JP2009115163A - ガスケット - Google Patents

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Abstract

【課題】中芯材である同心円の波形を付けた金属薄板の両面に無機シートを積層接着したガスケットを実現するとともに、低〜高締付荷重において長期的に安定したシール性能を確保する。
【解決手段】従来空隙であった金属薄板11の谷部11aに無機粉体のシール材14を充填し該部を最初から埋めておくことによって、従来低締付荷重では圧縮できなかった金属薄板11の谷部11aにおける無機シート12及び13を圧縮し、低締付荷重において全面で締付面圧を確保するとともに、無機シート12及び13の変形量を抑え、流動性が低い無機シート12及び13が高締付荷重を負荷しても破壊しないようにし、より薄い無機シート12及び13の使用を可能とする。
【選択図】図2

Description

本発明は、配管継手部(JIS又はJPI規格フランジ等)や機器の接合部(バルブのボンネット等)等の厳しい使用環境において長期シール安定性を求められる用途に使用されるガスケットに関する。
従来、同心円の波形を付けた金属薄板の両面にシール材として膨張黒鉛シートを積層接着した構造が知られている。この従来構造は、それまで金属平板又は両面を不連続の凹凸やのこ歯形の凹凸に加工した金属板であった中芯材に、同心円の波形を付けた金属薄板を用いることによって、それまで僅かであった圧縮率を飛躍的に高め、歪やうねりがあるガラスライニングフランジにでも使用可能な高い変形追随性(フランジ面精度に対する追従性)を確保している。また、シール材にそれまでと同様膨張黒鉛シートが用いられ、フランジと接触する両面が膨張黒鉛シートで形成され、その膨張黒鉛シートは流動性が高く、フランジへの優れたなじみ性も確保している。
このような従来構造がシール作用を発揮するメカニズムを、図6(A)〜(C)に示す当該従来構造の圧縮変形過程を参照して説明する。図において、1は中芯材である同心円の波形を付けた金属薄板、2及び3は金属薄板1の両面に積層接着された膨張黒鉛シート、4及び5はフランジ、Tはガスケット厚みである。
図6(A)の締付前の自由状態では、金属薄板1は元の波ピッチP,波高さT1/2(山高さT1)を有し、膨張黒鉛シート2及び3も全体に均一な元の厚みT2を有し、金属薄板1の谷部1aと膨張黒鉛シート2及び3間に空隙4が形成されている。
図6(B)の低締付荷重を負荷した締付状態では、相対するフランジ5及び6間で厚み方向に圧縮され、金属薄板1は波高さT1/2を縮小しながら波ピッチPを拡大し、厚み方向に圧縮変形しながら面方向(内外径方向)にも伸び変形する。膨張黒鉛シート2及び3は金属薄板1の山部1bで厚み方向に圧縮されるが、金属薄板1の谷部1aでは圧縮されない。このため、従来構造は、金属薄板1の山部1bにおいて局部的に高い締付面圧を確保してシール性能を発揮する。この際、膨張黒鉛シート2及び3はその高い流動性によって金属薄板1の山部1bの位置変化に追随変形して破壊することなく、厚みT2を金属薄板1の山部1bで減じながら金属薄板1の谷部1aで増し、空隙4の一部を埋める。
図6(C)の高締付荷重を負荷した締付状態では、相対するフランジ5及び6間で厚み方向にさらに圧縮され、金属薄板1は波高さT1/2をさらに縮小しながら波ピッチPをさらに拡大し、平板に近い状態にまで厚み方向にさらに圧縮変形しながら面方向にもさらに伸び変形する。この際、膨張黒鉛シート2及び3はその高い流動性によって金属薄板1の山部1bの位置変化に追随変形して破壊することなく、厚みT2を金属薄板1の山部1bでさらに減じながら金属薄板1の谷部1aでさらに増し、遂に空隙4の全部を埋める。このため、従来構造は、膨張黒鉛シート2及び3が金属薄板1の谷部1aでも厚み方向に圧縮され、金属薄板1の山部1b及び谷部1aの全面で締付面圧を確保して安定したシール性能を発揮する。
なお、同心円の波形を付けた金属薄板の両面に膨張黒鉛シートを積層接着した従来構造は、例えば特許文献1に記載のガスケットで採用されて公知である。
実開平5−92574号公報
上記従来構造は、シール材として膨張黒鉛シートを用いるため、400℃以下の非酸化性流体には使用できるものの、酸化性流体には使用困難である。そこで、シール材としてマイカシート、バーミキュライト系シート、又は金属シート等の無機シートを用いたところ、下記のような課題があることが判明した。なお、上記のような無機シートは400℃以上の酸化性流体に使用できるシール材である。
すなわち、同心円の波形を付けた金属薄板を中芯材として用いるため、低締付荷重において全面で締付面圧を確保することは困難な上に、無機シートは硬く圧縮性が低いため、低締付荷重において実用に供するシール性能を得難く、高締付荷重を負荷すると、無機シートは膨張黒鉛シートに比べて流動性が格段に低いため破壊が起こり漏洩する。充分に厚い無機シートを用いると該無機シートの破壊は避けることはできるが、このような充分に厚い無機シートは高価である上、無機シートは硬く圧縮性が低いため、高締付荷重においても安定したシール性能を得難い。
本発明は、上記課題に鑑みてなされたもので、その目的は、中芯材である同心円の波形を付けた金属薄板の両面に無機シートを積層接着又は該金属薄板の両面及び内周を金属成形体で被覆したガスケットを実現するとともに、上記のような課題を解決し、低〜高締付荷重において長期的に安定したシール性能を確保することにある。
上記目的を達成するための請求項1に記載のガスケットは、同心円の波形を付けた金属薄板の谷部に無機粉体のシール材を充填し、該金属薄板の両面にシール性を有する無機シートを積層接着したことを特徴とするものである。
請求項2に記載のガスケットは、同心円の波形を付けた金属薄板の谷部に無機粉体のシール材を充填し、該金属薄板の両面及び内周をシール性を有する金属成形体で被覆したことを特徴とするものである。
請求項3に記載のガスケットは、請求項1又は請求項2に記載のガスケットにおいて、金属薄板の谷部における締付面圧が金属薄板の山部における締付面圧よりも低くなる密度で、無機粉体のシール材を金属薄板の谷部に充填したことを特徴とするものである。
請求項1〜3に記載のガスケットでは、従来空隙であった金属薄板の谷部に無機粉体のシール材を充填し該部を最初から埋めておくことによって、従来低締付荷重では圧縮できなかった金属薄板の谷部における無機シート(請求項1)や金属成形体(請求項2)を圧縮し、低締付荷重において全面で締付面圧を確保することができるため、低締付荷重から実用上問題のない安定したシール性能が得られる。また、無機シートや金属成形体の変形量を抑えることができるため、流動性が低い無機シートや金属成形体が高締付荷重を負荷しても破壊しないため、より薄い無機シートや金属成形体の使用が可能となる。
また、金属薄板の両面にシール材が2層に配置されるので、外側のシール材である無機シートや金属成形体が破壊したとしても、内側のシール材によってシールが可能であり、シールの信頼性が高まる。内側のシール材は外側のシール材と同じ材料又は異種材料の組み合わせが可能である。
さらに、金属薄板の谷部に充填するシール材は粉体で、高い圧縮性と高い流動性を兼備しているので、金属薄板の変形を妨げずガスケットの変形追随性を損なわない。金属薄板の谷部に空隙が生じ難く該部において締付面圧を安定して確保できる。粉体のシール材は安価である上、高い歩留りで無駄なく使用でき、経済的である。
請求項3に記載のガスケットのように、金属薄板の谷部における締付面圧が金属薄板の山部における締付面圧よりも低くなる密度で、粉体のシール材を金属薄板の谷部に充填することで、締付面圧分布が均等にならず締付面圧が低下しないため、シールに必要な最小締付力の増加がない。
請求項1〜3に記載のガスケットによれば、中芯材である同心円の波形を付けた金属薄板の両面に無機シートを積層接着又は該金属薄板の両面及び内周を金属成形体で被覆したガスケットを実現できるとともに、低〜高締付荷重において長期的に安定したシール性能を確保することができる。
請求項3に記載のガスケットによれば、使用に当たって、求められる機器・配管の接合部の強度が大きくならず、設計の見直し、設備・装置の改造等の必要性がない。
以下、本発明に係るガスケットの実施形態を図面に基づいて説明する。図1は本発明の一実施形態に係るガスケットの平面図、図2は本発明の一実施形態に係るガスケットの構造を示す断面図である。
図1、図2に示すガスケット10は、中芯材である同心円の波形を付けた円環状の金属薄板(以下、「波形金属薄板」という。)11の表裏両面に、シール性を有する円環状の無機シート12及び13を積層接着したガスケットであって、従来空隙4(図6参照)であった部分(波形金属薄板11の谷部11aと無機シート12及び13間)には、従来低締付荷重では圧縮できなかった波形金属薄板11の谷部11aにおける無機シート12及び13を圧縮し、低締付荷重において全面で締付面圧を確保し、低締付荷重から安定したシール性能を得、また、無機シート12及び13の変形量を抑え、流動性が低い無機シート12及び13が破壊しないようにし、より薄い無機シート12及び13の使用を可能とするために、無機粉体のシール材(以下、「充填材」という。)14が充填され、該充填材14によって従来空隙4であった部分を最初から埋める。したがって、当該ガスケット10では、波形金属薄板11の表裏両面にシール材である充填材14と無機シート12及び13とが内外2層に配置された構造となっている。
ここで、波形金属薄板11の内周端縁と外周端縁には、波形金属薄板11の片面側(図2の下側)に突出した各山部11bの頂点を含む一平面上に位置する円環状の平坦部11c及び11dが形成されている。また、充填材14が谷部11aに充填された後の波形金属薄板11の表裏両面の外形は、表面(図2の上側)の外形が、同一平面上に位置する平坦部11c及び11dの表面の間が低背の台形に盛り上がった立体形状となり、裏面(図2の下側)の外形が、同一平面上に位置する平坦部11c及び11dの裏面の間が平坦面で繋がれた平面形状となっている。そして、波形金属薄板11の表面側の無機シート12は、波形金属薄板11の内周側の平坦部11cの端部から外周側の平坦部11dの端部にわたって、波形金属薄板11の表面の立体形状の外形に沿って積層接着され、波形金属薄板11の裏面側の無機シート13は、波形金属薄板11の内周側の平坦部11cの端部から外周側の平坦部11dの端部にわたって、波形金属薄板11の裏面の平面形状の外形に沿って積層接着されている。無機シート12及び13の内周端縁は、波形金属薄板11の内周側の平坦部11cの端部から内径方向に突出し、該平坦部11cの端部より内周側で、該平坦部11cの厚み内で貼合わされて固着されている。無機シート12及び13の外周端縁は、波形金属薄板11の外周側の平坦部11dの端部から外径方向に突出し、該平坦部11dの端部より外周側で、該平坦部11dの厚み内で貼合わされて固着されている。
ガスケット10の製造は、プレス成型品である波形金属薄板11を略水平姿勢に保持し、波形金属薄板11の上面側にある各谷部11aに充填材14を充填した後、波形金属薄板11の上面(表面)に一方の無機シート12を図示しない接着剤を介して積層接着する。次いで、波形金属薄板11を裏返し、波形金属薄板11の上面側にある各谷部11aに充填材14を充填した後、波形金属薄板11の上面(裏面)に他方の無機シート13を図示しない接着剤を介して積層接着するともに、無機シート12及び13の内周端縁同士と外周端縁同士を貼合わせ固着することにより完了する。
この際、波形金属薄板11の谷部11aにおける締付面圧が波形金属薄板11の山部11bにおける締付面圧よりも低くなるように、無機シート12及び13の密度より低い密度で、充填材14を波形金属薄板11の谷部11に充填することが重要である。このような密度で充填材14を充填することで、当該ガスケット10では、波形金属薄板11の表裏両面に密度の異なるシール材である充填材14(低密度)と無機シート12及び13(高密度)とが内外2層に配置された構造となる。
図3は本発明の他の実施形態に係るガスケットの構造を示す断面図である。なお、本実施形態に係るガスケットの平面は前記ガスケット10の図1に示した平面と同一である。また、本実施形態に係るガスケットの構造は前記ガスケット10の図2に示した構造と無機シート以外同一のため、同一構造には同一符号を付して詳しい説明を省略する。
図3に示すガスケット20は、波形金属薄板11の表裏両面と内周を、円環状の金属平板を切削加工することにより製作された一体構造の金属成形体21で連続的に被覆したものである。この金属成形体21は、厚み方向で相対する円環状のシート部21a及び21bと、シート部21a及び21bの内周側端縁の間に連続一体に形成される短円筒状の繋ぎ部21cとを有し、これらシート部21a及び21bと繋ぎ部21cの内側に、外周に開口部21dを有する中芯収納空間21eが形成されている。そして、波形金属薄板11が中芯収納空間21eに装着され、波形金属薄板11の内周側の平坦部11cの直ぐ内側に立上がる繋ぎ部21cの上下端部から波形金属薄板11の表裏両面側にシート部21a及び21bが延設されている。
ガスケット20の製造は、金属成形体21を水平姿勢に保持し、上面側にある一方のシート部21aを繋ぎ部21cと同一円筒面上に捲上げ、波形金属薄板11を上方から円筒状のシート部21aを通して繋ぎ部21cの外側に嵌込んだ後、波形金属薄板11の上面側にある各谷部11aに充填材14を充填する。次いで、円筒状のシート部21aを元に戻して波形金属薄板11の上面(表面)に図示しない接着剤を介して積層接着する。次いで、波形金属薄板11を裏返し、上面側にある他方のシート部21bを繋ぎ部21cと同一円筒面上に捲上げた後、波形金属薄板11の上面側にある各谷部11aに充填材14を充填する。次いで、円筒状のシート部21bを元に戻して波形金属薄板11の上面(裏面)に図示しない接着剤を介して積層接着することにより完了する。この際の充填材14の充填密度につても前記ガスケット10と同様に、金属成形体21の密度より低い密度で、充填材14を波形金属薄板11の谷部11に充填することが重要である。
なお、当該ガスケット20の場合、内周の内側角部(波形金属薄板11の平坦部11cと一方のシート部21aの内周端縁部間)に空隙が形成されるため、その空隙にも充填材14が充填されて空隙が埋められている。
上記のように構成された各ガスケット10、20がシール作用を発揮するメカニズムは同一のため、図4(A)〜(C)に示す当該ガスケット10、20の圧縮変形過程を参照して説明する。
図4において、50及び60は機器・配管のフランジ、tはガスケット厚みである。
図4(A)の締付前の自由状態では、波形金属薄板11は元の波ピッチp,波高さt1/2(山高さt1)を有し、無機シート12及び13や金属成形体21のシート部21a及び21bも全体に均一な元の厚みt2を有し、従来空隙4であった部分(波形金属薄板11の谷部11aと無機シート12及び13や金属成形体21の間)には、充填材14が充填されている。
図4(B)の低締付荷重を負荷した締付状態では、相対するフランジ50及び60間でガスケット10、20が厚み方向に圧縮され、波形金属薄板11は波高さt1/2を縮小しながら波ピッチpを拡大し、厚み方向に圧縮変形しながら面方向(内外径方向)にも伸び変形する。無機シート12及び13や金属成形体21のシート部21a及び21bは、波形金属薄板11の山部11bで厚み方向に圧縮されるとともに、波形金属薄板11の谷部11aには充填材14が充填されているので、該波形金属薄板11の谷部11aでも圧縮され、波形金属薄板11の山部11b及び谷部11aの全面で締付面圧を確保して安定したシール性能を発揮する。
図4(C)の高締付荷重を負荷した締付状態では、相対するフランジ50及び60間でガスケット10、20が厚み方向にさらに圧縮され、波形金属薄板11は波高さt1/2をさらに縮小しながら波ピッチpをさらに拡大し、平板に近い状態にまで厚み方向にさらに圧縮変形しながら面方向にもさらに伸び変形する。無機シート12及び13や金属成形体21のシート部21a及び21bは、波形金属薄板11の山部11bで厚み方向にさらに圧縮されるとともに、波形金属薄板11の谷部11aには充填材14が充填されているので、該波形金属薄板11の谷部11aでもさらに圧縮され、波形金属薄板11の山部11b及び谷部11aの全面でさらに高い締付面圧を確保して、低締付荷重で得た安定したシール性能を引き続き保持する。
このように、各ガスケット10、20では、従来空隙4であった波形金属薄板11の谷部11aに充填材14を充填し該部を最初から埋めているので、従来低締付荷重では圧縮できなかった波形金属薄板11の谷部11aにおける無機シート12及び13や金属成形体21のシート部21a及び21bを圧縮し、低締付荷重において全面で締付面圧を確保することができるため、低締付荷重から安定したシール性能が得られる。したがって、低〜高締付荷重において長期的に安定したシール性能を確保することができる。
また、各ガスケット10、20では、従来空隙4であった波形金属薄板11の谷部11aに充填材14を充填し該部を最初から埋めているので、無機シート12及び13や金属成形体21が自身の流動性や厚みt1,t2によって波形金属薄板11の谷部11aを埋めようとして変形するのを抑えるため、無機シート12及び13や金属成形体21のシート部21a及び21bの変形量は非常に小さくなる。このため、流動性が低い無機シート12及び13や金属成形体21が高締付荷重を負荷しても破壊しないため、より薄い無機シート12及び13や金属成形体21の使用が可能となる。
また、各ガスケット10、20では、波形金属薄板11の表裏両面にシール材である充填材14と無機シート12及び13や金属成形体21のシート部21a及び21bとが内外2層に配置された構造となっているので、外側のシール材である無機シート12及び13や金属成形体21が破壊したとしても、内側のシール材である充填材14によってシールが可能であり、シールの信頼性が高い。内側のシール材である充填材14と外側のシール材である無機シート12及び13や金属成形体21の材料には同材料又は異種材料の組み合わせが可能である。
また、各ガスケット10、20では、波形金属薄板11の谷部11aに充填する充填材14は粉体で、高い圧縮性と高い流動性を兼備しているので、波形金属薄板11の谷部11aの形状変化に追従性良く波形金属薄板11の谷部11a内で圧縮され、流動するので、波形金属薄板11の変形を妨げずガスケット10、20の変形追随性を損なわない。波形金属薄板11の谷部11aに空隙が生じ難く該部において締付面圧を安定して確保できる。粉体の充填材14は安価である上、高い歩留りで無駄なく使用でき、経済的である。
さらに、各ガスケット10、20では、無機シート12及び13や金属成形体21の密度より低い密度で、充填材14を波形金属薄板11の谷部11に充填してあるので、何れの締付荷重においても、波形金属薄板11の谷部11aにおける締付面圧が波形金属薄板11の山部11bにおける締付面圧よりも低くなり、締付面圧分布が均等にならず締付面圧が低下しないため、シールに必要な最小締付力の増加がない。したがって、使用に当たって、求められる機器・配管の接合部の強度が大きくならず、設計の見直し、設備・装置の改造等の必要性がない。
上記のように各ガスケット10、20は、流動性が低い無機シート12及び13や金属成形体21との適合性を確保し、その無機シート12及び13や金属成形体21の使用を実現しているため、無機シートとしてマイカシート、バーミキュライト系シート、又は金属シート等を用い、400℃以上の酸化性流体に使用できる。またこの用途では、充填材14としてマイカ、タルク(無機鉱物)等の粉体が使用可能である。
また、波形金属薄板11の材料としては内部流体の温度及び内部流体との耐食性等を考慮の上、銅、鉄、軟鋼、ステンレス鋼、アルミニウム等の金属薄板であれば、上記用途で使用可能である。
波形金属薄板11として波形金属薄板(材質:ステンレス鋼[316L],板厚:0.5mm,波ピッチp:3.2mm,波高さt1/2:0.55mm[山高さt1:1.1mm])を使用し、無機シート12及び13としてマイカシート(厚みt2:0.5mm)を使用し、充填材14としてマイカ粉末(平均粒径:50μm)を使用して、図1、図2に示すようなガスケット(以下、「実施例」という。)を作製した。
実施例の比較例として、充填材14を充填していないこと以外、実施例と同一構造のガスケット(以下「比較例」という。)を作製した。
実施例と比較例とのシール特性を図5に示す。図5は常温での窒素ガスシール試験を実施例と比較例について行い、それぞれのシール特性を比較したものである。図5において、実施例は比較例と比べ低〜高締付荷重(面圧)においてシール性能に優れる。また、比較例は高締付荷重において無機シート12及び13の破壊が起こり漏洩を生じた。これにより、従来空隙4であった波形金属薄板11の谷部11aに充填材14を充填し該部を最初から埋めることによって、低〜高締付荷重において長期的に安定したシール性能を確保できることと、流動性が低い材料の無機シート12及び13や金属成形体21でも高締付荷重において破壊ぜす使用できることを確認した。
また、実施例と比較例の無機シート12及び13(マイカシート)の厚みとシール性能の関係を下記の表1に示す。
Figure 2009115163
上記表1は窒素ガスシール試験を実施例と比較例について無機シート12及び13の厚みを変えながら行い、厚みごとのシール性能を比較したものである。表1において、実施例は比較例では得られなかった標準的な厚みt2の無機シート12及び13で安定したシール性能が得られた。これにより、従来空隙4であった波形金属薄板11の谷部11aに充填材14を充填し該部を最初から埋めることによって、標準的な厚みでより薄い無機シート2及び13や金属成形体21の使用が可能となることを確認した。
本発明の実施形態に係るガスケットの平面図である。 本発明の実施形態に係るガスケットの構造を示す断面図である。 本発明の他の実施形態に係るガスケットの構造を示す断面図である。 本発明の実施形態及び他の実施形態に係るガスケットの圧縮変形過程を示す図である。 本発明の実施例と比較例とのシール特性を示す折線グラフである。 従来ガスケット構造の圧縮変形過程を示す図である。
符号の説明
10,20 ガスケット
11 波形金属薄板(金属薄板)
11a 谷部
11b 山部
12,13 無機シート
14 充填材(シール材)
20 ガスケット
21 金属成形体

Claims (3)

  1. 同心円の波形を付けた金属薄板の谷部に無機粉体のシール材を充填し、該金属薄板の両面にシール性を有する無機シートを積層接着したことを特徴とするガスケット。
  2. 同心円の波形を付けた金属薄板の谷部に無機粉体のシール材を充填し、該金属薄板の両面及び内周をシール性を有する金属成形体で被覆したことを特徴とするガスケット。
  3. 金属薄板の谷部における締付面圧が金属薄板の山部における締付面圧よりも低くなる密度で、無機粉体のシール材を金属薄板の谷部に充填したことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のガスケット。
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