JP2009126083A - 記録媒体及びその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】白紙部の長期保存性や白色度が優れると共に、多孔質インク受容層の表面析出物の発生による印字濃度の低下及び光沢度の低下を抑えた記録媒体を提供する。
【解決手段】パルプを主成分とし、かつアルキルケテンダイマーを含有する中性紙支持体と、中性紙支持体の少なくとも一方の面上に設けられた、澱粉とアルキルケテンダイマーの加水分解物であるケトンとを含有する中間層と、中間層上に設けられた、ケトンを含有しない多孔質インク受容層と、を有する記録媒体。
【選択図】なし

Description

本発明は、優れた長期保存性及び白色度を有する中性紙支持体上に、澱粉とケトンを含有する中間層、ケトンを含有しない多孔質インク受容層を設けることにより、インクの発色性・印字濃度及び搬送性に優れた記録媒体及びその製造方法に関する。
近年、長期保存性に優れた記録媒体に対する需要が増えており、記録媒体用の支持体の製造方法として、古くから使用されてきた硫酸バンドを用いる酸性抄紙方法が、急速に中性抄紙方法に切り替えられている。すなわち、記録媒体用の支持体として酸性抄紙方法により製造した酸性紙を用いると、酸性紙中の硫酸バンドから生ずる硫酸イオンによって変色、劣化しやすいという問題があった。また、パルプ中に添加される顔料として白色度が高い炭酸カルシウムを用いると、酸性領域(抄紙pH4〜5)で溶解、分解してしまうこととなっていた。
このため、近年、硫酸バンドに代表される水溶性アルミニウム塩で処理された酸性紙からなる支持体の使用は極力、避けられるようになってきている。そして、記録媒体用の支持体としては、中性抄紙方法により中性域で製造した中性紙が用いられるようになってきている(特許文献1)。
ところで、現在、中性抄紙方法では、サイズ剤として、紙料水懸濁液の中性領域でサイズ効果が上がる中性ロジン系サイズ剤、アルキルケテンダイマー(AKD)、アルケニル無水コハク酸(ASA)、石油樹脂系サイズ剤などが用いられている。
中でもアルケニル無水コハク酸(ASA)は、アルキルケテンダイマー(AKD)よりも反応性に富み、サイズ度の立ち上がりが速いという特性を有している。しかしながら、この反面、加水分解速度が速く、抄紙機のプレスパートに於いてプレスピッキングや紙のデポジットを惹起して品質の悪い紙製品となってしまうという問題があった。
一方、サイズ剤として中性ロジン系サイズ剤や石油樹脂系サイズ剤を用いると、サイズ性の発現効果がアルキルケテンダイマー(AKD)と比べて低かった。このため、アルキルケテンダイマー(AKD)と同一のサイズ性を得るためには、アルキルケテンダイマー(AKD)の3倍以上の添加量が必要であった。
以上の理由から、エマルジョンが安定しており、少量の添加で優れたサイズ性が得られる等の生産性の面から、近年、サイズ剤としてアルキルケテンダイマー(AKD)を用いた中性抄紙方法が主流となってきた(特許文献2〜4)。
また、インクジェットプリンターを用いて画像を形成する場合、普通紙では、十分な吸収性、解像度、透明性及び発色度等を達成することが困難であった。このため、特許文献5、6に示されるように、支持体上に、無機顔料を含有する多孔質インク受容層を形成した記録媒体が提案されている。
特開昭61−029582号公報 特開平01−120383号公報 特開2003−326831号公報 特許第02684983号明細書 特開平2−276670号公報 特開平2−276671号公報
しかしながら、上記のような、サイズ剤としてアルキルケテンダイマー(AKD)を含有する中性紙支持体上に、多孔質インク受容層を形成した記録媒体を用いた場合、表面析出物の発生による光沢度や印字濃度の低下という、従来では認識されなかった新たな課題が発生することとなっていた。そこで、本発明者がこの表面析出物を詳しく分析したところ、サイズ剤として支持体に添加されたアルキルケテンダイマー(AKD)の加水分解物であるケトンであることが分かった。
そして、上記の表面析出物の発生を防ぐためには、中性紙支持体中に存在するアルキルケテンダイマー(AKD)の加水分解物であるケトンの、表面層(多孔質インク受容層)への移動・拡散を抑える必要があることを発見した。そこで、本発明者は、鋭意検討した結果、中性紙支持体と多孔質インク受容層の間に、澱粉を含有する中間層を設け、中性紙支持体中から移動・拡散してきたアルキルケテンダイマーの加水分解物であるケトンを、中間層中に存在する澱粉内に包接すれば良いことを発見した。すなわち、本発明は、上記構成とすることにより白紙部の長期保存性(特に、経時黄変性)や白色度が優れた記録媒体にすると共に、表面析出物の発生による記録媒体の印字濃度の低下及び光沢度の低下を抑えることを目的とする。
上記課題は、以下の構成を有する本発明によって解決することができる。
1.パルプを主成分とし、かつアルキルケテンダイマーを含有する中性紙支持体と、
前記中性紙支持体の少なくとも一方の面上に設けられた、澱粉とアルキルケテンダイマーの加水分解物であるケトンとを含有する中間層と、
前記中間層上に設けられた、前記ケトンを含有しない多孔質インク受容層と、
を有する記録媒体。
2.前記中間層は更に、アルキルケテンダイマーを含有することを特徴とする上記1に記載の記録媒体。
3.前記中性紙支持体中のアルキルケテンダイマーの含量は、前記パルプ100質量部に対して0.1質量部以下であることを特徴とする上記1又は2に記載の記録媒体。
4.前記中間層の厚みが10μm以上であり、かつ前記中間層中の澱粉の含量は質量基準で前記中性紙支持体中のアルキルケテンダイマーの含量の2倍以上であることを特徴とする上記1から3の何れか1項に記載の記録媒体。
5.前記多孔質インク受容層の厚みが10μm以上20μm以下であることを特徴とする上記1から4の何れか1項に記載の記録媒体。
6.前記多孔質インク受容層の表面を、入射角75°で測定した光沢度が70以上であることを特徴とする上記1から5の何れか1項に記載の記録媒体。
7.(1)アルキルケテンダイマーを含有するパルプ懸濁液を抄紙して中性紙支持体を得る工程と、
(2)前記中性紙支持体の少なくとも一方の面上に、澱粉を含有する塗工液Aを塗工、加熱乾燥させて中間層を形成すると共に、前記中間層の形成時に、中性紙支持体中のアルキルケテンダイマーを加水分解して生成したケトンを中性紙支持体から中間層まで移動させる工程と、
(3)前記中性紙支持体の塗工液Aを塗工した側に多孔質顔料を含有する塗工液Bを塗工、加熱乾燥させて多孔質インク受容層を形成すると共に、前記多孔質インク受容層の形成時に、前記ケトンが多孔質インク受容層内まで移動しないようにする工程と、
を有することを特徴とする記録媒体の製造方法。
8.更に多孔質インク受容層の表面を光沢面とするキャスト工程を有する上記7に記載の記録媒体の製造方法。
白紙部の長期保存性(特に、経時黄変性)や白色度が優れた記録媒体にすると共に、多孔質インク受容層の表面析出物の発生による記録媒体の印字濃度の低下及び光沢度の低下を抑えることができる。また、フィルター機能を有する中間層を設けることにより、記録媒体に印字した場合に優れた印字濃度を得ることができる。
1.記録媒体
本発明の記録媒体は、中性紙支持体と、中性紙支持体の少なくとも一方の面上に設けられた中間層と、中間層上に設けられた多孔質インク受容層と、を有する。この中性紙支持体は、パルプを主成分とし、かつサイズ剤としてアルキルケテンダイマーを含有する。中間層は、澱粉とアルキルケテンダイマーの加水分解物であるケトンとを含有する。また、多孔質インク受容層は、ケトンを含有しない。
この中性紙支持体中に含まれるアルキルケテンダイマー(AKD)は記録媒体のサイズ剤として働き、記録媒体を中性域で製造可能とし、サイズ性、長期保存性に優れたものとすることができる。すなわち、アルキルケテンダイマー(AKD)は親水性部分と疎水性部分を有する。そして、この親水性部分はパルプになじみやすいため、中性紙支持体中に効率良く、かつ均一に添加することができる。また、この疎水性部分がサイズ性の発現に寄与すると共に、添加後、時間が経つにつれてアルキルケテンダイマー(AKD)は加水分解されケトンになり、このケトンの高い疎水性により更に高いサイズ性を発現することができる。
しかしながら、アルキルケテンダイマー(AKD)の加水分解物であるケトンはアルキルケテンダイマー(AKD)と比較して、パルプとの相互作用の程度が低い。このため、従来の記録媒体では、中性紙支持体中にケトンが留まらずに中性紙支持体から表面層へケトンが移動・拡散してしまう場合があった。特に、中性紙支持体上に多孔質インク受容層を設けた記録媒体は多孔質インク受容層が細孔構造を有するため、中性紙支持体中からこの多孔質インク受容層へのケトンの移動・拡散が起こりやすくなっている。
この中性紙支持体からのケトンの移動・拡散を促進する要因としては、熱、溶媒の存在及び圧力が挙げられる。例えば、アルキルケテンダイマー(AKD)を融点以上の温度で加熱すると加水分解してケトンを生じる。また、これと共に、融解して湿気、水、界面活性剤、水性インクの溶媒(エチレングリコール、グリセリン等)、などの移動に伴い拡散・移動が促進されてしまう。また、加圧することにより、ケトンの移動・拡散が促進される。
そして、実際の記録媒体の製造工程では、高温で加熱乾燥する工程が多く、これらの工程においてケトンの移動・拡散が促進される。例えば、光沢発現のためのキャスト処理を行う工程では、記録媒体に熱、水溶液や圧力を加えるため、ケトンの移動・拡散が起こりやすくなる場合が多い。更に、記録媒体に水溶性インクで印字を行った場合、記録媒体内に浸透した水溶性インク由来の溶媒中にケトンが溶解することにより、ケトンが移動・拡散し易くなるものと考えられる。
このように多孔質インク受容層内へ移動・拡散したケトンは多孔質インク受容層内に留まることにより、多孔質インク受容層のヘイズを高くして印字した時の印字濃度を低下させる。また、ケトンの多孔質インク受容層内への移動・拡散量が多い場合、多孔質インク受容層の表面まで到達して表面析出物として析出する。この結果、印字濃度を低下させるだけでなく、外見上、粉拭きっぽく見えるため好ましくない。特に、光沢度の高い記録媒体においては、この表面析出物が目立って見えるため好ましくない。
これに対して、本発明の記録媒体は、中間層が澱粉を含有し、この澱粉はらせん構造を有しているため、このらせん構造内に水分や水蒸気などが入り込み澱粉が糊化する。このように糊化した澱粉は、中性紙支持体から移動・拡散したケトンを包接する能力を持っている。このため、この澱粉のらせん構造内にケトンを包接することにより、中性紙支持体から多孔質インク受容層へのケトンの拡散・移動を抑制することができる。
また、本発明では、このように中間層中にアルキルケテンダイマー(AKD)の加水分解物であるケトンを含有することにより、多孔質インク受容層へのインク定着性を高めて、高い画像濃度を達成することができる。すなわち、中間層中にケトンを含有するため、記録媒体にインクを印字した際に多孔質インク受容層から中性紙支持体への急激なインク成分の流れを抑制することができる。また、アルキルケテンダイマー(AKD)の加水分解物であるケトン(ジアルキルケトン)はアルキル鎖の鎖長分布が長い構造であるため、完全に澱粉内に包接されていない。このため、このケトンは澱粉に包接されて移動、拡散ができない状態であっても、ケトン自体の持つサイズ性を維持することができる。このように、水溶性インクで印字した際に中間層とインク受容層の界面で澱粉に包接されたケトンがサイズ性を示すことで、インクの浸透を阻害する。この結果、インク成分である染料等を記録媒体の表面により近い位置に定着させて、より高い印字濃度を得ることができる。
なお、従来の記録媒体ではたとえ中間層を有する場合であっても、中性紙支持体中のアルキルケテンダイマー(AKD)の含量など記録媒体の構成によっては、中性紙支持体中のケトンが熱、溶媒の存在及び圧力等によって中間層側へ移動・拡散する場合がある。そして、中間層中に澱粉を含有していない従来の記録媒体では、このケトンが多孔質インク受容層まで到達して、多孔質インク受容層のヘイズを高くしたり印字した時の印字濃度を低下させることとなっていた。また、ケトンの多孔質インク受容層内への移動・拡散量が多い場合には、多孔質インク受容層の表面まで到達して表面析出物として析出していた。この結果、印字濃度を低下させるだけでなく、外見上、粉拭きっぽく見えたりすることとなっていた。
しかし、本発明の記録媒体では、中間層が澱粉を含有し、この澱粉はらせん構造を有している。このため、このらせん構造内に水分や水蒸気などが入り込み糊化した澱粉は、中性紙支持体から移動・拡散したケトンを包接することができる。この結果、中性紙支持体から多孔質インク受容層へのケトンの拡散・移動を抑制することができる。また、本発明では、中性紙支持体から多孔質インク受容層へアルキルケテンダイマー(AKD)が拡散・移動する場合であっても、糊化した澱粉によって包接する等して、この拡散・移動を抑制することができる。
また、本発明では、中間層中には更に、アルキルケテンダイマーを含有することにより、多孔質インク受容層へのインク定着性及び画像濃度をより優れたものとすることができる。すなわち、中間層中にアルキルケテンダイマーを含有することによって、中間層中のケトンとアルキルケテンダイマーの相乗作用により、記録媒体にインクを印字した際に、更に効果的に多孔質インク受容層から中性紙支持体へのインク成分の流れを抑制することができる。この結果、インク成分である染料等は記録媒体の表面により近い位置に定着して、非常に優れた印字濃度を得ることができる。
以下に、本発明の記録媒体を構成する各部分について詳細に説明する。
(中性紙支持体)
本発明の記録媒体の支持体としては中性紙支持体を用いる。この中性紙支持体はパルプを主成分とするが、必要に応じて合成繊維、合成パルプ、無機繊維などを混合しても良い。なお、「主成分」とは、中性紙支持体中のパルプ含量が70質量%以上であることを表す。
また、この中性紙支持体の抄紙時のパルプ懸濁液のpHは、7以上9以下の弱アルカリ性となっている。このように中性紙支持体は酸性紙支持体と異なり、その抄紙時に定着剤として硫酸バンドを含有しないため硫酸バンドから生ずる硫酸イオンによる変色や劣化を抑えることができる。
本発明の中性紙支持体に使用されるパルプとしては、NBKP、LBKP、NBSP、LBSP、GP、TMP、故紙などが挙げられる。これらのパルプの使用にあたっては、所望のものを目的に応じた比率で混合して用いる。
この中性紙支持体中には、サイズ剤としてアルキルケテンダイマー(AKD)を用いる。この「アルキルケテンダイマー(AKD)」とは、主にパルミチン酸、ステアリン酸などの高級脂肪酸から合成される一般式(1)で表される2量体化合物のことを表す。
Figure 2009126083
(ここで、R1およびR2は、それぞれ独立して炭素数14〜22のアルキル基を表す)。
すなわち、R1及びR2としてはそれぞれ独立して、直鎖または分岐アルキル基であり、アルキル鎖の一部に不飽和結合を有しても良い。より好ましくは、飽和アルキル基であり、更に好ましくは、直鎖の飽和アルキル基である。前記R1,R2の炭素数は16以上18以下が好ましい。これらのアルキルケテンダイマー(AKD)は、一種類又は複数種のものを組み合わせて使用することができる。
中性紙支持体中のアルキルケテンダイマー(AKD)の含量は、パルプ100質量部に対して0.1質量部以下であることが好ましく、0.05質量部以下であることがより好ましい。アルキルケテンダイマー(AKD)の含量が0.1質量部を超える場合は、アルキルケテンダイマー(AKD)又はこのアルキルケテンダイマー(AKD)が加水分解したケトンの、中間層側への移動・拡散量が多くなる。この結果、中間層や中性紙支持体の構成によっては、中間層中の澱粉でトラップしきれずに一部が多孔質インク受容層の方に移動・拡散してしまう可能性がある。
この中性紙支持体中には、パルプやアルキルケテンダイマー(AKD)の他に填料を配合しても良い。この填料は中性紙支持体の透気性を調節して不透明性等を付与したり、インク吸収性を調整したりする目的で配合する。中性紙支持体用の填料としては例えば、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、水酸化アルミニウム、水酸化カルシウム、シリカ、酸化チタン等を適宜、使用することができる。これらの填料の中でも炭酸カルシウムは、中性紙支持体を白色度が高い基材とできるため、使用することが好ましい。
また、必要に応じて、中性紙支持体中には、ポリアクリルアミド系ポリマー、紙力増強剤や、メラミン樹脂、尿素樹脂、ポリアミド−ポリアミン−エピクロルヒドリル樹脂などに代表される湿潤紙力増強剤を使用できる。また、この他にも中性紙支持体中には、濾水剤、青み付けなどの色調調整用の染料、顔料、蛍光染料など各種助剤類を適宜、選択して内添することができる。
中性紙支持体は、中性紙支持体用の原料を常法により各種、抄紙機により抄紙することによって製造することができ、必要に応じて表面サイズプレス処理を行うことができる。また、中性紙支持体の坪量は、その用途に合わせて適宜、設定すれば良く、特に限定されるわけではない。
(中間層)
本発明の記録媒体では、中性紙支持体の少なくとも一方の面上に中間層が設けられている。この中間層は中性紙支持体の一方の面上に設けられていても、中性紙支持体の両面上に設けられていても良い。本発明の記録媒体の中間層は、澱粉と、アルキルケテンダイマーの加水分解物であるケトンと、を含有する。このケトンは元々、中性紙支持体中に存在していたアルキルケテンダイマーが加水分解されてケトンになると共に、中間層中に移動・拡散したものである。
この澱粉としては、未加工澱粉、加工澱粉の何れも使用することができる。未加工澱粉としては例えば、小麦澱粉、玉蜀黍澱粉、甘薯澱粉、馬鈴薯澱粉、タピオカ澱粉を挙げることができる。
加工澱粉としてはエステル化澱粉、エーテル化澱粉、架橋澱粉を挙げることができ、具体的な加工澱粉としては酸化澱粉、カチオン化澱粉、リン酸澱粉、尿素リン酸化澱粉、燐酸エステル化澱粉、ヒドロキシメチル化澱粉、ヒドロキシエチル化澱粉、ヒドロキシプロピル化澱粉、カルボキシルメチル澱粉、両性化澱粉、アセチル化澱粉などが挙げられる。
また、アルキルケテンダイマーの加水分解物であるケトンは、下記一般式(2)で表される。
Figure 2009126083
(ここで、R1およびR2は、それぞれ独立して炭素数14〜22のアルキル基を表す)。
すなわち、R1及びR2としてはそれぞれ独立して、直鎖または分岐アルキル基であり、アルキル鎖の一部に不飽和結合を有しても良い。より好ましくは、飽和アルキル基であり、更に好ましくは、直鎖の飽和アルキル基である。前記R1,R2の炭素数は16以上18以下が好ましい。
中間層の厚みは10μm以上であり、かつ中間層中の澱粉の含量(1m2当りの澱粉の量)は質量基準で中性紙支持体中のアルキルケテンダイマーの含量(1m2当りのアルキルケテンダイマーの量)の2倍以上であることが好ましい。中間層の厚みが10μm以上、かつ中間層中の澱粉の含量がアルキルケテンダイマーの含量の2倍以上の場合、中性紙支持体から移動・拡散してきたアルキルケテンダイマー(AKD)やケトンを包接する澱粉が十分に存在することとなる。この結果、澱粉によってアルキルケテンダイマー(AKD)やケトンを効果的に包接することができる。また、記録媒体に水溶性染料インクを印字した時、多孔質インク受容層から中性紙支持体への染料等のインク成分の浸透を十分に抑制することができ、優れた印字濃度を得ることができる。中間層の厚みは15μm以上であることがより好ましい。また、中間層中の澱粉の含量は質量基準で中性紙支持体中のアルキルケテンダイマーの含量の3倍以上であることがより好ましい。
また、中間層の乾燥塗工量は15g/m2以上であることが好ましい。中間層の乾燥塗工量が15g/m2以上であることによって、中性紙支持体から移動・拡散してきたアルキルケテンダイマー(AKD)やケトンを包接する澱粉が十分に存在することとなる。この結果、この澱粉によってアルキルケテンダイマー(AKD)やケトンを効果的に包接することができる。また、記録媒体に水溶性染料インクを印字した時、多孔質インク受容層から中性紙支持体への染料等のインク成分の浸透を十分に抑制することができる。
中間層中には上記澱粉の他に填料を配合しても良い。この填料としては例えば、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、水酸化アルミニウム、水酸化カルシウム、硫酸カルシウム、硫酸バリウム、珪酸マグネシウム、珪酸カルシウム、シリカ、酸化チタン、擬ベーマイト等のアルミナ水和物、シリカ/アルミナハイブリッドゾル、スメクタイト粘土等が挙げられ、これらの1種又は2種以上を用いることができる。
また、中間層中に含有される澱粉はバインダーとしても働くが、この澱粉以外にもバインダーを含有しても良い。このバインダーとしては例えば、ポリビニルアルコール及びその誘導体、カゼイン、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース等のセルロース誘導体、ゼラチン、ポリビニルピロリドン、SBRラテックス等が挙げられる。
(多孔質インク受容層)
本発明では、中間層中の澱粉が中性紙支持体から移動・拡散してきたケトンを包接するため、多孔質インク受容層はアルキルケテンダイマーの加水分解物であるケトンを含有しない。また、多孔質インク受容層は多孔質顔料を含有し、この多孔質顔料としては例えば、沈殿法、ゲルタイプ、気相法等のシリカ系、擬ベーマイト等のアルミナ水和物、シリカ/アルミナハイブリッドゾル、スメクタイト粘土、炭酸カルシウム、硫酸カルシウム、硫酸バリウム、二酸化チタン、カオリン、白土、タルク、珪酸マグネシウム、珪酸カルシウム等が挙げられ、これらの1種又は2種以上が用いられる。
上記で例示した多孔質顔料の中でも非晶質体を形成し得ると共に比較的、小さい屈折率を有し、吸油量・空孔容積といった多孔質の特性に優れているシリカゲルや擬ベーマイを好適に用いることができる。これらの多孔質顔料の製造法としては、気相法や液相法で製造した製造条件の異なる製造方法、又は粉末状、コロイド状のような分散状態が異なる製造方法を用いることができるが、これらに限定されるわけではない。
また、多孔質顔料のBET比表面積は100m2/g以上160m2/g以下であることが好ましい。多孔質顔料の粒度にもよるが、BET比表面積が160m2/gを超えると多孔質インク受容層のインク吸収性が低下する場合がある。また、BET比表面積が100m2/gより小さくなると光の散乱による色濃度の低下が生じる場合がある。
多孔質インク受容層中の多孔質顔料の含量は40質量%以上90質量%以下であることが好ましい。多孔質顔料の含量が40質量%未満の場合、多孔質インク受容層のインク吸収性が低下するおそれがある。また、多孔質顔料の含量が90質量%を超える場合、多孔質インク受容層の塗膜強度が低下するおそれがある。
また、多孔質インク受容層はバインダーを含有していても良く、このバインダーとしては結着能力を有し、多孔質インク受容層の強度を高めるものであれば特に限定されない。このバインダーとしては例えば、ポリビニルアルコール及びその誘導体、カゼイン、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース等のセルロース誘導体、ゼラチン、ポリビニルピロリドン等が挙げられる。
これらの中でもポリビニルアルコール及びその誘導体が好ましい。具体的には、エチレン共重合体変性ポリビニルアルコール、カルボキシル基変性ポリビニルアルコール、カチオン変性ポリビニルアルコール、シラノール変性ポリビニルアルコール等を挙げることができる。
バインダーとしてこれらの水溶性高分子を用いることにより、記録媒体の光沢性やインク吸収性等を一段と向上させることができる。バインダーとしてポリビニルアルコールを用いる場合、そのケン化度は85質量%以上95質量%以下の範囲で、平均重合度が2200以上2600以下の範囲であることが好ましい。
多孔質インク受容層中のアルミナ水和物と水溶性高分子の混合比は任意に選択することができるが、質量基準で1:1〜30:1であることが好ましく、5:1〜25:1であることがより好ましい。水溶性高分子の量が上記範囲外の場合は、多孔質インク受容層の機械的強度が不足してひび割れや粉落ちが発生したり、細孔容積が少なくなってインク吸収性が低下する場合がある。
また、多孔質インク受容層中には、更に必要に応じて、定着剤、架橋剤、蛍光増白剤、耐水化剤、防かび剤、防腐剤、分散剤、界面活性剤、増粘剤、pH調整剤、消泡剤、保水剤等の添加剤を更に含有させることができる。これらの添加剤は、1種又は2種以上を適宜、選択して用いることができる。
多孔質インク受容層の厚みは10μm以上20μm以下であることが好ましい。多孔質インク受容層の厚みが10μm未満の場合、十分なインク吸収性が得られず、多孔質インク受容層表面で溢れたインク成分が記録画像を乱す場合がある。また、多孔質インク受容層の厚みが20μmを超える場合、中間層のフィルター機能の効果が低くなり、印字密度が低下する場合がある。
多孔質インク受容層の表面を、入射角75°で測定した光沢度は70以上であることが好ましい。光沢度が70以上であることにより、記録媒体が優れた光沢性を有することができる。
2.記録媒体の製造方法
本発明の記録媒体の製造方法は、以下の工程を有する。
(1)アルキルケテンダイマーを含有するパルプ懸濁液を抄紙して中性紙支持体を得る工程、
(2)中性紙支持体の少なくとも一方の面上に、澱粉を含有する塗工液Aを塗工、加熱乾燥させて中間層を形成する。また、この中間層の形成時に、中性紙支持体中のアルキルケテンダイマーを加水分解して生成したケトンを中性紙支持体から中間層まで移動させる工程、
(3)中性紙支持体の塗工液Aを塗工した側に多孔質顔料を含有する塗工液Bを塗工、加熱乾燥させて多孔質インク受容層を形成する。また、この多孔質インク受容層の形成時に、ケトンが多孔質インク受容層内まで移動しないようにする(多孔質インク受容層形成工程)。
本発明の記録媒体の製造方法を、以下に詳細に説明する。
本発明の記録媒体の製造方法では、まず、工程(1)でアルキルケテンダイマーを含有するパルプ懸濁液を抄紙して中性紙支持体を得る。この中性紙支持体の抄紙時のパルプ懸濁液のpHは、7以上9以下の弱アルカリ性となっている。このように中性紙支持体は抄紙時に定着剤として硫酸バンドを含有しないため、硫酸バンドから生ずる硫酸イオンによる変色や劣化を抑えることができる。また、アルキルケテンダイマー(AKD)は水中に分散させエマルジョン化させて用いるのが一般的であり、パルプ懸濁液はアルキルケテンダイマー(AKD)のエマルジョンとすることが好ましい。
工程(1)における中性紙支持体の抄紙方法としては、一般的に用いられている紙の抄紙方法を適用することができる。より具体的には、この抄紙装置として、従来から用いられている長網抄紙機、丸網抄紙機、円胴、ツインワイヤーなどから適宜、選択して用いることができる。
また、中性紙支持体に対して表面サイズプレス工程を行う場合、オンマシン塗工を行うことが好ましい。このオンマシン塗工の方法としては、一般的な塗工方法を適宜、選択して用いることができる。例えば、ゲートロールコーター、サイズプレス、バーコーター、ブレードコーター、エアナイフコーター、ロールコーター、ブラッシュコーター、カーテンコーター、グラビアコーター、スプレー装置などによる塗工技術を採用することができる。更に必要に応じて、カレンダー処理やスーパーカレンダー処理を行い、表面を平滑にすることができる。
次に、工程(2)では、中性紙支持体の少なくとも一方の面上に、澱粉を含有する中間層用の塗工液Aを塗工、加熱乾燥させて中間層を形成する。また、これと共に、中間層の形成時に、中性紙支持体中のアルキルケテンダイマーを加水分解して生成したケトンを中性紙支持体から中間層まで移動させる。
中性紙支持体上への、中間層用の塗工液Aの塗工には、従来から用いられている塗工方法から適宜、選択して用いることができる。例えば、ゲートロールコーター、バーコーター、ブレードコーター、エアナイフコーター、ロールコーター、ブラッシュコーター、カーテンコーター、グラビアコーター、スプレー装置などによる塗工方法を採用することができる。
中性紙支持体上へ、中間層用の塗工液Aを塗工した後は、乾燥処理を行うことにより、中間層を形成する。この塗工液Aの乾燥は、100℃以上で高温乾燥を行うことが好ましい。100℃以上の温度で塗工液Aを乾燥することにより、アルキルケテンダイマー(AKD)の加水分解を促進することができる。また、100℃はアルキルケテンダイマー(AKD)及び加水分解物であるケトンの融点より高いため、アルキルケテンダイマー(AKD)及び加水分解物を融解させて中性紙支持体中から中間層への移動を促進することができる。
次に、工程(3)では、中間層上に多孔質顔料を含有する塗工液Bを塗工、加熱乾燥させて多孔質インク受容層を形成する。また、これと共に、多孔質インク受容層の形成時に、ケトンが多孔質インク受容層内まで移動しないようにする(多孔質インク受容層形成工程)。この塗工液Bの塗工、加熱乾燥の方法及び条件は、塗工液Aの塗工、加熱乾燥の方法及び条件と同じものとすることができる。
なお、工程(2)と(3)は同時に行っても、工程(2)を行った後、工程(3)を行っても良い。例えば、工程(2)と(3)を同時に行う場合、まず、中性紙支持体上に塗工液Aを塗工した後、塗工液Bを塗工する。次に、この塗工液A,Bを同時に乾燥して、それぞれ中間層、多孔質インク受容層を形成する。そして、この際、中性紙支持体中のアルキルケテンダイマーを加水分解して生成したケトンを中性紙支持体から中間層まで移動させると共に、ケトンが多孔質インク受容層内まで移動しないようにする。ここで、工程(2)を行った後に工程(3)を行うことが好ましい。このように工程(2)、(3)の順に各層の形成を行なうことにより、中間層から多孔質インク受容層へのケトンの移動、拡散を防止することができる。
本発明の製造方法では、更に多孔質インク受容層の表面を光沢面とするキャスト工程を有することが好ましい。この光沢処理を行う場合、中間層用の塗工液A及び多孔質インク受容層用の塗工液Bが湿潤状態にあるうちに、記録媒体を、表面を加熱した鏡面ドラムに圧接して乾燥させるキヤスト法を好適に用いることができる。このキャスト法としては、直接法、ゲル化法、リウェット法を挙げることができる。
直接法は、中性紙支持体上に塗工した中間層の塗工液A及び多孔質インク受容層用の塗工液Bが未だ湿潤状態にあるうちに、これらの塗工液の表面を、加熱した鏡面ドラムに圧着して乾燥処理を行うものである。
ゲル化法は、中性紙支持体上に塗工した中間層用の塗工液A及び多孔質インク受容層用の塗工液Bが未だ湿潤状態にあるうちに、これらの塗工液をゲル化剤浴に接触させてゲル状態にした後、加熱した鏡面ドラムに圧着して乾燥処理を行うものである。
また、リウェット法は、中性紙支持体上に中間層用の塗工液A及び多孔質インク受容層用の塗工液Bを塗工後、常法により乾燥させて多孔質インク受容層となる層を一度、形成する。この後、再度、この多孔質インク受容層を熱湯等により処理して、多孔質インク受容層を湿潤状態に戻して膨潤させ、膨潤状態にある多孔質インク受容層の表面を、加熱した鏡面ドラムに圧着して乾燥処理するものである。このように膨潤状態にある多孔質インク受容層を熱ドラムに圧着処理させることによって、多孔質インク受容層の多孔質構造を維持したまま表面に強光沢を付与することができる。また、一度、乾燥して形成した多孔質インク受容層を再膨潤させるため、熱ドラムの圧着乾燥時、裏面からの水分の蒸発量を少量にすることができる。このため、リウェット法は使用する中性紙支持体に制限が少なく、緻密な中性紙支持体上に多孔質インク受容層を設けた場合であっても光沢処理が可能となる。
以下、実施例を示し、本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるわけではない。以下に、各種物性値の測定法、評価方法及び評価基準について説明する。
<白色度>
拡散照明方式によるΙSO白色度(JIS P 8148)に基づき、Technibrite Micro TB−1C装置を用いて測定を行った。
評価基準:
A:白色度が88%以上である
B:白色度が75%以上88%未満である
C:白色度が75%未満である。
<白紙部の長期保存性>
温度80℃、湿度50%RHの環境下で、記録媒体を1週間、放置した後、白紙部の黄変の度合いを下記基準に従って目視で評価した。
評価基準:
A:変色無し
B:僅かに変色するが実用上問題ない
C:変色して実用上問題あり。
<アルキルケテンダイマー及びケトンの存在>
・前処理
製造後の記録媒体から多孔質インク受容層を慎重に剥がし、この多孔質インク受容層に対してクロロホルムを用いてソックスレー抽出を行った。同様にして、製造後の記録媒体から中間層を慎重に剥がし、この中間層に対してクロロホルムを用いてソックスレー抽出を行った。また、この中間層を剥がした後の中性紙支持体に対してもソックスレー抽出を行った。次に、これらのクロロホルム抽出物をエバポレートし、40℃で減圧乾燥をして得た乾燥固形分サンプルに重クロロホルムを加えて測定用試料とした。
・測定
上記測定用試料に対してC−NMR測定を行って、中性紙支持体及び中間層中のアルキルケテンダイマーの有無、並びに多孔質インク受容層及び中間層中のケトンの有無を確認した。なお、このC−NMR測定では、アルキルケテンダイマー特有のピークは146ppm及び170ppmに現れ、アルキルケテンダイマーが加水分解して生成したケトン特有のピークは211ppm付近に観察される。従って、このC−NMR測定によるスペクトルにおいて、上記ピークの有無を調べることにより、アルキルケテンダイマー及びケトンの有無を確認することができる。
<インク吸収性>
インクジェット方式を用いたフォト用プリンター(商品名:PIXUS 950iキヤノン製)を用いて、製造後の記録媒体の記録面に2次色のグリーンを、インク打ち込み量100%から160%まで10%ずつ打ち込み量を変化させて打ち込んだ。そして、ビーディングが起きない打ち込み量を目視で評価した。なお、1/600インチ四方の領域にインク液滴を8ドット印字した場合のインク打ち込み量を100%とした。例えば、グリーンインクをインク打ち込み量100%で打ち込む場合、シアンインク及びイエローインクをそれぞれ50%ずつ打ち込むこととなる。
評価基準:
A:インク打ち込み量が140%以上でもビーディングが無く、実用上、良好なレベルである。
B:打ち込み量が120%以上140%未満でビーディングが無く、問題なく実用可能なレベルである。
C:打ち込み量が100%以上120%未満で、ビーディングが無く、実用可能なレベルである。
<印字濃度>
インクジェット方式を用いたフォト用プリンター(商品名:iP8600キヤノン製、BCI−7染料)を用いて、記録媒体の記録面に黒のパッチを印字した後、色安定化のため一晩、放置した。そして、放置後の印字濃度を分光濃度計(X−rite530)で測定した。
評価基準:
A:Bkの印字濃度が2.3以上である
B:Bkの印字濃度が2.2以上2.3未満である
C:Bkの印字濃度が2.2未満である。
<表面析出物の目視評価>
表面析出物の発生を加速化するため、70℃で一晩、記録媒体を加熱した。この後、インクジェットプリンター(商品名:iP8600キヤノン製、BCI−7染料)を用いて、記録媒体の記録面に黒ベタパターンを印字した。この後、30℃/80%の高温高湿環境下に一晩、放置した。そして、放置後の印字物の表面に析出物の発生有り無し、を目視で評価した。
<表面析出物による印字濃度の低下>
表面析出物の発生を加速化するため、70℃で一晩、記録媒体を加熱した。この後、インクジェットプリンター(商品名:iP8600キヤノン製、BCI−7染料)を用いて、記録媒体の記録面に黒ベタパターンを印字した。この後、30℃/80%の高温高湿環境下に一晩、放置した。
放置後の記録媒体の印字濃度を、分光濃度計(X−rite530)を用いて測定した。そして、この値をBkOD1とした。次に、画像濃度測定済みの印字物を、70℃で10分間、加熱した後、同装置を用いて再度、印字濃度を測定した。そして、この値をBkOD2とした。
評価基準:
A:BkOD2−BkOD1が0.05未満である。
B:BkOD2−BkOD1が0.05以上0.1未満である。
C:BkOD2−BkOD1が0.1以上である。
<表面析出物による光沢度の低下>
表面析出物の発生を加速化するため、70℃で一晩、記録媒体を加熱した。この後、インクジェットプリンター(商品名:iP8600キヤノン製、BCI−7染料)を用いて、記録媒体の記録面に黒ベタパターンを印字した。次に、30℃、80%の高温高湿環境下に一晩、放置した。
放置後の記録媒体の光沢度を、光沢度計(商品名:VG2000、日本電色工業製)を用いて、入射角75°で測定した。そして、この値を光沢度1とした。次に、光沢度測定済みの印字物を70℃で10分間、加熱した後、同装置を用いて再度、光沢度を測定した。そして、この値を光沢度2とした。
評価基準:
A:光沢度2−光沢度1が4未満である
B:光沢度2−光沢度1が4以上10未満である
C:光沢度2−光沢度1が10以上である。
[支持体作成例A−F]
<中性紙支持体A>
下記原料を長網抄紙機で抄造した。
フリーネス(C.S.F)350mlの広葉樹晒しクラフトパルプ(LBKP)
100質量部
軽質炭酸カルシウム顔料 20質量部
アルキルケテンダイマー(AKD)サイズ剤(AD1604、星光PMC)
0.03質量部
ポリエチレンイミン(ポリストロン705、荒川化学工業) 0.2質量部
ポリアクリルアマイド(アラフィックス504、荒川化学工業)
0.05質量部。
この後、3段のウエットプレスを行った後、多筒式ドライヤーで乾燥し、更に最後にマシンカレンダー仕上げを行った。そして、秤量167g/m2の中性紙支持体を得た。
<中性紙支持体B―F>
アルキルケテンダイマーの使用量及び坪量を、下記表1に示す量に変更した以外は、中性紙支持体Aと同様の方法により中性紙支持体B−Fを製造した。
Figure 2009126083
[中間層用塗工液]
<中間層用塗工液1>
中間層用塗工液として、下記組成の顔料スラリーを攪拌混合して調整した。
酸化チタン 5質量部
軽質炭酸カルシウム 95質量部。
この後、この顔料スラリー100質量部に対して、SBRラテックス5質量部と、酸化澱粉1.7質量部を添加し、更に水を加えて25質量%の固形分濃度の中間層用塗工液1を得た。
<中間層用塗工液2−4>
酸化澱粉を下記表2に示した量とした以外、中間層用塗工液1と同様の処理を行い、中間層用塗工液2−4を得た。
Figure 2009126083
ただし、表2中の「中間層用塗工液中への澱粉添加量(質量部)」は、顔料スラリー100質量部に対する澱粉の添加量を表す。
[多孔質インク受容層用塗工液]
多孔質インク受容層用塗工液として、固形分濃度が23質量%のアルミナ水和物(サソール社製HP−14;擬ベーマイト)分散液に、固形分濃度5質量%ホウ酸水溶液を、上記アルミナ水和物の固形分100質量部に対してホウ酸固形分換算で0.60質量部となるように添加した。更に、8質量%ポリビニルアルコールPVA−224(クラレ(株)製)を、アルミナ水和物の固形分100質量部に対して9.5質量部となるように混合して、多孔質インク受容層用塗工液を得た。
[実施例1−4、比較例1−6]
<実施例1>
中性紙支持体A上に、ブレードコーターを用いて、乾燥塗工量が15g/m2となるように中間層用塗工液1(塗工液A)を塗工した後、120℃でこれを乾燥した。次に、この上に、バーコーターを用いて、多孔質インク受容層用塗工液(塗工液B)を厚さ15μmとなるように塗工した後、120℃でこれを乾燥した。最後に、リウェット法で表面をキャスト処理して記録媒体を得た。
<実施例2−4、比較例1−6>
実施例2−5及び比較例1−5の記録媒体では、支持体、中間層用塗工液、中間層の厚み、多孔質インク受容層の厚みが、表3の値となるように、実施例1と同様な処理を行って記録媒体を得た。
Figure 2009126083
そして、これらの記録媒体に対して、白色度、白紙部の長期保存性、アルキルケテンダイマー及びケトンの存在、インク吸収性、印字濃度、表面析出物の目視評価及び表面析出物の発生による印字濃度(ΔBkOD)と光沢度の低下(Δ光沢度)の評価を行った。この評価結果を表4及び5に示す。
Figure 2009126083
ただし、表4中の「AKD量」とは、中性紙支持体を製造する際に添加したアルキルケテンダイマーの質量を中性紙支持体の面積で割った値を表す。
表4中の「澱粉量」とは、中間層を形成する際に添加した澱粉の質量を中間層の面積で割った値を表す。
また、表4中の「澱粉量/AKD量」とは、上記「澱粉量」を「AKD量」で割った値を表す。
Figure 2009126083
ただし、表5中の「アルキルケテンダイマーのピーク」とは、中間層中のアルキルケテンダイマーの有無を表す。なお、表には示していないが、実施例1〜4及び比較例2〜6では、製造後の記録媒体の中性紙支持体中にアルキルケテンダイマーのピークが認められ、中性紙支持体中にアルキルケテンダイマーが存在することを確認した。
表4及び5の結果より、実施例1〜4の記録媒体では、サイズ剤としてアルキルケテンダイマーを用いているため、優れた白紙部の長期保存性(特に、経時黄変性)や優れた白色度を有することが分かる。また、実施例1〜4は何れも表面析出物の発生が「無」であり、「表面析出物発生状況」は、「ΔBkOD」及び「Δ光沢度」が「A」であった。このため、何れの実施例も表面、あるいは表面近くの析出物の発生による印字濃度の低下、及び光沢度の低下を抑えることができたことが分かる。また、これと同時に優れた印字濃度を達成できたことが分かる。
これに対して、比較例1の記録媒体はアルキルケテンダイマーを含有しないため、表面析出物の発生はないものの、「印字濃度」が「C」と低下していることが分かる。比較例2の記録媒体はアルキルケテンダイマーを含有するものの、中間層中にケトンを含有しないため印字されたインク成分の流れを中間層内で抑制することができず、「印字濃度」が「C」と低下していることが分かる。
また、比較例3〜6の記録媒体は中間層中だけなく多孔質インク受容層中にもケトンを含有していた。このため、比較例3の記録媒体では、「印字濃度」及び「表面析出物発生状況」の「ΔBkOD」及び「Δ光沢度」が「B」となった。また、比較例4〜6の記録媒体では、表面析出物が発生すると共に、「印字濃度」及び「表面析出物発生状況」の「ΔBkOD」及び「Δ光沢度」が「C」と低下することが分かる。

Claims (8)

  1. パルプを主成分とし、かつアルキルケテンダイマーを含有する中性紙支持体と、
    前記中性紙支持体の少なくとも一方の面上に設けられた、澱粉とアルキルケテンダイマーの加水分解物であるケトンとを含有する中間層と、
    前記中間層上に設けられた、前記ケトンを含有しない多孔質インク受容層と、
    を有する記録媒体。
  2. 前記中間層は更に、アルキルケテンダイマーを含有することを特徴とする請求項1に記載の記録媒体。
  3. 前記中性紙支持体中のアルキルケテンダイマーの含量は、前記パルプ100質量部に対して0.1質量部以下であることを特徴とする請求項1又は2に記載の記録媒体。
  4. 前記中間層の厚みが10μm以上であり、かつ前記中間層中の澱粉の含量は質量基準で前記中性紙支持体中のアルキルケテンダイマーの含量の2倍以上であることを特徴とする請求項1から3の何れか1項に記載の記録媒体。
  5. 前記多孔質インク受容層の厚みが10μm以上20μm以下であることを特徴とする請求項1から4の何れか1項に記載の記録媒体。
  6. 前記多孔質インク受容層の表面を、入射角75°で測定した光沢度が70以上であることを特徴とする請求項1から5の何れか1項に記載の記録媒体。
  7. (1)アルキルケテンダイマーを含有するパルプ懸濁液を抄紙して中性紙支持体を得る工程と、
    (2)前記中性紙支持体の少なくとも一方の面上に、澱粉を含有する塗工液Aを塗工、加熱乾燥させて中間層を形成すると共に、前記中間層の形成時に、中性紙支持体中のアルキルケテンダイマーを加水分解して生成したケトンを中性紙支持体から中間層まで移動させる工程と、
    (3)前記中性紙支持体の塗工液Aを塗工した側に多孔質顔料を含有する塗工液Bを塗工、加熱乾燥させて多孔質インク受容層を形成すると共に、前記多孔質インク受容層の形成時に、前記ケトンが多孔質インク受容層内まで移動しないようにする工程と、
    を有することを特徴とする記録媒体の製造方法。
  8. 更に多孔質インク受容層の表面を光沢面とするキャスト工程を有する請求項7に記載の記録媒体の製造方法。
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