JP2009110746A - 電子放出素子の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】輝点の強度や形状変化を生じ難い電子放出素子の製造方法を提供する。
【解決手段】絶縁性基板1上に電極2,3を形成し、該電極2,3間を連絡する導電性膜を形成し、該導電性膜に電圧を印加して間隙6を形成した後、絶縁性基板1にX線、紫外線、電子線の少なくともいずれかを照射して該基板表面を正電位に帯電させ、次いで、炭素を含む雰囲気下で導電性膜4,5間に電圧を印加して上記間隙6及びその周囲の是つん正基板1表面に炭素膜7を堆積させる。
【選択図】図2
【解決手段】絶縁性基板1上に電極2,3を形成し、該電極2,3間を連絡する導電性膜を形成し、該導電性膜に電圧を印加して間隙6を形成した後、絶縁性基板1にX線、紫外線、電子線の少なくともいずれかを照射して該基板表面を正電位に帯電させ、次いで、炭素を含む雰囲気下で導電性膜4,5間に電圧を印加して上記間隙6及びその周囲の是つん正基板1表面に炭素膜7を堆積させる。
【選択図】図2
Description
本発明は、平面型の画像表示装置に用いられる電子放出素子の製造方法に関し、特に、駆動中の絶縁性基板の帯電を防止した電子放出素子の製造方法に関する。
表面伝導型電子放出素子は、基板上に形成された小面積の導電性膜に、膜面に平行に電流を流すことにより、電子放出が生ずる現象を利用するものであり、係る導電性膜には予め通電処理(フォーミング)によって電子放出部を形成するのが一般的であった。即ち、導電性膜両端に直流電圧或いは非常にゆっくりとした昇電圧例えば1V/分程度を印加通電し、導電性膜を局所的に破壊、変形もしくは変質せしめ、電気的に高抵抗な状態にした電子放出部を形成する。電子放出部においては導電性膜の一部に間隙が発生しており、その間隙付近から電子放出が行われる。
しかしながら、電子放出素子の近傍に絶縁面が露出すると、基板が帯電して輝点の強度や形状が変化することがあった。特許文献1には、電子放出素子の近傍に炭素膜を形成し、絶縁面の帯電を防止する構成が提案されていた。
しかしながら、特許文献1に記載された炭素膜は、輝点形状や輝度の変化を抑制するには不十分であった。
本発明は、輝点の強度や形状変化を生じ難い電子放出素子の製造方法を提供することを目的とする。より具体的には、導電性膜上に炭素膜を形成すると同時に、基板上にも帯電防止効果のある炭素膜を形成することで工程を短縮し、タクト短縮により低コスト化を図ることができる電子放出素子の製造方法を提供することを目的とする。
本発明は、炭素を含有する雰囲気中で、絶縁性基板上に間隙をおいて設けられた第1の導電性膜と第2の導電性膜との間に電圧を印加することによって、前記絶縁性基板上に炭素膜を堆積させる炭素膜形成工程を有する電子放出素子の製造方法であって、
少なくとも、前記炭素膜形成工程に先立って、或いは、同時に、前記絶縁性基板の表面を正電位に帯電させる工程を有することを特徴とする。
少なくとも、前記炭素膜形成工程に先立って、或いは、同時に、前記絶縁性基板の表面を正電位に帯電させる工程を有することを特徴とする。
本発明においては、
前記絶縁性基板の表面を正電位に帯電させる工程において、帯電させる領域は、前記絶縁性基板の表面であって、前記第1の導電性膜と第2の導電性膜との間隙に隣接する領域であること、
前記絶縁性基板の表面を正電位に帯電させる工程は、エネルギー線照射によること、
前記エネルギー線がX線、紫外線、電子線のいずれか、或いは2種以上であること、
を好ましい態様として含む。
前記絶縁性基板の表面を正電位に帯電させる工程において、帯電させる領域は、前記絶縁性基板の表面であって、前記第1の導電性膜と第2の導電性膜との間隙に隣接する領域であること、
前記絶縁性基板の表面を正電位に帯電させる工程は、エネルギー線照射によること、
前記エネルギー線がX線、紫外線、電子線のいずれか、或いは2種以上であること、
を好ましい態様として含む。
本発明によれば、帯電防止効果の高い帯電防止膜が形成され、輝点の形状が変化したり強度が揺らぐことの無い、安定な電子放出素子を、より短時間で製造することができる。
以下、本発明の実施の形態について説明する。
本発明の電子放出素子は、電界放出型素子、MIM型素子、表面伝導型電子放出素子などを包含している。特に表面伝導型電子放出素子は、基板上もしくは基板上に形成された電極や導電性膜の表面を電子が散乱しながらアノード電極に到達する点で、本発明が適用される好ましい形態である。
本発明の実施の形態について、表面伝導型電子放出素子を例に挙げ、図2を用いて以下に具体的に説明する。但し、この実施形態に記載されている構成部品の寸法、材質、形状、その相対配置などは、特に限定的な記載が無い限りは、この発明の範囲をそれらのみに限定する趣旨のものではない。
図2は、本発明が好ましく適用される表面伝導型電子放出素子の構成を示す模式図である。図2中、(a)は平面図、(b)は(a)で示すA−A’断面図、(c)は(a)で示すB−B’断面図である。また、1は絶縁性基板、2,3は電極、4は第1の導電性膜、5は第2の導電性膜、7は炭素を主成分とする炭素膜、6は第1の導電性膜4と第2の導電性膜5の間に形成された間隙である。8は絶縁面で、絶縁性基板1の表面のうち電極2,3、導電性膜4,5と間隙6を除いた部分である。
また、図1(a)に、本例による電子放出素子の製造方法のフローチャートを示す。更に、図3乃至図5に本例による電子放出素子の形成過程の模式図を示す。図4において、9は導電性膜である。また、図2と同様の部材には同一の符号を付し、説明を省略する。
[電極作製工程]
先ず、絶縁性基板上に、対向する電極2,3を作製する(図3)。作製方法としては、真空蒸着法、スパッタ法等により電極材料を堆積後、フォトリソグラフィー技術によりパターンニングを行う方法等が挙げられる。或いは、オフセット印刷法などの印刷法により電極を作製しても良い。
先ず、絶縁性基板上に、対向する電極2,3を作製する(図3)。作製方法としては、真空蒸着法、スパッタ法等により電極材料を堆積後、フォトリソグラフィー技術によりパターンニングを行う方法等が挙げられる。或いは、オフセット印刷法などの印刷法により電極を作製しても良い。
電極2,3の材料としては、アルミニウム、チタン、クロム、ニッケル、銅、モリブデン、ルテニウム、銀、タングステン、プラチナ、金等の導体材料を用いることができる。
また、絶縁性基板1には、Na等の不純物含有量を減少したガラス、石英ガラス、青板ガラス、青板ガラスにスパッタ法等により形成したSiO2を積層したガラス基板及びセラミックス等を用いることができる。
図2に示す電極間隔L、電極長さW、導電性膜4,5の形状等は、応用される形態等を考慮して、設計される。電極長さWは、電極の抵抗値、電子放出特性を考慮すると、好ましくは数μm〜数百μmの範囲であり、電極2,3の膜厚dは、好ましくは数十nm〜数μmの範囲である。
[導電性膜形成工程]
次に、導電性膜9を形成する。例えば、電極2,3を設けた絶縁性基板1上に、有機金属溶液を塗布して、有機金属膜を形成し、この有機金属膜を加熱焼成処理し、リフトオフ、エッチングなどによりパターニングし、導電性膜9を形成する(図4)。導電性膜9の形成法は、真空蒸着法、スパッタ法、化学的気相堆積法、分散塗布法、ディッピング法、スピンナー法、インクジェット法等を用いることができる。
次に、導電性膜9を形成する。例えば、電極2,3を設けた絶縁性基板1上に、有機金属溶液を塗布して、有機金属膜を形成し、この有機金属膜を加熱焼成処理し、リフトオフ、エッチングなどによりパターニングし、導電性膜9を形成する(図4)。導電性膜9の形成法は、真空蒸着法、スパッタ法、化学的気相堆積法、分散塗布法、ディッピング法、スピンナー法、インクジェット法等を用いることができる。
[フォーミング工程]
次に、導電性膜9に間隙6を形成するフォーミング工程を行う。具体的には、一対の電極2,3間に電圧、特にはパルス電圧を印加し、導電性膜9に電流を流して通電を行うことにより、該導電性膜9の一部を局所的に破壊、変形もしくは変質等の構造の変化した微小間隙を形成する。つまり、第1の導電性膜4と第2の導電性膜5との間に間隙6が形成される(図5)。
次に、導電性膜9に間隙6を形成するフォーミング工程を行う。具体的には、一対の電極2,3間に電圧、特にはパルス電圧を印加し、導電性膜9に電流を流して通電を行うことにより、該導電性膜9の一部を局所的に破壊、変形もしくは変質等の構造の変化した微小間隙を形成する。つまり、第1の導電性膜4と第2の導電性膜5との間に間隙6が形成される(図5)。
尚、図5では、第1の導電性膜4と第2の導電性膜5が完全に分離されて示されているが、一部で繋がっている場合もある。繋がっている場合には、間隙6を境界にして、位置的な関係から第1の導電性膜4と第2の導電性膜5を区別する。
[エネルギー線照射工程]
続いて、電子放出素子の外部に設けたエネルギー線源より、絶縁性基板1に向けてエネルギー線を照射する。エネルギー線としては、X線、紫外線又は電子線が適用可能である。
続いて、電子放出素子の外部に設けたエネルギー線源より、絶縁性基板1に向けてエネルギー線を照射する。エネルギー線としては、X線、紫外線又は電子線が適用可能である。
図6はX線を電子放出素子に照射する構成を示した模式図である。図中、11はエネルギー線照射装置、12は高電位電極、13はエネルギー線遮蔽手段である。また、図2と同様の構成は同一の符号を付し、説明を省略する。
<X線>
エネルギー線照射装置11としては、例えば電子線を金属などのターゲットに照射することにより生ずる特性X線、或いは制動放射による連続X線などが使用可能である。より具体的には、例えば、アルミニウムのターゲットに数keV程度以上の電子線を照射する事により、特性X線としてのKα線(波長:0.83368nm)を生じさせることが可能である。
エネルギー線照射装置11としては、例えば電子線を金属などのターゲットに照射することにより生ずる特性X線、或いは制動放射による連続X線などが使用可能である。より具体的には、例えば、アルミニウムのターゲットに数keV程度以上の電子線を照射する事により、特性X線としてのKα線(波長:0.83368nm)を生じさせることが可能である。
また、X線の照射領域を微細に制御するために、エネルギー線遮蔽手段13を設けることもある。X線を用いた場合のエネルギー線遮蔽手段13としては、鉛などの重金属プレートを用いる。
尚、本発明の実施の形態に好適なX線の波長は、後述する光電効果の結果もたらされる帯電を効果的に行えるものが良く、通常軟X線と呼ばれる、数百pm〜数十nm程度のものが好ましい。
特に、その中でも0.5nmの波長を有するものが光電効果を発揮するのに好適であり、ターゲットを、アルミニウムの他に、マグネシウム、シリコン、硫黄、或いはリンなどとすれば、そのようなX線を生じさせることが可能となる。
固体物質にX線を照射した場合、物質内部の電子が励起され、物質表面から電子が放出される。この効果は一般的に光電効果と呼ばれ、励起された電子は光電子と呼ばれる。
基板上にX線を照射した場合、導電性部分と絶縁面部分の両方から光電子が放出される。導電性部分から光電子が放出されても、直ちにグランド(接地)電位からマイナス電荷が供給されるので帯電することはない。しかし、絶縁面部分から光電子が放出された場合、基板からの電荷供給がほとんどないため、結果的に正に帯電することになる。
<紫外線>
エネルギー線照射装置11には数十nmから150nm程度の波長を持つ真空紫外線を照射するものが利用できる。効率的な光電効果を得るには絶縁性基板1の仕事関数(一般に数eV程度)以上のエネルギー波長の紫外線を照射することが必要である。
エネルギー線照射装置11には数十nmから150nm程度の波長を持つ真空紫外線を照射するものが利用できる。効率的な光電効果を得るには絶縁性基板1の仕事関数(一般に数eV程度)以上のエネルギー波長の紫外線を照射することが必要である。
固体物質に紫外線を照射した場合、X線を照射した場合と同様に光電効果により光電子が放出され、絶縁面部分は正に帯電する。
<電子線>
エネルギー線照射装置11としては、熱陰極或いは冷陰極を電子線源として使用し、内部に設けられたアノード電極やグリッド電極等に印加した電圧により電子線を加速し、絶縁性基板1上の絶縁面8に照射する。
エネルギー線照射装置11としては、熱陰極或いは冷陰極を電子線源として使用し、内部に設けられたアノード電極やグリッド電極等に印加した電圧により電子線を加速し、絶縁性基板1上の絶縁面8に照射する。
また、電子線の照射領域を微細に制御するためのエネルギー線遮蔽手段13としては、帯電の影響を避けるため、電気導電性の良いAlなどの金属プレートを用いる。射影手段ではなく、電子線偏向電極などにより電子線の照射位置を制御することも可能である。
エネルギー線照射装置11から絶縁性基板1までの加速電圧は、後述する2次電子放出による帯電を効果的に行える範囲が良く、0.1keV〜10keV、好ましくは0.1keV〜4keV程度に設定されることが好ましい。例えば絶縁性基板1側を接地電位とした時には、エネルギー線照射装置11にはマイナス電位を印加することにより実現する。
電子線照射は連続的に照射して面走査しても良いし、後述する活性化工程と同時に電子線照射する場合は、電極2,3間に印加するパルス電圧に同期させた面走査してパルス照射しても良い。また、電子放出手段を素子と一対一の関係に対応させて同等数を設けても良い。絶縁性基板1上の絶縁面8に照射する電子線の増加につれて正帯電が増えるため、放電などの影響を避けるよう製造装置に応じて照射する電子線密度は適宜設定する。
電子線が物質表面に衝突すると、物質内部で電子の散乱が生じ、物質表面から電子が放出される。放出された電子は2次電子と呼ばれる。2次電子の出射量は、照射された電子のエネルギーと関係があり、電子線が固体表面に入射した時のエネルギーが所定の量より大きければ、入射した電子よりも多くの2次電子が放出され、正に帯電する。
ただし、照射された入射エネルギーが十分に大きい場合、固体表面から離れた深い領域で電子の散乱が生じるため、生成した2次電子が固体表面まで到達できず、放出される2次電子量は少なくなる。入射電子数に対する出射電子数の比は2次電子放出係数と呼ばれ、2次電子放出係数が1より大きければ、入射電子より出射電子の方が多くなり、逆に1より小さければ入射電子より出射電子の方が少なくなる。
例えばSiO2の基板表面における電子線の入射エネルギーと2次電子放出係数の関係は図7に示すとおりである。電子線が導電性部分に照射されたときは、直ちにグランド電位から電荷が補給され、導電性部分が帯電することはない。しかし、絶縁面上に電子が入射または出射した場合、基板からの電荷供給がほとんどないため、入射電子数と出射電子数の差によって絶縁面上が正又は負に帯電する。つまり、絶縁面上においては、2次電子放出係数が1より大きいときは正に帯電し、1より小さい時は負に帯電する。
本発明において、後述する炭素膜形成工程において、導電性膜4,5の間隙6から放出された電子を絶縁性基板1上の絶縁面8にも到達させるため、間隙6に隣接した絶縁性基板1上の絶縁面8は正電位、つまり正に帯電させる必要がある。
例えば絶縁面8がSiO2である場合は、絶縁面8を正に帯電させるのに必要な電子線の入射エネルギーは、図7より0.1keV〜4keV程度である。
エネルギー線としてX線、紫外線、及び電子線のそれぞれを用いた場合の効果を比べると、X線は紫外線に比べて、波長が短くエネルギーが大きいため、より光電子を励起しやすく、絶縁面8を帯電させやすい。また、X線、紫外線と電子線を比べた場合、X線や紫外線は、光電効果で光電子が放出されれば、絶縁面8の材料に応じた量子効率に依存し所定量に帯電する。電子線を用いた場合、材料の二次電子放出係数は入射エネルギーや角度等の依存性がある。そのため、効率的な帯電は材料に依存し、一概には決められない。
<絶縁面の電位>
絶縁性基板1上の絶縁面8が帯電して電位が上昇した状態で、導電性膜4,5の間隙6に電圧を印加すると、間隙6から放出された電子は、絶縁性基板1上の絶縁面8における電位の高い領域にも到達することができる。
絶縁性基板1上の絶縁面8が帯電して電位が上昇した状態で、導電性膜4,5の間隙6に電圧を印加すると、間隙6から放出された電子は、絶縁性基板1上の絶縁面8における電位の高い領域にも到達することができる。
絶縁性基板1上の絶縁面8の帯電電荷量、言い換えると、帯電で上昇する絶縁面8上の電位の値は、後に述べる炭素膜形成工程において導電性膜4,5の間隙6から放出された電子が、必要な範囲の絶縁面8に到達するための値に設定される。例えば、間隙6の縁から数十μm以上離れた絶縁面8の表面に電子が到達するには、少なくとも絶縁面8が導電性膜の電位に比較して150V以上の正電位に上昇している必要がある。
<X線・紫外線・電子線を照射する範囲>
前記X線、紫外線または電子線の照射範囲は、基本的には絶縁面8を含む絶縁性基板1上の全面である。より好ましくは、絶縁性基板1上の絶縁面8のうち、第1の導電性膜4と第2の導電性膜5の間の間隙6の縁から100μm以上離れた円弧状の範囲、つまり図2の7で示す範囲である。本発明の目的のためには、絶縁性基板1上の電極2、3及び第1の導電性膜4と第2の導電性膜5、間隙6には、前記エネルギー線を照射してもしなくてもよい。
前記X線、紫外線または電子線の照射範囲は、基本的には絶縁面8を含む絶縁性基板1上の全面である。より好ましくは、絶縁性基板1上の絶縁面8のうち、第1の導電性膜4と第2の導電性膜5の間の間隙6の縁から100μm以上離れた円弧状の範囲、つまり図2の7で示す範囲である。本発明の目的のためには、絶縁性基板1上の電極2、3及び第1の導電性膜4と第2の導電性膜5、間隙6には、前記エネルギー線を照射してもしなくてもよい。
<高電位電極>
前記X線、紫外線または電子線を絶縁性基板1の絶縁面8に照射することで絶縁面8より放出された光電子又は2次電子は、絶縁面8の帯電電位がある値以上になると、再び絶縁性基板1に引き戻されてしまう。すると、絶縁性基板1上の絶縁面8における正の帯電量を増加させることが困難となる。これは、光電子又は2次電子の射出エネルギーが低く、絶縁面8の正の帯電電位から脱出できないためである。
前記X線、紫外線または電子線を絶縁性基板1の絶縁面8に照射することで絶縁面8より放出された光電子又は2次電子は、絶縁面8の帯電電位がある値以上になると、再び絶縁性基板1に引き戻されてしまう。すると、絶縁性基板1上の絶縁面8における正の帯電量を増加させることが困難となる。これは、光電子又は2次電子の射出エネルギーが低く、絶縁面8の正の帯電電位から脱出できないためである。
これを防ぐため、絶縁面8と対向する位置に、所望の帯電電位(設定電位)に絶縁面8がなるよう、所望の帯電電位よりも高電位に規定された電極を設け、絶縁面8から放出された光電子や2次電子を捕獲するのが望ましい。即ち、図6の高電位電極12である。
図6の高電位電極12としては、絶縁面8に入射するエネルギー線を遮蔽しない構成であればいずれの構成でも良く、例えば開口部を有するメッシュ状の電極が考えられる。高電位電極12は、絶縁性基板1上の絶縁面8から高さ10〜100μm離れて対向した位置におき、高圧電源にて200〜500V程度の電圧を印加するのが好ましい。
また、1kV〜10kV以上の高圧を印加したアノード電極を高電位電極として用いても良い。
<絶縁面表面電位の測定方法>
絶縁性基板1の表面の帯電電位の測定には、非接触の表面電位計や原子間力顕微鏡を利用した各種の表面電位測定法が利用出来る。但し、工程中に実時間で計測することは困難である。そのため、ある一定時間エネルギー線を照射し続けた後、絶縁面の電位を求める測定を、照射時間やエネルギーを変えて何ケースか行い、エネルギー線の照射条件と、その時の帯電電位との関係を予め求め、プロセス条件の最適化を行うと良い。
絶縁性基板1の表面の帯電電位の測定には、非接触の表面電位計や原子間力顕微鏡を利用した各種の表面電位測定法が利用出来る。但し、工程中に実時間で計測することは困難である。そのため、ある一定時間エネルギー線を照射し続けた後、絶縁面の電位を求める測定を、照射時間やエネルギーを変えて何ケースか行い、エネルギー線の照射条件と、その時の帯電電位との関係を予め求め、プロセス条件の最適化を行うと良い。
[炭素膜形成工程]
上記のように形成された間隙6及び間隙6に隣接する絶縁面8に対して、炭素を主成分とする炭素膜(導電性被膜)7を形成する。この工程は、炭素を含有する雰囲気下で第1の導電性膜4と第2の導電性膜5間に電圧を印加して、所望の位置に炭素膜を形成する工程である。表面伝導型電子放出素子では、間隙6に施す上記工程は通常、活性化工程と呼ばれている。この活性化工程により、素子電流If、放出電流Ie(後述)を著しく増大させることができる。また、導電性膜4,5の間隙6から放出された電子は、絶縁性基板1上の絶縁面8における電位が上昇した部位にも到達して炭素膜7が形成される(図2)。
上記のように形成された間隙6及び間隙6に隣接する絶縁面8に対して、炭素を主成分とする炭素膜(導電性被膜)7を形成する。この工程は、炭素を含有する雰囲気下で第1の導電性膜4と第2の導電性膜5間に電圧を印加して、所望の位置に炭素膜を形成する工程である。表面伝導型電子放出素子では、間隙6に施す上記工程は通常、活性化工程と呼ばれている。この活性化工程により、素子電流If、放出電流Ie(後述)を著しく増大させることができる。また、導電性膜4,5の間隙6から放出された電子は、絶縁性基板1上の絶縁面8における電位が上昇した部位にも到達して炭素膜7が形成される(図2)。
上記炭素膜形成工程の雰囲気に用いられる炭素含有物としては、アルカン、アルケン、アルキンの脂肪族炭化水素類、芳香族炭化水素類、アルコール類、アルデヒド類、ケトン類、アミン類、フェノール、カルボン酸、スルホン酸等の有機酸類等が挙げられる。具体的には、メタン、エタン、プロパンなどCnH2n+2で表される飽和炭化水素、エチレン、プロピレンなどCnH2n等の組成式で表される不飽和炭化水素が挙げられる。また、ベンゼン、トルエン、メタノール、エタノール、ホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、アセトン、メチルエチルケトン、メチルアミン、エチルアミン、フェノール、蟻酸、酢酸、プロピオン酸等も挙げられる。本発明ではこれらを単独で、或いは2種以上の混合物で使用することができる。
間隙6に隣接する絶縁面8上に堆積する炭素膜7が低抵抗になると、大きな電流が流れ、堆積した炭素膜7に亀裂が生じることがある。亀裂が生じると、生じた亀裂からさらに電子が放出されて、駆動中の帯電領域が広がって、帯電抑制効果が低減する可能性がある。これを防ぐため、絶縁面8上に堆積する炭素膜7を薄くして高抵抗とすることが好ましい。炭素化合物としてベンゼン系の化合物、例えばベンゾニトリルなどを用いることで、絶縁面8上に堆積する炭素膜7を薄くすることが可能である。
上記炭素膜形成工程における間隙6に施される活性化工程では、導電性膜4,5の間隙6を流れる電子、及び導電性膜4,5から間隙6を移動する電子によって、雰囲気中に存在する炭素化合物(有機物質)が分解する。そして炭素或いは炭素化合物が導電性膜4,5の間隙6内の基板上に堆積し、更には堆積した炭素の一部が結晶化し、導電性を有すると推測されている。
間隙6内の基板上に堆積した炭素或いは炭素化合物は、電子放出素子の特性を向上させるために、ある程度の膜厚が必要である。活性化工程で電圧を印加している間、間隙6内の基板上には炭素或いは炭素化合物が堆積し続けるため、十分な膜厚が得られ、結晶構造は主としてグラファイト構造を有しており低抵抗で高い導電性が得られる。
一方、炭素膜形成工程によって得られる炭素膜7は、絶縁面上の電位が上昇している箇所に炭素或いは炭素化合物が堆積して導電性を有すると、絶縁面上の電位が下がり、電子が到達しなくなる。そのため、炭素膜7の膜厚は薄く、結晶構造は主として非晶質構造となり、高抵抗で導電性が低くなる。
本発明においては、上記炭素膜形成工程と、上記エネルギー線を基板上に照射する工程は、同時に行ってもよい。
図1(b)に示すように、先ず、絶縁性基板1上に電極2,3を形成する工程1、導電性膜9を形成する工程2、フォーミング処理で導電性膜4,5の間隙6を形成する工程3を行う。
続いて、上記のように形成された間隙6及び間隙6に隣接する絶縁面8に対して、炭素を主成分とする炭素膜7を形成する、炭素膜形成工程を行う。同時に、絶縁性基板1上にエネルギー線を照射して、間隙6に隣接する絶縁面8を帯電させる工程を行う。
この工程により、活性化工程と同時に、間隙6に隣接する絶縁面8における電位を上昇させて間隙6から放出された電子が間隙6に隣接する絶縁面8に到達して炭素膜7が形成される。
この形態を用いると、より工程数を減少させることが出来、更なるタクト短縮が可能となる。
また、上記エネルギー線を基板1上に照射する工程は、X線、紫外線又は電子線のいずれかを単独で使うだけでなく、複数を組み合わせて使うことができる。つまり、図1(a)の工程4、図1(b)の工程6において、電子線とX線の両方、電子線と紫外線の両方、X線と紫外線の両方、又はX線と電子線と紫外線の全てを組み合わせて基板1上を照射することができる。この形態を用いると、基板1上を照射する手段として複数の装置を用意する必要があるが、より帯電を促進することが出来、タクト短縮が可能となる。
[安定化工程]
このような工程を経て得られた電子放出素子は、安定化工程を行うことが好ましい。この工程は、炭素膜形成処理した真空度より高い真空度の真空雰囲気にし、電子放出素子周辺や真空容器内から有機物質を除去する工程である。
このような工程を経て得られた電子放出素子は、安定化工程を行うことが好ましい。この工程は、炭素膜形成処理した真空度より高い真空度の真空雰囲気にし、電子放出素子周辺や真空容器内から有機物質を除去する工程である。
安定化工程を行った後の、駆動時の雰囲気は、上記安定化処理終了時の雰囲気を維持するのが好ましいが、これに限るものではなく、有機物質が十分除去されていれば、圧力自体は多少上昇しても十分安定な特性を維持することが出来る。このような真空雰囲気を採用することにより、新たな炭素或いは炭素化合物の堆積を抑制でき、結果として素子電流If,放出電流Ieが安定する。
上述した工程を経て得られた本発明の電子放出素子の基本特性について、図8を参照しながら説明する。
図8は、図9に示した真空処理装置を用いて測定された放出電流Ie及び素子電流Ifと、素子電圧Vfとの関係を模式的に示した図である。図8中、Vthは閾値電圧である。図9中、51は素子電流Ifを測定するための電流計、52は電子放出素子に素子電圧Vfを印加するための電源、53は電子放出部の間隙6より放出される放出電流Ieを測定するための電流計である。また、54はアノード電極55に電圧を印加するための高圧電源、55は電子放出部の間隙6より放出される電子を捕捉するためのアノード電極、56は真空容器、57は排気ポンプ、58は炭素化合物材料源、59はバルブ、60は真空計である。また、図2と同様の部材には同一の符号を付し、説明を省略する。
図8においては、放出電流Ieが素子電流Ifに比べて著しく小さいので、任意単位で示している。尚、縦・横軸ともリニアスケールである。
図8からも明らかなように、本発明の電子放出素子は、放出電流Ieに関して次の3つの特徴的性質を有する。
即ち、第1に、本素子はある電圧(閾値電圧と呼ぶ;図8中のVth)以上の素子電圧を印加すると急激に放出電流Ieが増加し、一方閾値電圧Vth以下では放出電流Ieが殆ど検出されない。つまり、放出電流Ieに対する明確な閾値電圧Vthを持った非線形素子である。
第2に、放出電流Ieが素子電圧Vfに単調増加依存するため、放出電流Ieは素子電圧Vfで制御できる。
第3に、図9のアノード電極55に捕捉される放出電荷は、素子電圧Vfを印加する時間に依存する。つまり、アノード電極55に捕捉される電荷量は、素子電圧Vfを印加する時間により制御できる。
また、間隙6より放出される電子の一部は基板1上の絶縁面8にも到達する。絶縁面8に導電性が無ければ、絶縁面8は電位が上昇し、放出電流Ieの時間変化が生じる。しかしながら、本発明の電子放出素子では、絶縁面8上に炭素膜7が形成されていて導電性を有するため、炭素膜7上に電子が到達しても、電位は上昇せず、放出電流Ieの時間変化も抑制され、安定な電子放出素子の特性を得ることができる。
以上の説明より理解されるように、本発明の電子放出素子は、入力信号に応じて、電子放出特性を容易に制御できることになる。この性質を利用すると複数の電子放出素子を配して構成した電子源、画像形成装置等、多方面への応用が可能となる。
以下、具体的な実施例を挙げて本発明を詳しく説明する。
(実施例1)
本実施例は、図2に示される表面伝導型電子放出素子の例である。
本実施例は、図2に示される表面伝導型電子放出素子の例である。
作製手順は図1(a)に示す通りである。
先ず、石英ガラスを用いた絶縁性基板1上に、電極パターンに対応する開口部を有するフォトレジストのマスクパターンを形成し、真空蒸着法により、厚さ5nmのTi、厚さ30nmのPtを順次堆積した。次にフォトレジスト有機溶剤で溶解し、Pt/Ti堆積膜をリフトオフして、電極2,3を形成した(図3)。電極の間隔Lは10μm、電極の幅Wは90μmである。
次に、電極2,3間にバブルジェット(登録商標)方式のインクジェット装置を用いて、Pdの分散液を滴下した。分散液は酢酸パラジウムモノエタノールアミン錯体0.15%(Pd質量%)、イソプロピルアルコール15質量%、エチレングリコール1質量%、ポリビニルアルコール0.05質量%の水溶液である。
その後、素子を350℃で30分間焼成し、導電性膜9を形成した(図4)。こうして形成された主元素としてPdの微粒子からなる導電性膜9の膜厚は10nmであった。
次いで、導電性膜9上に間隙6を形成するフォーミング工程を行った。上記電子放出素子を図9に示す真空処理装置に設置し、真空容器56内を排気ポンプ57で排気した。2.7×10-6Paの真空度に達した後、導電性膜9に素子電圧Vfを印加するための電源52より、各素子の電極2、3間にそれぞれ電圧を印加し、通電処理(フォーミング処理)した(図5)。フォーミング処理の電圧波形は図10に示すような三角波パルスであり、パルス幅T1は100μsec、パルス間隔T2は1msecに設定し、三角波の波高値V1は0Vから0.1Vステップで徐々に上昇させた。また、上記のパルスとパルスの間に波高値0.1Vの抵抗測定用のパルスを挿入して電流を測ることにより抵抗を検知し、抵抗値が1MΩを超えたところでフォーミング処理を終了した。
次いで、上記絶縁性基板1上に図6に示すような装置を用いてX線照射を行った。エネルギー線照射装置11としてX線照射装置を絶縁性基板1上に配置し、アルミニウムKα線からなるX線を絶縁性基板1上に照射した。X線の波長は0.8nm、X線照射範囲は絶縁性基板1上の全面とした。
また、高電位電極12を絶縁性基板1上の絶縁面8から20μm離れて対向する位置におき、高圧電源と結線し、250Vの電圧を印加した。高電位電極には開口部を有するメッシュ状の電極を用いた。
絶縁性基板1上の絶縁面8における最大電位が150Vに到達するのに十分な帯電量を得るため、約10分間X腺照射を行った。
次いで、間隙6と間隙6に隣接する絶縁面8に炭素膜7を形成する炭素膜形成工程を行った。排気装置により真空容器56内を排気して、圧力が1×10-4Pa以下となってから、ベンゾニトリルの入った炭素化合物材料源58につながるバルブ59を開いて、真空容器56にベンゾニトリルガスを導入し、圧力を1.1×10-2Paとした。次に、フォーミング処理した電子放出素子に、図11に示すような波高値V2一定で極性を反転させる矩形波パルスを繰り返し印加した。パルス幅T3は100μsec、パルス間隔T4は1msec、波高値V2は20Vとした。ベンゾニトリルの存在下で矩形波パルスを印加したことで、If値が増加し、約30分でIf値がほぼ飽和したので、通電を停止し、炭素膜形成処理を終了した。
以上の手順の後、光学顕微鏡により素子部及びその周辺の絶縁面8の観察を行い、炭素膜7の形状を測定した。
次に安定化処理を行った。図9の真空容器56内で250℃のベーキング温度で10時間行い、安定化工程終了とした。この後、真空容器56内で室温を戻しつつ換気し、真空度を2.7×10-5Paとした。
この結果、図8に示される素子電流If及び放出電流Ieの関係が得られた。その後、電極2、3間の電圧Vfを17Vに固定し、電子放出素子の上方2mmの位置にフェースプレートを設け、フェースプレート上の透明電極に10kVの電圧を印加した。こうして電子放出をさせた状態で、Ifに対するIeの割合としての電子放出効率ηを定義してηの時間変化を測定した。さらに、フェースプレート上の蛍光体に現れた輝点形状並びにその揺らぎを顕微鏡によって観察した。
(実施例2)
エネルギー線として紫外線を用いた以外は実施例1と同様にして電子放出素子を作製した。
エネルギー線として紫外線を用いた以外は実施例1と同様にして電子放出素子を作製した。
図6のエネルギー線照射手段11としては、波長126nmの真空紫外線エキシマ光照射装置を用い、絶縁性基板1上の全面に照射した。また、実施例1と同様の高電位電極12を絶縁性基板1上の絶縁面8から20μm離れて対向する位置におき、高圧電源と結線し、250Vの電圧を印加した。絶縁性基板1上の絶縁面8における最大電位が150Vに到達するのに十分な帯電量を得るため、20分間紫外腺照射を行った。
(実施例3)
エネルギー線として電子線を用いた以外は実施例1と同様にして電子放出素子を作製した。
エネルギー線として電子線を用いた以外は実施例1と同様にして電子放出素子を作製した。
図6のエネルギー線照射手段11として、熱陰極を使用し、1.0keVの加速電圧を絶縁性基板1上の全面に照射した。また、実施例1と同様の高電位電極12を絶縁性基板1上の絶縁面8から20μm離れて対向する位置におき、高圧電源と結線し、250Vの電圧を印加した。絶縁性基板1上の絶縁面8における最大電位が150Vに到達するのに十分な帯電量を得るため、20分間電子腺照射を行った。
(実施例4)
X線を照射する工程と炭素膜形成工程とを同時に行う以外は、実施例1と同様にして電子放出素子を作製した。即ち、ベンゾニトリルの存在下で、X線照射と、矩形波パルスの印加を同時に10分間行い、引き続いて矩形波パルスの印加のみをさらに20分間行ったことで、If値がほぼ飽和したので、通電を停止し、炭素膜形成処理を終了した。尚、X線の波長を0.5mmとした以外の条件は実施例1と同様である。
X線を照射する工程と炭素膜形成工程とを同時に行う以外は、実施例1と同様にして電子放出素子を作製した。即ち、ベンゾニトリルの存在下で、X線照射と、矩形波パルスの印加を同時に10分間行い、引き続いて矩形波パルスの印加のみをさらに20分間行ったことで、If値がほぼ飽和したので、通電を停止し、炭素膜形成処理を終了した。尚、X線の波長を0.5mmとした以外の条件は実施例1と同様である。
(実施例5)
紫外線を照射する工程と炭素膜形成工程とを同時に行う以外は、実施例2と同様にして電子放出素子を作製した。即ち、ベンゾニトリルの存在下で、紫外線照射と、矩形波パルスの印加を同時に10分間行い、引き続いて矩形波パルスの印加のみをさらに20分間行ったことで、If値がほぼ飽和したので、通電を停止し、炭素膜形成処理を終了した。
紫外線を照射する工程と炭素膜形成工程とを同時に行う以外は、実施例2と同様にして電子放出素子を作製した。即ち、ベンゾニトリルの存在下で、紫外線照射と、矩形波パルスの印加を同時に10分間行い、引き続いて矩形波パルスの印加のみをさらに20分間行ったことで、If値がほぼ飽和したので、通電を停止し、炭素膜形成処理を終了した。
(実施例6)
電子線を照射する工程と炭素膜形成工程とを同時に行う以外は、実施例3と同様にして電子放出素子を作製した。即ち、ベンゾニトリルの存在下で、電子線照射と、矩形波パルスの印加を同時に10分間行い、引き続いて矩形波パルスの印加のみをさらに20分間行ったことで、If値がほぼ飽和したので、通電を停止し、炭素膜形成処理を終了した。
電子線を照射する工程と炭素膜形成工程とを同時に行う以外は、実施例3と同様にして電子放出素子を作製した。即ち、ベンゾニトリルの存在下で、電子線照射と、矩形波パルスの印加を同時に10分間行い、引き続いて矩形波パルスの印加のみをさらに20分間行ったことで、If値がほぼ飽和したので、通電を停止し、炭素膜形成処理を終了した。
(比較例1)
本発明の実施例1〜6との比較を行うため、基板1上にエネルギー線を照射しない以外は実施例1と同様にして電子放出素子を作製した。
本発明の実施例1〜6との比較を行うため、基板1上にエネルギー線を照射しない以外は実施例1と同様にして電子放出素子を作製した。
<結果評価>
本発明の実施例1〜6で作製した電子放出素子の絶縁面8上に形成された炭素膜7の大きさは、実施例1〜6のいずれも図2のXc=55μm、Yc=110μmであった。また、炭素膜7のオージェ分析を行ったところ、実施例1〜6のいずれも炭素で構成されていることが確認できた。
本発明の実施例1〜6で作製した電子放出素子の絶縁面8上に形成された炭素膜7の大きさは、実施例1〜6のいずれも図2のXc=55μm、Yc=110μmであった。また、炭素膜7のオージェ分析を行ったところ、実施例1〜6のいずれも炭素で構成されていることが確認できた。
また、電子放出効率ηの時間変化、及びフェースプレート上の蛍光体に現れた輝点形状並びにその揺らぎを、比較例1と本実施例1〜6とで比較した。その結果、本実施例1〜6のいずれも、比較例1に比べて、効率ηの時間変化、及び輝点形状の揺らぎは大幅に低減され、輝点形状の広がりも比較例に比べて抑制されていた。
1 基板
2,3 電極
4 第1の導電性膜
5 第2の導電性膜
6 電子放出部
7 炭素を主成分とする膜
8 絶縁性基板上の絶縁面
9 導電性膜
11 エネルギー線照射装置
12 高電位電極
13 エネルギー線遮蔽手段
51 電流計
52 電源
53 電流計
54 高圧電源
55 アノード電極
56 真空容器
57 排気ポンプ
58 炭素化合物材料源
59 バルブ
60 真空計
2,3 電極
4 第1の導電性膜
5 第2の導電性膜
6 電子放出部
7 炭素を主成分とする膜
8 絶縁性基板上の絶縁面
9 導電性膜
11 エネルギー線照射装置
12 高電位電極
13 エネルギー線遮蔽手段
51 電流計
52 電源
53 電流計
54 高圧電源
55 アノード電極
56 真空容器
57 排気ポンプ
58 炭素化合物材料源
59 バルブ
60 真空計
Claims (4)
- 炭素を含有する雰囲気中で、絶縁性基板上に間隙をおいて設けられた第1の導電性膜と第2の導電性膜との間に電圧を印加することによって、前記絶縁性基板上に炭素膜を堆積させる炭素膜形成工程を有する電子放出素子の製造方法であって、
少なくとも、前記炭素膜形成工程に先立って、或いは、同時に、前記絶縁性基板の表面を正電位に帯電させる工程を有することを特徴とする電子放出素子の製造方法。 - 前記絶縁性基板の表面を正電位に帯電させる工程において、帯電させる領域は、前記絶縁性基板の表面であって、前記第1の導電性膜と第2の導電性膜との間隙に隣接する領域である請求項1に記載の電子放出素子の製造方法。
- 前記絶縁性基板の表面を正電位に帯電させる工程は、エネルギー線照射による請求項1又は2に記載の電子放出素子の製造方法。
- 前記エネルギー線がX線、紫外線、電子線のいずれか、或いは2種以上である請求項3に記載の電子放出素子の製造方法。
Priority Applications (1)
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---|---|---|---|
JP2007280027A JP2009110746A (ja) | 2007-10-29 | 2007-10-29 | 電子放出素子の製造方法 |
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