以下、本発明の好ましい実施の形態について説明する。なお、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能構成を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略する。図1に示すように、本発明の実施の形態にかかる基板処理システム1は、基板としてのウェハを基板処理システム1に対して搬入出させる搬入出部2、搬入出部2に隣接させて設けられた2つのロードロック室3、各ロードロック室3にそれぞれ隣接させて設けられた搬送室4、搬送室4の周りに配置された複数のプラズマ処理装置5で構成されている。
搬送室4には、ロードロック室3と各プラズマ処理装置5との間で基板を搬入出させる搬送装置10が設けられている。搬送装置10はウェハを支持するための一対のアーム部材11を有している。搬送室4の内部は真空引き可能になっている。即ち、搬送室4内を真空状態にすることで、ロードロック室3から取り出したウェハを各プラズマ処理装置5に搬送でき、各プラズマ処理装置5から搬出したウェハをロードロック室3に戻すことができる。このため、各プラズマ処理装置5内を真空に維持したまま、ウェハの搬入・搬出を行うことができる。
この基板処理システム1は、相対的に小型の基板と相対的に大型の基板といった大きさの異なる2種類の基板を処理することが可能である。図2は、この基板処理システム1によって処理される大きさの異なる2種類のウェハW1、W2とカバー部材Cの説明図である。図2(a)に示すように、相対的に大型のウェハW1は、例えば300mmウェハ(12inウェハ)であり、このウェハW1は、直径D1が300mmの円板形状である。一方、図2(b)に示すように、相対的に小型のウェハW2は、例えば200mmウェハ(8inウェハ)であり、このウェハW2は、直径D2が200mmの円板形状である。
また、図2(c)に示すように、カバー部材Cは、大型のウェハW1と外縁の形状が同じであり、カバー部材Cの外縁は、直径D1=300mmの円形状である。このカバー部材Cの内方には、直径D2=200〜202mmの円形状の空間部C’が設けられている。
このように、カバー部材Cには、小型のウェハW2の外縁と形状が同じ空間部C’(直径D2=200〜202mmの円形状の空間部C’)を内方に有するリング形状となっている。このため、図2(d)に示すように、カバー部材Cの内方の空間部C’には、小型のウェハW2を挿入することができる。そして、このようにカバー部材Cの内方の空間部C’に小型のウェハW2を挿入することにより、カバー部材Cと小型のウェハW2との組み合わせによって、図2(a)に示した大型のウェハW1とほぼ同様の直径D1=300mmの円板形状を得ることができる。
搬入出部2には、カセット15が隣接して置かれており、このカセット15から搬入出部2によって取り出されたウェハW1、W2が、ロードロック室3に受け渡される。また、ロードロック室3から搬入出部2によって取り出されたウェハW1、W2が、カセット15に戻される。
搬入出部2の側方には、ウェハW1、W2およびカバー部材Cの位置決めを行うアライメント機構20が設けられている。図3は、アライメント機構20の説明図である。図3(a)は、アライメント機構20によって大型のウェハW1を位置合わせする状態を示し、図3(b)は、アライメント機構20によって小型のウェハW2とカバー部材Cを一緒に位置合わせする状態を示している。
このアライメント機構20は、上端に中央支持面21が形成された支柱部材22の下端に、ステッピングモータ23を取り付けた構成である。支柱部材22の側面には、支柱部材22を中心にして外側に伸びるように配置された3本の回転アーム25が、中心角120°の角度間隔で取り付けられている。各回転アーム25の先端には、上方に突出した周辺支持面26がそれぞれ設けられている。3つの周辺支持面26は同一平面内にあり、支柱部材22上端の中央支持面21の高さは、回転アーム25先端の3つの周辺支持面26の高さよりも僅かに高くなっている。
アライメント機構20で位置合わせするに際し、大型のウェハW1を位置合わせする場合は、図3(a)に示すように、ウェハW1の中央が中央支持面21に載せられる。このように、大型のウェハW1を位置合わせする場合は、ウェハW1は中央支持面21で支持される。そして、この状態でステッピングモータ23が回転することにより、ウェハW1の位置合わせが行われる。なお、支柱部材22上端の中央支持面21の高さは、回転アーム25先端の3つの周辺支持面26の高さよりも僅かに低くなっていても良い。その場合は、大型のウェハW1の周辺が3つの周辺支持面26によって支持されることになる。
一方、アライメント機構20では、小型のウェハW2とカバー部材Cの位置合わせが同時に行われる。このように小型のウェハW2とカバー部材Cが位置合わせされる場合は、図3(b)に示すように、ウェハW2の中央が中央支持面21に載せられる。また、カバー部材Cが3つの周辺支持面26に載せられる。このように、小型のウェハW2カバー部材Cが位置合わせされる場合は、ウェハW2が中央支持面21で支持され、カバー部材Cが3つの周辺支持面26で支持されることにより、カバー部材Cの内方の空間部C’に小型のウェハW2を挿入した状態で、カバー部材CとウェハW2がアライメント機構20に載置させられる。そして、この状態でステッピングモータ23が回転することにより、カバー部材CとウェハW2の位置合わせが同時に行われる。
支柱部材22上端の中央支持面21は、大型のウェハW1の中央および小型のウェハW2の中央を支持できるように、小型のウェハW2よりも相当に小さい面積を有している。一方、3つの周辺支持面26は、中央支持面21に支持された大型のウェハW1よりも内側の位置において、カバー部材Cあるいは大型のウェハW1の周辺を支持できる位置に配置されている。
搬送装置10が備えるアーム部材11は、大型のウェハW1、小型のウェハW2およびカバー部材Cのいずれも支持できる機能を有している。図4は、アーム部材11の平面図である。図5(a)は、アーム部材11によって大型のウェハW1を支持した状態の説明図であり、図5(b)は、アーム部材11によって小型のウェハW2とカバー部材Cを一緒に支持した状態の説明図である。
アーム部材11の上面には、小型のウェハW2の裏面に接触可能な中央領域11aと、アーム部材11の載せた小型のウェハW2の外側において、大型のウェハW1の裏面に接触可能な外側領域11bを有している。図5(a)に示すように、大型のウェハW1がアーム部材11に載せられた状態では、中央領域11aと外側領域11bの両方によって大型のウェハW1が支持される。一方、図5(b)に示すように、小型のウェハW2とカバー部材Cが一緒にアーム部材11に載せられた状態では、中央領域11aによって小型のウェハW2が支持され、外側領域11bによってカバー部材Cが支持される。
搬送装置10は、このようにアーム部材11に載せた状態で、大型のウェハW1をロードロック室3と各プラズマ処理装置5の間で搬送すると共に、小型のウェハW2とカバー部材Cを一緒にロードロック室3と各プラズマ処理装置5の間で搬送するようになっている。
図6は、プラズマ処理装置5の概略的な構成を示す縦断面図である。図7は、このプラズマ装置1が備える中央昇降機構65と周辺昇降機構66の説明図である。
図6に示すように、このプラズマ処理装置5は例えばアルミニウムからなる、上部が開口した有底円筒形状の処理容器30を備えている。後述するように、この処理容器30の内部において、大型のウェハW1と小型のウェハW2が選択的にプラズマ処理される。処理容器30の内壁面には、例えばアルミナなどの保護膜が被覆されている。処理容器30は電気的に接地されている。
処理容器30内の底部には、大型のウェハW1と小型のウェハW2を選択的に上面に載置させる円筒形状の載置台(サセプタ)31が設けられている。なお、大型のウェハW1と小型のウェハW2は、いずれも各ウェハW1、W2の中心を載置台31の上面に一致させた状態で載置台31上に載置される。また、小型のウェハW2が載置台31上に載置される場合は、図2(d)に示したように、カバー部材Cの内方の空間部C’に小型のウェハW2を挿入した状態で、小型のウェハW2とカバー部材Cが一緒に載置台31上に載置される。
載置台31は例えばアルミニウムからなり、その内部には、ヒータ等の温度調節機構が設けられている。これによって、載置台31上のウェハWを所定温度に温度調節することが可能である。処理容器30の底部には、真空ポンプなどの排気装置32によって処理容器30内の雰囲気を排気するための排気管33が接続されている。
処理容器30の上部開口には、気密性を確保するためのOリング等を介して、たとえば誘電体の石英部材からなる透過窓35が設けられている。透過窓35は略円盤形状である。石英部材に代えて、他の誘電体材料、たとえばAl2O3、AlN等のセラミックスを使用してもよい。
透過窓35の上方には、平面状のアンテナ部材、例えば円板状のラジアルラインスロットアンテナ36が設けられている。ラジアルラインスロットアンテナ36は、導電性を有する材質、たとえばAg、Au等でメッキやコーティングされた銅の薄い円板からなる。ラジアルラインスロットアンテナ36には、マイクロ波を透過させる多数のスリットが、例えば渦巻状や同心円状に整列して形成されている。
ラジアルラインスロットアンテナ36の上面にはマイクロ波の波長を短縮するための遅波板37が配置されている。遅波板37は導電性のカバー38によって覆われている。カバー38には円環状の熱媒流路39が設けられ、この熱媒流路39を流れる熱媒によって、カバー38と透過窓35を所定温度に維持するようになっている。
カバー38の中央には同軸導波管40が接続されている。この同軸導波管40は、内側導体41と外管42とによって構成されている。内側導体41は、上述のラジアルラインスロットアンテナ36と接続されている。内側導体41のラジアルラインスロットアンテナ36側は円錐形に形成されて、ラジアルラインスロットアンテナ36に対してマイクロ波を効率よく伝播するようになっている。
マイクロ波供給装置45で発生させられた例えば2.45GHzのマイクロ波が、矩形導波管46、モード変換器47、同軸導波管40、遅波板37、ラジアルラインスロットアンテナ36を介して、透過窓35に放射される。そして、その際のマイクロ波エネルギーによって透過窓35の下面に電界が形成され、処理容器30内にプラズマが生成される。
処理容器30内には、ガス供給機構としての上シャワープレート50と下シャワープレート51が、載置台31の上部に設けられている。これら上シャワープレート50と下シャワープレート51は、例えば石英管などからなる中空の管材で構成されている。図示はしないが、上シャワープレート50と下シャワープレート51には、載置台31上のウェハW1、W2に対してガスを供給する複数の開口部が分布して設けられている。
上シャワープレート50には、処理容器30の外部に配置されたプラズマ生成ガス供給源55が、配管56を介して接続されている。プラズマ生成ガス供給源55には、プラズマ生成用のガスとして例えば窒素、Ar、酸素などが貯留されている。このプラズマ生成ガス供給源55から、配管56を通じて、上シャワープレート50内にプラズマ生成ガスが導入され、処理容器30内に均一に分散された状態で、プラズマ生成ガスが供給される。
下シャワープレート51には、処理容器30の外部に配置された処理ガス供給源60が、配管61を介して接続されている。処理ガス供給源60には、処理ガスとして例えばTEOSなどが貯留されている。この処理ガス供給源60から、配管61を通じて、下シャワープレート51内に処理ガスが導入され、処理容器30内に均一に分散された状態で、処理ガスが供給される。
載置台31の下方には、載置台31上に置かれた大型のウェハW1、小型のウェハW2およびカバー部材Cを適宜昇降させる中央昇降機構65と周辺昇降機構66が設けられている。
中央昇降機構65は、載置台31の上面に突出自在な3本の昇降ピン70を、プレート71の上面に垂直に取り付けた構成を有している。中央昇降機構65のプレート71は、処理容器30の底部を貫通する支柱部72の上端に支持されている。支柱部72の下端には、処理容器30の外部に配置された昇降装置73が取り付けられている。この昇降装置73の稼動により、載置台31を貫通している3本の昇降ピン70が昇降し、昇降ピン70の上端が載置台31の上面から上方に突出した状態と、昇降ピン70の上端が載置台31の内部に引き込まれた状態とに切り替えられる。
同様に、周辺昇降機構66は、載置台31の上面に突出自在な3本の昇降ピン75を、プレート76の上面に垂直に取り付けた構成を有している。周辺昇降機構66のプレート76は、処理容器30の底部を貫通する支柱部77の上端に支持されている。支柱部77の下端には、処理容器30の外部に配置された昇降装置78が取り付けられている。この昇降装置78の稼動により、載置台31を貫通している3本の昇降ピン75が昇降し、昇降ピン75の上端が載置台31の上面から上方に突出した状態と、昇降ピン75の上端が載置台31の内部に引き込まれた状態とに切り替えられる。
中央昇降機構65の3本の昇降ピン70は、載置台31上面の中央部31’の範囲内に配置されている。この実施の形態では、載置台31上面の中央部31’は、載置台31の上面において中心から半径100mmの円の内側の部分である。この中央部31’は、載置台31上に載置された小型のウェハW2の裏面全体と一致する範囲である。
一方、周辺昇降機構66の3本の昇降ピン75は、載置台31上面の周辺部31”に配置されている。この実施の形態では、載置台31上面の周辺部31”は、載置台31の上面において中心から半径100mmの円の外側であって、中心から半径150mmの円の内側の部分である。この周辺部31”は、載置台31上に載置された、カバー部材Cの裏面全体と一致する範囲である。なお、載置台31上に大型のウェハW1が載置された場合は、中央部31’および周辺部31”が、大型のウェハW1の裏面全体と一致する。
中央昇降機構65の3本の昇降ピン70と周辺昇降機構66の3本の昇降ピン75がこのような位置関係になっていることにより、中央昇降機構65の3本の昇降ピン70は、昇降装置73の稼動によって、載置台31上に載置された小型のウェハW2と大型のウェハW1の両方を突き上げることができるが、中央昇降機構65の3本の昇降ピン70は、載置台31上に載置されたカバー部材Cは突き上げることができない。このため、中央昇降機構65は、載置台31上において、小型のウェハW2と大型のウェハW1の昇降動作を行うことができる。一方、周辺昇降機構66の3本の昇降ピン75は、昇降装置78の稼動によって、載置台31上に載置された大型のウェハW1とカバー部材Cの両方を突き上げることができるが、周辺昇降機構66の3本の昇降ピン75は、載置台31上に載置された小型のウェハW2は突き上げることができない。このため、周辺昇降機構66は、載置台31上において、大型のウェハW1とカバー部材Cの昇降動作を行うことができる。
大型のウェハW1と小型のウェハW2およびカバー部材Cは、いずれも上述した搬送装置10のアーム部材11に載せられて、各プラズマ処理装置5の処理容器30内に搬入され、載置台31の上方に移動させられる。このように載置台31の上方に移動したアーム部材11は、中央昇降機構65の3本の昇降ピン70と周辺昇降機構66の3本の昇降ピン75のいずれとも干渉しない位置になっている。即ち、アーム部材11を載置台31の上方に移動させた状態で、中央昇降機構65の3本の昇降ピン70および周辺昇降機構66の3本の昇降ピン75を昇降させることができ。中央昇降機構65の3本の昇降ピン70および周辺昇降機構66の3本の昇降ピン75を上昇させた状態で、アーム部材11を載置台31の上方に移動させ、アーム部材11を載置台31の上方から退出させることが可能である。
次に、以上のように構成された基板処理システム1の作用について説明する。なお、プラズマ処理の一例として、プラズマ生成ガスとしてAr、酸素を用い、処理ガスとしてTEOSを使用して、絶縁膜(SiO2膜)を成膜する例を説明する。
この基板処理システム1は、大型のウェハW1と小型のウェハW2を選択的に処理することが可能である。そこで先ず、基板処理システム1において大型のウェハW1を処理する場合を説明する。
先ず、搬入出部2において、カセット15から取り出された大型のウェハW1が、アライメント機構20で位置合わせされた後、ロードロック室3に受け渡される。そして、ロードロック室3内および搬送室4内が真空に維持された状態で、搬送装置10のアーム部材11によってロードロック室3内から大型のウェハW1が取り出され、大型のウェハW1が所望のプラズマ処理装置5に搬入される。
ここで、プラズマ処理装置5への大型のウェハW1の搬入は次のように行われる。先ず、図8(a)に示すように、アーム部材11に載せられた大型のウェハW1が載置台31の上方に移動させられる。なお、このようにアーム部材11によって大型のウェハW1を載置台31の上方に移動させる場合は、中央昇降機構65の昇降ピン70と周辺昇降機構66の昇降ピン75は、いずれも下降させられている。
こうしてアーム部材11に載せられた大型のウェハW1が載置台31の上方に移動させられると、周辺昇降機構66の昇降装置78の稼動により、周辺昇降機構66の3本の昇降ピン75が上昇し、アーム部材11に載せられた大型のウェハW1を突き上げて、アーム部材11の上方に持ち上げる。これにより、図8(b)に示すように、大型のウェハW1は、周辺昇降機構66の3本の昇降ピン75の上端によって支持された状態となる。こうして、大型のウェハW1が周辺昇降機構66の3本の昇降ピン75に受け渡された後、アーム部材11が載置台31の上方から退出し、アーム部材11は、搬送室4内に戻される。
そして、アーム部材11の退出後、図8(c)に示すように、周辺昇降機構66の昇降装置78の稼動により、周辺昇降機構66の3本の昇降ピン75が下降させられる。これにより、大型のウェハW1は、載置台31の上面に載置される。
なお、大型のウェハW1を載置台31の上面に載置させる工程は、中央昇降機構65の昇降ピン70によっても同様に行うことができる。即ち、中央昇降機構65の昇降ピン70によって大型のウェハW1を載置台31の上面に載置させる場合は、アーム部材11に載せられた大型のウェハW1が載置台31の上方に移動させられた後、中央昇降機構65の昇降装置73の稼動により、中央昇降機構65の3本の昇降ピン70が上昇し、アーム部材11に載せられた大型のウェハW1を突き上げて、アーム部材11の上方に持ち上げる。これにより、大型のウェハW1は、中央昇降機構65の3本の昇降ピン70の上端によって支持された状態となる。そして、アーム部材11の退出後、中央昇降機構65の昇降装置73の稼動により、中央昇降機構65の3本の昇降ピン70が下降させられる。これにより、大型のウェハW1は、同様に載置台31の上面に載置される。
こうして、大型のウェハW1が載置台31上に載置されると、処理容器30内が密閉された状態となり、排気管33から排気が行われて処理容器30内が減圧される。更に、上シャワープレート50からはプラズマ生成ガス(Ar、酸素)が処理容器30内に供給され、下シャワープレート51からはプラズマ成膜用の処理ガス(TEOS)が処理容器30内に供給される。そして、マイクロ波供給装置31の作動により、透過窓35の下面に電界が発生し、前記プラズマ生成ガスがプラズマ化され、更に、処理ガスがプラズマ化されて、その際に発生した活性種によって、大型のウェハW1上に成膜処理がなされる。そして、所定時間成膜処理が行われた後、マイクロ波供給装置31の作動と、処理容器30内への処理ガスの供給が停止される。その後、大型のウェハW1が処理容器30内から搬出される。
ここで、プラズマ処理装置5からの大型のウェハW1の搬出は次のように行われる。成膜処理が終了すると、先ず、図8(b)に示すように、周辺昇降機構66の昇降装置78の稼動により、周辺昇降機構66の3本の昇降ピン75が上昇し、載置台31の上面に載置されていた大型のウェハW1が、載置台31の上方に持ち上げられる。その後、搬送装置10のアーム部材11が処理容器30内へ搬入され、アーム部材11が載置台31の上方に進入させられる。
そして、アーム部材11が載置台31の上方に進入した後、周辺昇降機構66の昇降装置78の稼動により、周辺昇降機構66の3本の昇降ピン75が下降する。これにより、図8(a)に示すように、大型のウェハW1が、アーム部材11に載せられた状態となる。そして、アーム部材11に載せられた大型のウェハW1がプラズマ処理装置5から搬出され、ロードロック室3に戻される。
なお、大型のウェハW1をプラズマ処理装置5から搬出させる工程は、中央昇降機構65の昇降ピン70によっても同様に行うことができる。即ち、中央昇降機構65の昇降ピン70を用いて大型のウェハW1をプラズマ処理装置5から搬出させる場合は、成膜処理が終了後、先ず、中央昇降機構65の昇降装置73の稼動により、中央昇降機構65の3本の昇降ピン70が上昇し、載置台31の上面に載置されていた大型のウェハW1が、載置台31の上方に持ち上げられる。その後、搬送装置10のアーム部材11が処理容器30内へ搬入され、アーム部材11が載置台31の上方に進入させられる。
そして、アーム部材11が載置台31の上方に進入した後、中央昇降機構65の昇降装置73の稼動により、中央昇降機構65の3本の昇降ピン70が下降する。これにより、大型のウェハW1が、アーム部材11に載せられた状態となる。そして、アーム部材11に載せられた大型のウェハW1がプラズマ処理装置5から搬出され、ロードロック室3に戻される。
こうしてロードロック室3に戻された大型のウェハW1は、搬入出部2を介してカセット15に戻される。
次に、この基板処理システム1において小型のウェハW2を処理する場合を説明する。
先ず、搬入出部2において、カセット15から取り出された小型のウェハW2が、カバー部材Cと共にアライメント機構20に搬入される。そして、アライメント機構20において、カバー部材Cの内方の空間部C’に小型のウェハW2が挿入された状態で、カバー部材CとウェハW2の位置合わせが同時に行われる。そして、位置合わせ後、カバー部材CとウェハW2はロードロック室3に受け渡される。そして、ロードロック室3内および搬送室4内が真空に維持された状態で、搬送装置10のアーム部材11によってロードロック室3内からカバー部材CとウェハW2が取り出され、カバー部材CとウェハW2が所望のプラズマ処理装置5に搬入される。
ここで、プラズマ処理装置5へのカバー部材CとウェハW2の搬入は次のように行われる。先ず、図9(a)に示すように、アーム部材11に載せられたカバー部材CとウェハW2が載置台31の上方に移動させられる。なお、このようにアーム部材11によってカバー部材CとウェハW2を載置台31の上方に移動させる場合は、中央昇降機構65の昇降ピン70と周辺昇降機構66の昇降ピン75は、いずれも下降させられている。
こうしてアーム部材11に載せられたカバー部材CとウェハW2が載置台31の上方に移動させられると、中央昇降機構65の昇降装置73の稼動により、中央昇降機構65の3本の昇降ピン70が上昇すると共に、周辺昇降機構66の昇降装置78の稼動により、周辺昇降機構66の3本の昇降ピン75が上昇する。これにより、アーム部材11に載せられたカバー部材CとウェハW2が、昇降ピン75および昇降ピン70によって同時に突き上げられて、アーム部材11の上方に持ち上げられる。これにより、図9(b)に示すように、カバー部材CとウェハW21は、昇降ピン75の上端と昇降ピン70の上端によって支持された状態となる。こうして、カバー部材CとウェハW2が昇降ピン75と昇降ピン70に受け渡された後、アーム部材11が載置台31の上方から退出し、アーム部材11は、搬送室4内に戻される。
そして、アーム部材11の退出後、図9(c)に示すように、中央昇降機構65の昇降装置73の稼動により、中央昇降機構65の3本の昇降ピン70が下降すると共に、周辺昇降機構66の昇降装置78の稼動により、周辺昇降機構66の3本の昇降ピン75が下降する。これにより、カバー部材CとウェハW2は、載置台31の上面に一緒に載置される。
こうして、カバー部材CとウェハW2が載置台31上に載置されると、処理容器30内が密閉された状態となり、排気管33から排気が行われて処理容器30内が減圧される。更に、上シャワープレート50からはプラズマ生成ガス(Ar、酸素)が処理容器30内に供給され、下シャワープレート51からはプラズマ成膜用の処理ガス(TEOS)が処理容器30内に供給される。そして、マイクロ波供給装置31の作動により、透過窓35の下面に電界が発生し、前記プラズマ生成ガスがプラズマ化され、更に、処理ガスがプラズマ化されて、その際に発生した活性種によって、ウェハW2上に成膜処理がなされる。
なお、ウェハW2上に対する成膜処理中は、載置台31上面の周辺部31”がカバー部材Cによって覆われている。このため、載置台31の上面の周辺部31”がプラズマ処理に伴うダメージを受ける事態を回避できる。これにより、載置台31の劣化や、パーティクルの発生も防止できる。
そして、所定時間成膜処理が行われた後、マイクロ波供給装置31の作動と、処理容器30内への処理ガスの供給が停止される。その後、カバー部材CとウェハW2が処理容器30内から一緒に搬出される。
ここで、プラズマ処理装置5からのカバー部材CとウェハW2の搬出は次のように行われる。成膜処理が終了すると、先ず、図9(b)に示すように、中央昇降機構65の昇降装置73の稼動により、中央昇降機構65の3本の昇降ピン70が上昇すると共に、周辺昇降機構66の昇降装置78の稼動により、周辺昇降機構66の3本の昇降ピン75が上昇する。これにより、載置台31の上面に載置されていたカバー部材CとウェハW2が、載置台31の上方に持ち上げられる。その後、搬送装置10のアーム部材11が処理容器30内へ搬入され、アーム部材11が載置台31の上方に進入させられる。
そして、アーム部材11が載置台31の上方に進入した後、中央昇降機構65の昇降装置73の稼動により、中央昇降機構65の3本の昇降ピン70が下降すると共に、周辺昇降機構66の昇降装置78の稼動により、周辺昇降機構66の3本の昇降ピン75が下降する。これにより、図9(a)に示すように、カバー部材CとウェハW2が、アーム部材11に載せられた状態となる。そして、アーム部材11に載せられたカバー部材CとウェハW2がプラズマ処理装置5から搬出され、ロードロック室3に戻される。
こうしてロードロック室3に戻されたカバー部材CとウェハW2はロードロック室3から搬入出部2に搬出され、更に、ウェハW2は、搬入出部2を介してカセット15に戻される。
この基板処理システム1によれば、処理容器30内の真空状態を維持したまま、載置台31の上面の周辺部31”に対してカバー部材Cを載置・除去できる。その結果、プラズマ処理効率が向上し、生産率の向上が図れる。また、小型のウェハW2をプラズマ処理する場合、載置台31の上面の周辺部31”をカバー部材Cで覆うことによって、載置台31の上面の周辺部31”がプラズマ処理に伴うダメージを受ける事態を回避できる。
以上、本発明の好ましい実施の形態の一例を説明したが、本発明はここに例示した形態に限定されない。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された思想の範疇内において、各種の変更例または修正例に相到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
例えば、基板処理システム1において小型のウェハW2を処理する場合、カバー部材CとウェハW2を載置台31の上面に同時に載置させる例を説明したが、載置台31の上面の中央部31’に小型のウェハW2が載置された後、載置台31の上面の周辺部31”にカバー部材Cが載置されても良い。また逆に、載置台31の上面の周辺部31”にカバー部材Cが載置された後、載置台31の上面の中央部31’に小型のウェハW2が載置されても良い。
また、カバー部材CとウェハW2を載置台31の上面から同時に搬出する例を説明したが、載置台31の上面の中央部31’から小型のウェハW2を搬出した後、載置台31の上面の周辺部31”からカバー部材Cを搬出しても良い。また逆に、載置台31の上面の周辺部31”からカバー部材Cを搬出した後、載置台31の上面の中央部31’から小型のウェハW2を搬出しても良い。
また、例えば図10(a)に示すように、カバー部材Cの内周面C”を、上に行くほど内方に突出するテーパー形状とすることにより、載置台31の上面およびアーム部材11の上面において、カバー部材Cの内方の空間部C’に挿入した小型のウェハW2を上方から抑えることができるといった利点がある。また逆に、例えば図10(b)に示すように、カバー部材Cの内周面C”を、下に行くほど内方に突出するテーパー形状とすることも考えられる。この図10(b)に示す例によれば、カバー部材Cの内方の空間部C’に小型のウェハW2を上から挿入する場合に、カバー部材CとウェハW2の位置合わせができるようになる。
なお、カバー部材Cの厚さは、小型のウェハW2と同程度であることが望ましい。
また、例えば図11、12に示すように、載置台31の上面外周部には、載置台31の上面に載置された大型のウェハW1の周囲に位置するガイド部材80が設けられていても良い。このように、載置台31の上面に載置された大型のウェハW1の周囲にガイド部材80を設けることによって、載置台31の上面において大型のウェハW1の位置合わせを行うこともできるようになる。また、プラズマ処理中は、ガイド部材80により大型のウェハW1の周面が押さえられ、ウェハW1の横ずれが防止される。
なお、図11、12に示したガイド部材80によれば、大型のウェハW1の場合と同様に、カバー部材Cに対しても、位置合わせや横ずれ防止が行われる。このため、カバー部材Cを介して、小型のウェハW2に対しても、位置合わせや横ずれ防止ができるようになる。
また、このように載置台31の上面にガイド部材80を設ける場合、ガイド部材80の材質として、SiまたはAlNを選択することによって、大型のウェハW1の表面全体に対するプラズマ処理の面内均一性を向上させることができる。即ち、従来一般に利用されているフォーカスリングはSiOで構成されているが、プラズマ処理中、かかるフォーカスリングがウェハW1の周囲に存在していると、特にCVD成膜処理について、ウェハW1の中心部で膜厚が厚くなる傾向があった。これに対して、図11、12に示したように、SiまたはAlNからなるガイド部材80をウェハW1の周囲に配置した場合、ウェハW1の中心部で膜厚が厚くなる傾向が抑制され、プラズマ処理の面内均一性を向上できることが分かった。
また、例えばプラズマ処理の種類によってガイド部材80の材質を変えることも考えられる。例えば塩素ガス系の処理ガスを用いたメタルエッチング処理では、ガイド部材80の材質を石英とし、CF系の処理ガスを用いた酸化膜(SiO膜)のエッチング処理では、ガイド部材80の材質をSiとするといったことも考えられる。このようにプラズマ処理の種類によってガイド部材80の材質を変えることにより、プラズマ処理に伴うガイド部材80の損傷や劣化を防止できる。
また同様の理由により、カバー部材Cの材質として、SiまたはAlNを選択することにより、小型のウェハW2の表面全体に対するプラズマ処理の面内均一性を向上させることができる。また、例えば塩素ガス系の処理ガスを用いたメタルエッチング処理では、石英からなるカバー部材Cを用い、CF系の処理ガスを用いた酸化膜(SiO膜)のエッチング処理では、Siからなるカバー部材Cを用いるといったことも考えられる。このようにプラズマ処理の種類によってカバー部材Cの材質を変えることにより、プラズマ処理に伴うカバー部材Cの損傷や劣化を防止できる。
なお、以上の実施の形態では、マイクロ波を用いたプラズマ処理を例にとって説明したが、これに限定されず、高周波電圧を用いたプラズマ処理についても本発明を適用できるのは勿論である。また、以上の実施の形態では、本発明を成膜処理を行うプラズマ処理に適用していたが、本発明は、成膜処理以外の基板処理、例えばエッチング処理を行うプラズマ処理にも適用できる。また、本発明のプラズマ処理で処理される基板は、半導体ウェハ、有機EL基板、FPD(フラットパネルディスプレイ)用の基板等のいずれのものであってもよい。