JP2009117097A - 輻射加熱装置の均熱性調整構造 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】ワーク20の方向に光を反射する反射鏡12を備えた複数のヒータ用ランプ11が並列に配置された輻射加熱装置10の均熱性を高める輻射加熱装置10の均熱性調整構造において、反射鏡12が回転軸Cを備え、反射鏡12がヒータ用ランプ11の周囲を、ヒータ用ランプ11を中心に回動し、任意の角度で固定可能な構成とする。
【選択図】図2
Description
このヒータ用ランプを用いた輻射加熱装置は、温度に偏りが出にくいことと、真空中でも使用が可能であるというメリットがあるため、例えば半導体製造工程などではよく使われる。
特許文献1には、エネルギー線加熱装置及びその制御方法の技術が開示されている。半導体製造工程において、半導体ウェハの全面を均一に加熱維持するために、回転テーブル上に固定された加熱手段である加熱ランプを備えている。そして、加熱ランプの光軸を回転テーブルに対してそれぞれ異なる角度に取り付け、回転テーブルを回転させることで、半導体ウェハの加熱を均等に行うことができるようにした技術である。
回転テーブル上に設けられた加熱ランプは、出力を調整することが可能であり、出力を調整することで温度ムラを抑制することができる。
この透明光学系は、被加熱体であるウェハにあわせて円形に並んだヒータ用ランプに対応するものを用いた実施例と、直線状に並んだヒータ用ランプに対応するものを用いた別の実施例が記載されている。
被加熱体の形状が複雑である場合や、均等に加熱したい場合などに有利となるためだ。昇温速度が速いことも、メリットとなる。
しかし、特許文献1や特許文献2に記載されるような円形にヒータ用ランプを用いる方式では、四角いワークに対応するにはロスが大きい。したがって、輻射加熱器であるヒータ用ランプを並列に何本も並べて、製品に対応した領域を加熱する方式を採用することが考えられる。
製品につけた接着剤や封止用ゲル等を硬化する際には、均等に加熱されることが望まれるが、ヒータ用ランプを並列に並べると、ヒータ用ランプの光が重なる部分の輻射エネルギーが増幅されてしまう問題がある。
つまり、隣り合うヒータ用ランプの光が重なる部分では、ワークは2つのヒータ用ランプから照射される光によって温められることになる。したがって輻射エネルギーは合成され、ワークは必要以上に温められる可能性がある。
輻射エネルギーが合成されると、合成輻射エネルギーはヒータ用ランプ単体で照射する場合より高くなる。このため、平面的にワークを温める場合には、ヒータ用ランプの存在する場所と、ヒータ用ランプの存在しない場所、及び光が重なる場所で温度差が生じることになる。また、ヒータ用ランプからの距離によっても温度差が生じる。
特許文献1に示されるようにヒータ用ランプを異なる角度に取り付け回転テーブルで回転させることは、前述した通り矩形のワークに用いるにはエネルギーロスが大きくなってしまうと言う問題がある。
また、特許文献2に示されるような透明光学系を用いて、均熱化することも考えられるが、透明光学系のレンズを製作するにあたり、細かい修正部分はトライ&エラーが必要となり、コスト的に見合わないと考えられる。
(1)加熱対象物の方向に光を反射する反射鏡を備えた複数の輻射加熱器が並列に配置された輻射加熱装置の均熱性を高める輻射加熱装置の均熱性調整構造において、
前記反射鏡が回転軸を備え、前記輻射加熱器を中心に回動し、任意の角度で固定可能であることを特徴とする。
前記輻射加熱器が、加熱対象物に対して近接又は離間する方向に、前記反射鏡と共に移動可能な構成であることを特徴とする。
複数の前記輻射加熱器のうち、第1の輻射加熱器の隣に配置される第2の輻射加熱器を、前記第1の輻射加熱器から遠ざける方向或いは近接する方向に、前記反射鏡と共に移動可能な構成であることを特徴とする。
まず、(1)に記載される発明は、加熱対象物の方向に光を反射する反射鏡を備えた複数の輻射加熱器が並列に配置された輻射加熱装置の均熱性を高める輻射加熱装置の均熱性調整構造において、反射鏡が回転軸を備え、輻射加熱器を中心に回動し、任意の角度で固定可能であるので、輻射加熱器から出る光を重なり合うことで輻射エネルギーが増幅しないように調整することが可能である。
例えば、輻射加熱器として3本のヒータ用ランプが並列に並べられていた場合、中央はそのままで、左右のヒータ用ランプの反射鏡を外側に向けることで、中央のヒータ用ランプの光が左右のヒータ用ランプの光と重なり合い、加熱対象物に届く輻射エネルギーが増幅しにくいように調整することが可能である。
また、輻射加熱器の出力によって輻射エネルギーの状態が異なるが、反射鏡を調整し任意の角度で固定が可能であるので、加熱対象物の変更などにより輻射加熱器の出力が変更するような場合でも対応することができる。
また、(3)に記載される発明は、(1)又は(2)に記載の輻射加熱装置の均熱性調整構造において、複数の輻射加熱器のうち、第1の輻射加熱器の隣に配置される第2の輻射加熱器を、第1の輻射加熱器から遠ざける方向或いは近接する方向に、反射鏡と共に移動可能な構成である。
このように、個々の輻射加熱器を反射鏡と共に加熱対象物に対して近接離間する方向、及び平行移動する方向に移動することが可能な構成となっているので、加熱対象物に届く輻射エネルギーが増幅しないように細かな調整が可能である。
図1に、輻射加熱装置10の構成について模式的に表した平面図を示す。また、図2に、輻射加熱装置10の構成を模式的に表した側面断面図を示す。
輻射加熱装置10は、ヒータ用ランプ11と反射鏡12を備えている。
ヒータ用ランプ11は、輻射加熱器であり、ハロゲンヒーターやカーボンヒーターなどを用いて赤外線を被加熱体であるワーク20に照射することで、ワーク20を加熱することが可能である。このヒータ用ランプ11の出力は任意に変更可能である。
なお、輻射加熱装置10に備えられるヒータ用ランプ11は、第1ヒータ用ランプ11a、第2ヒータ用ランプ11b、第3ヒータ用ランプ11c、第4ヒータ用ランプ11d、第5ヒータ用ランプ11eの5つである。便宜上、第1ヒータ用ランプ11a乃至第5ヒータ用ランプ11eと呼ぶが、特に断り無くヒータ用ランプ11と記述する場合は、第1ヒータ用ランプ11a乃至第5ヒータ用ランプ11eのいずれか、或いは全体を指しているものとする。
図3にヒータ用ランプ11及び反射鏡12を拡大した模式図を示す。
反射鏡12はヒータ用ランプ11のほぼ中央に回転軸Cを持ち、θ軸方向に回転可能な機構を備えている。また任意の位置に固定可能な機構を備えている。よって、反射鏡12はヒータ用ランプ11を中心に回転可能であり、任意の位置に固定ができる。
また、ヒータ用ランプ11及び反射鏡12は、個々にワーク20に近接、離間する方向、及びワーク20に対して平行に移動する方向に調整可能である。
また、ヒータ用ランプ11がワーク20に対して平行に移動する方向であるY軸方向に、ヒータ用ランプ11及び反射鏡12が共に移動させ、任意の位置に調整が可能である。
移動機構に関しては特に限定するものではないが、例えば台形ネジを組み合わせてZ軸及びY軸方向に移動可能としても良いし、サーボモータを利用したスライド機構を用いても良い。
ワーク20は、搬送装置であるローラコンベア14によって搬送され、ヒータ用ランプ11が並ぶ所定の位置に停止した後、加熱される。
治具13は、窓15を備えており、ヒータ用ランプ11とワーク20を隔離している。ヒータ用ランプ11の備えられる部屋には、窒素などが封入されており、外部からゴミが入らないように密閉されている。
図4に、輻射加熱装置10がワーク20に与える輻射エネルギーの、図1のAA断面での分布を示す。また、図5に、輻射加熱装置10がワーク20に与える輻射エネルギーの、図1の矢視Bの分布を示す。
横軸は位置を示し、縦軸は輻射エネルギーの量を表している。ワーク20は輻射エネルギーによって加熱されるため、ヒータ用ランプ11によってワーク20に赤外線を照射した直後は、そのまま温度のムラとして現れると考えて差し支えない。実際に、照射エネルギー量の測定は、ワーク20に温度測定素子を取り付け、ワーク20の温度を直接測定することで計測している。
なお、図4及び図5に示す一点鎖線は、ワーク20の幅を示している。したがって一点鎖線で挟まれる領域がワーク20の幅であり、ワーク20に合成輻射エネルギーEが照射される領域ということになる。
この際に、単純に第1ヒータ用ランプ11a乃至第5ヒータ用ランプ11eを等間隔に並べただけだと、図1の矢視Bの方向は、ほぼ均等に輻射エネルギーがワーク20に与えられる。第1ヒータ用ランプ11aからは第1輻射曲線e1が、第2ヒータ用ランプ11bからは第2輻射曲線e2が、第3ヒータ用ランプ11cからは第3輻射曲酸e3が、第4ヒータ用ランプ11dからは第4輻射曲線e4が、第5ヒータ用ランプ11eからは第5輻射曲線e5が示すエネルギーをワーク20に与えることになる。
しかし、実際には第1輻射曲線e1乃至第5輻射曲線e5が合成された合成輻射エネルギーEがワーク20に与えられる輻射エネルギーの総和となる。
つまり、図4の合成輻射エネルギーEに示すように、第3ヒータ用ランプ11c辺りでピークができてしまう。
したがって、合成輻射エネルギーEは、中央に位置する第3ヒータ用ランプ11cの部分が最も高くなり、第2ヒータ用ランプ11b及び第4ヒータ用ランプ11dの部分がやや低く、第1ヒータ用ランプ11a及び第5ヒータ用ランプ11eの部分が低くなる。
すなわち、合成輻射エネルギーEの差を30℃以内に抑えることが望ましい。
ヒータ用ランプ11の配列を図2に示すような状態である場合、矢視Bの方向は図5に示すようにほぼ均一となるが、AA断面方向は図4に示すようにピークが発生する。
出願人の実験では、ヒータ用ランプ11の出力を同じとした場合、この温度差は60℃程度にもなる。したがって、上限を合わせると下限を割ってしまうため、接着剤や封止用ゲルが固まらない部分ができる虞がある。また、下限を合わせると上限を超えてしまうため、樹脂部品が熱によって変形する虞がある。
図6に、輻射加熱装置10の調整例を示した側面図を示す。図2に対応する。なお、図面は部分的に省略している。また、図7に、輻射加熱装置10の合成輻射エネルギーEを示す。図4に対応している。
ヒータ用ランプ11の位置について、図6に示すようにヒータ用ランプ11の位置を調整する。すなわち、第1ヒータ用ランプ11aはθ軸方向左側に傾け、第2ヒータ用ランプ11bはθ軸方向左側に傾けてZ軸方向下側に移動する。第3ヒータ用ランプ11cはZ軸方向下側に移動させる。第4ヒータ用ランプ11dは、θ軸方向右側に傾けてZ軸方向下側に移動する。第5ヒータ用ランプ11eはθ軸方向右側に傾ける。
出願人は、図4に示す状態で合成輻射エネルギーEの差が60℃あったのに対し、図7に示す状態では合成輻射エネルギーEの差が15℃程度にまで抑えることが可能であることを確認している。これにより、輻射加熱装置10によって上限及び下限を満足したワーク20の加熱が可能になる。
更にY軸方向への調整や、ヒータ用ランプ11の出力の調整を組み合わせることで最適化を図り、温度差を小さくすることが期待できる。
まず第1に、温度差を小さくすることが可能である点が挙げられる。
ワーク20の方向に光を反射する反射鏡12を備えた複数のヒータ用ランプ11が並列に配置された輻射加熱装置10の均熱性を高める輻射加熱装置10の均熱性調整構造において、反射鏡12が回転軸Cを備え、反射鏡12がヒータ用ランプ11を中心に回動し、任意の角度で固定可能であるので、ヒータ用ランプ11から出る光を重なり合うことで輻射エネルギーが増幅しにくいように調整することが可能である。
例えば、輻射加熱器として3本のヒータ用ランプ11が並列に並べられていた場合、中央はそのままで、左右のヒータ用ランプ11の反射鏡12を外側に向けることで、中央のヒータ用ランプ11の光が左右のヒータ用ランプ11の光と重なり合い、ワーク20に届く輻射エネルギーが増幅しないように調整することが可能である。
反射鏡12はヒータ用ランプ11を中心に回転し、任意の位置で固定することが可能であるので、容易に調整が可能であり、特許文献2のように専用のレンズを必要としないため、コスト的に安価に調整可能となる。
本実施形態で、ヒータ用ランプ11及び反射鏡12の位置を、θ軸方向、Y軸方向、及びZ軸方向で最適化することで、温度差15℃以内に調整することが可能となり、ワーク20に与える温度ムラを抑えることが可能となる。
ヒータ用ランプ11及び反射鏡12に調整機構を設けることは、特許文献2に示されるように専用の光学系レンズを形成するよりも安価に済ますことが可能である。
ワーク20を加熱する温度が変化すれば、ヒータ用ランプ11の位置及び角度は変える必要があり、ワーク20の大きさによっても合成輻射エネルギーEを増やす必要に迫られる場合がある。ワーク20の体積が大きくなれば、合成輻射エネルギーEを増やさないと所定時間内に必要な温度を実現できないためである。
したがって、ワーク20が切り替わる場合には、特許文献2のように専用の光学系レンズを用いる場合と比べて更にコストパフォーマンスが良い。Y軸、Z軸及びθ軸調整を自動化すれば、調整工数も削減できる。
例えば、ヒータ用ランプ11の本数や反射鏡12の形状、及び材質などは、適宜変更して構わない。
また、本実施形態ではワーク20の要求温度を120以上で150以下としているが、この温度は適宜変更して構わない。
また、加熱対象として半導体素子や樹脂部品が接着されるワーク20としているが、接着剤や封止用ゲル以外にも、ハンダ付けなどに用いることを妨げない。
11 ヒータ用ランプ
11a 第1ヒータ用ランプ
11b 第2ヒータ用ランプ
11c 第3ヒータ用ランプ
11d 第4ヒータ用ランプ
11e 第5ヒータ用ランプ
12 反射鏡
13 治具
14 ローラコンベア
15 窓
20 ワーク
E 合成輻射エネルギー
Claims (3)
- 加熱対象物の方向に光を反射する反射鏡を備えた複数の輻射加熱器が並列に配置された輻射加熱装置の均熱性を高める輻射加熱装置の均熱性調整構造において、
前記反射鏡が回転軸を備え、前記輻射加熱器を中心に回動し、任意の角度で固定可能であることを特徴とする輻射加熱装置の均熱性調整構造。 - 請求項1に記載の輻射加熱装置の均熱性調整構造において、
前記輻射加熱器が、前記加熱対象物に対して近接又は離間する方向に、前記反射鏡と共に移動可能な構成であることを特徴とする輻射加熱装置の均熱性調整構造。 - 請求項1又は請求項2に記載の輻射加熱装置の均熱性調整構造において、
複数の前記輻射加熱器のうち、第1の輻射加熱器の隣に配置される第2の輻射加熱器を、前記第1の輻射加熱器から遠ざける方向或いは近接する方向に、前記反射鏡と共に移動可能な構成であることを特徴とする輻射加熱装置の均熱性調整構造。
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