JP2009125582A - 磁気共鳴イメージング装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】傾斜磁場コイルユニット6、傾斜磁場電源7、RFコイルユニット8、送信器9Tおよび受信器9Rなどにより、被検体200の同一の領域に関し、関心組織が背景よりも高信号である第1の画像データと関心組織が背景よりも低信号である第2の画像データとをそれぞれ取得する。演算ユニット11は、第1の画像データと第2の画像データとに基づいて、関心組織の背景に対するコントラストが第1および第2の画像データのそれぞれよりも高い第3の画像データを生成する。ただし演算ユニット11は、第1および第2の画像データの一方のみに示された信号値について予め定められた周波数特性の重み付け関数によって重み付ける重み付け処理を行ったのちに、当該重み付け処理がなされたのちの第1および第2の画像データに基づいて第3の画像データを生成する。
【選択図】 図1
Description
次に以上のように構成されたMRI装置100の第1の実施形態における動作について説明する。なお、MRI装置100は、既存のMRI装置で実現されている各種の撮像を行うことが可能であるが、これについての説明は省略する。そしてここでは、ハイブリッドMRAを得る場合の動作について説明することとする。
図5は血管径と信号値S(WB)と信号値S(BB)の関係を示した図である。
次にステップSb3においてホスト計算機16は、信号値Sbase(BB)と信号値Sbase(WB)との比を、Sbase(BB)/Sbase(WB)として求める。
={S1−S1base}−α{S2−S2base}=C1−α×C2 …(3)
ΔS画像での血管の周囲組織に対するCNR,CNR(ΔS)は、次の(4)式となる。
この式(5)を満たすα=αoptを求めると、分母がゼロでなければ、すなわちノイズのない画像でなければ、次の(6)式のようになる。
被検体200を同一のコイルで同一の受信ゲインで撮像した場合や、2エコーで撮像した場合には、ノイズSDは同じとみなせるので、上記の式(4')および式(6')が成り立つ。
ただし、図10から明らかなように、C(BB)/C(WB)<−1ならば、α>1にしておけばCNRはあまり変化しない。
次にMRI装置100の第2の実施形態における動作について説明する。
具体的な動作について説明する前の理論的準備として、磁化率が不均一で、かつ流れのあるボクセルのMR信号モデルと、リフェーズ(rephase)/ディフェーズ(dephase)の信号モデルとについて定義する。
まず、磁化率が不均一で、かつ流れのあるボクセルのMR信号モデルに関するパラメータを次のように定義する。
M0:プロトン密度
AT1:T1に依存した減衰(T1 dependent attenuation)
AT1=1−exp(−TR/T1)
AT2:T2に依存した減衰(T2 dependent attenuation)
AT2=exp(−TE/T2)
AD:拡散に依存した減衰(Diffusion dependent attenuation)
AD=exp[−bD]
Asus:磁化率に依存した減衰(Susceptibility dependent attenuation)
Asus=exp[−TE(γΔB0σ)]*
φsus:磁化率に依存した位相(Susceptibility dependent phase)
φsus=−TE(γΔB0m)
但しLorenzian modelの場合。
T2*:T2と磁化率効果による成分を含む緩和時間
1/T2*=1/T2+γΔB0 (T2*<T2)
なお、T2*を用いると、AT2 Asus=exp(−TE/T2*)となる。
Aflow:フローに依存した減衰(Flow dependent attenuation)
Aflow=exp[−bDflow]
b:拡散で定義される傾斜磁場パターンから算出される係数(gradient factor)
Dflow:フローによる位相分散係数(流れのない部分で定義される拡散係数に等価な係数に相当する)
Φflow:フローに依存した位相シフト(Flow dependent phase shift)
S=(M0 AT1 AT2 AD Asus Aflow) exp[i(Φ0+Φsus+Φflow)] …(8)
ここで磁化率やフローの効果のうち、コヒーレント(coherent)な成分は位相に、インコヒーレント(incoherent)な成分は振幅減衰に生じる。すなわち、コントラストには、ボクセル内でのΔB0分布が大きいほど、あるいはintravoxel incoherent motion(IVIM)成分が大きいほど、振幅項が位相項より支配的に作用することになる。なおIVIM成分は、静脈→細静脈→毛細血管の順に大きい。
次に、リフェーズ/ディフェーズの信号モデルについて説明する。
Sre=(M0 AT1 AT2 AD Asus)exp[i(Φ0+Φsus)] …(9)
Sde=(M0 AT1 AT2 AD Asus Aflow)exp[i(Φ0+Φsus+Φflow)] …(10)
ここでもし、リフェーズ/ディフェーズのシーケンス条件のうちの繰り返し時間TRおよびエコー時間TEが同一で、ディフェーズのb値は十分小さいためにADの効果は無視できるとすれば、Sdeは次の式(11)となる。
Sde=Sre Aflow exp[i Φflow] …(11)
すなわち、SdeはSreにフロー効果が加わったものになる。
・ボクセル内のフロー成分比Mflow/(Mflow+Mst)が多いほど、MR信号の変動が大きい。
・b値が大きいほど、MR信号の変動が大きい。
・IVIM成分が大きければ、dephase grad.による振幅減衰効果によるMR信号の変動が大きい。
・IVCM成分が大きければ、dephase grad.による位相変化効果によるMR信号の変動が大きい。
(B)ディフェーズ/リフェーズのデータ収集および処理法
従来のリフェーズのみやディフェーズのみの場合に対し、ディフェーズとリフェーズとを組み合わせて用いることで新たな応用が可能になる。上述のように、リフェーズはT1緩和、T2緩和および磁化率効果のみによる信号変化である。ディフェーズはリフェーズに加えフローによる効果が加わっている。従って、リフェーズとディフェーズとのデータ間の演算により、静止組織に関する成分および磁化率効果などのフロー効果以外の成分とフロー効果とが分離された画像を得ることができる。さらには上記の演算により、磁化率やフロー効果をより定量的に表した普遍的なパラメータ画像を得ることができる。臨床的には、ディフェーズおよびリフェーズの物理的なフロー効果および磁化率効果の大小を用いた、静脈と動脈の分離などである。ここでは収集の工夫やその臨床応用例をあげる。
具体的な処理手順を説明するのに先立って、理論について説明する。
Sre(TR,TE)=Are(TR,TE) exp[iΦre(TE)]=K A0(TR,TE) Asus(TE) exp[i{Φ0(TE)+Φsus(TE)}] …(9')
Sde(TE,TE,b)=Ade(TE,TE) exp[iΦde(TE)]=K A0(TE,TE) Asus(TE) Aflow(b) exp[i{Φ0(TE)+Φsus(TE)+Φflow(b)}] …(10')
なお、ここではb値はフローによる信号減衰効果をもたらせば良いため十分小さく、A0に占める分子拡散の効果ADは無視できる。すなわちA0は、リフェーズおよびディフェーズで同一とした。また縦磁化(longitudinal magnetization)Mzは、M0 AT1として求まり、AT1はGREの場合にはインフロー効果も含めTRで決まる。
磁化率とフローの性質の違いを生体内の組織別にみると、動脈はオキシヘモグロビン(oxyHb)を多く含むため磁化率効果が無視できるので、リフェーズでは動脈は描出されない。一方、静脈は動脈よりはフロー効果は小さく、さらにデオキシヘモグロビン(deoxyHb)による磁化率効果が加わる。従って、血管については、リフェーズではフローによる位相変化が完全にリフォーカスされれば、静脈信号(磁化率効果成分)が支配的に描出される。この結果、ディフェーズでは動脈および静脈(磁化率効果+フロー成分)のいずれもが描出される。静止組織については、リフェーズおよびディフェーズのいずれでも同等に描出される。
TEについては、振幅、位相ともにCNRを最大にするTEの最適な条件は、TE=T2*である。すなわち、TEが対象とする組織のT2*に等しい場合に、その近傍のT2*を有する組織との間で最大のCNRを与える。収集条件や人体組織の種類に依存してT2*には分布があるが、血管描出に重要な血液も磁化率の範囲があるし、白質や灰白質はほぼ一定とみなせるので、ボクセルサイズを一定にする場合には上記の条件でTEを決めることはほぼ可能である。
受信ゲイン、TR、TEおよびb値などの撮像パラメータを固定すれば、そのままでもリフェーズとディフェーズとの間の相互の比較が可能である。しかし、より定量的な指標にするには、フロー成分はDflow、磁化率成分はT2*やΔχなどから計算して表示したほうが良い。その場合は、b=0はリフェーズで代用し、TEは2つ以上と最低3画像が必要となる。
ディフェーズ/リフェーズ間の振幅比と位相差とをとると、(11)式に基づいて次の式(12)および式(13)に示すようにフロー効果を分離できる。
ディフェーズ/リフェーズ振幅比:A(de)/A(re)=Aflow …(12)
ディフェーズ/リフェーズ位相差:Φ(de)−Φ(re)=Φflow …(13)
ここで、位相差Φflowはphase contrast MR angiography(PS−MRA)法のように速度エンコードパルスVENCの3方向を用いて測定し求めても良い。しかし、ここではあまり現実的ではないので省略し、次の式(14)のように表される関係にあり、多様な流速や多様な方向への流れによるランダムな位相分散の程度を表すDflowを求める。
Aflow=exp[−b* Dflow] …(14)
ここで、ディフェーズのb値をb(de)、ディフェーズおよびリフェーズの信号強度(振幅)をそれぞれA(de)、A(re)とすると、b=0をリフェーズで代用できるので、Dflowは次の式(15)により算出される。
Dflow[mm2/sec]=−ln[A(de)/A(re)]/b(de) …(15)
(B-1-3-2)磁化率効果の定量化
まず磁化率効果の定量化指標を振幅を用いて算出する場合について述べる。
A1=K A0 exp[−TE1/T2*] …(16)
A2=K A0 exp[−TE2/T2*] …(17)
これら式(16)および式(17)より、磁化率効果による振幅減衰効果の指標は次の式(18)で表される。
T2*=(TE2−TE1)/ln[A1(TE1)/A2(TE2)] …(18)
またT2*の算出には、3エコー以上のマルチエコーを取得して最小二乗近似を用いても良い。
Φsus=−2πγΔχB0(cos2θ−1/3)TE …(19)
Φsus=−2πγΔχB0(cos2θ−1/3)(TE2−TE1) …(19')
このΦsusに基づいて、単一エコーの場合および2エコーの場合のΔχは、それぞれ次の式(20)および式(20')により表される。
Δχ[ppm]=−Φsus/{2πγ B0(cos2θ−1/3)TE} …(20)
Δχ[ppm]=−Φsus/{2πγ B0(cos2θ−1/3)(TE2−TE1)} …(20')
このΔχはボクセル内の平均の磁化率を表すとみなせる。
ステップSc1においてはシーケンサ10が、ディフェーズデータおよびリフェーズデータを収集する。
フロー効果Dflowのみの算出のためには、シーケンサ10はリフェーズおよびディフェーズを同一TEで2画像収集する。Dflowに加えてT2*を算出する場合には、シーケンサ10はリフェーズ側を2エコーでTE1、TE2とし、ディフェーズはTE1,TE2のいずれかにする。その場合、ディフェーズおよびリフェーズのシーケンスを分割させて別々に撮像しても良い。あるいは、画像間の動きの影響を最小にするために、1データセットを複数のセグメントに分割して交互に収集して合成しても良い。分割するセグメントは、k−spaceで1ライン(TR)単位としたり、2次元面単位とするなど任意である。
GREでリフェーズおよびディフェーズ組み合わせた2点以上のマルチエコーで処理する実施例を示す。
(B-2-2-1-1)リフェーズTEとディフェーズTEとを1点ずつ収集する場合
図13に示すように、TE=TE1のAde(TE1)と、TE=TE2のAre(TE2)とをそれぞれ収集する。
図14に示すように、TE=TE1に関するAde(TE1)およびTE=TE2に関するAde(TE2)をそれぞれ収集する。
そしてTE1,TE2は既知なので、式(20)の振幅からT2*、さらには位相項からΔB0をそれぞれ算出可能であり、Δχが算出可能である。
図15に示すように、TE=TE1に関するAre(TE1)およびTE=TE2に関するAre(TE2)をそれぞれ収集する。
リフェーズおよびディフェーズをまぜて3点収集すれば、T2*またはΔB0に加えて、すなわちΔχに加えて、フロー効果分も算出可能である。またGREのマルチエコーを用いるにもかかわらずに、同一TEのリフェーズ画像およびディフェーズ画像が作成可能である。3点のTEは、どう組み合わせても良い。
最初のリフェーズの2点よりT2*を算出し、これを3点目のディフェーズに代入してDflowを算出する。またリフェーズよりT2*が分かれば、リフェーズの任意のTEの信号を生成可能なので、ディフェーズと同一TEのリフェーズが求まる。すなわち同一のT2緩和効果および磁化率効果でフロー効果のみ異なる画像が得られる。
上記の(B-2-2-1-2)と同様にして、最初のb値が同じでTEが異なるディフェーズの2点よりT2*を算出する。そしてこのT2*と3点目のリフェーズとからDflowを算出する。またディフェーズよりT2*が分かればディフェーズの任意のTEの信号を生成可能なので、リフェーズと同一TEのディフェーズが求まる。すなわち同一のT2緩和(T2 relaxation)効果および磁化率効果でフロー効果のみ異なる画像が得られる。
ディフェーズ、リフェーズとも各々2点以上ずつ収集し、これに基づいてT2*と同一TEの画像とを求める。未知数2個で4点以上では最小二乗近似となる。もちろん必要ならば未知パラメータのM0、T2あるいはDなども算出可能である。
ステップSc2においては演算ユニット11が、以上のような各種の手法を適宜に採用して収集されたデータのそれぞれを使用して周知の再構成処理を行うことによって、m枚のディフェーズ画像とn枚のリフェーズ画像とを再構成する。なお、mおよびnの値は、いずれも0を含む整数で、採用するデータ収集の手法により定まる。
ステップSc3においては演算ユニット11が、再構成された1乃至m枚のディフェーズ画像および1乃至n枚のリフェーズ画像を使用して解析パラメータ画像を算出する。
(B-4-1-1)ディフェーズ2点の場合
(a) 演算ユニット11は、同一b値のディフェーズに関するTE=TE1の振幅画像A1(TE1)およびTE=TE2の振幅画像A2(TE2)より、次の式(22)および式(23)によりT2*およびKdeをそれぞれ算出する。
T2*=(TE2−TE1)/ln[Ade(TE1)/Ade(TE2)] …(22)
Kde=Ade(TE1)/exp[−TE1/T2*] …(23)
(b) 演算ユニット11は、任意TEに関して、次の式(24)および式(25)によりディフェーズ振幅および位相をそれぞれ算出する。
Ade(TE)=Kde exp[−TE/T2*] …(24)
Φde(TE)=(TE/TE1)Φde(TE1) …(25)
(B-4-1-2)リフェーズ2点の場合
(a) 演算ユニット11は、同一b値のディフェーズに関するTE=TE1の振幅画像A1(TE1)およびTE=TE2の振幅画像A2(TE2)より、次の式(26)および式(27)によりT2*およびKreをそれぞれ算出する。
T2*=(TE2−TE1)/ln[Are(TE1)/Are(TE2)] …(26)
Kre=Are(TE1)/exp[−TE1/T2*] …(27)
(b) 演算ユニット11は、任意TEに関して、次の式(28)および式(29)によりディフェーズ振幅および位相をそれぞれ算出する。
Are(TE)=Kre exp[−TE/T2*] …(28)
Φre(TE)=(TE/TE1)Φre(TE1) …(29)
すなわち、(B-4-1)における添え字deをreに置き換えた式を適用する。
(B-4-2-1)リフェーズTEを2点とディフェーズTEを1点収集する場合
この場合の処理の流れを図19に示す。
T2*=(TE2−TE1)/ln[Are(TE1)/Are(TE2)] …(30)
Kre=Are(TE1)/exp[−TE1/T2*] …(31)
ここで求めたT2*により、T2*画像が得られる。
Are(TE3)=Kre exp[−TE3/T2*] …(32)
Φre(TE3)=(TE3/TE1)Φre(TE1) …(33)
Φre(TE3)={TE3/(TE2−TE1)} {Φre(TE2)−Φre(TE1)} …(34)
なお、ステップSd2およびステップSd3において演算ユニット11は、TEがTE1,TE2,TE3のいずれでもない任意の値であるリフェーズの振幅画像および位相画像を作成することもできる。これは、上記の式(25)乃至(27)におけるTE3に任意の欲しいTEを代入することにより計算することにより実現できる。
Aflow=Ade(TE3)/Are(TE3) …(35)
Dflow[mm2/sec]=−ln[Aflow]/bde …(36)
(d) ステップSd5において演算ユニット11は、血管とB0との方向角度θを算出する。
Δχ[ppm]=−Φre(TE3)/{2πγB0(cos2θ−1/3)TE3} …(37)
ここで求めたΔχにより、Δχ画像が得られる。
ディフェーズの任意TEの振幅画像は式(35)により求めたAflowを用いて、次の式(38)により計算する。
Ade(TE)=Are(TE)Aflow …(38)
ステップSd7において演算ユニット11は、Φde(TE3)を用いて、次の式(39)によりディフェーズの任意TEの位相画像を算出する。これは、TEに依存しないバックグラウンド位相がない場合のみ算出可能である。
Φde(TE)=(TE/TE3)Φde(TE3) …(39)
なお、上記の(c)〜(f)で求める各種パラメータは、必要な場合にのみ算出すれば良い。
この場合の処理の流れを図21に示す。
T2*=(TE2−TE1)/ln[Ade(TE1)/Ade(TE2)] …(40)
Kde=Ade(TE1)/exp[−TE1/T2*] …(41)
ここで求めたT2*により、T2*画像が得られる。
Ade(TE3)=Kdeexp[−TE3/T2*] …(42)
Φde(TE3)=(TE3/TE1)Φde(TE1) …(43)
なお、ステップSe2およびステップSe3において演算ユニット11は、TEがTE1,TE2,TE3のいずれでもない任意の値であるディフェーズの振幅画像および位相画像を作成することもできる。これは、上記の式(42)および(43)におけるTE3に任意の欲しいTEを代入することにより計算することにより実現できる。
Aflow=Ade(TE3)/Are(TE3) …(44)
Dflow[mm2/sec]=−ln[Aflow]/bde …(45)
(d) ステップSe5において演算ユニット11は、血管とB0との方向角度θを算出する。
Δχ[ppm]=Φre(TE3)/{2πγB0(cos2θ−1/3)TE3} …(46)
ここで求めたΔχにより、Δχ画像が得られる。
リフェーズの任意TEの振幅画像は式(44)により求めたAflowを用いて、次の式(47)により計算する。
Are(TE)=Ade(TE)/Aflow …(47)
ステップSe7において演算ユニット11は、Φre(TE3)を用いて、次の式(48)によりリフェーズの任意TEの位相画像を算出する。これは、TEに依存しないバックグラウンド位相がない場合のみ算出可能である。
Φre(TE)=(TE/TE3)Φre(TE3) …(48)
なお、(c)〜(f)で求めるパラメータは、必要な場合にのみ算出すれば良い。
各種の解析パラメータ画像を算出した後、これらの解析パラメータ画像をそのまま表示して観察に供することができる。また、Aflow、Φflow、Δflowなどのパラメータ自体を表示しても良い。
任意TEのリフェーズ画像およびディフェーズ画像より位相合成画像を作成する機能について説明する。
次の式(49)によりリフェーズのMR画像の位相マップよりローパスフィルタをかけた画像の位相マップを減算する。
Φ=Φo−Φl=arg[So]−arg[S1] …(49)
この式(49)の計算後、位相飛び補正により−π<Φ<=πに収める処理を行う。すなわち、Φが−π以下であるならばΦ+πに、またΦがπよりも大きい場合にはΦ−πにΦを置き換える。
Φ=arg[S/S1] …(50)
(c) 位相マスク(phase masking)
図23に示す非対称型(asymmetric type)または図24に示す対称型(symmetric type)のどちらかのマスクMを作成し、振幅画像とマスクMとのn重の積Iを次の式(51)により求める。
I=A×Mn …(51)
なお、Aはディフェーズの位相から、Mはリフェーズの位相から作成したものを用いる。
上記のように得られた解析パラメータ画像をカラーで色分けしてフュージョン表示する。例えば、フロー成分のAflow、ΦflowおよびDflowは動脈および静脈に支配的に大きくなる。磁化率成分のT2*およびΔχは静脈や、静止組織なら出血などの部分で大きくなる。そこで図25に示す画像21のようなフロー成分の画像を赤、画像22のような磁化率成分の画像を青とするなどの色分けをしてカラー合成処理を行うことにより、例えば画像23としてフュージョン表示する。このときに表示されるのは、物理的にはフロー成分(赤)と磁化率成分(青)との合成画像である。血管のみを表す画像の場合には、動脈は赤により、静脈は紫により表される。磁化率成分部は、出血や静止組織の磁化率がゼロでない部分のアーチファクトも含まれるので、必要なら閾値処理などによる静脈抽出を行った後にフュージョン表示すれば良い。
Aflow=Ade/Are …(52)
Φflow=Φde−Φre …(53)
色の混じり具合は、フロー成分と磁化率成分との比で決まる。上記の色の割り当て例では、赤→紫→青の変化を示すが、赤に近いほどフロー成分が多く、青に近いほど磁化率成分が多いことを意味する。脳梗塞などの疾患時は必ずしも各々動脈および静脈に対応せず、酸素代謝状態を反映する指標となる。色の割り当てはこれに限らず、対比できる組み合わせならなんでも良い。TOF−MRAで動脈を描出する方法もあるが、原理的に遅い動脈は描出されない。本法ではディフェーズによる信号減衰または位相変化を用いるため、動脈も細いのや、上方から回り込んでくる側副血行路も描出することができ、脳梗塞の診断などに向けた臨床的に重要な情報を提供できる。またある程度の長いTEに設定すれば、磁化率効果により血栓や出血などの情報も同時に得られるので、治療計画を立てる上でも重要な情報を提供できる。
ディフェーズの振幅画像では、動脈および静脈のいずれも周囲組織に対して低い画像値になるのでminIPが妥当である。リフェーズの振幅画像では、静脈は低信号なのでminIPが妥当だが、動脈はTOF効果で高信号になるためにMIPを併用しても良い。表面を抽出するなどしてボリュームレンダリングやサーフェスレンダリングも用いることができる。また原画像信号を見たい場合は、単純に断面変換(MPR)も用途により使用することが有効である。フュージョン表示は、前記のように2Dのままでも良いが、3D画像を作成してから行っても良い。
次にMRI装置100の第3の実施形態における動作について説明する。
図28はステップSf1,Sf2で適用するフィルタ特性の第1の具体例を示す図である。
なお、第3の実施形態においては、スケーリング値αに相当する値を含むようにHBを定めることも可能である。この場合には、ステップSa3においては、単純な差分を求めることとする。すなわち、式(54)におけるαを1とする。また、第1の実施形態にて説明したスケーリング差分は、第3の実施形態においては行わないことも可能である。すなわち、スケーリング値αに相当する値をHBには含めずに、式(54)におけるαを1とする。
この第2の具体例においては、TOF法においても血管が背景に比べて低信号になる場合で、血管と背景とのコントラストはTOF法のようがBB法よりも小さい場合について考える。例えばTOF法のシーケンスにおいて、血管流の上流部に90度パルスを与えるサチュレーションを加えれば、このような状態となる。
Claims (4)
- それぞれ同一の被検体の同一の領域に関し、関心組織が背景よりも高信号である第1の画像データと前記関心組織が背景よりも低信号である第2の画像データとをそれぞれ取得する取得ユニットと、
前記第1の画像データと前記第2の画像データとに基づいて、前記関心組織の背景に対するコントラストが前記第1および第2の画像データのそれぞれよりも高い第3の画像データを生成する生成ユニットとを具備し、
前記生成ユニットは、前記第1および第2の画像データの少なくとも一方に示された信号値について重み付ける重み付け処理を行ったのちに、当該重み付け処理がなされたのちの前記第1および第2の画像データに基づいて前記第3の画像データを生成することを特徴とする磁気共鳴イメージング装置。 - 前記生成ユニットは、前記第1および第2の画像データの一方のみに示された信号値について予め定められた周波数特性の重み付け関数によって重み付けるか、または前記第1および第2の画像データの双方に示された信号値について互いに異なるように予め定められた周波数特性の重み付け関数によって重み付ける重み付け処理を行ったのちに、当該重み付け処理がなされたのちの前記第1および第2の画像データに基づいて前記第3の画像データを生成することを特徴とする磁気共鳴イメージング装置。
- 前記生成ユニットは、前記第1の画像データは中間周波成分を強調し、かつ前記第2の画像データは高周波成分を強調するような周波数特性のフィルタリングによって前記第1および第2の画像データを重み付けることを特徴とする請求項2に記載の磁気共鳴イメージング装置。
- 前記フィルタリングは、LSI(linear space invariant)フィルタおよびアダプティブフィルタのいずれかを使用して行うことを特徴とする請求項3に記載の磁気共鳴イメージング装置。
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