JP2009136577A - 医療用スタンド装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】各種の蛍光物質に対応した励起光の照射が可能で且つ照明光から熱線を確実に除去することができる医療用スタンド装置を提供する。
【解決手段】光源部6の光路中に赤外側の光をカットする光学フィルター11が固定された状態で設けられているため、該光学フィルター11が光路から外れることがなく、熱線となる赤外領域の光を確実に除去することができる。光学フィルター11が、805nmより大きく815nmより小さい波長である閾値よりも赤外側の光を全てカットする特性のため、キセノンランプ10の放射強度の実質的に最初のピークPとなる825nm付近を含む赤外側の熱線を確実に除去することができる。また、光学フィルター11の閾値が805nmより大きいため、各種の蛍光物質のうち、最も赤外側に励起光(波長805nm)があるインドシアニングリーンも利用することができる。
【選択図】 図3

Description

本発明は医療用スタンド装置に関するものである。
近年の医学において、患者に蛍光物質を投与し、患部への集積が進んだ段階で、その蛍光物質を励起できる波長の励起光を照射し、患部だけを蛍光させると共に、その蛍光だけを透過する光学フィルターを介して、患部の蛍光観察又は蛍光撮影を行う技術が知られている。
蛍光物質としては、5−アミノレブリン酸(5−ALA)、タラポルフィンナトリウム(登録商標レザフィリン)、インドシアニングリーン(ICG)などが知られている。5−アミノレブリン酸は、波長380nm付近の励起光を受けて、波長620nm付近の蛍光を発する。タラポルフィンナトリウムは、波長664nm付近の励起光を受けて、波長672nm付近の蛍光を発する。インドシアニングリーンは、波長805nm付近の励起光を受けて、波長835nm付近の蛍光を発する。インドシアニングリーンが最も赤外側である。
この種の励起光は、患部を観察する顕微鏡の照明光を利用して行われる。すなわち、もともと患部には観察するために顕微鏡から照明光が照射されるため、その照明光を利用すれば便利である。顕微鏡はスタンド装置のアームに支持され、顕微鏡にはスタンド装置の本体内に設けられた光源部から光ファイバーを介して照明光が供給される。顕微鏡の底面には照射口が形成され、その照射口から患部へ向けて照明光が照射される。光源部で用いられる光源としては、太陽光に近い白色光が得られるキセノンランプが一般的である。
光源部には、照明光から患部に対して熱線となる赤外領域の波長をカットする熱保護用光学フィルターと、キセノンランプからの照明光のうち蛍光物質に対応した波長の励起光だけを選択的に透過させる蛍光用光学フィルターが設けられている。これら2つの光学フィルターがアクチュエーターによるスライド式又は回転式により、選択的にキセノンランプからの照明光の光路中に介在される構造になっている。通常時は、熱保護用光学フィルターを介在させることにより、可視光を透過させ、赤外線をカットするようになっており、蛍光観察時には、蛍光用光学フィルターを介在させて、蛍光物質に対応した波長の励起光だけを選択的に透過させるようになっている(例えば、特許文献1参照)。
特開2004−163413号公報
しかしながら、このような従来の技術にあっては、熱保護用光学フィルターと蛍光用光学フィルターをアクチュエーターによる可動式にしているため、アクチュエーター等の故障により、スタンド装置の光源部内における照明光の光路中から、いずれのフィルターも外れるおそれがあり、キセノンランプからの照明光が100%の出力で患部に照射されるおそれがある。そのために、光学フィルターの位置ずれを検知するセンサーを光源部内に設ける必要があり、光源部の構造が複雑になっていた。
本発明は、このような従来の技術に着目してなされたものであり、各種の蛍光物質に対応した励起光の照射が可能で且つ照明光から熱線を確実に除去することができる医療用スタンド装置を提供するものである。
請求項1記載の発明は、顕微鏡を支持するアームと、該アームを支持する本体を備え、本体の内部に顕微鏡に供給する照明光を発する光源部を備え、該光源部の光源がキセノンランプである医療用スタンド装置であって、前記光源部から顕微鏡に到る照明光の光路中に、805nmより大きく815nmより小さい波長を閾値として長波長側の光をカットする光学手段が固定されていることを特徴とする。
請求項2記載の発明は、光学手段が一枚の透過式の光学フィルターであることを特徴とする。
請求項1記載の発明によれば、光源部の光路中に赤外側の光をカットする光学手段が固定された状態で設けられているため、該光学手段が光路から外れることがなく、熱線となる赤外領域の光を確実に除去することができる。光学手段が、805nmより大きく815nmより小さい波長である閾値よりも赤外側の光を全てカットする特性のため、キセノンランプの放射強度の実質的に最初のピークとなる825nm付近を含む赤外側の熱線を確実に除去することができる。また、光学手段の閾値が805nmより大きいため、各種の蛍光物質のうち、最も赤外側に励起光(波長805nm)があるインドシアニングリーンも利用することができる。励起光がインドシアニングリーンよりも小さい波長の蛍光物質を利用する場合は、前記光学手段に重ねて、その蛍光物質に対応した励起光の波長を選択的に透過させる別の光学手段を設ければ良い。
請求項2記載の発明によれば、光学手段が一枚の透過式の光学フィルターであるため、既存の光源部内における狭いスペースにも固定することができる。
図1〜図10は、本発明の好適な実施形態を示す図である。スタンド装置1は、本体2とアーム3から構成されている。アーム3の先端にはバランスを保たれた状態で手術用の顕微鏡4が支持されている。
アーム3は中空構造で内部に光ファイバー5が配策されている。光ファイバー5の一端は顕微鏡4に接続され、顕微鏡4の内部光路を通過して、顕微鏡4の底面に形成された照射口(図示せず)から患部Tへ向けて後述する励起光Eを照射できるようになっている。
スタンド装置1の本体2の内部には光源部6が形成されている。光源部6は、メインランプ収納部7と、スペアランプ収納部8が上下に設けられている。そして、本体2のドア9を開けて、各収納部7、8へそれぞれキセノンランプ10を収納することができる。
メインランプ収納部7の前には、透過式の光学フィルター(光学手段)11が固定板12により固定されている。透過式の光学フィルター11を一枚固定するだけなので、既存の光源部6における隙間スペースを利用して設けることができる。
メインランプ収納部7と光学フィルター11の間には、上方に可動ミラー13が設けられている。スペアランプ収納部8の前には固定ミラー14が設けられている。メインランプ収納部7内のキセノンランプ10が故障した場合には、スペアランプ収納部8側のキセノンランプ10に点灯を切り換えると共に、可動ミラー13を下降させ、下方に位置するスペアランプ収納部8側のキセノンランプ10の照明光Lを固定ミラー14で上方へ反射した後、下降した可動ミラー13により本来の光路に導くようになっている。
光学フィルター11の前には、集光レンズ15が設けられ、その集光点に光ファイバー5の他端が固定されている。光学フィルター11と集光レンズ15の間には回転板16が設けられ、その回転板16には4つの孔17〜20が形成されている。1つの孔17は開いており、その他の3つの孔18、19、20には第1励起フィルター21、第2励起フィルター22、第3励起フィルター23が設けられている。これらの第1〜3励起フィルター21〜23は、蛍光物質に応じて必要な波長を選択的に透過するバンドパスフィルターである。光ファイバー5の他端と集光レンズ15の間には、回転することで光量を無段階で連続的に調整可能な円板状の光量調整フィルター24が設けられている。
次に、蛍光物質としてインドシアニングリーンを使用する場合の作用を説明する。キセノンランプ10は図8に示すような放射スペクトル分布を有する照明光Lを平行光として照射する。固定された光学フィルター11は、図9及び図10(図8の要部拡大)から明らかなように、閾値を810nmとしたもので、照明光Lのうち、810nmより大きい赤外側の波長を全てカットする特性を有する。インドシアニングリーンを使用する場合は、回転板16の貫通した孔17が光学フィルター11に対応するように回転して位置決めされている。
従って、キセノンランプ10からの照明光Lは、図10に示すように、波長810より大きい赤外側の波長が全てカットされた励起光Eとなり、そのまま回転板16の貫通した孔17を通過して、集光レンズ15にて集光された後、光量調整フィルター24により最適な光量に調整されて、光ファイバー5の他端に導入される。
光ファイバー5の他端に導入された励起光Eは、光ファイバー5を介して顕微鏡4に導かれ、顕微鏡4の底面から患部Tへ向けて照射される。
患部Tには予め蛍光物質であるインドシアニングリーンが集積しており、インドシアニングリーンを励起させる波長805nmを含む励起光Eは、患部Tを蛍光させる。蛍光した患部Tは顕微鏡4により、その蛍光波長のみを透過するフィルター(図示せず)を介して観察(撮影)することができる。
患部Tには励起光Eが照射されるが、励起光Eには熱線となる810nmよりも大きい赤外側の波長が含まれていないため、患部Tが過熱されることはない。特に、キセノンランプ10の実質的に最初のピークPとなる825nm付近より手前(810nm)から赤外側をカットしているため、キセノンランプ10における確実な熱線除去を行うことができる。尚、この励起光Eは可視光を含むため、蛍光観察以外の通常観察にも使用できる。
インドシアニングリーン以外の他の蛍光物質を使用する場合は、回転板16における別の第1〜第3励起フィルター21、22、23を使用して、その蛍光物質の励起に必要な波長を選択的に透過すればよい。その場合も、励起フィルターの種類や有無の選択に拘わらず、光学フィルター11が、最も赤外側に励起波長をもつインドシアニングリーンにも対応できる特性を有しているため、それよりも小さい励起波長の5−アミノレブリン酸やタラポルフィンナトリウムにも確実に対応することが可能である。
他の蛍光物質を使用する場合も、前述のように、キセノンランプ10の最初のピークPとなる手前から赤外側をカットする光学フィルター11が固定式で設けられているため、キセノンランプ10の照明光Lから確実に熱線成分を除去することができる。すなわち、光学フィルター11がキセノンランプ10から顕微鏡4に到る照明光の光路の中に常に固定されており、照明光束の熱線成分を遮断するように配置されているので、励起フィルターの種類や有無に拘わらず熱線成分が患部Tに照射されることがない。また、光学フィルター11の固定位置は光量調整フィルター24よりキセノンランプ10側が好ましい。
以上の実施形態では、光学手段として、透過式の光学フィルター11を例にしたが、反射式のミラーでも、それらの組み合わせでも良いし、それ以外の光学手段でも良い。
本発明の実施形態に係るスタンド装置を示す全体斜視図。 スタンド装置の本体を示す斜視図。 本体内の光源部を示す斜視図。 光源部の要部を示す断面図。 光学フィルターを示す図。 回転板を示す図。 種類の異なる励起フィルターにより必要な波長成分だけを透過させる状態を示す説明図。 キセノンランプの放射スペクトル分布を示すグラフ。 キセノンランプの800nm付近の放射スペクトル分布を示すグラフ。 光学フィルターにより810nmよりも長波長側の波長成分がカットされた状態を示す図9相当のグラフ。
符号の説明
1 スタンド装置
2 本体
3 アーム
4 顕微鏡
5 光ファイバー
6 光源部
10 キセノンランプ
11 光学フィルター(光学手段)
T 患部
L 照明光
E 励起光
P ピーク

Claims (2)

  1. 顕微鏡を支持するアームと、該アームを支持する本体を備え、本体の内部に顕微鏡に供給する照明光を発する光源部を備え、該光源部の光源がキセノンランプである医療用スタンド装置であって、
    前記光源部から顕微鏡に到る照明光の光路中に、805nmより大きく815nmより小さい波長を閾値として長波長側の光をカットする光学手段が固定されていることを特徴とする医療用スタンド装置。
  2. 前記光学手段が一枚の透過式の光学フィルターであることを特徴とする請求項1記載の医療用スタンド装置。
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