で無臭で低皮膚刺激であり、短時間に硝子を強力に貼り合わせる手段と、必要時に短時間に硝子面に残ることなく特別な排水処理が不要な固体として剥がし取ることが可能な仮止め剤を提供することを目的とするものである。
本発明は、紫外線によりラジカルを発生する紫外線開始剤と、1分子あたり8モル以上のエトキシ化された構造を有する2官能以上のアクリルまたはメタアクリレートの単量体を必須成分として50重量%以上を添加された仮止め剤用途の紫外線硬化型接着剤組成物である。
本発明者らは、紫外線硬化型接着剤で使用する単量体の構造に起因する硬化体物性の知見を利用することにより、精密ガラス加工分野において、上記の紫外線硬化型接着剤組成物において、理想的な仮止め剤としての低毒性で短時間硬化に正確な位置決めで硝子と基盤を接着し、加工後必要に応じて水に浸漬することにより短時間で硝子面に残ることなく剥がし取ることと洗浄を同時に実施する事を可能とした。
本発明は精密ガラス加工分野において、仮止め剤として使用される紫外線硬化型接着剤組成物である。必須成分である紫外線によりラジカルを発生する紫外線開始剤としてはケミカルランプ、高圧水銀灯、LEDの紫外線照射装置などに応じたものならば良く、イルガキュア184(チバ・ジャパン社製)を使用した。
必須成分である分子構造中に低皮膚刺激性と剥離容易性を与える1分子あたり8モル以上のエトキシ化された構造を有する2官能以上のアクリルまたはメタアクリレートの単量体としては、低皮膚刺激性モノマーとして市販品で多品種の入手が可能である。エトキシ化(20)、(15)、(9)のトリメチロールプロパントリアクリレート、エトキシ化(30)、(10)、(8)などのビスフェノールAジメタアクリレート及びジアクリレート、分子量1000、600、400などのポリエチレングリコールのジメタアクリレート及びジアクリレートなどがある。
これらの単量体100重量部に紫外線開始剤1重量部を加えてケミカルランプからの紫外線により硬化させたものを水に浸漬すると、強固な硬化体が経時的にバラバラに崩壊する。水分を含み易く膨潤しようとする3個以上のエトキシ化された構造に対し架橋密度が高くなる2官能以上の単量体によって拘束された硬化体の構造がその動きを妨げる結果の特徴のある現象と推測される。
幅15mm、長さ35mm、厚さ5mmの2枚のフロート硝子を直交する様に貼り合わせた試験体の接着力を捻り方向のトルクで判断するがデジタルトルクメーター2TME180(トーニチ社製)で50kg・cm以上あれば仮止め剤の接着力としては十分である。この試験体を水に浸漬すると水温での差はあるが浸漬後数分から1時間で自然に剥がれる。接着面積が100cm平方以上の試験体を剥がす必要がある場合は、剥離の補助として硝子と有機物硬化体である仮止め剤の熱線膨張率の差を利用した力を追加するべく60℃の温水に5分間程度で浸漬した後ただちに冷水に浸漬すると、硝子を破損することなく容易に剥離することが可能である。なおこの温度差を実施するにおいて水を介さない乾燥状態で行っても剥離には至らない。
本発明においては単量体の粘度上昇を伴わず皮膚刺激性を低減し揮発性を低減し無臭とするのに一般的手法として実施されているアルキレンオキサイド変性が有効であり、むしろ短所とされる耐水性の低下を逆転の発想で利用したものである。プロポキシ化は耐水性の低下が少ないのでエトキシ化より水浸漬での剥がれ効果が低く硝子面に付着して残り易い。また、8個以上のエトキシ化された構造を持つ単量体でも単官能の硬化物は、水に浸漬で膨潤しても流れる為に硝子面に残り易く、温水から冷水に移しても流動する為に応力が掛からず取れにくい。この効果は特に1分子あたり10モル以上のエトキシ化された構造を有する2官能のアクリルまたはメタアクリレートの単量体において顕著であるが、20モルより多くなると、エトキシ構造による結晶性で常温で固体であったり、ガラス転移温度が常温以下で仮止材としては柔軟に過ぎ、水溶性が顕著でガラス加工中の水冷却に支障がある。
他の一般の単量体では水や温水に浸漬しても、ガラス転移温度の低い単官能の単量体では内部流動して剥がれ難く、ガラス転移温度の高い単官能の単量体や多官能の単量体では硝子が破断する程の力が働くので採用できない。ヒドロキシエチルアクリレートやアクリル酸などの単量体自身や硬化体が水溶性の単官能の単量体は一般に皮膚刺激性が高いので採用できない。
実施例と比較例
実施例と比較例に利用する仮止め剤では、先のトルク接着力測定用の試験体をケミカルランプで360mj/cm2の紫外線照射で貼り合せたものを測定しトルク強度が150kg・cm以上を◎、150〜100kg・cmを○、100〜50kg・cmを○〜△、50〜30kg・cmを△、30kg・cm以下を×の5段階で評価して表1に記載した。同じ試験体を20℃の水に浸漬して30分以内に剥がれたものを◎、30分〜2時間以内に剥がれたものを○、6〜12時間以内に剥がれたものを○〜△、12〜24時間以内に剥がれたものを△、24時間でも剥がれないものを×の5段階で評価して表1に記載した。同様に幅10cm、長さ10cm、厚さ5mmのフロート硝子を貼り合わせた後に60℃の温水に5分間浸漬して、直ちに20℃の水に浸漬して剥がれるかを検討した。剥がれなければ繰り返し、接着面を水洗いし硝子面に接着剤が残ってないかも評価した。1回目で20℃の水に浸漬後10分以内に剥離し接着剤残りのないものを◎、1回目で20℃の水に浸漬後10〜30分以内に剥離し接着剤残りのないものを○、30分以内に剥離するものを○〜△、2回目で30分以内に剥離するものを△、2回目で30分以内に剥離しないものや硝子に割れが生じたものを×の5段階で評価して表1に記載した。
(実施例1)
エトキシ化(20)トリメチロールプロパントリアクリレート100重量部に対し、紫外線開始剤を1重量部加えたもの。
(実施例2)
エトキシ化(15)トリメチロールプロパントリアクリレート100重量部に対し、紫外線開始剤を1重量部加えたもの。
(実施例3)
分子量600のポリエチレングリコールのジアクリレート100重量部に対し、紫外線開始剤を1重量部加えたもの。
(実施例4)
分子量400のポリエチレングリコールのジメタアクリレート100重量部に対し、紫外線開始剤を1重量部加えたもの。
(実施例5)
エトキシ化(10)ビスフェノールAジメタアクリレート100重量部に対し、紫外線開始剤を1重量部加えたもの。
(実施例6)
エトキシ化(15)トリメチロールプロパントリアクリレート70重量部と2エチルヘキシルメタクリレート30重量部に対し、紫外線開始剤を1重量部加えたもの。
(比較例1)
2エチルヘキシルメタクリレート100重量部に対し、紫外線開始剤を1重量部加えたもの。
(比較例2)
トリメチロールプロパントリアクリレート100重量部に対し、紫外線開始剤を1重量部加えたもの。
(比較例3)
メトキシポリエチレングリコール(350)モノアクリレート100重量部に対し、紫外線開始剤を1重量部加えたもの。
(比較例4)
エトキシ化(15)トリメチロールプロパントリアクリレート30重量部と2エチルヘキシルメタクリレート70重量部に対し、紫外線開始剤を1重量部加えたもの。
(比較例5)
トリプロピレングリコールジアクリレート100重量部に対し、紫外線開始剤を1重量部加えたもの。
Figure 2009138169
発明の効果
表1に実施例1〜6と比較例1〜5の結果を示す。
比較例1、2、4、5については 浸漬だけでは剥離しないし、温冷浸漬では硝子の割れが生じる。比較例3では温冷浸漬での剥がれ面に膨潤した液状の硬化物が付着する。
比較例に対し実施例1〜6は 効果の差はあるが、使用目的に応じた性能での採用が可能であり、いずれも本来の目的を達している事が判る。

Claims (2)

  1. 紫外線によりラジカルを発生する紫外線開始剤と、1分子あたり8モル以上のエトキシ化された構造を有する2官能以上のアクリルまたはメタアクリレートの単量体を必須成分として50重量%以上を添加された仮止め剤用途の紫外線硬化型接着剤。
  2. 該1分子あたり8モル以上のエトキシ化された構造を有する2官能以上のアクリルまたはメタアクリレートの単量体が1分子あたり10モル以上、20モル以下のエトキシ化された構造を有する2官能のアクリルまたはメタアクリレートの単量体を必須成分として50重量%以上を添加された仮止め剤用途の紫外線硬化型接着剤。
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