以下、本発明の好ましい第一実施の形態のストラットマウント1について、添付図面を参照して説明する。まず、図1及び図2を参照して、ストラットマウント1の全体構造について説明する。
図1は、本発明の第一実施の形態のストラットマウント1の平面図であり、図2は、図1のストラットマウント1のII―II線における断面図である。自動車等の懸架装置(図示せず)の一部を構成するアブソーバロッド2側から車体(図示せず)側へ伝播する振動を吸収することを目的として、アブソーバロッド2と車体(図示せず)との間にストラットマウント1が介装されている。
図2で示すように、ストラットマウント1は、アブソーバロッド2に固定される第1内側金具20及び第2内側金具30と、車体に固定される外側金具40と、第1内側金具20及び外側金具40の間に介設される本体ゴム50とを備えている。
図2で示すように、第1内側金具20は、アブソーバロッド2を介して懸架装置側と連結される金属部材であって、上方(図2上方)に開口し下向き(図2下方)に突出するカップ状の部分とその筒状部分の上端から外側に水平に延設されるつば状の部分とを備えた断面略ハット状の金属部材である。
図1又は図2で示すように、第1内側金具20は、アブソーバロッド2が固定される固定面部21と、固定面部21に連続して形成されると共に上方(図2上方)が開口する筒状の筒部22と、筒部22の上端部から更にアブソーバロッド2の径方向の外方へ拡径する方向(図1左右方向)に延設される直線部23及び円弧部24とを備えている。
図2で示すように、固定面部21は、その開口部21aからアブソーバロッド2の径方向の外方へ拡径する方向に延設される環状の部分であって、中心に後述する第2内側金具30の嵌合孔部31aが嵌合される孔である開口部21aが形成されている。なお、固定面部21の上面にアブソーバロッド2の上端部に嵌合されたナット2aが当接している。
図2で示すように、筒部22は、固定面部21のアブソーバロッド2の径方向の外方へ拡径する方向の端部(外端部)から、アブソーバロッド2の軸心方向で上方(図2上方)に向かって大径となるように、アブソーバロッド2の軸心方向で上方(図2上方)へテーパ状に延設される筒状部分である。
図2で示すように、固定面部21及び筒部22の板厚(固定面部21及び筒部22と直交する方向の寸法)は、後述する第2内側金具30の固定面部31及び筒部32の板厚(固定面部31及び筒部32と直交する方向の寸法)より薄肉に形成され、筒部22のアブソーバロッド2の軸心方向で上端に位置する終端部は、筒部32のアブソーバロッド2の軸心方向で下端に位置する終端部より内側(アブソーバロッド2側)に位置している。
図1及び図2で示すように、車体の前後方向(図1上下方向)に一対の直線部23,23が配設されると共に、車体の左右方向(図1左右方向)に一対の円弧部24,24が配設されている。なお、一対の円弧部24,24が請求項1記載の一対のフランジ部に相当する。
また、図2で示すように、直線部23及び円弧部24の板厚(直線部23及び円弧部24と直交する方向の寸法(アブソーバロッド2の軸心方向における寸法))は、固定面部21及び筒部22の板厚(固定面部21及び筒部22と直交する方向の寸法)より厚く形成されている。よって、直線部23及び円弧部24の剛性が固定面部21及び筒部22の剛性に比べて強化されている。
即ち、この直線部23及び円弧部24には、後述するようにゴム部材が加硫接着されて、後述する直線部側本体ゴム部57及円弧側本体ゴム部56が形成される。
この直線部側本体ゴム部57及び円弧側本体ゴム部56は、ストッパとして機能するものであって、後述する突部本体ゴム部53に当接することにより、第1内側金具20に対する外側金具40の相対変位を規制することができる。よって、この直線部側本体ゴム部57及び円弧側本体ゴム部56は、本体ゴム50の突部本体ゴム部53と強く衝突する。
従って、直線部23及び円弧部24の板厚(直線部23及び円弧部24と直交する方向の寸法(アブソーバロッド2の軸心方向における寸法))を厚くすることにより、直線部23及び円弧部24の剛性を確保することができるので、上述した強い衝撃によって、直線部23及び円弧部24の損傷することを防止することができる。
図1及び図2で示すように、一対の直線部23,23は、第1内側金具20の筒部22の上端からアブソーバロッド2の径方向の外方へ拡径する方向に延設されると共に、アブソーバロッド2の軸心方向から視て外縁が一対の円弧部24,24を連結する方向に直線状に形成される部分である。
図1で示すように、直線部23のアブソーバロッド2の径方向の外方へ拡径する方向における延設量は、円弧部24から離間するほど小さく設定されている。即ち、その延設量は、直線部23の中央部分で最も小さく設定されていると共に直線部23の端部(円弧部24との連結部分)で最も大きく設定されている。また、一対の直線部23,23の外縁は、互いに平行な直線状に形成されている。
この直線部23は外縁が一対の円弧部24,24を連結する方向に直線状に形成されるので、直線部23の外縁の長さは円弧部24の外縁の長さより短く設定され、後述する本体ゴム50の直線部側本体ゴム部57のゴム量は、本体ゴム50の円弧側本体ゴム部56に比べて少なくなるように設定されている。
図1及び図2で示すように、円弧部24は、第1内側金具20の筒部22の上端からアブソーバロッド2の径方向の外方へ拡径する方向に延設される部分であって、アブソーバロッド2の軸心方向から視て、後述する本体ゴム50の突部本体ゴム部53に沿って、円弧部24の外縁が円弧状に形成されている。
この円弧部24の外縁の長さは、直線部23の外縁の長さより長く設定され、後述する本体ゴム50の円弧側本体ゴム部56のゴム量は、本体ゴム50の直線部側本体ゴム部57に比べて少なくなるように設定されている。
図2で示すように、第2内側金具30は、下方(図2下方)に開口し上向き(図2上方)に突出するカップ状の部分とその筒状部分の下端から外側に水平に延設されるつば状の部分とを備えた断面略ハット状の金属部材であって、第1内側金具20の固定面部21に固定されている。なお、後述する本体ゴム50が上面の一部を除き加硫接着されておらず、金属面を露出させている。
図2で示すように、第2内側金具30は、第1内側金具20の固定面部21が接合される固定面部31と、固定面部31に連続して形成されると共に下方が開口するカップ状の筒部32と、筒部32の上端部からさらにアブソーバロッド2の径方向の外方へ拡径する方向に延設される直線部33及び円弧部34とを備えている。
図2で示すように、固定面部31は、上方へ筒状に突設され固定面部21の開口部21aに嵌合される嵌合孔部31aを有すると共に、嵌合孔部31aからアブソーバロッド2の径方向の外方へ拡径する方向に延設される環状の部分であって、固定面部31の上面に固定面部21の下面が接合されて、第2内側金具30が第1内側金具20に固定されている。
図2で示すように、筒部32は、固定面部31のアブソーバロッド2の径方向の外方へ拡径する方向の端部(外端部)からアブソーバロッド2の軸心方向で下方(図2下方)へ大径となるようにテーパ状に外広がりに延設される筒状の部分であって、筒部32の内周面で囲まれた部位にアブソーバロッド2と、アブソーバロッド2の外周に配設される保護部材4とが配設されている。
図2で示すように、直線部33及び円弧部34は、第1内側金具20の直線部23及び円弧部24に対応して、同様に形成される部分である。
即ち、図2で示すように、一対の直線部33,33は、第2内側金具30の筒部32の下端からアブソーバロッド2の径方向の外方へ拡径する方向に延設されると共に、アブソーバロッド2の軸心方向から視て外縁が一対の円弧部34,34を連結する方向に直線状に形成されている。
更に、図2で示すように、円弧部34は、第2内側金具30の筒部32の上端からアブソーバロッド2の径方向の外方へ拡径する方向に延設されると共に、アブソーバロッド2の軸心方向から視て、外縁が後述する外側金具40の突出端部41aに沿って円弧状に形成されている。
図2で示すように、第2内側金具30と、第1内側金具20と外側金具40との間に介設される本体ゴム50との間には、一定の隙間である間隙部3が設けられている。
詳述すると、図2で示すように、直線部33及び円弧部34と、後述する外側金具40の外筒部41の内周面に加硫接着された筒部51の下面との間には、筒部32の外周面に沿って形成されると共にアブソーバロッド2の軸心方向から視て円環状の隙間である第1間隙部3aが設けられている。
また、図2で示すように、固定面部31と筒部32の内周面との間に筒部32の外周面に沿って形成される共にアブソーバロッド2の軸心方向から視て筒状の隙間である第2間隙部3bが設けられている。
図2で示すように、筒部51は、少ない量のゴム部材しか後述する外筒部41に加硫成型されていないので、円弧部34側に比べて、直線部33側において、アブソーバロッド2の軸心方向(図2上下方向)及びアブソーバロッド2の軸心と直交する方向(図2左右方向)で、薄肉に形成されている。
即ち、外筒部41に加硫接着されているゴム部材の量が、円弧部34側に比べて直線部33側で少ないので、第2間隙部3bは、円弧部34側に比べて直線部33側で次第に隙間が大きくなるように設定されている。
図1及び図2で示すように、外側金具40は、車体に固定される金属部材であって、第1内側金具20の筒部22及び第2内側金具30の筒部32の外側に配設される筒状の外筒部41と、外筒部41と後述する固定部43との間で固定部43よりアブソーバロッド2の軸心方向で上方に突出すると共に、外筒部41の上端からアブソーバロッド2の径方向の外方に拡径する方向に、アブソーバロッド2の軸心方向で円弧部24の縁部より外側まで延設される突部42と、車体に固定される固定部43と、固定部43が形成される締結面部44と、締結面部44に沿って締結面部44を取り囲むように形成される非締結面部45と、を備えている。
図2で示すように、外筒部41は、上端及び下端より中央部分が中心側(アブソーバロッド2側)に近接するように、中央部が内側に突出するように形成された筒状の部分であって、円弧部24側は、直線部23側に比べてアブソーバロッド2の軸心方向で長尺に形成され、円弧部24側の下端は外向きに延出する突出端部41aを備えている。
外筒部41は、アブソーバロッド2の軸心方向で中央部分が内側に突出するように形成されるので、剛性を向上させることができると共に、アブソーバロッド2の軸心方向で外筒部41が同一径に形成される場合に比べて、外側金具40の外筒部41と第1内側金具20の筒部22との間に配設される後述する連結部52のゴム量を少なくすることができるので、連結部52の剛性(ばね定数)を小さくすることができる。
図2で示すように、突部42は、外筒部41の上端部から、アブソーバロッド2の径方向の外方に拡径する方向に、直線部23及び円弧部24の外縁より外側まで延設され、アブソーバロッド2の軸心方向から視て円弧部24より一回り大きい円環状に形成されている。
図2で示すように、この突部42は、車体に固定される固定部43より上方に突出するので、外側金具40の剛性が向上している。よって、突部42に加硫接着された突部本体ゴム部53に後述する突起部58が勢いよく当接した場合であっても、外側金具40の変形を防止できる。
また、図2で示すように、この突部42は、車体に固定される固定部43より上方に突出するので、突部42は、アブソーバロッド2の軸心方向で、固定部43より、円弧部24に近接した位置に配置される。
図1及び図2で示すように、固定部43は、車体に取り付けられる部分であって、ボルト等の固定部材(図示せず)が挿入される孔である挿入孔43aと、アブソーバロッド2の軸心方向で挿入孔43aに沿ってバーリング加工により締結面部44と一体に設けられる下方に突出するナット部43bとを備えている。
この固定部43は、本体ゴム50から外側金具40の金属部分が露出する締結面部44に形成されている。この締結面部44は、上方に湾曲する球面状に形成されると共に、第一実施の形態では、図1で示すように外側金具40の周縁部に3箇所に設けられている。
図1及び図2で示すように、締結面部44の周囲には段差を介して落とし込まれた非締結面部45が締結面部44を取り囲むように設けられている。非締結面部45は、球面状をなす締結面部44に対して平面状に形成されており、締結面部44よりも一段低く形成されている。従って、非締結面部45は、車体に固定した状態で、車体とは非接触な状態となり、車体とわずかな隙間を介して相対するように配される。
図2で示すように、この非締結面部45及び突部42を連結する部分は、アブソーバロッド2の軸心方向の断面形状が上下に連続して湾曲する蛇腹形状に形成されている。これにより、外側金具40は、突部42と非締結面部45との間の部分の剛性を向上させている。
図1又は図2で示すように、本体ゴム50は、主として第1内側金具20と外側金具40との間に介設され、アブソーバロッド2から伝播された振動を吸収するゴム部材であって、外側金具40の外筒部41の下部の内周面に加硫接着される筒部51と、外側金具40の外筒部41及び第1内側金具20の筒部22の間に介設される連結部52と、外側金具40の突部42の上面に加硫接着される突部本体ゴム部53と、外側金具40の筒部41の外周面及び外側金具40の突部42の下面に加硫接着される外周部54と、円弧部24に加硫接着される円弧側本体ゴム部56と、直線部23に加硫接着される直線部側本体ゴム部57と、円弧側本体ゴム部56から突部本体ゴム部53側に突設されると共に、第1内側金具20及び外側金具40の間で第1内側金具20が外側金具40に近づく方向に相対変位した場合に、外側金具40の突部42に当接させて外側金具40に対する第1内側金具20の相対変位を規制する突起部58とを備えている。
図2で示すように、筒部51は、第2内側金具30の筒部32に沿って外側金具40の外筒部41の内周面に加硫接着される筒状のゴム部分であって、円弧部24側が直線部23側より筒部51と直交する方向(アブソーバロッド2の軸心と直交する方向(図2左右方向))で厚く形成されると共に、アブソーバロット2の軸心方向(図2上下方向)で長く形成される。
これにより、本体ゴム50の筒部51の剛性(ばね定数)は、一対の直線部23,23の対向方向、即ち車体の前後方向(図1上下方向)に比べて、一対の円弧部24,24の対向方向、即ち車体の左右方向(図1左右方向)で、高く設定される。
よって、車体の左右方向(図1左右方向)において、本体ゴム50を弾性変形し難くしてカーブ走行時等に車体が左右方向(図1左右方向)に大きく傾くことを防止することができるので、操縦安定性を向上させることができると共に、車体の前後方向(図1上下方向)においては本体ゴム50を弾性変形し易くして、アブソーバロッド2から伝播される振動を吸収するので、車体の乗り心地を向上させることができる。
図2で示すように、連結部52は、外側金具40の外筒部41の上側部分の内周面及び第1内側金具20の筒部22の外周面の間に介設されるゴム部分であって、上部に後述するすぐり部60が配設されている。
図1及び図2で示すように、突部本体ゴム部53は、外側金具40の突部42の上面に環状に加硫接着されるゴム部分であって、突部本体ゴム部53の外縁は円弧側本体ゴム部56の外縁より一回り大きく設定されている。
この突部本体ゴム部53は、主として円弧側本体ゴム部56と当接することにより、第1内側金具20と外側金具40との間の相対変位を規制している。なお、突部本体ゴム部53の上面が後述する突起部58と当接する当接面となる。
また、アブソーバロッド2の軸心方向で上方に突出した突部42に加硫接着された突部本体ゴム部53に突起部58を当接させている。よって、突部42を上方に突出させない場合に比べて、第1内側金具20及び外側金具40の間の相対変位量を小さく設定することができ、操縦安定性を向上させることができる。
図2で示すように、外周部54は、外側金具40の外筒部41及び外側金具40の突部42の下面に沿って、その外筒部41の外周面及び突部42の下面に互いに連結するように加硫接着されるゴム部分であって、外側金具40の剛性を向上させている。
図1及び図2で示すように、円弧側本体ゴム部56は、円弧部24に加硫接着されたゴム部分であって、円弧側本体ゴム部56の下側に後述する円弧側すぐり部61が配設されている。なお、円弧側本体ゴム部56は、請求項1のフランジ本体ゴム部に相当する。
上述したように、円弧側本体ゴム部56のゴム量は、本体ゴム50の直線部側本体ゴム部57に比べて多くなるように設定されている。
これにより、直線部側本体ゴム部57に比べて、円弧側本体ゴム部56は突部本体ゴム部53と当接するので、円弧側本体ゴム部56によって外側金具40に対する第1内側金具20の変位が規制される。
従って、特に、カーブ走行時等に車体が左右方向(図1左右方向)に大きく傾くことを防止することができるので、操縦安定性を向上させることができる。
図1及び図2で示すように、直線部側本体ゴム部57は、直線部23に加硫接着されたゴム部分であって、直線部側本体ゴム部5の下側に後述する直線側すぐり部64が配設されている。
上述したように、直線部23は外縁が一対の円弧部24,24を連結する方向に直線状に形成されるので、直線部23の外縁の長さは円弧部24の外縁の長さより短く設定され、後述する本体ゴム50の直線部側本体ゴム部57のゴム量は、本体ゴム50の円弧側本体ゴム部56に比べて少なくなるように設定されている。
これにより、円弧側本体ゴム部56に比べて、直線部側本体ゴム部57は突部本体ゴム部53と当接しないので、直線部側本体ゴム部57によって外側金具40に対する第1内側金具20の変位が規制されない。
よって、車体の左右方向(図1左右方向)に比べて、車体の前後方向(図1上下方向)の振動を吸収することができるので、乗り心地を良好とすることができる。
また、図1及び図2で示すように、直線部側本体ゴム部57は、突起部58が突設されないので、直線部側本体ゴム部57の対向方向である車体の前後方向()において、円弧側本体ゴム部56の対向方向である車体の左右方向(図1左右方向)に比べて、本体ゴム50の連結部52の剛性(ばね定数)が小さく設定されている。
よって、本体ゴム50の連結部52は、車体の前後方向(図1上下方向)に弾性変形し易く、車体の前後方向(図1上下方向)において、車体の前後方向(図1上下方向)の振動を吸収することができるので、乗り心地を良好とすることができる。
図1及び図2で示すように、突起部58は、円弧側本体ゴム部56の下面から、突部本体ゴム部53の上面に向かって延設されるゴム部分である。
図1又は図2で示すように、第1内側金具20の筒部22と外側金具40の外筒部41とが近づく方向に相対変位して、突起部58が突部本体ゴム部53に当接することにより、突部本体ゴム部53と円弧側本体ゴム部56とをゴムブロックで連結した場合と同じように、本体ゴム50の連結部52の剛性(ばね定数)を増加させることができる。
次に、図3及び図4を参照して突起部58について詳しく説明する。図3は、図1のストラットマウント1の矢印III方向から視た正面図であり、図4は、図2のA部を拡大したストラットマウント1の断面図である。なお、図3のA部は、ストラットマウント1の左側部分を示している。また、図3において、外側金具40の非締結面部45及び締結面部44が簡略化されて図示されている。また、図4のB部は、円弧側すぐり部61を拡大して図示している。
ここで、図1に戻って突起部58の形状について説明する。図1で示すように、突起部58は円弧側本体ゴム部56の外縁に沿って直線部23と直交する方向に延設されるので、アブソーバロッド2の軸心方向から視て、突起部58の外縁は円弧状に形成されていると共に突起部58の内縁は直線状に形成されている。
即ち、図1で示すように、突起部58は、車体の左右方向(図1左右方向)で一定の幅を有して車体の前後方向(図1上下方向)に延設されている。突起部58の車体の左右方向(図1左右方向)における幅は、後述する中間型72―1,72−2の割面72c(図6参照)が位置する突起部の中央部側に比べて、車両の前後側(図1上下側)に位置する突起部58の端部側(円弧側本体ゴム部56と直線部側本体ゴム部57との連結部分)が狭くなるように形成されている。
また、図1で示すように、突起部58は、円弧側本体ゴム部56の車体の左右方向(図1左右方向)で最も突出した部分に形成されている。よって、本体ゴム50は、車体の左右方向(図1左右方向)でこじり方向に弾性変形し難く設定されているので、操縦安定性を向上させることができる。
ここで、図3又は図4に戻って、第1内側金具20の筒部22と外側金具40の外筒部41とが近づく方向に相対変位して突起部58が突部本体ゴム部53に当接する場合について説明する。
図3及び図4で示すように、第1内側金具20の筒部22と外側金具40の外筒部41とが近づく方向に相対変位して突起部58が突部本体ゴム部53に当接することにより、突部本体ゴム部53と円弧側本体ゴム部56とをゴムブロックで連結した場合と同じように、本体ゴム50の連結部52の剛性(ばね定数)を増加させることができる。
よって、一対の直線部23,23の対向方向である車体の前後方向(図4紙面手前から奥方向)に比べて、一対の円弧部24,24の対向方向である車体の左右方向(図4左右方向)においては、円弧側本体ゴム部56及び突部本体ゴム部53の間で、即ち第1内側金具20及び外側金具40の間で、本体ゴム50の連結部52が弾性変形し難くなるので、第1内側金具20及び外側金具40の間の相対変位量を小さくすることができる。
従って、カーブ走行時等に本体ゴム50の連結部52を弾性変形し難くすることができるので、操縦安定性を向上させることができる。
なお、図3及び図4で示すように、突起部58の下面58aが突部本体ゴム部53と当接する当接面となり、突起部58の下面58aは、アブソーバロッド2の軸心と直交する方向の円弧部側(図3手前側、図4右側)から視て、波形状に形成されている。
これにより、突起部58の下面58aを平坦状に形成した場合に比べて、突起部58と突部本体ゴム部53との当接面積を少なくすることができる。よって、突起部58と突部本体ゴム53とが当接する場合に発生する異音を防止することができる。
なお、本発明の第一実施の形態においては、突起部58側の当接面である、突起部58の下面58aを波形状に形成したが、突部本体ゴム部53側の当接面である、突部本体ゴム部53の上面53aを波形状に形成した場合であっても、同様であり、突起部58と突部本体ゴム53とが当接する場合に発生する異音を防止することができる。
即ち、突部本体ゴム部53の上面53aが、アブソーバロッド2の軸心と直交する方向の円弧部24側(図3手前側、図4右側)から視て、波形状に形成された場合であっても、突起58部と突部本体ゴム53とが当接する場合に発生する異音を防止することができる。
また、図3又は図4で示すように、突起部58は、円弧側本体ゴム部56の下面から一定の寸法で延設されるため、円弧側本体ゴム部56ゴム厚(アブソーバロッド2の軸心方向(図3及び図4上下方向)における寸法)より、突起部58のゴム厚(アブソーバロッド2の軸心方向(図3及び図4上下方向)における寸法)が厚く形成されている。よって、円弧側本体ゴム部56の外縁部分の剛性(ばね定数)を増加させることができる。
また、図4で示すように、この突起部58の内側(図4左側)の端部である内端58a1は、後述する第2すぐり部63の下面部63cとアブソーバロッド2の軸心方向で重なる位置に設定されている。即ち、後述する第2すぐり部63の下面部63cの外端は、後述する第2すぐり部63の上面部63bの外端より外側に設定されている。
図3で示すように、本体ゴム50は、第1内側金具20と外側金具40との間に配設される隙間であるすぐり部60を備えている。
図3で示すように、すぐり部60は、第1内側金具20の筒部22と外側金具40の外筒部41とを連結する本体ゴム50の連結部52のゴム部分を第1内側金具20の筒部22に沿ってくり抜いて形成される隙間である(図2参照)。
このように、第1内側金具20と外側金具40との間に配設される隙間であるすぐり部60を備えているので、本体ゴム50によりアブソーバロッド2から伝播される振動を吸収してその振動が車体に伝播することを防止することができると共に、本体ゴム50の剛性(ばね定数)を小さくすることができるので、車体の乗り心地を向上させることができる。
図4で示すように、このすぐり部60は、直線側すぐり部64(図2参照)と、外周側の第1すぐり部62及び内周側の第2すぐり部63を有する円弧側すぐり部61と、を備えている。直線側すぐり部64(図2参照)は、直線部側本体ゴム部57と突部本体ゴム部53との間に配設される隙間である。
また、直線側すぐり部64と円弧側すぐり部61の後述する第2すぐり部63とは第1内側金具20の筒部22に沿ってこの筒部22を取り囲むように一周形成されるので、直線側すぐり部64の内周部64a(図2参照)の曲率は、円弧側すぐり部61の後述する第2すぐり部63の内周部63の曲率と同一に設定されている。
図3又は図4で示すように、円弧側本体ゴム部56の外縁側に第1すぐり部62が配設される。この第1すぐり部62は、突部本体ゴム部53の上面53aと突起部58の下面58aとの間に配設される隙間であって、この第1すぐり部62に、突起部58が配設されることにより、第1すぐり部62の上下方向の寸法は、第2すぐり部63の上下方向の寸法より小さく設定されている。
図4で示すように、第1すぐり部62内には、突起部58が配設される、即ち、円弧側本体ゴム部56の下面から突起部58が下方(図4下側)に延設されることにより、第1内側金具20の筒部22側に比べて、円弧側本体ゴム部56の外縁側は、上下方向(図4上下方向)におけるゴム厚が厚く形成されている。
よって、突起部58を設けない場合に比べて、車体の左右方向(図4左右方向)において、第1内側金具20の筒部22と外側金具40の外筒部41との間の相対変位量を小さく設定することができる。
これにより、第1内側金具20の筒部22と外側金具40の外筒部41とが近づく方向(第1内側金具20が下方(図4の下方)、外側金具40が上方(図4の上方))に相対変位して突起部58が突部本体ゴム部53に当接することにより、突部本体ゴム部53と円弧部本体ゴム部56とをゴムブロックで連結した場合と同じように、車体の左右方向(図4左右方向)において、本体ゴム50の剛性(ばね定数)を増加させることができる。
従って、突起部58が突部本体ゴム部53に当接した後は、車体の前後方向(図4紙面手前から奥方向)に比べて、車体の左右方向(図4左右方向)において、第1内側金具20は外側金具40に対して相対変位し難くなるので、例えば、カーブの走行時等に車体の左右方向(図4左右方向)に本体ゴム50の連結部52が大きく弾性変形せず、操縦安定性が向上する。
加えて、図3又は図4で示すように、突部本体ゴム部53の上面53aと突起部58の下面58aとの間には、第1すぐり部62によって一定の隙間が配設されている。即ち、円弧部本体ゴム部56と突部本体ゴム部53とは突起部58により連結されていない。
よって、第1内側金具20の筒部22と外側金具40の外筒部41とが離間する方向(第1内側金具20が上方(図4の上方)、外側金具40が下方(図4の下方))に相対変位した場合は、突起部58は円弧側本体ゴム部56に伴って上方に移動し、その移動分だけ第1すぐり部62が大きくなる。
従って、突起部58が伸張しないので、突起部58と円弧部本体ゴム部56との連結部分から亀裂が生じることを防止することができ、ストラットマウント1の耐久性を向上させることができる。
また、図4で示すように、突起部58は外縁側にのみ形成される。即ち、円弧側本体ゴム部56の第1内側金具20の筒部22側に、上下方向の寸法が第1すぐり部62より大きく設定される第2すぐり部62が形成されている。
よって、車体の左右方向においても、突起部58が突部本体ゴム部53に当接するまでは、本体ゴム50の連結部52の剛性(ばね定数)は小さく弾性変形し易いので、車体の乗り心地を向上させている。
さらに、図4で示すように、第2すぐり部63は、突起部56より第1内側金具20の筒部22側にアブソーバロッド2(図2参照)の軸心と直交する方向の直線部23側(図4手前側)から視て、円弧状の内周部63aを備え、突起部58より第1内側金具20の筒部22側におけるすぐり部である第2すぐり部63の上下方向の寸法を、突起部におけるすぐり部である第1すぐり部62の上下方向の寸法より大きく設定している。
これにより、突起部58を第2すぐり部63の内周部63aと連結させた場合に比べて、内周部63aの曲率を大きく設定することができる。
よって、図3又は図4で示すように、円弧部本体ゴム部56に突部本体ゴム部53側に突出する突起部58を設けて円弧部本体ゴム部の剛性(ばね定数)を増加させた場合であっても、突起部58を第2すぐり部63の内周部63aと連結させた場合に比べて、第2すぐり部63の円弧状の内周部63aを大きな半径で形成することができる。
従って、第2すぐり部63の円弧状の内周部63aから本体ゴム50の連結部52の亀裂が発生することを防止でき、ストラットマウント1の耐久性を向上させることができる。
図4を参照して、第2すぐり部63について説明する。図4で示すように、第2すぐり部63は、アブソーバロッド2の軸心方向で外筒部41と重なる位置に配設され、第1内側金具20の筒部22側の内周部63aと、内周部63aの下端に連続して形成されると共に突部本体ゴム部53の上面53aより下方(図4の下方)に設定される下面部63cと、内周部63aの上端に連続して形成されると共に突起部58の下面58aより上方(図4の上方)に設定される上面部63bとを備えている。
図4で示すように、第2すぐり部63の下面部63cは、アブソーバロッド2の軸心と直交する方向の直線部23側(図4紙面手前側)から視て、円弧状に形成されると共に、第2すぐり部63の上面部63bは、アブソーバロッド2の軸心と直交する方向の直線部23側(図4紙面手前側)から視て、L字状に形成されている。
また、図4で示すように、第2すぐり部63の上面部63bが、突起部58の下面58aより上方(図4の上方)に設定されるので、第2すぐり部63の上面部63bを突起部58の下面58aと同じ高さに設定した場合に比べて、円弧状の内周部63aの半径を大きく設定することができる。
よって、第2すぐり部63の内周部63a側から、本体ゴム50の連結部52の亀裂が生じ難いので、ストラットマウント1の耐久性を向上させることができる。
図4で示すように、第2すぐり部63の下面部63cが、突部本体ゴム部53の上面53aより下方(図4の下方)に設定されるので、第2すぐり部63の下面部63cを突部本体ゴム部53の上面53aと同じ高さに設定した場合に比べて、第2すぐり部63の内周部63aの半径を大きく設定することができる。
これにより、本体ゴム50の連結部52の第2すぐり部63の内周部63a側から、亀裂が生じ難いので、ストラットマウント1の耐久性を向上させることができる。
なお、第一実施の形態においては、第2すぐり部63の内周部63aの半径R1は、3mmに設定されている。第2すぐり部63の上面部63bを突起部58の下面58aと同じ高さに設定すると共に、第2すぐり部63の下面部63c突部本体ゴム部53の上面53aと同じ高さに設定することにより仮想される仮想内周面62aの半径R2は、0.5mmであることから、この仮想内周部62aの半径より第2すぐり部63の内周部63aの半径は、大きく設定されている。
また、図4で示すように、第2すぐり部63の上面63bはアブソーバロッド2の軸心と直交する方向の直線部23側(図4紙面手前側)から視てL字状に形成されているが、第1内側金具20の筒部22と外側金具40の外筒部41とが離間する方向(第1内側金具20が上方(図4の上方)、外側金具40が下方(図4の下方))に相対変位した場合に伸張するのは、本体ゴム50の連結部52の内周部63a側である。
よって、本体ゴム50の連結部52の内周部63a側に比べて、第2すぐり部63の上面63bのゴム部分は伸張しないので、第2すぐり部63の上面63bにおいて、ゴム部分の伸張による損傷は発生しない。
但し、第1内側金具20の筒部22と外側金具40の外筒部41とが近づく方向(第1内側金具20が下方(図4の下方)、外側金具40が上方(図4の上方))に相対変位して突起部58が突部本体ゴム部53に当接することにより、突起部58は圧縮されるので、圧縮されることによる損傷は発生する。
よって、この第2すぐり部63の上面63bも円弧状に形成することにより、圧縮されることによる損傷によって、第2すぐり部63の上面63bの角部分から亀裂が生じることを防止することができる。
次に、図5及び図6を参照して前記ストラットマウント1の製造方法について説明する。図5及び図6は、成型型70を使用して前記ストラットマウント1を製造する場合をそれぞれ示している。
図5は、成型型70の円弧部24における断面図であり、図6は、成型型70の上型71を取り外した状態において、中間型72をアブソーバロッド2の軸心方向から視た第1内側金具20及び中間型72の平面図を示している。なお、図5は、図6のV―V線における断面に相当する。
図5で示すように、成型型70は、第1内側金具20の上側に配置される上型71と、外側金具40及び第1内側金具20の下側に配設される下型73と、上型71及び下型73によって狭持される一対の中間型72―1,72−2とから構成され、金型用鋼で形成されている。
図5で示すように、下型73に第1内側金具20及び外側金具40が配置された状態で、上型71、中間型72―1,72−2及び下型73が上下に重ねられることにより、成型型70の内部にゴム部材が充填されて本体ゴム50を成型する空間であるキャビティ74が形成される。
一対の中間型72―1,72−2は、すぐり部60を成型する部分については同様に形成されているので、中間型72―1について説明し、中間型72―2についての説明は省略する。
図5で示すように、中間型72―1は、第1内側金具20と外側金具40との間に配設されてすぐり部60を形成するつば部72Aを備え、つば部72Aは、アブソーバロッド2の軸心方向から視て、直線部23と対向する部分を直線状に切り欠いた略半円形状に形成されている。
図5又は図6で示すように、つば部72Aは、上型71の外縁部71dと共に円弧側本体ゴム部56の外縁を形成する外縁部72dと、外縁部72dから内側(図5中央側)に延設されて第1すぐり部62を形成する連結部72b2と、更に連結部72b2から内側(図5中央側)に延設されて第2すぐり部63を形成する突出部72aとを有している。
図6で示すように、中間型72の外縁部72dは、円弧側本体ゴム部56の外縁を成型する円弧部72d1と直線部側本体ゴム部57を成型する直線部72d2とを備えている。
図5で示すように、連結部72b2は、中間型72―1の上面に凹設される凹みであって、中間型72―1の割面72cから割面72cと直交する方向(図6上下方向)に延設されている。連結部72b2は、上側に空間である凹部72b1を備えている。この凹部72b1によって、突起部58(図4参照)が成型される。
図5で示すように、中間型72―1は、下型73の上面に当接する押圧部72eを備えており、押圧部72eと連結部72b2の下面との間には上方(図5上方)に湾曲する湾曲面72fが形成されている。この湾曲面72f及び連結部72b2の下面により、突部本体ゴム部53の上面53aが形成されている。
図5で示すように、連結部72b2の外縁は、中間型72―1の円弧部72d1に形成されており、連結部72b2の内縁は中間型72―1の突出部72aの外縁の直線部分と一致している。
次に、図5及び図6を参照して、ストラットマウント1の成型方法について説明する。まず、下型73に外側金具40と第1内側金具20とをセットする。この場合、外側金具40は、固定部43のナット部43bを下型73の凹部73aに嵌合させることにより、周方向の相対位置の位置決めすることができる。
その後、図5及び図6で示すように、下型73の突部73bを第1内側金具20の開口部21aに嵌合させると共に、左右の中間型72−1,72−2を下型73にセットされた外側金具40の両側から接近させる。
さらに、図5及び図6で示すように、非締結面部45と押圧部72eとを当接させた状態で、第1内側金具20の円弧部24と中間型72の円弧部72d1とを一定の隙間を保持した状態で対向させると共に、第1内側金具20の直線部23と中間型72の直線部72d2とを一定の隙間を保持した状態で対向させた後、中間型72―1,72−2を閉じることにより、第1内側金具20の位置合わせが完了する。
図5で示すように、第1内側金具20の位置合わせが完了した後、上型71が下型73及び中間型72―1,72−2に接近して型締めを行い、ゴム材をキャビティ74内に充填して本体ゴム50を加硫成型する。
加硫成型後に、本体ゴム50を介して一体となった第1内側金具20及び外側金具40を取り出し、第1内側金具20に第2内側金具30をかしめて固定する。
図5で示すように、ストラットマウント1では、本体ゴム50を加硫成型する際に、中間型72に設けた押圧部72eを非締結面部45に押し付けることにより、固定部43へのゴムの侵入を防止する。
図5で示すように、固定部43が形成される締結面部44の周囲に段差部を介して落とし込まれた非締結面部45を設けたことから、本体ゴム50の成型時に、成型型のキャビティ74内から固定部43に侵入しようとするゴムに対し、非締結面部45をその侵入を封鎖するシール面部として作用させることができ、固定部43にゴムバリが発生することを防止することができる。
このように、非締結面部45は、中間型72の押圧部72eに押し付られているが、押し付ける対象が車体に取り付けられる部分ではないため、たとえ押圧により面荒れが生じたとしても車体との締結には影響しない。
図6で示すように、アブソーバロッド2(図2参照)の軸心方向から視て、突起部58(図4参照)を加硫成型する中間型72の型抜き方向(図6の上下方向、即ち、中間型72―1は図6の下方、中間型72―2は図6の上方)と突起部58(図4参照)の延設方向とを一致させる共に、中間型72の割面72cからの離間に従って突起部58(図4参照)の割面方向(図6左右方向)の幅が狭くなるように形成され、突起部58(図4参照)の長手方向と中間型72の型抜き方向(図6の上下方向、即ち、中間型72―1は図6の下方、中間型72―2は図6の上方)とを同一方向に設定してすぐり部60を中間型72により加硫成型している。
よって、図5及び図6で示すように、(図4参照)58の割面方向(図6左右方向)の幅について、中間型72を無理抜きすることなく脱型することができる。従って、中間型72の型割り作業の作業性が向上するので、突起部58(図4参照)を成型する中間型72の脱型性を向上させることができる
また、突起部58の下面58a(図4参照)は、アブソーバロッド2の軸心と直交する方向の円弧側本体ゴム部56側(図3紙面手前側)から視て、波形状に形成されている。
この突起部58の下面58a(図4参照)の波形状の一部を形成する山部58b(図3参照)の延設方向(長手方向)は、一対の円弧部24,24の対向方向(図5左右方向、図6左右方向)であるのに対し、中間型72の脱型方向は、一対の直線部23,23の対向方向(図5紙面手前から奥方向、図6上下方向)である。
よって、山部58b(図3参照)の延設方向(長手方向)と中間型72の脱型方向とが一致しないので、中間型72を脱型する場合に、突起部58の下面58a(図4参照)については、中間型72は無理抜きされることになる。
しかしながら、突起部58(図4参照)は、突起部58(図4参照)を除く円弧側本体ゴム部56(図4参照)のゴム部分より、ゴム量が増加されて弾性変形し易くなっている。
よって、中間型72を無理抜きする場合であっても、突起部58の弾性により脱型性が向上するので、中間型72の型割り作業の作業性を向上させることができる。
次に、図7を参照して、第二実施の形態について説明する。第一実施の形態では、アブソーバロッド2の軸心と直交する方向の円弧部24側(図4右側)から視て、突起部58の下面58aが波形状に形成される場合を説明したが第二実施の形態における突起部158の下面158aは、アブソーバロッド2の軸心と直交する方向の直線部23側(図7(b)紙面手前側)から視て、波形状に形成されている。なお、上記した第一実施の形態と同一の部分には同一の符号を付して、その説明を省略する。
図7(a)は、ストラットマウント101の突起部158の拡大正面図であり、図7(b)は、ストラットマウント101の拡大断面図であり、第一実施の形態の図4に相当するものである。
図7(a)及び図7(b)で示すように、ストラットマウント101は、外周側の第1すぐり部162及び内周側の第2すぐり部163を有する円弧側すぐり部161を備えている。第2すぐり部163は、筒部22側の内周部163aと、内周部163aの下端に連続して形成されると共に、突部本体ゴム部53の上面53aより下方(図7(a)及び図7(b)の下方)に設定される下面部163cと、内周部163aの上端に連続して形成されると共に突起部158の下面158aより上方(図7(a)及び図7(b)の上方)に設定される上面部163bとを備えている。
なお、図7(b)で示すように、アブソーバロッド2の軸心と直交する方向の直線部23側(図7(b)紙面手前側)から視て、下面部163cは、円弧状に形成されると共に上面部163bはL字状に形成される。
図7(a)及び図7(b)で示すように、ストラットマウント101は、本体ゴム150を備えており、本体ゴム150は、その円弧側本体ゴム部156の下面から突部本体ゴム部53の上面53a側に突設される突起部158を備えている。
この突起部158の下面158aは、アブソーバロッド2の軸心と直交する方向の直線部23側(図7(b)紙面手前側)から視て、波形状に形成されている。
即ち、図7(b)で示すように、この突起部158の下面158aの波形状の一部を形成する山部158bの延設方向(長手方向)は、一対の直線部23,23の対向方向(図7(b)紙面手前から奥方向)であるのに対し、中間型72の脱型方向は、一対の直線部23,23の対向方向(図7(b)紙面手前から奥方向)である。
よって、山部158bの延設方向(長手方向)と中間型(図示せず)の脱型方向とが一致するので、中間型(図示せず)を無理抜きすることなく脱型することができ、中間型(図示せず)の型割り作業の作業性が向上する。よって、第一実施の形態に比べて更に、脱型性を向上させることができる。
加えて、図7(b)で示すように、この突起部158の下面158aは、一対の円弧部24,24の対向方向、即ち、車体の左右方向(図7(b)の左右方向)で、同じ高さの山部158bが連続して波形状に形成されている。
また、この突起部158の内端158a1は、第2すぐり部163の下面部163cとアブソーバロッド2の軸心方向で重なる位置に設定されている。
以上、実施の形態に基づき本発明を説明したが、本発明は上記実施の形態に何ら限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲内で種々の改良変形が可能であることは容易に推察できるものである。
上記実施の形態では、円弧側本体ゴム部56のアブソーバロッド2の軸心と直交する方向(図1左右方向)で最も突出した部分に突起部58を突設させる場合を説明したが、必ずしもこれに限られるものではなく、円弧側本体ゴム部56の円弧状の外縁部全体に突起部58を形成しても良い。
また、突起部58の内縁を直線状に形成したが、円弧側本体ゴム部56に沿って円弧状に形成してもよい。
更に、直線部23は外縁が一対の円弧部24,24を連結する方向に直線状に形成されるが、円弧部24と同様に脱型性を確保する方向、即ち中間型72の割面72cからの離間に従って割面方向(図6左右方向)の幅が狭くなるように、円弧状に形成してもよい。
また、直線側すぐり部64の内周部64a(図2参照)の曲率と、円弧側すぐり部61の第2すぐり部63の内周部63の曲率とを同一に設定したが、直線側すぐり部64(図2参照)内周部64a(図2参照)の曲率を第2すぐり部63の内周部63aの曲率より、大きく設定してもよい。これにより、直線側すぐり部64の内周部64aから本体ゴム50の連結部52の亀裂が発生することを防止でき、ストラットマウント1の耐久性を向上させることができる。