JP2009135189A - 放電励起型パルスガスレーザー装置 - Google Patents

放電励起型パルスガスレーザー装置 Download PDF

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【課題】円筒形の放電励起型パルスガスレーザー装置を小型化するとともに、シート状コンデンサを容易に交換できるようにする。
【解決手段】半円筒状の支持導体と放電電極10を一体化した山型導体部4を、放電電極10を対向させてレーザー発振部を構成する。半円筒状の支持導体の外側に、シートコンデンサ6を交換可能に巻きつける。第1の放電電極10と接地間に、第1のシートコンデンサ6が形成される。第2の放電電極10と接地間に、第2のシートコンデンサ6が形成される。高圧電源に、第1の放電電極10を接続する。第1の放電電極10に、コイル5を介して第2の放電電極10を接続する。第2の放電電極10に、放電ギャップ8を接続する。これらの放電ユニットを、円筒ケース1内に収める。放電電極間の放電により、レーザー媒質ガスを励起してレーザー光を発生する。
【選択図】図1

Description

本発明は、ガスレーザー装置に関し、特に、放電励起型のパルスガスレーザー装置を超小型にしたレーザー装置に関する。
従来のパルスガスレーザー装置のうち、コンデンサに蓄積した電荷を対向電極間で放電して、レーザー媒質ガスを励起する放電励起型パルスガスレーザー装置では、コンデンサが大型になり、レーザー装置の小型化が困難であった。そこで、放電励起型パルスガスレーザー装置を小型化するために、レーザー装置を円筒形にして、コンデンサを円筒状に形成することが提案されている。以下に、コンデンサを円筒状にした放電励起型パルスガスレーザー装置の従来例をいくつかあげる。
特許文献1に開示された「放電励起パルスガスレーザー装置」は、コンデンサを含む励起回路を使用して、高効率でレーザー出力が得られるものである。図5(a)に示すように、放電励起パルスガスレーザー装置のレーザー容器構造を2重化して、外壁型コンデンサを形成する。これを充電用コンデンサとして使用することにより、高効率なレーザー発振が得られる。また、外壁型コンデンサをピーキングコンデンサとすることにより、繰り返し周波数を高くできる。更に、2重化構造によって、放電で発生する音を防ぐことができる。また、誘電体として流体を用い、外部の冷却機との間で循環させるようにして、レーザー容器の冷却を行うこともできる。
特許文献2に開示された「パルスガスレーザー」は、低インダクタンスのパルス成形回路で駆動する小型レーザーである。図5(b)に示すように、このパルスガスレーザーの小型レーザー発生部は、高エネルギーパルスを発生できる。回路のインダクタンスを最小にするエネルギー蓄積コンデンサを用いるので、短時間の高エネルギーパルスを発生でき、レーザー照準器に用いることができる。円筒状の入れ子構造のセラミックコンデンサは、薄い導電層でつながっている。コンデンサは、スパークギャップトリガとコイルと充電抵抗により充電される。コンデンサは、圧力容器を取り巻いている。圧力容器は、レーザー共振器を取り巻いている。レーザー共振器には、レーザー出力鏡と、全反射鏡と、放電電極と、中央空洞がある。中央空洞には、高圧のガスのレーザー媒体が入っている。高電圧放電電極は、周りのコンデンサと同軸状に設けてある。
特許文献3に開示された「ガスレーザー装置」は、立上りの速いパルスレーザー光を発生するものである。図6(a)に示すように、誘電体の放電管の内周面に、一対の内面板を設ける。放電管内に対向して、一対の電極が設けられている。一対の電極は、それぞれ内面板に電気的に接続されている。放電管の外周面に、筒状体が設けられている。筒状体は、放電管と内面板とでコンデンサを形成している。内面板と筒状体との間に、スイッチが設けられている。スイッチを動作させると、コンデンサに充電された電荷によって、一対の電極間に放電が発生する。
特許文献4に開示された「パルスガスレーザー発生装置」は、主放電用電極に輝点を生じることがなく、高繰り返しのパルス発振が可能で、横断面が円形で均一な強度分布の出力レーザービームが得られるものである。図6(b)に示すように、第1の主電極と、主放電路を形成するための絶縁体製筒状放電管と、第2の主電極が、この順に縦列配置されて、内部に媒体ガスが収容されている。第1主電極と第2主電極の外方に、光共振器を構成する一対のミラーが配置されている。第1主電極と第2主電極の間に主放電用電圧を印加する電源装置がある。第1主電極または第2主電極の少なくとも一方の電極の近傍に、筒状誘電体と、筒状誘電体に隣接して配置された補助電極とがある。動作時に補助電極に電圧を印加して、筒状誘電体の内側領域にプラズマ電極を生成する。
特開平01-24479号公報 米国特許第4,876,693号明細書 特許3034367号公報(特開平05-167157号公報) 再公表WO99-060676号公報
しかし、従来の円筒形の放電励起型パルスガスレーザー装置には、次のような問題がある。コンデンサを円筒状にするために、誘電体を堅固なものにしている。そのため、コンデンサの容量を大きくできず、レーザー出力の割には小型化できない。小型化するには、誘電体を薄くして容量を増やす必要があるが、コンデンサが劣化しやすくなり、寿命が短くなる。劣化したコンデンサを交換しようとしても、コンデンサがレーザー装置と一体化しているため、コンデンサのみの交換ができない。
本発明の目的は、上記従来の問題を解決して、放電励起型パルスガスレーザー装置を小型化するとともに、円筒状コンデンサの交換を容易にできるようにすることである。
上記の課題を解決するために、本発明では、高圧電源と、高圧電源に接続された第1の放電電極と、第1の放電電極に一端が接続された抵抗またはコイルと、抵抗またはコイルの他端に接続され第1の放電電極に平行に対向する第2の放電電極と、第1の放電電極に接続された円筒状の第1のコンデンサと、第2の放電電極に接続された円筒状の第2のコンデンサと、各放電電極のいずれかまたは各コンデンサのいずれかと接地間に接続された放電ギャップとを具備し、第1と第2の放電電極間の放電によりレーザー媒質ガスを励起してレーザー光を発生する放電励起型パルスガスレーザー装置の各コンデンサを、導体膜と誘電体膜を重ねて円筒状に巻きつけた交換可能なシート状コンデンサとした。
上記のように、シート状コンデンサを交換可能に巻きつける構成としたので、放電励起型パルスガスレーザー装置を小型化でき、シート状コンデンサの交換も容易になる。
以下、本発明を実施するための最良の形態について、図1〜図4を参照しながら詳細に説明する。
本発明の実施例は、円筒状のレーザー発振部の外側にシート状コンデンサを交換可能に巻きつけた放電励起型パルスガスレーザー装置である。
図1は、本発明の実施例における放電励起型パルスガスレーザー装置の概念図である。図1(a)は、シート状コンデンサの一部をカットして示した放電励起型パルスガスレーザー装置の平面図である。図1(b)は、放電励起型パルスガスレーザー装置の側面図である。図1(b)は、放電励起型パルスガスレーザー装置の平面図である。図1(d)は、放電励起型パルスガスレーザー装置を円筒ケースに収める様子を示す図である。図2は、放電励起型パルスガスレーザー装置の放電電極と支持導体が一体となった山型導体部の形状を示す図である。図3は、シート状コンデンサを示す図である。図4は、シート状コンデンサの巻き付け方を示す図である。図1〜図4において、円筒ケース1は、レーザーユニットを収容するケースである。接地電極2は、シート状コンデンサの接地側電極に接続される電極である。誘電体3は、シート状コンデンサの誘電体である。山型導体部4は、放電電極と支持導体を一体にして、断面を丸みのある山型にした導体である。
コイル5は、2つの放電電極を結ぶコイルである。抵抗でもよい。シート状コンデンサ6は、導体膜と誘電体膜で構成された、電荷を蓄積する素子である。鏡7は、後方のレーザー光を反射する鏡である。鏡は無くてもよいし、両側に鏡を設けた光学系共振器としてもよい。放電ギャップ8は、高速スイッチの機能を果たす手段である。レーザー発振部9は、放電電極と支持導体で構成され、放電によりレーザー発振を行う部分である。放電電極10は、コロナ放電あるいはグロー放電をパルス的に行って、レーザー媒質ガスを励起する電極である。導体膜11は、コンデンサの電極を構成する導体である。放電部12は、放電電極10の間でコロナ放電あるいはグロー放電を行なう空間である。
上記のように構成された本発明の放電励起型パルスガスレーザー装置の機能と動作を説明する。最初に、図1を参照しながら、この放電励起型パルスガスレーザー装置の機能の概要を説明する。基本的な構成と動作原理は、従来の円筒型の放電励起型パルスガスレーザー装置と同様である。円筒状のコンデンサをシート状コンデンサで構成する点と、放電電極を保持する支持導体の形状が、従来のものと異なる。放電電極10を保持する支持導体の形状を半円筒形にする。円筒状や円筒形は、断面が円や楕円や丸みのある多角形を含めたものをいう。
シート状コンデンサ6を、レーザー発振部9に交換可能に直接巻きつける。このようなシンプルな構造にして、レーザー光発生に必要な要素を小型化して一体化する。ハンディサイズに小型化でき、シート状コンデンサ6を容易に交換できる。最低でも4kV程度の高電圧があれば、レーザー光の発生が可能である。シート状コンデンサ6の充電電圧が所定の電圧値に達すると、放電ギャップ8で火花放電が起こり、一方のシート状コンデンサ6の電荷が放出される。他方のシート状コンデンサ6との間に電位差が生じて、放電電極間に高電圧が発生し、コロナ(グロー)放電が起こる。一直線状に発生する立上りの速いコロナ(グロー)放電により、レーザー媒質ガスを励起し、レーザー光を発生させる。
次に、図2を参照しながら、放電電極について説明する。図2(a)、(b)、(c)に、山型導体部4の側面図と、上面図と、下面図を示す。図2(d)に、軸に垂直な中央部の断面図を示す。図2(d)に示すように、山型導体部4の断面は丸みのある山字型をしている。2つの放電電極10を対向させて、図2(e)に示すように、円筒型のレーザー発振部9にする。放電電極10の長手方向の端部に電界が集中し火花放電などが起こる場合には、両端の1mmに丸みを付ける。レーザー発振部9にシート状コンデンサを巻きつけて、シート状コンデンサ6の一方のアルミシートを山型導体部4に接触させて、電気的に接続する。円筒の直径を2cm程度にすることで、手で持って扱い易いサイズになる。シート状コンデンサ6が損傷した場合は、容易に取り外して交換できる。
次に、図3(a)を参照しながら、シート状コンデンサについて説明する。まず、円筒状に巻きやすい素材を選ぶ。巻いたときに皺にならず、厚さや表面が均一な素材でなければならない。シート状コンデンサ6の形成には、100μmの厚さのポリエステルシートと12μmの厚さのアルミシートを用いる。2枚のアルミシートの間にポリエステルシートを挟んで、シート状コンデンサ6を構成する。アルミシートの代わりに銅シートなどでもよい。誘電体3は、ポリイミドやポリエチレンテレフタレートなど、必要な耐電圧を持つものであればよい。シート状コンデンサ6の下側の導体膜11(接地側導体)の下にも誘電体3があるので、2つのシート状コンデンサ6を重ねて巻くことができる。
次に、図3(b)を参照しながら、円筒状のレーザー発振部の構造について説明する。半円筒型をした支持導体を、放電電極10と一体化して、山型導体部4とする。放電電極10の先端部の形状は従来のものと同じであるが、放電電極10の後部を支持導体と連続させて、放電電極10と支持導体を一体化した山型導体部4とする。放電電極10を対向配置して、円筒型のレーザー発振部9を構成にする。レーザー発振部9を円筒型構造にして、シート状コンデンサ6を巻きやすくしてある。円筒型のレーザー発振部9に、シート状コンデンサ6を交換可能に巻きつける。一方のシート状コンデンサ6には、電源と一方の放電電極10を接続する。他方のシート状コンデンサ6には、他方の放電電極10と放電ギャップ8を接続する。
図4を参照しながら、シート状コンデンサの巻き方を説明する。シート状コンデンサ6の端部をレーザー発振部9の内部に入れて、予備電離のための電極とする。上側のシート状コンデンサ6の端部がAであり、下側のシート状コンデンサ6の端部がBである。シート状コンデンサ6を山型導体部4に沿って巻きつける。シート状コンデンサ6の上側の導体膜11が山型導体部4に接触して電気的に接続される。シート状コンデンサ6を半円分巻きつけると、端部Aに他方のシート状コンデンサ6のD部が重なる。また、端部Bには、他方のシート状コンデンサ6のC部が重なる。さらにシート状コンデンサ6を巻きつけると、他方のシート状コンデンサ6の上に重なって巻きつけられる。A’部は、A部とD部に重なり、B’部は、B部とC部に重なる。この状態では、一方のシート状コンデンサ6の導体膜11と他方のシート状コンデンサ6の導体膜11とでもコンデンサが形成される。このようにして、必要なだけシート状コンデンサ6を巻きつける。シート状コンデンサ6は、樹脂バンドなどの適当な方法で固定するか、必要に応じて、ベークライトなどの絶縁性樹脂の円筒ケース1内に収める。このようにシート状コンデンサ6を巻きつけるので、放電電極10の間隔を固定したまま、容易にシート状コンデンサ6を交換できる。
次に、レーザー媒質について説明する。大気をそのまま利用して、大気中の窒素ガスをレーザー媒質とすることができる。レーザー発振部を大気に開放したまま、純窒素ガスを吹き込んで、大気圧の窒素ガスレーザーとすることもできる。大気圧の純窒素ガスまたは大気圧より高圧または低圧の純窒素ガスを封入してもよい。窒素ガスと希ガスの混合ガスを封入してもよい。炭酸ガスでもよい。また、希ガスハライド系や水銀ハライド系のエキシマでもよい。周知の放電励起型パルスガスレーザー装置に用いられているレーザー媒質ガスであれば、いずれでもよい。また、これらのレーザー媒質ガスを励起する回路としても、LCR回路や容量移行型回路やLC反転回路やパルス波形成形回路やBlumlein回路など、周知の励起回路を用いることができる。
次に、コイルについて説明する。2つのシート状コンデンサ6同士をつなぐ充電用の素子は、コイルや抵抗が一般的である。メンテナンスしやすく、特性に変化が少ない空芯コイルを用いる。コイルの代わりに抵抗でもよい。放電電極10同士は、コイル5を介して接続されており、同電位に充電されるようになっている。放電ギャップ8に火花放電が発生した瞬間には、コイル5のインピーダンスは無限大とみなしてもよくなり、放電電極10間の高電圧の発生には影響を与えない。
次に、動作条件を説明する。レーザー媒質ガスを励起できるような速い立上りを実現するためには、パルス発生回路のインダクタンスを十分小さくする必要がある。パルス発生回路のインダクタンスを十分に小さく保ち、放電電極10間に短時間に高い電位差を生じさせることが重要である。そこで、放電電極10とシート状コンデンサ6と放電ギャップ8の距離を極力短くするように配置する。ところで、シート状コンデンサ6への充電電圧を上げて、放電電極10間に発生させる電圧を上昇させることで、大きな出力が得られるようになるが、十分な出力を得るには、放電電極10の間隔を大きくする必要がある。
瞬間パルスレーザー光のエネルギーは、例えば、電極長が150mmでミラーありで純窒素大気圧動作で、20μJ程度である。パルス幅は、例えば、1nsec程度である。また、予備電離回路を使用して、発生する弱いコロナ放電により予備電離を行う。周知のように、レーザー媒質ガスや励起回路や装置サイズなどにより、動作条件はかなり異なるので、個別の詳しい説明は省略する。
構造が簡単で小型化しやすいセルフトリガ式の放電ギャップ8を大気圧中で用いる。放電ギャップ8は、放電電極10の端に取り付けたコイル5の近くに配置している。例えば、充電電圧が約4.8kVになるように、放電ギャップ8を調整する。電源に、電池駆動ができる小型モジュール化された高圧電源装置を利用できる。これらのものは周知のものを利用できるので、詳しい説明は省略する。
上記のように、本発明の実施例では、放電励起型パルスガスレーザー装置を、円筒状のレーザー発振部の外側にシート状コンデンサを交換可能に巻きつけた構成としたので、小型化でき、シート状コンデンサの交換も容易になる。
本発明の放電励起型パルスガスレーザー装置は、レーザー医療機器やレーザー加工機やレーザー利用の測定器や計測器や指紋可視化装置などのためのハンディサイズのレーザー装置として最適である。
本発明の実施例における放電励起型パルスガスレーザー装置の概念図である。 本発明の実施例における放電励起型パルスガスレーザー装置のレーザー発振部の図である。 本発明の実施例における放電励起型パルスガスレーザー装置のシート状コンデンサを示す図である。 本発明の実施例における放電励起型パルスガスレーザー装置のシート状コンデンサの巻き付け方を示す図である。 従来の円筒状の放電励起型パルスガスレーザー装置の概念図である。 従来の円筒状の放電励起型パルスガスレーザー装置の概念図である。
符号の説明
1 円筒ケース
2 接地電極
3 誘電体
4 山型導体部
5 コイル
6 シート状コンデンサ
7 鏡
8 放電ギャップ
9 レーザー発振部
10 放電電極
11 導体膜
12 放電部

Claims (1)

  1. 高圧電源と、前記高圧電源に接続された第1の放電電極と、前記第1の放電電極に一端が接続された抵抗またはコイルと、前記抵抗またはコイルの他端に接続され前記第1の放電電極に平行に対向する第2の放電電極と、前記第1の放電電極に接続された円筒状の第1のコンデンサと、前記第2の放電電極に接続された円筒状の第2のコンデンサと、前記各放電電極のいずれかまたは前記各コンデンサのいずれかと接地間に接続された放電ギャップとを具備し、前記第1と第2の放電電極間の放電によりレーザー媒質ガスを励起してレーザー光を発生する放電励起型パルスガスレーザー装置において、前記各コンデンサは、導体膜と誘電体膜を重ねて円筒状に巻きつけた交換可能なシート状コンデンサであることを特徴とする放電励起型パルスガスレーザー装置。
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