JP2009124821A - 回転電機における回転子及び電動圧縮機 - Google Patents

回転電機における回転子及び電動圧縮機 Download PDF

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Abstract

【課題】端板にリベットよりも軟質な材料を用いることなく、リベットのかしめ浮きを抑制した回転子を提供する。
【解決手段】回転電機を構成する回転子11は、ロータコア27と、ロータコア27内に埋設された複数の永久磁石28とからなる。ロータコア27は、複数枚の磁性体製のロータコア板29を積層することにより構成されている。ロータコア27の両端面には、一方及び他方の端板30,31が配置されている。一方の端板30のロータコア27とは反対側の面である外端面301上には複数枚のバランスウェイト32A,32Bが設けられている。バランスウェイト32A,32Bは、真鍮製である。複数枚のロータコア板29、端板30,31及び複数枚のバランスウェイト32A,32Bは、複数本のリベット34A,34Bのかしめによって結束されている。リベット34A,34Bは、鉄系の材料で作られており、バランスウェイト32A,32Bは、リベット34A,34Bよりも軟質である。
【選択図】図2

Description

本発明は、複数のロータコア板を積層したロータコアと、当該ロータコアの両端面に配置された非磁性体の端板とが複数のリベットのかしめによって結束されている回転電機における回転子に関する。
複数のロータコア板をリベットのかしめ(塑性変形)によって結束して構成した回転子は、例えば特許文献1に開示されている。特許文献1に開示のモータでは、リベットは、バランスウェイト及びロータコアを貫通している。一般的に、ロータコアの結束に用いられるリベットは、頭部とは反対側の端部に中空部を有しており、カールポンチを中空部に嵌入してカールポンチに荷重を掛けることによって中空部が拡径するようにかしめられる(塑性変形される)。
特開2000−69709号公報
リベットの中空部がリベットよりも硬質の部材の上でかしめられると、かしめられた中空部と硬質の部材との間に隙間ができ、前記硬質の部材から浮いてしまう(所謂かしめ浮き)という状況が発生することがある。かしめ浮きは、結束する部品間の結束強度不足をもたらす。
通常、荷重付与装置を用いてカールポンチに荷重を掛けるため、カールポンチに掛かる荷重(かしめ力)は、一定であり、中空部の塑性変形の程度は、常に略同一である。そのため、前記硬質の部材に空けられた孔内に通されている中空部が拡径するように塑性変形する場合、前記部材の硬質性によって十分に拡径してゆくことができず、塑性変形した中空部が前記硬質の部材の表面に接触しない。
又、リベットに接触するカールポンチの部位の摩耗によりこの部位の摩擦係数が増加すると、カールポンチの掛けられる荷重のうち、中空部を塑性変形させる力として振り分けられる分が少なくなる。そのために中空部の塑性変形量が少なくなり、塑性変形した中空部が前記硬質の部材の表面に接触しないということもある。
一般的にリベットは、鉄系の材料で構成されており、端板及びバランスウェイトを鉄よりも軟質の材料である真鍮で構成すれば、上記のようなかしめ浮きを防止することが可能となる。しかし、真鍮は、材料費が高く、結果としてモータのコストが高くなってしまうという問題がある。
本発明は、端板にリベットよりも軟質な材料を用いることなく、かしめ浮きを抑制できる回転子を提供することを目的とする。
請求項1乃至請求項5の発明は、複数のロータコア板を積層したロータコアと、当該ロータコアの両端面に配置された非磁性体の端板とが複数のリベットのかしめにより結束されている回転電機における回転子を対象とし、請求項1の発明は、前記端板を前記リベットよりも硬質の材料で構成し、一方の端板の前記ロータコアとは反対側の面上に前記リベットよりも軟質の材料で構成されるかしめ受け座が設けられており、前記複数のリベットは、前記かしめ受け座の座面上でかしめられていることを特徴とする。
かしめ受け座がリベットよりも軟質の材料で構成されているため、かしめ受け座におけるリベット通し孔がリベットの塑性変形に追随して塑性変形する。そのため、かしめ後には、リベットのかしめ部(塑性変形部)がかしめ受け座の座面に接触し、かしめ浮きを抑制できる。また、端板がリベットよりも硬質の材料で構成されているため、例えば、端板が真鍮のようなリベットよりも軟質の材料で構成される場合と比較して、回転子のコストを安価にすることができる。
請求項2の発明は、前記端板を前記リベットよりも硬質の材料で構成し、前記端板の前記ロータコアとは反対側の面上に前記リベットよりも軟質の材料で構成されるかしめ受け座が設けられており、前記複数のリベットのうち一部のリベットは、一方の端板上に設けられた前記かしめ受け座の座面上でかしめられており、前記複数のリベットのうち残りのリベットは、他方の端板上に設けられた前記かしめ受け座の座面上でかしめられていることを特徴とする。
かしめ受け座がリベットよりも軟質の材料で構成されているため、かしめ受け座におけるリベット通し孔がリベットの塑性変形に追随して塑性変形する。そのため、かしめ後には、リベットのかしめ部(塑性変形部)がかしめ受け座の座面に接触し、かしめ浮きを抑制できる。また、端板がリベットよりも硬質の材料で構成されているため、例えば、端板が真鍮のようなリベットよりも軟質の材料で構成される場合と比較して、回転子のコストを安価にすることができる。
好適な例では、前記かしめ受け座は、少なくとも一方の端板の前記ロータコアとは反対側の面上に設けられたバランスウェイトである。
回転子の回転バランスを向上するためのバランスウェイトは、かしめ受け座として好適である。
好適な例では、前記かしめ受け座の材料は、真鍮であり、前記リベットの材料は、鉄である。
真鍮は、非磁性体の軟質の材料として好適である。
好適な例では、環状の固定子の内周に複数配列されたティース間のスロットに巻き線が施されており、前記回転子は、前記固定子の内側で回転する。
請求項6の発明は、回転電機によって駆動される回転軸の回転に基づく圧縮動作体の圧縮動作によってガスを圧縮室内で圧縮して吐出し、前記ガスが前記回転電機のモータハウジング内を流通する電動圧縮機において、請求項5に記載の回転子を備えた回転電機が前記回転軸を回転させる回転電機として用いられていることを特徴とする。
本発明の回転子では、カールポンチに潤滑油を塗布しなくても、かしめ浮きを防止できるため、異物が潤滑油に付着して電動圧縮機内に持ち込まれることが抑制される。従って、電動圧縮機内に持ち込まれた異物により電動圧縮機の性能が低下することを抑制できる。
本発明の回転電機の回転子は、端板にリベットよりも軟質の材料を用いることなく、かしめ浮きを抑制することができるという優れた効果を奏する。
以下、本発明を電動圧縮機に具体化した第1の実施形態を図1〜図3に基づいて説明する。
図1に示す電動圧縮機10は、スクロール型電動圧縮機である。回転電機Mを構成する回転子11は、回転軸12に止着されており、回転電機Mを構成する固定子13は、モータハウジング14の内周面に嵌合して固定されている。電動圧縮機10を構成する圧縮動作体としての可動スクロール15は、回転電機Mを構成する回転軸12の回転によって旋回し、可動スクロール15と固定スクロール16との間の圧縮室17が容積減少する。
モータハウジング14の端壁33には導入ポート331が設けられている。導入ポート331は、図示しない外部冷媒回路に接続されており、外部冷媒回路から冷媒(ガス)が導入ポート331を介してモータハウジング14内へ導入される。モータハウジング14内へ導入された冷媒は、可動スクロール15の旋回(吸入動作)によって、モータハウジング14の内周面と固定子13の外周面との間の通路141〔図3に図示〕及び吸入ポート18を経由して圧縮室17へ吸入される。モータハウジング14内を流通して圧縮室17へ吸入された冷媒は、可動スクロール15の旋回(吐出動作)によって、圧縮され、吐出ポート19から吐出弁20を押し退けて吐出室21へ吐出される。吐出室21内の冷媒は、外部冷媒回路へ流出してモータハウジング14内へ還流する。
図3に示すように、回転電機Mを構成する固定子13は、環状のステータコア22と、ステータコア22の内周に複数配列されたティース23間のスロット24に施された巻き線25とからなる。本実施形態では、ティース23及びスロット24の個数は、12個である。スロット24は、環状の固定子13の周方向に等ピッチで配列されている。
図1に示すように、ステータコア22は、磁性体(鋼板)製の複数枚のコア板26を積層して構成されている。
図2(a)に示すように、回転電機Mを構成する回転子11は、ロータコア27と、ロータコア27内に埋設された複数の永久磁石28(本実施形態では4つ)とからなる。ロータコア27は、複数枚の磁性体(電磁鋼板)製のロータコア板29が積層されて構成されており、ロータコア27の両端には、一方及び他方の端板30,31が設けられている。端板30のロータコア27とは反対側の面である外端面301上には複数枚のバランスウェイト32A,32Bが設けられている。端板30,31は、ステンレス製であり、バランスウェイト32A,32Bは、真鍮製である。端板30の外端面301は、回転子11の端面となる。
ロータコア27及び端板30,31には通し孔271,272が貫設されている。通し孔271にはリベット34Aが通されており、通し孔272にはリベット34Bが通されている。複数枚のロータコア板29、端板30,31及び複数枚のバランスウェイト32A,32Bは、複数本のリベット34A(本実施形態では2本)及び複数本のリベット34B(本実施形態では2本)のかしめによって結束されている。リベット34A,34Bは、鉄系の材料で作られており、端板30,31は、リベット34A,34Bよりも硬質の材料であり、バランスウェイト32A,32Bは、リベット34A,34Bよりも軟質の材料である。
ロータコア27及び端板30,31の中心部には軸孔273が貫設されており、軸孔273には回転軸12が通されて固定されている。
図2(b),(c)に示すように、かしめ前のリベット34A,34Bは、一端部に頭部341を有し、他端部に中空部342を有する。頭部341は、端板31側に配置され、中空部342は、端板30側に配置される。かしめ前のリベット34Aを通し孔271に通した状態では、リベット34Aの頭部341が端板31に接し、且つリベット34Aの中空部342がバランスウェイト32Aの外端面321から突出する。かしめ前のリベット34Bを通し孔272に通した状態では、リベット34Bの頭部341が端板31に接し、且つリベット34Bの中空部342がバランスウェイト32Bの外端面322から突出する。
リベット34A,34Bの中空部342は、ダイス鋼製のカールポンチ35の先端部を中空部342の孔内に嵌入した状態で、荷重付与装置(図示略)を用いてカールポンチ35に荷重を掛けることによってかしめられる(塑性変形される)。図2(b),(c)に仮想線で示す中空部342の状態は、かしめ後の状態を表す。
バランスウェイト32Aは、リベット34Aに対するかしめ受け座となり、バランスウェイト32Aの外端面321は、かしめ受け座の座面となる。バランスウェイト32Bは、リベット34Bに対するかしめ受け座となり、バランスウェイト32Bの外端面322は、かしめ受け座の座面となる。即ち、リベット34A及びリベット34Bは、全て端板30のかしめ受け座である座面上でかしめられていることになる。
第1の実施形態では以下の効果が得られる。
(1)リベット34A,34Bの中空部342は、かしめ受け座としてのバランスウェイト32A,32Bの座面としての外端面321,322上でかしめられる。バランスウェイト32A,32Bがリベット34A,34Bよりも軟質の材料で作られているため、バランスウェイト32A,32Bにおける通し孔271,272がリベット34A,34Bの中空部342の塑性変形に追随して塑性変形する。そのため、かしめ後には、リベット34A,34Bのかしめ部である中空部342がバランスウェイト32A,32Bの外端面321,322に接触し、かしめ浮きを抑制できる。
(2)かしめ受け座としてのバランスウェイト32A,32Bは、端板30の外端面301に設けられている。そのため、かしめ浮きを考慮することなく、端板30の材料としてリベット34A,34Bよりも硬質の非磁性体であるステンレスの採用が可能である。一般にステンレスは、真鍮よりも材料費が安価であるため、回転子の製造コストを、端板に真鍮を用いた場合と比較して、安価にすることができる。
(3)本実施形態では、回転子11の回転バランスを向上するためのバランスウェイト32A,32Bをかしめ受け座として兼用している。バランスウェイト32A,32Bは、かしめ受け座として好適である。
(4)リベット34A,34Bの材料は、鉄であり、かしめ受け座としてのバランスウェイト32A,32Bの材料は、真鍮である。非磁性体であることが好ましいバランスウェイト32A,32Bの材料を真鍮とした構成は、非磁性体の軟質の材料として好適である。
(5)リベット34A,34Bの中空部342は、端板30側という回転子11の一端側でかしめられるため、荷重付与装置及びカールポンチ35を用いて複数のリベット34A,34Bに荷重を掛ける作業工程の短期化が可能である。
(6)リベット34A,34Bに接触するカールポンチ35の部位の摩耗を防止するため、この部位に潤滑油を塗布したとすると、カールポンチ35の部位に塗布された潤滑油がリベット34A,34Bにも付着する。潤滑油が付着したリベット34A,34Bによってロータコアを結束された回転子を用いて電動圧縮機10を組み立てるまでに異物がリベット34A,34Bに付着した潤滑油に付くと、異物が電動圧縮機10内に持ち込まれることになる。
かしめ受け座としてのバランスウェイト32A,32Bの外端面321,322上でリベット34A,34Bをかしめた回転子11では、カールポンチ35に潤滑油を塗布しなくても、かしめ浮きを抑制できるため、異物が電動圧縮機10内に持ち込まれる可能性が低くなる。
次に、図4の第2の実施形態を説明する。第1の実施形態と同じ構成部には同じ符合を用い、その詳しい説明を省略する。
この実施形態では、一方の端板30の外端面301上にバランスウェイト32Aが設けられており、他方の端板31のロータコア27とは反対側の面である外端面311上にもバランスウェイト32Cが設けられている。リベット34Bの中空部342がバランスウェイト32Cの外端面323上でかしめられている。バランスウェイト32Cは、リベット34Bに対するかしめ受け座となり、バランスウェイト32Cの外端面322は、かしめ受け座の座面となる。端板31の外端面311は、回転子11の端面となる。この実施形態では、外端面301,311上にバランスウェイト32A,32Cが設けられており、リベット34A,34Bがそれぞれバランスウェイト32A,32Cの外端面301,311上でかしめられている。即ち、リベット34A,34Bは、回転子11の異なる端面上に設けられたバランスウェイト32A,32C上でかしめられている。従って、リベット34A,34Bは、それぞれ逆方向でかしめられている。 第2の実施形態では、第1の実施形態における(1)〜(4),(6)項と同様の効果が得られる。
次に、図5の第3の実施形態を説明する。第1の実施形態と同じ構成部には同じ符合を用い、その詳しい説明を省略する。
第3の実施形態では、バランスウェイトは使用されておらず、複数のリング形状のかしめ受け座36が端板30の外端面301上に接合されており、リベット34Bの中空部342がかしめ受け座36の座面361上でかしめられている。かしめ受け座36は、真鍮製である。
第3の実施形態では、第1の実施形態における(1)〜(3),(6)項と同様の効果が得られる。
本発明では以下のような実施形態も可能である。
○かしめ受け座の材料として、例えば、アルミニウムのようなリベットよりも軟質材料である非磁性体を用いてもよい。
○中空部342のないリベットを用いてもよい。
○スクロール型圧縮機以外の電動圧縮機(例えばピストン式圧縮機)に本発明を適用してもよい。ピストンは、圧縮動作体である。
前記した実施形態から把握できる技術思想について以下に記載する。
〔1〕前記かしめ受け座は、非磁性体で作られている請求項1乃至請求項5のいずれか1項に記載の回転電機における回転子。
第1の実施形態を示す電動圧縮機全体の側断面図。 (a)は部分拡大側断面図。(b),(c)は、要部拡大側断面図。 図1のA−A線断面図。 第2の実施形態を示す部分拡大側断面図。 第3の実施形態を示す部分拡大側断面図。
符号の説明
11…回転子。12…回転軸。13…固定子。14…モータハウジング。15…圧縮動作体としての可動スクロール。17…圧縮室。23…ティース。24…スロット。25…巻き線。29…ロータコア板。30,31…端板。301…外端面。32A,32B,32C…かしめ受け座としてのバランスウェイト。321,322,323…回転子の端面となる座面としての外端面。34A,34B…リベット。36…かしめ受け座。361…座面。M…回転電機。

Claims (6)

  1. 複数のロータコア板を積層したロータコアと、当該ロータコアの両端面に配置された非磁性体の端板とが複数のリベットのかしめにより結束されている回転電機における回転子において、
    前記端板を前記リベットよりも硬質の材料で構成し、
    一方の端板の前記ロータコアとは反対側の面上に前記リベットよりも軟質の材料で構成されるかしめ受け座が設けられており、前記複数のリベットは、前記かしめ受け座の座面上でかしめられている回転電機における回転子。
  2. 複数のロータコア板を積層したロータコアと、当該ロータコアの両端面に配置された非磁性体の端板とが複数のリベットのかしめにより結束されている回転電機における回転子において、
    前記端板を前記リベットよりも硬質の材料で構成し、
    前記端板の前記ロータコアとは反対側の面上に前記リベットよりも軟質の材料で構成されるかしめ受け座が設けられており、
    前記複数のリベットのうち一部のリベットは、一方の端板上に設けられた前記かしめ受け座の座面上でかしめられており、
    前記複数のリベットのうち残りのリベットは、他方の端板上に設けられた前記かしめ受け座の座面上でかしめられている回転電機における回転子。
  3. 前記かしめ受け座は、少なくとも一方の端板の前記ロータコアとは反対側の面上に設けられたバランスウェイトである請求項1又は2に記載の回転子。
  4. 前記かしめ受け座の材料は、真鍮であり、前記リベットの材料は、鉄である請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載の回転電機における回転子。
  5. 環状の固定子の内周に複数配列されたティース間のスロットに巻き線が施されており、前記回転子は、前記固定子の内側で回転する請求項1乃至請求項4のいずれか1項に記載の回転電機における回転子。
  6. 回転電機によって駆動される回転軸の回転に基づく圧縮動作体の圧縮動作によってガスを圧縮室内で圧縮して吐出し、前記ガスが前記回転電機のモータハウジング内を流通する電動圧縮機において、
    請求項5に記載の回転子を備えた回転電機が前記回転軸を回転させる回転電機として用いられている電動圧縮機。
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