JP2009115153A - チューブ継手の施工治具、および施工方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】施工作業を簡易化して迅速に行うことを可能とし、コスト低減を実現できると共に、品質の信頼性を向上させることができるチューブ継手の施工治具、および施工方法を提供する。
【解決手段】治具本体60において、その開口部63より、内部に保持したナット30のねじ孔31内におけるチューブ11の一端部12であって、予め一時的に拡径した先端口に、継手本体20の筒状端部21の先端を押し込みながら、該継手本体20の雄ねじ部22をナット30の雌ねじ部32に噛み合わせる。雄ねじ部22と雌ねじ部32が噛み合い始めた状態で、継手本体20に対して治具本体60と共にナット30を回転させ、雄ねじ部22と雌ねじ部32の螺合による治具本体60内への継手本体20の移動に伴い、継手本体20の筒状端部21がチューブ11の一端部12を直接拡径しつつ、該一端部12に圧入される。
【選択図】図1
【解決手段】治具本体60において、その開口部63より、内部に保持したナット30のねじ孔31内におけるチューブ11の一端部12であって、予め一時的に拡径した先端口に、継手本体20の筒状端部21の先端を押し込みながら、該継手本体20の雄ねじ部22をナット30の雌ねじ部32に噛み合わせる。雄ねじ部22と雌ねじ部32が噛み合い始めた状態で、継手本体20に対して治具本体60と共にナット30を回転させ、雄ねじ部22と雌ねじ部32の螺合による治具本体60内への継手本体20の移動に伴い、継手本体20の筒状端部21がチューブ11の一端部12を直接拡径しつつ、該一端部12に圧入される。
【選択図】図1
Description
本発明は、チューブの一端部を継手本体の筒状端部に外嵌し、チューブを貫通させた状態で該チューブの一端部を囲むナットを前記継手本体に締め付けて、継手本体にチューブを接続し固定するためのチューブ継手の施工治具、および施工方法に関する。
従来、この種のチューブ継手は、例えば、フッ素樹脂製のチューブの一端部を、同じくフッ素樹脂製の継手本体のニップルと称される筒状端部に外嵌し、チューブを貫通させた状態で該チューブの一端部を囲むナットを前記継手本体に締め付けて、継手本体にチューブを接続し固定して構成されている。
ここでチューブの一端部の先端口を、継手本体の筒状端部に外嵌させて接続できるように、予め治具により、チューブ内径を拡径するいわゆるフレア加工を施す必要がある。そして、フレア加工されたチューブを継手本体に接続し、これらをナットにより締め付けることで、シールが形成されたチューブ継手が完成する。
チューブ継手の施工時に用いる治具としては、例えば、本出願人が既に提案している特許文献1に開示したものが知られている。すなわち、一対のクランプ本体により、一対のチューブアタッチメントを介してチューブを移動不能に把持し、チューブの端部に加工部材を嵌入させて拡径するものである。この加工部材がチューブの端部に嵌入する動作は、特許文献1の図1に示されたレバーを手で操作することによって成されていた。
しかしながら、前述したような従来の技術では、継手本体にナットを締め付けてチューブを接続する時も、継手本体ないしナットを保持する治具が必要であり、この治具とは別に、さらに前記特許文献1に記載されたチューブの一端部を拡径するための専用の治具も必要であった。そのため、施工における作業が面倒であると共に、施工に必要な装置全体としても大掛かりとなり、コストが嵩むという問題があった。
また、前記特許文献1に記載された治具では、レバーの操作によって、常温下でチューブを拡径していたが、チューブであるフッ素樹脂は、成形された温度以下の常温下で形状を変化させても、元の形状に戻ろうとする性質が強いため、複数回繰り返して治具により径を拡大させるという方法がとられていた。
この場合、レバーの操作には、チューブを拡径するための相当な力が必要であるから、一箇所の配管作業でレバーの操作回数が多くなり、長時間に亘る場合には、その労力は相当なものになる。また、複数回の作業ゆえ、作業時間が長くなり、工数面でも不利となる。従って、レバー操作の負担を軽減すると共に、作業能率を向上させるための改善の余地があった。
さらに、チューブが治具により直接的に拡径されるため、チューブ内部への治具の挿入時に、チューブのカット面のバリを内側に引きずり、シール部に巻き込んだり、あるいは、治具に付着したゴミ等の異物が混入して、継手のシール部におけるいわゆるリークの原因になる場合がある。これに対して、施工前の治具のクリーン化や、施工後のシール部の確認等でおおよそ解決し得るが、余計な工数が増えると共に完全に解決できるとは言い難く、僅かなレベルでのリーク発生の可能性も残るという問題もあった。
ところで、本出願人は、エアー治具と呼ばれる空気圧による拡径治具も開発し、例えば、特願2006−245426号に示すように既に提案している。すなわち、スイッチ操作により、エアー配管を流れる空気圧でエアシリンダーを駆動し、加工部材を進退させる構成としたものである。しかしながら、駆動用のエアー配管の取り回し等の制約による施工場所の制限があり、必ずしもチューブ継手の施工に適用できるとは限らなかった。
本発明は、前述したような従来の技術が有する問題点に着目してなされたものであり、継手本体にチューブを接続し固定する作業を簡易化して迅速に行うことを可能とし、コスト低減を実現できると共に、チューブ内への異物の混入を回避することができ、いわゆるリークの発生を防止し、品質の信頼性を向上させることができ、さらに施工場所の制約もなく、常温下で狭い場所でも広く容易に実施することができるチューブ継手の施工治具、および施工方法を提供することを目的としている。
前述した目的を達成するための本発明の要旨とするところは、以下の各項の発明に存する。
[1]チューブ(11)の一端部(12)を継手本体(20)の筒状端部(21)に外嵌し、チューブ(11)を貫通させた状態で該チューブ(11)の一端部(12)を囲むナット(30)を前記継手本体(20)に締め付けて、継手本体(20)にチューブ(11)を接続し固定するためのチューブ継手の施工治具(50)において、
前記チューブ(11)の一端部(12)を突出させた状態で、該チューブ(11)の途中に着脱可能に固定するチューブ固定部材(51)と、
前記チューブ固定部材(51)、および該チューブ固定部材(51)より突出したチューブ(11)の一端部(12)を囲むようにチューブ(11)を貫通させた前記ナット(30)を、それぞれ保持する治具本体(60)を有し、
前記治具本体(60)は、前記チューブ固定部材(51)を、チューブ軸方向に移動不能に保持し、前記ナット(30)を、チューブ軸心回りに回転不能に内部に保持し、前記ナット(30)のねじ孔(31)入口を外部に開放する開口部(63)を備え、
前記治具本体(60)は、
前記開口部(63)より、前記ナット(30)のねじ孔(31)内における前記チューブ(11)の一端部(12)であって、予め一時的に拡径した先端口に、前記継手本体(20)の筒状端部(21)の先端を押し込みながら、該継手本体(20)の筒状端部(21)の基端側に連なる雄ねじ部(22)を、前記ナット(30)の雌ねじ部(32)に噛み合わせることが可能であり、
前記雄ねじ部(22)と前記雌ねじ部(32)が噛み合い始めた状態で、前記継手本体(20)に対して前記治具本体(60)と共に前記ナット(30)を回転させることにより、前記雄ねじ部(22)と前記雌ねじ部(32)の螺合による治具本体(60)内への継手本体(20)の移動に伴い、継手本体(20)の筒状端部(21)がチューブ(11)の一端部(12)を直接拡径しつつ、該一端部(12)に圧入されるものであることを特徴とするチューブ継手の施工治具(50)。
[1]チューブ(11)の一端部(12)を継手本体(20)の筒状端部(21)に外嵌し、チューブ(11)を貫通させた状態で該チューブ(11)の一端部(12)を囲むナット(30)を前記継手本体(20)に締め付けて、継手本体(20)にチューブ(11)を接続し固定するためのチューブ継手の施工治具(50)において、
前記チューブ(11)の一端部(12)を突出させた状態で、該チューブ(11)の途中に着脱可能に固定するチューブ固定部材(51)と、
前記チューブ固定部材(51)、および該チューブ固定部材(51)より突出したチューブ(11)の一端部(12)を囲むようにチューブ(11)を貫通させた前記ナット(30)を、それぞれ保持する治具本体(60)を有し、
前記治具本体(60)は、前記チューブ固定部材(51)を、チューブ軸方向に移動不能に保持し、前記ナット(30)を、チューブ軸心回りに回転不能に内部に保持し、前記ナット(30)のねじ孔(31)入口を外部に開放する開口部(63)を備え、
前記治具本体(60)は、
前記開口部(63)より、前記ナット(30)のねじ孔(31)内における前記チューブ(11)の一端部(12)であって、予め一時的に拡径した先端口に、前記継手本体(20)の筒状端部(21)の先端を押し込みながら、該継手本体(20)の筒状端部(21)の基端側に連なる雄ねじ部(22)を、前記ナット(30)の雌ねじ部(32)に噛み合わせることが可能であり、
前記雄ねじ部(22)と前記雌ねじ部(32)が噛み合い始めた状態で、前記継手本体(20)に対して前記治具本体(60)と共に前記ナット(30)を回転させることにより、前記雄ねじ部(22)と前記雌ねじ部(32)の螺合による治具本体(60)内への継手本体(20)の移動に伴い、継手本体(20)の筒状端部(21)がチューブ(11)の一端部(12)を直接拡径しつつ、該一端部(12)に圧入されるものであることを特徴とするチューブ継手の施工治具(50)。
[2]前記治具本体(60)は、前記チューブ固定部材(51)を、チューブ軸心回りに回転可能に保持することを特徴とする[1]に記載のチューブ継手の施工治具(50)。
[3]前記治具本体(60)は、前記ナット(30)を、チューブ軸方向に移動不能であり、該ナット(30)のねじ孔(31)内で前記チューブ(11)の一端部(12)が前記継手本体(20)の筒状端部(21)により拡径される接続位置に位置決めした状態に保持することを特徴とする[1]または[2]に記載のチューブ継手の施工治具(50)。
[4]前記継手本体(20)は、前記雄ねじ部(22)の終端側に、前記治具本体(60)の開口部(63)の周囲壁面に当接するフランジを備え、
前記継手本体(20)のフランジをストッパとして、該ストッパが前記開口部(63)の周囲壁面に当接する位置を、前記ナット(30)に対する前記継手本体(20)の螺合終了位置として定めたことを特徴とする[1],[2]または[3]に記載のチューブ継手の施工治具(50)。
前記継手本体(20)のフランジをストッパとして、該ストッパが前記開口部(63)の周囲壁面に当接する位置を、前記ナット(30)に対する前記継手本体(20)の螺合終了位置として定めたことを特徴とする[1],[2]または[3]に記載のチューブ継手の施工治具(50)。
[5]前記治具本体(60)は、前記チューブ固定部材(51)および前記ナット(30)をそれぞれ保持した状態に収納する保持溝(62)を備え、
前記保持溝(62)は、その長手方向に亘り、前記チューブ固定部材(51)および前記ナット(30)を外部から視認可能に外部に開口していることを特徴とする[1],[2],[3]または[4]に記載のチューブ継手の施工治具(50)。
前記保持溝(62)は、その長手方向に亘り、前記チューブ固定部材(51)および前記ナット(30)を外部から視認可能に外部に開口していることを特徴とする[1],[2],[3]または[4]に記載のチューブ継手の施工治具(50)。
[6]チューブ(11)の一端部(12)を継手本体(20)の筒状端部(21)に外嵌し、チューブ(11)を貫通させた状態で該チューブ(11)の一端部(12)を囲むナット(30)を前記継手本体(20)に締め付けて、継手本体(20)にチューブ(11)を接続し固定するチューブ継手の施工方法において、
前記チューブ(11)の一端部(12)を突出させた状態で、該チューブ(11)の途中にチューブ固定部材(51)を着脱可能に固定する工程と、
前記チューブ固定部材(51)より突出したチューブ(11)の一端部(12)を囲むように、前記ナット(30)にチューブ(11)を貫通させた状態で、該ナット(30)のねじ孔(31)内における前記チューブ(11)の一端部(12)を一時的に拡径する工程と、
前記チューブ固定部材(51)および前記ナット(30)をそれぞれ保持する治具本体(60)に対して、前記チューブ固定部材(51)を、チューブ軸方向に移動不能に保持し、前記ナット(30)を、チューブ軸心回りに回転不能に保持する工程と、
前記治具本体(60)にて、前記ナット(30)のねじ孔(31)の入口を外部に開放する開口部(63)より、前記ナット(30)のねじ孔(31)内における前記チューブ(11)の一端部(12)であって予め一時的に拡径した先端口に、前記継手本体(20)の筒状端部(21)の先端を押し込みながら、該継手本体(20)の筒状端部(21)の基端側に連なる雄ねじ部(22)を前記ナット(30)の雌ねじ部(32)に噛み合わせる工程と、
前記雄ねじ部(22)と前記雌ねじ部(32)が噛み合い始めた状態で、前記継手本体(20)に対して前記治具本体(60)と共に前記ナット(30)を回転させ、前記雄ねじ部(22)と前記雌ねじ部(32)の螺合による治具本体(60)内への継手本体(20)の移動に伴い、継手本体(20)の筒状端部(21)がチューブ(11)の一端部(12)を直接拡径しつつ、該一端部(12)に圧入される工程とを有することを特徴とするチューブ継手の施工方法。
前記チューブ(11)の一端部(12)を突出させた状態で、該チューブ(11)の途中にチューブ固定部材(51)を着脱可能に固定する工程と、
前記チューブ固定部材(51)より突出したチューブ(11)の一端部(12)を囲むように、前記ナット(30)にチューブ(11)を貫通させた状態で、該ナット(30)のねじ孔(31)内における前記チューブ(11)の一端部(12)を一時的に拡径する工程と、
前記チューブ固定部材(51)および前記ナット(30)をそれぞれ保持する治具本体(60)に対して、前記チューブ固定部材(51)を、チューブ軸方向に移動不能に保持し、前記ナット(30)を、チューブ軸心回りに回転不能に保持する工程と、
前記治具本体(60)にて、前記ナット(30)のねじ孔(31)の入口を外部に開放する開口部(63)より、前記ナット(30)のねじ孔(31)内における前記チューブ(11)の一端部(12)であって予め一時的に拡径した先端口に、前記継手本体(20)の筒状端部(21)の先端を押し込みながら、該継手本体(20)の筒状端部(21)の基端側に連なる雄ねじ部(22)を前記ナット(30)の雌ねじ部(32)に噛み合わせる工程と、
前記雄ねじ部(22)と前記雌ねじ部(32)が噛み合い始めた状態で、前記継手本体(20)に対して前記治具本体(60)と共に前記ナット(30)を回転させ、前記雄ねじ部(22)と前記雌ねじ部(32)の螺合による治具本体(60)内への継手本体(20)の移動に伴い、継手本体(20)の筒状端部(21)がチューブ(11)の一端部(12)を直接拡径しつつ、該一端部(12)に圧入される工程とを有することを特徴とするチューブ継手の施工方法。
[7]前記チューブ(11)の一端部(12)を一時的に拡径する工程において、
前記チューブ(11)の一端部(12)を、その先端口に圧入可能な拡径部材(70)を用いて拡径し、
前記拡径部材(70)は、前記チューブ(11)の内径以下の細径部(71)と、該細径部(71)より漸次拡径するフレア部(72)と、該フレア部(72)に続き前記チューブ(11)の内径を前記継手本体(20)の筒状端部(21)が内嵌する径まで広げる太径部(73)とから成り、
前記チューブ(11)の一端部(12)を加熱することなく、前記拡径部材(70)を前記チューブ(11)の一端部(12)に対して1回のみ圧入することにより、前記チューブ(11)の一端部(12)を拡径することを特徴とする[6]に記載のチューブ継手の施工方法。
前記チューブ(11)の一端部(12)を、その先端口に圧入可能な拡径部材(70)を用いて拡径し、
前記拡径部材(70)は、前記チューブ(11)の内径以下の細径部(71)と、該細径部(71)より漸次拡径するフレア部(72)と、該フレア部(72)に続き前記チューブ(11)の内径を前記継手本体(20)の筒状端部(21)が内嵌する径まで広げる太径部(73)とから成り、
前記チューブ(11)の一端部(12)を加熱することなく、前記拡径部材(70)を前記チューブ(11)の一端部(12)に対して1回のみ圧入することにより、前記チューブ(11)の一端部(12)を拡径することを特徴とする[6]に記載のチューブ継手の施工方法。
前記本発明は、次のように作用する。
本発明に係るチューブ継手の施工治具(50)は、チューブ(11)の途中に固定するチューブ固定部材(51)と、このチューブ固定部材(51)およびナット(30)をそれぞれ保持する治具本体(60)を有し、施工に際して、チューブ固定部材(51)を、チューブ(11)の途中に着脱可能に固定する。この時、チューブ固定部材(51)より、チューブ(11)の一端部(12)が突出した状態とする。
本発明に係るチューブ継手の施工治具(50)は、チューブ(11)の途中に固定するチューブ固定部材(51)と、このチューブ固定部材(51)およびナット(30)をそれぞれ保持する治具本体(60)を有し、施工に際して、チューブ固定部材(51)を、チューブ(11)の途中に着脱可能に固定する。この時、チューブ固定部材(51)より、チューブ(11)の一端部(12)が突出した状態とする。
チューブ固定部材(51)より突出したチューブ(11)の一端部(12)を囲むように、ナット(30)にチューブ(11)を貫通させる。この状態で、ナット(30)のねじ孔(31)内におけるチューブ(11)の一端部(12)を一時的に拡径する。ここでの拡径は、チューブ(11)の一端部(12)の先端口に継手本体(20)の筒状端部(21)の先端を位置ずれしないように宛うことができる程度で足りる。
そして、治具本体(60)に対しては、チューブ固定部材(51)を、チューブ軸方向に移動不能に保持すると共に、ナット(30)を、チューブ軸心回りに回転不能に内部に保持する。ナット(30)は、治具本体(60)の内部に保持されるが、治具本体(60)には、ナット(30)のねじ孔(31)入口を外部に開放する開口部(63)が備えられている。
次に、治具本体(60)の開口部(63)より、ナット(30)のねじ孔(31)内におけるチューブ(11)の一端部(12)であって予め一時的に拡径した先端口に、継手本体(20)の筒状端部(21)の先端を押し込みながら、該継手本体(20)の雄ねじ部(22)をナット(30)の雌ねじ部(32)に噛み合わせる。ここで雄ねじ部(22)と雌ねじ部(32)が噛み合い始めた状態で、継手本体(20)に対して治具本体(60)と共にナット(30)を回転させる。すると、雄ねじ部(22)と雌ねじ部(32)の螺合による治具本体(60)内への継手本体(20)の移動に伴い、継手本体(20)の筒状端部(21)がチューブ(11)の一端部(12)を直接拡径しつつ、該一端部(12)に圧入される。
以上のように、チューブ継手の施工治具(50)によれば、チューブ(11)の一端部(12)の拡径作業と、その後のチューブ(11)と継手本体(20)との接続作業を、1つの治具本体(60)を継手本体(20)に対して回転させるだけで、一度にまとめて施工することが可能となる。これにより、施工時間を短縮することができると共に、作業者の労力負担を大幅に軽減することができる。
また、このような施工治具(50)によれば、継手本体(20)に接続するナット(30)を、その回転作業時の力を小さくするために、より径の大きい治具本体(60)に収納した状態で、該治具本体(60)自体を回転させることにより、その回転力により施工することになる。そのため、従来一般の手動による施工治具に比し、小さい力で施工することができ、また、ねじのピッチで接続が進むため、従来一般のチューブ軸方向の加力よりピッチが小さく、チューブ(11)の座屈を回避することができる。
さらに、継手本体(20)の筒状端部(21)とチューブ(11)の一端部(12)において互い接合するシール部位は、その接続開始から接続完了に至るまでの間、他の治具とは一切触れることはない。そのため、前記シール部位への異物の混入を回避することができ、いわゆるリークの発生を防止することができる。
ところで、前記治具本体(60)は、前記チューブ固定部材(51)を、チューブ軸心回りに回転可能に保持するように構成すると良い。一般にチューブ継手の施工時には、チューブ(11)の他端側は固定されているが、前記継手本体(20)のみならずチューブ固定部材(51)も治具本体(60)に相対的に回転できるようにすることで、治具本体(60)を回転させた時にチューブ(11)が捻れることを防止することができる。
また、前記治具本体(60)は、前記ナット(30)を、チューブ軸方向にも移動不能で、該ナット(30)のねじ孔(31)内でチューブ(11)の一端部(12)が継手本体(20)の筒状端部(21)により拡径される接続位置に位置決めした状態に保持するように構成すると良い。これにより、治具本体(60)内においてナット(30)が施工時に位置ずれすることなく、該ナット(30)を最適な位置に保持することができる。
また、前記継手本体(20)は、その雄ねじ部(22)の終端側に、治具本体(60)の開口部(63)の周囲壁面に当接するフランジを備え、このフランジをストッパとして、該ストッパが前記開口部(63)の周囲壁面に当接する位置を、ナット(30)に対する継手本体(20)の螺合終了位置として定めると良い。これにより、締め付け作業の終了時点を容易に確認することができ、締め付け不足により適正な接続強度が得られないことを防止し、逆に過度の締め付けによる破損も防止することができる。
また、前記治具本体(60)は、チューブ固定部材(51)およびナット(30)をそれぞれ保持した状態に収納する保持溝を備え、この保持溝(62)は、その長手方向に亘り、チューブ固定部材(51)およびナット(30)を外部から視認可能に外部に開口させると良い。これにより、施工作業における途中の状況、すなわち、ナット(30)と継手本体(20)との接続具合を容易に随時確認することができる。
さらにまた、前記チューブ(11)の一端部(12)を一時的に拡径する工程においては、チューブ(11)の一端部(12)を、その先端口に圧入可能な拡径部材(70)を用いて拡径すると良い。ここで拡径部材(70)として、チューブ(11)の内径以下の細径部(71)と、該細径部(71)より漸次拡径するフレア部(72)と、該フレア部(72)に続きチューブ(11)の内径を継手本体(20)の筒状端部(21)が内嵌する径まで広げる太径部(73)とから成るものであれば、各々の部位を容易にチューブ(11)の一端部(12)に順に挿入して拡径することができる。
このような拡径部材(70)を用いて、チューブ(11)の一端部(12)を加熱することなく、拡径部材(70)をチューブ(11)の一端部(12)に対して1回のみ圧入することにより、チューブ(11)の一端部(12)を拡径すると良い。これにより、前述した治具本体(60)を用いる前の準備工程として、簡易かつ迅速にチューブ(11)の一端部(12)を一時的に拡径しておくことができる。
本願発明に係るチューブ継手の施工治具、および施工方法によれば、チューブの一端部の拡径作業と、その後のチューブと継手本体との接続作業を、1つの治具本体を継手本体に対して回転させるだけで、一度にまとめて施工することが可能となり、施工時間を短縮することができると共に、作業者の労力負担を大幅に軽減することができ、コスト低減を実現できる。
また、継手本体に接続するナットを、その回転作業時の力を小さくするために、より径の大きい治具本体に収納した状態で、該治具本体自体を回転させることにより、その回転力により施工することになる。そのため、従来一般の手動による施工治具に比し、小さい力で施工することができ、また、ねじのピッチで接続が進むため、従来一般のチューブ軸方向の加力よりピッチが小さく、チューブの座屈を回避することができる。
さらに、継手本体の筒状端部とチューブの一端部において互い接合するシール部位は、その接続開始から接続完了に至るまでの間、他の治具とは一切触れることはないから、前記シール部位への異物の混入を回避することができ、いわゆるリークの発生を防止することができる。また、施工場所の制約もなく、常温下で狭い場所でも広く容易に実施することができる。
以下、図面に基づき、本発明を代表する一実施の形態を説明する。
図1は、本実施の形態に係るチューブ継手と、その施工治具50を示す断面図、図2は、施工治具50を用いたチューブ継手の施工方法を順に断面図で示す説明図、図3は、図2の続きを示す説明図である。図4は、チューブ継手を示す斜視図、図5は、施工治具50を用いたチューブ継手の施工方法を順に斜視図で示す説明図、図6は、図5の続きを示す説明図、図7は、図6の続きを示す説明図、図8は、図7の続きを示す説明図である。以下、説明の便宜上、先ず施工対象であるチューブ継手について説明し、次に施工治具50について説明する。
図1は、本実施の形態に係るチューブ継手と、その施工治具50を示す断面図、図2は、施工治具50を用いたチューブ継手の施工方法を順に断面図で示す説明図、図3は、図2の続きを示す説明図である。図4は、チューブ継手を示す斜視図、図5は、施工治具50を用いたチューブ継手の施工方法を順に斜視図で示す説明図、図6は、図5の続きを示す説明図、図7は、図6の続きを示す説明図、図8は、図7の続きを示す説明図である。以下、説明の便宜上、先ず施工対象であるチューブ継手について説明し、次に施工治具50について説明する。
図1および図4に示すように、チューブ継手は、チューブ11と、継手本体20と、ナット30とを有し、チューブ11の一端部12を、継手本体20の筒状端部21に外嵌し、チューブ11を貫通させた状態で該チューブ11の一端部12を囲むナット30を継手本体20に締め付けて、継手本体20にチューブ11を接続し固定して成る。かかるチューブ継手は、例えば、半導体チップ製造現場等におけるクリーンルーム内で用いる純水等の洗浄液、その他一般薬液等の流管路を構成するチューブの継手として用いられるものである。
図1に示すように、チューブ11は、内部が空洞の円筒管であり、その具体的な材質として、例えば、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、テトラフルオロエチレン・パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体(PFA)等に代表されるフッ素樹脂等が用いられる。すなわち、チューブ11の材質としては、耐熱性や耐薬品性に優れるだけではなく、その一端部12が、ある程度拡径し得るように弾性変形が可能な材質が用いられる。
チューブ11の一端部12は、次述する継手本体20の筒状端部21に対して拡径して外嵌する。従って、図4に示すように、拡径したチューブ11の一端部12は、通常の一般外径部12aの他、拡径された大径の拡径部12c、および一般外径部12aと拡径部12cとを繋ぐ中間部であるフレア部12bから成っている。なお、一般外径部12aとフレア部12bとの境界付近が、チューブ11が拡径し終わる途中部位となる。
図1,図4に示すように、継手本体20は、その一端側で先端に位置する筒状端部21と、該筒状端部21の基端側に連なるように形成され、ナット30が螺合する雄ねじ部22を有している。筒状端部21は、その長さがシール代分だけ延びており、チューブ11の一端部12が外嵌する部位である。なお、継手本体20も、前記チューブ11と同様に、具体的な材質としてはフッ素樹脂等が適している。
継手本体20の中央部には、略六角断面形の被締付部23が設けられている。被締付部23に、スパナ等の締付工具を嵌め込むように成っている。この被締付部23を間にして、継手本体20の他端側にも、その先端に位置する筒状端部21と、該筒状端部21に連なる雄ねじ部22が、一端側と同様に設けられている。継手本体20には、その一端側の筒状端部21の先端口21aから他端側の筒状端部21の先端口21aに亘って、前記チューブ11の内径とほぼ同じ孔径で、ねじ軸方向へ貫通する貫通孔24が連通している。
また、図1に示すように、筒状端部21の先端口21aの外周縁には、チューブ11の一端部12を外嵌しやすくし、さらに、安定した気密性を保持するために面取りした外テーパー部21bが設けられている。さらに、筒状端部21の先端口21aの内周縁には、移動媒体である液の溜まり防止のために面取りした内テーパー部21cが設けられている。
図1に示すように、ナット30は、いわゆる袋ナットであり、そのねじ孔31の奥側にねじ軸に直交する袋部である奥壁33を有している。ナット30のねじ孔31の入口側には雌ねじ部32が刻設され、奥壁33には、チューブ11を貫通させるための差込孔34が穿設されている。なお、ナット30も、前記チューブ11や継手本体20と同様に、具体的な材質としてはフッ素樹脂等が適している。
また、ナット30は、その外周に略六角断面形の被締付部35を有し、被締付部35にスパナ等のナット締付工具を嵌め込むようになっている。この被締付部35におけるねじ孔31の入口側の一端部には、被締付部35より大径のフランジ部35aが設けられている。前記継手本体20の雄ねじ部22に螺合するナット30の雌ねじ部32のねじ山の径は、チューブ11の拡径部12cが相対的に挿通可能に、かつねじ山等の径が最小になるように、拡径部12cの外径より僅かに大きく設定されている。
さらに、図1に示すように、ナット30の奥壁33に穿設された差込孔34の孔周縁には、中心軸(ねじ軸心)に向かってねじ孔31の入口方向へ傾斜する鋭角断面形状の喰い込み部34aが設けられている。この喰い込み部34aは、前記チューブ11の一端部12にて、拡径し終わるチューブ11の途中部位(図4中の一般外径部12aとフレア部12bとの境界付近。)に圧接させるための部位である。
次に、本願発明の根幹を成す施工治具50について説明する。図1,図7および図8に示すように、施工治具50は、チューブ固定部材51と、治具本体60とを有して成る。チューブ固定部材51は、チューブ11の一端部12を突出させた状態で、該チューブ11の途中に着脱可能に固定するものである。治具本体60は、前記チューブ固定部材51、および該チューブ固定部材51より突出したチューブ11の一端部12を囲むようにチューブ11を貫通させたナット30を、それぞれ保持するものである。なお、チューブ固定部材51および治具本体60は、金属により成形すると良い。
図5(b),(c)に示すように、チューブ固定部材51は、クランプとして構成されており、一対のクランプ部52,53を備えている。各クランプ部52,53は、円筒をその軸心に沿って半分に割った形状に成形されており、互いにヒンジ54を介して閉位置と開位置とに開閉可能に連結されている。各クランプ部52,53の対向する面側には、それぞれ半円形断面の保持溝55が凹設され、各クランプ部52,53が閉位置にある時、各保持溝55が一つの円形断面形状を成し、チューブ11を上下から挟み付けて固定するように構成されている。なお、各保持溝55の内周面には、チューブ11の滑りを阻止するためのブラスト加工を施したり、ゴム製の滑り止め部材を接着すると良い。
チューブ固定部材51は、各クランプ部52,53を閉位置に拘束するためのロック機構を備えている。かかるロック機構は、一方のクランプ部52に揺動可能に支持された連結ピン56に螺合する締結ねじ57と、他方のクランプ部53に凹設され、前記連結ピン56が凹入する被嵌合溝58とから成る。すなわち、各クランプ部52,53を閉位置に閉じ合わせた状態で、被嵌合溝58に連結ピン56を凹入し、締結ねじ57を締め付けることにより、各クランプ部52,53を閉位置に拘束することができるように構成されている。
また、各クランプ部52,53の両端のうち、チューブ11の一端部12側を向く一端側には、それぞれ半円弧形に凹設された嵌合凹部59が形成されている。嵌合凹部59は、次述する治具本体60にある開口部64の周縁に回転可能に嵌合するための軸部と成っている。すなわち、チューブ固定部材51は、その嵌合凹部59が治具本体60にある開口部64の周縁に回転可能に嵌合することにより、治具本体60に対して、チューブ軸方向に移動不能、かつチューブ軸心回りに回転可能に保持される。
図7および図8に示すように、治具本体60は、前記チューブ固定部材51を、チューブ軸方向に移動不能に保持し、前記ナット30を、チューブ軸心回りに回転不能に内部に保持するものであり、前記ナット30のねじ孔31の入口を外部に開放する開口部63を備えている。治具本体60は、ダイカスト成形品でも良く、削り出しであっても良い。なお、図7および図8に示す治具本体60の斜視図と、図1〜図3に示す治具本体60の断面図とは、多少形状が異なる箇所があるが、実質的には同じ構成のものを示している。
図7(i)に示すように、治具本体60は、金属製の円柱材の外周両側端を、それぞれ互いに平行な平面状に切り欠いた外周部61を備え、円柱の中心軸に向かって延びる保持溝62を凹設して形成されている。治具本体60の外周部61は、把持して回転させ得る形状となっている。保持溝62は、チューブ固定部材51、および該チューブ固定部材51より突出したチューブ11の一端部12を囲むようにチューブ11を貫通させたナット30を、それぞれ直列に並ぶ状態に収納して保持する。また、保持溝62は、その長手方向に亘り、チューブ固定部材51およびナット30を外部から視認可能に外部に開口している。
保持溝62の内面は、収納したナット30をチューブ軸心回りに回転不能に拘束するように、ナット30の外周にある被締付部35が嵌合するキー溝状に形成されている。また、治具本体60の一端面側には、前記保持溝62に連通するように、前述した開口部63が形成されている。開口部63は、保持溝62に収納したナット30のねじ孔31の入口を外部に開放するものである。さらに、治具本体60の他端面側にも、前記保持溝62に連通する開口部64が形成されている。この開口部64の周縁は、前記チューブ固定部材51の嵌合凹部59が回転可能に嵌合する軸受となっている。
また、治具本体60の開口部64の内側には、チューブ固定部材51の嵌合凹部59より先端側の部分が軸心回りに回転可能に嵌合する略半円形断面の軸受溝66が形成されている。このように、治具本体60側の開口部64および被嵌合溝65と、チューブ固定部材51側の嵌合凹部59およびその先端側との嵌合関係により、チューブ固定部材51は、前記チューブ11を固定した状態でチューブ軸心回りに回転可能、かつチューブ軸方向に移動不能に、治具本体60の保持溝62内に保持されるようになっている。
さらに、治具本体60の開口部64の内側には、保持溝62内に保持されたナット30のフランジ部35aが嵌合する略半円形断面の被嵌合溝65が形成されている。この被嵌合溝65とナット30のフランジ部35aの嵌合関係により、ナット30は、チューブ軸心回りに回転不能、かつチューブ軸方向に移動不能に、治具本体60の保持溝62内に保持される。保持溝62内においてナット30は、そのねじ孔31内でチューブ11の一端部12が、後述するが図3に示すように、前記継手本体20の筒状端部21により拡径される接続位置に位置決めされた状態に保持される。
以上のように、治具本体60は、その開口部63から、ナット30のねじ孔31内におけるチューブ11の一端部12であって、予め一時的に拡径した先端口に、継手本体20の筒状端部21の先端を押し込みながら、該継手本体20の筒状端部21の基端側に連なる雄ねじ部22を、ナット30の雌ねじ部32に噛み合わせることが可能に構成されている。
さらに、治具本体60は、前記雄ねじ部22と前記雌ねじ部32が噛み合い始めた状態で、継手本体20に対して治具本体60と共にナット30を回転させることにより、前記雄ねじ部22と前記雌ねじ部32の螺合による治具本体60内への継手本体20の移動に伴い、継手本体20の筒状端部21がチューブ11の一端部12を直接拡径しつつ、該一端部12に圧入されるように構成されている。
図2および図6に示すように、チューブ11の一端部12を予め一時的に拡径するための拡径部材70について説明する。拡径部材70は、チューブ11の内径以下の細径部71と、該細径部71より漸次拡径するフレア部72と、該フレア部72に続きチューブ11の内径を継手本体20の筒状端部21が内嵌する径まで広げる太径部73とから成る。
拡径部材70は、チューブ11の一端部12を加熱することなく、拡径部材70をチューブ11の一端部12に対して1回のみ圧入することにより、チューブ11の一端部12を拡径する。なお、治具本体60は、金属イオンや不純物の極めて少ない材料(石英ガラス、PTFE、PEEK等)により成形すると良い。また、拡径部材70は、施工治具50の部品ないし付属物ではない。
次に、本発明の実施の形態の作用について説明する。
施工治具50を用いたチューブ継手の施工に際しては、先ず最初に、図2(a)および図5(a)に示すように、チューブ11を用意する。本施工治具50によれば、常温下にて手動で駆動するものであり、チューブ11を加熱するような加熱手段は必要なく、しかも、駆動用のエアー配管や電源コード等も一切不要であり、施工場所が制限されることもない。
施工治具50を用いたチューブ継手の施工に際しては、先ず最初に、図2(a)および図5(a)に示すように、チューブ11を用意する。本施工治具50によれば、常温下にて手動で駆動するものであり、チューブ11を加熱するような加熱手段は必要なく、しかも、駆動用のエアー配管や電源コード等も一切不要であり、施工場所が制限されることもない。
図2(b)に示すように、用意したチューブ11には、その途中に施工治具50のチューブ固定部材51を着脱可能に固定する。この時、チューブ固定部材51より、チューブ11の一端部12が突出した状態とする。詳しくは、図5(b),(c)に示すように、一対のクランプ部52,53を開位置に開いた状態で、チューブ11の途中を上下から挟み付けるように把持して、被嵌合溝58に連結ピン56を凹入し、締結ねじ57を締め付けることで、各クランプ部52,53を閉位置に拘束する。
次に、図6(d),(e)に示すように、チューブ固定部材51より突出したチューブ11の一端部12を囲むように、ナット30にチューブ11を貫通させる。この状態で、ナット30のねじ孔31内におけるチューブ11の一端部12を一時的に拡径する。すなわち、図2(c),(d)、および図6(f)〜図7(g)に示すように、チューブ11の一端部12の先端口より、拡径部材70を圧入する。拡径部材70は、チューブ11の内径以下の細径部71と、該細径部71より漸次拡径するフレア部72と、該フレア部72に続く太径部73とから成り、各々の部位を容易にチューブ11の一端部12に順に挿入して拡径することができる。
このような拡径部材70を用いて、チューブ11の一端部12を加熱することなく、拡径部材70をチューブ11の一端部12に対して1回のみ圧入することにより、チューブ11の一端部12を拡径することができる。これにより、次述する治具本体60を用いる前の準備工程として、簡易かつ迅速にチューブ11の一端部12を一時的に拡径しておくことができる。かかる一時的な拡径は、チューブ11の一端部12の先端口に対して、継手本体20の筒状端部21の先端を位置ずれしないように宛がうことができる程度で足りる。
続いて、図7(h),(i)に示すように、施工治具50の治具本体60を用意し、治具本体60の保持溝62に、前記チューブ固定部材51および前記ナット30を収納して保持する。この時、チューブ固定部材51の嵌合凹部59は、治具本体60の開口部64の周縁に嵌合し、かつチューブ固定部材51の先端部は、治具本体60の軸受溝66に嵌合するので、チューブ固定部材51およびチューブ11は、チューブ軸心回りに回転可能、かつチューブ軸方向に移動不能な状態で、保持溝62内に保持される。
一方、ナット30は、その被締付部35が保持溝62の内面に嵌合し、かつフランジ部35aが、治具本体60の軸受溝66に嵌合するので、ナット30は、チューブ軸心回りに回転不能、かつチューブ軸方向に移動不能な状態で、保持溝62内に保持される。ここで保持溝62内におけるナット30は、前述したように、ナット30のねじ孔31内でチューブ11の一端部12が、次述する継手本体20の筒状端部21により、拡径される接続位置に位置決めされた状態に保持されている。
そして、図3(e),(f)、および図8(j),(k)に示すように、治具本体60の開口部63より、ナット30のねじ孔31内におけるチューブ11の一端部12であって予め一時的に拡径した先端口に、継手本体20の筒状端部21の先端を押し込みながら、該継手本体20の雄ねじ部22をナット30の雌ねじ部32に噛み合わせる。ここで噛み合わせは、雄ねじ部22と雌ねじ部32が噛み合い始めて、互いに接続した状態に維持できる程度で足りる。
このように、雄ねじ部22と雌ねじ部32が噛み合い始めた状態で、図3(g)および図8(l)に示すように、継手本体20をスパナ等の締結工具で固定し、該継手本体20に対して、治具本体60をナット30と共にチューブ軸心回りに回転させる。すると、雄ねじ部22と雌ねじ部32の螺合が進行し、治具本体60内への継手本体20の移動に伴って、継手本体20の筒状端部21がチューブ11の一端部12を直接拡径しつつ、該一端部12に圧入されることになる。
ところで、一般にチューブ継手の施工時には、チューブ11の他端側は固定されているが、前記継手本体20のみならずチューブ固定部材51も、治具本体60に相対的に回転できるように構成されているから、治具本体60を回転させた時にチューブ11が捻れることを防止することができる。また、保持溝62は、その長手方向に亘り、外部から視認可能に開口しているため、施工作業における途中の状況、すなわち、ナット30と継手本体20との接続具合を容易に随時確認することができる。
以上のように、チューブ継手の施工治具50によれば、チューブ11の一端部12の拡径作業と、その後のチューブ11と継手本体20との接続作業を、1つの治具本体60を継手本体20に対して回転させるだけで、一度にまとめて施工することが可能となる。これにより、施工時間を短縮することができると共に、作業者の労力負担を大幅に軽減することができる。
しかも、継手本体20の筒状端部21とチューブ11の一端部12において互い接合するシール部位は、その接続開始から接続完了に至るまでの間、他の治具とは一切触れることはない。そのため、前記シール部位への異物の混入を回避することができ、いわゆるリークの発生を防止することができる。
また、継手本体20に接続するナット30を、その回転作業時の力を小さくするために、より径の大きい治具本体60に収納した状態で、該治具本体60自体を回転させることで、その回転力により施工することになる。そのため、従来一般の手動による施工治具に比し、小さい力で施工することができ、また、ねじのピッチで接続が進むため、従来一般のチューブ軸方向の加力よりピッチが小さく例えば、継手本体20の進行速度が1/3程度に抑えることも可能となり、チューブ11の座屈を回避することができる。
さらに、継手本体20は、その雄ねじ部22の終端側に、治具本体60の開口部63の周囲壁面に当接するフランジと成る被締付部23を備えている。この被締付部23をストッパとして、該ストッパが前記開口部63の周囲壁面に当接する位置を、ナット30に対する継手本体20の螺合終了位置として定めている。これにより、締め付け作業の終了時点を容易に確認することができ、締め付け不足により適正な接続強度が得られないことを防止し、逆に過度の締め付けによる破損も防止することができる。なお、治具本体60の成型時に、開口部63の軸方向における厚さの設計によって、前記螺合終了位置は適宜調整することができる。
以上、本発明の実施の形態を図面によって説明してきたが、具体的な構成は前述した実施の形態に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲における変更や追加があっても本発明に含まれる。例えば、治具本体60の外周部61の外観形状は図示したものに限定されるわけではない。また、拡径部材70は、フレア部72と太径部73とを明確に区別することなく、フレア部72と太径部73とに相当する部位を、連続的に徐々に拡径する一つのテーパー軸部として形成しても良い。
11…チューブ
12…一端部
12a…一般外径部
12b…フレア部
12c…拡径部
20…継手本体
21…筒状端部
21a…先端口
21b…外テーパー部
21c…内テーパー部
22…雄ねじ部
23…被締付部
24…貫通孔
30…ナット
31…ねじ孔
32…雌ねじ部
33…奥壁
34…差込孔
34a…喰い込み部
35…被締付部
35a…フランジ部
50…施工治具
51…チューブ固定部材
52…クランプ部
53…クランプ部
54…ヒンジ
55…保持溝
56…連結ピン
57…締結ねじ
58…被嵌合溝
59…嵌合凹部
60…治具本体
61…外周部
62…保持溝
63…開口部
64…開口部
65…被嵌合溝
66…軸受溝
70…拡径部材
71…細径部
72…フレア部
73…太径部
12…一端部
12a…一般外径部
12b…フレア部
12c…拡径部
20…継手本体
21…筒状端部
21a…先端口
21b…外テーパー部
21c…内テーパー部
22…雄ねじ部
23…被締付部
24…貫通孔
30…ナット
31…ねじ孔
32…雌ねじ部
33…奥壁
34…差込孔
34a…喰い込み部
35…被締付部
35a…フランジ部
50…施工治具
51…チューブ固定部材
52…クランプ部
53…クランプ部
54…ヒンジ
55…保持溝
56…連結ピン
57…締結ねじ
58…被嵌合溝
59…嵌合凹部
60…治具本体
61…外周部
62…保持溝
63…開口部
64…開口部
65…被嵌合溝
66…軸受溝
70…拡径部材
71…細径部
72…フレア部
73…太径部
Claims (7)
- チューブの一端部を継手本体の筒状端部に外嵌し、チューブを貫通させた状態で該チューブの一端部を囲むナットを前記継手本体に締め付けて、継手本体にチューブを接続し固定するためのチューブ継手の施工治具において、
前記チューブの一端部を突出させた状態で、該チューブの途中に着脱可能に固定するチューブ固定部材と、
前記チューブ固定部材、および該チューブ固定部材より突出したチューブの一端部を囲むようにチューブを貫通させた前記ナットを、それぞれ保持する治具本体を有し、
前記治具本体は、前記チューブ固定部材を、チューブ軸方向に移動不能に保持し、前記ナットを、チューブ軸心回りに回転不能に内部に保持し、前記ナットのねじ孔入口を外部に開放する開口部を備え、
前記治具本体は、
前記開口部より、前記ナットのねじ孔内における前記チューブの一端部であって、予め一時的に拡径した先端口に、前記継手本体の筒状端部の先端を押し込みながら、該継手本体の筒状端部の基端側に連なる雄ねじ部を、前記ナットの雌ねじ部に噛み合わせることが可能であり、
前記雄ねじ部と前記雌ねじ部が噛み合い始めた状態で、前記継手本体に対して前記治具本体と共に前記ナットを回転させることにより、前記雄ねじ部と前記雌ねじ部の螺合による治具本体内への継手本体の移動に伴い、継手本体の筒状端部がチューブの一端部を直接拡径しつつ、該一端部に圧入されるものであることを特徴とするチューブ継手の施工治具。 - 前記治具本体は、前記チューブ固定部材を、チューブ軸心回りに回転可能に保持することを特徴とする請求項1に記載のチューブ継手の施工治具。
- 前記治具本体は、前記ナットを、チューブ軸方向に移動不能であり、該ナットのねじ孔内で前記チューブの一端部が前記継手本体の筒状端部により拡径される接続位置に位置決めした状態に保持することを特徴とする請求項1または2に記載のチューブ継手の施工治具。
- 前記継手本体は、前記雄ねじ部の終端側に、前記治具本体の開口部の周囲壁面に当接するフランジを備え、
前記継手本体のフランジをストッパとして、該ストッパが前記開口部の周囲壁面に当接する位置を、前記ナットに対する前記継手本体の螺合終了位置として定めたことを特徴とする請求項1,2または3に記載のチューブ継手の施工治具。 - 前記治具本体は、前記チューブ固定部材および前記ナットをそれぞれ保持した状態に収納する保持溝を備え、
前記保持溝は、その長手方向に亘り、前記チューブ固定部材および前記ナットを外部から視認可能に外部に開口していることを特徴とする請求項1,2,3または4に記載のチューブ継手の施工治具。 - チューブの一端部を継手本体の筒状端部に外嵌し、チューブを貫通させた状態で該チューブの一端部を囲むナットを前記継手本体に締め付けて、継手本体にチューブを接続し固定するチューブ継手の施工方法において、
前記チューブの一端部を突出させた状態で、該チューブの途中にチューブ固定部材を着脱可能に固定する工程と、
前記チューブ固定部材より突出したチューブの一端部を囲むように、前記ナットにチューブを貫通させた状態で、該ナットのねじ孔内における前記チューブの一端部を一時的に拡径する工程と、
前記チューブ固定部材および前記ナットをそれぞれ保持する治具本体に対して、前記チューブ固定部材を、チューブ軸方向に移動不能に保持し、前記ナットを、チューブ軸心回りに回転不能に保持する工程と、
前記治具本体にて、前記ナットのねじ孔の入口を外部に開放する開口部より、前記ナットのねじ孔内における前記チューブの一端部であって予め一時的に拡径した先端口に、前記継手本体の筒状端部の先端を押し込みながら、該継手本体の筒状端部の基端側に連なる雄ねじ部を前記ナットの雌ねじ部に噛み合わせる工程と、
前記雄ねじ部と前記雌ねじ部が噛み合い始めた状態で、前記継手本体に対して前記治具本体と共に前記ナットを回転させ、前記雄ねじ部と前記雌ねじ部の螺合による治具本体内への継手本体の移動に伴い、継手本体の筒状端部がチューブの一端部を直接拡径しつつ、該一端部に圧入される工程とを有することを特徴とするチューブ継手の施工方法。 - 前記チューブの一端部を一時的に拡径する工程において、
前記チューブの一端部を、その先端口に圧入可能な拡径部材を用いて拡径し、
前記拡径部材は、前記チューブの内径以下の細径部と、該細径部より漸次拡径するフレア部と、該フレア部に続き前記チューブの内径を前記継手本体の筒状端部が内嵌する径まで広げる太径部とから成り、
前記チューブの一端部を加熱することなく、前記拡径部材を前記チューブの一端部に対して1回のみ圧入することにより、前記チューブの一端部を拡径することを特徴とする請求項6に記載のチューブ継手の施工方法。
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JP2007287168A JP2009115153A (ja) | 2007-11-05 | 2007-11-05 | チューブ継手の施工治具、および施工方法 |
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CN105485396A (zh) * | 2015-12-28 | 2016-04-13 | 苏州林信源自动化科技有限公司 | 一种阀体气室接头 |
CN110131496A (zh) * | 2019-05-30 | 2019-08-16 | 苏海军 | 一种用于水利工程的水利管道 |
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2007
- 2007-11-05 JP JP2007287168A patent/JP2009115153A/ja active Pending
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