JP2009113224A - インクジェットヘッドユニット - Google Patents

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JP2009113224A JP2007285713A JP2007285713A JP2009113224A JP 2009113224 A JP2009113224 A JP 2009113224A JP 2007285713 A JP2007285713 A JP 2007285713A JP 2007285713 A JP2007285713 A JP 2007285713A JP 2009113224 A JP2009113224 A JP 2009113224A
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Abstract

【課題】長時間駆動時のワイピングによる着弾の乱れを抑制し、長時間駆動にも安定した着弾精度を可能とするインクジェットヘッドユニットを提供する。
【解決手段】インク吐出孔を有するノズルプレートを前端面に有し、該インク吐出孔よりインク滴を吐出するインクジェットヘッド;および該インクジェットヘッドの前端面上においてノズルプレートの外周を覆うように形成されたカバー部材を備え、該カバー部材が表面に2種類以上のフッ素樹脂を含有する樹脂膜を有することを特徴とするインクジェットヘッドユニット。
【選択図】図1

Description

本発明は、複数のインク吐出孔を有するノズルプレートを介してインク滴を吐出するインクジェットヘッドユニットに関する。
図10に示すような、一般的なインクジェットヘッド101において、高精度な印刷を行うためには、前端面102に配置されたノズルプレート103のインク吐出孔104からインク滴を吐出させるに際し、インク滴を精度よく被印刷体に着弾させることが必要である。そのためには、インク吐出孔と被印刷体との相対位置を正確に制御する必要がある。さらに、吐出するインク滴の量を制御して微小化させること、及び、インク滴の吐出方向を正確に制御することが必要である。
その中でも、インク滴の吐出方向を正確に制御するためには、インク滴をノズルプレートに対して垂直方向に吐出する必要がある。しかし、吐出されたインク滴と吐出孔近傍に付着したインクとが干渉する等の原因によって、インク滴を安定的に垂直方向に吐出することは容易ではない。このため、吐出孔近傍に付着したインク滴はワイピングによって除去している。
一方、ノズルプレート103は、インク吐出孔104をインクジェットヘッド内部のインク流路に対応させるように、精度よくインクジェットヘッドの前端面102に接着・配置させる必要がある。ノズルプレートの接着面積は可能な限り小さい方が望ましい。そのため、図10に示すように、ノズルプレート103はインクジェットヘッドの前端面102におけるインク流路開口部の近傍領域のみに対応するように、比較的小さい寸法で使用される。
しかし、そのような寸法を有するノズルプレート103はインクジェットヘッド101の前端面102から全体として突出するため、ワイピングを行うと、ノズルプレート103の端部にインク滴が残留し、硬化した。その結果、硬化成分がワイプ部材に付着するなどして、ワイプ性能が劣化した。ワイプ性能の低下は、図10中、下から上の方向でワイピングを行った場合、特に顕著であった。
そこで、ノズルプレートの突出を低減するために、図11に示すように、インクジェットヘッド101の前端面102におけるノズルプレート103の外周領域にカバー部材105を配置する試みがなされている(特許文献1)。これによって、ノズルプレート103とカバー部材105とを略面一にできる。
しかしながら、カバー部材105がメタルなどのインクの濡れ性が良い材料からなっていると、カバー部材105にインク滴が残留し、顔料インクなどの樹脂成分を含有するインクの場合、残留インクの粘度が上昇した。その後、ワイピングを行うと、残留インクはインク吐出口104に運ばれ、着弾精度の劣化を招いた。また、メタルなどからなるカバー部材104がアルミナ系研磨剤などによって研磨されると、研磨砥粒がカバー部材表面へ残留し、これによってワイピングの際にワイプ部材が傷つき、ワイプ不良を引き起こした。その結果、上記と同様に残留インクの粘度が上昇し、当該残留インクがワイピングによって、インク吐出孔104に運ばれると、やはり着弾精度の劣化を招いた。
そこで、カバー部材104に撥水処理を施し、カバー部材上にインクが残らないようにしていた。ここで、2μm以下の比較的膜厚の薄い撥水膜では、上記研磨砥粒の凹凸を平坦化できないので、ワイプ部材が傷ついた。このため、30μm以上の厚さを有する、テトラフルオロエチレン・パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体(PFA)をカバー部材上に塗布し、ワイプ時のインクのカバー部材上への残留を防止していた。
特開平6−255099号公報
しかしながら、カバー部材上にPFAを塗布した、上記構成のインクジェットヘッドユニットを連続的に駆動させた場合、以下のような問題が発生した。
上記ヘッドの駆動初期の着弾精度のデータを、例えば図5(A)に示す。ここで、X方向はノズルプレート103の吐出孔列方向、Y方向は当該吐出孔列に対する直行方向である。また前記Y方向はワイプ部材がワイピングする方向と一致している。図5(A)に示すように、ヘッドの初期着弾はX方向もY方向も同様に±3μm以内の良好な着弾精度を示している。図5(B)はインクジェットヘッドユニットを連続駆動し、ワイピングを実施した後の着弾精度を示す図である。図5(B)におけるX方向およびY方向はそれぞれ図5(A)においてと同様である。図5(B)より、長時間連続駆動することによって着弾が劣化していることがわかる。特にワイピング方向であるY方向に特異的に着弾ズレを発生している吐出孔が多く見られている。
本発明の目的は、安定して高い着弾精度を維持することのできるインクジェットヘッドユニットを提供することである。詳しくは、本発明の解決すべき課題は、上記構成のインクジェットヘッドユニットにおいて、長時間駆動においても、X方向およびY方向、特にY方向への特異的な着弾ズレを生じるインク吐出孔の発生を抑制することである。
(1)第1の発明に係るインクジェットヘッドユニットは、
インク吐出孔を有するノズルプレートを前端面に有し、該インク吐出孔よりインク滴を吐出するインクジェットヘッド;および
該インクジェットヘッドの前端面上においてノズルプレートの外周を覆うように形成されたカバー部材を備え、
該カバー部材が表面に2種類以上のフッ素樹脂を含有する樹脂膜を有することを特徴とする。これによって、長時間駆動において、特異的な着弾ズレを生じるインク吐出孔の発生を抑制できる。
(2)第2の発明に係るインクジェットヘッドユニットは、第1の発明の一実施形態であり、樹脂膜が、ポリテトラフルオロエチレンとテトラフルオロエチレン・ヘキサフルオロプロピレン共重合体を含有することを特徴とする。これによって、長時間駆動において、特異的な着弾ズレを生じるインク吐出孔の発生を抑制できる。
(3)第3の発明に係るインクジェットヘッドユニットは、第2の発明において、テトラフルオロエチレン・ヘキサフルオロプロピレン共重合体の含有率がフッ素樹脂全量に対して5〜20重量%であることを特徴とする。これによって、長時間駆動において、特異的な着弾ズレを生じるインク吐出孔の発生をより有効に抑制できる。
(4)第4の発明に係るインクジェットヘッドユニットは、第1の発明の一実施形態であり、樹脂膜が、ポリテトラフルオロエチレンとテトラフルオロエチレン・パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体を含有することを特徴とする。これによって、長時間駆動においても、特異的な着弾ズレを生じるインク吐出孔の発生を抑制できる。
(5)第5の発明に係るインクジェットヘッドユニットは、第4の発明において、テトラフルオロエチレン・パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体の含有率がフッ素樹脂全量に対して5〜20重量%であることを特徴とする。これによって、長時間駆動においても、特異的な着弾ズレを生じるインク吐出孔の発生をより有効に抑制できる。
(1)第1の発明によれば、2種類以上のフッ素樹脂を含有する樹脂膜をカバー部材表面上に形成することで、フッ素樹脂として1種類のものしか含有しない樹脂膜の場合と比較して、耐磨耗性の向上を可能とする。
(2)第2の発明によれば、ポリテトラフルオロエチレンとテトラフルオロエチレン・ヘキサフルオロプロピレン共重合体を含有する樹脂膜をカバー部材上へ形成することで、耐磨耗性の向上を可能とする。
(3)第3の発明によれば、第2の発明において、テトラフルオロエチレン・ヘキサフルオロプロピレン共重合体の含有率をフッ素樹脂全量に対して5〜20重量%とすることで、ワイピングにおけるインク吐出孔エッジへの付着物発生をより有効に無くし、より一層安定した着弾精度を可能とする。
(4)第4の発明によれば、ポリテトラフルオロエチレンとテトラフルオロエチレン・パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体を含有する樹脂膜をカバー部材上へ形成することで、耐磨耗性の向上を可能とする。
(5)第5の発明によれば、第4の発明において、テトラフルオロエチレン・パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体の含有率をフッ素樹脂全量に対して5〜20重量%とすることで、ワイピングにおけるノズル孔エッジへの付着物発生をより有効に低減し、より一層安定した着弾精度を可能とする。
本発明のインクジェットヘッドユニットは、少なくともインクジェットヘッドおよびカバー部材を備えたものである。本発明のインクジェットヘッドユニットの一実施形態を図1(A),(B)に示す。図1(A)は、インクジェットヘッド1にカバー部材2が取り付けられた状態のインクジェットヘッドユニット10の概略構成図を示し、図1(B)は、インクジェットヘッド1からカバー部材2が取り外された状態のインクジェットヘッドユニット10の概略分解図を示す。
インクジェットヘッド1は、インク吐出孔4を有するノズルプレート3を前端面20に有し、該インク吐出孔4よりインク滴を吐出するようになっている。インクジェットヘッド1の詳しい構成は、前端面のインク吐出孔よりインク滴を吐出する限り特に制限されない。
インクジェットヘッド1は、例えば図2に示すように、流路形成部材11、フィルタユニット12及び、ヘッドチップ(図示しない)と、ヘッドチップ前端面へノズルプレート3を備えており、通常はユニットを構成するための台座となるためのベース13をさらに備えている。図2はインクジェットヘッド1を前端面20側から見たときの概略見取り図である。流路形成部材11およびベース13はまとめてベースユニット14と呼ばれるものである。
流路形成部材11は、インク流路15を形成するためのインク流路を主面16に備えている。流路形成部材11の主面16にフィルタユニット12が接着されることで、溝部とフィルタユニット12とからインク流路15が形成される。流路形成部材11およびフィルタユニット12は、通常、PEEK(ポリエーテルエーテルケトン)等の材料から構成される。流路形成部材11とフィルタユニット12とを接着するための接着剤は特に制限されず、通常はエポキシ系接着剤が使用される。
ノズルプレート3は、ヘッドチップ(図示しない)の前端面へ接着されている。ノズルプレート3は、各インク流路15に対応する位置にインク吐出孔4を備え、インクは、インクジェットヘッド1から吐出孔4を通して吐出される。ノズルプレート3は通常、ポリイミド等の材料から構成される。ノズルプレート3を接着するための接着剤は特に制限されず、通常はエポキシ系接着剤が使用される。
ベース13は、通常、ステンレス等の材料から構成される。
インクジェットヘッド1のインク滴吐出方式は特に制限されず、従来のインクジェットヘッドで採用されている方式が採用可能である。例えば、ピエゾ方式(圧電方式)、サーマル方式等が挙げられる。
カバー部材2は、インクジェットヘッド1の前端面20上において、ノズルプレート3の外周を覆うように形成される。詳しくは、カバー部材2はノズルプレート3より僅かに大きい寸法の開口部21を有し、インクジェットヘッド1の前端面20におけるノズルプレート3の外周領域に接着・配置される。これによって、ノズルプレート3とカバー部材2とを略面一に配置でき、ノズルプレート3の突出を低減できる。例えば、カバー部材2表面からのノズルプレートの突出厚みは通常、0〜300μm、特に100〜200μmであってよい。
カバー部材2における開口部21の内周面と、ノズルプレート3の外周面との隙間は通常、接着剤5により封止される。接着剤5としてはワイプ部材との接触によっても分離することがないものであればよく、例えば、エポキシ系接着剤等が使用可能である。カバー部材2を前端面20に接着するための接着剤としては、上記接着剤5と同様のものが使用可能である。
カバー部材2はステンレス(SUS316)等の金属から構成され、表面に特定の樹脂膜が形成されて使用される。
樹脂膜は、2種類以上、特に2種類のフッ素樹脂を含有させたものである。これによって、インクジェットヘッドユニットの着弾精度を高く、かつ安定して維持でき、結果として、長時間駆動においても、X方向およびY方向、特にY方向への特異的な着弾ズレを生じるインク吐出孔の発生を抑制できる。フッ素樹脂として1種類しか含有しない樹脂膜を形成すると、長時間駆動時においてワイピング後に着弾精度が低下する。
本明細書中、X方向とはノズルプレートが有するインク吐出孔の列の方向を意味し、Y方向とは当該列方向に対して垂直方向を意味する。
樹脂膜に含有される2種類以上のフッ素樹脂はモノマー成分が異なるフッ素含有ポリマーである。樹脂膜は、着弾精度のさらなる向上の観点から、モノマー成分として含有される全てのモノマーがフッ素原子を含有するフッ素樹脂を2種類以上で含有することが好ましく、より好ましくはモノマー成分として含有される全てのモノマーが水素原子を有さないフッ素含有モノマー(パーフルオロモノマー)であるフッ素樹脂を2種類以上で含有する)。パーフルオロモノマーは塩素原子、フッ素等のハロゲン原子を有してもよい。樹脂膜に含有される2種類以上のフッ素樹脂の好ましい具体例として、例えば、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、テトラフルオロエチレン・ヘキサフルオロプロピレン共重合体(FEP)、テトラフルオロエチレン・パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体(PFA)、ポリヘキサフルオロプロピレン、ポリパーフルオロアルキルビニルエーテル、ヘキサフルオロプロピレン・パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体、テトラフルオロエチレン−パーフルオロイジオキソールコポリマー、ポリクロロトリフルオロエチレン等が挙げられ、本発明においてはそれらのポリマーからなる群から選択されることが好ましい。着弾精度の向上の観点から、最も好ましい樹脂膜は少なくともPTFEを含有する。
上記ポリマーを構成するパーフルオロアルキルビニルエーテルモノマーのパーフルオロアルキル基は炭素原子数が1〜6、特に4〜6であることが好ましい。
フッ素樹脂の分子量は本発明の目的が達成される限り特に制限されず、通常は重量平均分子量(Mw)で20〜1000万のフッ素樹脂が使用される。特に、PTFEのMwは500〜1000万、PFAのMwは30〜60万、FEPのMwは20〜80万、ETFEのMwは20〜60万が好ましい。
そのような好ましいMwを有するフッ素樹脂は以下の市販品として入手可能である。
PTFEは、例えば、三井・デュポンフロロケミカル社製の製品名31−JRとして入手可能である。
FEPは、例えば、三井・デュポンフロロケミカル社製の製品名120−Jとして入手可能である。
PFAは、例えば、三井・デュポンフロロケミカル社製の製品名9738−Jとして入手可能である。
重量平均分子量は溶液の浸透圧を測定して求める方法などによって測定できる。
2種類以上のフッ素樹脂の好ましい組み合わせを以下に示す;
(1)PTFE−FEP;
(2)PTFE−PFA;
(3)PTFE−FEP−PFA;
(4)PFA−FEP;
(5)PTFE−ETFE−FEP;
(6)PTFE−ETFE−PFA。
2種類以上のフッ素樹脂の含有率は本発明の目的が達成される限り特に制限されず、通常は各フッ素樹脂がフッ素樹脂全量に対して1重量%以上、特に5〜95重量%であればよい。
特にPTFEを使用する場合、例えば上記組み合わせ(1)〜(3)、(5)および(6)の場合、PTFE以外のフッ素樹脂の含有率はフッ素樹脂全量に対して1〜30重量%、特に5〜20重量%であることが好ましい。
樹脂膜は、2種類以上のフッ素樹脂および所望により上記添加剤を液中に分散させて塗布・加熱溶融させて成膜する方法によって製造できる。
樹脂膜の膜厚(乾燥後)は特に制限されず、通常は10〜100μm、特に50〜60μmであればよい。
カバー部材2における樹脂膜が形成される領域は、インクが付着し得る面であればよく、樹脂膜は通常、カバー部材における接着剤との接触面以外の全ての面に形成される。例えば、カバー部材における前端面20との接着面を裏面としたとき、カバー部材2を表面側からみたときの見取り図を図3(A)に示し、カバー部材2を裏面側からみたときの見取り図を図3(B)に示す。図3(A)および(B)において、樹脂膜が形成される領域を変色領域で示す。すなわち、樹脂膜は、カバー部材2の表面(1つの表面)および外周面(4つの端面)に形成される。カバー部材2の裏面および開口部21の内周面は、接着剤を用いて接着されるため、それらの面に樹脂膜が形成されると、接着強度に問題が生じる。樹脂膜が形成されない領域は、カバー部材を構成する金属が露出している。
本発明のインクジェットヘッドユニットのワイピング方法を、図4を用いて簡単に示す。
メンテナンス部材22に、ワイピングを行うワイプ部材23を装着する。ワイプ部材23として、パーフルオロフッ素ゴムを使用できる。カバー部材2を装着し、カバー部材とノズルプレートとの隙間を接着剤にて封止したインクジェットヘッドユニット10を、メンテナンス部材22と対面するようにセットする。次に、図4(A)に示すように、ワイプ部材23を、ベースユニット14側からカバー部材2に当接させ、図4(B)に示すように、ノズルプレート3をワイピングし、図4(C)に示すように、ノズルプレートのインク吐出孔列に直交する方向で、フィルタユニット12側へワイピングを実施していく。
<実験例1>
(インクジェットヘッドユニットの製造)
PFA(三井・デュポンフロロケミカル社製、製品名9738−J)を水中に界面活性剤で分散し、塗液を調製した。
塗液を、図3(A)および(B)に示すように、カバー部材(SUS316)における前端面20との接着面を裏面としたときの表面(1つの表面)および外周面(4つの面)に塗布し、加熱溶融し、厚み60μmの樹脂膜を形成した。
得られたカバー部材を、図1(B)に示すように、インクジェットヘッド1の前端面20上において、ノズルプレート3の外周を覆うようにエポキシ系接着剤により接着した。カバー部材2とノズルプレート3との隙間を上記接着剤にて封止し、図1(A)に示すようなインクジェットヘッドユニット10を製造した。
インクジェットヘッドユニットを上記プリンタに搭載し、初期着弾評価→長時間駆動によるワイピング→着弾評価の流れで評価を実施した。なお、着弾評価結果は、ノズルプレートにおける各インク吐出孔からのX方向およびY方向のズレで示した。長時間駆動では、各インク吐出孔よりインク滴を24時間連続して吐出させた。ワイピングは長時間駆動後に行った。ワイピング条件としては、カバー部材2とワイプ部材23の当接量を0.6mm、ワイピングの際の移動速度を2mm/secとし、ワイピング回数10回にて実施した。
(評価)
初期着弾結果を図5(A)に示す。ワイピング後の着弾結果を図5(B)に示す。図5(B)では、初期着弾に比べ、Y方向に大きな着弾ズレの発生が確認された。詳しくはY方向におけるズレが±5μmの範囲外の着弾が確認され、実用上問題があった。着弾の悪い吐出孔を顕微鏡観察すると、吐出孔のエッジに付着物が観察され、この付着物をEDXにて解析した結果、多量のフッ素(F)が検出された。本構成のインクジェットヘッドユニットで、カバー部材以外にフッ素(F)を多量に含有する材料を用いている部材はなく、カバー部材上に形成したPFA樹脂膜が要因であると断定した。
<実験例2>
以下に示す各種組成の塗液を用いたこと以外、実験例1と同様の方法により、インクジェットヘッドユニットの製造および評価を行った。いずれの塗液を用いて形成された樹脂膜も厚みは60μmであった。
・FEP1%樹脂膜用塗液
PTFE(三井・デュポンフロロケミカル社製、製品名31−JR)99重量部およびFEP(三井・デュポンフロロケミカル社製、製品名120−J)1重量部を用いたこと以外、実験例1と同様の方法により、塗液を調製した。
・FEP5%樹脂膜用塗液
PTFEを95重量部、FEPを5重量部用いたこと以外、FEP1%樹脂膜用塗液と同様の方法により、塗液を調製した。
・FEP10%樹脂膜用塗液
PTFEを90重量部、FEPを10重量部用いたこと以外、FEP1%樹脂膜用塗液と同様の方法により、塗液を調製した。
・FEP20%樹脂膜用塗液
PTFEを80重量部、FEPを20重量部用いたこと以外、FEP1%樹脂膜用塗液と同様の方法により、塗液を調製した。
FEP1%樹脂膜を有するカバー部材を用いたインクジェットヘッドユニットの初期着弾結果を図6(A)に示し、ワイピング後の着弾結果を図6(B)示す。図6(B)では、X方向およびY方向に着弾ズレが発生しているものの、いずれの方向においてもズレは±5μmの範囲内であり、実用上問題がなかった。
FEP含有率が5%、10%および20%の樹脂膜を有するカバー部材を用いたインクジェットヘッドユニットについて、ワイピング後の着弾結果はいずれも初期着弾結果から特異的な変化は見られず、良好な結果となった。詳しくは、FEP含有率が5%、10%および20%の樹脂膜を有するカバー部材を用いたインクジェットヘッドユニットのワイピング後の着弾結果は、X方向およびY方向のいずれの方向においてもズレが±3μmの範囲内であり、好ましい結果を示した。代表例として、FEP含有率が10%のカバー部材を使用したインクジェットヘッドユニットの初期着弾結果を図7(A)に、ワイピング後の着弾結果を図7(B)に示す。なお、これらの3条件のインクジェットヘッドユニットの評価後のノズルプレート吐出孔を顕微鏡にて観察した結果、吐出孔エッジに付着物は観察されなかった。
<実験例3>
以下に示す各種組成の塗液を用いたこと以外、実験例1と同様の方法により、インクジェットヘッドユニットの製造および評価を行った。いずれの塗液を用いて形成された樹脂膜も厚みは60μmであった。
・PFA1%樹脂膜用塗液
PTFE(三井・デュポンフロロケミカル社製、製品名31−JR)99重量部およびPFA(三井・デュポンフロロケミカル社製、製品名9738−J)1重量部を用いたこと以外、実験例1と同様の方法により、塗液を調製した。
・PFA5%樹脂膜用塗液
PTFEを95重量部、PFAを5重量部用いたこと以外、PFA1%樹脂膜用塗液と同様の方法により、塗液を調製した。
・PFA10%樹脂膜用塗液
PTFEを90重量部、PFAを10重量部用いたこと以外、PFA1%樹脂膜用塗液と同様の方法により、塗液を調製した。
・PFA20%樹脂膜用塗液
PTFEを80重量部、PFAを20重量部用いたこと以外、PFA1%樹脂膜用塗液と同様の方法により、塗液を調製した。
PFA1%樹脂膜を有するカバー部材を用いたインクジェットヘッドユニットの初期着弾結果を図8(A)に示し、ワイピング後の着弾結果を図8(B)示す。図8(B)では、X方向およびY方向に着弾ズレが発生しているものの、いずれの方向においてもズレは±5μmの範囲内であり、実用上問題がなかった。
PFA含有率が5%、10%および20%の樹脂膜を有するカバー部材を用いたインクジェットヘッドユニットについて、ワイピング後の着弾結果はいずれも初期着弾結果から特異的な変化は見られず、良好な結果となった。詳しくは、PFA含有率が5%、10%および20%の樹脂膜を有するカバー部材を用いたインクジェットヘッドユニットのワイピング後の着弾結果は、X方向およびY方向のいずれの方向においてもズレが±3μmの範囲内であり、好ましい結果を示した。代表例として、PFA含有率が10%のカバー部材を使用したインクジェットヘッドユニットの初期着弾結果を図9(A)に、ワイピング後の着弾結果を図9(B)に示す。なお、これらの3条件のインクジェットヘッドユニットの評価後のノズルプレート吐出孔を顕微鏡にて観察した結果、吐出孔エッジに付着物は観察されなかったものの、1μm以下の微小な付着物がノズルにて観察された。しかし、付着が見られた1μm以下の異物は、吐出孔エッジに付着したとしても、着弾に影響を及ぼす事は無いレベルのものである。
以上のように本実施形態によれば、カバー部材2表面の樹脂膜を、PTFE(ポリテトラフルオロエチレン)を主成分として、FEP(テトラフルオロエチレン・ヘキサフルオロプロピレン共重合体)またはPFA(テトラフルオロエチレン・パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体)を少なくとも1重量%以上の含有率で形成することにより、耐磨耗性の向上を図ることが可能となり、長時間駆動における繰り返しのワイピングにおいても、着弾へ影響する付着物を抑制でき、安定した着弾精度を持続することができる。
(A)および(B)は本発明のインクジェットヘッドユニットの構成を示す図である。 本発明のインクジェットヘッドユニットを構成するインクジェットヘッドの構成を示す図である。 本発明のインクジェットヘッドユニットを構成するカバー部材の構成を示す図である。 ワイピング方法の実施例を示す図である。 実験例1(カバー部材の樹脂膜;PFA100%)の着弾結果を示す図である。 実験例2(カバー部材の樹脂膜;PTFE+FEP(1%))の着弾結果を示す図である。 実験例2(カバー部材の樹脂膜;PTFE+FEP(10%))の着弾結果を示す図である。 実験例3(カバー部材の樹脂膜;PTFE+PFA(1%))の着弾結果を示す図である。 実験例3(カバー部材の樹脂膜;PTFE+PFA(10%))の着弾結果を示す図である。 従来のインクジェットヘッドの構成を示す図である。 従来のインクジェットヘッドユニットの構成を示す図である。
符号の説明
1:インクジェットヘッド、2:カバー部材、3:ノズルプレート、4:インク吐出孔、5:周辺封止用接着剤、10:インクジェットヘッドユニット、11:流路形成部材、12:フィルタユニット、13:ベース、14:ベースユニット、15:インク流路、16:主面、20:前端面、21:開口部、22:クリーニング部材、23:ワイプ部材。

Claims (5)

  1. インク吐出孔を有するノズルプレートを前端面に有し、該インク吐出孔よりインク滴を吐出するインクジェットヘッド;および
    該インクジェットヘッドの前端面上においてノズルプレートの外周を覆うように形成されたカバー部材を備え、
    該カバー部材が表面に2種類以上のフッ素樹脂を含有する樹脂膜を有することを特徴とするインクジェットヘッドユニット。
  2. 樹脂膜が、ポリテトラフルオロエチレンとテトラフルオロエチレン・ヘキサフルオロプロピレン共重合体を含有することを特徴とする請求項1に記載のインクジェットヘッドユニット。
  3. テトラフルオロエチレン・ヘキサフルオロプロピレン共重合体の含有率がフッ素樹脂全量に対して5〜20重量%であることを特徴とする請求項2に記載のインクジェットヘッドユニット。
  4. 樹脂膜が、ポリテトラフルオロエチレンとテトラフルオロエチレン・パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体を含有することを特徴とする請求項1に記載のインクジェットヘッドユニット。
  5. テトラフルオロエチレン・パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体の含有率がフッ素樹脂全量に対して5〜20重量%であることを特徴とする請求項4に記載のインクジェットヘッドユニット。
JP2007285713A 2007-11-02 2007-11-02 インクジェットヘッドユニット Pending JP2009113224A (ja)

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