JP2009113503A - シートベルトリトラクタおよびこれを備えているシートベルト装置 - Google Patents

シートベルトリトラクタおよびこれを備えているシートベルト装置 Download PDF

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Abstract

【課題】エネルギ吸収ピンを用いて乗員の慣性エネルギをより効果的にかつより効率よく吸収しつつ、しかも、組み付け作業をより一層簡単にしかつコンパクトに形成する。
【解決手段】エネルギ吸収ピン17の軸部17aにおける部分17a1が、スプール9の軸方向溝9c内に位置される。エネルギ吸収ピン17の部分17a1の端部には係止部17cが形成されている。エネルギ吸収ピン17の引き抜き時に、係止部17cがスプール9の軸方向溝9cの両側壁のいずれかに当接することで、スプール9の軸方向溝9c内に位置する軸部17aの部分17a1がその長手方向軸回りに回転するのが阻止される。これにより、エネルギ吸収ピン17の引き抜き時に、軸部17aの部分17a1に引き抜き曲げ荷重とねじり荷重とが加えられる。
【選択図】 図1

Description

本発明は、シートベルトを巻取引出し可能に巻き取るシートベルトリトラクタの技術分野に関し、特に、シートベルト装着状態で衝突時等の車両に大きな車両減速度が作用した場合のような緊急時にシートベルトの引出しを阻止する際、エネルギ吸収部材の作用によりこのシートベルトにかかる荷重を制限して乗員のエネルギを吸収緩和するエネルギ吸収機構(以下、EA機構ともいう)を備えているシートベルトリトラクタおよびこれを備えているシートベルト装置の技術分野に属するものである。
従来から自動車等の車両に装備されているシートベルト装置は、前述の緊急時に、シートベルトで乗員を拘束することにより乗員のシートからの飛び出しを阻止している。
図4は、従来の一般的なシートベルト装置を模式的に示す図である。図中、1はシートベルト装置、2は車両シート、3は車両シート2の近傍に配設されたシートベルトリトラクタ、4はシートベルトリトラクタ4に引出し可能に巻き取られかつ先端のベルトアンカー4aが車体の床あるいは車両シート2に固定されるシートベルト、5はシートベルトリトラクタ3から引き出されたシートベルト4を乗員のショルダーの方へガイドするガイドアンカー5、このガイドアンカー5からガイドされてきたシートベルト4に摺動自在に支持されたタング6、車体の床あるいは車両シートに固定されかつタング6が係脱可能に挿入係合されるバックル7である。
ところで、シートベルト装置1に用いられるシートベルトリトラクタ3においては、従来、EA機構であるトーションバーを設けて、シートベルト装着状態での緊急時に、このシートベルトにかかる荷重を制限して乗員の慣性エネルギを吸収緩和することが行われている。更に、制限荷重を効果的に得られるようにするために、トーションバーに加えて他のEA機構を設け、トーションバーによるエネルギ吸収とこの他のEA機構によるエネルギ吸収とを有機的に組み合わせてEA作動を行うシートベルトリトラクタ3が種々開発されている。
このようなシートベルトリトラクタ3として、他のEA機構に細長いエネルギ吸収ピン(あるいはエネルギ吸収ワイヤ)をスプールの軸方向穴に嵌入させ、緊急時にこのエネルギ吸収ピンを曲げ変形させながら引き抜くことでEA作動を行うシートベルトリトラクタ3が知られている(例えば、特許文献1参照)。
図5は、特許文献1に記載のエネルギ吸収ワイヤを用いたEA機構を備える従来のシートベルトリトラクタの一例を模式的に示す図である。図中、3はシートベルトリトラクタ、8はコ字状のフレーム、9はコ字状のフレーム8の両側壁間に回転可能に支持され、シートベルト4を巻き取るスプール、10は前述の緊急時に発生する大きな車両減速度を感知して作動する減速度感知機構、11は減速度感知機構10によって作動して少なくともスプール9のベルト引出方向の回転を阻止するロック機構、12はスプール9の中心に軸方向に遊嵌、貫通されたEA機構であるトーションバー、13は図示しないスパイラルスプリングのばね力によりスプール9を常時ベルト巻取方向に付勢するスプリング機構である。
ロック機構11は、ロッキングベース(本発明のロッキング部材に相当)14と、このロッキングベース14に回動可能に支持されたパウル15と、ロッキングベース14に軸方向に隣接して設けられた図示しないロックギヤとを備えている。ロッキングベース14はトーションバー12の一端側(図5において右端側)に一体回転可能に連結されている。また、ロックギヤは、トーションバー12に支持されている。その場合、ロックギヤは、通常時はトーションバー12およびロッキングベース14と一体回転可能であるが、緊急時に減速度感知機構10の作動で少なくともベルト引出し方向の回転が阻止される。このロックギヤの回転阻止で、トーションバー12およびロッキングベース14とロックギヤとの間に相対回転差が発生し、パウル15がロックギヤのカム孔(不図示)により回動制御されてフレーム8の側壁8aの内歯16に係合する、これにより、ロッキングベース14のベルト引出方向の回転が阻止される。
トーションバー12の他端側(図5において左端側)がスプール9に一体回転可能に連結されているとともに、スプリング機構13のばね力により常時ベルト巻取方向に付勢されている。したがって、スプール9は、通常時はトーションバー12およびロッキングベース14と一体回転可能であるが、緊急時に減速度感知機構10の作動でロッキングベース14がベルト引出し方向の回転を阻止されると、ロッキングベース14に対してベルト引出し方向に相対回転するようになる。また、スプリング機構13のばね力により、スプール9はトーションバー12を介して常時ベルト巻取方向に付勢されている。
スプール9とロッキングベース14との間には、細長いエネルギ吸収ピン17が設けられている。このエネルギ吸収ピン17は細長い軸部17aとこの軸部17aの一端に設けられた頭部17bとからなっている。軸部17aはロッキングベース14をスプール9の軸方向と同方向に貫通しかつスプール9の直線状の軸方向穴9a内に嵌入されている。また、頭部17bは、軸部17a側の面がロッキングベース14に係合する係合面17b1とされている。
なお、図5に示すシートベルトリトラクタ3において、細長いエネルギ吸収ピン17以外の構造が部分的に特許文献1に記載のシートベルトリトラクタと異なるが、これらの構造は従来周知であり(例えば、特許文献2参照)、説明の便宜上、図5には特許文献1に記載のエネルギ吸収ピン17を特許文献2に記載のシートベルトリトラクタに組み合わせて示している。
このように構成された従来のシートベルトリトラクタ3においては、シートベルト非装着時には、スプリング機構13の付勢力で、シートベルト4が完全に巻き取られている。そして、装着のためシートベルト4を通常の速度で引き出すと、スプール9がベルト引出方向に回転し、シートベルト4はスムーズに引き出される。シートベルト4に摺動自在に設けられたタング6を車体に固定されたバックル7に挿入係止した後、余分に引き出されたシートベルト4がスプリング機構13の付勢力でスプール9に巻き取られ、シートベルト4は乗員に圧迫感を与えない程度にフィットされる。
前述の緊急時に車両に通常よりかなり大きな車両減速度が生じると、この大車両減速度で減速度感知機構10が作動して、ロックギヤのベルト引出方向の回転が阻止される。すると、ロックギヤのカム制御孔によりパウル15が回動制御されて、フレーム8の側壁8aの内歯16に係合する。これにより、ロッキングベース14のベルト引出方向の回転が阻止されるのに対してスプール9が引き続きベルト引出し方向に回転しようとするので、トーションバー12がねじられる。これ以後、スプール9がトーションバー12をねじりつつロッキングベース14に対してベルト引出方向に相対的に回転することになる。このときのトーションバー12のねじり荷重によってシートベルト4に加えられる荷重が制限されて、乗員に加えられる衝撃が吸収緩和される。
スプール9がロッキングベース14に対して相対回転することで、エネルギ吸収ピン17の軸部17aにおける、スプール9の軸方向穴9a内に嵌入されかつ直線状に形成された部分17a1が、図6(a)に示すピン引き抜き前の状態から、図6(b)に示すようにロッキングベース14によって頭部17bが引っ張られることで軸方向穴9aから引き抜かれる。このとき、軸部17aの部分17a1はスプール9とロッキングベース14との間で周方向に曲げ変形されつつ引き抜かれる。そして、エネルギ吸収ピン17が引き抜き曲げ荷重によってもシートベルト4に加えられる荷重が制限される。
このときの制限荷重は、図7(b)に示すようにトーションバー12のねじり荷重とエネルギ吸収ピン17の引き抜き曲げ荷重との合算した荷重となる。そして、図6(c)に示すようにエネルギ吸収ピン17の軸部17aにおける部分17a1が、スプール9の軸方向穴9aから完全に抜かれると、エネルギ吸収ピン17による制限荷重はなくなり、トーションバー12のねじり荷重のみによる制限荷重となる。こうして、トーションバー12によるエネルギ吸収とエネルギ吸収ピン17によるエネルギ吸収とが有機的に組み合わせられて、制限荷重が効果的に得られるようになる。
特開2006−205821号公報。 特開2001−58559号公報。
ところで、このようなエネルギ吸収ピン17を用いたEA機構では、前述の図7(b)に示すように制限荷重がトーションバー12のねじり荷重とエネルギ吸収ピン17の引き抜き曲げ荷重との合算した荷重のみとなっている。このため、緊急時における乗員の慣性エネルギをより効果的にかつより効率よく吸収するには、限度がある。
そこで、緊急時における乗員の慣性エネルギをより効果的にかつより効率よく吸収するために、トーションバー12とエネルギ吸収ピン17との2つのEA機構に更なるEA機構を設けることが考えられる。
しかしながら、更なるEA機構を単純に設けたのでは、部品点数が増大するばかりでなく、その設置スペースが必要となってしまう。このため、シートベルトリトラクタ3が大型になるばかりでなく組み付け工数が増大し、必然的にコストが高くなるという問題がある。
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであって、その目的は、エネルギ吸収ピンを用いて乗員の慣性エネルギをより効果的にかつより効率よく吸収しつつ、しかも、組み付け作業をより一層簡単にしかつコンパクトに形成することのできる安価なシートベルトリトラクタおよびこれを備えているシートベルト装置を提供することである。
前述の課題を解決するために、請求項1の発明に係るシートベルトリトラクタは、シートベルトを巻き取るスプールと、通常時前記スプールとともに回転しかつ緊急時にシートベルト引出し方向の回転が阻止されて前記スプールと相対回転を生じるロッキング部材を有するロック機構と、前記スプールと前記ロッキング部材とに設けられたエネルギ吸収ピンとを少なくとも備え、前記スプールと前記ロッキング部材との相対回転時に前記エネルギ吸収ピンが前記スプールから引き抜かれることで、前記シートベルトにかかる荷重を制限するシートベルトリトラクタにおいて、前記エネルギ吸収ピンが、前記スプールから引き抜かれる際に、少なくとも前記スプール内に設けられた前記エネルギ吸収ピンの部分がその長手軸回りに回転するのを阻止する回転阻止機構が設けられていることを特徴としている。
また、請求項2の発明に係るシートベルトリトラクタは、前記スプールの回転がトーションバーを介して前記ロッキング部材に伝達されることを特徴としている。
更に、請求項3の発明に係るシートベルトリトラクタは、前記回転阻止機構が、前記エネルギ吸収ピンに設けられた係止部と、前記スプールに設けられて、前記係止部が当接することで前記スプール内に設けられた前記エネルギ吸収ピンの部分の回転を阻止する軸方向溝とを有することを特徴としている。
更に、請求項4の発明に係るシートベルトリトラクタは、前記係止部が、前記スプール内に設けられた前記エネルギ吸収ピンの部分の端部を曲げることで形成されていることを特徴としている。
更に、請求項5の発明に係るシートベルト装置は、シートベルトを巻き取るシートベルトリトラクタと、このシートベルトリトラクタから引き出されたシートベルトに摺動自在に支持されたタングと、このタングが係脱可能に係合されるバックルとを少なくとも備え、緊急時にシートベルトリトラクタによって前記シートベルトの引出しが阻止されることで乗員を拘束するシートベルト装置において、前記シートベルトリトラクタが、請求項1ないし4のいずれか1記載のシートベルトリトラクタであることを特徴としている。
このような構成をした本発明のシートベルトリトラクタによれば、エネルギ吸収ピンがスプールから引き抜かれる際に、少なくともスプール内に設けられたエネルギ吸収ピンの部分がその長手軸回りに回転するのを回転阻止機構により阻止しているので、エネルギ吸収ピンの引き抜き時に、エネルギ吸収ピンのスプール内の部分に引き抜き曲げ荷重とねじり荷重とを加えることができる。これにより、エネルギ吸収ピンにより乗員の慣性エネルギをより一層効果的にかつより一層効率よく吸収することができる。
また、回転阻止機構に、エネルギ吸収ピンに設けられた係止部と、スプールに設けられて、係止部が当接することでスプール内に設けられたエネルギ吸収ピンの部分の回転を阻止する軸方向溝とを備えているので、特別な部品を必要とすることなく、良好なエネルギ特性を得ることができる。しかも、部品点数を増大させることなく、エネルギ吸収ピンの組み付け作業をより一層簡単にし、かつエネルギ吸収ピンにねじり荷重を加えるようにしてもシートベルトリトラクタをコンパクトにかつ安価に形成することができる。
特に、スプール内に設けられたエネルギ吸収ピンの部分の端部を曲げることでエネルギ吸収ピンの係止部を形成しているので、エネルギ吸収ピンを簡単に形成することができる。したがって、エネルギ吸収ピンによる従来のEA機構を大幅に設計変更することなく、簡単な設計変更で形成することができる。
また、本発明のシートベルト装置によれば、本発明のシートベルトリトラクタを用いているので、車両の乗員を緊急時により一層効率よく拘束することができるようになる。
以下、図面を用いて本発明を実施するための最良の形態について説明する。
図1(a)は本発明にかかるシートベルトリトラクタの実施の形態の一例に用いられるスプール、ロッキングベースおよびエネルギ吸収ピンを模式的に示す断面図、(b)はエネルギ吸収ピンの正面図、(c)はエネルギ吸収ピンの左側面図である。また、図2(a)は図1(a)においてロッキングベースを除いた状態の右側面図、図2(b)は、図1(a)における右側面図である。なお、以下の実施の形態の説明において、前述の従来例と同じ構成要素には同じ符号を付すことで、その詳細な説明は省略する。
図1(a)に示すように、この例のシートベルトリトラクタ3に用いられるスプール9は、右端が開放された軸方向断面がU字状に形成されている。スプール9の左端には、左端側回転軸9bが一体に形成されている。図1(a)および(d)に示すように、スプール9の内周面には、スプール9の中心方向に開口する直線状の軸方向溝9cが形成されている。この軸方向溝9cは、スプール9の右端の開口端まで延設されている。
スプール9の右端開口部にはロッキングベース14がスプール9に対して相対回転可能に嵌合支持されている。このロッキングベース14は、前述の図5に示す従来のシートベルトリトラクタ3と同様に、通常時はスプール9と一体に回転し、また緊急時はパウル15がフレーム8の内歯16に係合することで少なくともベルト引出し方向の回転が阻止されて、スプール9との間に相対回転が生じるようにされている。このロッキングベース14には、右端側回転軸14aが一体に形成されている。
そして、トーションバー12がスプール9内にこのスプール9と同軸に配設されている。その場合、トーションバー12の左端側はスプール9と一体回転可能に回転的に連結されているとともに、トーションバー12の右端側はロックキングベース14と一体回転可能に回転的に連結されている。
図1(a)に示すように、エネルギ吸収ピン17が従来と同様にスプール9とロッキングベース14との間に配設されている。図1(b)および(c)に示すように、このエネルギ吸収ピン17は従来と同様に軸部17aとこの軸部17aの右端に設けられた頭部17bとからなっている。その場合、この例のエネルギ吸収ピン17では、頭部17bと反対側の軸部17aの端部に所定角度(図示例では、直角)に曲げられた係止部17cが形成されている。したがって、係止部17cは、通常時スプール9内に位置する軸部17aの部分17a1に設けられている。
そして、スプール9にロッキングベース14とエネルギ吸収ピン17とが組み付けられた状態では、図1(a)および(d)に示すようにスプール9内の軸部17aの部分17a1は軸方向溝9c内に位置されるとともに、係止部17cは溝9cの両側壁溝9c1,9c2間に位置されるようになっている、したがって、スプール9内の軸部17aの部分17a1は、係止部17cが溝9cの両側壁溝9c1,9c2のいずれかに当接することによって、長手方向軸回りに回転不能とされている。したがって、エネルギ吸収ピン17の係止部17cとスプールの溝9cとによって、本発明の回転阻止機構が構成されている。
また、図1(a)および図2(a)に示すように、エネルギ吸収ピン17は、従来と同様にロッキングベース14を貫通しているとともに、その頭部17bの係止面17b1がロッキングベース14の凹部14bの底部14b1に係合されている。
前述の図5に示す従来例のシートベルトリトラクタ3では、トーションバー12にロック機構11の図示しないロックギヤを回転可能に支持し、また、スプリング機構13の付勢力を、トーションバー12を介してスプール4に伝達するようにしているが、この例のシートベルトリトラクタ3では、ロック機構11のロックギヤはロッキングベース14の右端側回転軸14aに回転可能に支持され、また、スプリング機構13の付勢力は左端側回転軸9bを介してスプール4に伝達するようにしている。また、この例のシートベルトリトラクタ3の他の構成は、図5に示す従来例のシートベルトリトラクタ3と同じである。
このように構成されたこの例のシートベルトリトラクタ3におけるエネルギ吸収ピン17を用いたEA機構では、従来と同様に、図3(a)ないし(c)に示す通常状態から、緊急時にロックキングベース14に対してスプール9がベルト引出し方向に相対回転して、エネルギ吸収ピン17がスプール9から引き抜かれる。このとき、スプール9とロックキングベース14との相対回転で、スプール9内のエネルギ吸収ピン17の軸部17aの部分17a1には、その長手方向軸心回りに回転力が加えられる。
スプール9の軸方向溝9cから引き抜き出され曲げられた軸部19aは、スプール9の円環状溝9dとロッキングベース14の円環状溝14cとからなる円環状ガイドに収容されながら、引き抜き出される。
その場合、図5および図6(a),(b)に示す従来のシートベルトリトラクタ3では、スプール9の軸方向穴9aに嵌入されるエネルギ吸収ピン17の軸部17aの部分17a1が単に直線状に形成されているだけであるため、この部分17a1は回転力が加えられると容易に長手方向軸心回りに回転してしまう。このため、前述の図7(b)に示すようにシートベルト4に加えられる制限荷重は、トーションバー12によるねじり荷重とエネルギ吸収ピン17の引き抜き曲げ荷重とだけを合算した荷重となる。
これに対して、この例のシートベルトリトラクタ3では、エネルギ吸収ピン17の係止部17cが溝9cの両側壁溝9c1,9c2のいずれかによって、長手方向軸回りに回転不能とされているため、図3(d)ないし(f)に示すように軸部17aの部分17aには前述の回転力が加えられても係止部17cがスプール9に対して同じ位置に保持され、軸部17aの部分17a1は長手方向軸心回りに回転することはない。これにより、軸部17aの部分17a1の引き抜き時に、前述の回転力により軸部17aの部分17a1にはねじり荷重も加えられ、部分17a1はねじり変形もするようになる。すなわち、エネルギ吸収ピン17における軸部17aの部分17a1は、その引き抜き時に引き抜き曲げ荷重とねじり荷重とが加えられるようになる。したがって、図7(a)に示すようにシートベルト4に加えられる制限荷重は、トーションバー12によるねじり荷重とエネルギ吸収ピン17の引き抜き曲げ荷重に加えて、更にエネルギ吸収ピン17のねじり荷重を合算した荷重となる。
そして、図3(g)ないし(i)に示すように軸部17aの部分17a1が完全にスプール9から引き抜かれると、制限荷重はトーションバー12のねじり荷重のみによる荷重となる。その場合、エネルギ吸収ピン17の係止部17cがスプール9の引き抜き端部付近に来ると、ロッキングベース14によってねじられつつ軸部17aと同じ直線状にされて溝9cに沿って引き抜かれていくようになる。このとき、制限荷重はほとんど変化しない。なお、ロッキングベース14が回転を阻止されることから、エネルギ吸収ピン17の頭部17bの位置は、スプール9がベルト引出し方向に回転しても周方向に変化しないが、図3(d)ないし(i)においては、説明の便宜上、スプール9の回転とともに移動して示されている。
この例のシートベルトリトラクタ3によれば、エネルギ吸収ピン17に設けた係止部17cとスプール9に設けた軸方向溝9cとによって、スプール9内に位置する軸部17aの部分17a1を長手方向軸回りに回転不能にしているので、エネルギ吸収ピン17の引き抜き時に、エネルギ吸収ピン17の部分17a1に引き抜き曲げ荷重とねじり荷重とを加えることができる。これにより、エネルギ吸収ピン17により乗員の慣性エネルギをより一層効果的にかつより一層効率よく吸収することができる。
また、この例のシートベルトリトラクタ3では、エネルギ吸収ピン17の軸部17aの部分17a1の端部を単純に曲げるとともに、スプール9に簡単な形状の軸方向溝9cを単に設けるだけであるので、特別な部品を必要とすることなく、良好なエネルギ特性を得ることができる。しかも、部品点数を増大させることなく、エネルギ吸収ピン17の組み付け作業をより一層簡単にし、かつエネルギ吸収ピン17にねじり荷重を加えるようにしてもシートベルトリトラクタ3をコンパクトにかつ安価に形成することができる。
特に、スプール4内に設けられたエネルギ吸収ピン17の部分17a1の端部を曲げることでエネルギ吸収ピン17の係止部17cを形成しているので、エネルギ吸収ピン17を簡単に形成することができる。したがって、エネルギ吸収ピン17による従来のEA機構を大幅に設計変更することなく、簡単な設計変更で形成することができる。
そして、この例のシートベルトリトラクタ3は、例えば図4に示すシートベルト装置1を始め、シートベルトリトラクタ3を用いるシートベルト装置1であれば、どのようなシートベルト装置1にも用いることができる。これにより、車両の乗員をシートベルト装置1により緊急時に効率よく拘束することができるようになる。
なお、本発明に係るシートベルトリトラクタは、前述の実施の形態に限定されるものではなく、スプール9とロッキングベース14との間に設けられて緊急時に乗員の慣性エネルギを緩和吸収するエネルギ吸収ピン17を用いたシートベルトリトラクタであれば、特許請求の範囲に記載された事項の範囲内で種々のシートベルトリトラクタに適用可能である。
本発明のシートベルトリトラクタは、自動車等の車両に付設されたシートベルト装置に用いられ、衝突時等の緊急時にエネルギ吸収部材でシートベルトにかかる荷重を制限して乗員の慣性エネルギを吸収緩和しつつシートベルトの引出しを阻止するシートベルトリトラクタに好適に利用することができる。
(a)は本発明にかかるシートベルトリトラクタの実施の形態の一例に用いられるスプール、ロッキングベースおよびエネルギ吸収ピンを模式的に示す断面図、(b)はエネルギ吸収ピンの正面図、(c)はエネルギ吸収ピンの左側面図、(d)は(a)におけるID−ID線に沿う断面図である。 (a)は図1(a)においてロッキングベースを取り除いた右側面図、(b)は、図1(a)における右側面図である。 (a)ないし(i)は、図1に示す例のエネルギ吸収ピンの挙動を説明する図である。 シートベルト装置の一例を模式的に示す図である。 エネルギ吸収ピンを備えた従来のシートベルトリトラクタの一例を模式的に示す断面図である。 (a)ないし(c)は、従来のエネルギ吸収ピンの挙動を説明する図である。 (a)は本発明のエネルギ吸収ピンによる制限荷重を示す図、(b)は従来のエネルギ吸収ピンによる制限荷重を示す図である。
符号の説明
1…シートベルト装置、3…シートベルトリトラクタ、4…シートベルト、6…タング、7…バックル、8…フレーム、9…スプール、9c…軸方向溝、9c1,9c2…軸方向溝9cの側壁、10…減速度感知機構、11…ロック機構、12…トーションバー、13…スプリング機構、14…ロッキングベース、14a…凹部、14a1…凹部14aの底部、15…パウル、16…内歯、17…エネルギ吸収ピン、17a…軸部、17a1…スプール9に嵌入される軸部17aの部分、17b…頭部、17b1…頭部17bの係合面、17c…係止部

Claims (5)

  1. シートベルトを巻き取るスプールと、通常時前記スプールとともに回転しかつ緊急時にシートベルト引出し方向の回転が阻止されて前記スプールと相対回転を生じるロッキング部材を有するロック機構と、前記スプールと前記ロッキング部材とに設けられたエネルギ吸収ピンとを少なくとも備え、前記スプールと前記ロッキング部材との相対回転時に前記エネルギ吸収ピンが前記スプールから引き抜かれることで、前記シートベルトにかかる荷重を制限するシートベルトリトラクタにおいて、
    前記エネルギ吸収ピンは、前記スプールから引き抜かれる際に、少なくとも前記スプール内に設けられた前記エネルギ吸収ピンの部分がその長手軸回りに回転するのを阻止する回転阻止機構が設けられていることを特徴とするシートベルトリトラクタ。
  2. 前記スプールの回転がトーションバーを介して前記ロッキング部材に伝達されることを特徴とする請求項1記載のシートベルトリトラクタ。
  3. 前記回転阻止機構は、前記エネルギ吸収ピンに設けられた係止部と、前記スプールに設けられて、前記係止部が当接することで前記スプール内に設けられた前記エネルギ吸収ピンの部分の回転を阻止する軸方向溝とを有することを特徴とする請求項1または2記載のシートベルトリトラクタ。
  4. 前記係止部は、前記スプール内に設けられた前記エネルギ吸収ピンの部分の端部を曲げることで形成されていることを特徴とする請求項3記載のシートベルトリトラクタ。
  5. シートベルトを巻き取るシートベルトリトラクタと、このシートベルトリトラクタから引き出されたシートベルトに摺動自在に支持されたタングと、このタングが係脱可能に係合されるバックルとを少なくとも備え、緊急時にシートベルトリトラクタによって前記シートベルトの引出しが阻止されることで乗員を拘束するシートベルト装置において、
    前記シートベルトリトラクタは、請求項1ないし4のいずれか1記載のシートベルトリトラクタであることを特徴とするシートベルト装置。
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