JP2009136912A - 透明材料加工法及び透明材料加工装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】LIBWE法において高価なマスクや走査光学系を用いず安価な手法で所望のパターン加工を精度良く量産できる透明材料加工法及び透明材料加工装置を提供することである。
【解決手段】レーザに対して励起反応性のある流動性物質14を透明材料15の裏面に接触させ、透明材料15の表面からレーザを照射して透明材料15の裏面から加工する透明材料加工装置10において、流動性物質14を加工位置にだけ選択的に供給するインクジェット装置12を備え、レーザを透明材料15全体に照射することにより、流動性物質14と接触した透明材料15部分のみ選択的にエッチングが行える構成とする。
【選択図】図1
【解決手段】レーザに対して励起反応性のある流動性物質14を透明材料15の裏面に接触させ、透明材料15の表面からレーザを照射して透明材料15の裏面から加工する透明材料加工装置10において、流動性物質14を加工位置にだけ選択的に供給するインクジェット装置12を備え、レーザを透明材料15全体に照射することにより、流動性物質14と接触した透明材料15部分のみ選択的にエッチングが行える構成とする。
【選択図】図1
Description
レーザに対して励起反応性のある流動性物質を透明材料の裏面に接触させ、該透明材料の表面からレーザを照射して該透明材料の裏面から加工する透明材料加工法、いわゆるLIBWE法に関する。
従来より、光をほとんど吸収しない透明材料は、レーザアブレーションやレーザ溶融法など、直接的なレーザエッチング法を利用して加工することは困難であった。例えば、石英ガラスの加工技術として以下の方法が知られている。
多段階リソグラフィ法は、適切なレジストを基板表面に製膜した後、リソグラフィによってパターニングし、イオンビームやプラズマやフッ酸を用いてエッチングする方法である。しかしながら、この方法は、フォトリソグラフィ技術に基づいているので、レジストの塗膜、乾燥、露光、現像、エッチング、剥離など、複雑な工程が必要であり、時間が掛かる。
また、イオンエッチング法は、イオン注入法により生じたエッチング速度の差を利用して、マスクレスの化学エッチングを行う方法である。しかしながら、この方法は、集光できるイオン注入装置が必要であり、加工できる範囲が小さく時間効率が低いため量産に向いていない。
また、短波長レーザ法は、透明材料が吸収できる短波長光を発振するレーザを利用してドライエッチングを行う方法である。また、極短パルスレーザ法は、パルス幅がピコ秒以下の極短パルスレーザを利用してドライエッチングを行う方法である。しかしながら、短波長レーザ法及び極短パルスレーザ法は、高真空環境が必要であり、エネルギー効率も悪く、量産に向いていない。
また、レーザ誘起プラズマ法は、真空溶液中、金属基板をガラスの後方に置いてレーザを照射し、金属から発生したプラズマを利用する方法である。しかしながら、この方法では、金属基板表面とガラス表面とのレーザ密度を同時に調整する必要があるためにマスクのイメージの形成が難しく、かつ、真空環境が必要である。さらに、未照射部分でも金属がコーティングされてしまい、試料への損傷が大きく、酸による洗浄工程が必要で処理に手間が掛かる。
そこで、特許文献1では、レーザの直接照射が困難な透明材料については、透明材料の裏面に光吸収率の大きな流動性物質を接触させ、流動性物質のレーザ吸収を利用したレーザ誘起背面湿式加工法(LIBWE:laser-induced backside wet etching)が提案されている。
また特許文献2には、被加工物を、微粒子を分散した溶液中に浸漬させて配置し、高強度超短パルスレーザから出射した高強度超短パルスレーザ光を、前記被加工物の手前側位置に焦点を結ぶように集光して前記溶液にパルス照射し、前記高強度超短パルスレーザの出力強度を制御することにより、レーザ光によって誘起される前記溶液の非線形光学効果により発生する自己集束とレーザ光の回折とが釣り合うようにバランスさせて、レーザ光を前記溶液内において微小線状に前記被加工物に向け伝播させ、その微小線状の領域内の溶液中に浮遊する前記微粒子を前記被加工物に衝突させて加工を行うレーザ誘起加工法が開示されている。これはレーザ励起による加工法であるが、上記のLIBWE法とは異なる。
特許3012926号公報
特開2006−68789号公報
特許文献1で提案されているように、LIBWE法は励起現象を活用して低エネルギーでガラスなどを多数個同時に加工できる優れた手法である。従来のLIBWE法では、2種類のレーザ照射方法が提案されている。第1の方法は、レーザ光路中にパターニングされたマスクを配し、透明材料の加工面に所望のパターンを投影する方法である。第2の方法は、透明材料の加工面に集光するレーザを走査光学系を用いて走査し、所望のパターンを描画する方法である。
しかしながら、第1の方法では、1枚のマスクで加工できる深さは一義的に決まるので、加工深さを部分的に変えるためには複数のマスクが必要となり、コストが掛かる。一方、第2の方法では、加工深さは任意に制御可能であるが、高価で複雑な走査光学系を用いているので、コストが掛かる。また走査光学系を用いる場合、小面積ずつしか加工できないため、時間が掛かる。
本発明は、LIBWE法において高価なマスクや走査光学系を用いず安価な手法で所望のパターン加工を精度良く量産できる透明材料加工法及び透明材料加工装置を提供することを目的とする。
上記目的を達成するために本発明は、レーザに対して励起反応性のある流動性物質を透明材料の裏面に接触させ、該透明材料の表面からレーザを照射して該透明材料の裏面から加工する透明材料加工法において、前記流動性物質を加工位置にだけ選択的に供給することを特徴とする。
この構成によれば、流動性物質を透明材料の裏面に接触させた状態となる。そして、レーザを照射すると、透明材料のレーザ入射側である表面では何ら変化はないが、流動性物質と接触した透明材料部分のみ選択的にエッチングが行える。
上記の透明材料加工法において、前記流動性物質を加工位置にだけ選択的に供給するのにインクジェット方式を用いることが望ましい。素早く正確に供給できる方式だからである。
また上記の透明材料加工法において、透明材料に供給された流動性物質が流れないようにするため、透明材料の裏面の加工位置が、水平面の上面側であることが望ましい。
また上記の透明材料加工法は、具体的には、前記透明材料に前記流動性物質を選択的に供給する第1工程と、レーザを照射する第2工程と、前記流動性物質を除去する第3工程とをこの順に繰り返すことにより行う。
なお、前記第3工程において、前記流動性物質は、前記流動性物質との混合によって化学反応性のない液体で流して除去したり、気流で吹き飛ばして除去したりすることが、完全に除去する観点から望ましい。
また本発明は、レーザに対して励起反応性のある流動性物質を透明材料の裏面に接触させ、該透明材料の表面からレーザを照射して該透明材料の裏面から加工する透明材料加工装置において、前記流動性物質を加工位置にだけ選択的に供給する供給手段を備えたことを特徴とする。
この構成によれば、流動性物質を透明材料の裏面に接触させた状態となる。そして、レーザを照射すると、透明材料のレーザ入射側である表面では何ら変化はないが、流動性物質と接触した透明材料部分のみ選択的にエッチングが行える。
上記の透明材料加工装置において、流動性物質を素早く正確に供給する観点からは、前記供給手段がインクジェット装置であることが望ましい。
また上記の透明材料加工装置において、透明材料に供給された流動性物質が流れないようにするため、透明材料の裏面の加工位置が、水平面の上面側であることが望ましい。
また上記の透明材料加工装置は、具体的には、前記透明材料に前記流動性物質を選択的に供給する第1工程と、レーザを照射する第2工程と、前記流動性物質を除去する第3工程とをこの順に繰り返すように制御される。
なお、前記第3工程において、前記流動性物質は、前記流動性物質との混合によって化学反応性のない液体で流して除去したり、気流で吹き飛ばして除去したりすることが、完全に除去する観点から望ましい。
本発明によると、レーザに対して励起反応性のある流動性物質を透明材料の裏面の加工位置にだけ選択的に供給しているので、マスクや走査光学系を用いず安価な手法で所望のパターン加工ができる。加えて、エッチング速度も制御でき、エッチング面の化学組成にも変化を与えないことから、本発明の加工法は微細化、精密化、高品質化できる方法であるとともに、非常に低コストであり、量産性に富む方法である。
図1は、本発明の透明材料加工装置の模式的な側断面図である。透明材料加工装置10は、レーザに対して励起反応性のある第1流動性物質14を透明材料15の裏面に接触させ、透明材料15の表面からレーザを照射して透明材料15の裏面から加工する装置である。そのため透明材料加工装置10は、レーザ装置11と、レーザに対して励起反応性のある第1流動性物質14を収容・射出するインクジェット装置12とを備えている。
透明材料15は、所定の位置に固定手段(不図示)によって固定されている。固定手段としてはネジやクリップやクランプなどを用いることができる。透明材料15は、その裏面の加工位置が、水平面の上面側となる向きで固定される。
また、透明材料15としては、使用するレーザ波長に対して透明性があればよい。例えば、石英ガラス、一般ガラス、フッ化カルシウム、フッ化マグネシウム、フッ化バリウム、フッ化リチウム、シリコンカーバイド、アルミナ、サファイア、水晶、ダイヤモンド、のような無機材料、ポリカーボネイト樹脂、アクリル樹脂、ビニル樹脂、フッ素樹脂などのプラスチック材料、有機ガラス、有機結晶・固形化合物、及びそれらの混合物などが挙げられる。透明材料15の形態は、図1で示した基板状の他にも、容器状、管状など任意の形状でよい。透明材料15の厚みは、約10μm〜数mmのものを用いることができる。
レーザ装置11は、レーザを発振するレーザ光源系17と、発振されたレーザの角度を変える反射鏡18と、レーザを所望の形状にして照射するレンズ19とを有している。これらレーザ光源系17、反射鏡18及びレンズ19は、所定の位置に固定されており、透明材料15におけるレーザ照射面積は一定である。この面積は、加工部分全体を覆うように設定することで、一度の照射で加工部分全体を加工することができる。
図1では、レーザは、レーザ光源系17から水平方向に発振され、反射鏡18で直角に反射させて鉛直上方へ導き、レンズ19を透過した後に交差し、透明基板15の下側から入射して上側に透過し、第1流動性物質14に吸収される構成となっている。
レーザとしては、ArF(λ=193nm)、KrCl(λ=222nm)、KrF(λ=248nm)、XeCl(λ=308nm)、XeF(λ=351nm)エキシマレーザ、YAGレーザ、YVOレーザ、YLFレーザ、色素レーザ、炭酸ガスレーザ、Krイオンレーザ、Arイオンレーザ、銅蒸気レーザ、チタンサファイアレーザ等の基本発振波長光、及びその基本発振波長光を非線形光学素子などにより変換したものを用いることができる。例えば、YAGレーザに二倍高調波(λ=532nm)、三倍高調波(λ=355nm)、四倍高調波(λ=266nm)などが挙げられる。なお、レーザとしてフォトニック結晶レーザを用いれば、面光源であるのでレーザ装置11内にビームエキスパンダが不要となるので好ましい。
そして、エッチングを行うためのレーザ強度は、レーザ波長に対する第1流動性物質の吸収によって異なるが、0.01〜100J/cm2/pulseが好ましい。さらに好ましくは、0.1〜10J/cm2/pulseである。レーザ強度が弱すぎるとエッチングが起こらず、強すぎると透明材料15に損傷を与える。
インクジェット装置12は、複数のノズルを備えており、セットされた透明基板15の上方に配設されている。インクジェット装置12は、制御部(不図示)及び駆動部(不図示)によって駆動され、透明基板15の所定位置(加工位置)に所定量の第1流動性物質14を選択的に供給(滴下)する。その1滴は、数分の1pl〜1pl程度である。例えば、1pl滴下した場合、透明基板15上での液滴の直径は約20μmとなる。なお、第1流動性物質14を加工位置にだけ選択的に供給できる供給手段であれば、インクジェット装置12以外の装置を用いてもよい。また、インクジェット装置12(供給手段)は、必ずしも透明材料加工装置10に含まれている必要はなく、透明材料加工装置10とは別の外部装置であってもよい。
第1流動性物質14は、使用するレーザ波長に対して高い吸収率を有する物質であればよい。例えば、ピレンのアセトン溶液、ベンジルのアセトン溶液、ピレンのテトラヒドロフラン(THF)溶液、ローダミン6Gのエタノール溶液、フタロシアニンのエタノール溶液などのような芳香族環を含む有機化合物の溶液、ベンゼン、トルエン、四塩化炭素などのような液体状の化合物などが挙げられる。また、ピラニン水溶液、ナフタレン誘導体水溶液、有機化合物、有機色素、無機顔料、あるいは炭素などの微粒子を分散して作った溶液や、有機化合物、有機色素、無機顔料、あるいは炭素粉末などの微粒子や微結晶で作った流動性粉体などが挙げられる。さらに、上述した物質の2種類以上を混合して作られた流動性物質も使用することができる。
これらの物質は使用するレーザ波長に対して高い吸収率を有することが必要で、例えば、第1流動性物質14と透明材料15との界面から、流動性物質内部に0.1mmの深さで10%以上の吸収率を有することが好ましい。さらに好ましくは、0.1mmの深さで50%以上の吸収率を有することである。吸収率が十分に高くない場合には、エッチングの精密化及び微細化が十分には達成されない。
また第1流動性物質14の粘度は、インクジェット装置12やその他の供給手段で供給可能な粘度であればよく、供給可能な範囲内で粘度が高い程、透明材料15上での広がりが小さく、流れて位置が変わるおそれもないため、精度が高くなる。
次に、上記の透明材料加工装置10を用いた透明材料15の加工法について説明する。図2は、透明材料加工法の各工程における透明材料15の断面図である。まず、透明材料15を図1に示すようにレンズ19の上方でインクジェット装置12の下方の所定位置にセットする。続いて、インクジェット装置12を走査させ、図2(a)に示すように、透明基板15の加工位置に所定量の第1流動性物質14を選択的に滴下する(第1工程)。これで、第1流動性物質14を透明材料15の裏面に接触させた状態となる。
続いて、加工部分全体に一度にレーザを照射する(第2工程)。このようにしてレーザを照射すると、図2(b)に示すように、透明材料15のレーザ入射側である表面では何ら変化はないが、第1流動性物質14と接触した透明材料15部分のみ選択的にエッチングが行え、第1加工部13が形成される。しかもエッチング部分には何ら化学的な劣化や損傷を与えない。エッチング速度はレーザ強度に依存し、エッチング工程を精密に制御できる。また、エッチングの深さは、レーザパルス数に比例して増加するので、エッチング深さを精密に制御できる。また、作業温度としては、第1流動性物質14の流動性が保持される温度であれば特に限定はない。
レーザ照射を停止した後、続いて、透明基板15上の第1流動性物質を除去し(第3工程)、図2(c)の状態にする。除去方法には特に限定はないが、例えば、液体で洗い流す方法や気流で吹き飛ばす方法などを用いることができる。
液体で流して除去する場合、その液体としては、第1流動性物質14と混合されるので、第1流動性物質14との混合によって化学反応性のない液体を用いる。例えば、上述した第1流動性物質14の溶媒として挙げられた水、アセトン、エタノール、THFなどを用いることができる。なお、反応性の観点からは、第1流動性物質14の溶媒と同じものを用いることが望ましい。
一方、気流で吹き飛ばして除去する場合、その気体としては第1流動性物質14と化学反応性のない気体であれば特に限定はなく、例えば、空気や窒素などを用いることができる。なお、上記の液体で洗い流した後、上記の気流で吹き飛ばすようにすれば、より完全に第1流動性物質14を除去することができる。
上記の第1〜第3工程により透明材料15の第1段階の加工は完了する。第2段階として、さらに部分的に加工する場合は、図2(d)〜(f)に示すように第1〜第3工程を繰り返せばよい。まず、図2(d)に示すように、所望の加工位置に所定量の第1流動性物質14を選択的に滴下する(第1工程)。そして、図2(e)に示すように、加工部分全体に一度にレーザを照射し、第1流動性物質14と接触した透明材料15部分のみ選択的にエッチングし、第2加工部16を形成する(第2工程)。最後に、図2(f)に示すように、透明基板15上の第1流動性物質を除去すれば(第3工程)、第2段階の加工が完了する。なお、第1〜第3工程を繰り返すことにより、第3段階、第4段階・・・の加工も可能である。
上記の透明材料加工装置10及び加工法によれば、多段階リソグラフィ法による多段階の工程が必要であることに比べて、一段階の処理でエッチングができる。しかも、真空雰囲気が不要である。また、レーザ誘起プラズマ法に比べて、未照射部分への損傷も避けられる。また、低レーザ強度のためエネルギー効率が良く、エッチングできる材料の対象範囲も広くなる。さらに、マスクや走査光学系を用いず安価な手法で所望のパターン加工ができる。加えて、エッチング速度も制御でき、エッチング面の化学組成にも変化を与えないことから、本発明の加工法は微細化、精密化、高品質化できる方法であるとともに、非常に低コストであり、量産性に富む方法である。
次に、本発明の透明材料加工装置の他の実施形態について説明する。図3は、本発明の他の実施形態の透明材料加工装置の模式的な側断面図である。この透明材料加工装置20が図1の透明材料加工装置10と異なる点は、レーザに対して励起反応性のない第2流動性物質22を収容する容器21を設けたことである。
図3では、透明材料15が容器21内にセットされ、容器21内の第2流動性物質22が透明材料15の表面(下面)に接触している。容器21は、少なくともレーザが照射される部分(図3では底面の中央付近)が、使用するレーザ波長に対して透明性、つまりレーザ透過性を有すればよい。例えば、上述した透明材料15に用いることができる材料と同じ材料を用いることができる。側壁などその他の部分は、レーザを吸収する材料でも構わない。容器21の壁面の厚みには特に限定はないが、数mmの厚さがあれば足りる。容器21は、例えば図3に示すように、直方体の上面が開放された形状とすることができる。この開放された上面には異物侵入防止のために蓋を設けてもよい。この上面から第2流動性物質22及び透明材料15の入れ替えが行われる。
第2流動性物質22は、使用するレーザ波長に対して透明性を有する物質であればよい。例えば、上述した第1流動性物質14の溶媒として挙げられた水、アセトン、エタノール、THFなどを用いることができる。第2流動性物質22は、第1流動性物質14と混合したときに化学反応しない必要があるので、第1流動性物質14の溶媒と同じものを用いることが望ましい。
この透明材料加工装置20によれば、貫通穴や底の薄い穴を精度良く量産することができる。それには、まず図3のように、第1流動性物質14を透明材料15の裏面に、第2流動性物質16を透明材料15の表面に、それぞれ接触させた状態とする。次に、容器21の外側(下方)から透明材料15へ向けてレーザを照射する。つまり、透明材料15の表面からレーザを照射することになる。このようにしてレーザを照射すると、第2流動性物質22はレーザを吸収しないので透明材料15のレーザ入射側である表面では何ら変化はないが、第1流動性物質14と接触した透明材料15部分のみ選択的にエッチングが行える。そして、透明材料15を貫通するまでエッチングを続ければ貫通穴が得られ、貫通直前でエッチングを終了すれば底の薄い穴を得ることができる。
このエッチング工程において、第2流動性物質22を用いない場合は、貫通間近で残肉が薄くなったとき、残肉の表裏の大気圧と第1流動性物質14との圧力差によって残肉部分が破損するおそれがあり、破損した場合、穴周辺にクラックや欠けが生じるおそれもある。これは、貫通穴や底の薄い穴の径が大きくなるほど顕著に表れる。
それに比べて第2流動性物質22を透明材料15の表面に接触させている場合は、貫通間近で残肉が薄くなったとき、残肉の表裏の第2流動性物質22と第1流動性物質14との圧力差がないので残肉部分に力がかからず、破損することもクラックや欠けが生じることもない。
このように、貫通穴や底の薄い穴を加工する場合、第2流動性物質16を透明材料15の表面に接触させることで加工精度を飛躍的に向上させることができる。なお、貫通穴や底の薄い穴の形状は、円、楕円、多角形など、任意の形状に加工できる。また、貫通穴や底の薄い穴の形状を円とした場合、その直径は0.01mm以上であれば加工可能であり、約0.1mmまでが最適に加工可能である。この大きさの穴を精度良く大量に加工できるので、例えばインクジェット用ノズルの加工に利用することができる。
また、大きな貫通穴(例えば0.1mmより大きな穴)を開ける場合は、インクジェット装置12で第1流動性物質14を滴下する際に、加工する貫通穴の外周に沿って第1流動性物質14を滴下すればよい。例えば貫通穴が円形の場合、第1流動性物質14は透明材料15上でリング状になっている。これにレーザを照射して透明材料15が貫通するまでエッチングすると、貫通穴部分の透明材料15が第2流動性物質22側へ抜け落ち、貫通穴が形成される。この場合も、貫通間近で残肉が薄くなったとき、残肉の表裏の第2流動性物質22と第1流動性物質14との圧力差がないので残肉部分に力がかからず、破損することもクラックや欠けが生じることもない。
このように、大きな貫通穴を加工する場合でも、第1流動性物質14は加工する貫通穴の外周に沿って供給するだけなので、少量で済み安価に行える。
この透明材料加工装置20を用いて、貫通穴を加工した場合、貫通穴を通じて第2流動性物質22に第1流動性物質14が混ざることが考えられるが、多少混ざって第2流動性物質22が数%の濃度になったとしてもレーザに反応する濃度にはほど遠く、第2流動性物質16を再利用してもレーザによって透明材料15の表面が加工されてしまうことはない。したがって、貫通穴を加工する場合、第2流動性物質22は何回も再利用することができ経済的である。
本発明の加工は、マイクロレンズアレイ、回折格子、光導波路、発光素子、回折素子(DOE)、フェーズマスク、フォトニック素子、液晶配向基板、などの光学素子の加工やDNAチップ基板、マイクロリアクター反応容器、マイクロ分析セル、センサー基板などの化学・環境・バイオ・医療用材料の調製、極微小マーキング、微小電気回路素子などの産業応用材料のように様々な応用が可能である。また、本発明による貫通穴の加工は、インクジェット用ノズルの加工などに利用することができる。
10、20 透明材料加工装置
12 インクジェット装置
14 第1流動性物質
15 透明材料
21 容器
22 第2流動性物質
12 インクジェット装置
14 第1流動性物質
15 透明材料
21 容器
22 第2流動性物質
Claims (12)
- レーザに対して励起反応性のある流動性物質を透明材料の裏面に接触させ、該透明材料の表面からレーザを照射して該透明材料の裏面から加工する透明材料加工法において、
前記流動性物質を加工位置にだけ選択的に供給することを特徴とする透明材料加工法。 - 前記流動性物質を加工位置にだけ選択的に供給するのにインクジェット方式を用いることを特徴とする請求項1記載の透明材料加工法。
- 前記透明材料の裏面の加工位置が、水平面の上面側であることを特徴とする請求項1又は2記載の透明材料加工法。
- 前記透明材料に前記流動性物質を選択的に供給する第1工程と、レーザを照射する第2工程と、前記流動性物質を除去する第3工程とをこの順に繰り返すことを特徴とする請求項1〜3の何れかに記載の透明材料加工法。
- 前記第3工程において、前記流動性物質は、前記流動性物質との混合によって化学反応性のない液体で流して除去することを特徴とする請求項4記載の透明材料加工法。
- 前記第3工程において、前記流動性物質は、気流で吹き飛ばして除去することを特徴とする請求項4記載の透明材料加工法。
- レーザに対して励起反応性のある流動性物質を透明材料の裏面に接触させ、該透明材料の表面からレーザを照射して該透明材料の裏面から加工する透明材料加工装置において、
前記流動性物質を加工位置にだけ選択的に供給する供給手段を備えたことを特徴とする透明材料加工装置。 - 前記供給手段がインクジェット装置であることを特徴とする請求項7記載の透明材料加工装置。
- 前記透明材料の裏面の加工位置が、水平面の上面側であることを特徴とする請求項8又は9記載の透明材料加工装置。
- 前記透明材料に前記流動性物質を選択的に供給する第1工程と、レーザを照射する第2工程と、前記流動性物質を除去する第3工程とをこの順に繰り返すことを特徴とする請求項7〜9の何れかに記載の透明材料加工装置。
- 前記第3工程において、前記流動性物質は、前記流動性物質との混合によって化学反応性のない液体で流して除去されることを特徴とする請求項10記載の透明材料加工装置。
- 前記第3工程において、前記流動性物質は、気流で吹き飛ばして除去されることを特徴とする請求項10記載の透明材料加工装置。
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