JP2009138027A - 粘着剤層の製造方法、粘着シート、クリーニングシート、クリーニング機能付き搬送部材およびクリーニング方法 - Google Patents

粘着剤層の製造方法、粘着シート、クリーニングシート、クリーニング機能付き搬送部材およびクリーニング方法 Download PDF

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Abstract

【課題】基板処理装置内の搬送性および装置内に付着している異物の除去性の両者に優れている、クリーニングシートに好適な粘着剤層およびその製造方法を提供すること。
【解決手段】放射線硬化性または熱硬化性のアクリル系粘着剤を硬化させて粘着剤層を形成する工程を有する粘着剤層を製造する方法であって、前記粘着剤層の表面に、連続な凸部を有する転写用型を転写することにより、連続な凹部を形成する工程を有し、前記粘着剤層の引張り弾性率が、1MPa〜30MPaであること特徴とする粘着剤層の製造方法。
【選択図】図1

Description

本発明は、連続な凸部を有する転写用型を転写することにより凹部を有する粘着剤層の製造方法、前記製造方法により得られる粘着剤層を有する粘着シート、前記粘着シートを用いたクリーニングシート、さらにはクリーニングシートを用いたクリーニング機能付き搬送部材、これらを用いた基板処理装置のクリーニング方法に関する。
本発明の粘着剤層の製造方法により得られる粘着剤層を用いた粘着シートは、各種用途において使用できるが、前記の表面に凹部を有する粘着剤層は、その表面粘着性と異物捕集性を制御できることから、各種基板装置自体には付着しないが異物捕集性を有するシート、具体的には各種の基板処理装置をクリーニングするシートとして有用である。例えば、本発明のクリーニングシートは、半導体、フラットパネルディスプレイ、プリント基板などの製造装置や検査装置などの、異物を嫌う基板処理装置のクリーニングシート等として有用である。
半導体、フラットパネルディスプレイ、プリント基板などの製造装置や、各種基板処理装置は、各搬送系と基板とを物理的に接触させながら搬送する。その際、基板や搬送系に異物が付着していると、後続の基板を次々に汚染することになる。そのため定期的に装置を停止させ、異物除去のための洗浄処理をする必要があった。このため、稼働率低下や多大な労力が必要になるという問題があった。また洗浄時に人が介することで、ほかの部位への異物の付着の問題も生じることがあった。これらの問題を解決するため、粘着状物を固着した基板を搬送することにより基板処理装置内の付着した異物をクリーニング除去する方法(特許文献1)や、板状部材を搬送することにより基板裏面に付着する異物を除去する方法(特許文献2)が提案されている。
特許文献1に記載の方法は、前述の課題を克服する有効な方法である。しかし、この方法では粘着性物質と装置接触部とが強く接着しすぎて剥れないおそれがあり、基板を確実に搬送できなかったり、搬送装置を破損させたりするおそれがあった。また、基板搬送装置に付着した粘着性の物質が基板を汚染するおそれも生じる。
また、特許文献2に記載の方法は、搬送は問題なくできるが、肝心の除塵性に劣るという問題がある。またこれら粘着性の物質を固着した基板は、使用までにその粘着性物質表面を、一般にシリコーンなどの離型剤を塗布した剥離フィルムで保護するのが一般的である。しかし、この方法では、離型剤成分がクリーニング層表面に転移し、さらに該転移離型剤成分が搬送装置の基板接触部を汚染させる問題がある。
また、粘着剤層の表面に編み物等のポーラスクリーン層が設けられたクリーニングテープ(特許文献3)、多孔質の非粘着性の層をクリーニング層とするクリーニングシート(特許文献4,特許文献5)が提案されている。しかし、これらのクリーニングシートは、基板処理装置内での搬送性と、装置内に付着している異物の除去性をある程度は満足するものの、十分に満足しているとはいえない。
特開平10−154686号公報 特開平11−87458号公報 特開平11−232621号公報 特開2002−329699号公報 特開2003−115521号公報
本発明は、このような事情に照らし、基板処理装置内の搬送性および装置内に付着している異物の除去性の両者に優れている、クリーニングシートに好適な粘着剤層の製造方法を提供することを目的とする。
また本発明は、前記粘着剤層を有する粘着シートを提供すること、前記粘着シートを用いたクリーニングシートを提供すること、さらにはクリーニングシートを用いたクリーニング機能付き搬送部材を提供すること、さらにはこれらを用いた基板処理装置のクリーニング方法を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記の目的を達成するために、鋭意検討した結果、下記に示す粘着剤層の製造方法により得られる粘着剤層を、基板処理装置内の付着した異物をクリーニング除去するにあたり、クリーニング層として使用することにより、前記搬送性の問題を生じることなく、さらに異物を簡便かつ確実に剥離除去できることを見出し、本発明を完成するに至った。また、粘着剤層(クリーニング層)表面に凹部を形成するため、特定の転写用型を使用することにより、安定した凹部構造を形成できることを見出した。
すなわち本発明は、放射線硬化性または熱硬化性のアクリル系粘着剤を硬化させて粘着剤層を形成する工程を有する粘着剤層を製造する方法であって、
前記粘着剤層の表面に、連続な凸部を有する転写用型を転写することにより、連続な凹部を形成する工程を有し、
前記粘着剤層の引張り弾性率が、1MPa〜30MPaであること特徴とする。
本発明における粘着剤層の製造方法は前記転写用型の表面が、連続な凸部を有する細密構造であり、
前記転写用型の表面の全投影面積に対する、前記凸部の投影面積の割合が、60〜79%であり、かつ、
前記凸部の形状が略円形であり、前記凸部の平均直径が、1〜12μmであり、
前記凸部のアスペクト比(高さ/直径)が、0.4〜0.6であることが好ましい。
本発明における粘着剤層の製造方法は、前記アクリル系粘着剤を溶剤と混合して、粘着剤組成物を、調製する工程(1)と、
前記粘着剤組成物を基材上に塗布して、粘着剤組成物層を形成する工程(2)と、
前記粘着剤組成物層に放射線照射または加熱して、前記アクリル系粘着剤を硬化させて粘着剤層前駆体を形成する工程(3)と、
前記粘着剤層前駆体に、転写用型を転写して、凹部を有する粘着剤層を形成する工程(4)と、を有することが好ましい。
本発明における粘着剤層の製造方法は、前記工程(4)において、粘着剤層前駆体に、転写用型を転写して、平面状の表面を有する粘着剤層に凹部を形成し、
前記転写される面積が60%以上であることが好ましい。
本発明における粘着シートは、前記粘着剤層の製造方法により得られる粘着剤層が、その凹部が表面になるように、支持体の少なくとも片面に設けられていることが好ましい。
本発明におけるクリーニングシートは、前記粘着剤層の製造方法により得られる粘着剤層が、その凹部が表面になるように、支持体の少なくとも片面にクリーニング層として設けられていることが好ましい。
本発明におけるクリーニングシートは、前記粘着剤層の製造方法により得られる粘着剤層が、その凹部が表面になるように、支持体の片面にクリーニング層として設けられており、他の片面には、固定用の粘着剤層を有することが好ましい。
本発明におけるクリーニング機能付き搬送部材は、前記クリーニングシートが、固定用の粘着剤層を介して搬送部材に設けられていることが好ましい。
本発明の基板処理装置のクリーニング方法は、前記クリーニングシートまたはクリーニング機能付き搬送部材を、基板処理装置内に搬送することを特徴とする。
上記本発明の粘着剤層(クリーニング層を含む)は、表面に連続な凹部を有することから、その接着力は、表面に凹部を有しない平滑構造の粘着剤層に比べて低い接着力を有する。当該粘着剤層は、表面の凹部の大きさ、転写用型表面の全投影面積に対する凸部の投影面積の割合を設計することにより、表面の粘着性を制御できるとともに、各種サイズの異物に対する異物捕集性も制御することができる。すなわち、当該粘着剤層はμmオーダーの微細な凹部を有し、その表面は実質的に平坦であるため、異物と密に接触し、一方、当該粘着剤層は凹部を有するため、異物との接触面積が増大し、異物全部あるいはその一部が凹部に入り込むことで、確実に異物を捕集できるという効果も期待できる。
また、本発明における粘着剤層は、引っ張り弾性率が、1MPa〜30MPaであり、柔らかい粘着剤で形成されているため、各種サイズの異物と接触し、捕集することができ、異物を落下させることなく、確実に異物を捕集・除去できるという効果を期待できる。
かかる粘着剤層をクリーニング層として有するクリーニングシート、また当該クリーニングシートを用いたクリーニング機能付き搬送部材によれば、クリーニング層の接着力が実質的に平滑面を有する粘着剤層よりも低いため、クリーニングシートまたは搬送部材を搬送する際に、装置接触部と強く接着することがなく、再剥離が容易であり、また適度な接着力を有するため、基板処理装置内を確実に搬送できるとともに、装置内に付着しているμmオーダーの微細な異物を捕集して、異物を落下させることなく、簡便かつ確実に除去することができる。
かかる粘着剤層は、放射線硬化性または熱硬化性のアクリル系粘着剤により形成することができ、その製法としては、例えば、前記工程(1)〜(4)を施すことにより行うことができる。なお、μmオーダーの微細な表面に凹凸構造を形成する方法としては、転写法、相分離現象の利用、インクジェット技術、レーザー加工などがあげられる。例えば、相分離現象を用いて凹凸構造を形成する方法としては、特開2007−2225号公報に記載がある。また、特開2004−151642号公報には透明基材上に、インクジェット方式により微細な凹凸構造を形成する防眩性付与組成物を含有するインク液滴を出射して、該基材表面に微細凹凸構造を有する防眩層を連続的に形成することを特徴とする防眩層の形成方法について記載がある。
しかしながら、上記方法により得られる構造は、突起状を有するものであり、凹構造を形成しているものではない。またこれらは粘着剤層を形成するものでもない。これらはいずれも突起状構造を形成しているため、接着力が大幅に低くなり、仮に粘着剤層の形成に利用したとしても、異物捕集性を確保することはできない。
なお、本発明における粘着剤層表面に凹構造を形成する方法としては、転写法を使用している。本発明における転写法では、非常に緻密に設計された突起状の転写用型にアクリル系の粘着剤層前駆体を接触させることにより、前記粘着剤層前駆体表面に、凹部を形成することができ、低弾性率の粘着剤層(クリーニング層)であっても、被接触面(被クリーニング面)との接触面積が小さくなるため、例えば、前記クリーニング層を有するクリーニング機能付き搬送部材を、基板処理装置内に搬送した場合であっても、装置内への付着を防止でき、凹部構造が非常に小さいため、小さな異物であっても、効率よく除去することができる。
以下に本発明の粘着剤層を、図面を参照しながら説明する。図1は、本発明の粘着剤層の斜視図であり、図2は断面図である。図1、図2に示すように、本発明の粘着剤層1は、その表面Sが平面状であり、当該表面Sに連続な凹部aを有する。表面Sが平面状とは、粘着剤層1の厚さ(H)が略等しいこと(最大厚さと最小厚さの差が±10%程度)を示す。また、凹部の深さをhで示す。
本発明における転写用型の表面は、連続な凸部を有する細密構造であることが好ましい。凸部が細密構造を有することにより、単位面積において、もっとも効率的に凸構造を粘着剤表面に転写することができ、これにより、効率よく接着力を低下させることができる。
前記転写用型の表面の全投影面積に対する、前記凸部の投影面積の割合が、60〜79%であることが好ましく、より好ましくは65%〜77%、さらに好ましくは70%〜75%である。なお、前記投影面積とは、転写用型の凸部を顕微鏡にて表面から観察した場合、凸部として観察される部位の面積比率である。凸部の投影面積が小さくなりすぎる場合には、実質的に粘着剤層の接着力が低下せず、クリーニング層として用いる場合の所望の基板搬送性を十分に発現できない場合がある。一方、凸部の投影面積が大きくなりすぎる場合には、粘着剤層の接着力の低下が著しくなり、所望の異物捕集性が得られない場合がある。また粘着剤層表面の耐摩擦性が低くなりすぎ、凹部の構造が破壊されて、搬送時に基板を逆汚染する場合がある。
本発明における転写用型の凸部の形状は、特に制限されないが、略円形であることが、接着力を抑制しやすい点、形成が容易な点から好ましい。略円形とは、円、または長軸の長さが短軸の長さの2倍を超えない楕円状の形状であることをいう。なお、形状が三角形や四角形の場合には、転写用型により転写した粘着剤層を剥離する際に、その形状の端部で剥離が不均一になり、形状を正確に転写できなかったり、転写後の剥離時に、粘着剤がちぎれるなどの恐れがあるため、好ましくない。また、前記凸部による開ロ部a(凹部a)は、異物サイズの大きさにより適宜に調整することができるが、凹部aの大きさが、異物のサイズより、大きく、またその数が多すぎると異物の捕集効果が低下するおそれがある。なお、凹部aの大きさは、除去の対象とする異物のサイズよりも小さい直径を有するものが、異物捕集性の点から好適に用いられる。なお、前記凹部aの断面形状は特に規定はないが、凹部のサイズの制御性から半球状が好ましい。ただし、この断面形状が半球状ではない場合でも所望の異物捕集性は確保される。図2は、凹部aの形状が半球状の場合を示している。なお、粘着剤層表面が連続な凹部でなく、突起状(凸部)となっている場合には、接着面積の大幅な低下により、所望の異物捕集性が得られ難いため、好ましくない。
前記凸部の平均直径が、1〜12μmであることが好ましく、より好ましく4〜10μmである。平均直径が1μm未満であると、単位面積当たりの凸部(突起)が多くなるため、転写後の剥離するための力(剥離力)が高くなり、粘着剤層が破断するなど、剥離が不十分となる。
本発明における前記凸部のアスペクト比(高さ/直径)が、0.4〜0.6であることが好ましく、より好ましくは、0.45〜0.55である。アスペクト比が0.4より小さい場合には、転写した際に、凹部が浅くなり、異物捕集性が低下する。一方、0.6を越えると、粘着剤層(クリーニング層)表面の凹部が深くなり、転写の際にその構造が変形したり、剥離時に粘着剤層が破断する恐れがある。なお、アスペクト比の高さ及び直径はそれぞれ平均値を示すものである。
本発明に使用される転写用型の製造方法としては、まず転写用型表面の凸部を形成するために、転写用型の製造に用いる型(凹部構造)を調製する必要がある。
上記凹部構造の型は、作成の容易さから、高分子材料を用いることが好適な態様である。例えば、プラスチック基材を構成する樹脂成分(ポリマー成分)が挙げられる。前記樹脂成分としては、共重合体を含めた単一化学構造のポリマー材料だけでなく、異なる化学構造を有する複数のポリマー成分からなるポリマーアロイや、ポリマーブレンドを用いることができる。また、プラスチック基材としては、前記樹脂成分だけでなく、無機化合物や金属などの他の材料を分散させて含む複合体であってもよく、異なるプラスチック基材が層を構成したり、他の材料からなる層を含んだ2以上の層構造からなる積層体であってもよい。
具体的にプラスチック基材を構成する樹脂成分としては、特に限定されないが、例えば、ポリメタクリル酸メチルなどのメタクリル酸エステル系樹脂、ポリスチレン、アクリロニトリル−スチレン共重合体(AS樹脂)、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体(ABS樹脂)などのスチレン系樹脂、ポリアミド、ポリイミド(PI)、ポリエーテルイミド(PEI)、ポリアミドイミド、ポリエステルイミド、ポリカーボネート(PC)、ポリアセタール、ポリフェニレンエーテルなどのポリアリーレンエーテル、ポリフェニレンスルフィド、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン(PES)、ポリウレタン、ポリエチレンテレフタレート(PET)などのポリエステル系樹脂、ポリエーテルエーテルケトンやポリエーテルケトンケトンなどのポリエーテルケトン類、ポリアクリル酸ブチル、ポリアクリル酸エチルなどのポリアクリル酸エステル樹脂、ポリブトオキシメチレンなどのポリビニルエステル類、ポリシロキサン類、ポリノルボルネン、エポキシ系樹脂や、そのほかにフッ化ビニリデン樹脂、ヘキサフルオロプロピレン樹脂、ヘキサフルオロアセトン樹脂、ポリテトラフルオロエチレン樹脂などのフッ素系樹脂、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−プロピレン共重合体などのポリオレフィン系樹脂などの熱可塑性樹脂が挙げられる。
前記転写用型の製造に用いる型(凹構造)の製造方法は、特に限定されるものではないが、上記樹脂の表面を、レーザーエッチング法により、形成することが好適な態様である。なお、レーザーの強度や操作方法は特に制限されないが、本発明の転写用型の平均直径が1〜12μmであることが好ましいため、高い精度(解像度)で、且つ、高い出力を有するレーザーを使用することが好ましい。
上記のプラスチック基材は、本発明に使用する転写用型の表面が連続な凸部を有する細密構造(細密充填構造)になるようにするため、連続な凹部を有する細密(充填)構造になるように加工することが好ましい。なお、凹部と凹部の間隔は、凹部の平均直径に依存して決定されるが、好ましくは2μm以下である。ここで言う細密構造とは、凹部と凹部の位置がそれぞれ60°に位置することを示すものである。また、凹部と凹部の間隔は、その凹部の平均直径に対して、100%以下の場合に、その凹部の占有面積が、87%以下となる。
次に上記凹部構造を有するプラスチック基材を用いて、転写用型を調製する。調製する方法としては、特に限定されないが、例えば、本発明のように転写用型の場合、形成した凹部構造を有するプラスチック基材表面に電解メッキ法や、無電解メッキ法、金属蒸着法などにより、金属製の転写用型(金型)を調製する方法が挙げられる。また、金属以外の樹脂により調製する場合、例えば、紫外線硬化樹脂を製膜して、その膜を剥離することにより、転写用型を製造することができる。なお、耐久性を必要とする場合には、金属製の転写用型(金型)を用いることができる。
なお、上記の方法により転写用型を製造するための型、更にこれを用いて転写用型を製造することができるが、そのほかとして、凸部を有する型を用いて、前記凸部を転写した凹部を有する型を調製し、更にこの凹部を転写して、本発明における凸部を有する転写用型を調製してもよい。
本発明に使用される転写用型表面の凸部の転写される面積は、60%以上であることが好ましい。そもそも、転写用型の凸部の投影面積の割合は、60〜79%が好ましいため、凸部が転写される割合が60%未満であると、必要とされる接着性(搬送性)を発現することができない恐れがある。
本発明に用いる転写用型の表面については、剥離性を発現させるため、離型処理を施すことが好ましい。この場合、シリコーン処理やフッ素処理などが用いられる。
前記粘着剤層は、その引っ張り弾性率が1MPa〜30MPaである。粘着剤層の引っ張り弾性率が30MPaを超えると、粘着剤層表面上の異物への追従性が悪くなり、異物捕集能力が低下する恐れがある。また、1MPa未満の場合、転写用型により転写する場合に、粘着剤層が柔らかいため、良好な転写性を得られない恐れがある。また、粘着剤層の表面に凹部を形成しても搬送性評価の場合に、表面構造が変形して搬送装置内部へ接着してしまう恐れがある。前記粘着剤層の引っ張り弾性率は、2MPa〜20MPaであることが好ましく、さらには3MPa〜10MPaであることが好ましい。これら粘着剤層の引っ張り弾性率は、前記アクリル系粘着剤の組成、例えば、アクリル系ポリマーと重合性不飽和化合物(モノマー成分、オリゴマー成分)との配合量などにより適宜設定できる。
また、本発明の粘着剤層を、クリーニングシートのクリーニング層として用いる場合には、φ50mmの金属片を加重125gで30秒間密着させた後、室温(23℃)にて引張り速度100mm/minで金属片を垂直に引っ張った際の、金属片とクリーニング層との粘着力(垂直剥離力)が、10N以下であることが好ましく、より好ましくは5〜8Nである。この範囲であれば、本発明において異物捕集性を保持しつつ、搬送中に剥離することなく、かつクリーニング後に容易に再剥離できるので好ましい。
本発明の粘着剤層は、前記凹部を有する構造を有し、粘着性を有するものであれば、その材質や構成などは特に限定されないが、前記凹部の形成により接着力を低下できること、特に前記範囲の接着力に制御しやすいことから、本発明の粘着剤層は、放射線硬化性または熱硬化性のアクリル系粘着剤の硬化物であることが好ましい。以下、放射線硬化性または熱硬化性のアクリル系粘着剤について説明する。
放射線硬化性または熱硬化性のアクリル系粘着剤は、炭素−炭素二重結合等の放射線硬化性または熱硬化性の官能基を有し、かつ粘着性を示すものを特に制限なく使用することができる。かかる官能基としては、(メタ)アクリロイル基を有するものが好ましい。(メタ)アクリロイル基とは、アクリロイル基および/またはメタクリロイル基を意味する。以下、(メタ)は同様の意味である。
放射線硬化性または熱硬化性のアクリル系粘着剤としては、たとえば、アクリル系ポリマーをベースポリマーとする感圧性のアクリル系粘着剤に、重合性不飽和化合物として、放射線硬化性または熱硬化性のモノマー成分やオリゴマー成分を配合した添加型の硬化性粘着剤を例示できる。
アクリル系ポリマーとしては、例えば、(メタ)アクリル酸アルキルエステル(例えば、メチルエステル、エチルエステル、プロピルエステル、イソプロピルエステル、ブチルエステル、イソブチルエステル、s−ブチルエステル、t−ブチルエステル、ペンチルエステル、イソペンチルエステル、ヘキシルエステル、ヘプチルエステル、オクチルエステル、2−エチルヘキシルエステル、イソオクチルエステル、ノニルエステル、デシルエステル、イソデシルエステル、ウンデシルエステル、ドデシルエステルなどのアルキル基の炭素数1〜12、特に炭素数4〜18の直鎖状又は分岐鎖状のアルキルエステルなど)の1種又は2種以上を単量体成分として用いたアクリル系ポリマーなどがあげられる。
前記アクリル系ポリマーは、凝集力、耐熱性などの改質を目的として、必要に応じ、前記(メタ)アクリル酸アルキルエステルと共重合可能な他のモノマー成分に対応する単位を含んでいてもよい。このようなモノマー成分として、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、カルボキシエチル(メタ)アクリレート、カルボキシペンチル(メタ)アクリレート、イタコン酸、マレイン酸、フマル酸、クロトン酸などのカルボキシル基含有モノマー;無水マレイン酸、無水イタコン酸などの酸無水物モノマー;(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸4−ヒドロキシブチル、(メタ)アクリル酸6−ヒドロキシヘキシル、(メタ)アクリル酸8−ヒドロキシオクチル、(メタ)アクリル酸10−ヒドロキシデシル、(メタ)アクリル酸12−ヒドロキシラウリル、(4−ヒドロキシメチルシクロヘキシル)メチル(メタ)アクリレートなどのヒドロキシル基含有モノマー;スチレンスルホン酸、アリルスルホン酸、2−(メタ)アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、(メタ)アクリルアミドプロパンスルホン酸、スルホプロピル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリロイルオキシナフタレンスルホン酸などのスルホン酸基含有モノマー;2−ヒドロキシエチルアクリロイルホスフェートなどのリン酸基含有モノマー;(メタ)アクリル酸グリシジルエステル、(メタ)アクリルアミド、(メタ)アクリル酸N−ヒドロキシメチルアミド、(メタ)アクリル酸アルキルアミノアルキルエステル(例えば、ジメチルアミノエチルメタクリレート、t−ブチルアミノエチルメタクリレート等)、N−ビニルピロリドン,アクリロイルモルフォリン、酢酸ビニル、スチレン、アクリロニトリル;(メタ)アクリル酸シクロアルキルエステル(例えば、シクロペンチルエステル、シクロヘキシルエステルなど)などがあげられる。これら共重合可能なモノマー成分は、1種又は2種以上使用できる。これら共重合可能なモノマーの使用量は、全モノマー成分の70重量%以下、さらには40重量%以下が好ましい。
さらに、前記アクリル系ポリマーは、架橋させるため、多官能性モノマーなども、必要に応じて共重合用モノマー成分として含むことができる。このような多官能性モノマーとして、例えば、ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、(ポリ)エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、(ポリ)プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、エポキシ(メタ)アクリレート、ポリエステル(メタ)アクリレート、ウレタン(メタ)アクリレートなどがあげられる。これらの多官能性モノマーも1種又は2種以上用いることができる。多官能性モノマーの使用量は、粘着特性等の点から、全モノマー成分の100重量%以下が好ましく、70重量%以下がより好ましく、さらには30重量%以下が特に好ましい。
前記アクリル系ポリマーは、単一モノマー又は2種以上のモノマー混合物を重合に付すことにより得られる。重合は、溶液重合、乳化重合、塊状重合、懸濁重合等の何れの方式で行うこともできる。アクリル系ポリマーの重量平均分子量(Mw)は、好ましくは50万〜150万、さらに好ましくは80万〜120万である。また、重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)の分散度(Mw/Mn)は、6〜10であるのが好ましい。
重量平均分子量は、GPC法で標準ポリスチレンにより換算した値である。GPC本体として、東ソー社製のHLC−8120GPCを使用し、カラム温度40℃、ポンプ流量0.5ml/min、検出器RIを用いたデータ処理は、予め分子量が既知の標準ポリスチレンの検量線(分子量500〜2060万での検量)を用い、換算分子量より分子量を求めた。
使用カラム:TSKgel GMH−H(S)×2本(東ソー社製)
移動相:テトラヒドロフラン
注入量:100μl
サンプル濃度:1.0g/l(テトラヒドロフラン溶液)
分散度は、重量平均分子量と数平均分子量の比として算出した。数平均分子量の測定は、重量平均分子量の測定と同一方法にて実施した。
また重合性不飽和化合物は、放射線硬化性または熱硬化性のモノマー成分、オリゴマー成分であり、放射線や熱などの活性エネルギー源により硬化させることのできる、分子内に不飽和二重結合を1個以上有する化合物である。好ましくは、不飽和二重結合を2個以上有する化合物である。かかる硬化成分は、搬送時にクリーニング層が被クリーニング部位と強く接着しないようにするための接着力制御をするのに好適であり、またこれらモノマー成分、オリゴマー成分を添加することで系の粘度を低下させることができるために、相分離時に凹構造がより均一に形成されるようになる効果も期待できる。
前記重合性不飽和化合物としては、不揮発性でかつ重量平均分子量が10000以下の低分子量体であるのがよく、特に硬化時のクリーニング層の三次元網状化が効率よくなされるように、5000以下の分子量を有しているのが好ましい。このような重合性不飽和化合物の具体例としては、例えば、フェノキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、ε−カプロラクトン(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,6−へキサンジオール(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、テトラメチロールメタンテトラ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリストールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリストールモノヒドロキシペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリル酸と多価アルコールとのエステル化物;ウレタン(メタ)アクリレート、エポキシ(メタ)アクリレート、オリゴエステル(メタ)アクリレートなどが挙げられ、これらの中から、1種または2種以上が用いられる。
前記重合性不飽和化合物(モノマー成分、オリゴマー成分)の配合量は、アクリル系ポリマー100重量部に対して、5〜100重量部が好ましく、さらには5〜60重量部が好ましい。
また、放射線硬化性又は熱硬化性のアクリル系粘着剤としては、上記説明した添加型のほかに、ベースポリマーとして、炭素−炭素二重結合をポリマー側鎖または主鎖中もしくは主鎖末端に有するものを用いた内在型のものもあげられる。内在型の硬化性粘着剤は、低分子成分であるオリゴマー成分等を含有する必要がなく、または多くは含まないため、経時的にオリゴマー成分等が粘着剤中を移動することなく、安定した層構造の粘着剤層を形成することができる。
前記炭素−炭素二重結合を有するベースポリマーは、炭素−炭素二重結合を有し、かつ粘着性を有するものを特に制限なく使用できる。このようなベースポリマーとしては、アクリル系ポリマーを基本骨格とするものが好ましい。アクリル系ポリマーの基本骨格としては前記例示したアクリル系ポリマーがあげられる。
前記アクリル系ポリマーへの炭素−炭素二重結合の導入法は特に制限されず。様々な方法を採用できるが、炭素−炭素二重結合はポリマー側鎖に導入することが、分子設計において容易である。例えば、予め、アクリル系ポリマーに官能基を有するモノマーを共重合した後、この官能基と反応しうる官能基および炭素−炭素二重結合を有する化合物を、炭素−炭素二重結合の放射線硬化性を維持したまま縮合または付加する方法があげられる。
これら官能基の組み合わせの例としては、カルボン酸基とエポキシ基、カルボン酸基とアジリジル基、ヒドロキシル基とイソシアネート基などがあげられる。これら官能基の組み合わせの中でも反応追跡の容易さから、ヒドロキシル基とイソシアネート基との組み合わせが好適である。また、これら官能基の組み合わせにより、上記炭素−炭素二重結合を有するアクリル系ポリマーを生成するような組み合わせであれば、官能基はアクリル系ポリマーと前記化合物のいずれの側にあってもよいが、前記の好ましい組み合わせでは、アクリル系ポリマーがヒドロキシル基を有し、前記化合物がイソシアネート基を有する場合が好適である。この場合、炭素−炭素二重結合を有するイソシアネート化合物としては、例えば、メタクリロイルイソシアネート、2−メタクリロイルオキシエチルイソシアネート、m−イソプロペニル−α、α−ジメチルベンジルイソシアネートなどがあげられる。また、アクリル系ポリマーとしては、前記例示のヒドロキシ基含有モノマーや2−ヒドロキシエチルビニルエーテル、4−ヒドロキシブチルビニルエーテル、ジエチレングリコールモノビニルエーテルのエーテル化合物などを共重合したものが用いられる。
前記内在型の硬化性粘着剤は、前記炭素−炭素二重結合を有するベースポリマー(アクリルポリマー)を単独で使用することができるが、特性を悪化させない程度に前記硬化性のモノマー成分やオリゴマー成分を配合することもできる。内在型の硬化性粘着剤の場合、前記炭素−炭素二重結合を有するベースポリマーを40重量%以上、さらには50重量%以上含有していることが好ましい。
また、前記粘着剤には、ベースポリマーであるアクリル系ポリマーの架橋を促進するために、必要に応じて外部架橋剤を適宜に添加することもできる。架橋剤の種類としては、例えばカルボキシル基や水酸基を有するアクリル系ポリマーに対し、この官能基と反応しうる多官能性化合物が好ましい。例えば、ジフェニルメタンジイソシアネート、トリレンジイソシアネートなどのポリイソシアネート、エポキシ化合物、アジリジン化合物、メラミン系架橋剤、尿素樹脂、無水化合物、ポリアミン、カルボキシル基含有ポリマー、各種金属塩、キレート化合物などのいわゆる架橋剤を添加し反応させる方法があげられる。これら架橋剤(多官能性化合物)の使用量は、アクリル系ポリマー100重量部に対して、20重量部以下の範囲内、さらには0.01〜20重量部、0.01〜10重量部で配合するのが好ましい。これら架橋剤は1種類あるいは2種類以上を同時に使用しても何ら問題はない。
前記硬化性のアクリル系粘着剤には、硬化方式に応じて、開始剤を含有させることができる。前記硬化性粘着剤を、紫外線等により硬化させる場合には光重合開始剤を含有させる。光重合開始剤としては、例えば、4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル(2−ヒドロキシ−2−プロピル)ケトン、α−ヒドロキシ−α,α´−ジメチルアセトフェノン、2−メチル−2−ヒドロキシプロピオフェノン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトンなどのα−ケトール系化合物;メトキシアセトフェノン、2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフエノン、2,2−ジエトキシアセトフェノン、2−メチル−1−[4−(メチルチオ)−フェニル]−2−モルホリノプロパン−1などのアセトフェノン系化合物;ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、アニソインメチルエーテルなどのベンゾインエーテル系化合物;ベンジルジメチルケタールなどのケタール系化合物;2−ナフタレンスルホニルクロリドなどの芳香族スルホニルクロリド系化合物;1−フェノン−1,1―プロパンジオン−2−(o−エトキシカルボニル)オキシムなどの光活性オキシム系化合物;ベンゾフェノン、ベンゾイル安息香酸、3,3′−ジメチル−4−メトキシベンゾフェノンなどのベンゾフェノン系化合物;チオキサンソン、2−クロロチオキサンソン、2−メチルチオキサンソン、2,4−ジメチルチオキサンソン、イソプロピルチオキサンソン、2,4−ジクロロチオキサンソン、2,4−ジエチルチオキサンソン、2,4−ジイソプロピルチオキサンソンなどのチオキサンソン系化合物;カンファーキノン;ハロゲン化ケトン;アシルホスフィノキシド;アシルホスフォナートなどがあげられる。光重合開始剤の配合量は、粘着剤を構成するアクリル系ポリマー等のベースポリマー100重量部に対して、例えば0.1〜10重量部程度、好ましくは0.5〜5重量部である。
前記粘着剤には、必要により、前記成分のほかに、従来公知の各種の粘着付与剤、老化防止剤、充填剤、着色剤、連鎖移動剤、可塑剤等の添加剤を用いてもよい。
本発明の粘着剤層の形成方法は、前記のように、表面に連続な凹部を有する粘着剤層を形成できる方法であれば特に制限はないが、前記工程(1)〜(4)を施すことにより行うことができる。
工程(1)では、放射線硬化性または熱硬化性のアクリル系粘着剤を有機溶剤と混合した粘着剤組成物を、工程(2)で、前記粘着剤組成物を支持体上に塗布して、粘着剤組成物層を形成する。具体的に以下に説明する。
まず工程(1)により、調製した前記粘着剤組成物を、支持体上(例えば、PET)に塗布して、粘着剤組成物層を形成する(工程(2))。当該形成方法としては、各種方法を採用できる。例えば、粘着剤組成物層の形成に連続塗工装置を用いる場合は、例えば、粘着剤組成物(溶液)を連続的に供給して、装置先端に取り付けたダイスなどの吐出手段より連続的にシート基材上に薄層に押出してする方法が挙げられる。また粘着剤組成物層を形成する方法として、バッチ方式を採用する場合には、支持体上に粘着剤組成物(溶液)を基材上に流延して、アプリケーターや、マイヤーバー、ナイフコーターで成形する方法が挙げられる。このようにして、薄層化した粘着剤組成物を支持体上に積層した後、加熱して、溶媒を除去する。
前記粘着剤組成物層の厚さは特に限定されないが、通常、5〜100μm程度、さらには、10〜50μmであるのが好ましい。これより薄い場合、粘着剤層の形状追従性が低下し、異物捕集性が低下することがある。また上記範囲を超えると、基材が厚くなりすぎてハンドリングしにくい場合がある。
前記基材は、得られる粘着剤層を設けた粘着シートの支持体としても用いることができる。かかる支持体になりうる基材としては、特に限定されないが、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン系樹脂、ポリエチレンテレフタレートなどのポリエステル系樹脂、アセチルセルロースなどのセルロース系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリイミド系樹脂、ポリカルボジイミド系樹脂、塩化ビニル系樹脂などのプラスチックシートなどが挙げられる。基材の厚みは、通常、10〜300μm程度が好ましい。さらには30〜200μm程度であるのがハンドリングの面で好ましい。なお、粘着剤層の形成に、放射線硬化性粘着剤を用いる場合には、紫外線などの光を透過するプラスチックシートが選択使用される。また基材としては、場合によっては金属箔を使用してもよい。これら基材はその表面に各種表面処理が施されていてもよい。
次いで、工程(3)では、前記粘着剤組成物層に、放射線照射または加熱して、前記アクリル系粘着剤を硬化させ、粘着剤層前駆体を形成する。その後、工程(4)で、転写用型を表面に貼り付けて、一定温度、一定荷重にて圧着して凸部を転写させ、粘着剤層表面に、連続な凹部を有する構造を形成する。更に、粘着剤の架橋を促進するため、加熱(エージング)することができる。
前記基材上に製膜した粘着剤組成物層への、放射線照射または加熱にあたり、アクリル系粘着剤の硬化、架橋の酸素阻害抑制、凹部が形成されている平坦面のより平滑化のために、粘着剤組成物層の表面は、カバーフィルムで覆った状態で硬化処理を施すことが好ましい。これにより、アクリル系粘着剤の硬化時の酸素阻害による硬化度、架橋度の低下を抑制でき、またカバーフィルムを用いることで相分離した表面に凸部が生じた場合、その部位を平坦化する効果がある。
カバーフィルムとしては特に限定されないが、例えばポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート、アセチルセルロース、ポリカーボネート、ポリアミド、ポリカルボジイミドなどのプラスチックフィルムなどが挙げられる。その厚みは通常10〜100μm程度が好ましい。粘着剤層の形成に、放射線硬化性粘着剤を用いる場合には、紫外線などの光を透過する比較的透明性の高いプラスチックフィルムが選択使用される。カバーフィルムとしては、その粘着剤に面する表面に各種剥離処理が施されていてもよく、通常使用する剥離フィルムとしてそのまま使用することも可能である。
前記有機溶媒としては、例えば、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素、メタノール、エタノール当のアルコール類、メチルエチルケトン等のケトン類、酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル類、その他、前記粘着剤組成物を溶解しうる溶媒をあげことができるが、特に好適な有機溶媒はトルエン及び酢酸エチルである。有機溶媒の使用量は、前記粘着剤組成物100重量部に対して、通常、100〜1000重量部、好ましくは200〜900重量部である。有機溶媒の使用量が上記より少ないと、粘着剤組成物溶液の粘度が高くなり、有機溶媒を用いることによる塗工のし易さという効果が得られない場合がある。また有機溶媒の使用量が前記範囲よりも多いと、粘着剤組成物溶液の粘度が低くなりすぎて、該粘着剤組成物溶液の塗布厚みが薄くなり、一度の塗工では所望の厚みの粘着剤層が得られない場合がある。
上記のようにして得られた本発明の粘着剤層1は、図3に示すように、その連続な凹部が表面になるように、支持体2の少なくとも片面に設けて粘着シートとすることができる。支持体2としては、前記製造方法における基材をそのまま用いることができる。
前記粘着シートは、前記粘着剤層1を支持体2の少なくとも片面にクリーニング層として設けたクリーニングシートとして用いることができる。クリーニングシートは、ラベルシートとして用いることができる。前記粘着シートをクリーニングシートとして用いる場合には、図4に示すように、前記凹部を有する粘着剤層1が設けられた支持体2の他の片面には、固定用の粘着剤層3を設けることができる。
固定用の粘着剤層3は、通常の粘着機能を満たす限りその材質などは特に限定されず、通常の粘着剤(例えばアクリル系、ゴム系など)を用いることができる。粘着剤層3は、両面テープを用いることも可能である。粘着剤層3は、クリーニングシートを、各種基板や他のテープ・シートなどの搬送部材に貼り付けて、クリーニング機能付き搬送部材として装置内に搬送して、被洗浄部位に接触させてクリーニングすることができる。
クリーニングシートが貼り付けられる搬送部材としては特に限定されないが、例えば半導体ウエハ、LCD、PDPなどのフラットパネルディスプレイ用基板、その他コンパクトディスク、MRヘッドなどの基板などが挙げられる。
クリーニング機能付き搬送部材は、上記クリーニングシートの形状が搬送部材の形状より小さく、かつ搬送部材端部よりはみ出さないようにすることが好ましい。クリーニングシートが搬送部材の形状より大きい場合には、搬送装置内部でシートが装置へ付着したり、搬送系に引っかかり、装置が正常に運転しない場合がある。
上記のようなクリーニング機能付きの搬送部材の製造方法は、特に限定されず、例えば基板等の搬送部材にクリーニングシートを貼り合わせてクリーニング用搬送部材を製造することができる。この場合、搬送部材より大きなクリーニングシートを貼り付けた後、部材形状に沿ってクリーニングシートを切断する方式(以下、ダイレクトカット方式と称す)や、あらかじめ搬送部材形状に切断加工処理しておいたクリーニング用ラベルシートを搬送部材に貼り合わせてクリーニング用搬送部材を製造する方式(以下、プリカット方式と称す)が挙げられる。
以下、本発明を実施例に基づいて説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。なお、以下、部とあるのは重量部を意味するものとする。Mwは重量平均分子量を、Mnは数平均分子量を、Mw/Mnはポリマーの分子量の分散度をそれぞれ意味するものとする。
<転写用型の製造>
転写用型の製造に用いる型(凹構造)を製造するために、まず、ポリイミド樹脂に波長248nmのKrFエキシマレーザー照射装置を用いて、レーザー光を照射し、直径10μm、深さ5μmの半球型の凹部を有する細密(充填)構造の型を形成した。なお、凹部間の距離は、最も近い1μmになるように設定した。次に、前記型の表面に、電解ニッケルメッキにより、凸部を有する金型を調製し、更に、この金型に電解ニッケルメッキにより、凹部を有する金型を調製した。この金型表面には離型処理(シリコーン処理)を行い、最終的に、アクリル樹脂を用いて、連続な凸部を有する転写用型を調製した。前記調製した転写用型の表面を撮影した画像を図5に示した。アスペクト比は0.5であり、ほぼ細密充填の半球状構造を形成しており、その投影面積は75%であった。前記半球の直径は10μmであり、高さは5μmであった。
実施例1
<アクリル系粘着剤溶液の調製:工程(1)>
アクリル酸ブチル70部、アクリル酸エチル30部、アクリル酸1部、2−ヒドロキシエチルアクリレート5部からなるモノマー混合液から得たベースポリマーであるアクリルポリマー(Mw約85万〜120万、Mw/Mnが8〜10)100部に対して、重合性不飽和化合物(紫外線硬化樹脂)として、多官能ウレタンアクリレート(日本合成化学社製:商品名:UV1700B)を5部、架橋剤としてポリエポキシ化合物(三菱瓦斯化学社製:商品名:テトラッドC)を1部、さらに光重合開始剤(イルガキュア651:長瀬産業社製)を3部、エタノールを11部添加し、さらに酢酸エチルを用いて均一に混合して、濃度が18重量%に調整したアクリル系粘着剤の溶液を調製した。
<アクリル系粘着剤組成物層・粘着剤層前駆体の調製:工程(2)及び(3)>
前記粘着剤溶液を、シリコーン系離型剤により、離型処理した幅100mm×長さ200mm×厚み50μmのPETフィルム上に、乾燥後の厚みが35μmになるように塗布し、アクリル系粘着剤組成物層を形成し、更に、この粘着剤組成物層を55℃で4分間乾燥することにより、アクリル系粘着剤層前駆体を調製した。
<アクリル系粘着剤層(粘着シート)の調製:工程(4)>
次に、前記粘着剤層前駆体の片面に、シリコーン系離型剤により、離型処理した凸部を形成したアクリル系樹脂により形成された転写用型の、凸部を有する面を、押し当て、転写し、55℃で、ロール速度1m/分で、ロール圧延を3回実施し、粘着剤層前躯体表面に、凸形状を転写した。その後、60℃で48時間熱処理(エージング)を行い、その後、転写用型を剥離し、連続な凹部を有するアクリル系粘着剤層(を有する粘着シート)を調製した。
実施例2
<紫外線硬化性アクリル系粘着剤溶液の調製:工程(1)>
アクリル酸ブチル70部、アクリル酸エチル30部、アクリル酸1部、2−ヒドロキシエチルアクリレート5部からなるモノマー混合液から得たベースポリマーであるアクリルポリマー(Mw約85万〜120万,Mw/Mnが8〜10)100部に対して、重合性不飽和化合物として、多官能ウレタンアクリレート(日本合成化学社製:商品名:UV1700B)を10部、架橋剤としてポリイソシアネート化合物(日本ポリウレタン工業社製:商品名:コロネートL)を2部およびポリエポキシ化合物(三菱瓦斯化学社製:商品名:テトラッドC)を1部、さらに光重合開始剤(イルガキュア651:長瀬産業社製)を3部、エタノールを14部添加し、さらに酢酸エチルを用いて均一に混合して濃度が18重量%に調整したアクリル系粘着剤の溶液を調製した。
工程(2)〜(4)については、実施例1と同様である。
比較例1
工程(1)〜(3)については、実施例1と同様である。また工程(4)については、転写等は行わず、粘着剤層前駆体を60℃で48時間熱処理のみ行った。
比較例2
工程(1)〜(3)については、実施例2と同様である。また工程(4)については、転写等は行わず、粘着剤層前駆体を60℃で48時間熱処理のみ行った。
実施例および比較例で得られた粘着剤層について下記評価を行った。評価結果を表1に示す。
(凸部の投影面積)
粘着剤層の表面を走査電子顕微鏡(日立製作所製、S−3400)及び共焦点レーザー顕微鏡(OLYNPUS製、LEXT OLS3000)にて観察・撮影し、凸部の投影面積を算出した。なお、実施例1及び2については、得られたアクリル系粘着剤層(を有する粘着シート)の表面の撮影画像を図6及び7に示した。
(凸部の転写面積)
上記走査電子顕微鏡等にて観察・撮影した画像を、画像解析して粘着剤層の表面への凸部の転写面積を算出した。
(凸部の平均高さ及び平均直径)
上記走査電子顕微鏡等にて観察した画像を、画像解析ソフトにて画像解析して凸部の高さ及び直径を算出した。なお、各々平均値を算出した。
(凹部aの平均直径)
上記走査電子顕微鏡等にて観察した画像を、画像解析ソフトにて画像解析して凹部の平均直径を算出した。
(引張り弾性率<初期弾性率>)
粘着剤組成物を断面積0.75mm×長さ30mmの粘着剤(試験片)を作成し、23℃×50%RH雰囲気下で、チャック距離10mm、引張り速度50mm/minで引っ張り試験を行い、測定時の応力から引っ張り弾性率(初期弾性率)を算出した。なお、前記初期弾性率は、伸び−応力曲線の初期接線を引き、その接線と試験片が100%(20mm)まで伸びた所の交点(伸び=20mmの直線との交点)の応力を求め、単位初期断面積当たりの応力値として、表される値を言う。
(垂直接着力)
本発明の粘着剤層を、クリーニングシートのクリーニング層として用いる場合には、φ50mmの金属片を加重125gで30秒間密着させた後、室温(23℃)にて引張り速度100mm/minで金属片を垂直に引っ張った際の、垂直剥離力を測定した。
(搬送性)
ウエハステージを持つ基板処理装置(装置名:GR−3000、日東精機社製)内に搬送し下記基準で評価した。
×:アライナーへの付着がある場合、又は搬送装置が停止した場合
○:アライナーへの付着がなく、かつ搬送装置も停止しない場合
Figure 2009138027
上記表1より、実施例については、連続な凸部を有する転写用型を使用して、粘着剤層表面に凹部を形成しているため、引っ張り弾性率、垂直剥離力及び搬送性に優れていることが確認できた。一方、比較例については、粘着剤層表面に凹部が形成されていないため、垂直剥離力が高く、搬送性についても、実施例より劣ることが確認された。
本発明の粘着剤層の斜視図の一例である。 本発明の粘着剤層の断面図の一例である。 本発明の粘着剤層の粘着シート(クリーニングシート)の断面図の一例である。 本発明の粘着剤層の粘着シート(クリーニングシート)の断面図の一例である。 本発明において使用する転写用型の表面画像である。 実施例1で得られる粘着剤層(転写後)の表面画像である。 実施例2で得られる粘着剤層(転写後)の表面画像である。
符号の説明
1 凹部を有する粘着剤層
2 支持体
3 固定用粘着剤層
a 凹部
























Claims (9)

  1. 放射線硬化性または熱硬化性のアクリル系粘着剤を硬化させて粘着剤層を形成する工程を有する粘着剤層を製造する方法であって、
    前記粘着剤層の表面に、連続な凸部を有する転写用型を転写することにより、連続な凹部を形成する工程を有し、
    前記粘着剤層の引張り弾性率が、1MPa〜30MPaであること特徴とする粘着剤層の製造方法。
  2. 前記転写用型の表面が、連続な凸部を有する細密構造であり、
    前記転写用型の表面の全投影面積に対する、前記凸部の投影面積の割合が、60〜79%であり、かつ、
    前記凸部の形状が略円形であり、
    前記凸部の平均直径が、1〜12μmであり、
    前記凸部のアスペクト比(高さ/直径)が、0.4〜0.6であることを特徴とする請求項1記載の粘着剤層の製造方法。
  3. 前記アクリル系粘着剤を溶剤と混合して、粘着剤組成物を、調製する工程(1)と、
    前記粘着剤組成物を基材上に塗布して、粘着剤組成物層を形成する工程(2)と、
    前記粘着剤組成物層に放射線照射または加熱して、前記アクリル系粘着剤を硬化させて粘着剤層前駆体を形成する工程(3)と、
    前記粘着剤層前駆体に、転写用型を転写して、凹部を有する粘着剤層を形成する工程(4)と、を有することを特徴とする請求項1または2記載の粘着剤層の製造方法。
  4. 前記工程(4)において、転写用型の凸部の転写される面積が、60%以上であることを特徴とする請求項3記載の粘着剤層の製造方法。
  5. 請求項1〜4のいずれかに記載の粘着剤層の製造方法により得られる粘着剤層が、その凹部が表面になるように、支持体の少なくとも片面に設けられていることを特徴とする粘着シート。
  6. 請求項1〜4のいずれかに記載の粘着剤層の製造方法により得られる粘着剤層が、その凹部が表面になるように、支持体の少なくとも片面にクリーニング層として設けられていることを特徴とするクリーニングシート。
  7. 請求項1〜4のいずれかに記載の粘着剤層の製造方法により得られる粘着剤層が、その凹部が表面になるように、支持体の片面にクリーニング層として設けられており、他の片面には、固定用の粘着剤層を有することを特徴とするクリーニングシート。
  8. 請求項7記載のクリーニングシートが、固定用の粘着剤層を介して搬送部材に設けられていることを特徴とするクリーニング機能付き搬送部材。
  9. 請求項6もしくは7記載のクリーニングシートまたは請求項8記載のクリーニング機能付き搬送部材を、基板処理装置内に搬送することを特徴とする基板処理装置のクリーニング方法。




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