JP2009128416A - 画像形成装置及びその制御方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】所定の出力電圧をより迅速に出力することができ、出力電圧の安定性の高い画像形成装置及びその制御方法を提供する。
【解決手段】
圧電トランス101、駆動周波数を生成するパルス発生ブロック2054、圧電トランス101の出力電圧と目標出力電圧とを比較演算する電圧比較ブロック2057、目標出力電圧及びパルス発生ブロック2054の生成した駆動周波数を記憶するRAM2052を備え、電圧比較ブロック2057の比較結果に基づいてパルス発生ブロック2054が生成する駆動周波数を変更し、この駆動周波数で圧電トランス101を駆動し、変更された駆動周波数をRAM2052に記憶する画像形成装置であって、画像形成動作中は、電圧比較ブロック2057の比較結果に基づいた駆動周波数の変更を行わず、RAM2052に記憶された駆動周波数で圧電トランス101を駆動させるように制御することを特徴とする画像形成装置。
【選択図】図1

Description

本発明は、複写機、プリンタ、ファクシミリ装置等の画像形成装置及びその制御方法に関するものである。特に、圧電トランスを用いて高電圧を発生させる高圧電源装置を備えた画像形成装置及びその制御方法に関するものである。
従来知られている電子写真方式の画像形成装置において、感光体に転写部材を当接させて画像の転写を行う直接転写方式を採る場合、転写部材としては導電体の軸を持つローラ状の導電性ゴムから成る転写ローラを用いていた。そして、転写ローラを感光体のプロセススピードに合わせて回転駆動させていた。また、転写ローラに印加する電圧としては、直流バイアス電圧を用いていた。このとき、直流バイアス電圧の極性は、通常のコロナ放電式の転写電圧と同じ極性であった。
しかし、こうした転写ローラを用いて良好な画像の転写を行うためには、通常3kV以上の電圧(所要電流は数μA)を転写ローラに印加する必要があった。
前述したような画像形成処理に必要とされる高電圧を生成するために、従来は巻線式の電磁トランスを使用していた。しかし、電磁トランスは、銅線,ボビン,磁芯で構成されており、前記のような仕様の画像形成装置に用いる場合は、出力電流値が数μAという微小な電流のために、各部に於いて漏れ電流を最大限少なくしなければならなかった。そのため、トランスの巻線を絶縁物によりモールドする必要が有り、しかも供給電力に比較して大きなトランスを必要としたため、高圧電源装置の小型化・軽量化の妨げとなっていた。
そこで、これらの問題点を補うために、薄型で軽量、高出力の圧電トランスを用いて高電圧を発生させる高圧電源装置が提案されている(例えば、特許文献1参照)。すなわち、セラミックを素材とした圧電トランスを用いることにより、電磁トランス以上の効率で高電圧を生成することが可能となった。しかも、一次側及び二次側間の結合に関係なく一次側と二次側の電極間の距離を離すことが可能となって特別に絶縁のためのモールド加工をする必要がないため、高圧電源装置を小型・軽量にできるという優れた特性が得られた。
ここで、圧電トランス式の高圧電源装置の従来例を、図26を用いて説明する。
図26に示す回路は高圧電源であり、101は高圧電源の圧電トランス(圧電セラミックトランス)である。圧電トランス101の出力はダイオード102、103及び高圧コンデンサ104によって正電圧に整流平滑され、負荷である不図示の転写ローラに供給される。出力電圧は抵抗105、106、107によって分圧され、保護用抵抗108を介してオペアンプ109の非反転入力端子(+端子)に入力される。他方、オペアンプ109の反転入力端子(−端子)には抵抗114を介して不図示のDCコントローラからアナログ信号である高圧電源の制御信号(Vcont)が入力される。
オペアンプ109と抵抗114とコンデンサ113は、図15に示すように構成することにより、積分回路として機能しており、抵抗114とコンデンサ113の部品定数によって決まる積分時定数で平滑された制御信号Vcontがオペアンプ109に入力される。オペアンプ109の出力端子は電圧制御発振器(以下VCOと記す)110に接続され、VCO110の出力端子がインダクタ112に接続されたトランジスタ111を駆動することで、圧電トランス101の一次側に電源を供給する。
また、一般的に圧電トランス101の特性は、図4に示すような共振周波数F0において出力電圧が最大となるような裾広がり形状をしている。図4において、FminはVCO110で動作可能な最低周波数、FmaxはVCO110で動作可能な最高周波数である。
圧電トランス101の出力電圧は、周波数によって制御が可能であり、従来例では、最初に最高周波数Fmaxを出力し、その後最高周波数Fmaxから共振周波数F0の間で圧電トランス101の駆動周波数を変化させることによって出力電圧を制御している。したがって、圧電トランス101の出力電圧を増加させる場合は、この圧電トランス101の駆動周波数を高い方(Fmax)から低い方(F0)へ変化させることで可能となる。
また、図4において圧電トランス101の出力電圧をEdcAに制御する場合には、圧電トランス101の駆動周波数はFAとなる。ここで、負荷変動等の影響により出力電圧EdcAが変動した場合には高圧回路のVCO110は出力する駆動周波数を上下させて、出力電圧を所望の電圧EdcA一定となるように制御している。
特開平11−206113号公報
しかしながら、例えば、従来の高圧電源装置を画像形成装置に用いた場合には以下の問題があった。
すなわち、画像形成動作中に瞬間的な負荷変動等によって高圧電源装置からの出力電圧が変動した場合、VCO110の周波数変化応答性等を含む高圧電源回路の制御特性によって、その後出力電圧が比較的長時間変動してしまう場合があった。そして、これにより形成される画像の画質が低下してしまうおそれがあった。
また、前述のとおり、従来は動作開始時に最高周波数Fmaxを出力し、その後最高周波数Fmaxから共振周波数F0の間で圧電トランス101の駆動周波数を変化させることによって出力電圧を制御していた。そのため、動作開始から所定の駆動周波数に到達するまでの遅延時間を要することとなり、画像形成動作の高速化の妨げとなるおそれがあった。
このような画質や画像形成動作の高速化に与える影響は、従来求められていた画像形成装置の性能に対しては十分にその要求を満たすものであった。しかしながら、近年は画像形成装置の高品質化、高速化が特に求められている。したがって、これに対応するためには、出力電圧の安定性、特に負荷変動等により出力電圧が変化した場合に、あるいは装置の立ち上げ時に、迅速に所定の出力電圧を出力できることが求められている。
本発明は、係る状況下でなされたものであり、所定の出力電圧をより迅速に出力することができ、出力電圧の安定性の高い画像形成装置及びその制御方法を提供することを課題とする。
本発明は前述した課題を解決するためになされたものであり、以下の構成を備える。
(1)像担持体と、前記像担持体を帯電する帯電手段と、前記像担持体を露光して静電潜像を形成する露光手段と、前記像担持体に形成された静電潜像を可視像化する現像手段と、前記像担持体に形成された現像剤像を記録媒体に転写する転写手段と、画像形成動作を制御する制御手段と、前記帯電手段、現像手段、転写手段の少なくとも一つに対して高電圧を供給するための圧電トランスと、前記圧電トランスの駆動周波数を生成する周波数生成手段と、前記圧電トランスの出力電圧と予め定められた目標出力電圧とを比較演算する電圧比較手段と、前記目標出力電圧、及び前記周波数生成手段の生成した駆動周波数を記憶する記憶手段とを備え、前記電圧比較手段の比較結果に基づいて前記周波数生成手段が生成する駆動周波数を変更し、変更された駆動周波数で前記圧電トランスを駆動するとともに、変更された駆動周波数を前記記憶手段に記憶する画像形成装置であって、前記制御手段は、前記画像形成装置による画像形成動作中は、前記電圧比較手段の比較結果に基づいた駆動周波数の変更を行わず、前記記憶手段に記憶された駆動周波数で前記圧電トランスを駆動させるように制御することを特徴とする画像形成装置。
(2)像担持体と、前記像担持体を帯電する帯電手段と、前記像担持体を露光して静電潜像を形成する露光手段と、前記像担持体に形成された静電潜像を可視像化する現像手段と、前記像担持体に形成された現像剤像を記録媒体に転写する転写手段と、画像形成動作を制御する制御手段と、前記帯電手段、現像手段、転写手段の少なくとも一つに対して高電圧を供給するための圧電トランスと、前記圧電トランスの駆動周波数を生成する周波数生成手段と、前記圧電トランスの出力電圧と予め定められた目標出力電圧とを比較演算する電圧比較手段と、前記目標出力電圧、及び前記周波数生成手段の生成した駆動周波数を記憶する記憶手段とを備え、前記電圧比較手段の比較結果に基づいて前記周波数生成手段が生成する駆動周波数を変更し、変更された駆動周波数で前記圧電トランスを駆動するとともに、変更された駆動周波数を前記記憶手段に記憶する画像形成装置であって、前記電圧比較手段の比較結果に基づいた前記周波数生成手段の生成する駆動周波数の変更を制限する周波数変更制限手段を備え、前記制御手段は、前記画像形成装置による画像形成動作中は、前記周波数変更制限手段の制限にしたがって、前記電圧比較手段の比較結果に基づいた駆動周波数の変更を行うように制御することを特徴とする画像形成装置。
(3)像担持体と、前記像担持体を帯電する帯電手段と、前記像担持体を露光して静電潜像を形成する露光手段と、前記像担持体に形成された静電潜像を可視像化する現像手段と、前記像担持体に形成された現像剤像を記録媒体に転写する転写手段と、画像形成動作を制御する制御手段と、前記帯電手段、現像手段、転写手段の少なくとも一つに対して高電圧を供給するための圧電トランスと、前記圧電トランスの駆動周波数を生成する周波数生成手段と、前記圧電トランスの出力電圧と予め定められた目標出力電圧とを比較演算する電圧比較手段と、前記目標出力電圧、及び前記周波数生成手段の生成した駆動周波数を記憶する記憶手段とを備え、前記電圧比較手段の比較結果に基づいて前記周波数生成手段が生成する駆動周波数を変更し、変更された駆動周波数で前記圧電トランスを駆動するとともに、変更された駆動周波数を前記記憶手段に記憶する画像形成装置であって、前記制御手段は、n+1ページの画像形成動作を開始する際に、前記記憶手段に記憶されているnページの画像形成動作時の最終駆動周波数に基づいて定められた駆動周波数から前記圧電トランスの駆動を開始するように制御することを特徴とする画像形成装置。
(4)像担持体と、前記像担持体を帯電する帯電手段と、前記像担持体を露光して静電潜像を形成する露光手段と、前記像担持体に形成された静電潜像を可視像化する現像手段と、前記像担持体に形成された現像剤像を記録媒体に転写する転写手段と、画像形成動作を制御する制御手段と、前記帯電手段、現像手段、転写手段の少なくとも一つに対して高電圧を供給するための圧電トランスとを備えた画像形成装置の制御方法であって、前記圧電トランスの出力電圧と予め定められた目標出力電圧とを比較する比較ステップと、前記比較ステップにおける比較結果に基づいて前記圧電トランスを駆動する駆動周波数を変更する変更ステップと、前記変更ステップにおいて変更された駆動周波数で前記圧電トランスを駆動する駆動ステップと、前記変更された駆動周波数を記憶する記憶ステップと、前記画像形成装置による画像形成動作中は、前記変更ステップでの駆動周波数の変更を行わず、前記記憶ステップにおいて記憶された駆動周波数で前記圧電トランスを駆動させるように制御する制御ステップとを含むことを特徴とする画像形成装置の制御方法。
(5)像担持体と、前記像担持体を帯電する帯電手段と、前記像担持体を露光して静電潜像を形成する露光手段と、前記像担持体に形成された静電潜像を可視像化する現像手段と、前記像担持体に形成された現像剤像を記録媒体に転写する転写手段と、画像形成動作を制御する制御手段と、前記帯電手段、現像手段、転写手段の少なくとも一つに対して高電圧を供給するための圧電トランスとを備えた画像形成装置の制御方法であって、前記圧電トランスの出力電圧と予め定められた目標出力電圧とを比較する比較ステップと、前記比較ステップにおける比較結果に基づいて前記圧電トランスを駆動する駆動周波数を変更する変更ステップと、前記変更ステップにおいて変更された駆動周波数で前記圧電トランスを駆動する駆動ステップと、前記変更された駆動周波数を記憶する記憶ステップと、前記画像形成装置による画像形成動作中は、前記変更ステップにおける駆動周波数の変更に制限を設け、該制限にしたがって駆動周波数の変更を行うように制御する制御ステップとを含むことを特徴とする画像形成装置の制御方法。
(6)像担持体と、前記像担持体を帯電する帯電手段と、前記像担持体を露光して静電潜像を形成する露光手段と、前記像担持体に形成された静電潜像を可視像化する現像手段と、前記像担持体に形成された現像剤像を記録媒体に転写する転写手段と、画像形成動作を制御する制御手段と、前記帯電手段、現像手段、転写手段の少なくとも一つに対して高電圧を供給するための圧電トランスとを備えた画像形成装置の制御方法であって、前記圧電トランスの出力電圧と予め定められた目標出力電圧とを比較する比較ステップと、前記比較ステップにおける比較結果に基づいて前記圧電トランスを駆動する駆動周波数を変更する変更ステップと、前記変更ステップにおいて変更された駆動周波数で前記圧電トランスを駆動する駆動ステップと、前記変更された駆動周波数を記憶する記憶ステップと、n+1ページの画像形成動作を開始する際に、前記記憶ステップにおいて記憶されたnページの画像形成動作時の最終駆動周波数に基づいて定められた駆動周波数から前記圧電トランスの駆動を開始するように制御する制御ステップとを含むことを特徴とする画像形成装置の制御方法。
本発明によれば、所定の出力電圧をより迅速に出力することができ、出力電圧の安定性の高い画像形成装置及びその制御方法を提供することができる。
本発明を実施するための最良の形態を、以下の実施例で説明する。
ただし、この実施例に記載されている構成部品の寸法、材質、形状、その相対配置等は、特に特定的な記載がない限りは、この発明の範囲をそれらのみに限定する趣旨のものではない。
以下、図面を用いて、実施例1に係る画像形成装置について説明する。本実施例では、高圧電源装置を画像形成装置としてのカラーレーザプリンタに適用した場合を例に説明する。
図3は本実施例に係る画像形成装置としてのカラーレーザプリンタの概略断面図である。
図3において、401はカラーレーザプリンタ、402は記録紙32(記録媒体)を収納するデッキ、403はデッキ402内の記録紙32の有無を検知するデッキ紙有無検知センサ、404はデッキ402から記録紙32を繰り出すピックアップローラである。また、405はピックアップローラ404によって繰り出された記録紙32を搬送するデッキ給紙ローラ、406はデッキ給紙ローラ405と対をなし、記録紙32の重送を防止するためのリタードローラである。デッキ給紙ローラ405の記録紙32搬送方向下流には記録紙32を同期搬送するためのレジストローラ対407、レジストローラ対407への記録紙32の搬送状態を検知するレジ前センサ408が配設されている。
レジストローラ対407の記録紙32搬送方向下流には、静電吸着搬送転写ベルト(以下ETBと記す)409が配設されている。レジストローラ対407により供給された記録紙32はETB409により搬送され、トナー像(現像剤像)が転写ローラ430Y、430M、430C、430K(転写手段)によって記録紙32に重畳転写されてカラー画像が形成される。トナー像は、4色(イエローY、マゼンタM、シアンC、ブラックK)のプロセスカートリッジ410Y、410M、410C、410Kとスキャナユニット420Y、420M、420C、420K(露光手段)から成る画像形成部により形成される。
さらに下流には、記録紙32に転写された重畳トナー像を熱定着するために、内部に加熱用のヒータ432を備えた定着ローラ433と加圧ローラ434対が配設され、定着部を形成している。また、定着ローラ433からの記録紙32を搬送するための定着排紙ローラ対435、定着部からの搬送状態を検知する定着排紙センサ436が配設されている。
各スキャナユニット420Y〜Kは、後述するビデオコントローラ440から送出される各画像信号に基づいて変調されたレーザ光を発光するレーザユニット421Y〜Kを有する。またスキャナユニット420Y〜Kは、レーザユニット421Y〜Kからのレーザ光を感光体ドラム305Y〜K(像担持体)に走査して静電潜像を形成するためのポリゴンミラー422Y〜Kとスキャナモータ423Y〜K、結像レンズ群424Y〜Kを有する。
各プロセスカートリッジ410Y〜Kは、公知の電子写真プロセスに必要な感光体ドラム305Y〜Kを備える。またプロセスカートリッジ410Y〜Kは、帯電ローラ303Y〜K(帯電手段)と、各色のトナー(現像剤)で静電潜像を可視像化するための現像ローラ302Y〜K(現像手段)、トナー格納容器411Y〜Kを備える。そして、プロセスカートリッジ410Y〜Kは、レーザプリンタ401に対して着脱可能に構成されている。
ビデオコントローラ440は、パーソナルコンピュータ等の外部装置、例えばホストコンピュータ441から送出される画像データを受け取ると、この画像データをビットマップデータに展開し、画像形成用の画像信号を生成する。そして、画像データとしてスキャナユニット420Y〜Kに出力する。
201はレーザプリンタ401の制御部であるDCコントローラである。DCコントローラ201は、RAM207aを備えたCPU(1チップマイクロコンピュータ)207(制御手段)、特定用途向け集積回路(以下ASICと記す)205、及び不図示の各種入出力制御回路等で構成される。
202は、高圧電源装置であり、本実施例では、圧電トランス式高圧電源装置である。高圧電源装置202は、プロセスカートリッジ410Y〜Kに対応した不図示の帯電高圧電源、不図示の現像高圧電源と、転写ローラ430Y〜Kに対応した高圧を出力可能な圧電トランスを使用した転写高圧電源とで構成されている。
次に、本実施例の高圧電源装置202の構成について説明する。
図2は、高圧電源装置202の概略回路図である。図26に示す従来の高圧電源装置と同一の構成については、同一の記号を付して説明は省略する。
高圧電源装置202では、駆動パルスをVCO110ではなく、ASIC205が出力している。
続いて、高圧電源装置202の制御回路構成と特性について説明する。
本実施例では、電源投入後のイニシャル動作時に、圧電トランス101に入力する駆動周波数を段階的に変化させ、ディジタル素子内部の揮発性メモリに駆動周波数と圧電トランス101からの出力電圧を保持する。そして、所望の出力電圧の電圧値と一致する揮発性メモリ内に保持した出力電圧を検出する。そして、検出された出力電圧から次に入力する駆動周波数を決定し、その駆動周波数のパルスを圧電トランス101に入力する。以下、詳細に説明する。
図1は、ASIC205の内部ブロック図である。
図1においてASIC205は、アナログ信号をディジタル信号に変換するA/Dコンバータ2051、揮発性メモリであるRAM2052(記憶手段)を備える。またASIC205は、圧電トランス101に入力する駆動周波数の切換タイミング信号ならびに圧電トランス101の駆動周波数をRAM2052に記憶するタイミングを生成するタイミング生成ブロック2053を備える。さらにASIC205は、圧電トランス101に入力するパルスを発生するパルス発生ブロック2054(周波数生成手段)を備える。また、CPU207からの所望の電圧値とRAM2052に保持された出力電圧値を比較演算する電圧比較ブロック2057(電圧比較手段)、A/Dコンバータ動作許可信号を備える。ここで、A/Dコンバータ動作許可信号とは、RAM2052へのA/Dコンバータ2051からのデータ出力の許可・不許可を与える信号である。
図4は、圧電トランス101の駆動周波数に対する出力電圧(Vout)の特性を示した図である。同図に示すように、共振周波数F0において出力電圧が最大となるような裾広がり形状をしている。FminはASIC205で発生させることができる最低周波数、FmaxはASIC205で発生させることができる最高周波数である。また、EdcAは目標出力電圧値、FAは電圧値EdcAを出力する駆動周波数である。本実施例では、周波数範囲をFmaxからFminまで、初期周波数をFmaxとし、初期周波数Fmaxから所望の周波数値に逐次変更する。
図5は、RAM2052の内部構成を示した図である。本実施例において、RAM2052のそれぞれのアドレスには以下のデータあるいは信号が割り付けられている。すなわち、目標出力電圧データ、A/Dコンバータデータ、圧電トランス101の駆動周波数データ、複数の周波数可変幅データ1〜n、ならびに周波数可変幅選択信号、タイミング生成制御信号、A/Dコンバータ許可信号である。
次に、本実施例における駆動周波数と、その駆動周波数のパルスを圧電トランス101に入力した際の出力電圧の保持動作の一例について図1、図4及び図5を用いて説明する。
電源投入時には、CPU207から各種制御信号ならびに各種データがRAM2052の所定アドレスに格納され、RAM2052から目標出力電圧データが電圧比較ブロック2057にセットされる。そして、高圧電源装置202が動作状態になると同時に、A/Dコンバータ許可信号が許可状態となる。そして、圧電トランス101から出力されて抵抗105、106、107を含む検出回路(出力電圧検出手段)にて低電圧化された電圧が、A/Dコンバータ2051によりディジタル化されて、RAM2052の所定アドレスに格納される。
一方、タイミング生成ブロック2053からは一定周期で電圧比較ブロック2057に対して電圧比較実行信号が出力される。電圧比較ブロック2057では、RAM2052から設定された目標出力電圧データと、一旦RAM2052に格納されたA/Dコンバータ2051の出力データ、すなわち圧電トランス101の出力電圧検出値が比較演算される。そして、比較結果である符号を含む差分データがパルス発生ブロック2054に出力される。
パルス発生ブロック2054には電源投入時にCPU207から最高周波数Fmaxデータが格納され、高圧電源動作開始時にはこの最高周波数Fmaxにて動作している。その後、電圧比較ブロック2057からの差分データに基づき、圧電トランス駆動周波数を低下させる。電圧比較ブロック2057は、入力されるA/Dコンバータ2051からの出力データと目標出力電圧データの値が一致するまで電圧比較し、差分データをパルス発生ブロック2054に出力する。電圧比較実行と比較データ出力のタイミングはタイミング生成ブロック2053からの実行信号により行われる。
すなわち、高圧電源動作開始時には、駆動周波数が図4中のFmaxで動作を開始し、電圧比較を実行するにつれて、駆動周波数を目標出力電圧EdcAを出力する駆動周波数FAに近づけるべく、駆動周波数を下げる動作を行う。そして、目標出力電圧EdcAを得る駆動周波数FAになった時点で電圧比較ブロック2057からの差分データはゼロとなって一定周波数で動作することとなり、圧電トランス101の出力電圧に関してもEdcA一定となる。
その後、高圧電源装置202の各素子の温度変化や負荷変動等によってA/Dコンバータ2051からの出力データが変化した場合は、電圧比較ブロック2057からの差分データにしたがってパルス発生ブロック2054が生成する駆動周波数を変動させる。そして、これにより一定電圧EdcAを保つように動作する。
また、電圧比較ブロック2057により電圧比較され、パルス発生ブロック2054にて圧電トランス101の駆動周波数が確定した時点で、パルス発生ブロック2054からは駆動周波数データがRAM2052の指定アドレスに格納される。
続いて、本実施例の高圧電源装置202における、前述の駆動周波数と出力電圧の保持動作の制御について説明する。
図6は本実施例の制御を説明するためのタイミングチャート、図7は本実施例の制御結果を説明するためのタイミングチャート、図8は本実施例の動作フローチャートである。
図6に示すように本実施例では、圧電トランス101の出力電圧と目標出力電圧との比較を画像形成動作中は行わないように制御する。すなわち、A/Dコンバータ許可信号の許可、不許可を画像データの出力タイミングに応じて変更する。そして、A/Dコンバータ許可信号が不許可の場合(図6中のT1)は、パルス発生ブロック2054が直前にRAM2052に格納された駆動周波数データ(図6中のDrvFrq.)を用いて動作を行うこととした。
次に、図8を用いて本実施例の動作フローを説明する。この処理は、CPU207が不図示のROMに格納された制御プログラムに基づいて、各部を制御しながらRAM207a、RAM2052等を作業領域として用いて実行するものである。
電源投入後のイニシャル動作が開始されると、CPU207は初期駆動周波数データをRAM2052に格納する(ステップS801)。その後、目標出力電圧データをRAM2052に格納し(ステップS802)、画像データ出力が開始されているか否かを判断する(ステップS803)。画像データ出力が開始されていない状態(ステップS803_NO)では、A/Dコンバータ許可信号を許可状態とし(ステップS804)、RAM2052はA/Dコンバータ2051からの出力データを取り込む(ステップS805)。
そして、目標出力電圧とA/Dコンバータ2051からの出力データを電圧比較ブロック2057で比較し(ステップS807)、データが一致しない場合(ステップS807_NO)は、電圧比較ブロック2057にて差分データを抽出する(ステップS808)。そして、得られた差分データに基づいて、パルス発生ブロック2054にて駆動周波数を変更する(ステップS809)。そして、この駆動周波数データをRAM2052の規定アドレスに格納する(ステップS810)。ステップS807においてデータが一致した場合(ステップS807_YES)は、その際の駆動周波数データをRAM2052の規定アドレスに格納する(ステップS810)。
その後、パルス発生ブロック2054はRAM2052からこの駆動周波数データを取得して(ステップS811)、取得した駆動周波数のパルスを設定し(ステップS812)、このパルスを出力する(ステップS813)。
一方、ステップS803において、画像データ出力が開始されていると判断された場合時は(ステップS803_YES)、A/Dコンバータ許可信号を不許可とする(ステップS806)。そして、電圧比較ブロック2057においてA/Dコンバータ出力データと目標出力電圧データとの比較を行わず、RAM2052に格納されている駆動周波数データを取得する(ステップS811)。そして、パルス発生ブロック2054は、取得した駆動周波数のパルスを設定して(ステップS812)、このパルスを出力する(ステップS813)。
図7に示すように、画像形成動作中のあるタイミングにおいて瞬間的な負荷変動によって極めて短時間(図7中のt71)だけ出力電圧が変動したとする。このような状況で、A/Dコンバータ許可信号を許可状態で動作を行った場合は、圧電トランス101の動作応答性や高圧電源回路の制御特性、ASIC205内の動作の遅延時間等によって、過度な制御を行う可能性がある。その結果、出力電圧に比較的長い期間(図7中のt72)の出力電圧変動が現れてしまう。時間t71程度の短時間では、形成される画像に影響が出なくても、この時間t72の期間は少なからず画像への影響を及ぼす可能性があった。
しかしながら、本実施例のように画像データ出力中はA/Dコンバータ許可信号を不許可状態とした場合は(図7中の期間T1)、圧電トランス101の駆動周波数は固定されて動作することとなる。すなわち、圧電トランス101の駆動周波数は出力電圧検出値に影響されることなく、RAM2052に記憶されているデータに固定される。したがって時間t71程度の短時間の負荷変動による出力電圧変化が生じても、形成される画像に影響するような時間t72程度の出力電圧変動を生ずることがない。よって、安定した出力電圧を得ることができ、優れた画像品質を提供することが可能となる。
以上説明したように、本実施例では、画像形成動作中はA/Dコンバータ許可信号を不許可状態とし、圧電トランス101の駆動周波数をRAM2052に記憶されている周波数データに固定して動作を行うように制御している。したがって、画像形成動作中に瞬間的な負荷変動が生じた場合であっても、その後迅速に所定の出力電圧を出力することができ、出力電圧の安定性を高めることができる。そしてさらに、画像形成装置の高品質化が可能となる。
また、同一高圧電源装置内で複数の圧電トランスを同時駆動する場合には、本実施例の制御により相互の駆動周波数の干渉による出力電圧不安定化を抑えることができ、画像形成装置の画像高品質化が可能となる。
以下、実施例2に係る画像形成装置について説明する。なお、実施例1と同一の構成については、同一の図面を用いるとともに同一の符号を付す。また実施例1と同一の構成、動作については、説明は省略する。
実施例1では、画像形成動作中の出力電圧の過度な補正を防止するために、画像形成動作中はA/Dコンバータ許可信号を不許可とし、A/Dコンバータ許可信号が不許可になる直前の圧電トランス101の駆動周波数にて固定周波数動作を行った。本実施例においては、画像形成動作中においてもある制限内で駆動周波数補正を行う点が実施例1と異なる。
図9は、本実施例のASIC205の内部ブロック図である。
ASIC205は、実施例1の構成に加えて、さらに圧電トランス101に入力するパルスの周波数可変幅を生成する周波数可変幅制御ブロック2056、周波数可変幅を選択する周波数可変幅選択ブロック2055を備える。周波数可変幅選択ブロック2055及び周波数可変幅制御ブロック2056は、本発明の周波数変更制限手段を構成する。
続いて、本実施例の画像形成装置の高圧電源装置202における、駆動周波数と出力電圧の保持動作の制御について説明する。
図10は本実施例の制御を説明するためのタイミングチャート、図11は本実施例の制御結果を説明するためのタイミングチャート、図12は本実施例の動作フローチャートである。
図10に示すように本実施例では、A/Dコンバータ許可信号は常に許可状態とし、画像データの出力タイミングに応じて、すなわち画像形成動作中か否かで周波数可変幅を変更する。本実施例では非画像形成動作時には周波数可変幅データ1を用い、画像形成動作時には周波数可変幅データ2を用いる。また、周波数可変幅データ2は周波数可変幅データ1よりも可変幅が小さく、画像形成動作中の駆動周波数の変動が形成される画像の画質に与える影響を抑えることができる範囲の変動幅となっている。
詳述すると、まずカラーレーザプリンタの電源投入後のイニシャル動作時には、CPU207からASIC205に対して、RAM2052内に格納してある周波数可変幅データ1を選択するように周波数可変幅選択ブロック2055に指令を出す。そして、図10中W1に示す大きな可変幅で駆動周波数を変動させて、出力電圧が所望の出力電圧で一定になうよう制御動作を行う。このように、大きな可変幅である周波数可変幅データ1にて制御を行うため、高圧電源高圧出力立ち上げ時における立ち上げ時間短縮等に効果的である。
しかしながら大きな可変幅での制御では、瞬間的な負荷変動等により必要以上に電圧制御を実行してしまう可能性があるため、本実施例では以下のように制御を行う。すなわち、画像形成装置が画像形成動作開始時刻になると、CPU207は周波数可変幅選択ブロック2055に対して、周波数可変幅データ2を選択するように指示する。そして、周波数可変幅制御ブロック2056は周波数可変幅選択ブロック2055からの信号により周波数可変幅データ2にて制御動作を行うようにパルス発生ブロック2054に指示する。前述のとおり、周波数可変幅データ2は周波数可変幅データ1に比べて制御幅を小さく制限するようなデータが格納されているため、パルス発生ブロック2054で発生される駆動周波数の制御幅は図10中W2に示すように小さくなる。
次に、図12を用いて本実施例の動作フローを説明する。
電源投入後のイニシャル動作が開始されると、初期駆動周波数データ、目標出力電圧データをRAM2052に格納する(ステップS1101、1102)。その後、A/Dコンバータ許可信号を許可状態とする(ステップS1103)。
続いて、画像データ出力が開始されているか否かを判断する(ステップS1104)。画像データ出力が開始されていない場合(ステップS1104_NO)は、周波数可変幅1を設定する(ステップS1105)。そして、この設定に対応する周波数可変幅データ1をRAM2052の所定のアドレスとしてのRAM_Aアドレスに格納する(ステップS1106)。
一方、画像データ出力が開始されている場合(ステップS1104_YES)は、周波数可変幅2を設定する(ステップS1107)。そして、周波数可変幅データ2をRAM2052のRAM_Aアドレスに格納する(ステップS1108)。
その後、A/Dコンバータ2051からの出力データを取り込み(ステップS1109)、電圧比較ブロック2057で目標出力電圧データとの比較を行う(ステップS1110)。比較データが一致した場合(ステップS1110_YES)は、その際の駆動周波数データをRAM2052に格納する(ステップS1115)。そして、パルス発生ブロック2054はRAM2052から駆動周波数データを取得して(ステップS1116)、そのデータに応じたパルス設定を行い(ステップS1117)、このパルスを出力する(ステップS1118)。
一方、比較データが一致しない場合(ステップS1110_NO)は、電圧比較ブロック2057にて差分データを抽出する(ステップS1111)。そして、得られた差分データの値がRAM2052のRAM_Aアドレスに格納されている周波数可変幅データ以内であるか否かを判断する(ステップS1112)。ここで、画像データ出力中以外は周波数可変幅データ1と差分データが比較され、画像データ出力中は周波数可変幅データ2と差分データが比較されることとなる。
差分データの値が、RAM_Aアドレスの周波数可変幅データ以内であると判断された場合(ステップS1112_YES)は、得られた差分データに基づいてパルス発生ブロック2054にて駆動周波数を変更する(ステップS1114)。そして、この駆動周波数データをRAM2052に格納する(ステップS1115)。パルス発生ブロック2054は、RAM2052から駆動周波数データを取得し(ステップS1116)、パルス設定を行い(ステップS1117)、パルスを出力する(ステップS1118)。
一方、差分データの値が、RAM_Aアドレスの周波数可変幅データ以上であると判断された場合(ステップS1112_NO)は、RAM_Aアドレスに格納されている周波数可変幅データの最大値を差分データとする(ステップS1113)。その後はこの変更された差分データに基づいてパルス発生ブロック2054にて駆動周波数を変更し(ステップS1114)、パルス出力までの処理を行う(ステップS1115〜1118)。
図11に示すように、画像形成動作中のあるタイミングにおいて瞬間的な負荷変動によって極めて短時間(図中のt71)だけ出力電圧が変動したとする。このような状況で、周波数可変幅データ1を選択して制御を行った場合は、高圧電源回路の制御特性ならびにASIC205内の動作の遅延時間等によって出力電圧に比較的長い期間(図中のt92)の出力電圧変動(図中のΔEdc91)が現れてしまう。時間t71程度の短時間では、形成される画像に影響が出なくても、この時間t92の期間の出力電圧変動ΔEdc91は少なからず画像への影響を及ぼす可能性があった。
しかしながら、本実施例のように周波数可変幅の少ない周波数可変幅データ2を選択して前述のような制御を行った場合には、駆動周波数の可変量を小さく制限することができる。そのため、時間t71程度の短時間の負荷変動による出力電圧変化が生じても、その後の出力電圧は少ない出力電圧変動幅(図中のΔEdc92)で変動することとなり、形成される画像への影響は少なくなる。特に、出力電圧を微小に可変することが可能であるため、長時間連続画像形成時にはより効果的であり、優れた画像品質を提供することが可能となる。
以上説明したように本実施例では、画像形成動作中は、画質に与える影響を抑制できる範囲の変動幅で駆動周波数を変動させるように制御している。したがって、画像形成動作中に瞬間的な負荷変動が生じても、過度な制御を行うことなく、その後迅速に所定の出力電圧を出力することができ、出力電圧の安定性を高めることができる。そしてさらに画像形成装置の高品質化が可能となる。
以下、実施例3に係る画像形成装置について説明する。なお、実施例1または2と同一の構成については、同一の図面を用いるとともに同一の符号を付す。また実施例1または2と同一の構成、動作については、説明は省略する。
実施例2では、画像形成動作中の出力電圧の過度な補正を防止するために、画像形成動作中は周波数可変幅を制限して駆動周波数補正を行った。本実施例においては、得られた差分データでの1回の駆動周波数の変更量、すなわち1ステップでの周波数可変量を制限する。これにより、出力電圧の変動に対する制御回路の応答性を制御して出力電圧の安定性を向上させる点が実施例2と異なる。
本実施例の画像形成装置の高圧電源装置は、図9に示す実施例2のASIC205と同様の構成である。
続いて、高圧電源装置202における、駆動周波数と出力電圧の保持動作の制御について説明する。
図13は本実施例の制御を説明するためのタイミングチャート、図14は本実施例の制御結果を説明するためのタイミングチャート、図15は本実施例の制御フローチャートである。
図13に示すように本実施例では、A/Dコンバータ許可信号は常に許可状態とし、画像データの出力タイミングに応じて、すなわち画像形成動作中か否かで1ステップの周波数可変量を変更する。ここで、本実施例では非画像形成動作時には周波数可変幅データ1を用い、画像形成動作時には周波数可変幅データ3を用いる。周波数可変幅データ3には、周波数可変幅データに加えて、駆動周波数のステップ制御を行うためのデータとして1ステップにて許容される周波数可変量情報が記憶されている。本実施例では周波数可変幅データ3の周波数可変幅は周波数可変幅データ1と同一とし、1ステップ周波数可変量は1とした。なお、周波数可変幅データ3の周波数可変幅は周波数可変幅データ1よりも小さい値としてもよい。
詳述すると、先ずカラーレーザプリンタの電源投入後のイニシャル動作時には、CPU207からASIC205に対して、RAM2052内に格納してある周波数可変幅データ1を選択するように周波数可変幅選択ブロック2055に指令を出す。そして、図12中時刻t10a、t10b、t10c、t10dに示すように、1ステップで大きく駆動周波数を変動させて、出力電圧が所望の出力電圧で一定になるよう制御動作を行う。このように、1ステップにおける周波数可変量が大きな周波数可変幅データ1にて制御を行うため、高圧電源高圧出力立ち上げ時における立ち上げ時間短縮等に効果的である。
しかしながら、このような制御では、瞬間的な負荷変動等により必要以上に電圧制御を実行してしまう可能性があるため、本実施例では以下のように制御を行う。すなわち、画像形成装置が画像形成動作開始時刻になると、CPU207は周波数可変幅選択ブロック2055に対して、周波数可変幅データ3を選択するように指示する。そして、周波数可変幅制御ブロック2056は周波数可変幅選択ブロック2055からの信号により周波数可変幅データ3にて制御動作を行うようにパルス発生ブロック2054に指示する。前述のとおり、周波数可変幅データ3は周波数可変幅データに加えて1ステップにて許容される周波数可変量情報も格納されている。そのため、図12中t10z期間に示すようにパルス発生ブロック2054で発生される周波数制御幅に対しての1ステップの周波数変更量が規定される。
次に、図15を用いて本実施例の動作フローを説明する。
電源投入後のイニシャル動作が開始されると、CPU207は、初期駆動周波数データ、目標出力電圧データをRAM2052のRAM_Aアドレスに格納する(ステップS1401、1402)。その後、A/Dコンバータ許可信号を許可状態とする(ステップS1403)。
続いて、画像データ出力が開始されているか否かを判断する(ステップS1404)。画像データ出力が開始されていない場合(ステップS1404_NO)は、周波数可変幅1を設定する(ステップS1405)。そして、周波数可変幅データ1をRAM2052のRAM_Aアドレスに格納する(ステップS1406)。
一方、画像データ出力が開始されている場合(ステップS1404_YES)は、周波数可変幅3を設定する(ステップS1407)。そして、周波数可変幅データ3をRAM_Aに、1ステップ周波数可変量データをRAM_Bに格納する。
その後、A/Dコンバータ2051からの出力データを取り込み(ステップS1409)、電圧比較ブロック2057で目標出力電圧データとの比較を行う(ステップS1410)。比較データが一致した場合(ステップS1410_YES)は、駆動周波数変更は行わず、その際の駆動周波数データをRAM2052に格納する(ステップS1415)。そして、パルス発生ブロック2054はRAM2052から駆動周波数データを取得して(ステップS1416)、そのデータに応じたパルス設定を行い(ステップS1417)、このパルスを出力する(ステップS1418)。
一方、比較データが一致しない場合(ステップS1410_NO)は、電圧比較ブロック2057にて差分データを抽出する(ステップS1411)。そして、得られた差分データの値がRAM2052のRAM_Aアドレスに格納されている周波数可変幅データ以内であるか否かを判断する(ステップS1412)。ここで、画像データ出力中以外は周波数可変幅データ1と差分データが比較され、画像データ出力中は周波数可変幅データ3と差分データが比較されることとなる。
差分データの値が、RAM_Aアドレスの周波数可変幅データ以内であると判断された場合(ステップS1412_YES)は、得られた差分データに基づいてパルス発生ブロック2054にて駆動周波数を変更する(ステップS1414)。そして、この駆動周波数データをRAM2052に格納する(ステップS1415)。パルス発生ブロック2054は、RAM2052から駆動周波数データを取得し(ステップS1416)、パルス設定を行い(ステップS1417)、パルスを出力する(ステップS1418)。
一方、差分データの値が、RAM_Aアドレスの周波数可変幅データ以上であると判断された場合(ステップS1412_NO)は、RAM_Bアドレスに格納されている1ステップ周波数可変量データを差分データとする(ステップS1413)。その後はこの変更された差分データに基づいてパルス発生ブロック2054にて駆動周波数を変更し(ステップS1414)、パルス出力までの処理を行う(ステップS1415〜1418)。ここで、RAM_Aに周波数可変幅データ1が格納されている場合は、RAM_Bアドレスには1ステップ周波数可変量データが格納されていないため、結局得られた差分データに基づいてパルス発生ブロック2054にて駆動周波数を変更することとなる。
図14に示すように、画像形成動作中のあるタイミングにおいて瞬間的な負荷変動によって極めて短時間(図中のt71)だけ出力電圧が変動したとする。このような状況で、周波数可変幅データ1を選択して動作を行った場合は、高圧電源回路の制御特性ならびにASIC205内の動作の遅延時間によって出力電圧に比較的長い期間(図中のt92)の出力電圧変動(図中のΔEdc91)が現れてしまう。時間t71程度の短時間では、形成される画像に影響が出なくても、この時間t92の期間の出力電圧変動ΔEdc91は少なからず画像への影響を及ぼす可能性があった。
しかしながら、本実施例のように1ステップでの周波数可変量を制限した周波数可変幅データ3を選択して前述のような制御を行った場合には、回路制御応答時間が遅くなるために、瞬間的な応答を実行しなくなる。そのため、時間t71程度の短時間の負荷変動による出力電圧変化が生じても、その後の出力電圧は少ない出力電圧変動幅(図中のΔEdc11)で変動することとなり、形成される画像への影響は少なくなる。特に、出力電圧を微小に可変することが可能であるため、長時間連続画像形成時にはより効果的であり、優れた画像品質を提供することが可能となる。
以上説明したように本実施例では、画像形成動作中は、1ステップでの周波数可変量を制限することで、出力電圧の変動に対する制御回路の応答性を制御している。したがって、画像形成動作中に瞬間的な負荷変動が生じても、過度な制御を行うことなく、その後迅速に所定の出力電圧を出力することができ、出力電圧の安定性を高めることができる。そしてさらに画像形成装置の高品質化が可能となる。
以下、実施例4に係る画像形成装置について説明する。なお、実施例1ないし3と同一の構成については、同一の図面を用いるとともに同一の符号を付す。また実施例1ないし3と同一の構成、動作については、説明は省略する。
図16は、ASIC205の内部ブロック図である。
図示されるようにASIC205は、A/Dコンバータ2051、RAM2052(記憶手段)、タイミング生成ブロック2053、パルス発生ブロック2054(周波数生成手段)、電圧比較ブロック2057(電圧比較手段)を備える。また、本実施例のASIC205は、圧電トランス101に入力する駆動周波数の可変量を生成する周波数変化量生成ブロック2059を備える。
図17は、RAM2052の内部構成を示した図である。本実施例において、RAM2052のそれぞれのアドレスには以下のデータあるいは信号が割り付けられている。すなわち、目標出力電圧データ、A/Dコンバータデータ、圧電トランス101の駆動周波数データ、周波数可変幅データならびに、複数のタイミング生成制御信号である。
次に、本実施例における駆動周波数と、その駆動周波数のパルスを圧電トランス101に入力した際の出力電圧の保持動作の一例について図4、図5及び図16を用いて説明する。
電源投入時には、CPU207から各種制御信号ならびに各種データがRAM2052の所定アドレスに格納され、RAM2052から目標出力電圧データが電圧比較ブロック2057にセットされる。そして、高圧電源装置202が動作状態になると同時に、圧電トランス101から出力されて検出回路にて低電圧化された電圧が、A/Dコンバータ2051によりディジタル化されて、RAM2052の所定アドレスに格納される。
一方、タイミング生成ブロック2053からは一定周期で電圧比較ブロック2057に対して電圧比較実行信号が出力される。電圧比較ブロック2057では、RAM2052から設定された目標出力電圧データと、一旦RAM2052に格納されたA/Dコンバータ2051の出力データ、すなわち圧電トランス101の出力電圧検出値が比較演算される。そして、符号を含む差分データがパルス発生ブロック2054に出力される。
パルス発生ブロック2054には電源投入時にCPU207から最高周波数Fmaxデータが格納され、高圧電源動作開始時にはこの最高周波数Fmaxにて動作している。その後、電圧比較ブロック2057からの差分データに基づき、圧電トランス駆動周波数を低下させる。電圧比較ブロック2057は、入力されるA/Dコンバータ2051からのデータと目標出力電圧データの値が一致するまで電圧比較し、差分データをパルス発生ブロック2054に出力する。電圧比較実行と比較データ出力のタイミングはタイミング生成ブロック2053からの実行信号により行われる。
すなわち、高圧電源動作開始時には、駆動周波数が図4中のFmaxで動作を開始し、電圧比較を実行するにつれて、駆動周波数を目標出力電圧EdcAを出力する駆動周波数FAに近づけるべく、駆動周波数を下げる動作を行う。そして、目標出力電圧EdcAを得る駆動周波数FAになった時点で電圧比較ブロック2057からの差分データはゼロとなって一定周波数で動作することとなり、圧電トランス101の出力電圧に関してもEdcA一定となる。
その後、高圧電源装置202の各素子の温度変化や負荷変動によってA/Dコンバータ2051からの出力データが変化した場合は、電圧比較ブロック2057からの差分データにしたがってパルス発生ブロック2054が生成する駆動周波数を変動させる。そして、これにより一定電圧EdcAを保つように動作する。
また、電圧比較ブロック2057により電圧比較され、パルス発生ブロック2054にて圧電トランス101の駆動周波数が確定した時点で、パルス発生ブロック2054からは駆動周波数データがRAM2052の指定アドレスに格納される。
続いて、本実施例の高圧電源装置202における、前述の駆動周波数と出力電圧の保持動作の制御について説明する。
図18は本実施例の制御を説明するためのタイミングチャート、図21は制御応答の遅延を説明するためのタイミングチャート、図22は、本実施例の動作フローチャートである。
本実施例では、画像形成動作がnページからn+1ページと進んだ際に、パルス発生ブロック2054がn+1ページの画像形成の直前、すなわちRAM2052に格納されているnページの画像形成時の最終駆動周波数データFA6を用いて動作を行う。以下、詳細に説明する。
図18に示すように、nページの画像形成時に高圧電源装置202は予め設定されている目標出力電圧EdcAを保持するために前述のとおりの制御動作を行い、圧電トランス101の駆動周波数微調整を行う。このときRAM2052の駆動周波数データ記憶アドレスには周期的に駆動周波数データが記憶されている。nページの画像形成動作が終了すると、CPU207は高圧電源装置202の動作を終了させて、高圧電圧出力を停止させると共に、RAM2052に格納されているnページの最終駆動周波数データFA6をパルス発生ブロック2054に出力する。次にn+1ページの画像形成動作が開始されると、CPU207は高圧電源回路の動作を開始させる。この際、パルス発生ブロック2054は、RAM2052から出力されたnページの最終駆動周波数データFA6に基づいて圧電トランス101の駆動を開始する。そのため、n+1ページの画像形成動作開始後、比較的短時間である時間t6で、出力電圧を目標出力電圧EdcAに到達させることができる。その後は電圧比較ブロック2057からの差分データを基に制御動作を行う。
次に、図22を用いて本実施例の動作フローを説明する。
まず、画像形成動作の開始タイミングであるか否かを判断する(ステップS2201)。画像形成動作開始タイミングでない場合(ステップS2201_NO)には、RAM2052はA/Dコンバータ2051からの出力データを取り込む(ステップS2202)。そして、目標出力電圧とA/Dコンバータ2051からの出力データを電圧比較ブロック2057で比較する(ステップS2203)。
データが一致しない場合(ステップS2203_NO)は、電圧比較ブロック2057にて差分データを抽出する(ステップS2204)。そして、得られた差分データに基づいて、パルス発生ブロック2054にて駆動周波数を変更する(ステップS2205)。その後、この駆動周波数データをRAM2052の規定アドレスに格納する(ステップS2206)。ステップS2203においてデータが一致した場合(S2203_YES)は、その際の駆動周波数データをRAM2052の規定アドレスに格納する(ステップS2206)。
その後、パルス発生ブロック2054はRAM2052からこの駆動周波数データを取得して(ステップS2207)、取得した駆動周波数のパルスを設定し(ステップS2208)、このパルスを出力する(ステップS2209)。そして、画像形成動作が継続されるか否かを判断し(ステップS2210)、継続される場合(ステップS2210_YES)にはステップS2202に戻り、継続されない場合(ステップS2210_NO)には終了する。
ステップS2201において、画像形成動作開始タイミングの場合(ステップS2201_YES)は、一連の出力電圧変更制御動作を実行せず、RAM2052に格納している駆動周波数データを基に高圧電源動作を実行する(ステップS2207〜2210)。
ここで、通常の電圧比較ブロック2057からの差分データのみで出力電圧を制御してn+1ページの画像形成動作を行った場合について、図21を用いて説明する。nページの画像形成動作を終了し、n+1ページの画像形成動作を開始すると、パルス発生ブロック2054は回路の最高周波数Fmaxから動作を開始する。そのため、図21に示すように、駆動周波数が最終目標出力電圧EdcAとなる駆動周波数FAに到達するまでの遅延時間tFcntが発生してしまう。また、出力電圧についても最終目標出力電圧EdcAに到達するまでの遅延時間tEdcupが発生してしまう。
さらに、図4に見られるように、FmaxからFAの期間内において、駆動周波数に対する出力電圧が一義的に変化しない領域(不要輻射出力領域という)がある。この不要輻射出力領域においては、出力電圧を目標出力電圧に制御するのにさらに時間が掛かってしまうことになる。
しかしながら、本実施例のようにn+1ページの画像形成時にnページの画像形成時の最終駆動周波数データを用いて動作を行った場合は、駆動周波数の遅延時間tFcnt、出力電圧の遅延時間tEdcupの発生を回避することができる。また、不要輻射出力領域の影響を受けることがない。そのため、必要最低限の時間(図18中の時間t6)で、出力電圧を最終目標出力電圧EdcAに到達させ、制御を行うことができる。
以上説明したように、本実施例では、n+1ページの画像形成開始時にnページの画像形成時の最終駆動周波数データを用いて動作を行うように制御している。したがって、n+1ページの画像形成動作開始の際、迅速に所定の出力電圧を出力することができ、出力電圧の安定性を高めることができる。そしてさらに、高圧電源装置の出力電圧の安定性を損なうことなく、画像形成装置の高速化を図ることが可能となる。
以下、実施例5に係る画像形成装置について説明する。なお、実施例4と同一の構成については、同一の図面を用いるとともに同一の符号を付す。また実施例4と同一の構成、動作については、説明は省略する。
実施例4では、n+1ページの画像形成動作の際に、直前のnページの画像形成時の最終駆動周波数データを用いて動作を行うように制御した。本実施例では、n+1ページの画像形成動作の際に、nページの画像形成時の最終駆動周波数データよりも予め定められた値だけ高い駆動周波数から動作を行うよう制御する点が実施例4と異なる。
図19は本実施例の制御を説明するためのタイミングチャートである。
nページの画像形成中には、画像形成装置はA/Dコンバータ2051の出力データと目標出力電圧データとを電圧比較ブロック2057にて比較演算し、差分データをパルス発生ブロック2054に出力する。パルス発生ブロック2054は、差分データに基づいて最適な駆動周波数信号を発生し、圧電トランス101を駆動している。
nページの画像形成が終了すると、CPU207は高圧電源装置202の動作を終了させ高電圧出力を停止させる。それとともに、CPU207はRAM2052に格納されているnページの最終駆動周波数データFA6に対して予めCPU207のプログラムにて設定された値だけ高い駆動周波数データFAPをパルス発生ブロック2054に出力する。
次にn+1ページの画像形成動作が開始されると、CPU207は高圧電源回路の動作を開始させる。この際、パルス発生ブロック2054は、RAM2052から出力されたnページの最終駆動周波数データFA6に基づいて計算された駆動周波数FAPにて圧電トランス101を駆動する。駆動周波数FAPは、最終駆動周波数データFA6よりも高い駆動周波数であって、不要輻射出力領域の駆動周波数よりも低い駆動周波数とする。そのため、n+1ページの画像形成動作開始後、駆動周波数Fmaxから制御動作を行うよりも短時間に目標出力電圧EdcAに到達させることができ、さらに、高圧出力立ち上げ時に発生するおそれのあるオーバーシュートを回避することが可能となる。その後は電圧比較ブロック2057からの差分データを基に制御動作を行う。
次に、図23を用いて本実施例の動作フローを説明する。
まず、画像形成動作の開始タイミングであるか否かを判断する(ステップS2301)。画像形成動作開始タイミングでない場合(ステップS2301_NO)には、実施例4と同様に、A/Dコンバータ2051からの出力データの取り込みから、画像形成動作継続判断までの動作を行う(ステップS2302〜S2310)。
ステップS2301において、画像形成動作開始タイミングであった場合(ステップS2301_YES)は、一連の出力電圧変更制御動作を実行せずに、RAM2052に格納している駆動周波数データを取得する(ステップS2311)。そして、取得した駆動周波数データを予め定められた値だけ高周波数となるように変更する(ステップS2312)。
その後、この駆動周波数のパルスを設定し(ステップS2308)、このパルスを出力する(ステップS2309)。そして、画像形成動作が継続されるか否かを判断し(ステップS2310)、継続される場合(ステップS2310_YES)にはステップS2302に戻り、継続されない場合(ステップS2310_NO)には終了する。
以上説明したように、本実施例では、n+1ページの画像形成開始時にnページの画像形成時の最終駆動周波数データよりも若干高い駆動周波数を用いて動作を行うように制御している。したがって、n+1ページの画像形成動作開始の際、迅速に所定の出力電圧を出力することができ、出力電圧の安定性を高めることができる。そしてさらに、高圧電源装置の出力電圧の安定性を損なうことなく、画像形成装置の高速化を図ることが可能となる。また、高圧出力立ち上げ時に発生する可能性のあるオーバーシュートを回避することが可能となる。
以下、実施例6に係る画像形成装置について説明する。なお、実施例4または5と同一の構成については、同一の図面を用いるとともに同一の符号を付す。また実施例4または5と同一の構成、動作については、説明は省略する。
実施例4では、n+1ページの画像形成動作の際に、直前のnページの画像形成時の最終駆動周波数データを用いて動作を行うように制御した。本実施例では、n+1ページの画像形成動作の際に、nページの画像形成時の最終駆動周波数データよりも予め定められた値だけ低い駆動周波数から動作を行うよう制御する点が実施例4と異なる。
図20は本実施例の制御を説明するためのタイミングチャートである。
nページの画像形成中には、画像形成装置はA/Dコンバータ2051の出力データと目標出力電圧データとを電圧比較ブロック2057にて比較演算し、差分データをパルス発生ブロック2054に出力する。パルス発生ブロック2054は、差分データに基づいて最適な駆動周波数信号を発生し、圧電トランス101を駆動している。
nページの画像形成が終了すると、CPU207は高圧電源装置202の動作を終了させ高電圧出力を停止させる。それとともに、CPU207はRAM2052に格納されているnページの最終駆動周波数データFA6に対して予めCPU207のプログラムにて設定された値だけ低い駆動周波数データFANをパルス発生ブロック2054に出力する。
次にn+1ページの画像形成動作が開始されると、CPU207は高圧電源回路の動作を開始させる。この際、パルス発生ブロック2054は、RAM2052から出力されたnページの最終駆動周波数データFA6に基づいて計算された、最終駆動周波数データFA6よりも低い駆動周波数FANにて圧電トランス101を駆動する。駆動周波数FANは、最終駆動周波数データFA6よりも低い駆動周波数であり、したがって当然に不要輻射出力領域の駆動周波数よりも低い駆動周波数である。そのため、n+1ページの画像形成動作開始後、駆動周波数Fmaxから制御動作を行うよりもさらに短時間に目標出力電圧EdcAに到達させることができる。その後は電圧比較ブロック2057からの差分データを基に制御動作を行うことができる。
次に、図24を用いて本実施例の動作フローを説明する。
まず、画像形成動作の開始タイミングであるか否かを判断する(ステップS2401)。画像形成動作開始タイミングでない場合(ステップS2401_NO)には、実施例4と同様に、A/Dコンバータ2051からの出力データの取り込みから、画像形成動作継続判断までの動作を行う(ステップS2402〜S2410)。
ステップS2401において、画像形成動作開始タイミングであった場合(ステップS2401_YES)は、一連の出力電圧変更制御動作を実行せずに、RAM2052に格納している駆動周波数データを取得する(ステップS2411)。そして、取得した駆動周波数データを予め定められた値だけ低周波数となるように変更する(ステップS2412)。
その後、この駆動周波数のパルスを設定し(ステップS2408)、このパルスを出力する(ステップS2409)。そして、画像形成動作が継続されるか否かを判断し(ステップS2410)、継続される場合(ステップS2410_YES)にはステップS2402に戻り、継続されない場合(ステップS2410_NO)には終了する。
以上説明したように、本実施例では、n+1ページの画像形成開始時にnページの画像形成時の最終駆動周波数データよりも若干低い駆動周波数を用いて動作を行うように制御している。したがって、n+1ページの画像形成動作開始の際、迅速に所定の出力電圧を出力することができ、出力電圧の安定性を高めることができる。そしてさらに、高圧電源装置の出力電圧の安定性を損なうことなく、画像形成装置の高速化を図ることが可能となる。なお、実施例5のように最終駆動周波数データよりも若干高い駆動周波数を用いて動作を行う場合よりも、オーバーシュートが発生する可能性が多少増加するものの、より高速に所定の出力電圧を出力することが可能となる。
また、nページの最終駆動周波数よりも低い駆動周波数にて動作を実行する場合、有効な高電圧出力バイアスは正バイアスを出力するものである。特に、転写バイアスは転写出力開始時と記録紙突入時刻が一致する場合が多いため、予め大きな出力を与えることによって負荷変動に対するバイアスの落ち込みを抑える効果もある。
以下、実施例7に係る画像形成装置について説明する。なお、実施例4ないし6と同一の構成については、同一の図面を用いるとともに同一の符号を付す。また実施例4ないし6と同一の構成、動作については、説明は省略する。
実施例5では、n+1ページの画像形成動作の際に、nページの画像形成時の最終駆動周波数データよりも高い駆動周波数から動作を行うように制御した。また、実施例6では、n+1ページの画像形成動作の際に、nページの画像形成時の最終駆動周波数データよりも低い駆動周波数から動作を行うように制御した。本実施例では、電圧特性重視であるか、時間特性重視であるかの判断を行った上で、nページの画像形成時の最終駆動周波数データよりも高い駆動周波数かあるいは低い駆動周波数から動作するように制御する点が実施例5及び6と異なる。
本実施例では、例えば画像形成装置に備えられた不図示の操作パネル(操作部)等から、ユーザが動作モードを指定する。そして、ユーザが指定した動作モードによって、画像形成動作が電圧特性重視であるか時間特性重視であるかが判断される。例えば、ユーザが高画質の得られるモードを選択した場合には電圧特性重視であると判断され、画像形成時間の短いモードを選択した場合には時間特性重視であると判断される。この情報は、予めRAM2052に記憶される。
そして、n+1ページの画像形成動作開始時において、CPU207は高圧電源回路の動作を開始させるが、電圧特性重視の場合にはnページの最終駆動周波数データFA6よりも高い駆動周波数FAPにて圧電トランス101を駆動する。一方、時間特性重視の場合には、nページの最終駆動周波数データFA6よりも低い駆動周波数FAPにて圧電トランス101を駆動する。最終駆動周波数データFA6を高周波数への変更は実施例5に示すとおりであり、低周波数への変更は実施例6に示すとおりである。
次に、図25を用いて本実施例の動作フローを説明する。
まず、画像形成動作の開始タイミングであるか否かを判断する(ステップS2501)。画像形成動作開始タイミングでない場合(ステップS2501_NO)には、実施例4ないし6と同様に、A/Dコンバータ2051からの出力データの取り込みから、画像形成動作継続判断までの動作を行う(ステップS2502〜S2510)。
ステップS2501において、画像形成動作開始タイミングであった場合(ステップS2501_YES)は、一連の出力電圧変更制御動作を実行せずに、RAM2052に格納している駆動周波数データを取得する(ステップS2511)。続いて、電圧特性重視であるか否かを判断し(ステップS2512)、電圧特性重視の場合(ステップS2512_YES)には、取得した駆動周波数データを予め定められた値だけ高周波数となるように変更する(ステップS2514)。そして、この駆動周波数のパルスを設定する(ステップS2508)。
ステップS2512において、電圧特性重視でないと判断された場合(ステップS2512_NO)には、時間特性重視であるか否かを判断する(ステップS2513)。時間特性重視の場合(ステップS2513_YES)には、取得した駆動周波数データを予め定められた値だけ低周波数となるように変更する(ステップS2515)。そして、この駆動周波数のパルスを設定する(ステップS2508)。
ステップS2513において、時間特性重視でないと判断された場合(ステップS2513_NO)には、ステップS2511において取得したRAM2052に格納している駆動周波数のパルスを設定する(ステップS2508)。
その後、設定されたパルスを出力し(ステップS2409)、画像形成動作が継続されるか否かを判断する(ステップS2510)。継続される場合(ステップS2510_YES)にはステップS2502に戻り、継続されない場合(ステップS2510_NO)には終了する。
以上説明したように、本実施例では、n+1ページの画像形成開始時に、電圧特性重視であるか、時間特性重視であるかに応じて、nページの画像形成時の最終駆動周波数データを変更して動作を行うように制御している。したがって、迅速に所定の出力電圧を出力することができ、出力電圧の安定性を高めることができるとともに、ユーザの希望に合わせた画像形成動作が実行可能なため、画像形成装置のユーザビリティの向上を図ることができる。
実施例1ないし7では、圧電トランス駆動周波数を発生するディジタル素子としてASICを用いたが、1チップマイクロコンピュータでの代用も可能である。また、実施例1ないし7では、ASICのRAMに出力電圧と駆動周波数を保持しているが、CPUのRAMに保持しても構わない。
また、実施例1ないし7では、一連の画像形成動作時に各データの取得を行う場合について説明した。しかしながら特にこれに限定されず、例えばプロセスカートリッジ交換後の動作時においても、各種データの取得が可能であるので、プロセスカートリッジ交換後に各種データ収集ならびにデータ記憶を行う構成であってもよい。
実施例1の画像形成装置におけるASICの内部ブロック図 高圧電源装置の概略回路図 画像形成装置の概略断面図 実施例及び従来例の圧電トランスの駆動周波数と出力電圧の特性を示す図 RAMの内部構成を示す図 制御を説明するためのタイミングチャート 制御結果を説明するためのタイミングチャート、 動作フローチャート 実施例2の画像形成装置におけるASICの内部ブロック図 制御を説明するためのタイミングチャート 制御結果を説明するためのタイミングチャート 動作フローチャート 実施例3の制御を説明するためのタイミングチャート 制御結果を説明するためのタイミングチャート 動作フローチャート 実施例4のASICの内部ブロック図 RAMの内部構成を示した図 制御を説明するためのタイミングチャート 実施例5の制御を説明するためのタイミングチャート 実施例6の制御を説明するためのタイミングチャート 制御応答の遅延を説明するためのタイミングチャート、 実施例4の動作フローチャート 実施例5の動作フローチャート 実施例6の動作フローチャート 実施例7の動作フローチャート 従来例の画像形成装置における高圧電源装置の概略回路図
符号の説明
32 記録紙(記録媒体に対応)
101 圧電トランス
207 CPU(制御手段に対応)
302Y、302M、302C、302K 現像ローラ(現像手段に対応)
303Y、303M、303C、303K 帯電ローラ(帯電手段に対応)
305Y、305M、305C、305K 感光体ドラム(像担持体に対応)
420Y、420M、420C、420K スキャナユニット(露光手段に対応)
430Y、430M、430C、430K 転写ローラ(転写手段に対応)
2052 RAM(記憶手段に対応)
2054 パルス発生ブロック(周波数生成手段に対応)
2055 周波数可変幅選択ブロック(周波数変更制限手段に対応)
2056 周波数可変幅制御ブロック(周波数変更制限手段に対応)
2057 電圧比較ブロック(電圧比較手段に対応)

Claims (13)

  1. 像担持体と、前記像担持体を帯電する帯電手段と、前記像担持体を露光して静電潜像を形成する露光手段と、前記像担持体に形成された静電潜像を可視像化する現像手段と、前記像担持体に形成された現像剤像を記録媒体に転写する転写手段と、画像形成動作を制御する制御手段と、
    前記帯電手段、現像手段、転写手段の少なくとも一つに対して高電圧を供給するための圧電トランスと、
    前記圧電トランスの駆動周波数を生成する周波数生成手段と、
    前記圧電トランスの出力電圧と予め定められた目標出力電圧とを比較演算する電圧比較手段と、
    前記目標出力電圧、及び前記周波数生成手段の生成した駆動周波数を記憶する記憶手段とを備え、
    前記電圧比較手段の比較結果に基づいて前記周波数生成手段が生成する駆動周波数を変更し、変更された駆動周波数で前記圧電トランスを駆動するとともに、変更された駆動周波数を前記記憶手段に記憶する画像形成装置であって、
    前記制御手段は、前記画像形成装置による画像形成動作中は、前記電圧比較手段の比較結果に基づいた駆動周波数の変更を行わず、前記記憶手段に記憶された駆動周波数で前記圧電トランスを駆動させるように制御することを特徴とする画像形成装置。
  2. 像担持体と、前記像担持体を帯電する帯電手段と、前記像担持体を露光して静電潜像を形成する露光手段と、前記像担持体に形成された静電潜像を可視像化する現像手段と、前記像担持体に形成された現像剤像を記録媒体に転写する転写手段と、画像形成動作を制御する制御手段と、
    前記帯電手段、現像手段、転写手段の少なくとも一つに対して高電圧を供給するための圧電トランスと、
    前記圧電トランスの駆動周波数を生成する周波数生成手段と、
    前記圧電トランスの出力電圧と予め定められた目標出力電圧とを比較演算する電圧比較手段と、
    前記目標出力電圧、及び前記周波数生成手段の生成した駆動周波数を記憶する記憶手段とを備え、
    前記電圧比較手段の比較結果に基づいて前記周波数生成手段が生成する駆動周波数を変更し、変更された駆動周波数で前記圧電トランスを駆動するとともに、変更された駆動周波数を前記記憶手段に記憶する画像形成装置であって、
    前記電圧比較手段の比較結果に基づいた前記周波数生成手段の生成する駆動周波数の変更を制限する周波数変更制限手段を備え、
    前記制御手段は、前記画像形成装置による画像形成動作中は、前記周波数変更制限手段の制限にしたがって、前記電圧比較手段の比較結果に基づいた駆動周波数の変更を行うように制御することを特徴とする画像形成装置。
  3. 請求項2に記載の画像形成装置において、
    前記周波数変更制限手段は、前記駆動周波数の可変幅が、画像形成動作が行われていない場合に駆動周波数を変更する際の可変幅よりも小さくなるように制限することを特徴とする画像形成装置。
  4. 請求項2に記載の画像形成装置において、
    前記周波数変更制限手段は、1回の駆動周波数の変更量が、画像形成動作が行われていない場合に駆動周波数を変更する際の1回の駆動周波数の変更量よりも小さくなるように制限することを特徴とする画像形成装置。
  5. 像担持体と、前記像担持体を帯電する帯電手段と、前記像担持体を露光して静電潜像を形成する露光手段と、前記像担持体に形成された静電潜像を可視像化する現像手段と、前記像担持体に形成された現像剤像を記録媒体に転写する転写手段と、画像形成動作を制御する制御手段と、
    前記帯電手段、現像手段、転写手段の少なくとも一つに対して高電圧を供給するための圧電トランスと、
    前記圧電トランスの駆動周波数を生成する周波数生成手段と、
    前記圧電トランスの出力電圧と予め定められた目標出力電圧とを比較演算する電圧比較手段と、
    前記目標出力電圧、及び前記周波数生成手段の生成した駆動周波数を記憶する記憶手段とを備え、
    前記電圧比較手段の比較結果に基づいて前記周波数生成手段が生成する駆動周波数を変更し、変更された駆動周波数で前記圧電トランスを駆動するとともに、変更された駆動周波数を前記記憶手段に記憶する画像形成装置であって、
    前記制御手段は、n+1ページの画像形成動作を開始する際に、前記記憶手段に記憶されているnページの画像形成動作時の最終駆動周波数に基づいて定められた駆動周波数から前記圧電トランスの駆動を開始するように制御することを特徴とする画像形成装置。
  6. 請求項5に記載の画像形成装置において、
    前記制御手段は、n+1ページの画像形成動作を開始する際に、前記記憶手段に記憶されているnページの画像形成動作時の最終駆動周波数から前記圧電トランスの駆動を開始するように制御することを特徴とする画像形成装置。
  7. 請求項5に記載の画像形成装置において、
    前記制御手段は、n+1ページの画像形成動作を開始する際に、前記記憶手段に記憶されているnページの画像形成動作時の最終駆動周波数よりも予め定められた値だけ高い駆動周波数から前記圧電トランスの駆動を開始するように制御することを特徴とする画像形成装置。
  8. 請求項5に記載の画像形成装置において、
    前記制御手段は、n+1ページの画像形成動作を開始する際に、前記記憶手段に記憶されているnページの画像形成動作時の最終駆動周波数よりも予め定められた値だけ低い駆動周波数から前記圧電トランスの駆動を開始するように制御することを特徴とする画像形成装置。
  9. 請求項7または8に記載の画像形成装置において、
    前記予め定められた値は、前記目標出力電圧との間に、前記圧電トランスの駆動周波数に対する出力電圧が一義的に変化しない不要輻射出力領域を含まない値であることを特徴とする画像形成装置。
  10. 請求項5ないし9のいずれかに記載の画像形成装置において、
    前記画像形成装置の動作モードを指定するための操作部を備え、
    前記制御手段は、n+1ページの画像形成動作を開始する際の駆動周波数を、前記操作部で指定された動作モードに応じて定めることを特徴とする画像形成装置。
  11. 像担持体と、前記像担持体を帯電する帯電手段と、前記像担持体を露光して静電潜像を形成する露光手段と、前記像担持体に形成された静電潜像を可視像化する現像手段と、前記像担持体に形成された現像剤像を記録媒体に転写する転写手段と、画像形成動作を制御する制御手段と、前記帯電手段、現像手段、転写手段の少なくとも一つに対して高電圧を供給するための圧電トランスとを備えた画像形成装置の制御方法であって、
    前記圧電トランスの出力電圧と予め定められた目標出力電圧とを比較する比較ステップと、
    前記比較ステップにおける比較結果に基づいて前記圧電トランスを駆動する駆動周波数を変更する変更ステップと、
    前記変更ステップにおいて変更された駆動周波数で前記圧電トランスを駆動する駆動ステップと、
    前記変更された駆動周波数を記憶する記憶ステップと、
    前記画像形成装置による画像形成動作中は、前記変更ステップでの駆動周波数の変更を行わず、前記記憶ステップにおいて記憶された駆動周波数で前記圧電トランスを駆動させるように制御する制御ステップとを含むことを特徴とする画像形成装置の制御方法。
  12. 像担持体と、前記像担持体を帯電する帯電手段と、前記像担持体を露光して静電潜像を形成する露光手段と、前記像担持体に形成された静電潜像を可視像化する現像手段と、前記像担持体に形成された現像剤像を記録媒体に転写する転写手段と、画像形成動作を制御する制御手段と、前記帯電手段、現像手段、転写手段の少なくとも一つに対して高電圧を供給するための圧電トランスとを備えた画像形成装置の制御方法であって、
    前記圧電トランスの出力電圧と予め定められた目標出力電圧とを比較する比較ステップと、
    前記比較ステップにおける比較結果に基づいて前記圧電トランスを駆動する駆動周波数を変更する変更ステップと、
    前記変更ステップにおいて変更された駆動周波数で前記圧電トランスを駆動する駆動ステップと、
    前記変更された駆動周波数を記憶する記憶ステップと、
    前記画像形成装置による画像形成動作中は、前記変更ステップにおける駆動周波数の変更に制限を設け、該制限にしたがって駆動周波数の変更を行うように制御する制御ステップとを含むことを特徴とする画像形成装置の制御方法。
  13. 像担持体と、前記像担持体を帯電する帯電手段と、前記像担持体を露光して静電潜像を形成する露光手段と、前記像担持体に形成された静電潜像を可視像化する現像手段と、前記像担持体に形成された現像剤像を記録媒体に転写する転写手段と、画像形成動作を制御する制御手段と、前記帯電手段、現像手段、転写手段の少なくとも一つに対して高電圧を供給するための圧電トランスとを備えた画像形成装置の制御方法であって、
    前記圧電トランスの出力電圧と予め定められた目標出力電圧とを比較する比較ステップと、
    前記比較ステップにおける比較結果に基づいて前記圧電トランスを駆動する駆動周波数を変更する変更ステップと、
    前記変更ステップにおいて変更された駆動周波数で前記圧電トランスを駆動する駆動ステップと、
    前記変更された駆動周波数を記憶する記憶ステップと、
    n+1ページの画像形成動作を開始する際に、前記記憶ステップにおいて記憶されたnページの画像形成動作時の最終駆動周波数に基づいて定められた駆動周波数から前記圧電トランスの駆動を開始するように制御する制御ステップとを含むことを特徴とする画像形成装置の制御方法。
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