JP2009126427A - 電動アシスト自転車 - Google Patents
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Abstract
【課題】 効率を高められるとともに、構成の単純化、小型化および軽量化を図ることができる電動アシスト自転車を提供する。
【解決手段】 電動アシスト自転車1は、駆動輪2と、駆動輪2に連結されたクランク軸5とペダル4を有し、ペダル4に入力された力を回転動力に変換し、クランク軸5に出力するペダル機構3と、ステータ23、第1および第2のロータ22,24を有し、ステータ23と第1ロータ22と第2ロータ24の間で、回転磁界の発生に伴って形成される磁気回路を介してエネルギを入出力するとともに、エネルギの入出力に伴って、回転磁界、第2および第1のロータ24,22が、互いの間に回転速度の所定の共線関係を保ちながら回転するように構成され、第1ロータ22が駆動輪に連結された回転機20と、第1ロータ22と第2ロータ24の間を接続・遮断する第1クラッチC1と、を備えている。
【選択図】 図1
【解決手段】 電動アシスト自転車1は、駆動輪2と、駆動輪2に連結されたクランク軸5とペダル4を有し、ペダル4に入力された力を回転動力に変換し、クランク軸5に出力するペダル機構3と、ステータ23、第1および第2のロータ22,24を有し、ステータ23と第1ロータ22と第2ロータ24の間で、回転磁界の発生に伴って形成される磁気回路を介してエネルギを入出力するとともに、エネルギの入出力に伴って、回転磁界、第2および第1のロータ24,22が、互いの間に回転速度の所定の共線関係を保ちながら回転するように構成され、第1ロータ22が駆動輪に連結された回転機20と、第1ロータ22と第2ロータ24の間を接続・遮断する第1クラッチC1と、を備えている。
【選択図】 図1
Description
本発明は、アシスト用の回転機を備える電動アシスト自転車に関する。
従来、この種のアシスト自転車として、例えば特許文献1に開示されたものが知られている。この電動アシスト自転車では、運転者の踏み込み力(以下「踏力」という)を回転動力に変換するペダル機構と、アシスト用の回転機がいずれも、差動装置を介して駆動輪に連結されている。具体的には、この差動装置は、歯数が互いに等しい第1サイドギヤおよび第2サイドギヤと、これらの第1および第2のサイドギヤに噛み合うピニオンギヤを回転自在に支持する回転自在のデフケースを有している。第1および第2のサイドギヤは、ペダル機構および回転機にそれぞれ連結されており、デフケースは駆動輪に連結されている。以上の構成の従来の電動アシスト自転車では、回転機によるアシスト中、ペダル機構を介して第1サイドギヤに伝達された踏力と、第2サイドギヤに伝達された回転機の動力が合成された後、デフケースを介して駆動輪に伝達される。
上述したように、従来の電動アシスト自転車では、回転機によるアシスト中、ペダル機構からの踏力と回転機の動力が、差動装置を介して駆動輪に伝達されるため、差動装置における機械的な歯車の噛み合いやフリクションによる動力の伝達ロスによって、電動アシスト自転車の効率が低くなってしまう。また、複数の歯車や軸を組み合わせた複雑な機構を有する差動装置を用いなければならないため、電動アシスト自転車の構成が非常に複雑になることに加え、サイズや重量も大きくなってしまう。
本発明は、以上のような課題を解決するためになされたものであり、効率を高めることができるとともに、構成の単純化、小型化および軽量化を図ることができる電動アシスト自転車を提供することを目的とする。
上記の目的を達成するため、請求項1に係る電動アシスト自転車1、1Aは、駆動輪(実施形態における(以下、本項において同じ)後輪2)と、駆動輪に連結されたクランク軸5とペダル4を有し、ペダル4に入力された力を回転動力に変換し、クランク軸5に出力するペダル機構3と、回転磁界を発生させるための不動のステータ23と、磁石で構成され、ステータ23に対向するように設けられた第1ロータ22と、軟磁性体で構成され、ステータ23と第1ロータ22の間に設けられた第2ロータ24とを有し、ステータ23と第1ロータ22と第2ロータ24の間で、回転磁界の発生に伴って形成される磁気回路を介してエネルギを入出力するとともに、エネルギの入出力に伴って、回転磁界、第2および第1のロータ24,22が、互いの間に回転速度の所定の共線関係を保ちながら回転するように構成され、第1ロータ22が駆動輪に連結された回転機20と、クランク軸5、第1ロータ22および駆動輪を含む第1動力伝達系と第2ロータ24との間を接続・遮断する第1クラッチ(第1ワンウェイクラッチC1)と、を備えることを特徴とする。
この電動アシスト自転車によれば、回転機では、ステータ、第1および第2のロータの間で、ステータにおける回転磁界の発生に伴って形成される磁気回路を介して、エネルギが入出力されるとともに、このエネルギの入出力に伴い、回転磁界、第2および第1のロータは、互いの間に回転速度の所定の共線関係を保ちながら回転する。このような回転磁界、第1および第2のロータの三者間のリニアな速度関係は、遊星歯車装置のサンギヤおよびリングギヤの一方、他方、およびプラネタリギヤを支持するキャリアの回転速度の関係に相当する。このため、エネルギの入出力の関係において、ステータはサンギヤおよびリングギヤの一方に、第1ロータは他方に、第2ロータはキャリアに、それぞれ相当する。また、上述した構成によれば、第1ロータが駆動輪に連結されており、クランク軸、第1ロータおよび駆動輪を含む第1動力伝達系と第2ロータとの間が、第1クラッチによって接続・遮断される。
以上の構成の電動アシスト自転車では、ペダル走行時、すなわち、クランク軸に入力された力(以下「踏力」という)のみを動力源として電動アシスト自転車が走行しているときには、クランク軸において回転動力に変換された踏力が、駆動輪に伝達される。ペダル走行中、回転機では、その構成上、駆動輪とともに第1ロータが回転するのに伴い、ステータにおいて電力の供給および発電が行われていなくても、回転磁界が発生し、それにより、ステータ、第1および第2のロータの間に磁気回路が形成される。図16は、第1動力伝達系と第2ロータの間を第1クラッチにより遮断した状態で、ペダル走行を行った場合における回転磁界、第1および第2のロータの回転速度の関係の一例を、各要素のトルクやフリクションの関係の一例とともに示す共線図である。同図において、値0を示す横線から白丸aまでの縦方向の距離は第1ロータの回転速度を、白丸bまでの距離は第2ロータの回転速度を、白丸cまでの距離は回転磁界の回転速度を、それぞれ示している。また、矢印Aは第1ロータに伝達された踏力によるトルク(以下「踏力トルク」という)を、矢印Bは第2ロータのフリクション(以下「第2ロータフリクション」という)を、矢印Cは回転磁界による回転抵抗(以下「磁界回転抵抗」という)を、それぞれ示している。
図16に示すように、ペダル走行中、第2ロータフリクションBは、踏力トルクAを反力として、回転磁界を第1ロータの回転方向と逆方向に回転させるようにステータに作用するとともに、磁界回転抵抗Cを反力として、第1ロータに負荷として作用する。また、磁界回転抵抗Cは、第2ロータフリクションBを反力として、第1ロータに負荷として作用するとともに、踏力トルクAを反力として、第2ロータを第1ロータの回転方向に回転させるように第2ロータに作用する。さらに、踏力トルクAの一部は、磁界回転抵抗Cを反力として、第2ロータを第1ロータの回転方向に回転させるように第2ロータに作用するとともに、第2ロータフリクションBを反力として、回転磁界を第1ロータの回転方向と逆方向に回転させるようにステータに作用する。以上の結果、回転磁界は、第1ロータの回転方向と逆方向に回転し、第2ロータは、第1ロータの回転方向と同方向に回転する。
また、上述したトルクやフリクションの関係から明らかなように、第2ロータフリクションBおよび磁界回転抵抗Cの双方が大きいほど、両者B,Cに起因する第1ロータの負荷は大きくなる。さらに、磁界回転抵抗Cは、回転磁界の回転速度が高いほど、より大きくなり、回転磁界の回転速度は、第2ロータフリクションBが大きいほど、より大きくなる。これに対し、第2ロータフリクションBは比較的小さいので、回転磁界の回転速度は非常に低く、このため、磁界回転抵抗Cも非常に小さい。したがって、第2ロータフリクションBおよび磁界回転抵抗Cに起因する第1ロータの負荷は小さい。以上から、ペダル走行中、第1クラッチにより第1動力伝達系と第2ロータの間を遮断することによって、電動アシスト自転車の高い効率を得ることができる。
また、クランク軸に踏力を入力している状態で、第1クラッチにより第1動力伝達系と第2ロータの間を接続するとともに、ステータに電力を供給することによって、踏力を回転機によってアシストすることができる。具体的には、クランク軸に踏力を入力している状態で、ステータに電力を供給すると、前述したステータ、第1および第2のロータの間におけるエネルギの入出力関係から、ステータに供給された電力が、動力に変換され(以下、この動力を「電力変換動力」という)、磁気回路を介して第2ロータに伝達されるのに伴い、クランク軸から第1ロータに伝達された踏力の一部が、磁気回路を介して第2ロータに伝達される。このように、第2ロータには、踏力の一部および電力変換動力が、磁気回路を介して合成された状態で伝達される。この場合、上述したように、クランク軸、第1ロータおよび駆動輪を含む第1動力伝達系と第2ロータの間を、第1クラッチにより接続することによって、第2ロータに伝達された電力変換動力および踏力の一部を合成した動力は、第1クラッチを介して第1動力伝達系に伝達され、踏力の残りとともに、駆動輪に伝達される。以上により、駆動輪には、踏力と電力変換動力を合成した動力が伝達されるので、回転機によって踏力をアシストすることができる。
また、上述したように、アシスト中、駆動輪への電力変換動力の伝達は、磁気回路を介した非接触による、いわゆる磁気パスによって行われるので、その伝達効率は、前述した従来の電動アシスト自転車のように差動装置を介して行う場合よりも高い。さらに、回転機および第1クラッチのみによって踏力と電力変換動力を合成して駆動輪に伝達できるので、踏力および電力変換動力を合成するとともに、駆動輪に伝達するための遊星歯車装置すなわち差動装置が不要になる。以上により、差動装置を用いる前述した従来の場合と比較して、アシスト中における電動アシスト自転車の効率を高めることができるとともに、電動アシスト自転車の構成の単純化、小型化および軽量化を図ることができる。
また、前述した従来の電動アシスト自転車のように、踏力と回転機の動力を差動装置を用いて合成する場合には、踏力トルクと、回転機によるトルク(以下「アシストトルク」という)が、常に、1:1の合成比で合成された後、駆動輪に伝達される。すなわち、この場合には、駆動輪に伝達されるトルクに対するアシストトルクの割合は、常に1/2である。したがって、この場合の踏力トルクとアシストトルクの関係は、例えば図17に太い破線で示すように表される。
本発明によれば、アシスト中、第1クラッチにより第1動力伝達系と第2ロータの間が接続され、ひいては、第1および第2のロータの間が接続される。これにより、ステータから第2ロータに伝達されるトルク、すなわちアシストトルクを、第1ロータから第2ロータに伝達される踏力トルクに対して任意の大きさに制御でき、したがって、踏力トルクとアシストトルクの関係を、例えば図17に太い実線で示すような関係に設定することができる。具体的には、同図に示すように、踏力トルクとアシストトルクを常に1:1の関係ではなく、踏力トルクが比較的小さいときには、アシストトルクが踏力トルクよりも小さくなるように設定するとともに、踏力トルクが比較的大きいときには、アシストトルクが踏力トルクと等しくなるように設定することができる。これにより、アシストが無駄に行われるのを防止できるので、例えば、ステータに蓄電装置の電力を供給することによってアシストを行う場合には、この蓄電装置の電力を確保でき、アシストによる走行距離を延ばすことができる。
請求項2に係る発明は、請求項1に記載の電動アシスト自転車1、1Aにおいて、第1クラッチは、第1ロータの回転速度(第1ロータ回転速度VR1)が第2ロータの回転速度(第2ロータ回転速度VR2)よりも高いときに、第1ロータ22と第2ロータ24の間を遮断する第1ワンウェイクラッチC1であることを特徴とする。
この構成によれば、第1ワンウェイクラッチによって、第1ロータと第2ロータの間が、第1ロータの回転速度が第2ロータの回転速度よりも高いときには遮断され、それ以外のときには接続される。請求項1の作用において図16を用いて説明したトルクやフリクションの関係から、ペダル走行中、第2ロータは、第1ロータの回転方向と同方向に、第1ロータよりも低い回転速度で回転するので、第1ワンウェイクラッチによって、第1および第2のロータの間が遮断状態に保持される。したがって、請求項1の電動アシスト自転車と同様、ペダル走行中、電動アシスト自転車の高い効率を得ることができる。
また、ペダル走行中、ステータに電力を供給すると、請求項1の作用で述べたように、ステータからの電力変換動力と第1ロータに入力された踏力の一部が第2ロータに伝達され、それにより、第2ロータの回転速度が上昇する。そして、第2ロータの回転速度が第1ロータの回転速度と等しくなると、上述したように遮断されていた第1ロータと第2ロータの間が、第1ワンウェイクラッチにより接続されることによって、上述したようにして第2ロータに伝達された電力変換動力および踏力の一部が、第1ワンウェイクラッチを介して第1ロータに伝達され、さらに、駆動輪に伝達されるようになる。したがって、請求項1の電動アシスト自転車と同様、踏力および電力変換動力を合成した動力を駆動輪に伝達できるので、回転機によって踏力をアシストすることができる。
さらに、ペダル走行からアシストに移行する際、ステータに電力を供給しても、上述したように、第2ロータの回転速度が第1ロータの回転速度と等しくなるまでは、第1ワンウェイクラッチによって、第1および第2のロータの間が接続されないので、電力変換動力によって駆動輪が駆動されることはない。このため、例えば、第1ロータの回転速度を目標回転速度として、第2ロータの回転速度が目標回転速度になるように、回転磁界の回転速度を制御することによって、ペダル走行からアシストへの移行時、ステータからの電力変換動力が駆動輪に急激に作用するのを防止でき、良好なドライバビリティを得ることができる。
また、第1ワンウェイクラッチは、油圧式などのクラッチと異なり、その作動を制御するためのアクチェータなどを必要としないので、油圧式などのクラッチを用いた場合と比較して、電動アシスト自転車の構成の単純化、小型化および軽量化を図ることができるとともに、電動アシスト自転車のコストを削減することができる。
請求項3に係る発明は、請求項1または2に記載の電動アシスト自転車1において、クランク軸5および第1ロータ22と駆動輪との間を接続・遮断する第2クラッチ(第2ワンウェイクラッチC2)をさらに備えることを特徴とする。
この構成によれば、第2クラッチによって、クランク軸および第1ロータと駆動輪との間が、接続・遮断される。このため、電動アシスト自転車の空走時、すなわち、クランク軸に踏力が入力されておらず、電動アシスト自転車が惰性で走行しているときに、第2クラッチによって、クランク軸および第1ロータと駆動輪との間を遮断することによって、クランク軸を停止状態に保持できるとともに、ペダル機構のフリクションが駆動輪に作用するのを防止できる。また、空走中、上述した第2クラッチによる第1ロータと駆動輪の間の遮断に加え、第1クラッチにより、クランク軸、第1ロータおよび駆動輪を含む第1動力伝達系と第2ロータとの間を遮断することによって、回転機と駆動輪の間も遮断される。これにより、空走中、上述したペダル機構のフリクションの作用防止に加え、回転機のフリクションが駆動輪に作用するのを防止でき、したがって、空走による走行距離を延ばすことができる。
一方、第1クラッチが前述した第1ワンウェイクラッチである場合には、第1ワンウェイクラッチは第1および第2のロータの間を接続・遮断するように構成されているため、第2クラッチによって、クランク軸および第1ロータと駆動輪との間を遮断すれば、第2ロータと駆動輪の間も遮断され、ひいては、クランク軸および回転機と駆動輪との間が遮断される。したがって、この場合にも、空走による走行距離を延ばすことができる。
請求項4に係る発明は、請求項3に記載の電動アシスト自転車1において、クランク軸5および第1ロータ22は互いに連結されており、第2クラッチは、駆動輪側(出力部C2b)の回転速度が、第1ロータ22およびクランク軸5を含む第2動力伝達系側(入力部C2a)の回転速度よりも高いときに、第2動力伝達系と駆動輪の間を遮断する第2ワンウェイクラッチC2であることを特徴とする。
この構成によれば、クランク軸および第1ロータは互いに連結されており、第2ワンウェイクラッチによって、第2ワンウェイクラッチの駆動輪側の回転速度が、第1ロータおよびクランク軸を含む第2動力伝達系側の回転速度よりも高いときには、第2動力伝達系と駆動輪の間が遮断され、それ以外のときには接続される。上記のようにクランク軸および第1ロータが互いに連結されているため、ペダル走行中、駆動輪は、クランク軸および第1ロータを含む第2動力伝達系を介して踏力が伝達されることにより初めて駆動されるので、第2ワンウェイクラッチの駆動輪側の回転速度は、第2動力伝達系側の回転速度よりも高くはならない。したがって、ペダル走行中、第2ワンウェイクラッチによって、クランク軸および第1ロータと駆動輪との間が接続状態に保持されるので、踏力を駆動輪に伝達できる。
また、アシスト中、以下に述べる作用によって、踏力および電力変換動力を駆動輪に伝達できる。例えば、前述した第1クラッチが、クランク軸および第1ロータを含む第2動力伝達系と第2ロータとの間を接続・遮断するように構成されている場合には、この構成により、アシスト中、駆動輪は、第2動力伝達系を介して踏力および電力変換動力が伝達されることにより初めて駆動されるので、第2ワンウェイクラッチの駆動輪側の回転速度は、第2動力伝達系側の回転速度よりも高くはならない。したがって、この場合にも、第2ワンウェイクラッチによって、クランク軸および第1ロータと駆動輪との間が接続状態に保持されるので、踏力および電力変換動力を駆動輪に伝達できる。
あるいは、第1クラッチが、前述した第1動力伝達系のうちの第2動力伝達系よりも駆動輪側の部分と第2ロータとの間を接続・遮断するように構成されている場合には、アシスト中、第2ロータの回転速度を制御することにより、第2ワンウェイクラッチの駆動輪側の回転速度を、第2動力伝達系側の回転速度よりも高くならないように制御することによって、第2動力伝達系と駆動輪との間が、第2ワンウェイクラッチにより接続状態に保持される。したがって、この場合にも、踏力および電力変換動力を駆動輪に伝達できる。
あるいは、第1クラッチが前述した第1ワンウェイクラッチである場合には、第1ワンウェイクラッチは、第1および第2のロータの間を接続・遮断するように構成されており、それにより、アシスト中、駆動輪は、第2動力伝達系を介して踏力および電力変換動力が伝達されることにより初めて駆動されるので、第2ワンウェイクラッチの駆動輪側の回転速度は、第2動力伝達系側の回転速度よりも高くはならない。したがって、この場合にも、第2ワンウェイクラッチによって、クランク軸および第1ロータと駆動輪との間が接続状態に保持されるので、踏力および電力変換動力を駆動輪に伝達できる。
さらに、空走中、駆動輪が慣性によって回転している状態で、クランク軸を停止状態に保持すれば、第2ワンウェイクラッチの駆動輪側の回転速度は、クランク軸を含む第2動力伝達系側の回転速度よりも高くなるので、第2ワンウェイクラッチによって、第2動力伝達系と駆動輪の間、すなわち、クランク軸および第1ロータと駆動輪との間が遮断される。したがって、請求項3の電動アシスト自転車と同様、空走中、クランク軸を停止状態に保持できるとともに、ペダル機構および回転機のフリクションの双方が駆動輪に作用するのを防止できるので、空走による走行距離を延ばすことができる。
さらに、第2クラッチとして第2ワンウェイクラッチを用いるので、請求項2の電動アシスト自転車と同様、構成の単純化、小型化および軽量化を図れるとともに、電動アシスト自転車のコストを削減することができる。
請求項5に係る発明は、請求項1または2に記載の電動アシスト自転車1Aにおいて、クランク軸5と駆動輪の間を接続・遮断する第2クラッチ(第2ワンウェイクラッチC2)をさらに備えることを特徴とする。
この構成によれば、第2クラッチによって、クランク軸と駆動輪の間が接続・遮断される。このため、空走中、第2クラッチにより、クランク軸と駆動輪の間を遮断することによって、クランク軸を停止状態に保持できるとともに、ペダル機構のフリクションが駆動輪に作用するのを防止できる。
また、空走中、第1クラッチにより、第1動力伝達系(クランク軸・第1ロータ・駆動輪)と第2ロータとの間を遮断状態に保持することによって、慣性により回転する駆動輪の動力を、第2ロータには作用させず、第1ロータに作用させると、この場合にも、回転磁界、第1および第2のロータの間に、前述した図16に示すような回転速度の関係と、トルクおよびフリクションの関係が成立する。ただし、この場合、第1ロータには踏力トルクではなく、駆動輪からのトルクが作用する。したがって、空走中、回転磁界の回転速度は非常に低く、それにより、第2ロータフリクションBおよび磁界回転抵抗Cに起因する第1ロータの負荷が小さいので、第1ロータを介して駆動輪に作用する負荷も小さい。したがって、上述した第2クラッチの遮断によるペダル機構のフリクション作用防止と相まって、空走による走行距離を延ばすことができる。
この効果は、第1クラッチが第1ワンウェイクラッチである場合にも同様に得ることができる。具体的には、上述したように、空走中、図16に示すようなトルクおよびフリクションの関係が成立するため、第2ロータは、第1ロータの回転方向と同方向に、第1ロータよりも低い回転速度で回転し、その結果、第1ワンウェイクラッチによって、第1および第2のロータの間が遮断状態に保持される。したがって、上述した第1クラッチを備える場合と同様、空走中において、第2ロータフリクションBおよび磁界回転抵抗Cに起因する第1ロータの負荷が小さいので、空走による走行距離を延ばすことができる。
さらに、第1クラッチが第1ワンウェイクラッチである場合には、第2クラッチにより、クランク軸と駆動輪の間を遮断するとともに、ステータに電力を供給することによって、クランク軸を停止した状態で、回転機のみを動力源として、電動アシスト自転車を走行させることができる。具体的には、サンギヤおよびリングギヤの一方に相当する第1ロータには、駆動輪のフリクションが作用しており、この駆動輪のフリクションは、キャリアに相当する第2ロータのフリクションよりも非常に大きい。このため、ステータに電力を供給すると、ステータからの電力変換動力は、第1ロータに作用する駆動輪のフリクションを反力として、第2ロータに伝達され、それにより、第2ロータが回転するようになる。これにより、第1ワンウェイクラッチによって、第1および第2のロータの間が接続されるので、電力変換動力が、第2ロータ、第1ワンウェイクラッチおよび第1ロータを介して、駆動輪に伝達される。
この場合、前述したステータ、第1および第2のロータの間のエネルギの入出力関係から、電力変換動力は、第2ロータを回転磁界の回転方向に回転させるように第2ロータに作用し、第1ロータを回転磁界の回転方向と逆方向に回転させるように第1ロータに作用する。これにより、上述した駆動輪への電力変換動力の伝達により第1ロータが駆動輪とともに回転しても、第1ワンウェイクラッチによって、第1および第2のロータの間は接続状態に保持され、その結果、第2ロータの回転速度は第1ロータの回転速度よりも高くはならない。以上により、クランク軸を停止した状態で、回転機のみを動力源として、電動アシスト自転車を走行させることができる。
また、第1クラッチが、第1動力伝達系のクランク軸以外の要素と第2ロータとの間を接続・遮断するように構成されている場合にも、第1クラッチにより、第1動力伝達系のクランク軸以外の要素と第2ロータとの間を接続し、第2クラッチにより、クランク軸と駆動輪の間を遮断するとともに、ステータに電力を供給することによって、クランク軸を停止状態に保持したまま、回転機のみを動力源として、電動アシスト自転車を走行させることができる。
請求項6に係る発明は、請求項5に記載の電動アシスト自転車1Aにおいて、第2クラッチは、駆動輪側(出力部C2b)の回転速度がクランク軸5側(入力部C2a)の回転速度よりも高いときに、クランク軸5と駆動輪の間を遮断する第2ワンウェイクラッチC2であることを特徴とする。
この構成によれば、第2ワンウェイクラッチによって、第2ワンウェイクラッチの駆動輪側の回転速度がクランク軸側の回転速度よりも高いときには、クランク軸と駆動輪の間が遮断され、それ以外のときには接続される。ペダル走行中、駆動輪は、クランク軸から踏力が伝達されることによって初めて駆動されるので、第2ワンウェイクラッチの駆動輪側の回転速度は、クランク軸側の回転速度よりも高くはならない。したがって、ペダル走行中、第2ワンウェイクラッチによって、クランク軸と駆動輪の間が接続状態に保持されるので、踏力を駆動輪に伝達できる。また、アシスト中、例えば、ステータから駆動輪に伝達されるトルクを制御することにより、第2ワンウェイクラッチの駆動輪側の回転速度をクランク軸側の回転速度よりも高くならないように制御することによって、第2ワンウェイクラッチにより、クランク軸と駆動輪の間が接続状態に保持されるので、踏力および電力変換動力を駆動輪に伝達できる。
さらに、空走中、駆動輪が慣性により回転している状態で、クランク軸を停止状態に保持すれば、第2ワンウェイクラッチの駆動輪側の回転速度がクランク軸側の回転速度よりも高くなるので、第2ワンウェイクラッチによって、クランク軸と駆動輪の間が遮断される。したがって、請求項5の電動アシスト自転車と同様、空走中、クランク軸を停止状態に保持できるとともに、ペダル機構のフリクションが駆動輪に作用するのを防止できることと、第2ロータフリクションBおよび磁界回転抵抗Cに起因する駆動輪の負荷が小さいことから、空走による走行距離を延ばすことができる。
また、クランク軸を停止状態に保持するとともに、請求項5の作用で述べたように、ステータへの電力の供給により、電力変換動力を、第1および第2のロータを介して駆動輪に伝達し、駆動輪を駆動すれば、第2ワンウェイクラッチの駆動輪側の回転速度がクランク軸側の回転速度よりも高くなるので、第2ワンウェイクラッチによって、クランク軸と駆動輪の間が遮断される。したがって、請求項5の電動アシスト自転車と同様、クランク軸を停止状態に保持したまま、回転機のみを動力源として、電動アシスト自転車を走行させることができる。
さらに、第2クラッチとして第2ワンウェイクラッチを用いるので、請求項2の電動アシスト自転車と同様、構成の単純化、小型化および軽量化を図れるとともに、コストを削減することができる。
請求項7に係る発明は、請求項1ないし6のいずれかに記載の電動アシスト自転車1、1Aにおいて、第1ロータ22は、動力を増速して伝達する増速機構6を用いることなく、駆動輪に連結されていることを特徴とする。
第1ロータを、増速機構を介して駆動輪に連結した場合には、この増速機構による増速によって、増速機構から駆動輪に伝達されるトルクが小さくなり、その分、第1ロータから増速機構に伝達されるトルクが大きくなるので、回転機に必要とされるトルクは大きくなる。本発明によれば、第1ロータが増速機構を用いることなく、駆動輪に連結されているので、上述した場合と比較して、回転機に必要とされるトルクが小さくなるので、回転機の小型化を図ることができる。
以下、図面を参照しながら、本発明の好ましい実施形態について説明する。図1は、本発明の第1実施形態による電動アシスト自転車1を概略的に示している。この電動アシスト自転車1は、二輪式のものであり、図1に示すように、後輪2(駆動輪)、ペダル機構3、増速機構6、変速装置10、第1ワンウェイクラッチC1、第2ワンウェイクラッチC2、および回転機20を備えている。なお、図1は、主として本発明の特徴部分を示しており、電動アシスト自転車1が、前輪、ハンドル、サドルおよびブレーキと、これらの前輪などが設けられたフレーム(いずれも図示せず)をさらに備えることは、もちろんである。これらの要素は、従来のものと同様であり、その詳細な説明については省略する。
後輪2は、フレームの後端部に、車軸1aや軸受け(図示せず)を介して取り付けられており、それにより、水平方向に延びる軸線を中心として回転自在である。
ペダル機構3は、運転者の足の踏み込み力(以下「踏力」という)を回転動力に変換するものであり、ペダル4およびクランク軸5を有している。クランク軸5は、水平方向に延びる軸状のクランクジャーナル5aと、このクランクジャーナル5aの両端部に固定され、クランクジャーナル5aに直交するクランクアーム5b,5bによって構成されている。クランクジャーナル5aは、フレームの中央の下端部に取り付けられた軸受け(図示せず)に支持されており、それにより、クランク軸5は、水平方向に延びる軸線を中心として回転自在である。各クランクアーム5bには、クランクジャーナル5aと逆側の端部に、ペダル4が取り付けられている。ペダル4は、クランクアーム5bに直交しており、クランクアーム5bに対して、水平方向に延びる軸線を中心として回転自在である。以上の構成により、ペダル機構3では、ペダル4に運転者の踏力が入力されると、この踏力は、クランク軸5に伝達されるとともに、回転動力に変換された状態で、クランクジャーナル5aに出力される。
回転機20は、運転者の踏力をアシストするためのものであり、フレームの中央の下端部に、ペダル機構3と一体に設けられている。図1および図2に示すように、回転機20は、フレームと一体のケースCAと、このケースCAに回転自在に支持された回転軸21と、第1ロータ22と、第1ロータ22に対向するように配置されたステータ23と、両者22,23の間に所定の間隔を存した状態で設けられ、回転軸21に連結された第2ロータ24とを備えている。第1ロータ22、第2ロータ24およびステータ23は、径方向に、内側からこの順で並んでいる。以下、図2の左側を「左」、右側を「右」として説明する。
第1ロータ22は、2n個の永久磁石22aを有しており、これらの永久磁石22aは、上述したペダル機構3のクランクジャーナル5aの周方向(以下、単に「周方向」という)に等間隔で並んだ状態で、リング状の固定部22bの外周面に取り付けられている。また、各永久磁石22aは、クランクジャーナル5aの軸線方向(以下、単に「軸線方向」という)に直交する断面がほぼ扇形状になっており、軸線方向に若干延びている。上記の固定部22bは、軟磁性体、例えば鉄で構成されており、その内周面が、円板状のフランジ22cの外周面に取り付けられている。このフランジ22cは、クランクジャーナル5aに一体に同心状に設けられている。以上の構成により、永久磁石22aは、クランクジャーナル5aと一体に回転自在であり、換言すれば、第1ロータ22は、クランク軸5と一体に回転自在である。
また、図3に示すように、クランクジャーナル5aを中心として、周方向に隣り合う各2つの永久磁石22aがなす中心角は、所定角度θである。また、永久磁石22aの極性は、周方向に隣り合う各2つについては互いに異なっている。以下、永久磁石22aの左側および右側の磁極をそれぞれ、「第1磁極」および「第2磁極」という。
ステータ23は、回転磁界を発生させるものであり、周方向に等間隔で並んだ3n個の電機子23aを有している。各電機子23aは、鉄芯23bと、鉄芯23bに巻回されたコイル23cなどで構成されている。鉄芯23bは、軸線方向に直交する断面がほぼ扇形状になっており、軸線方向に永久磁石22aとほぼ同じ長さを有している。鉄芯23bの内周面の軸線方向の中央部には、周方向に延びる溝23dが形成されている。3n個のコイル23cは、n組のU相、V相およびW相の3相コイルを構成している(図3参照)。また、電機子23aは、ケースCAに、リング状の固定部23eを介して取り付けられており、移動不能になっている。以上のような電機子23aおよび永久磁石22aの数と配置から、ある1つの電機子23aの中心が、永久磁石22aの中心と周方向に一致したときには、その電機子23aに対して2つおきの電機子23aの中心と、その永久磁石22aに対して1つおきの永久磁石22aの中心とが、周方向に一致する。
さらに、電機子23aは、パワードライブユニット(以下「PDU」という)32を介してECU31とバッテリ33に接続されている。このECU31は、I/Oインターフェース、CPU、RAMおよびROMなどからなるマイクロコンピュータで構成されており、このPDU32は、インバータなどの電気回路で構成されている。また、バッテリ33は、充電および放電可能に構成されている。さらに、電機子23aは、バッテリ33から電力が供給されたとき、または、後述するように発電したときに、鉄芯23bの左右の端部に、互いに異なる極性の磁極がそれぞれ発生するように構成されている。さらに、これらの磁極の発生に伴って、第1ロータ22の左側(第1磁極側)の部分との間および右側(第2磁極側)の部分との間に、第1および第2の回転磁界が周方向に回転するようにそれぞれ発生する。以下、鉄芯23bの左右の端部に発生する磁極をそれぞれ、「第1電機子磁極」および「第2電機子磁極」という。また、これらの第1および第2の電機子磁極の数はそれぞれ、永久磁石22aの磁極の数と同じ、すなわち2nである。
第2ロータ24は、複数の第1コア24aおよび第2コア24bを有している。第1および第2のコア24a,24bはそれぞれ、周方向に等間隔で並んでおり、両者24a,24bの数はいずれも、永久磁石22aと同じ、すなわち2nに設定されている。各第1コア24aは、軟磁性体、例えば複数の鋼板を積層したもので、軸線方向に直交する断面がほぼ扇形状になっており、軸線方向に永久磁石22aのほぼ半分の長さで延びている。各第2コア24bは、第1コア24aと同様、複数の鋼板を積層したもので、軸線方向に直交する断面がほぼ扇形状になっており、軸線方向に永久磁石22aのほぼ半分の長さで延びている。
また、軸線方向において、第1コア24aは、第1ロータ22の左側(第1磁極側)の部分とステータ23の左側(第1電機子磁極側)の部分との間に配置され、第2コア24bは、第1ロータ22の右側(第2磁極側)の部分とステータ23の右側(第2電機子磁極側)の部分との間に配置されている。さらに、第2コア24bは、第1コア24aに対して周方向に互い違いに並んでおり、その中心が、第1コア24aの中心に対して、前述した所定角度θの1/2、ずれている。
また、第1および第2のコア24a,24bは、ドーナツ板状のフランジの外端部に、軸線方向に若干延びる棒状の連結部(いずれも図示せず)をそれぞれ介して取り付けられている。このフランジは、前述した回転軸21に一体に同心状に設けられている。この構成により、第1および第2のコア24a,24bは、回転軸21と一体に回転自在である。また、回転軸21は、筒状に形成されており、その内側には、クランクジャーナル5aが同心状に回転自在に嵌合している。
以上の構成の回転機20では、図3に示すように、第1および第2の回転磁界の発生中、各第1電機子磁極の極性が、それに対向する(最も近い)各第1磁極の極性と異なるときには、各第2電機子磁極の極性は、それに対向する(最も近い)各第2磁極の極性と同じになる。また、各第1磁極と各第1電機子磁極の間に、各第1コア24aが位置しているときには、各第2コア24bが、周方向に隣り合う各2組の第2電機子磁極および第2磁極の間に位置する。さらに、図示しないが、第1および第2の回転磁界の発生中、各第2電機子磁極の極性が、それに対向する(最も近い)各第2磁極の極性と異なるときには、各第1電機子磁極の極性は、それに対向する(最も近い)各第1磁極の極性と同じになる。また、各第2磁極と各第2電機子磁極の間に、各第2コア24bが位置しているときには、各第1コア24aが、周方向に隣り合う各2組の第1電機子磁極および第1磁極の間に位置する。
また、回転機20は、2部材で回転動力を入出力するとともに、1部材で電力を入出力する遊星歯車装置とみなすことができる。以下、この点に関し、回転機20の動作に基づいて説明する。上述した図3では、展開図として示したために、電機子23aおよび固定部23eが2つに分かれているように示されているものの、これらは実際には1つのものであるので、図3の構成を、それと等価のものとして図4のように示すことができる。このため、以下、回転機20の動作を、永久磁石22a、電機子23a、第1および第2のコア24a,24bが、図4に示すように配置されているものとして説明する。
また、この動作説明を、説明の便宜上、第1および第2の回転磁界の動きを、それと等価の、永久磁石22aと同数の2n個の仮想の永久磁石(以下「仮想磁石」という)VMの物理的な動きに置き換えて説明するものとする。また、仮想磁石VMの左側(第1磁極側)および右側(第2磁極側)の磁極をそれぞれ、第1および第2の電機子磁極として、第1ロータ22の左側(第1磁極側)の部分との間および右側(第2磁極側)の部分との間にそれぞれ発生する回転磁界を、第1および第2の回転磁界として、説明するものとする。さらに、以下、永久磁石22aの左側の部分および右側の部分をそれぞれ、「第1磁石部」および「第2磁石部」という。
まず、回転機20の動作として、第1ロータ22を回転不能にした状態で、電機子23aへの電力供給により第1および第2の回転磁界を発生させた場合の動作について説明する。
図5(a)に示すように、各第1コア24aが各第1磁石部に対向するとともに、各第2コア24bが隣り合う各2つの第2磁石部の間に位置した状態から、第1および第2の回転磁界を、同図の下方に回転させるように発生させる。その発生の開始時においては、各第1電機子磁極の極性を、それに対向する各第1磁極の極性と異ならせるとともに、各第2電機子磁極の極性をそれに対向する各第2磁極の極性と同じにする。
第1コア24aは、前述したように配置されているので、第1磁極および第1電機子磁極によって磁化されるとともに、第1磁極、第1コア24aおよび第1電機子磁極の間に、磁力線(以下「第1磁力線」という)G1が発生する。同様に、第2コア24bは、前述したように配置されているので、第2電機子磁極および第2磁極によって磁化されるとともに、第2電機子磁極、第2コア24bおよび第2磁極の間に、磁力線(以下「第2磁力線」という)G2が発生する。
図5(a)に示す状態では、第1磁力線G1は、第1磁極、第1コア24aおよび第1電機子磁極を結ぶように発生し、第2磁力線G2は、周方向に隣り合う各2つの第2電機子磁極と両者の間に位置する第2コア24bを結ぶように、また、周方向に隣り合う各2つの第2磁極と両者の間に位置する第2コア24bを結ぶように発生する。その結果、この状態では、図7(a)に示すような磁気回路が構成される。この状態では、第1磁力線G1が直線状であることにより、第1コア24aには、周方向に回転させるような磁力は作用しない。また、周方向に隣り合う各2つの第2電機子磁極と第2コア24bの間の2つの第2磁力線G2の曲がり度合いおよび総磁束量が互いに等しく、同様に、周方向に隣り合う各2つの第2磁極と第2コア24bの間の2つの第2磁力線G2の曲がり度合いおよび総磁束量も、互いに等しく、バランスしている。このため、第2コア24bにも、周方向に回転させるような磁力は作用しない。
そして、仮想磁石VMが図5(a)に示す位置から図5(b)に示す位置に回転すると、第2電機子磁極、第2コア24bおよび第2磁極を結ぶような第2磁力線G2が発生するとともに、第1コア24aと第1電機子磁極の間の第1磁力線G1が、曲がった状態になる。また、これに伴い、第1および第2の磁力線G1,G2によって、図7(b)に示すような磁気回路が構成される。
この状態では、第1磁力線G1の曲がり度合いは小さいものの、その総磁束量が多いため、比較的強い磁力が第1コア24aに作用する。これにより、第1コア24aは、仮想磁石VMの回転方向、すなわち第1および第2の回転磁界の回転方向(以下、「磁界回転方向」という)に、比較的大きな駆動力で駆動され、その結果、第2ロータ24が磁界回転方向に回転する。また、第2磁力線G2の曲がり度合いは大きいものの、その総磁束量が少ないため、比較的弱い磁力が第2コア24bに作用し、それにより、第2コア24bは、磁界回転方向に比較的小さな駆動力で駆動され、その結果、第2ロータ24が磁界回転方向に回転する。
次いで、仮想磁石VMが、図5(b)に示す位置から、図5(c),(d)および図6(a),(b)に示す位置に順に回転すると、第1および第2のコア24a,24bはそれぞれ、第1および第2の磁力線G1,G2による磁力によって磁界回転方向に駆動され、その結果、第2ロータ24が磁界回転方向に回転する。その間、第1コア24aに作用する磁力は、第1磁力線G1の曲がり度合いが大きくなるものの、その総磁束量が少なくなることによって、徐々に弱くなり、第1コア24aを磁界回転方向に駆動する駆動力が、徐々に小さくなる。また、第2コア24bに作用する磁力は、第2磁力線G2の曲がり度合いが小さくなるものの、その総磁束量が多くなることによって、徐々に強くなり、第2コア24bを磁界回転方向に駆動する駆動力が、徐々に大きくなる。
そして、仮想磁石VMが図6(b)に示す位置から図6(c)に示す位置に回転する間、第2磁力線G2が曲がった状態になるとともに、その総磁束量が最多に近い状態になり、その結果、最強の磁力が第2コア24bに作用し、第2コア24bに作用する駆動力が最大になる。その後、図6(c)に示すように、仮想磁石VMが第1および第2の磁石部に対向する位置に移動すると、互いに対向する第1電機子磁極および第1磁極が互いに同一極性になり、第1コア24aが、周方向に隣り合う2組の同一極性の第1電機子磁極および第1磁極の間に位置するようになる。この状態では、第1磁力線G1の曲がり度合いが大きいものの、その総磁束量が少ないことによって、第1コア24aには、磁界回転方向に回転させるような磁力が作用しない。また、互いに対向する第2電機子磁極および第2磁極が互いに異なる極性になる。
この状態から、仮想磁石VMがさらに回転すると、第1および第2の磁力線G1,G2による磁力によって、第1および第2のコア24a,24bが磁界回転方向に駆動され、第2ロータ24が磁界回転方向に回転する。その際、仮想磁石VMが図5(a)に示す位置まで回転する間、以上とは逆に、第1コア24aに作用する磁力は、第1磁力線G1の曲がり度合が小さくなるものの、その総磁束量が多くなることによって強くなり、第1コア24aに作用する駆動力が大きくなる。逆に、第2コア24bに作用する磁力は、第2磁力線G2の曲がり度合が大きくなるものの、その総磁束量が少なくなることによって弱くなり、第2コア24bに作用する駆動力が小さくなる。
以上のように、仮想磁石VMの回転、すなわち第1および第2の回転磁界の回転に伴い、第1および第2のコア24a,24bにそれぞれ作用する駆動力が、交互に大きくなったり、小さくなったりする状態を繰り返しながら、第2ロータ24が磁界回転方向に回転する。この場合、第1および第2のコア24a,24bを介して伝達されるトルクをT24a,T24bとすると、第2ロータ24に伝達されるトルク(以下「第2ロータ伝達トルク」という)TR2と、これら2つのトルクT24a,T24bとの関係は、概ね図8に示すものになる。同図に示すように、2つのトルクT24a,T24bは、同じ周期でほぼ正弦波状に変化するとともに、位相が半周期分、互いにずれている。また、第2ロータ24には第1および第2のコア24a,24bが連結されているため、第2ロータ伝達トルクTR2は、上記のように変化する2つのトルクT24a,T24bを足し合わせたものとなり、ほぼ一定になる。
また、第1および第2の磁力線G1,G2による磁力の作用によって、第1コア24aが、第1磁力線G1で結ばれた第1磁極と第1電機子磁極の中間に位置し、かつ、第2コア24bが、第2磁力線G2で結ばれた第2磁極と第2電機子磁極の中間に位置した状態を保ちながら、第2ロータ24が回転する。このため、第1および第2の回転磁界の回転速度(以下「磁界回転速度」という)V0と、第1ロータ22の回転速度(以下「第1ロータ回転速度」という)VR1と、第2ロータ24の回転速度(以下「第2ロータ回転速度」という)VR2との間には一般に、次式(1)が成立する。
VR2=(V0+VR1)/2 ……(1)
また、この式(1)を変形すると、次式(2)が得られる。
V0−VR2=VR2−VR1 ……(2)
これらの式(1)および(2)から明らかなように、第2ロータ回転速度VR2は、磁界回転速度V0と第1ロータ回転速度VR1との平均速度に等しく、換言すれば、磁界回転速度V0と第2ロータ回転速度VR2との差は、第2ロータ回転速度VR2と第1ロータ回転速度VR1との差に等しい。このように、磁界回転速度V0、第1および第2のロータ回転速度VR1,VR2は、共線関係にある。
VR2=(V0+VR1)/2 ……(1)
また、この式(1)を変形すると、次式(2)が得られる。
V0−VR2=VR2−VR1 ……(2)
これらの式(1)および(2)から明らかなように、第2ロータ回転速度VR2は、磁界回転速度V0と第1ロータ回転速度VR1との平均速度に等しく、換言すれば、磁界回転速度V0と第2ロータ回転速度VR2との差は、第2ロータ回転速度VR2と第1ロータ回転速度VR1との差に等しい。このように、磁界回転速度V0、第1および第2のロータ回転速度VR1,VR2は、共線関係にある。
したがって、上述した第1ロータ回転速度VR1が値0のときには、VR2=V0/2が成立し、このときの磁界回転速度V0、第1および第2のロータ回転速度VR1,VR2の関係は、例えば図9(a)のように示される。
また、この場合、第2ロータ回転速度VR2が、磁界回転速度V0の1/2に減速されるので、第2ロータ伝達トルクTR2は、ステータ23への供給電力および磁界回転速度V0と等価のトルクを駆動用等価トルクTSEとすると、この駆動用等価トルクTSEの2倍になる。すなわち、次式(3)が成立する。
TR2=TSE・2 ……(3)
以上のように、第1ロータ22を回転不能にした状態でステータ23に電力を供給した場合には、この電力はすべて、第2ロータ24に動力として伝達される。
TR2=TSE・2 ……(3)
以上のように、第1ロータ22を回転不能にした状態でステータ23に電力を供給した場合には、この電力はすべて、第2ロータ24に動力として伝達される。
次に、第2ロータ24を回転不能にした状態で、電機子23aへの電力供給により第1および第2の回転磁界を発生させた場合の動作について説明する。
この場合にも、図11(a)に示すように、各第1コア24aが各第1磁石部に対向するとともに、各第2コア24bが隣り合う各2つの第2磁石部の間に位置した状態から、第1および第2の回転磁界を同図の下方に回転させるように発生させる。その発生の開始時においては、各第1電機子磁極の極性を、それに対向する各第1磁極の極性と異ならせるとともに、各第2電機子磁極の極性をそれに対向する各第2磁極の極性と同じにする。この状態では、前述した図7(a)に示すような磁気回路が構成される。
そして、仮想磁石VMが、図11(a)に示す位置から図11(b)に示す位置に回転すると、第1コア24aと第1電機子磁極の間の第1磁力線G1が曲がった状態になるのに伴い、第2電機子磁極が第2コア24bに近づくことによって、第2電機子磁極、第2コア24bおよび第2磁極を結ぶような第2磁力線G2が発生する。その結果、前述した図7(b)に示すような磁気回路が構成される。
この状態では、第1磁極と第1コア24aの間の第1磁力線G1の総磁束量は多いものの、この第1磁力線G1がまっすぐであるため、第1コア24aに対して第1磁石部を回転させるような磁力が発生しない。また、第2磁極およびこれと異なる極性の第2電機子磁極の間の距離が比較的長いことにより、第2コア24bと第2磁極の間の第2磁力線G2の総磁束量は比較的少ないものの、その曲がり度合いが大きいことによって、第2磁石部に、これを第2コア24bに近づけるような磁力が作用する。これにより、永久磁石22aは、仮想磁石VMの回転方向、すなわち磁界回転方向と逆方向(図11の上方)に駆動され、図11(c)に示す位置に向かって回転する。これに伴い、第1ロータ22が磁界回転方向と逆方向に回転する。
そして、永久磁石22aが図11(b)に示す位置から図11(c)に示す位置に向かって回転する間、仮想磁石VMは、図11(d)に示す位置に向かって回転する。以上のように、第2磁石部が第2コア24bに近づくことにより、第2コア24bと第2磁極の間の第2磁力線G2の曲がり度合いは小さくなるものの、仮想磁石VMが第2コア24bにさらに近づくのに伴い、第2磁力線G2の総磁束量は多くなる。その結果、この場合にも、第2磁石部に、これを第2コア24b側に近づけるような磁力が作用し、それにより、永久磁石22aが、磁界回転方向と逆方向に駆動される。
また、永久磁石22aが磁界回転方向と逆方向に回転するのに伴い、第1磁極と第1コア24aの間の第1磁力線G1が曲がることによって、第1磁石部に、これを第1コア24aに近づけるような磁力が作用する。しかし、この状態では、第1磁力線G1による磁力は、第1磁力線G1の曲がり度合いが第2磁力線G2よりも小さいことによって、上述した第2磁力線G2による磁力よりも弱い。その結果、両磁力の差分に相当する磁力によって、永久磁石22aが、磁界回転方向と逆方向に駆動される。
そして、図11(d)に示すように、第1磁極と第1コア24aの間の距離と、第2コア24bと第2磁極の間の距離が互いにほぼ等しくなったときには、第1磁極と第1コア24aの間の第1磁力線G1の総磁束量および曲がり度合いが、第2コア24bと第2磁極の間の第2磁力線G2の総磁束量および曲がり度合いとそれぞれほぼ等しくなる。その結果、これらの第1および第2の磁力線G1,G2による磁力が互いにほぼ釣り合うことによって、永久磁石22aが一時的に駆動されない状態になる。
この状態から、仮想磁石VMが図12(a)に示す位置まで回転すると、第1磁力線G1の発生状態が変化し、図12(b)に示すような磁気回路が構成される。それにより、第1磁力線G1による磁力が、第1磁石部を第1コア24aに近づけるようにほとんど作用しなくなるので、永久磁石22aは、第2磁力線G2による磁力によって、図12(c)に示す位置まで、磁界回転方向と逆方向に駆動される。
そして、図12(c)に示す位置から、仮想磁石VMが若干、回転すると、以上とは逆に、第1磁極と第1コア24aの間の第1磁力線G1による磁力が、第1磁石部に、これを第1コア24aに近づけるように作用し、それにより、永久磁石22aが、磁界回転方向と逆方向に駆動され、第1ロータ22が磁界回転方向と逆方向に回転する。そして、仮想磁石VMがさらに回転すると、第1磁極と第1コア24aの間の第1磁力線G1による磁力と第2コア24bと第2磁極の間の第2磁力線G2による磁力との差分に相当する磁力によって、永久磁石22aが、磁界回転方向と逆方向に駆動される。その後、第2磁力線G2による磁力が、第2磁石部を第2コア24bに近づけるようにほとんど作用しなくなると、第1磁力線G1による磁力によって、永久磁石22aが磁界回転方向と逆方向に駆動される。
以上のように、第1および第2の回転磁界の回転に伴い、第1磁極と第1コア24aの間の第1磁力線G1による磁力と、第2コア24bと第2磁極の間の第2磁力線G2による磁力と、これらの磁力の差分に相当する磁力とが、永久磁石22aに、すなわち第1ロータ22に交互に作用し、それにより、第1ロータ22が磁界回転方向と逆方向に回転する。また、そのように磁力すなわち駆動力が第1ロータ22に交互に作用することによって、第1ロータ22に伝達されるトルク(以下「第1ロータ伝達トルク」という)TR1は、ほぼ一定になる。
また、このときの磁界回転速度V0、第1および第2のロータ回転速度VR1,VR2の関係は、式(1)において、VR2=0とすることにより、VR1=−V0で表され、例えば図9(b)のように示される。このように、第1ロータ22は、第1および第2の回転磁界と同じ速度で逆方向に回転する。さらに、この場合、第1ロータ伝達トルクTR1は、駆動用等価トルクTSEと等しくなり、次式(4)が成立する。
TR1=TSE ……(4)
TR1=TSE ……(4)
また、磁界回転速度V0、第1および第2のロータ回転速度VR1,VR2がいずれも値0でない場合、例えば、第1ロータ22を動力により回転させた状態で、第1および第2の回転磁界を発生させた場合には、磁界回転速度V0、第1および第2のロータ回転速度VR1,VR2の間に、前述した一般式(1)がそのまま成立し、三者間の速度関係は、例えば図10(a)のように示される。この場合、第1ロータ伝達トルクTR1と駆動用等価トルクTSEが、第1および第2の磁力線G1,G2による磁力すなわち磁気回路を介して、合成され、第2ロータ24に伝達される。すなわち、次式(5)が成立する。
TR2=TSE+TR1 ……(5)
ただし、この場合、前記式(2)に示すように、磁界回転速度V0と第2ロータ回転速度VR2との差、および第2ロータ回転速度VR2と第1ロータ回転速度VR1との差が、互いに等しいため、駆動用等価トルクTSEと第1ロータ伝達トルクTR1のトルク合成比は、1:1である。したがって、ステータ23への電力の供給に伴い、ステータ23から第2ロータ24に伝達される動力(以下「電力変換動力」という)と、第1ロータ22から第2ロータ24に伝達される動力との合成比は、磁界回転速度V0と第1ロータ回転速度VR1との比に等しい。
TR2=TSE+TR1 ……(5)
ただし、この場合、前記式(2)に示すように、磁界回転速度V0と第2ロータ回転速度VR2との差、および第2ロータ回転速度VR2と第1ロータ回転速度VR1との差が、互いに等しいため、駆動用等価トルクTSEと第1ロータ伝達トルクTR1のトルク合成比は、1:1である。したがって、ステータ23への電力の供給に伴い、ステータ23から第2ロータ24に伝達される動力(以下「電力変換動力」という)と、第1ロータ22から第2ロータ24に伝達される動力との合成比は、磁界回転速度V0と第1ロータ回転速度VR1との比に等しい。
さらに、第2ロータ24を動力により回転させるとともに、ステータ23の三相コイル23cを、相間短絡により互いに接続した場合には、第2ロータ24の回転に伴って発生する第1および第2の回転磁界の磁界回転速度V0がほぼ値0になり、その結果、第2ロータ24に入力された動力(エネルギ)は、ステータ23には伝達されず、第1および第2の磁力線G1,G2による磁力すなわち磁気回路を介して、第1ロータ22にすべて伝達される。同様に、第1ロータ22を動力により回転させるとともに、磁界回転速度V0を値0に制御した場合には、第1ロータ22に入力された動力(エネルギ)は、ステータ23には伝達されず、第1および第2の磁力線G1,G2による磁力を介して第2ロータ24にすべて伝達される。
また、このときの磁界回転速度V0、第1および第2のロータ回転速度VR1,VR2の関係は、式(1)において、V0=0とすることによって、VR1=2・VR2で表され、例えば図10(b)のように示される。また、第1および第2のロータ伝達トルクTR1,TR2の間に、次式(6)が成立する。
TR1=TR2/2 ……(6)
TR1=TR2/2 ……(6)
さらに、回転機20では、ステータ23への電力供給が行われていない場合でも、電機子23aに対して、第1ロータ22への動力の入力により永久磁石22aが回転したり、第2ロータ24への動力の入力により第1および第2のコア24a,24bが回転したときには、電機子23aにおいて、誘導起電力が発生し、発電が行われる。この発電に伴って、第1および第2の回転磁界が発生した場合にも、前記式(1)および(2)が成立するとともに、前記式(3)〜(5)で表されるようなトルクの関係が成立する。
このため、例えば、第2ロータ24に動力を入力するとともに、この動力の一部を用いてステータ23で発電を行った場合において、第1ロータ22、第2ロータ24、第1および第2の回転磁界の回転方向が互いに同じであるときには、ステータ23で発電される電力および磁界回転速度V0と等価のトルクを発電用等価トルクTGEとすると、この発電用等価トルクTGEと、第1および第2のロータ伝達トルクTR1,TR2との間に、次式(7)が成立する。
TR2=TGE+TR1 ……(7)
この場合、この式(7)から明らかなように、第2ロータ伝達トルクTR2が分割され、第1および第2の磁力線G1,G2による磁力を介して、発電用等価トルクTGEおよび第1ロータ伝達トルクTR1として出力される。また、前記式(2)に示すように、磁界回転速度V0と第2ロータ回転速度VR2との差、および第2ロータ回転速度VR2と第1ロータ回転速度VR1との差が、互いに等しいため、この場合のトルク分配比は1:1である。したがって、エネルギ(電力・動力)の分配比は、磁界回転速度V0と第1ロータ回転速度VR1との比に等しい。
TR2=TGE+TR1 ……(7)
この場合、この式(7)から明らかなように、第2ロータ伝達トルクTR2が分割され、第1および第2の磁力線G1,G2による磁力を介して、発電用等価トルクTGEおよび第1ロータ伝達トルクTR1として出力される。また、前記式(2)に示すように、磁界回転速度V0と第2ロータ回転速度VR2との差、および第2ロータ回転速度VR2と第1ロータ回転速度VR1との差が、互いに等しいため、この場合のトルク分配比は1:1である。したがって、エネルギ(電力・動力)の分配比は、磁界回転速度V0と第1ロータ回転速度VR1との比に等しい。
上述したステータ23、第1および第2のロータ22,24の間における式(1)や図9などで表されるような回転速度の関係、および、式(3)〜(7)で表されるようなトルクの関係は、遊星歯車装置のサンギヤおよびリングギヤの一方、他方、およびプラネタリギヤを支持するキャリアの回転速度の関係およびトルクの関係に、それぞれ相当する。さらに、そのような回転速度およびトルクの関係が、ステータ23への電力供給時だけでなく、発電時にも同様に得られることから、回転機20は、2部材で回転動力を入出力するとともに、1部材で電力を入出力する遊星歯車装置とみなすことができる。また、上述したように、この場合のステータ23、第1および第2のロータ22,24の間でのエネルギの入出力は、遊星歯車装置と異なり、歯車ではなく、第1および第2の磁力線G1,G2による磁力、すなわち、磁気回路を介した磁気パスによって行われる。
また、ステータ23に対する第1および第2のロータ22,24の回転角度位置はそれぞれ、第1角度位置センサ41および第2角度位置センサ42によって検出され、それらの検出信号は、ECU31に出力される。ECU31は、これらの検出信号に基づき、PDU32を制御することによって、ステータ23に供給される電力と、ステータ23で発電される電力と、これらの電力供給および発電に伴って発生した第1および第2の回転磁界の磁界回転速度V0などを制御する。また、ECU31は、検出された第1および第2のロータ22,24の回転角度位置に基づき、第1および第2のロータ回転速度VR1,VR2をそれぞれ算出する。
前述した第1ワンウェイクラッチC1は、第1ロータ22と第2ロータ24の間に設けられており、回転軸21に直結された入力部C1aと、第1ロータ22に直結された出力部C1bを有している。第1ワンウェイクラッチC1は、出力部C1bの回転速度すなわち第1ロータ回転速度VR1が、入力部C1aの回転速度すなわち第2ロータ回転速度VR2よりも高いときには、第1ロータ22と第2ロータ24の間を遮断し、それ以外のときには接続する。
増速機構6は、第1スプロケット7および第2スプロケット8と、これらの第1および第2のスプロケット7,8に巻きかけられたチェーン9を有している。第1スプロケット7の歯数は、第2スプロケット8よりも大きく、それにより、第1スプロケット7に入力された動力は、増速された状態で第2スプロケット8に伝達される。また、第1スプロケット7は、中空の回転軸7aを介して、第1ロータ22に同心状に固定されており、それにより、第1ロータ22と一体に回転自在である。この回転軸7aの内側には、クランクジャーナル5aが同心状に回転自在に嵌合している。
変速装置10は、遊星歯車装置などで構成された、いわゆる内装式のものであり、入力軸10aおよび出力軸10bを有するとともに、3つの変速段を有している。入力軸10aに入力された動力は、これらの3つの変速段の1つの変速比で変速された後、出力軸10bに出力される。この入力軸10aは、第2スプロケット8に同心状に固定されており、それにより、第2スプロケット8と一体に回転自在である。また、変速装置10の変速段は、運転者によるレバー(図示せず)の操作に応じて切り換えられるとともに、ギヤ位置センサ43によって検出され、その検出信号はECU31に出力される。
第2ワンウェイクラッチC2は、変速装置10と後輪2の間に設けられており、変速装置10の出力軸10bに直結された入力部C2aと、後輪2に直結された出力部C2bを有している。第2ワンウェイクラッチC2は、出力部C2bの回転速度が、入力部C2aの回転速度よりも高いときには、出力軸10bと後輪2の間を遮断し、それ以外のときには接続する。
以上のように、回転機20の第1ロータ22は、増速機構6、変速装置10および第2ワンウェイクラッチC2を介して、後輪2に連結されている。また、クランク軸5は、第1ロータ22に直結されており、第1ロータ22などを介して後輪2に連結されている。さらに、第1および第2のロータ22,24は、第1ワンウェイクラッチC1を介して、互いに連結されている。なお、本実施形態では、第2ワンウェイクラッチC2が、請求項3の発明における第2クラッチおよび請求項4の発明における第2ワンウェイクラッチに相当する。
また、クランク軸5には、トルクセンサ44が設けられており、トルクセンサ44は、クランク軸5に作用する運転者の踏力によるトルク(以下「踏力トルク」という)TFを検出し、その検出信号をECU31に出力する。
次に、電動アシスト自転車1の動作について説明する。まず、回転機20によるアシストを行わずに、ペダル4に入力された運転者の踏力のみを動力源として、電動アシスト自転車1を走行させる場合の動作について説明する。以下、このような電動アシスト自転車1の走行を「ペダル走行」という。
ペダル走行中、運転者の踏力は、クランク軸5において回転動力に変換された後、第1ロータ22、増速機構6を介して、変速装置10の出力軸10bに伝達される。ペダル走行中、後輪2は、出力軸10bから踏力が伝達されることによって初めて駆動されるので、後輪2が連結された第2ワンウェイクラッチC2の出力部C2bの回転速度は、出力軸10bが連結された入力部C2aの回転速度よりも高くはならない。したがって、ペダル走行中、第2ワンウェイクラッチC2によって、出力軸10bと後輪2の間が接続状態に保持されるので、出力軸10bに伝達された踏力は、後輪2に伝達され、その結果、電動アシスト自転車1が走行する。
また、ペダル走行中、回転機20では、その構成上、第1ロータ22が回転するのに伴い、ステータ23において電力の供給および発電が行われていなくても、第1および第2の回転磁界が発生し、それにより、ステータ23、第1および第2のロータ22,24の間に磁気回路が形成される。図13は、ペダル走行中における第1および第2の回転磁界、第1ロータ22ならびに第2ロータ24の回転速度の関係の一例を、各要素のトルクやフリクションの関係の一例とともに示す共線図である。
同図に示すように、ペダル走行中、第2ロータ22のフリクション(以下「第2ロータフリクション」という)FR2は、第1ロータ22に伝達された踏力トルクTFを反力として、第1および第2の回転磁界を第1ロータ22の回転方向と逆方向に回転させるようにステータ23に作用するとともに、第1および第2の回転磁界による回転抵抗(以下「磁界回転抵抗」という)DMFを反力として、第1ロータ22に負荷として作用する。磁界回転抵抗DMFは、第2ロータフリクションFR2を反力として、第1ロータ22に負荷として作用するとともに、第1ロータ22に伝達された踏力トルクTFを反力として、第2ロータ24を第1ロータ22の回転方向に回転させるように第2ロータ24に作用する。第1ロータ22に伝達された踏力トルクTFの一部は、磁界回転抵抗DMFを反力として、第2ロータ24を第1ロータ22の回転方向に回転させるように第2ロータ24に作用するとともに、第2ロータフリクションFR2を反力として、第1および第2の回転磁界を第1ロータ22の回転方向と逆方向に回転させるようにステータ23に作用する。
以上の結果、第1および第2の回転磁界は、第1ロータ22の回転方向と逆方向に回転し、第2ロータ24は、第1ロータ22の回転方向と同方向に回転する。また、上述したフリクションの関係から明らかなように、磁界回転抵抗DMFが大きいほど、かつ、第2ロータフリクションFR2が大きいほど、両者DMF,FR2に起因する第1ロータ22の負荷は大きくなる。さらに、磁界回転抵抗DMFは、磁界回転速度V0が高いほど、より大きくなり、磁界回転速度V0は、第2ロータフリクションFR2が大きいほど、より大きくなる。これに対し、第2ロータフリクションFR2は比較的小さいので、磁界回転速度V0は非常に低く、このため、磁界回転抵抗DMFも非常に小さい。したがって、第2ロータフリクションFR2および磁界回転抵抗DMFに起因する第1ロータの負荷は小さい。
また、ペダル走行中、上記のように磁界回転抵抗DMFが非常に小さいので、上述した第2ロータ24を第1ロータ22の回転方向に回転させるように第2ロータに作用するトルクも小さく、それにより、第2ロータ回転速度VR2は、第1ロータ回転速度VR1よりも低くなる。したがって、第1ワンウェイクラッチC1によって、第1および第2のロータ22,24の間は遮断状態に保持される。
次に、ペダル走行中から、回転機20によるアシストを行った場合の動作について説明する。ペダル走行中、アシストを開始し、ステータ23に電力を供給すると、式(5)を用いて説明したように、電力変換動力と、第1ロータ22に入力された踏力の一部が、磁気回路を介して、合成された状態で第2ロータ24に伝達され、それにより、第2ロータ回転速度VR2が上昇する。そして、第2ロータ回転速度VR2が第1ロータ回転速度VR1と等しくなると、上述したようにペダル走行中に遮断されていた第1ロータ22と第2ロータ24の間が、第1ワンウェイクラッチC1により接続される。その結果、上述したようにして第2ロータ24に伝達された電力変換動力および踏力の一部を合成した動力は、第1ワンウェイクラッチC1および第1ロータ22などを介して、残りの踏力とともに、変速装置10の出力軸10bに伝達される。アシスト中、ペダル走行中と同様、第2ワンウェイクラッチC2によって、出力軸10bと後輪2の間は接続状態に保持されるので、上記のように出力軸10bに伝達された動力は、後輪2に伝達される。以上の結果、アシスト中、後輪2には、クランク軸5に入力された踏力と電力変換動力を合成した動力が伝達される。
また、ペダル走行からアシストに移行する際、第1ロータ回転速度VR1を目標回転速度として、第2ロータ回転速度VR2が目標回転速度になるように、磁界回転速度V0は制御される。さらに、アシスト中、ステータ23に供給される電力は、次のようにして制御される。すなわち、まず、検出された踏力トルクTFに応じ、図14に示すTSECMDテーブルを検索することによって、駆動用等価トルクTSEの目標値TSECMDを算出する。次いで、算出した目標値TSECMDと等しい駆動用等価トルクが得られるように、ステータ23に供給される電力が制御される。
上記のTSECMDテーブルでは、踏力トルクTFが第1所定値TFREF1以下のときには、目標値TSECMDは値0に設定されており、それにより、アシストは行われない。また、踏力トルクTFが第1所定値TFREF1よりも大きいときには、目標値TSECMDは、踏力トルクTFが大きいほど、より大きな値にリニアに設定されており、第1所定値TFREF1よりも大きい第2所定値TFREF2のときには、所定値TSEREFに設定されている。この所定値TSEREFは、第2所定値TFREF2に等しく、したがって、目標値TSECMDは、踏力トルクTFが第2所定値TFRE2よりも小さいときには、そのときの踏力トルクTFよりも小さく設定される。
次に、電動アシスト自転車1の空走時、すなわち、クランク軸5に踏力が入力されておらず、電動アシスト自転車1が惰性で走行しているときの動作について説明する。空走中、後輪2が慣性によって回転している状態で、クランク軸5を停止状態に保持すると、クランク軸5に連結された出力軸10bも停止状態に保持され、それに伴い、第2ワンウェイクラッチC2の出力部C2bの回転速度は、入力部C2aの回転速度よりも高くなる。その結果、第2ワンウェイクラッチC2によって、出力軸10bと後輪2の間が遮断され、ひいては、変速装置10、増速機構6、ペダル機構3および回転機20と後輪2との間が遮断される。
以上のように、本実施形態によれば、第1ロータ22がクランク軸5に直結され、後輪2に連結されるとともに、第1および第2のロータ22,24の間に第1ワンウェイクラッチC1が設けられており、ペダル走行中、第1ワンウェイクラッチC1によって、第1および第2のロータ22,24の間が遮断状態に保持される。これにより、ペダル走行中、第2ロータフリクションFR2および磁界回転抵抗DMFに起因する第1ロータ22の負荷が小さいので、電動アシスト自転車1の高い効率を得ることができる。また、クランク軸5からの運転者の踏力とステータ23からの電力変換動力を合成した状態で後輪2に伝達でき、回転機20によって踏力をアシストすることができる。
さらに、ペダル機構3、回転機20および後輪2の間が、踏力および電力変換動力を合成した状態で後輪2に伝達するための遊星歯車装置すなわち差動装置を用いることなく、連結されているとともに、アシスト中、後輪2への電力変換動力の伝達が、磁気回路を介した非接触による、いわゆる磁気パスによって行われる。したがって、差動装置を用いる前述した従来の場合と比較して、アシスト中における電動アシスト自転車1の効率を高めることができるとともに、その構成の単純化、小型化および軽量化を図ることができる。また、駆動用等価トルクTSEの目標値TSECMDは、踏力トルクTFに対して常に1:1の関係ではなく、踏力トルクTFが非常に小さいとき(TF≦TFREF1)には値0に設定され、比較的小さいとき(TFREF1<TF<TFREF2)には、踏力トルクTFよりも小さな値に設定されるとともに、踏力トルクTFが比較的大きい第2所定値TFREF2であるときには、踏力トルクTFと同じ値に設定される。これにより、アシストが無駄に行われるのを防止できるので、バッテリ33の電力を確保でき、アシストによる走行距離を延ばすことができる。
さらに、ペダル走行からアシストに移行する際、第1ロータ回転速度VR1を目標回転速度として、第2ロータ回転速度VR2が目標回転速度になるように、磁界回転速度V0を制御するので、ステータ23からの電力変換動力が後輪2に急激に作用するのを防止でき、良好なドライバビリティを得ることができる。
また、空走中、第2ワンウェイクラッチC2によって、ペダル機構3、回転機20、増速機構6および変速装置10と後輪2との間が遮断されるので、クランク軸5を停止状態に保持できるとともに、ペダル機構3や回転機20などのフリクションが後輪2に作用するのを防止できるので、空走による走行距離を延ばすことができる。さらに、油圧式などのクラッチではなく、第1および第2のワンウェイクラッチC1、C2を用いるので、油圧式などのクラッチを用いた場合と比較して、電動アシスト自転車1の構成の単純化、小型化および軽量化を図れるとともに、そのコストを削減することができる。
また、クランク軸5に第1ロータ22が直結されていることから、第1ロータ回転速度VR1はクランク軸5の回転速度と等しいので、クランク軸5の回転速度を検出するためのセンサが不要になる。さらに、第1ロータ22が、増速機構6および変速装置10を介して後輪2に連結されていることから、第1ロータ回転速度VR1と、増速機構6の所定の増速比と、検出された変速装置10の変速段に応じて、後輪2の回転速度を算出できるので、後輪2の回転速度を検出するためのセンサが不要になる。また、回転機20が電動アシスト自転車1の中央の下端部に設けられ、ペダル機構3と一体に設けられているので、電動アシスト自転車1の良好な重量バランスを得ることができる。
なお、本実施形態では、第1ロータ22を増速機構6などを介して後輪2に連結するとともに、クランク軸5を第1ロータ22に直結しているが、クランク軸5および第1ロータ22と後輪2との間の連結関係は、次の条件を満たす限り、任意に設定することができる。すなわち、クランク軸5および第1ロータ22が互いに連結されるとともに、両者5,22の連結によって構成された第2動力伝達系が後輪2に連結されているという条件である。例えば、第1ロータ22を第1スプロケット7に直結せずに、クランク軸5に直結するとともに、クランク軸5を第1スプロケット7に直結してもよい。すなわち、クランク軸5を、増速機構6を介して後輪2に連結するとともに、第1ロータ22を、クランク軸5を介して後輪2に連結してもよい。
また、本実施形態では、第1ワンウェイクラッチC1の入力部C1aおよび出力部C1bを、回転軸21および第1ロータ22にそれぞれ直結しているが、第1ロータ回転速度VR1が第2ロータ回転速度VR2よりも高いときに、第1および第2のロータ22,24の間を遮断できるのであれば、他の適当な要素に連結してもよい。例えば、入力部C1aを第2ロータ24に直結するとともに、出力部C1bを、クランク軸5、回転軸7aおよび第1スプロケット7の1つに直結してもよい。さらに、本実施形態では、第2ワンウェイクラッチC2の入力部C2aおよび出力部C2bを、変速装置10の出力軸10bおよび後輪2にそれぞれ直結しているが、クランク軸5および第1ロータ22と、後輪2との間をペダル走行中およびアシスト中に接続できるとともに、空走中に遮断できるのであれば、他の適当な要素に連結してもよい。例えば、入力部C2aおよび出力部C2bを、回転軸7aおよび第1スプロケット7に、または、第2スプロケット8および変速装置10の入力軸10aに、それぞれ直結してもよい。
また、第1ワンウェイクラッチC1の入力部C1aおよび出力部C1bは、本発明における第1動力伝達系と第2ロータ24の間を接続・遮断できるのであれば、任意の要素に連結してもよい。例えば、第1ワンウェイクラッチC1の入力部C1aを回転軸21または第2ロータ24に直結するとともに、出力部C1bを、複数の歯車やチェーンなどを介して、第2スプロケット8、変速装置10の入力軸10a、出力軸10bおよび後輪2の1つに連結してもよい。出力部C1bを後輪2に連結した場合には、アシスト中、踏力の一部および電力変換動力を合成した動力が、第2ワンウェイクラッチC2を介さずに後輪2に伝達されるため、出力部C2bの回転速度が入力部C2aの回転速度よりも高くならないように、すなわち、第2ワンウェイクラッチC2によりクランク軸5と後輪2の間が遮断されないように、第2ロータ回転速度VR2や駆動用等価トルクTSEを制御するのが好ましい。
さらに、本実施形態において、第2ワンウェイクラッチC2を省略してもよい。また、本実施形態では、第1ロータ22と後輪2の間を、増速機構6を用いて連結しているが、増速機構6を用いずに連結してもよい。その場合、例えば、第1スプロケット7をクランク軸5に直結するとともに、第1ロータ22を、クランク軸5ではなく、第2スプロケット8、変速装置10の入力軸10aおよび出力軸10bの1つに直結してもよい。この場合には、ペダル走行中およびアシスト中、上述した実施形態と比較して、第1ロータ22から後輪2に伝達されるトルクが小さくなるので、回転機20に必要とされるトルクが小さくなり、したがって、回転機20の小型化を図ることができる。
次に、図15を参照しながら、本発明の第2実施形態による電動アシスト自転車1Aについて説明する。この電動アシスト自転車1Aは、第1実施形態と比較して、ペダル機構3と、第1および第2のロータ22,24と、後輪2との間の連結関係が主に異なっている。なお、同図では、第1実施形態と同じ要素については、同じ符号を用いて示している。以下、第1実施形態と異なる点を説明する。
具体的には、ペダル機構3のクランク軸5には、第1実施形態と異なり、第1ロータ22が直結されておらず、増速機構6の第1スプロケット7が直結されている。また、回転機20は、第1実施形態と異なり、電動アシスト自転車1Aのフレームの中央の下端部には設けられておらず、フレームの後端部に設けられて、おり、第1ロータ22は、中空の回転軸を介して後輪2に連結されている。このように、第1ロータ22は、第1実施形態と異なり、増速機構6、変速装置10および第2ワンウェイクラッチC2を介さずに、後輪2に連結されている。また、クランク軸5は、第1ロータ22を介さずに、後輪2に連結されている。その他の連結関係については、第1実施形態と同様である。
なお、本実施形態では、第2ワンウェイクラッチC2が、請求項5の発明における第2クラッチおよび請求項6の発明における第2ワンウェイクラッチに相当する。
以上の構成の電動アシスト自転車1Aでは、ペダル走行中およびアシスト中の動作が第1実施形態と同様にして行われる。ペダル走行中、第1実施形態と同様、後輪2は、変速装置10の出力軸10bから踏力が伝達されることによって初めて駆動されるので、後輪2が連結された第2ワンウェイクラッチC2の出力部C2bの回転速度は、出力軸10bが連結された入力部C2aの回転速度よりも高くはならない。したがって、ペダル走行中、第2ワンウェイクラッチC2によって、クランク軸5が連結された出力軸10bと後輪2との間が接続状態に保持されるので、クランク軸5から出力軸10bに伝達された踏力は、後輪2に伝達される。
また、本実施形態においても、第1実施形態と同様、ペダル走行中、第1および第2の回転磁界と第1ロータ22と第2ロータ24との間に、前述した図13に示すような回転速度の関係と、トルクおよびフリクションの関係が成立する。したがって、ペダル走行中、第2ロータ回転速度VR2が第1ロータ回転速度VR1よりも低くなり、その結果、第1ワンウェイクラッチC1によって、第1および第2のロータ22,24の間が遮断状態に保持されるので、第2ロータフリクションFR2と磁界回転抵抗DMFに起因する第1ロータ22の負荷は小さい。
また、第1実施形態と同様、アシスト中、ステータ23からの駆動用等価トルクTSEは、踏力トルクTF以下に制御されるとともに、第2ワンウェイクラッチC2の出力部C2bの回転速度が、入力部C2aの回転速度よりも高くならないように制御される。これにより、第1実施形態と同様、アシスト中、第2ワンウェイクラッチによって、クランク軸5と後輪2の間が接続状態に保持されるので、後輪2には、踏力と電力変換動力を合成した動力が伝達される。
一方、空走中の動作は、第1実施形態の場合と異なっている。具体的には、空走中、慣性により後輪2が回転している状態で、クランク軸5を停止状態に保持すると、クランク軸5に連結された変速装置10の出力軸10bも停止状態に保持され、それに伴い、第2ワンウェイクラッチC2の出力部C2bの回転速度は、入力部C2aの回転速度よりも高くなる。その結果、第2ワンウェイクラッチC2によって、出力軸10bと後輪2の間が遮断され、ひいては、変速装置10、増速機構6およびペダル機構3と後輪2との間が遮断される。
また、空走中、第1および第2の回転磁界と第1ロータ22と第2ロータ24との間に、前述した図13に示すような回転速度の関係と、トルクおよびフリクションの関係が成立する。ただし、この場合、第1ロータ22には、運転者の踏力トルクTFではなく、慣性により回転する後輪2からのトルクが作用する。このため、空走中、第2ロータ回転速度VR2は第1ロータ回転速度VR1よりも低くなり、その結果、第1ワンウェイクラッチC1によって、第1および第2のロータ22,24の間が遮断状態に保持される。したがって、空走中、ペダル走行中と同様、第2ロータフリクションFR2および磁界回転抵抗DMFに起因する第1ロータ22の負荷は小さい。
さらに、電動アシスト自転車1Aでは、回転機20のみを動力源とするモータ走行が行われる。具体的には、クランク軸5を停止状態に保持するとともに、ステータ23に電力を供給すると、ステータ23からの電力変換動力は、第1ロータ22に作用する後輪2のフリクションを反力として、第2ロータ24に伝達され、それにより、第2ロータ24が回転するようになる。これにより、第1ワンウェイクラッチC1によって、第1および第2のロータ22,24の間が接続されるので、電力変換動力が、第2ロータ24、第1ワンウェイクラッチC1および第1ロータ22を介して、後輪2に伝達される。
また、モータ走行中、前述したステータ23、第1および第2のロータ22,24の間のエネルギの入出力関係から、電力変換動力は、第2ロータ24を第1および第2の回転磁界の磁界回転方向に回転させるように第2ロータ24に作用し、第1ロータ22を磁界回転方向と逆方向に回転させるように第1ロータ22に作用する。これにより、後輪2への電力変換動力の伝達により第1ロータ22が後輪2とともに回転しても、第1ワンウェイクラッチC1によって、第1および第2のロータ22,24の間は接続状態に保持され、その結果、第2ロータ回転速度VR2は第1ロータ回転速度VR1よりも高くはならない。さらに、モータ走行中、上述したようにクランク軸5を停止状態に保持することによって、後輪2に連結された第2ワンウェイクラッチC2の出力部C2bの回転速度が、クランク軸5に連結された入力部C2aの回転速度よりも高くなるので、第2ワンウェイクラッチC2によって、クランク軸5と後輪2の間が遮断される。
以上により、本実施形態によれば、ペダル走行中およびアシスト中、第1実施形態の効果、すなわち、電動アシスト自転車1Aの高効率化などの効果を同様に得ることができる。また、空走中、第2ワンウェイクラッチC2によって、変速装置10、増速機構6およびペダル機構3と後輪2との間が遮断されるので、クランク軸5を停止状態に保持できるとともに、変速装置10、増速機構6およびペダル機構3のフリクションが後輪2に作用するのを防止することができる。さらに、空走中、第2ロータフリクションFR2および磁界回転抵抗DMFに起因する第1ロータ22の負荷が小さく、第1ロータ22を介して後輪2に作用する負荷も小さいので、上述した後輪2へのペダル機構3などのフリクションの作用防止と相まって、空走による走行距離を延ばすことができる。また、クランク軸5を停止した状態で、回転機20のみを動力源として、電動アシスト自転車1Aを走行させることができる。
さらに、第1ロータ22と後輪2の間が、増速機構6を用いることなく連結されているので、増速機構6を用いて連結した場合と比較して、アシスト中、第2ロータ24、第1ワンウェイクラッチC1および第1ロータ22を介して後輪2に伝達されるトルクが小さくなるので、回転機20に必要とされるトルクが小さくなり、したがって、回転機20の小型化を図ることができる。
また、第1実施形態と同様、第1および第2のワンウェイクラッチC1,C2を用いるので、油圧式などのクラッチを用いた場合と比較して、電動アシスト自転車1Aの構成の単純化、小型化および軽量化を図れるとともに、そのコストを削減することができる。
さらに、第1ロータ22が、変速装置10および増速機構6を介してクランク軸5に連結されていることから、第1ロータ回転速度VR1と、検出された変速装置10の変速段と、増速機構6の所定の増速比に応じて、クランク軸5の回転速度を算出できるので、クランク軸5の回転速度を検出するためのセンサが不要になる。また、第1ロータ22が後輪2に直結されていることから、第1ロータ回転速度VR1は後輪2の回転速度と等しいので、後輪2の回転速度を検出するためのセンサが不要になる。
なお、本実施形態では、空走中、第1実施形態と異なり、第1ロータ22と後輪2の間が遮断されないことから、第2ロータフリクションFR2および磁界回転抵抗DMFに起因する負荷が後輪2に作用するので、その分、空走による走行距離が第1実施形態の場合よりも短くなってしまう。この場合、ステータ23に電力を供給し、第1および第2の回転磁界を第1ロータ22の回転方向に回転させ、磁界回転速度V0を第1ロータ回転速度VR1と同じに制御するとともに、駆動用等価トルクTSEが第2ロータフリクションFR2と同じになるように制御する。これにより、前述したステータ23、第1および第2のロータ22,24の間のエネルギの入出力関係から明らかなように、空走中、第2ロータフリクションFR2および磁界回転抵抗DMFに起因する負荷が、第1ロータ22に作用することがなくなり、したがって、空走による走行距離をさらに延ばすことができる。
また、本実施形態では、第1ワンウェイクラッチC1の入力部C1aおよび出力部C1bを、回転軸21および第1ロータ22にそれぞれ直結しているが、第1および第2のロータ22,24の間を、第1ロータ回転速度VR1が第2ロータ回転速度VR2よりも高いときに遮断できるのであれば、他の適当な要素に連結してもよい。例えば、入力部C1aおよび出力部C1bを、第2ロータ24および後輪2にそれぞれ直結してもよい。さらに、本実施形態では、第2ワンウェイクラッチC2の入力部C2aおよび出力部C2bを、変速装置10の出力軸10bおよび後輪2にそれぞれ直結しているが、クランク軸5と後輪2の間をペダル走行中およびアシスト中に接続できるとともに、空走中に遮断できるのであれば、他の適当な要素に連結してもよい。例えば、入力部C2aおよび出力部C2bを、第2スプロケット8および入力軸10aに、クランク軸5および第1スプロケット7に、それぞれ直結してもよい。
なお、本発明は、説明した実施形態に限定されることなく、種々の態様で実施することができる。例えば、本実施形態は、ペダル機構3に踏力が入力される例であるが、この踏力は他の力、例えば運転者の腕の力でもよい。また、本実施形態では、第1および第2のコア24a,24bを、鋼板で構成しているが、他の軟磁性体で構成してもよい。さらに、本実施形態は、第2ロータ回転速度VR2と第1ロータ回転速度VR1との差(以下「第2・第1ロータ速度差」という)と、磁界回転速度V0と第2ロータ回転速度VR2との差(以下「磁界・第2ロータ速度差」という)が等しい回転機20に本発明を適用した例であるが、本発明は、これに限らず、第2・第1ロータ速度差と磁界・第2ロータ速度差が1:nである回転機に適用してもよい。
また、本発明における第1および第2のクラッチとして、第1および第2のワンウェイクラッチC1,C2に代えて、互いに接続・遮断可能に構成された入力部および出力部を有する油圧式や電磁式のクラッチを用いてもよい。このように、第2実施形態において、第1クラッチとして、第1ワンウェイクラッチC1に代えて、油圧式などのクラッチを用いる場合には、本発明における第1動力伝達系と第2ロータ24の間を接続・遮断できるのであれば、クラッチの入力部および出力部を任意の要素に連結してもよい。例えば、入力部を第2ロータ24または回転軸21に直結するとともに、出力部を、第1ロータ22、後輪2、クランク軸5、第1および第2のスプロケット7,8、ならびに、変速装置10の入力軸10aおよび出力軸10bの1つに連結してもよい。この場合、クラッチの出力部をクランク軸5、第1および第2のスプロケット7,8、ならびに、変速装置10の入力軸10aに連結する場合には、この連結は、複数の歯車やチェーンなどを用いて行われる。
また、第2実施形態において、第2クラッチとして、第2ワンウェイクラッチC2に代えて、油圧式などのクラッチを用いる場合には、第2クラッチを2つのクラッチで構成し、一方のクラッチの入力部および出力部を第1ロータ22および後輪2にそれぞれ直結し、もう一方のクラッチの入力部および出力部を変速装置10の出力軸10bおよび後輪2にそれぞれ直結してもよい。この場合、空走中、これらの2つのクラッチを遮断することによって、第1ロータ22と後輪2の間およびクランク軸5と後輪2の間が遮断される。また、これらの2つのクラッチは、請求項5の発明ではなく、請求項3の発明における第2クラッチに相当する。
さらに、増速機構6は、本実施形態に例示したチェーン式に代えて、ベルト式やシャフト式のものでもよい。また、本実施形態では、本発明における駆動輪は後輪2であるが、前輪でもよい。さらに、本実施形態は、変速装置10付の電動アシスト自転車1,1Aに本発明を適用した例であるが、本発明はこれに限らず、変速装置が設けられていない電動アシスト自転車に適用可能である。その場合には、電動アシスト自転車の効率をさらに高めることができる。また、本発明を、本実施形態の二輪式の電動アシスト自転車1,1Aではなく、1つ、または、3つ以上の車輪を有する電動アシスト自転車に適用してもよいことは、もちろんである。さらに、本実施形態では、回転機20を制御する制御装置を、ECU31およびPDU32で構成しているが、マイクロコンピュータと電気回路の組み合わせで構成してもよい。その他、本発明の趣旨の範囲内で、細部の構成を適宜、変更することが可能である。
1 電動アシスト自転車
1A 電動アシスト自転車
2 後輪(駆動輪)
3 ペダル機構
4 ペダル
5 クランク軸
6 増速機構
C1 第1ワンウェイクラッチ(第1クラッチ)
C1a 入力部
C1b 出力部
C2 第2ワンウェイクラッチ(第2クラッチ)
C2a 入力部(第2ワンウェイクラッチの第2動力伝達系側、第2ワンウェイクラッチ
のクランク軸側)
C2b 出力部(第2ワンウェイクラッチの駆動輪側)
20 回転機
22 第1ロータ
23 ステータ
24 第2ロータ
VR1 第1ロータ回転速度
VR2 第2ロータ回転速度
1A 電動アシスト自転車
2 後輪(駆動輪)
3 ペダル機構
4 ペダル
5 クランク軸
6 増速機構
C1 第1ワンウェイクラッチ(第1クラッチ)
C1a 入力部
C1b 出力部
C2 第2ワンウェイクラッチ(第2クラッチ)
C2a 入力部(第2ワンウェイクラッチの第2動力伝達系側、第2ワンウェイクラッチ
のクランク軸側)
C2b 出力部(第2ワンウェイクラッチの駆動輪側)
20 回転機
22 第1ロータ
23 ステータ
24 第2ロータ
VR1 第1ロータ回転速度
VR2 第2ロータ回転速度
Claims (7)
- 駆動輪と、
当該駆動輪に連結されたクランク軸とペダルを有し、当該ペダルに入力された力を回転動力に変換し、前記クランク軸に出力するペダル機構と、
回転磁界を発生させるための不動のステータと、磁石で構成され、前記ステータに対向するように設けられた第1ロータと、軟磁性体で構成され、前記ステータと前記第1ロータの間に設けられた第2ロータとを有し、前記ステータと前記第1ロータと前記第2ロータの間で、前記回転磁界の発生に伴って形成される磁気回路を介してエネルギを入出力するとともに、当該エネルギの入出力に伴って、前記回転磁界、前記第2および第1のロータが、互いの間に回転速度の所定の共線関係を保ちながら回転するように構成され、前記第1ロータが前記駆動輪に連結された回転機と、
前記クランク軸、前記第1ロータおよび前記駆動輪を含む第1動力伝達系と前記第2ロータとの間を接続・遮断する第1クラッチと、
を備えることを特徴とする電動アシスト自転車。 - 前記第1クラッチは、前記第1ロータの回転速度が前記第2ロータの回転速度よりも高いときに、前記第1ロータと前記第2ロータの間を遮断する第1ワンウェイクラッチであることを特徴とする、請求項1に記載の電動アシスト自転車。
- 前記クランク軸および前記第1ロータと前記駆動輪との間を接続・遮断する第2クラッチをさらに備えることを特徴とする、請求項1または2に記載の電動アシスト自転車。
- 前記クランク軸および前記第1ロータは互いに連結されており、
前記第2クラッチは、前記駆動輪側の回転速度が、前記第1ロータおよび前記クランク軸を含む第2動力伝達系側の回転速度よりも高いときに、当該第2動力伝達系と前記駆動輪の間を遮断する第2ワンウェイクラッチであることを特徴とする、請求項3に記載の電動アシスト自転車。 - 前記クランク軸と前記駆動輪の間を接続・遮断する第2クラッチをさらに備えることを特徴とする、請求項1または2に記載の電動アシスト自転車。
- 前記第2クラッチは、前記駆動輪側の回転速度が前記クランク軸側の回転速度よりも高いときに、前記クランク軸と前記駆動輪の間を遮断する第2ワンウェイクラッチであることを特徴とする、請求項5に記載の電動アシスト自転車。
- 前記第1ロータは、動力を増速して伝達する増速機構を用いることなく、前記駆動輪に連結されていることを特徴とする、請求項1ないし6のいずれかに記載の電動アシスト自転車。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2007305119A JP2009126427A (ja) | 2007-11-26 | 2007-11-26 | 電動アシスト自転車 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP2007305119A JP2009126427A (ja) | 2007-11-26 | 2007-11-26 | 電動アシスト自転車 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
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JP2009126427A true JP2009126427A (ja) | 2009-06-11 |
Family
ID=40817764
Family Applications (1)
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JP2007305119A Withdrawn JP2009126427A (ja) | 2007-11-26 | 2007-11-26 | 電動アシスト自転車 |
Country Status (1)
Country | Link |
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JP (1) | JP2009126427A (ja) |
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2015020482A (ja) * | 2013-07-17 | 2015-02-02 | 太陽誘電株式会社 | モータ駆動制御装置及び電動アシスト車 |
JP2018511510A (ja) * | 2015-02-13 | 2018-04-26 | シヴィライズド・サイクルズ・インコーポレーティッド | 電気自転車の変速機システム、方法、および装置 |
-
2007
- 2007-11-26 JP JP2007305119A patent/JP2009126427A/ja not_active Withdrawn
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JP2018511510A (ja) * | 2015-02-13 | 2018-04-26 | シヴィライズド・サイクルズ・インコーポレーティッド | 電気自転車の変速機システム、方法、および装置 |
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