JP2009137090A - タイヤ加硫成形用金型 - Google Patents

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幹哉 深澤
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Abstract

【課題】複数の部分金型に分割され、タイヤ成形時にこれらの部分金型を全体的に組み合わせて環状の全体金型として用いられるタイヤ加硫成形用金型において、十分な排気量を確保することができ、空気残りによる不良品の発生を防止できると共に、表面が平滑な美しい外観の製品タイヤを製造することのできるタイヤ加硫成形用金型を提供する。
【解決手段】タイヤ表面の陸部を形成するために部分金型に設けられた突条によって区画される凹部の底面から同金型の外部へ連通するよう設けられた1個または複数個の排気孔と、上記陸部の頂面と同形の変形可能な薄板からなり上記凹部の底面に近接して嵌め込まれる排気弁とを備え、上記排気弁には反りが加えられ、充填圧が掛っていない時は、上記部分金型の凹部の底面に対して少なくとも一辺が浮き上がっていることを特徴とするタイヤ加硫成形用金型である。
【選択図】 図5

Description

本発明はタイヤ加硫成形用金型に関するものであり、特に製品タイヤの表面の外側へのスピューまたはゴムばり等の発生を防止し、併せてタイヤの外観の向上をもたらす排気弁を備えたタイヤ加硫成形用金型に関するものである。
従来、金型を用いるタイヤ加硫成形工程における残留空気の排出は、ゴムと共に空気を排出するためのスリットを備えた小型部品や(例えば、特許文献1参照)、小孔の入口に蓋状の弁を設けた小型部品(例えば、特許文献2参照)等を、金型に複数個埋設して行われていた。
しかし、スリットを備えた小型部品の場合は、スピューが生じるので、加硫成形後に整形作業が必要であり、製品の外観を損なう場合があった。また、蓋状の弁を有する小型部品の場合は、タイヤ表面に小型部品の痕跡が残ったり、汚れの付着によって弁が閉塞し排気不良を起こすことがあった。またこれらの方法では、複数の小部品を埋設するための手数が掛っていた。
特開平5−138656号公報 特開2002−234033号公報
本発明は、十分な排気量を確保することができ、空気残りによる不良品の発生を防止できると共に、表面が平滑な美しい外観の製品タイヤを製造することのできるタイヤ加硫成形用金型を提供しようとするものである。
本発明は上記課題を解決したものであって、請求項1に記載の発明は、
複数の部分金型に分割され、タイヤ成形時にこれらの部分金型を全体的に組み合わせて環状の全体金型として用いられるタイヤ加硫成形用金型において、
タイヤトレッドの陸部を形成するために部分金型に設けられた突条によって区画される凹部の底面から同金型の外部へ連通するよう設けられた1個または複数個の排気孔と、
上記陸部の頂面と同形の変形可能な薄板からなり上記凹部の底面に近接して嵌め込まれる排気弁とを備え、
上記排気弁には反りが加えられ、充填圧が掛っていない時は、上記部分金型の凹部の底面に対して少なくとも一辺が浮き上がっていることを特徴とするタイヤ加硫成形用金型に関するものである。
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載のタイヤ加硫成形用金型において、
上記排気弁となる薄板は、バネ鋼又はステンレス鋼等の弾性限の高い金属材料からなることを特徴とするものである。
請求項3に記載の発明は、請求項1又は請求項2に記載のタイヤ加硫成形用金型において、
上記排気弁の上記凹部の底面側の面には、上記部分金型の排気孔につながると共に、排気弁の周囲部につながる溝が形成されていることを特徴とするものである。
請求項4に記載の発明は、請求項1乃至請求項3に記載のタイヤ加硫成形用金型において、
上記排気弁の上記凹部の底面側に1本又は複数本の脚部が接続され、上記部分金型に設けられた挿通孔に挿通されていることを特徴とするものである。
請求項5に記載の発明は、請求項4に記載のタイヤ加硫成形用金型において、
上記脚部は、上記挿通孔の壁部に係合する着脱可能なアンカーを備えていることを特徴とするものである。
請求項1の発明によって、
生タイヤ充填完了までは、上記部分金型の底面に対して少なくとも一辺が浮き上がって排気弁の周囲が開口状態となっているので、十分な排気量を確保することができ、空気残りによる不良品の発生を防止できる。
排気弁の形状を、タイヤトレッドの陸部の頂面と同じ形状とし、陸部側表面が平滑であるので、出来上がったタイヤの外観が良好である。
請求項2の発明によって、
排気弁が弾性金属薄板からなるので、充填圧によって排気弁が部分金型の底面に密着して、排気孔へ向かう排気弁周囲の排気通路を閉鎖し、ゴムばりの発生を防止することができる。タイヤ加硫成形終了後には、排気弁は弾性によって形状が復元するので、排気弁は再び使用することができる。
請求項3の発明によって、
上記排気弁の上記凹部の底面側には、上記部分金型の排気孔につながると共に、排気弁の周囲部につながる溝が形成されているので、排気弁の周囲部が閉じた後も、排気孔から空気を排出することができる。
また、加硫タイヤから金型を離脱させるときには排気孔から流入する空気を効果的に排気弁の周囲部へ送ることができる。
請求項4の発明によって、
排気弁に脚部を設けたので、排気弁の位置決め及び移動抑制が容易となる。
請求項5の発明によって、
排気弁の脚部にアンカーを設けたので、排気弁の無用な移動を防止できる。また、加硫タイヤから金型を離脱させる際に、タイヤと弁の密着などで、弁が必要以上に動くことを抑制でき、弁の損傷を防止することができる。
また、アンカーを着脱可能にしてあるので、排気弁自体も着脱可能となるので、メンテナンスが容易となる。
図1は、本発明の一実施形態に係るタイヤ加硫成形用金型1の全体構成を示す図である。タイヤ加硫成形用金型1は、周方向に分割された複数個の扇形のセグメント2(図では9個)から構成されている。各セグメント2はタイヤ加硫成形用金型1の径方向に移動可能であり、図は各セグメント2が外側へ移動した状態を示している。この状態で、タイヤ加硫成形用金型1の中心部に生タイヤ3を収め、各セグメント2を中心方向へ一斉に移動させることによって、円環状のタイヤ加硫成形用金型1が構成され、内側の生タイヤ3の加硫成形がなされる。
図2は、上記タイヤ加硫成形用金型1の1個のセグメント2の斜視図である。1個のセグメント2は、ホルダー4と、同ホルダー4に保持される複数の部分金型5(図では3個)とを組み合わせて構成されている。隣接している部分金型5の型面には、タイヤの周方向に沿って連続する周方向突条6と、各部分金型5の型面を仕切る位置に横方向突条7が形成されている。これらの突条は、タイヤのトレッド面に形成される陸部を囲む溝を形成するためのものである。
図3は、1個の部分金型5の中央部の斜視図である。個々の部分金型5に周方向突条6と横方向突条7が形成されている。図には、本発明に係る排気弁10が示されている。これは突条6、7によって区画されて形成されるトレッドの陸部の頂面の形と一致するように切り出されたバネ鋼またはステンレス鋼などからなる変形可能な薄板である。これが、部分金型5に設けられた突条6、7で区画される凹部の底面8に近接して嵌め込まれている。この排気弁10には反りが加えられ、充填圧が掛っていない時は、凹部の底面8に対して排気弁10の周囲部が浮き上がっており、排気弁10と突条6との間に若干の隙間が形成されている。
図4は、上記部分金型5の中央部の上面図である。周方向突条6と横方向突条7とによって区画されトレッドの陸部となる部分の形は、トレッドの意匠デザインによって、種々の形状のもの、例えば矩形、平行四辺形、三角形、円弧を描くもの、などがあるが、図には矩形の場合を示している。排気弁10の下面には複数の脚部11(図では5本)が設けてある。脚部11は部分金型5に穿設されている挿通孔12に挿通され、排気弁10の位置決めの働きをし、排気弁10の移動を規制している。また排気弁10に覆われている部分金型5には、外部に連通する1個または複数個の排気孔13(図では2個)が形成されている。
図5は、図4のV−V断面図である。反りが加えられた排気弁10が、部分金型5の凹部の底面8に近接して嵌め込まれ、排気弁10の下部に接続された脚部11は、部分金型5に設けられた挿通孔12に挿通されている。上記挿通孔12の下端部は大径部12aとなっており、脚部11の下端には、上記大径部12aにはまり込むアンカー14が接続され、小径部12bの端に引っ掛かるようになっている。排気弁10と脚部11とは、スポット溶接によって接続され、脚部11とアンカー14とは、ネジ止め等の着脱可能な手段で接続されている。脚部11とアンカー14は、排気弁10の動きを制限し、且つ脱落防止を兼ねるものである。メンテナンスを行う時には、上記脚部11からアンカー14を取り外して、排気弁10を部分金型5から取り出す。
部分金型5には必要に応じて、1個または複数個の排気孔13が設けてある。これは、加硫成形工程において、生タイヤ3と部分金型5との間にあった空気を、充填圧によって、突条6、7と排気弁10の縁との間の隙間を経て押し出し、外部へ排出する孔である。生タイヤ3の充填完了までは上記隙間は排気孔13に通じて開口しているので十分な排気量を確保することができ、空気残りによる製品不良を防止できる。
図6は、排気弁10の裏面図である。排気弁10の裏面、即ち排気弁10の部分金型5の凹部の底面8に対面している側、には縦横に溝15が穿設してあり、溝15に囲まれた部分に、上記の脚部11の上端が接続されている。溝15は、腐食加工、放電加工、またはレーザー加工などの手段を用いて穿設される。何れかの溝15、例えば、図に「+」印15aを付した位置に向き合う、部分金型5の凹部の底面8の位置に、上記排気孔13が外部へ向かって穿設される。上記の縦横に設けられている溝15は、排気弁10の裏面が部分金型5の凹部の底面8に密着したときでも通気ができるように設けられた空気通路である。
図7は、加硫成形工程の後半における部分金型5の断面図である。この時には、生タイヤ3は充填圧によって部分金型5に押付けられ、空気の排出は全て終わり、排気弁10は充填圧によって部分金型5の凹部の底面8に密着し、排気弁10の周囲部との間の隙間はなくなっている。したがって、排気孔13へのゴムの侵入による不要なゴムばりの発生は防止される。排気弁10はトレッドの陸部を形成する部分の意匠と同じ形とし、表面を平滑にしているので、トレッドの陸部に不必要なスピューやゴムばりが発生することはなく、トレッドの陸部16の表面を優美に仕上げることができる。排気弁10の裏面に溝15を穿設してあるので、排気弁が部分金型5の凹部の底面8に密着した後においても、効果的に排気を排気孔に導くことができる。
加硫成形工程が完了すると、タイヤ加硫成形用金型1の各セグメント2は径方向外側へ移動させられて図1の状態となり、加硫成形済みのタイヤから金型1が取り外される。この時、タイヤトレッドの陸部16は排気弁10に密着しているので、セグメント2の移動時に排気弁10には、排気弁10を部分金型5から引き抜く力が加わる。排気弁10の脚部11にはアンカー14が接続されているので、排気弁10が必要以上に動くことを抑制でき、排気弁10の損傷を防止し、排気弁10の信頼性を高めることができる。また、排気弁10の弾性により、排気孔13が開くので、金型とタイヤの間に空気が入り、容易にタイヤを取り出すことができる。アンカー14は着脱可能にしてあるので、排気弁10自体の着脱も可能となり、メンテナンスが容易である。
以上詳述したように、本実施形態はつぎの効果をもたらすことができる。
(1)生タイヤ充填完了までは、排気弁10の周囲が開口状態となっているので、十分な排気量を確保することができ、空気残りによる不良品の発生を防止できる。
排気弁の形状を、タイヤトレッドの陸部の頂面と同じ形状とし、陸部側表面が平滑であるので、製品タイヤの外観が滑らかである。
(2)排気弁10が弾性金属薄板からなるので、充填圧によって部分金型5の凹部の底面8に密着して、排気孔13への排気弁10の周囲の排気通路を閉鎖し、ゴムばりの発生を防止することができる。
加硫成形終了後に加硫タイヤから金型を離脱させるときには、排気弁10は弾性によって形状が復元し排気弁10の周囲の排気通路が開くので、排気孔13から流入する空気を効果的にタイヤ側へ送ることができる。
タイヤ加硫成形終了後の排気弁10は弾性によって形状が復元するので、再び使用することができる。
(3)上記排気弁10の裏面には、上記排気孔13につながると共に、排気弁10の周囲部につながる溝15が形成されているので、排気弁10の周囲部が閉じた後も、排気孔13から空気を排出することができる。
また、加硫タイヤから金型1を離脱させるときには排気孔13から流入する空気を効果的に排気弁10の周囲部へ送ることができる。
(4)排気弁10に脚部11を設けてあるので、排気弁10の位置決め及び移動抑制が容易となる。
(5)排気弁10の脚部11にアンカー14を設けてあるので、排気弁10の無用な移動を防止できる。また、加硫タイヤから金型1を離脱させる際に、タイヤと弁の密着などで、排気弁10が必要以上に動くことを抑制でき、弁の損傷を防止することができる。
また、アンカー14を着脱可能にしてあるので、排気弁10自体も着脱可能となるので、メンテナンスが容易である。
一般的なタイヤ加硫成形用金型の全体構成を示す図である。 上記タイヤ加硫成形用金型の1個のセグメントの斜視図である。 1個の部分金型の中央部の斜視図である。 上記部分金型の中央部の上面図である。 図4のV−V断面図である。 排気弁の裏面図である。 加硫成形工程の後半における部分金型の断面図である。
符号の説明
1…タイヤ加硫成形用金型、2…セグメント、3…生タイヤ、4…ホルダー、5…部分金型、6…周方向突条、7…横方向突条、8…凹部の底面、10…排気弁、11…脚部、12…挿通孔、13…排気孔、14…アンカー、15…溝、16…トレッドの陸部。

Claims (5)

  1. 複数の部分金型に分割され、タイヤ成形時にこれらの部分金型を全体的に組み合わせて環状の全体金型として用いられるタイヤ加硫成形用金型において、
    タイヤトレッドの陸部を形成するために部分金型に設けられた突条によって区画される凹部の底面から同金型の外部へ連通するよう設けられた1個または複数個の排気孔と、
    上記陸部の頂面と同形の変形可能な薄板からなり上記凹部の底面に近接して嵌め込まれる排気弁とを備え、
    上記排気弁には反りが加えられ、充填圧が掛っていない時は、上記部分金型の凹部の底面に対して少なくとも一辺が浮き上がっていることを特徴とするタイヤ加硫成形用金型。
  2. 上記排気弁となる薄板は、バネ鋼又はステンレス鋼等の弾性限の高い金属材料からなることを特徴とする請求項1に記載のタイヤ加硫成形用金型。
  3. 上記排気弁の上記凹部の底面側の面には、上記部分金型の排気孔につながると共に、排気弁の周囲部につながる溝が形成されていることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のタイヤ加硫成形用金型。
  4. 上記排気弁の上記凹部の底面側に1本又は複数本の脚部が接続され、上記部分金型に設けられた挿通孔に挿通されていることを特徴とする請求項1乃至請求項3に記載のタイヤ加硫成形用金型。
  5. 上記脚部は、上記挿通孔の壁部に係合する着脱可能なアンカーを備えていることを特徴とする請求項4に記載のタイヤ加硫成形用金型。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
EP2570248A1 (de) * 2011-09-16 2013-03-20 Continental Reifen Deutschland GmbH Vulkanisierform für Fahrzeugreifen und Fahrzeugluftreifen, welche mit einer vorgenannten Vulkanisierform heizgepresst ist

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