JP2009127464A - 容積型膨張機、膨張機一体型圧縮機および冷凍サイクル装置 - Google Patents

容積型膨張機、膨張機一体型圧縮機および冷凍サイクル装置 Download PDF

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Abstract

【課題】軸受での機械損失を小さくする改良が施された容積型膨張機を提供する。
【解決手段】ロータリ膨張機300は、シリンダ42と、シリンダ42の内部に配置されたピストン46と、ピストン46を回転させるためのシャフト5と、シャフト5を支持する筒状の軸受部45fを有する軸受部材45と、シリンダ42とピストン46との間の作動室55に作動流体を導くために軸受部材45の内部に形成された吸入経路80と、を備えている。吸入経路80は、シャフト5の軸方向と直交する横断面の形状が軸受部45fを周方向に取り囲むC字状である軸周り部分80bを含む。軸受部45fの周囲を巡回する形で作動流体が軸周り部分80bを流通する。
【選択図】図10

Description

本発明は、容積型膨張機、膨張機一体型圧縮機および冷凍サイクル装置に関する。
空気調和装置や給湯機に採用されている従来の冷凍サイクル装置は、膨張弁を用いて冷媒を膨張させている。近年、膨張弁に代えて、容積式の膨張機を用いることにより、冷媒の膨張エネルギーを動力の形で回収し、冷凍サイクルの効率を向上させる試みがある(特許文献1,2参照)。
特開2004−44569号公報 特開2005−106046号公報
膨張弁と異なり、容積式の膨張機は、軸受などの摺動部分をオイルで潤滑する必要がある。例えば、二酸化炭素を冷媒として用いる冷凍サイクル装置では、潤滑用のオイルとして、PAG(ポリアルキレングリコール)が用いられる。
オイルは冷媒回路を循環するので、圧縮機に使用するオイルの種類と膨張機に使用するオイルの種類は同一であることが不可欠である。圧縮機において、冷媒は圧縮されて高温高圧状態となるので、圧縮機の摺動部分を潤滑するオイルの温度は高くなる。これに対し、膨張機において、冷媒は膨張して低温低圧状態となるので、膨張機の摺動部分を潤滑するオイルの温度は比較的低くなる。
図14は、温度の変化に対するPAGの粘度の変化を示すグラフである。グラフに示すように、温度の変化に対するPAGの粘度の変化は非常に大きい。オイルの粘度の変化が大きいため、圧縮機ではオイルの粘度が適切であるにも拘わらず、膨張機ではオイルの粘度が大きくなりすぎる可能性がある。オイルの粘度が低すぎると、軸受のような摺動部分での機械損失が大きくなるので好ましくない。
本発明は、軸受での機械損失を小さくする改良が施された容積型膨張機および膨張機一体型圧縮機、ならびにそれらを用いた冷凍サイクル装置を提供することを目的とする。
すなわち、本発明は、
固定部材と、
固定部材と組み合わされて固定部材との間に作動室を形成する可動部材と、
可動部材が取り付けられたシャフトと、
シャフトを支持する筒状の軸受部を有する軸受部材と、
作動室に作動流体を導くために軸受部材に形成された経路であって、シャフトの軸方向と直交する横断面に現れる形状が軸受部を周方向に取り囲むC字状である軸周り部分を含み、軸受部の周囲を巡回する形で作動流体が軸周り部分を流通可能である吸入経路と、
を備えた、容積型膨張機を提供する。
別の側面において、本発明は、
固定部材と、
固定部材と組み合わされて固定部材との間に作動室を形成する可動部材と、
可動部材が取り付けられたシャフトと、
シャフトを支持する筒状の軸受部を有する軸受部材と、
作動室に作動流体を導くために軸受部材に形成された吸入経路と、
シャフトの軸方向と直交する横断面に現れる形状が軸受部を周方向に取り囲む環状であり、吸入経路との間で作動流体の往来が可能となるように吸入経路から分岐する形で軸受部材に形成されたバッファ経路と、
を備えた、容積型膨張機を提供する。
さらに別の側面において、本発明は、
固定部材と、
固定部材と組み合わされて固定部材との間に作動室を形成する可動部材と、
可動部材が取り付けられたシャフトと、
シャフトを支持する筒状の軸受部を有する軸受部材と、
作動室に作動流体を導くために軸受部材に形成された吸入経路と、を備え、
吸入経路が、(a)軸受部を取り囲む環状の軸周り部分と、(b)軸周り部分に連なり、シャフトの半径方向の外向きに延びる上流部分と、(c)軸周り部分に連なり、シャフトの半径方向の外向きに延びる下流部分とを含む、容積型膨張機を提供する。
さらに別の側面において、本発明は、
固定部材と、
固定部材と組み合わされて固定部材との間に作動室を形成する可動部材と、
可動部材が取り付けられたシャフトと、
シャフトを支持する筒状の軸受部を有する軸受部材と、
軸受部を周方向に取り囲むように軸受部材に形成され、断熱用の流体が充填された環状のバッファ空間と、
を備えた、容積型膨張機を提供する。
さらに別の側面において、本発明は、
作動流体を圧縮する圧縮機構と、
膨張する作動流体から動力を回収する膨張機構と、
膨張機構で回収された動力が圧縮機構に伝達されるように圧縮機構と膨張機構を接続するシャフトとを備え、
膨張機構が、上記本発明の容積型膨張機によって構成されている、膨張機一体型圧縮機を提供する。
上記本発明によれば、軸受部の周囲が膨張前の作動流体または断熱性を向上させるための流体で満たされるので、膨張前の作動流体で軸受部を加温ないし保温することができる。軸受部が適温に保たれることによって、軸受部とシャフトとの隙間を潤滑するオイルが適切な粘度となり、軸受部における機械損失の増大が防止される。
なお、容積型膨張機が例えばロータリ膨張機の場合、シリンダが固定部材、シリンダ内に配置されたピストンが可動部材となる。容積型膨張機が例えばスクロール膨張機の場合、固定スクロールが固定部材、旋回スクロールが可動部材となる。
(第1実施形態)
以下、添付の図面を参照しつつ本発明の実施形態について説明する。
図1は、本発明の第1実施形態にかかる膨張機一体型圧縮機の縦断面図である。図2Aは、図1に示す膨張機一体型圧縮機のD1−D1横断面図である。図2Bは、図1に示す膨張機一体型圧縮機のD2−D2横断面図である。図3は、図1の部分拡大図である。
図1に示すように、膨張機一体型圧縮機200Aは、密閉容器1と、密閉容器1内の上部に配置されたスクロール型の圧縮機構2と、密閉容器1内の下部に配置された2段ロータリ型の膨張機構3と、圧縮機構2と膨張機構3との間に配置された電動機4と、圧縮機構2、膨張機構3および電動機4を連結するシャフト5と、電動機4と膨張機構3との間に配置されたオイルポンプ6と、膨張機構3とオイルポンプ6との間に配置された断熱部材30(断熱構造)とを備えている。電動機4がシャフト5を駆動することにより、圧縮機構2が作動する。膨張機構3は、膨張する作動流体から動力を回収してシャフト5に与え、電動機4によるシャフト5の駆動をアシストする。作動流体は、例えば、二酸化炭素やハイドロフルオロカーボンなどの冷媒である。
本明細書中では、シャフト5の軸方向を上下方向と定義し、圧縮機構2が配置されている側を上側、膨張機構3が配置されている側を下側と定義する。本実施形態では、スクロール型の圧縮機構2とロータリ型の膨張機構3を採用しているが、圧縮機構2および膨張機構3の型式はこれらに限定されず、他の容積型であってもよい。例えば、圧縮機構と膨張機構の双方をロータリ型またはスクロール型にすることが可能である。なお、「ロータリ型」には、ベーンとピストンとが別部材で構成されたローリングピストン型、ベーンとピストンとが一体化されたスイングピストン型、ベーンがシリンダの内周面を摺動するスライディングベーン型のいずれも含まれる。
図1に示すように、密閉容器1の底部はオイル貯まり25として利用されている。オイルは、圧縮機構2および膨張機構3の摺動部分における潤滑性とシール性を確保するために使用される。オイル貯まり25に貯留されたオイルの量は、密閉容器1を立てた状態、つまりシャフト5の軸方向が鉛直方向に平行となるように密閉容器1の姿勢を定めた状態で、オイルポンプ6のオイル吸入口62qよりも上、かつ電動機4よりも下に油面SL(図3参照)が位置するように調整されている。言い換えれば、オイルの油面がオイルポンプ6のオイル吸入口62qと電動機4との間に位置するように、オイルポンプ6および電動機4の位置、ならびにそれらの要素を収容するための密閉容器1の形状および大きさが定められている。
オイル貯まり25は、オイルポンプ6のオイル吸入口62qが位置する上槽25aと、膨張機構3が位置する下槽25bとを含む。上槽25aと下槽25bとは、断熱部材30によって隔てられている。オイルポンプ6の周囲が上槽25aのオイルで満たされ、膨張機構3の周囲が下槽25bのオイルで満たされている。上槽25aのオイルは主に圧縮機構2のために使用され、下槽25bのオイルは主に膨張機構3のために使用される。
オイルポンプ6は、上槽25aに貯まっているオイルの油面がオイル吸入口62qよりも上方に位置するように、シャフト5の軸方向における圧縮機構2と膨張機構3との間に配置されている。電動機4とオイルポンプ6との間には、支持フレーム75が配置されている。支持フレーム75は密閉容器1に固定されており、この支持フレーム75を介して、オイルポンプ6、断熱部材30および膨張機構3が密閉容器1に固定されている。支持フレーム75の外周部には、圧縮機構2を潤滑し終えたオイル、および密閉容器1の内部空間24に吐出された作動流体から分離したオイルが上槽25aに戻れるように、1または複数の貫通孔75aが設けられている。
オイルポンプ6は、上槽25aのオイルを吸入し、圧縮機構2の摺動部分に供給する。圧縮機構2を潤滑後、支持フレーム75の貫通孔75aを通じて上槽25aに戻るオイルは、圧縮機構2および電動機4から加熱作用を受けているので、相対的に高温である。上槽25aに戻ったオイルは、再びオイルポンプ6に吸入される。一方、膨張機構3の摺動部分には、下槽25bのオイルが供給される。膨張機構3の摺動部分を潤滑したオイルは、直接下槽25bに戻される。下槽25bに貯められたオイルは、膨張機構3から冷却作用を受けるので、相対的に低温となる。圧縮機構2と膨張機構3との間にオイルポンプ6を配置し、そのオイルポンプ6を用いて圧縮機構2への給油を行うことにより、圧縮機構2を潤滑する高温のオイルの循環経路を膨張機構3から遠ざけることができる。言い換えれば、圧縮機構2を潤滑する高温のオイルの循環経路と、膨張機構3を潤滑する低温のオイルの循環経路とを分けることができる。これにより、オイルを介した圧縮機構2から膨張機構3への熱移動が抑制される。
圧縮機構2から膨張機構3への熱移動を抑制することにより、圧縮機構2から吐出される作動流体の温度低下、膨張機構3から吐出される作動流体の温度上昇を防ぐことができ、膨張機一体型圧縮機200Aを用いたシステム(冷凍サイクル装置)の成績係数が改善する。熱移動を抑制する効果は、圧縮機構2と膨張機構3との間にあるオイルポンプ6のみによっても得ることができるが、断熱部材30を設けることにより、その効果を大幅に高めることが可能である。
膨張機一体型圧縮機200Aの作動時において、オイル貯まり25に貯められたオイルは、上槽25aでは相対的に高温となり、下槽25bの膨張機構3の周囲では相対的に低温となる。断熱部材30は、上槽25aと下槽25bとの間のオイルの流通を制限することにより、上槽25aに高温のオイルが貯まり、下槽25bに低温のオイルが貯まった状態を維持しようとする。さらに、断熱部材30の存在により、オイルポンプ6と膨張機構3との軸方向の距離が長くなる。このことによっても、オイルポンプ6の周囲を満たすオイルから膨張機構3への熱移動量を低減することができる。上槽25aと下槽25bとの間のオイルの流通は、断熱部材30によって制限されているが、禁止されているわけではない。上槽25aから下槽25b、またはその逆方向へのオイルの流通は、オイル量をバランスさせるように起こりうる。
以下、各構成要素についてさらに詳しく説明する。
<<圧縮機構2>>
スクロール型の圧縮機構2は、旋回スクロール7と、固定スクロール8と、オルダムリング11と、軸受部材10と、マフラー16と、吸入管13と、吐出管15とを備えている。シャフト5の偏心軸5aに嵌合され、かつ、オルダムリング11により自転運動を拘束された旋回スクロール7は、渦巻き形状のラップ7aが、固定スクロール8のラップ8aと噛み合いながら、シャフト5の回転に伴って旋回運動を行い、ラップ7a,8aの間に形成される三日月形状の作動室12が外側から内側に移動しながら容積を縮小することにより、吸入管13から吸入された作動流体を圧縮する。圧縮された作動流体は、固定スクロール8の中央部に設けられた吐出孔8b、マフラー16の内部空間16a、ならびに固定スクロール8および軸受部材10を貫通する流路17をこの順に経由して、密閉容器1の内部空間24に吐出される。シャフト5の給油路29を通ってこの圧縮機構2に到達したオイルは、旋回スクロール7と偏心軸5aとの摺動面や、旋回スクロール7と固定スクロール8との摺動面を潤滑する。密閉容器1の内部空間24に吐出された作動流体は、内部空間24に滞留する間に、重力や遠心力によってオイルと分離され、その後、吐出管15からガスクーラに向けて吐出される。
<<電動機4>>
シャフト5を介して圧縮機構2を駆動する電動機4は、密閉容器1に固定された固定子21と、シャフト5に固定された回転子22とを含む。密閉容器1の上部に配置されたターミナル(図示省略)から電動機4に電力が供給される。電動機4は、同期機および誘導機のいずれであってもよく、圧縮機構2から吐出された作動流体およびその作動流体に混入しているオイルによって冷却される。
<<シャフト5>>
シャフト5の内部には、圧縮機構2の摺動部分に通ずる給油路29が軸方向に延びるように形成されており、この給油路29にオイルポンプ6から吐出されたオイルが送り込まれる。給油路29に送られたオイルは、膨張機構3を経由することなく、圧縮機構2の各摺動部分に供給される。このようにすれば、圧縮機構2に向かうオイルが膨張機構3で冷却されることがないので、オイルを介した圧縮機構2から膨張機構3への熱移動を効果的に抑制することができる。また、シャフト5の内部に給油路29を形成すれば、部品点数の増加やレイアウトの問題が新たに生じないので好適である。
さらに、本実施形態においてシャフト5は、圧縮機構2側に位置する第1シャフト5sと、第1シャフト5sに連結された、膨張機構3側に位置する第2シャフト5tとを含む。第1シャフト5sおよび第2シャフト5sの内部には、圧縮機構2の摺動部分に通ずる給油路29が軸方向に延びるように形成されている。第1シャフト5sと第2シャフト5tとは、膨張機構3によって回収された動力が圧縮機構2に伝達されるように連結器63によって連結されている。ただし、連結器63を使用せず、第1シャフト5sと第2シャフト5tとを直接嵌め合わせるようにしてもよい。さらに、単一の部品からなるシャフトを用いることも可能である。
<<膨張機構3>>
膨張機構3は、第1シリンダ42と、第1シリンダ42よりも厚みのある第2シリンダ44と、これらのシリンダ42,44を仕切る中板43とを備えている。第1シリンダ42と第2シリンダ44とは、互いに同心状の配置である。膨張機構3は、さらに、シャフト5の偏心部5cと嵌合し、第1シリンダ42の中で偏心回転運動する第1ピストン46と、第1シリンダ42のベーン溝42a(図2A参照)に往復動自在に保持され、一方の端部が第1ピストン46に接する第1ベーン48と、第1ベーン48の他方の端部に接し、第1ベーン48を第1ピストン46へと付勢する第1ばね50と、シャフト5の偏心部5dと嵌合し、第2シリンダ44の中で偏心回転運動する第2ピストン47と、第2シリンダ44のベーン溝44a(図2B参照)に往復動自在に保持され、一方の端部が第2ピストン47に接する第2ベーン49と、第2ベーン49の他方の端部に接し、第2ベーン49を第2ピストン47へと付勢する第2ばね51と、を備えている。
膨張機構3は、さらに、第1シリンダ42、第2シリンダ44および中板43を狭持するように配置された上軸受部材45および下軸受部材41を備えている。下軸受部材41および中板43は第1シリンダ42を上下から狭持し、中板43および上軸受部材45は第2シリンダ44を上下から狭持する。上軸受部材45、中板43および下軸受部材41による狭持により、第1シリンダ42および第2シリンダ44内には、ピストン46,47の回転に応じて容積が変化する作動室が形成される。
図2Aに示すように、第1シリンダ42の内側には、第1ピストン46および第1ベーン48により区画された、吸入側の作動室55a(第1吸入側空間)および吐出側の作動室55b(第1吐出側空間)が形成される。図2Bに示すように、第2シリンダ44の内側には、第2ピストン47および第2ベーン49により区画された、吸入側の作動室56a(第2吸入側空間)および吐出側の作動室56b(第2吐出側空間)が形成される。第2シリンダ44における2つの作動室56a,56bの合計容積は、第1シリンダ42における2つの作動室55a,55bの合計容積よりも大きい。第1シリンダ42の吐出側の作動室55bと、第2シリンダ44の吸入側の作動室56aとは、中板43に設けられた貫通孔43aにより接続されており、一つの作動室(膨張室)として機能する。高圧の作動流体は、下軸受部材41に設けられた吸入孔41aから第1シリンダ42の作動室55aに流入する。第1シリンダ42の作動室55aに流入した作動流体は、作動室55bと作動室56aからなる膨張室においてシャフト5を回転させながら膨張して低圧になる。
このように、膨張機構3は、シリンダ42,44と、シャフト5の偏心部5c,5dに嵌合するようにシリンダ42,44内に配置されたピストン46,47と、シリンダ42,44を閉塞しシリンダ42,44およびピストン46,47とともに膨張室を形成する軸受部材41,45(閉塞部材)を含むロータリ型である。ロータリ型の流体機構は、その構造上、シリンダ内の空間を2つに仕切るベーンの潤滑が不可欠となる。機構全体がオイルに浸かっている場合には、ベーンが配置されているベーン溝の後端を密閉容器1内に露出させるという極めて単純な方法により、ベーンを潤滑することができる。本実施形態においても、そのような方法でベーン48,49の潤滑を行っている。
その他の部分、例えば軸受部材41,45への給油は、第2シャフト5tの下端から上方に向かって延びるように、第2シャフト5tの外周面に形成された給油溝(図示省略)によって行えばよい。第2シャフト5tの下端にオイルポンプを設け、そのオイルポンプで軸受部材41,45等への給油を行うようにしてもよい。膨張機構3の摺動部分には、オイル貯まり25の下槽25bに貯められた低温のオイルが供給される。
図1に示すように、上軸受部材45の内部には、作動室55に作動流体を導くための吸入経路80と、作動室56から吐出された作動流体を膨張機構3の外部へと導くための吐出経路81とが形成されている。膨張前の作動流体を吸入経路80に供給するための吸入管52が密閉容器1を貫通し、上軸受部材45に直結(挿入および固定)されている。同様に、膨張後の作動流体を吐出経路81から密閉容器1の外部に導くための吐出管53が密閉容器1を貫通し、上軸受部材45に直結されている。吸入管52および吐出管53を共に上軸受部材45に直結する構成によれば、組み立てが容易である。
図4は、上軸受部材45の詳細を示すD3−D3断面図である。図4において、密閉容器1は省略されている。上軸受部材45は、シャフト5を支持する円筒状の軸受部45fを有する。上軸受部材45の内部に形成された吸入経路80は、上流部分80a、軸周り部分80bおよび下流部分80cによって構成されている。軸受部45fの形状は円筒状に限定されないが、角筒状などの他の形状に比べ、円筒状は、吸入経路80を流通する作動流体の圧力損失の増大を抑制するのに有利である。吐出経路81には、吐出孔45aが面している。
上軸受部材45に関して言えば、シャフト5と上軸受部材45との隙間を潤滑するオイルに適切な粘度を持たせる観点から、低温になりすぎない方がよい。本実施形態によれば、作動流体は、軸受部45fの周囲を巡回する形で上流部分80a、軸周り部分80bおよび下流部分80cの順番に流通する。軸受部45fの周囲が膨張前の作動流体で満たされる。この結果、軸受部45fが作動流体によって加温または保温され、軸受部45fの温度を膨張前の作動流体の温度(例えば30〜40℃)と同程度に保つことができる。軸受部45fの冷えすぎを防止できるので、オイルの粘度が大きくなりすぎることに基づく機械損失の増大を防ぐことができる。寒冷地で膨張機一体型圧縮機200Aを使用する場合には、膨張機構3を構成する部材の温度が0℃を下回る可能性もある。このような条件下では、吸入経路80を流通する作動流体で軸受部45fを加温または保温し、オイルの粘度を適正値に維持することが特に有効である。
吸入経路80の軸周り部分80bは、シャフト5の軸方向と直交する横断面(つまり図4)に現れる形状が軸受部45fを周方向に取り囲むC字状の部分である。言い換えれば、軸周り部分80bは軸受部45fの周囲に形成された溝状の部分であり、断熱部材30の下面によって閉じられている。本実施形態では、軸受部45fの360°ほぼ全周を囲む形で軸周り部分80bが形成されている。そのため、軸受部45fを均一に加温または保温することができる。軸受部45fを均一に加温または保温するために、シャフト5の回転角度にして、少なくとも180°を超える範囲に軸周り部分80bが形成されているとよい。
上流部分80aは、一端が軸周り部分80bの上流端に連なり、他端がシャフト5の半径方向の外向きに延びて吸入管52に接続されている部分である。下流部分80cは、一端が軸周り部分80bの下流端に連なり、他端がシャフト5の半径方向の外向きに延びている部分である。上流部分80aと下流部分80cとは、仕切部45gによって隔てられている。そのため、作動流体の全量が軸周り部分80bを経由して作動室55に向かう。作動流体の全量が軸周り部分80bを経由するので、軸周り部分80bでの作動流体の流速が速くなり、作動流体と軸受部45fとの間の熱交換効率がよくなる。また、軸周り部分80bにおいて、作動流体は方向を変化させながら流通するので、軸受部45fの外周面に境界層ができにくい。また、作動流体は、一方向にのみ流れるので、圧力損失も増大しにくい。
下流部分80cは、軸受部45fの外周面と軸受部材45の外周面との間の所定位置で向きを変えて軸方向(下方)に延びている。一方、図1に示すように、下軸受部材41の内部には、吸入孔41a(図2A参照)が面する吸入経路41pが形成されている。第2シリンダ44、中板43および第1シリンダ42の内部には、これらを軸方向に貫通するように吸入経路82が形成されている。吸入経路82によって、上軸受部材45の内部の吸入経路80と、下軸受部材41の内部の吸入経路41pとが中継されている。
シャフト5を支持する軸受部45fの外径は比較的小さく設定されている。具体的には、図1に示すように、第1シリンダ42の内径および第2シリンダ44の内径シリンダの内径よりも軸受部45fの外径の方が小さい。軸受部45fの薄肉化を図ると、軸受部45fの剛性を低減することができる。軸受部45fの剛性を低減することにより、シャフト5が多少振れ回っても軸受部45fが外向きに逃げるようになるので、油膜切れが生じにくくなる。この結果、シャフト5が軸受部45fに押し付けられることによる機械損失の増大を防ぐことができる。
本実施形態において、吸入経路80および吐出経路81の両方が上軸受部材45に形成され、吸入管52および吐出管53が上軸受部材45に直結されている。吐出経路81は、シャフト5を挟んで、吸入経路80の上流部分80aとは180°反対側に位置している。吐出経路81のスペースを確保する都合上、吸入経路80のスペースを過大に確保することは難しい。また、吸入経路80の軸周り部分80bの直径を大きくしすぎると、軸受部45f以外の部分に与えられる作動流体の熱が多くなるので、軸受部45fのみを局所的に加温または保温する観点では好ましくない。そこで、本実施形態では、軸周り部分80bの直径が軸受部45fの直径とシリンダ42,44の内径との間に設定されている。そして、軸周り部分80bから半径方向の外向きに上流部分80aおよび下流部分80cが延びている。このようにすれば、軸受部45fの局所加温または保温にとって適切な大きさの軸周り部分80bを形成でき、その軸周り部分80bへの作動流体の出入りもスムーズに行える。
また、上軸受部材45の内部の吸入経路80は、密閉容器1の内部の空間から構造的に隔離されており、吸入経路80を通過する作動流体が外に漏れることはない。したがって、特別なシール構造が不要である。また、吸入経路80を従来の膨張機一体型圧縮機(例えば特開2005−106046号公報参照)に採用する場合、部品点数の増大を伴わないので、コスト増大の問題も生じにくい。
次に、上記と同様の効果を得るための他のいくつかの変形例を説明する。
−変形例1−
図5に示す変形例は、上軸受部材45が円筒状の軸受部45fを有する点や、作動室55に作動流体を導くための吸入経路80が上軸受部材45の内部に形成されている点では、図4に示す例と共通する。本変形例では、吸入経路80として、図4に示す例の上流部分80aに相当する部分だけが形成されている。そして、軸受部45fを膨張前の作動流体で加温または保温する手段として、バッファ経路80dが吸入経路80から分岐する形で上軸受部材45の内部に形成されている。
バッファ経路80dは、シャフト5の軸方向と直交する横断面に現れる形状が軸受部45fを周方向に取り囲む環状である。バッファ経路80dの周方向の1箇所に、バッファ経路80dと吸入経路80とを中継する切り込み86が形成されている。この切り込み86を通じてバッファ経路80dと吸入経路80との間で作動流体の往来が可能となっている。環状のバッファ経路80dは、図4に示す例における軸周り部分80bとほぼ同じ形態および機能を有する。ただし、バッファ経路80dと吸入経路80とを中継する切り込み86が1箇所に制限されているので、バッファ経路80dにおいて作動流体は一方向に流通せず対流ないし滞留する。この点で、バッファ経路80dと軸周り部分80b(図4)とは相違する。
吸入経路80は、吸入管52から環状のバッファ経路80dに向かう経路上で第2シリンダ44の内部の吸入経路82と接続している。したがって、吸入管52から吸入経路80に供給された作動流体の一部のみがバッファ経路80dに向かい、大部分がバッファ経路80dを経由することなく作動室55に向かうこととなる。ただし、軸受部45fの周囲が膨張前の作動流体で満たされる点は、本変形例と図4に示す例とで共通であり、軸受部45fを加温または保温する効果は十分得られる。
−変形例2−
図6に示す変形例は、上軸受部材45が円筒状の軸受部45fを有する点や、作動室55に作動流体を導くための吸入経路80が上軸受部材45の内部に形成されている点では、図4に示す例と共通する。吸入経路80は、軸受部45fを取り囲む環状の軸周り部分80bと、軸周り部分80bに連なる上流部分80aと、軸周り部分80bに連なる下流部分80cとによって構成されている。すなわち、軸周り部分80bが環状の形状を有する点で、本変形例は図4に示す例と相違する。上流部分80aおよび下流部分80cについては、本変形例と図4に示す例とで共通である。
本変形例によれば、軸周り部分80b自体に上流/下流の概念が存在しない。したがって、吸入管52から吸入経路80に供給された作動流体は、軸受部45fの周囲を巡回せずに、最短ルートで上流部分80aから下流部分80cへと向かうこともできるし、軸受部45fの周囲を巡回する形で上流部分80aから下流部分80cへと向かうこともできる。したがって、本変形例によれば、図4に示す例よりも圧力損失の増大を抑える観点で有利である。軸受部45fの周囲が膨張前の作動流体で満たされる点は、本変形例と先に説明した例(図4および図5)とで共通であり、軸受部45fを加温または保温する効果は十分得られる。
また、本変形例では、軸受部45fの外周面に凹凸部45gが設けられている。この凹凸部45gは、例えば、シャフト5の半径方向の外向きに突出するフィン45gである。凹凸部45gは、軸受部45fの表面積の拡大および境界層の生成抑制に寄与し、作動流体と軸受部45fとの間の熱交換を促進する。圧力損失の増大抑制を重視するならば軸受部45fの表面を平滑な円筒面とすればよく、加温効率を重視するならば凹凸部45gを設けるとよい。なお、このような凹凸部45gは、本変形例だけでなく他の全ての例にも採用できる。
−変形例3−
図7に示す変形例は、上軸受部材45が円筒状の軸受部45fを有する点や、作動室55に作動流体を導くための吸入経路80が上軸受部材45の内部に形成されている点では、図4に示す例と共通する。本変形例では、吸入経路80として、図4に示す例の上流部分80aに相当する部分だけが形成されている。軸受部45fを加温または保温する手段として、環状のバッファ空間80eが形成されている。
バッファ空間80eには、断熱用の流体が充填されている。吸入経路80とバッファ空間80eとは隔離されている。つまり、本変形例では、軸受部45fを作動流体で加温または保温するのではなく、断熱用の流体で加温または保温が行われる。
バッファ空間80eに充填される断熱用の流体として、当該膨張機一体型圧縮機200Aの潤滑用のオイルを用いることができる。潤滑用のオイルは、オイル貯まり25からバッファ空間80eに供給されるものであってもよいし、組み立て時に充填されるものであってもよい。本変形例によれば、軸受部45fの周囲を膨張前の作動流体で満たす例(図4〜図6)よりも加温効果は薄いかもしれないが、保温効果は十分に得られる。本変形例は、構造が最もシンプルであり、圧力損失の増大がない点で優れている。
<<オイルポンプ6>>
図3に示すように、オイルポンプ6は、シャフト5の回転に伴う作動室の容積の増減によりオイルを圧送するように構成された容積式ポンプである。オイルポンプ6に隣接して、連結器63を収容する中空の中継部材71が設けられている。オイルポンプ6および中継部材71の中央部を貫通するように、シャフト5が通されている。
オイルポンプ6は、シャフト5(第2シャフト5t)の偏心部に取り付けられたピストン61と、ピストン61を収容するハウジング62(シリンダ)とを含む。ピストン61とハウジング62との間には、三日月状の作動室64が形成されている。すなわち、オイルポンプ6には、ロータリ型の流体機構が採用されている。ハウジング62には、オイル貯まり25(具体的には上槽25a)と作動室64とを接続するオイル吸入路62aと、作動室64と給油路29とを接続するオイル吐出路62bおよび中継通路62cが形成されている。第2シャフト5tの回転に伴ってハウジング62内をピストン61が偏心回転運動する。これにより、作動室64の容積が増減し、オイルの吸入および吐出が行われる。このような機構は、第2シャフト5tの回転運動をカム機構等で他の運動に変換することなく、オイルを圧送する運動に直接利用するので、機械ロスが小さいという利点がある。また、比較的単純な構造によるので、信頼性も高い。
オイルポンプ6と中継部材71は、オイルポンプ6のハウジング62の上面と中継部材71の下面とが接するように、軸方向の上下に隣接して配置されている。ハウジング62の上面によって、中継部材71が閉じられている。さらに、中継部材71は、シャフト5(第1シャフト5s)を支持する軸受部76を有している。言い換えれば、中継部材71はシャフト5を支持する軸受の機能も有している。軸受部76の潤滑を行えるように、シャフト5の給油路29が、軸受部76に対応する区間で分岐している。なお、軸受部76に相当する部分を、支持フレーム75が有していてもよい。さらには、支持フレーム75と中継部材71とが単一の部品からなっていてもよい。
第1シャフト5sと第2シャフト5tとが連結器63によって連結されており、この連結器63が中継部材71の内部空間70hに配置されている。第1シャフト5sと連結器63とは、例えば、第1シャフト5sの外周面に設けられた溝と、連結器63の内周面に設けられた溝とが係合することにより、同期回転するように連結される。第2シャフト5tと連結器63も、同様の方法で固定できる。連結器63は、中継部材71内において第1シャフト5sおよび第2シャフト5tと同期回転する。膨張機構3によって第2シャフト5tに与えられるトルクは、連結器63を介して第1シャフト5sに伝達される。
給油路29は、第1シャフト5sおよび第2シャフト5tにまたがって形成されている。シャフト5の連結部と、給油路29の入口29pと、オイルポンプ6の本体部分とが、圧縮機構2に近い側からこの順番で並んでいる。給油路29の入口29pは、第2シャフト5tの上端部とピストン61が嵌め合わされた部分(偏心部)との間における、第2シャフト5tの外周面に形成されている。中継通路62cは、第2シャフト5tを周方向に取り囲む環状の空間であり、この環状の空間に給油路29の入口29pが面している。
オイルポンプ6から吐出されたオイルは、オイル吐出路62bおよび中継通路62cを通じて給油路29に導かれる。中継部材71は、連結器63を収容するハウジングとしての役割、および、シャフト5の軸受としての役割を担う。ただし、中継部材71の内部空間70hは、オイルで満たされていてもよい。
<<断熱部材30>>
図1に示すように、本実施形態において断熱部材30は、膨張機構3の上軸受部材45(閉塞部材)とは別部材によって構成されている。これにより、オイルポンプ6から第2シリンダ44までの距離を十分に稼ぐことができ、より高い断熱効果を得ることが可能となる。
断熱部材30は、オイルポンプ6に接する上板部301、膨張機構3に接する下板部302およびそれらの間に位置するスペーサ部303によって構成されている。断熱部材30により、オイル貯まり25が上槽25aと下槽25bとに仕切られている。上板部301と下板部302との間には、オイルで満たされる空間SHが形成されている。この空間SHを満たすオイルは、それ自体が断熱材として働き、軸方向に温度成層を形成する。
上板部301および下板部302の形状は、密閉容器1の横断面形状(図2参照)に沿っているとよい。本実施形態では、円形の外形を有する上板部301および下板部302が採用されている。上板部301および下板部302には、空間SHにオイルを供給するための貫通孔30a,30aが形成されている。貫通孔30a,30aは、上槽25aと下槽25bとの間のオイルの往来を許容する通路として働く。スペーサ部303は、円筒状の形状を有し、第2シャフト5tを覆っている。このような断熱部材30は、上板部301、下板部302およびスペーサ部303が一体化された単一部品であってもよいし、それらが個別の部品で構成された集合部品であってもよい。
以上のように、本実施形態の膨張機一体型圧縮機200Aは、圧縮機構2から膨張機構3への熱移動を抑制するための様々な工夫がなされている。したがって、膨張機構3を構成する部材は低温に保たれる。その一方で、膨張前の作動流体または断熱用の流体によって、上軸受部材45の軸受部45fが加温または保温され、軸受部45fの冷えすぎが防止される。そのため、軸受部45fにおけるオイルの粘度が適正な値となり、軸受部45fにおける機械損失の増大が防止され、ひいては膨張機一体型圧縮機200Aの信頼性が高まる。
(第2実施形態)
図4に示す構成は、下軸受部材41に採用してもよい。図8に示す膨張機一体型圧縮機200Bの下軸受部材41は、第1実施形態で説明した上軸受部材45と同様に、筒状の軸受部41fを有する。下軸受部材41の内部には、作動室55に作動流体を導くための吸入経路84が形成されている。吸入経路84は、上流部分84a、軸周り部分84bおよび下流部分84cによって構成されている。これらの点は、第1実施形態の図4に示す例と共通である。膨張前の作動流体によって軸受部41fの加温または保温がなされ、機械損失の低減を図ることができる。もちろん、図4に示す構成に代えて、図5〜図7に示す構成を適宜採用してもよい。
(第3実施形態)
図4〜図8に示す構成を上軸受部材45および下軸受部材41の両方に採用してもよい。図9に示す膨張機一体型圧縮機200Cは、シャフト5の軸方向に関する一方の側に設けられた上軸受部材45(第1軸受部材)と、その上軸受部材45とはシリンダ42,44を挟んで軸方向の反対側に設けられた下軸受部材41(第2軸受部材)とを備えている。上軸受部材45が円筒状の第1軸受部45fを有し、下軸受部材41が同じく円筒状の第2軸受部41fを有する。
上軸受部材45の内部には、第1実施形態で説明したように、吸入経路80(第1吸入経路)が形成されている。同様に、下軸受部材41の内部には、作動室55に作動流体を導く吸入経路84(第2吸入経路)が形成されている。この吸入経路84は、第2実施形態で説明したように、軸方向と直交する横断面の形状が第2軸受部41fを周方向に取り囲むC字状または環状である第2軸周り部分84bを含む。第2軸受部41fの周囲を巡回する形で作動流体が第2軸周り部分84bを流通する。シリンダ42,44の内部には、上軸受部材45の内部の吸入経路80と下軸受部材41の内部の吸入経路84とを中継する吸入経路82(中継吸入経路)がシリンダ42,44の内周面と外周面との間において軸方向に延びる形で形成されている。
本実施形態によれば、上軸受部材45での機械損失と、下軸受部材41での機械損失との両方を低減できる。各軸受部材41,45の内部構造には、図4〜図6で説明したものから自由に選択して採用することができる。さらに、図7で説明したようなバッファ空間が上軸受部材45および/または下軸受部材41に形成されていてもよい。
(第4実施形態)
図4〜図9に示す構成は、通常のロータリ膨張機に適用できる。図10は、本発明の実施形態にかかるロータリ膨張機の縦断面図である。
ロータリ膨張機300は、圧縮機と一体化されていない点、熱移動を抑制するための機構(オイルポンプ6および断熱部材30)が設けられていない点、電動機4が発電機として用いられる点を除き、先に説明した膨張機一体型圧縮機200Aの膨張機構3とほぼ同じ構成を有している。シリンダの段数は、本実施形態のように1段でもよいし、先の実施形態のように複数段であってもよい。シリンダが単段の場合、容積比を大きくすることが難しいので作動流体の種類によっては動力回収効率が低下する問題はあるものの、構造がシンプルなので、コストを低減する観点では有利である。
(第5実施形態)
本発明は、ロータリ膨張機だけでなく他の容積型膨張機にも採用できる。図11は、本発明の実施形態にかかるスクロール膨張機の断面図である。スクロール膨張機305の基本的な構成は、第1実施形態で説明した圧縮機構2(図1参照)と同じであり、具体的には、固定スクロール90、旋回スクロール91、軸受部材92およびオルダムリング94を備えている。固定スクロール90と旋回スクロール91とが組み合わされて作動室91が形成されている。
軸受部材92は、シャフト5を支持する筒状の軸受部92fを有し、図1および図4で説明した吸入経路80が軸受部92fを周方向に取り囲む形で形成されている。固定スクロールの中央部に形成された吸入ポート90hと吸入経路80とを中継する吸入経路82が、軸受部材92および固定スクロール90に跨って形成されている。作動流体は、軸受部材92に直結された吸入管52を通じて吸入経路80に導かれ、軸受部92fの周囲を巡回する。これにより、軸受部92fの冷えすぎが防止される。作動流体はその後、吸入経路82を通じて吸入ポート90hに到達し、固定スクロール90と旋回スクロール91とによって形成された作動室91に吸入される。作動室91において膨張した作動流体は、吐出管53を通じて外部に導かれる。
なお、図5〜図7を参照して説明した変形例の構成をスクロール膨張機に採用してもよい。スクロール膨張機の配置は、図11に示す配置に限定されない。例えば、固定スクロール90および旋回スクロール91を含む部分が密閉容器1の上部に位置する配置やシャフト5が水平方向と平行となる配置を採用できる。
(冷凍サイクル装置の実施形態)
図12および図13は、本実施形態にかかる冷凍サイクル装置の構成図である。図12に示す冷凍サイクル装置400は、冷媒を圧縮する圧縮機401、冷媒を冷却する放熱器402、冷媒を膨張させる膨張機300、冷媒を蒸発させる蒸発器403を備えている。膨張機300として、図10に示すロータリ膨張機300が採用されている。ロータリ膨張機300に代えて、図11に示すスクロール膨張機305を採用してもよい。図13に示す冷凍サイクル装置500は、圧縮機および膨張機の部分が、図1等に示す膨張機一体型圧縮機200Aによって構成されている。これらの冷凍サイクル装置400,500は、空気調和装置、給湯機、乾燥機、床暖房装置などの製品に適用できる。
本発明の実施形態にかかる膨張機一体型圧縮機の縦断面図 図1に示す膨張機一体型圧縮機のD1−D1横断面図 図1に示す膨張機一体型圧縮機のD2−D2横断面図 図1の部分拡大断面図 上軸受部材の詳細を示すD3−D3横断面図 上軸受部材の他の例を示す横断面図 上軸受部材の他の例を示す横断面図 上軸受部材の他の例を示す横断面図 第2実施形態にかかる膨張機一体型圧縮機の縦断面図 第3実施形態にかかる膨張機一体型圧縮機の縦断面図 ロータリ膨張機の縦断面図 スクロール膨張機の縦断面図 冷凍サイクル装置の一例の構成図 冷凍サイクル装置の他の例の構成図 温度の変化に対するPAGの粘度の変化を示すグラフ
符号の説明
2 圧縮機構
3 膨張機構
5 シャフト
41 下軸受部材(第2軸受部材)
41f 軸受部(第2軸受部)
42 第1シリンダ(固定部材)
44 第2シリンダ(固定部材)
45 上軸受部材(第1軸受部材)
45f 軸受部(第1軸受部)
46 第1ピストン(可動部材)
47 第2ピストン(可動部材)
80,84 吸入経路
80a,84a 上流部分
80b,84b 軸周り部分
80c,84c 下流部分
80d,80e バッファ空間
82 吸入経路(中継通路)
90 固定スクロール(固定部材)
91 旋回スクロール(可動部材)
92 軸受部材
200A,200B,200C 膨張機一体型圧縮機
300 ロータリ膨張機
305 スクロール膨張機
400,500 冷凍サイクル装置

Claims (12)

  1. 固定部材と、
    前記固定部材と組み合わされて前記固定部材との間に作動室を形成する可動部材と、
    前記可動部材が取り付けられたシャフトと、
    前記シャフトを支持する筒状の軸受部を有する軸受部材と、
    前記作動室に作動流体を導くために前記軸受部材に形成された経路であって、前記シャフトの軸方向と直交する横断面に現れる形状が前記軸受部を周方向に取り囲むC字状である軸周り部分を含み、前記軸受部の周囲を巡回する形で作動流体が前記軸周り部分を流通可能である吸入経路と、
    を備えた、容積型膨張機。
  2. 前記吸入経路が、(a)前記軸周り部分の上流側に連なり、前記シャフトの半径方向の外向きに延びる上流部分と、(b)前記軸周り部分の下流側に連なり、前記シャフトの半径方向の外向きに延びる下流部分とをさらに含む、請求項1に記載の容積型膨張機。
  3. 固定部材と、
    前記固定部材と組み合わされて前記固定部材との間に作動室を形成する可動部材と、
    前記可動部材が取り付けられたシャフトと、
    前記シャフトを支持する筒状の軸受部を有する軸受部材と、
    前記作動室に作動流体を導くために前記軸受部材に形成された吸入経路と、
    前記シャフトの軸方向と直交する横断面に現れる形状が前記軸受部を周方向に取り囲む環状であり、前記吸入経路との間で作動流体の往来が可能となるように前記吸入経路から分岐する形で前記軸受部材に形成されたバッファ経路と、
    を備えた、容積型膨張機。
  4. 固定部材と、
    前記固定部材と組み合わされて前記固定部材との間に作動室を形成する可動部材と、
    前記可動部材が取り付けられたシャフトと、
    前記シャフトを支持する筒状の軸受部を有する軸受部材と、
    前記作動室に作動流体を導くために前記軸受部材に形成された吸入経路と、を備え、
    前記吸入経路が、(a)前記軸受部を取り囲む環状の軸周り部分と、(b)前記軸周り部分に連なり、前記シャフトの半径方向の外向きに延びる上流部分と、(c)前記軸周り部分に連なり、前記シャフトの半径方向の外向きに延びる下流部分とを含む、容積型膨張機。
  5. 固定部材と、
    前記固定部材と組み合わされて前記固定部材との間に作動室を形成する可動部材と、
    前記可動部材が取り付けられたシャフトと、
    前記シャフトを支持する筒状の軸受部を有する軸受部材と、
    前記軸受部を周方向に取り囲むように前記軸受部材に形成され、断熱用の流体が充填された環状のバッファ空間と、
    を備えた、容積型膨張機。
  6. 前記断熱用の流体が、当該容積型膨張機の潤滑用のオイルである、請求項5記載の容積型膨張機。
  7. 前記固定部材がシリンダ、前記可動部材が前記シリンダ内に配置されたピストンである、ロータリ型膨張機として構成され、
    前記軸受部材が、前記シャフトの軸方向に関する一方の側に設けられた第1軸受部材であるとき、その第1軸受部材とは前記シリンダを挟んで軸方向の反対側に設けられた第2軸受部材をさらに備え、
    前記第2軸受部材が、前記シャフトを支持する筒状の第2軸受部を有し、
    前記第2軸受部材には、前記作動室に作動流体を導く経路であって、前記軸方向と直交する横断面の形状が前記第2軸受部を周方向に取り囲むC字状または環状である第2軸周り部分を含み、前記第2軸受部の周囲を巡回する形で作動流体が前記第2軸周り部分を流通可能である第2吸入経路が形成されており、
    前記シリンダには、前記第1吸入経路と前記第2吸入経路とを中継する中継吸入経路が前記シリンダの内周面と外周面との間において軸方向に延びる形で形成されている、請求項1ないし請求項4のいずれか1項に記載の容積型膨張機。
  8. 前記軸受部の外周面に凹凸部が設けられている、請求項1ないし請求項6のいずれか1項に記載の容積型膨張機。
  9. 作動流体を圧縮する圧縮機構と、
    膨張する作動流体から動力を回収する膨張機構と、
    前記膨張機構で回収された動力が前記圧縮機構に伝達されるように前記圧縮機構と前記膨張機構を接続するシャフトとを備え、
    前記膨張機構が、請求項1ないし請求項8のいずれか1項に記載の容積型膨張機によって構成されている、膨張機一体型圧縮機。
  10. 底部がオイル貯まりとして利用される密閉容器と、
    前記シャフトの軸方向における前記圧縮機構と前記膨張機構との間に配置され、前記オイル貯まりに貯められたオイルをオイル吸入口から吸入して前記圧縮機構に供給するオイルポンプとをさらに備え、
    前記圧縮機構が、前記密閉容器内の上部に配置され、作動流体を圧縮して前記密閉容器の内部空間へと吐出するように構成され、
    前記膨張機構が、前記オイル貯まりに貯められたオイルで周囲が満たされるように前記密閉容器の下部に配置されている、請求項9に記載の膨張機一体型圧縮機。
  11. 前記オイル貯まりを前記オイルポンプの前記オイル吸入口が位置する上槽と前記膨張機構が位置する下槽とに仕切り、前記上槽と前記下槽との間のオイルの流通を制限することによって、前記上槽から前記下槽への熱移動を抑制する断熱部材をさらに備えた、請求項10に記載の膨張機一体型圧縮機。
  12. 請求項1ないし請求項8のいずれか1項に記載の容積型膨張機、または、請求項9ないし請求項11のいずれか1項に記載の膨張機一体型圧縮機を備えた冷凍サイクル装置。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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GB2474259A (en) * 2009-10-08 2011-04-13 Ebac Ltd Vapour compression refrigeration circuit
CN106351844A (zh) * 2015-07-23 2017-01-25 重庆凌达压缩机有限公司 卧式压缩机及其进气法兰总成

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