JP2009115105A - 空気ばね用筒状可撓膜体。 - Google Patents

空気ばね用筒状可撓膜体。 Download PDF

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Abstract

【課題】コード交錯層になる複数層のコード補強層のそれぞれに所要の強度を付与しつつ、各コード補強層内に、オーバラップ接合部を存在させてなお、筒状可撓膜体の、コードのオーバラップ部分と非オーバラップ部分との剛性段差を有効に低減させて、筒状可撓膜体の、コードオーバラップ部分の近傍域へのオゾンクラック等の発生を効果的に抑制できる空気ばね用筒状可撓膜体を提供する。
【解決手段】コード交錯層になる複数層のコード補強層4,5を埋設配置されて、全体としてほぼ円筒状をなし、両端部を、中心軸線方向に相対変位されるそれぞれの対向部材に気密に連結されるものであって、単位コード補強層4,5を、一枚のコードシートの、二回にわたる周回積層構造とするとともに、そのコードシートの周回端部分を周回積層部分に重ね合させて構成してなる。
【選択図】図2

Description

この発明は、鉄道車両用、トラック・バス用、産業機械用等の比較的大型の空気ばねに用いて好適な、ベローズタイプもしくはダイアフラムタイプの筒状可撓膜体に関するものであり、とくには、コード交錯層になる複数層のコード補強層を、ゴム等に埋設配置してなるその筒状可撓膜体への、いわゆるオゾンクラック等のクラックの発生を有効に抑制する技術を提案するものである。
たとえば、コード交錯層になる二層もしくは四層のコード補強層をゴム中に埋設配置して全体としてほぼ円筒状をなす筒状可撓膜体とし、両端部を、上下のそれぞれの面板に気密に連結する鉄道車両用の空気ばねでは、単位のコード補強層を、中心軸線に対して5〜45°の角度で延在する、太さが840D/2,840D/3または1260D/2の引き揃えコードからなるゴムシート、多くは、表裏両面からゴム被覆を施してなるいわゆるトリートコードを一周回させて、その周回端部分を1〜10mm程度の長さにわたってオーバラップ接合させて構成することが広く一般に行われている。
ところで、単位のコード補強層を、このように、一周回させたトリートコードをオーバラップ接合させて構成する場合には、そのオーバラップ接合部分では、所要の太さ、いいかえれば、所要の強度を有するコードが、多くは1〜15本程度内外に重なり合って位置することになり、単位コード補強層に関しては、オーバラップ部分がトリートコードの非オーバラップ部分に対し2倍の剛性を有することになるので、かかるコード補強層を配設した筒状可撓膜体を空気ばねに適用して、内圧の充填下で使用に供する場合には、トリートコードのオーバラップ部分と非オーバラップ部分との剛性段差に起因して、筒状可撓膜体の、前記オーバラップ部分の近傍域に、とくに大きな伸縮歪が生じることになり、この大きな伸縮歪を原因として、筒状可撓膜体の、とくに外表面に、図3に断面図で誇張して例示するようなオゾンクラックCが発生し易いという問題があった。
そしてこのことは、特許文献1に開示されているような、乗用車等に適用されるより小型の空気ばねに用いられる筒状可撓膜体にあってもまた同様である。
すなわち、この筒状可撓膜体は、ゴム膜中に埋設される内外二層の補強部材のそれぞれのコードの太さをともに、210D/1/2以下の小径のナイロン66繊維コードとするものであるも、ここにおける内外各層もまた、上述したように、トリートコードを一回周回させるとともに、その周回端部分を所定の長さにわたってオーバラップ接合させることによって構成されるものであることから、この筒状可撓膜体にあってもまた、同一の層内でのトリートコードのオーバラップ部分は、非オーバラップ部分の2倍の剛性を有することになり、それ故に、空気ばねの使用に当っては、筒状可撓膜体の、そのオーバラップ部分の近傍域に同様のオゾンクラックが発生し易いという問題があった。
特開昭61−17733号公報
そこでこの発明は、ゴム等に埋設配置される、コード交錯層になる複数層のコード補強層のそれぞれ、いいかえれば、各単位コード補強層に所要の強度を付与しつつ、その単位コード補強層内に、上述したようなオーバラップ接合部を存在させてなお、単位コード補強層内、ひいては、筒状可撓膜体の、コードのオーバラップ部分と非オーバラップ部分との剛性段差を有効に低減させて、筒状可撓膜体の、コードオーバラップ部分の近傍域へのオゾンクラック等の発生を効果的に抑制できる空気ばね用筒状可撓膜体を提供する。
この発明は、ゴム等に埋設配置される、コード交錯層になる複数層のコード補強層の各々につき、コード補強層の厚みを増加させることなく所要の強度を確保することを前提としてコードシート、通常は、表裏両面にゴム被覆を施してなるトリートコードのオーバラップ部分と非オーバラップ部分との間の剛性段差を十分小さくするためには、コードの太さを従来のそれより細くする一方、コード太さの低減に伴うコード補強層それ自体の強度の低下を、コードの打込み本数の増加、より具体的には、トリートコードの周回数の増加をもって補うことが有効であるとの知見に基いてなされたものであり、この発明に係る空気ばね用可撓膜体は、コード交錯層になる複数層のコード補強層を、ゴム等に埋設配置されて、全体として円筒状をなし、両端部を、中心軸線方向に相対変位されるそれぞれの対向部材、たとえば上下の面板に気密に連結される、ベローズタイプもしくはダイアフラムタイプのものであって、単位コード補強層を、一枚のコードシート、多くは表裏の両面にゴム被覆を施してなる一枚のトリートコードの、複数回、たとえば二回にわたる周回積層構造とするとともに、そのトリートコードの周回端部分を周回積層部分に重ね合わせ接合させて構成してなるものである。
ここで好ましくは、コードシート、たとえばトリートコード太さを420D/2,210D/2もしくは210D/3とする。
この発明の筒状可撓膜体では、強度も厚みも、従来から一般に要求されている単位コード補強層のそれとほぼ同一とする一方で、従来は、トリートコードの一回の周回によって構成してなる単位コード補強層を、より細いコード太さの選択下で、複数回、たとえば2回にわたる周回積層構造とするとともに、そのトリートコードの周回端部分を、周回積層部分に重ね合わせ接合させることにより、単位コード補強層につき、周回端部分の重ね合わせになるトリートコードのオーバラップ部分の、非オーバラップ部分に対する剛性比(3/2)を1.5倍とすることができ、これは、従来技術の同様の比である2倍に比して、相当小さい値であるので、単位コード補強層、ひいては、筒状可撓体における、オーバラップ部分と非オーバラップ部分との間の剛性段差を、従来技術に比して有利に低減させることができる。
これがため、この筒状可撓膜体では、オーバラップ接合部分が存在してなお、小さな剛性段差の下で、そのオーバラップ部分の近傍域への歪の集中を有効に緩和することができ、その近傍域へのオゾンクラックの発生を効果的に抑制することができる。
ところで、かかる筒状可撓膜体のコードシートのコードの太さを、比較的大型の空気ばね用のものに広く使用されている840D/2,1260D/2等に比してはるかに細い、420D/2,210D/2もしくは210D/3とするときは、単位コード補強層の厚みの増加をもたらすことなしに、単位コード補強層に、所要の強度を十分に付与することができる。
図1は、この発明に係るベローズタイプの筒状可撓膜体を、鉄道車両用空気ばねに適用した場合を例示する縦断面図であり、図2はその筒状可撓膜体を示す断面図である。
図1に示す空気ばねは、ばね上側の荷重を常用荷重として、それを所定の高さに維持するに必要な空気圧294〜490kpa(3〜5kg/cm2)を充填した常態姿勢で示すものであり、1は上面板を、2は下面板をそれぞれ示し、そして3は、ともに水平姿勢としたそれらの上下の面板1,2に、それぞれの端部を気密に連結した筒状可撓膜体を示す。
ここで、図示のこの筒状可撓膜体3は、コード交錯層になる二層のコード補強層4,5をゴム中に埋設配置してなり、それの独立下では、図2(a)に、半部を縦断面図で例示するように、全体としてほぼ円筒状をなす。なおここでのコード補強層4,5のそれぞれは、補強層コードを、中心軸線に対して5〜45°の角度で、相互に逆方向にたとえば対称に延在させて交錯させることが好ましい。
またここでは、図1に示すように、上面板1の中央部に、筒状可撓膜体3内への内圧の給排を司るノズル6を設け、そして、下面板2の下方側に、ビード受座7を介して、全体として円筒状をなす積層ゴム8を取り付ける。
ところで、下面板それ自体には、筒状可撓膜体3の内側を積層ゴム8の内側に連通させる絞り通路9を、そして積層ゴム8には、その内側を、図示しない補助タンクに連通させるノズル10をそれぞれ設ける。
なお図中11は、上面板1に設けられて、筒状可撓膜体3の外周側部分に接触し、車両の前後方向および左右方向の所要のばね特性に応じて、その筒状可撓膜体3の変形を拘束するゴム部材を示す。
鉄道車両に従来から広く一般に使用されているこのような空気ばねは、たとえば、ばね上側の上下振動、左右振動および前後振動に対して所要のばね特性および減衰機能を発揮することができる。
このような空気ばねに適用される、コード交錯層になる二層のコード補強層4,5を具える筒状可撓膜体3では、単位のコード補強層としての各層のコード補強層4,5につき、図2(b)に、筒状可撓膜体3の要部を、それの中心軸線と直交する方向の拡大断面図で例示するように、好ましくは、コードの太さを、従来から一般的に用いられている840D/2に比してはるかに細い、420D/2,210D/2もしくは210D/3としたコードの引き揃えシート、より具体的には、引き揃えコードからなるコードシートの表裏両面にゴム被覆を施してなるトリートコードを、図では二回にわたって周回させた周回積層構造とするとともに、一枚のそのトリートコードの周回端部分を、外層側のコード補強層5について例示するように、周回積層部に、たとえば、1〜15mmの周方向長さにわたって重ね合わせ接合させることにより構成する。
この場合、コード補強層4の重ね合わせて接合部は、コード補強層5のそれとは円周方向に、たとえば180°位置をずらして形成されるので、図2(b)には表出されないことになる。
このような構造のコード補強層4,5を、たとえばコード太さが210D/2もしくは210D/3のものを用いて構成したときは、各補強層4,5の厚み、とくには、周回積層構造部分の厚みを1〜1.5mmとすることができ、この厚みは、図2(c)に拡大断面図で例示するように、840D/2のコードを用い、一枚のトリートコードを、一回だけ巻き回して各コード補強層を構成する場合とほぼ同様のものとなる。
ところで、210D/2もしくは210D/3のコードそれ自体は、840D/2のコードに比して、太さの低減分だけ強度が低くなるも、この強度の低下分を、コードの打込密度の増加、すなわち、トリートコードの周回数の増加をもって補うことで、単位のコード補強層としてみたときは、厚みの実質的な増加なしに、強度を同等のものとすることができる。
なお、図1,2中12は、両コード補強層4,5の内面側を覆うインナーゴムを、そして13は、それらのコード補強層4,5の外面側を覆うカバーゴムをそれぞれ示す。
以上のような筒状可撓膜体3の製造は、たとえば、成型ドラム上に、未加硫のインナーゴム素材を貼着させ、次いで、内層側のコード補強層4のためのトリードコードを二回にわたって周回積層等させるとともに、外層側のコード補強層5のための未加硫トリートコードを、コード補強層4のためのコードとの間に所要のコード交角を確保しつつ、これもまた二回にわたって周回積層等させ、その後に、未加硫のカバーゴム素材を貼着させて、全体として円筒状の成型体を構成し、そして、その成型体の両端部分にビードコアを巻込み配置した後、成型ドラムから取り外したその成型体を、所要の形状にシェーピングし、このようにして成型を終えた未加硫筒状可撓膜体を、加硫機によって加硫成形することによって行うことができる。
以上、鉄道車両用のベローズタイプの空気ばねについて説明したが、この発明は、比較的大型の各種用途のダイフラムタイプの空気ばねに用いられる筒状可撓膜体にもまた適用することができる。
この発明に係る筒状可撓膜体の適用側を示す縦断面図である。 筒状可撓膜体を示す断面図である。 オゾンクラックの発生形態を例示する断面図である。
符号の説明
1 上面板
2 下面板
3 筒状可撓膜体
4,5 コード補強層
12 インナーゴム
13 カバーゴム

Claims (2)

  1. コード交錯層になる複数層のコード補強層を埋設配置されて、全体としてほぼ円筒状をなし、両端部を、中心軸線方向に相対変位されるそれぞれの対向部材に気密に連結される空気ばね用筒状可撓膜体であって、
    単位コード補強層を、一枚のコードシートの、複数回にわたる周回積層構造とするとともに、そのコードシートの周回端部分を周回積層部分に重ね合わせ接合させて構成してなる空気ばね用筒状可撓膜体。
  2. コードシートのコードの太さを420D/2,210D/2もしくは210D/3としてなる請求項1に記載の空気ばね用筒状可撓膜体。
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