JP2005263898A - インクジェットインクおよびインクジェット記録方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】 安定かつ着弾精度良く射出可能で、保存性に優れた高感度でシワ発生の無い良好な画像を得ることが出来る紫外線硬化型のインクジェットインク、および該インクジェットインクを用いたインクジェット記録方法を得ることにある。
【解決手段】 顔料、高分子分散剤、重合性化合物および光重合開始剤を含有する紫外線硬化性のインクジェットインクにおいて、顔料に吸着していない遊離した高分子分散剤がインク全体の1.0質量%以下であることを特徴とするインクジェットインク。
【選択図】 なし

Description

紫外線により硬化するインクジェット記録において、特に射出安定性に優れたインクジェットインクおよびインクジェット記録方法に関する。
紫外線により硬化可能なインクをインクジェット方式にて形成し、紫外線を照射し記録固定する記録方法が近年開発されており、実用化が進んでいる。用いるインクとしては、WO99/29787、WO99/29788、WO97/31071、特開平5−214280号、特開2002−188025号などが知られている。
WO99/29787では、30℃において、インク粘度≦35mPa・sであることが好ましいとしている。これは、インクジェット記録において射出に好ましい条件を示したものである。
インクに関するその他の上記文献においても、ほぼ、この条件に相当する配合例が示されている。
紫外線硬化型インクジェット記録方式は、インクを吸収しない基材などにも記録することが可能であるという利点を有するが、反面、反応性の希釈剤(重合性モノマー、オリゴマーなど)が蒸発あるいは収縮せず、そのまま残るため、画像がエンボス状になり質感を損ねるという欠点を有している。
本発明者は、紫外線硬化型インクジェット記録方式にて、より微細なサイズのインク液滴を射出し、適度に液滴をレベリングさせることで高画質を得る検討を行ってきた。
通常の水系インクに比べ、紫外線硬化型インクは粘度が高いことから、高速で、安定かつ精度の高い射出を行うことは、非常に難しいことが分かってきた。特に液滴サイズを可変とする、グレースケールタイプのヘッドにて、10pl未満もの小液滴を射出するためには、従来から示されているインクでは、連続して安定な射出を行ったり、着弾精度を高めることが困難であった。
このような現象は顔料の種類でも異なり、特に良好な分散性を得ることが困難である。そしてこれらはイエロー、マゼンタにおいて特に問題となる。
この他に紫外線(UV)硬化型インクジェット記録方式特有の課題として、UV照射時、硬化膜表面にシワが入るという問題もある。シワについても顔料分散処方と何らかの関連があると考えられる。
極性の小さい重合性モノマーを分散媒体として良好な顔料分散性を得るためには、高分子分散剤を顔料表面に極性もしくは酸・塩基によって吸着させ、高分子分散剤の立体障害により分散を安定化させる方法が常套手段である。
従って、紫外線硬化型インクにおいて、特許文献1にて幾つかの分散剤が、また、特許文献2においてはカチオン硬化性インクの酸価、アミン価を規定する等の手段が、また特許文献3においては表面処理顔料を用いるなど、溶剤分散系で用いられる一般的な手法を転用した提案がなされているが、これだけでは、十分な出射安定性を保ちつつ、感度と貯蔵安定性、硬化時のシワ発生等を抑制することは困難であった。
特開2001−288387号公報 特開2002−348478号公報 特開2003−253155号公報
本発明は、安定かつ着弾精度良く射出可能で、保存性に優れた高感度でシワ発生の無い良好な画像を得ることが出来る紫外線硬化型のインクジェットインク、および該インクジェットインクを用いたインクジェット記録方法を得ることにある。
を提供することを目的とする。
本発明の上記目的は以下に手段により達成される。
(請求項1)
顔料、高分子分散剤、重合性化合物および光重合開始剤を含有する紫外線硬化性のインクジェットインクにおいて、顔料に吸着していない遊離した高分子分散剤がインク全体の1.0質量%以下であることを特徴とするインクジェットインク。
(請求項2)
前記重合性化合物に20質量%の濃度で溶解したときの25℃粘度が20〜300mPa・sである高分子分散剤を用いることを特徴とする請求項1記載のインクジェットインク。
(請求項3)
請求項1または2に記載のインクジェットインクをインクジェットヘッドのノズルから出射して記録媒体上に印字するインクジェット記録方法において、該インクジェットヘッドのノズル面及び記録媒体に対向する部材が撥インク性処理されていることを特徴とするインクジェット記録方法。
保存性に優れた高感度でシワ発生の無い良好な画像を得ることが出来る紫外線硬化型のインクジェットインクおよび該インクを用いた、安定にかつ着弾精度良く射出可能であるインクジェット記録方法が得られた。
次に本発明を実施するための最良の形態について説明するが、本発明はこれにより限定されるものではない。
本発明に係わるインクジェットインクのように、水または水溶性の溶剤に比べて極性の小さい重合性化合物を分散媒体とした場合においては、高分子分散剤を用いることで、重合性化合物に対して顔料の分散安定性を確保することができる。ただし、顔料と吸着していない遊離の高分子分散剤がインク中に過剰にあると、即ち、余剰の高分子分散剤が存在すると、インクがノズルから吐出される高シェアレートにおいても動的粘性が低下せず、出射安定性を低下させると考えられる。インクの動的粘性が高いと主滴のほかにサテライトが発生しやすくなるため、ミストの多発、ミストによるノズルの汚れ、欠ノズルの増加、出射精度の低下を招く。また、余剰分散剤は硬化時にインクの不均一性を招き、硬化シワとなりやすい。
また、カチオン重合系のインクにおいては、余剰の高分子分散剤によって、感度が低下する。
余剰の高分子分散剤(即ち、顔料に吸着していない遊離した分散剤)は、その添加比率だけなく、用いる顔料の粒径と表面積、表面極性度、表面酸性度もしくは塩基性度、分散剤の形状、極性度、酸性度もしくは塩基性度、シナージスト(相乗剤)、分散条件等によって大きく異なることはもちろん、この他に添加する重合性化合物(モノマー、オリゴマー)、光重合開始剤、増感剤、重合禁止剤、界面活性剤、含水率、不純物にも影響を受ける。遊離した高分子分散剤は、インクを超遠心分離、ろ過、クロマトグラフィー、などの手法によって、顔料を除いた透明な部分を採取し、分析することによって余剰量を定量することが出来る。高分子分散剤としては、顔料表面と酸・塩基反応で吸着させるものが好ましいため、この場合、上記のようにして抽出したインクの酸価もしくはアミン価を測定することで高分子分散剤を定量することができる。酸価、アミン価は電位差滴定により求めることができる。例えば色材協会誌61,[12] 692−698(1988)に記載の方法で測定することができる。顔料や分散剤を複数用いる場合はその質量平均として用いることができる。その他の分析法としては粘度測定、各種分光測定などを適用することができ、その他、液体クロマトグラフィーやGPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー)などを用い、分離定量することができる。余剰の高分子分散剤は、インク全体に対し、1.0質量%以下に抑えることで、出射安定性を著しく向上させることができるとともに、高感度化、硬化時のシワ防止が可能となる。特に好ましくは0.5質量%以下である。
また、本発明において用いる高分子分散剤としては、分散媒体となる重合性化合物に対して20質量%の濃度で溶解したとき、25℃における粘度が15〜500mPa・s、更に好ましくは20〜300mPa・sと高粘度となる高分子分散剤であることが好ましい。溶解粘度が高粘度の高分子分散剤は、分散安定性と硬化時のシワ防止に対して特に効果的である。
このように適度な溶解粘度をもつ分散液は、立体排除効果が高いため、分散安定性が向上する。本発明においては、高分子分散剤を用い、かつ余剰の分散剤を1.0質量%以下に制御することで、出射安定性、硬化性を大きく改善することが可能となる。
本発明において、粘度(mPa・s)は、JIS Z 8809に規定されている粘度計校正用標準液で検定されたものであれば特に制限はなく、公知の方法に従って50℃、shear rateが1000s−1における粘度値であり、粘度測定装置としては、回転式、振動式や細管式の粘度計を用いることができ、例えば、Saybolt粘度計、Redwood粘度計等で測定でき、例えば、Physica製、MCR300、トキメック社製、円錐平板型E型粘度計、東機産業社製のE Type Viscometer(回転粘度計)、東京計器社製のB型粘度計BL、山一電機社製のFVM−80A、Nametore工業社製のViscoliner、山一電気社製のVISCO MATE MODEL VM−1A、同DD−1等を挙げることができる。
その他、高分子タイプの分散剤には顔料との吸着サイトとして塩基、あるいは酸をもつものが好ましい。塩基・酸のどちらでも良好な結果が得られる。
(高分子分散剤と顔料の構成)
高分子分散剤の酸価はアミン価よりも大きく、その差が1mg/g KOH以上30mg/g KOH未満であることが好ましい。1mg/g KOH未満であればその効果がなく、30mg/g KOH以上であれば熱反応で硬化する懸念がある。分散剤としては低分子量、高分子量のものいずれも使用可能であるが高分子量のものが好ましい。高分子分散剤の好ましい具体例としては味の素ファインテクノ社製アジスパーPB822、味の素ファインテクノ社製アジスパーPB821が挙げられるが本発明はこれらに限定されるものではない。
また、顔料のアミン価は酸価よりも大きく、その差が1mg/g KOH以上10mg/g未満であることが好ましい。1mg/g KOH未満であればその効果がなく、10mg/g以上の場合は塩基性処理を過度に行う必要がありコストアップとなり好ましくない。
顔料種としてはアミン価が酸価よりも大きければ種々の顔料を用いることが可能である。
顔料の具体例として、例えば、以下に挙げる顔料においてアミン価が酸価より大きなものを用いることができるが、本発明はこれらに限定されるものではない。
C.I.Pigment Yellow 1,2,3,12,13,14,16,17,73,74,75,81,83,87,93,95,97,98,109,114,120,128,129,138,139,151,154,180
C.I.Pigment Red 5,7,12,22,38,48:1,48:2,48:4,49:1,53:1,57:1,63:1,101,112,122,123,144,146,168,184,185,202
C.I.Pigment Violet 19,23
C.I.Pigment Blue 1,2,3,15:1,15:2,15:3,15:4,18,22,27,29,60
C.I.Pigment Green 7,36
C.I.Pigment White 6,18,21
C.I.Pigment Black 7
等が挙げられる。
本発明において、前記顔料のうち、インクジェットインクとしての、顔料種の好ましいプロセスカラーのセットは以下から適宜4種を組み合わせるものである。
Y:C.I.Pigment Yellow 120,128,74,83,138,151,180
M:C.I.Pigment Violet 19,Pigment Red 122
C:C.I.Pigment Blue 15;4
K:C.I.Pigment Black 7
W:C.I.Pigment White 6
前記顔料に対し、顔料分散剤の比率は10〜100質量%、好ましくは15〜50質量%が好ましい。
上記顔料の分散には、例えば、ボールミル、サンドミル、アトライター、ロールミル、アジテータ、ヘンシェルミキサ、コロイドミル、超音波ホモジナイザー、パールミル、湿式ジェットミル、ペイントシェーカー等を用いることができる。
また、前記の他、高分子分散剤としては、水酸基含有カルボン酸エステル、長鎖ポリアミノアマイドと高分子量酸エステルの塩、高分子量ポリカルボン酸の塩、長鎖ポリアミノアマイドと極性酸エステルの塩、高分子量不飽和酸エステル、高分子共重合物、変性ポリウレタン、変性ポリアクリレート、ポリエーテルエステル型アニオン系活性剤、ナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合物塩、芳香族スルホン酸ホルマリン縮合物塩、ポリオキシエチレンアルキルリン酸エステル、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、ステアリルアミンアセテート、顔料誘導体等も挙げることができる。
前記以外の具体例としては、以下のものも挙げられる。
BYK Chemie社製「Anti−Terra−U(ポリアミノアマイド燐酸塩)」、「Anti−Terra−203/204(高分子量ポリカルボン酸塩)」、「Disperbyk−101(ポリアミノアマイド燐酸塩と酸エステル)、107(水酸基含有カルボン酸エステル)、110(酸基を含む共重合物)、130(ポリアマイド)、161、162、163、164、165、166、170(高分子共重合物)」、「400」、「Bykumen」(高分子量不飽和酸エステル)、「BYK−P104、P105(高分子量不飽和酸ポリカルボン酸)」、「P104S、240S(高分子量不飽和酸ポリカルボン酸とシリコン系)」、「Lactimon(長鎖アミンと不飽和酸ポリカルボン酸とシリコン)」。
また、Efka CHEMICALS社製「エフカ44、46、47、48、49、54、63、64、65、66、71、701、764、766」、「エフカポリマー100(変性ポリアクリレート)、150(脂肪族系変性ポリマー)、400、401、402、403、450、451、452、453(変性ポリアクリレート)、745(銅フタロシアニン系)」、共栄社化学社製「フローレンTG−710(ウレタンオリゴマー)」、「フローノンSH−290、SP−1000」、「ポリフローNo.50E、No.300(アクリル系共重合物)」、楠本化成社製「ディスパロン KS−860、873SN、874(高分子分散剤)、#2150(脂肪族多価カルボン酸)、#7004(ポリエーテルエステル型)」が挙げられる。
更に、花王社製「デモールRN、N(ナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合物ナトリウム塩)、MS、C、SN−B(芳香族スルホン酸ホルマリン縮合物ナトリウム塩)、EP」、「ホモゲノールL−18(ポリカルボン酸型高分子)」、「エマルゲン920、930、931、935、950、985(ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル)」、「アセタミン24(ココナッツアミンアセテート)、86(ステアリルアミンアセテート)」、ゼネカ社製「ソルスパーズ5000(フタロシアニンアンモニウム塩系)、13240、13940(ポリエステルアミン系)、17000(脂肪酸アミン系)、24000、32000」、日光ケミカル社製「ニッコール T106(ポリオキシエチレンソルビタンモノオレート)、MYS−IEX(ポリオキシエチレンモノステアレート)、Hexagline 4−0(ヘキサグリセリルテトラオレート)」等が挙げられる。
これらのうち、前記のように、顔料との吸着サイトとして塩基、あるいは酸をもつ、分散媒体となる後述の重合性化合物に対し20質量%の濃度で溶解したとき、25℃粘度が15〜500mPa・s、更に好ましくは20〜300mPa・sと高粘度となる高分子分散剤が好ましい。
顔料の分散は、顔料粒子の平均粒径を0.08〜0.5μmとすることが好ましく、最大粒径は0.3〜10μm、好ましくは0.3〜3μmとなるよう、顔料、分散剤、分散媒体の選定、分散条件、ろ過条件を適宜設定する。この粒径管理によって、ヘッドノズルの詰まりを抑制し、インクの保存安定性、インク透明性及び硬化感度を維持することができる。
本発明に係るインクにおいては、色材濃度(前記顔料の濃度)としてはインク全体の1質量%乃至10質量%であることが好ましい。
また、顔料種としてはアミン価が酸価よりも大きいものが好ましく、その差が1mg/g KOH以上10mg/g未満である様に調整する為に、その表面を塩基性、酸性、極性処理のいずれかを行うことが好ましい。表面処理法としては顔料と類似構造で塩基性、酸性、極性処理のいずれかがなされたシナージスト(相乗剤)を用いることが好ましい。
シナージストとは、顔料と同様の構造を有し、かつ酸性基、塩基性基等の極性基に修飾された色素あるいは有機顔料母核を有する有機物で直接にまたはジョイントを介して極性基が結合しているものをいう。これを顔料表面に吸着させ、これと高分子分散剤とを結合させることにより、顔料の分散性を向上させる。
極性基としては、例えば、スルホン酸基、カルボン酸基、燐酸基、硼酸基、水酸基が挙げられるが、好ましくはスルホン酸基、カルボン酸基であり、更に好ましくは、スルホン酸基である。
本発明においては、極性基は、フリーでも塩の状態でもよいし、あるいはカウンター塩を有していてもよい。カウンター塩としては、例えば、無機塩(リチウム、ナトリウム、カリウム、マグネシウム、カルシウム、アルミニウム、ニッケル、アンモニウム)、有機塩(トリエチルアンモニウム、ジエチルアンモニウム、ピリジニウム、トリエタノールアンモニウム等)が挙げられ、好ましくは1価の価数を有するカウンター塩である。
これらの分散剤及び分散助剤は、顔料100質量部に対し、1〜50質量部添加することが好ましい。分散媒体は溶剤または光重合性化合物を用いて行うが、本発明に用いる紫外線硬化型インクでは、インク着弾直後に反応・硬化させるため、無溶剤であることが好ましい。溶剤が硬化画像に残ってしまうと、耐溶剤性の劣化、残留する溶剤のVOCの問題が生じる。よって、分散媒体は溶剤ではなく重合性化合物、その中でも最も粘度の低い化合物を選択することが分散適性上好ましい。
本発明で用いることのできる重合性化合物の内、ラジカル重合性化合物としては、例えば、特開平7−159983号公報、特公平7−31399号公報、特開平8−224982号公報、同10−863号公報に記載の化合物を挙げることができ、カチオン重合性化合物としては、各種公知のものカチオン重合性のモノマーが使用できる。例えば、特開平6−9714号公報、特開2001−31892号公報、同2001−40068号公報、同2001−55507号公報、同2001−310938号公報、同2001−310937号公報、同2001−220526号公報に例示されているエポキシ化合物、ビニルエーテル化合物、オキセタン化合物などが挙げられる。
ラジカル重合性化合物は、ラジカル重合可能なエチレン性不飽和結合を有する化合物であり、分子中にラジカル重合可能なエチレン性不飽和結合を少なくとも1つ有する化合物であればどの様なものでもよく、モノマー、オリゴマー、ポリマー等の化学形態を有するものが含まれる。ラジカル重合性化合物は1種のみ用いてもよく、また目的とする特性を向上するため、任意の比率で2種以上を併用してもよい。
ラジカル重合可能なエチレン性不飽和結合を有する化合物の例としては、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、クロトン酸、イソクロトン酸、マレイン酸等の不飽和カルボン酸及びそれらの塩、エステル、ウレタン、アミドや無水物、アクリロニトリル、スチレン、更に種々の不飽和ポリエステル、不飽和ポリエーテル、不飽和ポリアミド、不飽和ウレタン等のラジカル重合性化合物が挙げられる。具体的には、2−エチルヘキシルアクリレート、2−ヒドロキシエチルアクリレート、ブトキシエチルアクリレート、カルビトールアクリレート、シクロヘキシルアクリレート、テトラヒドロフルフリルアクリレート、ベンジルアクリレート、ビス(4−アクリロキシポリエトキシフェニル)プロパン、ネオペンチルグリコールジアクリレート、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート、エチレングリコールジアクリレート、ジエチレングリコールジアクリレート、トリエチレングリコールジアクリレート、テトラエチレングリコールジアクリレート、ポリエチレングリコールジアクリレート、ポリプロピレングリコールジアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ジペンタエリスリトールテトラアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、テトラメチロールメタンテトラアクリレート、オリゴエステルアクリレート、N−メチロールアクリルアミド、ジアセトンアクリルアミド、エポキシアクリレート等のアクリル酸誘導体、メチルメタクリレート、n−ブチルメタクリレート、2−エチルヘキシルメタクリレート、ラウリルメタクリレート、アリルメタクリレート、グリシジルメタクリレート、ベンジルメタクリレート、ジメチルアミノメチルメタクリレート、1,6−ヘキサンジオールジメタクリレート、エチレングリコールジメタクリレート、トリエチレングリコールジメタクリレート、ポリエチレングリコールジメタクリレート、ポリプロピレングリコールジメタクリレート、トリメチロールエタントリメタクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレート、2,2−ビス(4−メタクリロキシポリエトキシフェニル)プロパン等のメタクリル誘導体、その他、アリルグリシジルエーテル、ジアリルフタレート、トリアリルトリメリテート等のアリル化合物の誘導体が挙げられ、更に具体的には、山下晋三編、「架橋剤ハンドブック」、(1981年大成社);加藤清視編、「UV・EB硬化ハンドブック(原料編)」(1985年、高分子刊行会);ラドテック研究会編、「UV・EB硬化技術の応用と市場」、79頁、(1989年、シーエムシー);滝山栄一郎著、「ポリエステル樹脂ハンドブック」、(1988年、日刊工業新聞社)等に記載の市販品もしくは業界で公知のラジカル重合性ないし架橋性のモノマー、オリゴマー及びポリマーを用いることができる。
インクジェットインクへのラジカル重合性化合物の添加量はインク組成物に対し、好ましくは1〜97質量%であり、より好ましくは30〜95質量%である。
本発明で用いることのできる重合性化合物のうち、カチオン重合性化合物として代表的にはオキセタン化合物、エポキシ化合物及びビニルエーテル化合物から選ばれる化合物が挙げられる。
芳香族エポキシドとして好ましいものは、少なくとも1個の芳香族核を有する多価フェノールあるいはそのアルキレンオキサイド付加体とエピクロルヒドリンとの反応によって製造されるジまたはポリグリシジルエーテルであり、例えばビスフェノールAあるいはそのアルキレンオキサイド付加体のジまたはポリグリシジルエーテル、水素添加ビスフェノールAあるいはそのアルキレンオキサイド付加体のジまたはポリグリシジルエーテル、ならびにノボラック型エポキシ樹脂等が挙げられる。ここでアルキレンオキサイドとしては、エチレンオキサイド及びプロピレンオキサイド等が挙げられる。
脂環式エポキシドとしては、少なくとも1個のシクロへキセンまたはシクロペンテン環等のシクロアルカン環を有する化合物を、過酸化水素、過酸等の適当な酸化剤でエポキシ化することによつて得られる、シクロヘキセンオキサイドまたはシクロペンテンオキサイド含有化合物が好ましい。
脂肪族エポキシドの好ましいものとしては、脂肪族多価アルコールあるいはそのアルキレンオキサイド付加体のジまたはポリグリシジルエーテル等があり、その代表例としては、エチレングリコールのジグリシジルエーテル、プロピレングリコールのジグリシジルエーテルまたは1,6−ヘキサンジオールのジグリシジルエーテル等のアルキレングリコールのジグリシジルエーテル、グリセリンあるいはそのアルキレンオキサイド付加体のジまたはトリグリシジルエーテル等の多価アルコールのポリグリシジルエーテル、ポリエチレングリコールあるいはそのアルキレンオキサイド付加体のジグリシジルエーテル、ポリプロピレングリコールあるいはそのアルキレンオキサイド付加体のジグリシジルエーテル等のポリアルキレングリコールのジグリシジルエーテル等が挙げられる。ここでアルキレンオキサイドとしては、エチレンオキサイド及びプロピレンオキサイド等が挙げられる。
これらのエポキシドのうち、迅速な硬化性を考慮すると、芳香族エポキシド及び脂環式エポキシドが好ましく、特に脂環式エポキシドが好ましい。本発明では、上記エポキシドの1種を単独で使用してもよいが、2種以上を適宜組み合わせて使用してもよい。
ビニルエーテル化合物としては、例えば、エチレングリコールジビニルエーテル、ジエチレングリコールジビニルエーテル、トリエチレングリコールジビニルエーテル、プロピレングリコールジビニルエーテル、ジプロピレングリコールジビニルエーテル、ブタンジオールジビニルエーテル、ヘキサンジオールジビニルエーテル、シクロヘキサンジメタノールジビニルエーテル、トリメチロールプロパントリビニルエーテル等のジまたはトリビニルエーテル化合物、エチルビニルエーテル、n−ブチルビニルエーテル、イソブチルビニルエーテル、オクタデシルビニルエーテル、シクロヘキシルビニルエーテル、ヒドロキシブチルビニルエーテル、2−エチルヘキシルビニルエーテル、シクロヘキサンジメタノールモノビニルエーテル、n−プロピルビニルエーテル、イソプロピルビニルエーテル、イソプロペニルエーテル−o−プロピレンカーボネート、ドデシルビニルエーテル、ジエチレングリコールモノビニルエーテル、オクタデシルビニルエーテル等のモノビニルエーテル化合物等が挙げられる。
これらのビニルエーテル化合物のうち、硬化性、密着性、表面硬度を考慮すると、ジまたはトリビニルエーテル化合物が好ましく、特にジビニルエーテル化合物が好ましい。本発明では、上記ビニルエーテル化合物の1種を単独で使用してもよいが、2種以上を適宜組み合わせて使用してもよい。
オキセタン化合物は、オキセタン環を有する化合物のことであり、特開2001−220526号公報、同2001−310937号公報に紹介されているような公知のあらゆるオキセタン化合物を使用できる。オキセタン化合物において、オキセタン環を5個以上有する化合物を使用すると、インク組成物の粘度が高くなるため、取扱いが困難になったり、またインク組成物のガラス転移温度が高くなるため、得られる硬化物の粘着性が十分でなくなってしまう。オキセタン化合物はオキセタン環を1〜4個有する化合物が好ましい。
オキセタン化合物の具体例について説明するが、これらに限定されるものではない。1個のオキセタン環を有する化合物の一例としては、下記一般式(1)で示される化合物が挙げられる。
Figure 2005263898
一般式(1)において、R1は水素原子やメチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基等の炭素数1〜6のアルキル基、炭素数1〜6のフルオロアルキル基、アリル基、アリール基、フリル基またはチエニル基である。R2は、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基等の炭素数1〜6個のアルキル基、1−プロペニル基、2−プロペニル基、2−メチル−1−プロペニル基、2−メチル−2−プロペニル基、1−ブテニル基、2−ブテニル基、3−ブテニル基等の炭素数2〜6個のアルケニル基、フェニル基、ベンジル基、フルオロベンジル基、メトキシベンジル基、フェノキシエチル基等の芳香環を有する基、エチルカルボニル基、プロピルカルボニル基、ブチルカルボニル基等の炭素数2〜6個のアルキルカルボニル基、エトキシカルボニル基、プロポキシカルボニル基、ブトキシカルボニル基等の炭素数2〜6個のアルコキシカルボニル基、またはエチルカルバモイル基、プロピルカルバモイル基、ブチルカルバモイル基、ペンチルカルバモイル基等の炭素数2〜6個のN−アルキルカルバモイル基等である。本発明で使用するオキセタン化合物としては、1個のオキセタン環を有する化合物を使用することが、得られる組成物が粘着性に優れ、低粘度で作業性に優れるため、特に好ましい。
2個のオキセタン環を有する化合物の一例としては、下記一般式(2)で示される化合物等が挙げられる。
Figure 2005263898
一般式(2)において、R1は、上記一般式(1)におけるそれと同様の基である。R3は、例えば、エチレン基、プロピレン基、ブチレン基等の線状または分枝状アルキレン基、ポリ(エチレンオキシ)基、ポリ(プロピレンオキシ)基等の線状または分枝状ポリ(アルキレンオキシ)基、プロペニレン基、メチルプロペニレン基、ブテニレン基等の線状または分枝状不飽和炭化水素基、またはカルボニル基またはカルボニル基を含むアルキレン基、カルボキシル基を含むアルキレン基、カルバモイル基を含むアルキレン基等である。
また、R3としては、下記一般式(3)、(4)及び(5)で示される基から選択される多価基も挙げることができる。
Figure 2005263898
一般式(3)において、R4は、水素原子やメチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基等の炭素数1〜4個のアルキル基、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基等の炭素数1〜4個のアルコキシ基、塩素原子、臭素原子等のハロゲン原子、ニトロ基、シアノ基、メルカプト基、低級アルキルカルボキシル基、カルボキシル基、またはカルバモイル基である。
Figure 2005263898
一般式(4)において、R5は、酸素原子、硫黄原子、メチレン基、NH、SO、SO2、C(CF32、またはC(CH32を表す。
Figure 2005263898
一般式(5)において、R6は、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基等の炭素数1〜4個のアルキル基、またはアリール基である。nは0〜2000の整数である。R7はメチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基の炭素数1〜4個のアルキル基、またはアリール基である。R7としては、更に、下記一般式(6)で示される基から選択される基も挙げることができる。
Figure 2005263898
一般式(6)において、R8は、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基等の炭素数1〜4個のアルキル基、またはアリール基である。mは0〜100の整数である。
2個のオキセタン環を有する化合物の具体例としては、下記例示化合物1、2が挙げられる。
Figure 2005263898
例示化合物1は、前記一般式(2)において、R1がエチル基、R3がカルボニル基である化合物である。また、例示化合物2は、前記一般式(2)において、R1がエチル基、R3が前記一般式(5)でR6及びR7がメチル基、nが1である化合物である。
2個のオキセタン環を有する化合物において、上記の化合物以外の好ましい例としては、下記一般式(7)で示される化合物がある。一般式(7)において、R1は、前記一般式(1)のR1と同義である。
Figure 2005263898
また、3〜4個のオキセタン環を有する化合物の一例としては、下記一般式(8)で示される化合物が挙げられる。
Figure 2005263898
一般式(8)において、R1は、前記一般式(1)におけるR1と同義である。R9としては、例えば、下記A〜Cで示される基等の炭素数1〜12の分枝状アルキレン基、下記Dで示される基等の分枝状ポリ(アルキレンオキシ)基または下記Eで示される基等の分枝状ポリシロキシ基等が挙げられる。jは、3または4である。
Figure 2005263898
上記Aにおいて、R10はメチル基、エチル基またはプロピル基等の低級アルキル基である。また、上記Dにおいて、pは1〜10の整数である。
4個のオキセタン環を有する化合物の一例としては、例示化合物3が挙げられる。
Figure 2005263898
更に、上記説明した以外の1〜4個のオキセタン環を有する化合物の例としては、下記一般式(9)で示される化合物が挙げられる。
Figure 2005263898
一般式(9)において、R8は前記一般式(6)のR8と同義である。R11はメチル基、エチル基、プロピル基またはブチル基等の炭素数1〜4のアルキル基またはトリアルキルシリル基であり、rは1〜4である。R1は前記一般式(6)のR1と同義である。
本発明で使用するオキセタン化合物の好ましい具体例としては、以下に示す例示化合物4、5、6がある。
Figure 2005263898
上述したオキセタン環を有する各化合物の製造方法は、特に限定されず、従来知られた方法に従えばよく、例えば、パティソン(D.B.Pattison,J.Am.Chem.Soc.,3455,79(1957))が開示している、ジオールからのオキセタン環合成法等がある。また、これら以外にも、分子量1000〜5000程度の高分子量を有する1〜4個のオキセタン環を有する化合物も挙げられる。これらの具体的化合物例としては、以下の化合物が挙げられる。
Figure 2005263898
これらのカチオン重合性化合物についても添加量はインク組成物に対し、1〜97質量%の範囲であり、より好ましくは30〜95質量%である。
本発明においては、硬化反応をより効率的に行なうために、光重合開始剤を添加して硬化させる。光重合開始剤としては、ラジカル重合性化合物についてはラジカル発生剤であり、カチオン重合性化合物については光酸発生剤である。ラジカル発生剤は分子内結合開裂型と分子内水素引き抜き型の2種に大別できる。
分子内結合開裂型のラジカル発生剤としては、例えば、ジエトキシアセトフェノン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、ベンジルジメチルケタール、1−(4−イソプロピルフェニル)−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパン−1−オン、4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル−(2−ヒドロキシ−2−プロピル)ケトン、1−ヒドロキシシクロヘキシル−フェニルケトン、2−メチル−2−モルホリノ(4−チオメチルフェニル)プロパン−1−オン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルホリノフェニル)−ブタノンの如きアセトフェノン系;ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテルの如きベンゾイン類;2,4,6−トリメチルベンゾインジフェニルホスフィンオキシドの如きアシルホスフィンオキシド系;ベンジル、メチルフェニルグリオキシエステル、などが挙げられる。
一方、分子内水素引き抜き型のラジカル発生剤としては、例えば、ベンゾフェノン、o−ベンゾイル安息香酸メチル−4−フェニルベンゾフェノン、4,4′−ジクロロベンゾフェノン、ヒドロキシベンゾフェノン、4−ベンゾイル−4′−メチル−ジフェニルサルファイド、アクリル化ベンゾフェノン、3,3′,4,4′−テトラ(t−ブチルペルオキシカルボニル)ベンゾフェノン、3,3′−ジメチル−4−メトキシベンゾフェノンの如きベンゾフェノン系;2−イソプロピルチオキサントン、2,4−ジメチルチオキサントン、2,4−ジエチルチオキサントン、2,4−ジクロロチオキサントンの如きチオキサントン系;ミヒラ−ケトン、4,4′−ジエチルアミノベンゾフェノンの如きアミノベンゾフェノン系;10−ブチル−2−クロロアクリドン、2−エチルアンスラキノン、9,10−フェナンスレンキノン、カンファーキノンなどが挙げられる。ラジカル発生剤を使用する場合の配合量は、紫外線硬化型インクの0.01〜10.00質量%の範囲が好ましい。
光酸発生剤としては、例えば、化学増幅型フォトレジストや光カチオン重合に利用される化合物が用いられる(有機エレクトロニクス材料研究会編、「イメージング用有機材料」、ぶんしん出版(1993年)、187〜192ページ参照)。本発明に好適な化合物の例を以下に挙げる。
第1に、ジアゾニウム、アンモニウム、ヨードニウム、スルホニウム、ホスホニウムなどの芳香族オニウム化合物のB(C654 -、PF6 -、AsF6 -、SbF6 -、CF3SO3 -塩を挙げることができる。
本発明で用いることのできるオニウム化合物の具体的な例を、以下に示す。
Figure 2005263898
第2に、スルホン酸を発生するスルホン化物を挙げることができ、その具体的な化合物を、以下に例示する。
Figure 2005263898
第3に、ハロゲン化水素を光発生するハロゲン化物も用いることができ、以下にその具体的な化合物を例示する。
Figure 2005263898
第4に、鉄アレン錯体を挙げることができる。
Figure 2005263898
また、本発明のインクジェットインクは、紫外線の照射により硬化するが、硬化反応をより効率的に行なうために、光増感剤を併用することもできる。そのような光増感剤としては、例えば、トリエタノールアミン、メチルジエタノールアミン、トリイソプロパノールアミン、4−ジメチルアミノ安息香酸メチル、4−ジメチルアミノ安息香酸エチル、4−ジメチルアミノ安息香酸イソアミル、安息香酸(2−ジメチルアミノ)エチル、4−ジメチルアミノ安息香酸(n−ブトキシ)エチル、4−ジメチルアミノ安息香酸2−エチルヘキシルの如きアミン類、シアニン、フタロシアニン、メロシアニン、ポルフィリン、スピロ化合物、フェロセン、フルオレン、フルギド、イミダゾール、ペリレン、フェナジン、フェノチアジン、ポリエン、アゾ化合物、ジフェニルメタン、トリフェニルメタン、ポリメチンアクリジン、クマリン、ケトクマリン、キナクリドン、インジゴ、スチリル、ピリリウム化合物、ピロメテン化合物、ピラゾロトリアゾール化合物、ベンゾチアゾール化合物、バルビツール酸誘導体、チオバルビツール酸誘導体等が挙げられ、更に、欧州特許第568,993号明細書、米国特許第4,508,811号明細書、同5,227,227号明細書、特開2001−125255号公報、特開平11−271969号公報等に記載の化合物も用いられる。光増感剤の使用量は、インク組成物中0.01〜10.00質量%の範囲が好ましい。
本発明に係わる紫外線硬化性のインクジェットインクは、上記のように、顔料、高分子分散剤、重合性化合物、光重合開始剤を含有するものであるが、これらの成分の他に、必要に応じて界面活性剤、レベリング添加剤、マット剤、膜物性を調整するためのポリエステル系樹脂、ポリウレタン系樹脂、ビニル系樹脂、アクリル系樹脂、ゴム系樹脂、ワックス類を添加することが出来る。
また、インク中には熱や活性光線による重合を抑制する重合禁止剤を添加することも好ましい。
重合禁止剤としては、フェノール系酸化防止剤、ヒンダード・アミン光安定剤、リン系酸化防止剤、広く(メタ)アクリルモノマーに用いられるハイドロキノンモノメチルエーテルの他、ハイドロキノン、tブチルカテコール、ピロガロールなどを用いることが可能である。中でも分子内にアクリル酸由来の二重結合を持ったフェノール系化合物は、その反応機構から、R・を補足可能であるため、密閉した酸素が存在しない系にて加熱された場合でも重合抑制の効果が得られるため特に好ましい。具体的には、住友化学製のSumilizer GA−80、Sumilizer GM、Sumilizer GSなどを挙げることができる。
これらの重合禁止剤の過剰添加は、インクとしての感度を低下させる要因となるため、インクとしての保存安定性を維持しつつ、顔料分散時の重合を防止できる量を適宜設定して配合することが望ましい。インク中の重合禁止剤の量は、200〜20,000ppmが好ましい。
また、紫外線による硬化後の基材(記録媒体ともいう)に対する密着性を改善するため、極微量の有機溶剤を添加することも有効である。この場合、耐溶剤性やVOCの問題が起こらない範囲での添加が可能であるが、出来るだけ使用しないほうが好ましい。必要な場合は、添加量として0.1〜5%が好ましく、より好ましくは0.1〜3%である。
また、インク中の色材による遮光効果に起因する感度低下を防ぐ手段として、開始剤寿命の長いカチオン重合性化合物と開始剤とを組み合わせ、ラジカル・カチオンのハイブリッド型硬化インクとすることも可能である。
(活性光線硬化性インクの製造方法)
本発明に係る活性光線硬化性インクジェットインクの製造方法において、顔料の分散方法は限定されないが、例えば、色材である顔料を媒体として重合性化合物、溶剤或いは前記高分子分散剤等を用い必要な添加剤を混合しこれらと共に、混合、分散することにより行われる。混合分散装置としては、例えば、前述のボールミル、サンドミル等各種のミル、ホモジナイザー等の分散機を挙げることが出来る。顔料分散物の粘度は、103mPa・s以上、好ましくは106mPa・s以上となるよう、顔料と分散媒体との比率、種類を選定することが好ましい。
これらの工程においては、顔料分散物が過度の温度にさらされないように冷却しながら行うこと、できうる限り遮光しながら行うことが好ましい。
本発明のインクは、上記顔料分散物に更に重合性化合物および必要に応じてその他の前記添加剤を添加し、ミキシングまたは分散を行い調製する。
本発明のインクは、着弾後に基材上でドットが適度にレベリングするように、また、密着性を得るために、25℃における粘度が15〜500mPa・s、また、表面張力が22〜38mN/mの範囲であることが好ましく、更に好ましくは24〜35mN/mの範囲であることが好ましい。
更に、インク出射時のインク粘度を6〜20mPa・sとなるよう、加温により温度制御することが、インクジェット記録の観点で好ましい。
(基材)
本発明において用いることのできる基材としては、例えば、上質紙、コート紙などの印刷用紙のほかに、非吸収性支持体を用いることができるが、基材として非吸収性支持体を用いることが好ましい。
本発明においては、非吸収性支持体としては、各種非吸収性のプラスチック及びそのフィルムを用いることができ、各種プラスチックフィルムとしては、ポリエチレンテレフタレート(PET)、延伸ポリスチレン(OPS)、延伸ナイロン(ONy)、延伸ポリプロピレン(OPP)、ポリ塩化ビニル(PVC)、各種ポリオレフィンフィルム、PEフィルム、TACフィルムを挙げることができる。その他のプラスチックとしては、ポリカーボネート、アクリル樹脂、ABS、ポリアセタール、PVA、ゴム類などが使用できる。また、金属類や、ガラス類にも適用可能である。これらの記録材料の中でも、特に熱でシュリンク可能な、PETフィルム、OPSフィルム、OPPフィルム、ONyフィルム、PVCフィルムへ画像を形成する場合に本発明の構成は、有効となる。これらの基材は、インクの硬化収縮、硬化反応時の発熱などにより、フィルムのカール、変形が生じやすいばかりでなく、インク膜が基材の収縮に追従し難い。
これら、各種プラスチックフィルムの表面エネルギーは大きく異なり、記録材料によってインク着弾後のドット径が変わってしまうことが、従来から問題となっていた。本発明の構成では、表面エネルギーの低いOPPフィルム、OPSフィルムや表面エネルギーの比較的大きいPETまでを含むが、基材として、濡れ指数が40〜60mN/mであることが好ましい。
本発明において、包装の費用や生産コスト等の記録材料のコスト、プリントの作成効率、各種のサイズのプリントに対応できる等の点で、長尺(ウェブ)な記録材料を使用する方が有利である。
インクを射出する前に、フレーム処理、コロナ処理、プラズマ処理、液体処理の何れかの方法によりる加工を施し、基材表面の表面エネルギーを調整する手段を持たせるこは好ましい。上記表面処理を施すことにより、均一なドット径を得ることが可能となり、画質が向上すると共に、基材との密着性が改善できることから好ましい。中でも、プラズマ処理は、オゾンの発生もなく、非常に効果的である。
本発明に係わるインクジェット記録方法は、本発明に係わる前記紫外線硬化性インクジェットインクをインクジェット記録装置のインクジェットヘッドのノズルから出射して前記記録媒体上に吐出、描画し、次いで紫外線などの活性光線を照射してインクを硬化させるものであるが、本発明において、インクジェットヘッドのノズル面及び記録媒体に対向する部材は撥インク性処理されていることが好ましい。
紫外線硬化性のインクジェットインクは水系インクよりも高粘度であるため、特にミストが発生しやすい。発生したミストはインクジェットノズル面だけでなく、記録媒体と対向する面にも付着する。一方、着弾したインクを硬化するため、通常インクジェットヘッドの近傍に紫外線の光源を配置するが、僅かな漏れ光、反射光、散乱光が、付着したミストに照射されるため、長期間使用すると付着したミストが硬化し、メンテナンス動作へ悪影響を及ぼす。記録媒体と対向する面も撥インク性処理されたインクジェットヘッドを用いることにより、長期に渡り、ノズル面のクリーニング性を改善することが出来、硬化したミストでノズル面を汚すことなく安定に出射することが可能となる。特に本発明のインクは、ミストの発生も少ないことから、このようなインクジェットヘッドを用いることで、相乗的に出射安定性が向上し、長期に渡り安定した出射性を維持することができる。
インクジェットヘッドのノズル面を撥インク性処理するには、通常、ノズル面を構成する例えばノズルプレート表面を撥インク加工する。
ノズル面に撥インク加工を施すには、通常、例えば、ポリエステル、ポリアミド、等のプラスチック、ガラス、セラミック或いはステンレス等金属の素材からなるノズルプレートに撥インク性コーティングを施したものを用いる。
ノズル面にインクが付着しないよう撥インク性コーティングを施す方法については、例えば、特公昭52−24821号、特開昭56−2862号にはポリテトラフルオロエチレン(PTFE)等のフッ素樹脂やシリコーン樹脂等インクをはじく特性を有する素材のコーティングが、特開昭57−72866号、同60−255441号等には撥インク膜としてテトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体(FEP)を使用することがそれぞれ記載されている。このFEPはポリテトラフルオロエチレン(PTFE)と同等の低い表面エネルギー(撥インク性)を有しながら、加熱溶融時の粘度がPTFEと比較して低く、水分散液を塗布して加熱溶融によって均一膜を形成する場合にPTFEよりも低温で短時間に均一膜が得られ、成膜加工性に優れている。又、特開2001−71509、にはFEP水分散液とシリカゾル粒子分散液を混合塗布して乾燥及び300から400℃で焼成する方法が、又、特表平10−505870号等にもフッ素含有ポリシロキサン化合物を用いる方法等が記載されている。
図1はインクジェットヘッドの一例を示す斜視図である。ノズル形成部材の周縁部とヘッドの側面を覆うノズルホルダ内に収納してインクジェット記録装置本体に装着する形態のインクジェットヘッドを示す。インクジェットヘッド10において、ノズル面はノズル形成部材であるノズルプレート15およびは該ノズルプレート上に形成された複数のノズル14からなる。39は該ノズル面周辺部の記録媒体対向面および側面を覆うノズルホルダを示す。また40は該ノズルホルダがノズル面周縁の記録媒体対向面を覆う部分を示している。このような場合、インクジェットヘッドのノズル形成部材15の表面に撥インク加工を施していても、ノズルホルダの記録媒体対向面40には撥インク加工が施されていないため、ワイピング等クリーニングを行ってもノズルカバーの表面に前記インクミスト等の付着物が残留して記録媒体を汚すなどの事態が生じることになる。
従って、このようなノズルホルダを備えるインクジェットヘッドのワイピング等クリーニング性能を向上させる為には、ノズル面を構成する部材(例えばノズルプレート)の表面のみでなく、このノズルホルダの記録媒体との対向面にも撥インク処理を行う必要がある。
勿論、記録媒体に対向するノズル面がノズルプレートのみから構成される様な場合には、ノズルプレートに撥インク加工を行えばよく、要は、インクジェットヘッドの記録媒体との対向面全体が撥インク性処理されていることにある。
本発明に係わるインクジェットインクの吐出条件としては、インクジェットヘッド及びインクを35〜100℃に加熱し、吐出することが吐出安定性の点で好ましい。活性光線硬化型インクは、温度変動による粘度変動幅が大きく、粘度変動はそのまま液滴サイズ、液滴射出速度に大きく影響を与え、画質劣化を起こすため、インク温度を上げながらその温度を一定に保つことが必要である。インク温度の制御幅としては、設定温度±5℃、好ましくは設定温度±2℃、更に好ましくは設定温度±1℃である。
また、本発明では、各ノズルより吐出する液滴量が2〜40plであることが好ましい。高精細画像を形成するためには、液滴量がこの範囲であることが必要である。
本発明の画像記録方法においては、発生光線の照射条件として、インク着弾後0.001〜2.0秒の間に活性光線が照射されることが好ましく、より好ましくは0.001〜1.0秒である。高精細な画像を形成するためには、照射タイミングができるだけ早いことが特に重要となる。
活性光線の照射方法として、その基本的な方法が特開昭60−132767号に開示されている。これによると、記録ヘッドユニットの両側に光源を設け、シャトル方式で記録ヘッドと光源を走査する。照射は、インク着弾後、一定時間を置いて行われることになる。更に、駆動を伴わない別光源によって硬化を完了させる。米国特許第6,145,979号では、照射方法として、光ファイバーを用いた方法や、コリメートされた光源を記録ヘッドユニット側面に設けた鏡面に当て、記録部へUV光を照射する方法が開示されている。本発明の画像形成方法においては、これらのいずれの照射方法も用いることができる。
また、活性光線を照射を2段階に分け、まずインク着弾後0.001〜2.0秒の間に前述の方法で活性光線を照射し、かつ、全印字終了後、更に活性光線を照射する方法も好ましい態様の1つである。活性光線の照射を2段階に分けることで、よりインク硬化の際に起こる記録材料の収縮を抑えることが可能となる。
本発明では、硬化に有効な波長域におけるピーク(最高)照度が0.1mW/cm2以上、1000mW/cm2未満の活性光線を用いることが好ましい。
活性光線照射で用いる光源の例としては、低圧水銀ランプ、高圧水銀ランプ、メタルハライドランプ、無電極UVランプ、エキシマーレーザー、UVレーザー、キセノンフラッシュランプ、捕虫灯、ブラックライト、殺菌灯、冷陰極管、LED(light emitting diode)などがあるが、これらに限定されない。
次いで、本発明で用いることのできる前記インクジェットヘッドを用いるインクジェット記録装置(以下、単に記録装置という)について説明する。
以下、本発明に係る記録装置について、図面を適宜参照しながら説明する。尚、図面の記録装置はあくまでも本発明で好ましく用いることができる記録装置の一態様であり、本発明では、ここで例示する記録装置の図面に限定されない。
図2は、本発明で用いることのできるインクジェット記録装置のシリアルプリント方式で用いる要部の構成の一例を示す正面図である。記録装置1は、ヘッドキャリッジ2、インクジェットヘッド10、照射手段4、プラテン部5等を備えて構成される。この記録装置1は、基材Pの下にプラテン部5が設置されている。プラテン部5は、紫外線を吸収する機能を有しており、基材Pを通過してきた余分な紫外線を吸収する。その結果、高精細な画像を非常に安定に再現できる。この場合前記図1で表されるインクジェットヘッドがY,M,C,Kの4色分搭載されている。
基材Pは、ガイド部材6に案内され、搬送手段(図示せず)の作動により、図2における手前から奥の方向に移動する。ヘッド走査手段(図示せず)は、ヘッドキャリッジ2を図2におけるY方向に往復移動させることにより、ヘッドキャリッジ2に保持されたインクジェットヘッド10の走査を行なう。
ヘッドキャリッジ2は基材Pの上側に設置され、基材P上の画像印刷に用いる色の数に応じてインクジェットヘッド10を複数個、ノズル面を下側に配置して収納する。ヘッドキャリッジ2は、図2におけるY方向に往復自在な形態で記録装置1本体に対して設置されており、ヘッド走査手段の駆動により、図2におけるY方向に往復移動する。
尚、図2ではヘッドキャリッジ2がイエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)のインクジェットヘッド10を収納するものとして描図を行なっているが、実施の際にはヘッドキャリッジ2に収納されるインクジェットヘッドの色数は適宜決められるものである。
インクジェットヘッド10は、インク供給手段(図示せず)により供給された活性光線硬化型のインクを、内部に複数個備えられた吐出手段(図示せず)の作動により、ノズルから基材Pに向けて吐出する。インクジェットヘッド10により吐出される活性光線硬化型のインクは紫外線の照射を受けることで、重合反応によって硬化する性質を有する。
インクジェットヘッド10は、基材Pの一端からヘッド走査手段の駆動により、図2におけるY方向に基材Pの他端まで移動するという走査の間に、基材Pにおける一定の領域(着弾可能領域)に対して、活性光線硬化型のインクをインク滴として吐出し、該着弾可能領域にインク滴を着弾させる。
上記走査を適宜回数行ない、1領域の着弾可能領域に向けて活性光線硬化型のインクの吐出を行なった後、搬送手段で基材Pを図2における手前から奥方向に適宜移動させ、再びヘッド走査手段による走査を行ないながら、インクジェットヘッド10により上記着弾可能領域に対し、図2における奥方向に隣接した次の着弾可能領域に対して活性光線硬化型のインクの吐出を行なう。
上述の操作を繰り返し、ヘッド走査手段及び搬送手段と連動してインクジェットヘッド10から活性光線硬化型のインクを吐出することにより、基材P上に活性光線硬化型のインク滴の集合体からなる画像が形成される。
照射手段4は、特定の波長領域の紫外線を安定した露光エネルギーで発光する紫外線ランプ及び特定の波長の紫外線を透過するフィルターを備えて構成される。ここで、紫外線ランプとしては、前記挙げられたものが適用可能であり、帯状のメタルハライドランプ、冷陰極管、水銀ランプもしくはブラックライトが好ましい。
照射手段4による照射範囲は、インクジェットヘッド10がヘッド走査手段の駆動による1回の走査によって活性光線硬化型のインクを吐出する着弾可能領域のうち、記録装置1で設定できる最大のものとほぼ同じ形状か、着弾可能領域よりも大きな形状を有することが好ましい。
照射手段4はヘッドキャリッジ2の両脇に、基材Pに対してほぼ平行に、固定して設置される。ヘッドキャリッジ2のY方向への走査に伴って、記録ヘッドからインクが吐出されると、基材上に吐出されたインク滴は、キャリッジの移動方向とは反対側の照射手段により順次、紫外線照射をうけることで硬化する。インクが基材に着弾前に照射をうけ硬化が起こらないようにするため、前述したようにインク吐出部の照度は、記録ヘッド3全体を遮光したり、更に加えて照射手段4と基材Pの距離h1より、インクジェットヘッド10のインク吐出部と基材Pとの距離h2を大きくしたり(h1<h2)、記録ヘッド3と照射手段4との距離dを離したり(dを大きく)して調整することが有効である。又、インクジェットヘッド10と照射手段4の間を蛇腹構造7にすると更に好ましい。
ここで、照射手段4で照射される紫外線の波長は、照射手段4に備えられた紫外線ランプ又はフィルターを交換することで適宜変更することができる。
以上、シリアルプリント方式においては、記録ヘッドから吐出されたインクは、キャリッジのY方向への走査により、キャリッジに付設された照射手段からインク着弾後0.001〜2.0秒、より好ましくは0.001〜1.0秒の間に活性光線が照射される。高精細な画像が形成されるためには、照射タイミングができるだけ早いことが重要であり、また、高速の印字(印画)の場合、キャリッジの移動が速いため、充分な照射エネルギーが得られないと硬化が不充分となる。
以上の様に、図2においては、シリアルプリント方式を例として、説明したが、そのほかにも、図3に示すような各インクジェット印字方式のインクジェット記録装置を用いることができる。
図3において、図3のa)は、記録ヘッド19を基材20の幅手方向に配置し、記録媒体を搬送しながら印字及び照射手段24より活性光線を照射する方法(ラインヘッド方式)であり、図3のb)は、記録ヘッド19が副走査方向に移動しながら印字し、更に照射手段24より活性光線を照射する方法(フラットヘッド方式)であり、図3のc)は、上記説明した記録ヘッド19が基材上の幅手方向を走査しながら印字し、更に両端に設けた照射手段24より活性光線を照射する方法(シリアルプリント方式)であり、いずれの方式も用いることができる。
以下、本発明を実施例を挙げて具体的に説明するが、本発明の実施態様はこれらに限定されるものではない。
《インクジェットインクの調製》
以下表1で示される各組成について、ジルコニアビーズを用い、4時間サンドグラインダーで分散した後、更に超音波分散機にて10分間、追加分散を行い、各顔料分散物を得た。
表中、使用素材
PR122;Pigment Red 122
PR122酸性処理;Pigment Red 122酸性処理品(キナクリドンスルフォン酸をシナージスト(相乗剤)として用いた)
PB821;味の素ファインテクノ製アジスパーPB821(高分子分散剤)
PB822;味の素ファインテクノ製アジスパーPB822(高分子分散剤)
S32000;Avecia製、ソルスパース32000(高分子分散剤)
Dbyk161;BYK−chemie製disperbyk161(高分子分散剤)
ED251;楠本化成製、ED251(分散剤)
OXT221;東亜合成製、アロンオキセタンOXT221
C2021P;ダイセル製、セロキサイド2021P
SP152;旭電化製、SP152、有効成分50%
F1405;大日本インキ製、メガファックF1405
TIPA;トリイソプロパノールアミン
を表す。
次いで、各顔料分散物100質量部に対し、光重合開始剤(旭電化製、SP152)を5質量%混合し、0.8μmのメンブレンフィルターにてろ過、50℃に加熱しながら減圧によって脱水し、それぞれインクジェットインク1〜8を得た。
高分子分散剤については、各分散剤のOXT221:C2021P=63:27の混合モノマー溶液に対して20%の濃度で溶解したときの溶液粘度をそれぞれ測定し、結果を同時に表1に示した。粘度はPhysica製、MCR300を用いて測定した。
また、作製したインク中の遊離高分子分散剤量(%)を、インクを超遠心分離機で3時間処理後、上澄み液を採取し、GPCにて、分離定量を行った。各分散剤のリテンションタイム、ピーク強度の検量線を作っておくことで定量することができる。(同様に表1にインクの評価結果と共に示した。)。
作製したインクジェットインク1〜8について、図2で示される装置に装着し、以下のようにして印字テストを行った。印字テストは、それぞれ前記図1で示されるインクジェットヘッドを用いて、駆動周期4kHzで1周期当たり4plの液滴を5ドロップ連続出射することで6階調を表現可能に設定し行い、またインク流路、インク室およびノズルはヒーターによって加熱しインクを55℃に制御して行った。
記録媒体としては王子油化合成紙(株)製ユポSGG#110、厚さ110μmを用い、基材は、プラテンに設けたヒーターにより温調可能とした。
また、印字後、印字によるキャリッジの副走査方向への移動に従って、記録ヘッドから記録媒体上に吐出されたインクは、紫外線照射手段によって順次紫外線照射される。
紫外線の照射手段としては、Integration社製のVzeroを用い、140W/cmの設定とした。またキャリッジスピード800mm/sとし、このときの記録媒体上での積算光量は、17mJ/cm2であった。
なお、インクジェットヘッドはノズル面(ノズルプレート)およびその他の記録媒体に対向する面(ノズルホルダの天板)には撥インク加工を施したものである。
ノズルプレートの作製および撥インク加工は以下のように行った。
即ち、125μm厚のポリイミドシート(宇部興産(株)製、ユービレックス)を用い、これに酸素プラズマ処理(13.56MHz、200W、10Pa、3分)を施してから、表面に紫外線吸収性エナメル塗料をコートした後、焼結しエナメル塗料をポリイミドシート上に溶着した後、下記組成の塗布液を、ワイヤーバーで乾燥膜厚が0.8μmとなるように塗布し、330°で2時間焼成して撥インク加工を行った。
FEP分散液(ダイキン工業(株)製、ネオフロンND−1) 10質量部
シリカゾル粒子分散液(触媒化学工業(株)製、カタロイドS−30H)
0.02質量部
水 90質量部
撥インク加工を行った後、次いでエキシマレーザを用いノズル径20μmでノズル孔加工を行い撥インク性、紫外線吸収性を有するノズルプレートを作製した。
ノズル穿孔後、該ノズルプレート用いインクジェットヘッドを作製しインクジェット記録装置に装着した。なおノズルホルダの天板についても表面に紫外線吸収性エナメル塗料を同様にコートした後焼結し、エナメル塗料を天板上に溶着し、前記ノズルプレート同様にFEP分散液を塗布焼結して撥インク性、紫外線吸収性をもたせた。
各インクジェトインクについて上記の装置に各々装着した後、印字テストは以下のように行った。インクジェットヘッドのピエゾ振動子の駆動電圧を変化させ、サテライトの発生する速度をみたほか、連続出射後停止した直後の初発の液滴速度の低下率(間欠出射速度低下率)を、またインクヘッドの副走査スピード(キャリッジの移動速度)を変化させてインクの硬化速度をそれぞれ求め、最後に各インクのベタ画像部における硬化時のシワ発生をベタ画像部の光沢を目視で観察することにより評価した。
評価は以下の基準で行った。
(サテライト発生速度)
主ドロップに続きサテライトが発生し始める液滴速度について以下のように測定した。
ピエゾ素子の駆動電圧を変化させて、液滴の吐出を試験を行った。吐出スピードを5.5m/sおよび4.0m/sとした2水準で評価を行い、各水準において、サテライト発生があるか否か確認した。
(間欠出射速度低下率)
各インクにつき連続出射後5秒間停止し、直後の初発の吐出について液滴速度を測定しその低下率を測定した。液滴速度は吐出に連動させたストロボスコープにより吐出後の時間と移動距離から求めた。
(連続出射性)
各インクについて、駆動周期4kHzで1周期当たり4plの液滴を5ドロップ連続出射する条件でインク欠が発生するか否かをみた。インク欠がないものを○、インク欠があるものを×で示した。
(硬化速度)
記録媒体として用いた前記ユポ基材を用い基材上において30℃、60%、4pl液滴の条件で、前記の照射条件において硬化速度(mm/s)を観察した。各インクについて、50〜800mm/sまで50mm/s単位でインクジェットヘッドスピード(キャリッジの移動速度)を変化させて前記の条件で1ドットずつ基材上に射出し、硬化処理後に、各ドット表面を指で擦って、硬化したインク液滴が基材から剥がれなくなる最大のヘッドスピードを求め、これを硬化速度と定義した。
(硬化時のシワ発生)
各インクを用い、記録媒体として用いたユポ基材上に形成されたベタ画像部の光沢を目視で評価した。しわ発生がなく良好な光沢を有するものは○、しわの発生がややみられるものを△、しわの発生が顕著で光沢が損なわれているもの×とした。
結果をインク処方と共に以下に示した。
Figure 2005263898
インク1は、高分子分散剤の粘度が適度であり分散安定性に優れ、かつ余剰分散剤が少ないため、サテライト発生が5.5m/sにおいても観察されず、また、間欠出射速度低下も少なく、連続出射性、硬化速度、またしわの発生もなくより好ましい。インク2,3も同様に高分子分散剤粘度が適度で、余剰分散剤が少なく同様に好ましい。インク4は分散剤の粘度が稍低く、分散安定性が少し劣るが、硬化速度が稍遅いほかは優れており、インク5はモノメリックの分散剤(低分子分散剤)であるため分散性が劣化しているためか、サテライト発生が4.0m/sにおいて観察され、また、間欠出射速度低下も大きく、連続出射試験で欠が多く、またしわの発生が大きく、硬化速度も遅い。インク6は顔料表面処理無いため遊離分散剤が多く、総てにおいて劣っている。インク7は高分子分散剤粘度が高く好ましい特性を有している。インク8は分散剤過剰添加により遊離分散剤量画像化し、特性が劣化している。
インクジェットヘッドの一例を示す斜視図である。 シリアルプリント方式を用いるインクジェット記録装置の要部の構成の一例を示す正面図である。 インクジェット記録装置の印字方式を示す図である。
符号の説明
1 記録装置
2 ヘッドキャリッジ
3、10、19 インクジェットヘッド
4、24 照射手段
5 プラテン部
6 ガイド部材
7 蛇腹構造
P、20 基材
14 ノズル
15 ノズルプレート
39 ノズルホルダ
40 ノズルホルダの記録媒体対向面

Claims (3)

  1. 顔料、高分子分散剤、重合性化合物および光重合開始剤を含有する紫外線硬化性のインクジェットインクにおいて、顔料に吸着していない遊離した高分子分散剤がインク全体の1.0質量%以下であることを特徴とするインクジェットインク。
  2. 前記重合性化合物に20質量%の濃度で溶解したときの25℃粘度が20〜300mPa・sである高分子分散剤を用いることを特徴とする請求項1記載のインクジェットインク。
  3. 請求項1または2に記載のインクジェットインクをインクジェットヘッドのノズルから出射して記録媒体上に印字するインクジェット記録方法において、該インクジェットヘッドのノズル面及び記録媒体に対向する部材が撥インク性処理されていることを特徴とするインクジェット記録方法。
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