JP2001229829A - 電子放出素子の評価方法および電子放出素子の評価装置および電子放出素子の製造方法および電子放出素子の製造装置 - Google Patents

電子放出素子の評価方法および電子放出素子の評価装置および電子放出素子の製造方法および電子放出素子の製造装置

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JP2001229829A
JP2001229829A JP2000043578A JP2000043578A JP2001229829A JP 2001229829 A JP2001229829 A JP 2001229829A JP 2000043578 A JP2000043578 A JP 2000043578A JP 2000043578 A JP2000043578 A JP 2000043578A JP 2001229829 A JP2001229829 A JP 2001229829A
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electron
emitting device
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Hiroyuki Hashimoto
浩行 橋本
Masaaki Shibata
雅章 柴田
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Canon Inc
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  • Manufacture Of Electron Tubes, Discharge Lamp Vessels, Lead-In Wires, And The Like (AREA)
  • Cold Cathode And The Manufacture (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 品質性に優れた電子放出素子の実現を図るべ
く、活性化工程により得られる堆積膜中の炭素または炭
素化合物の構造および状態を精度良く高感度で分析を行
うことができ、また、その分析結果を堆積膜の形成に反
映させることのできる電子放出素子の評価方法および電
子放出素子の評価装置および電子放出素子の製造方法お
よび電子放出素子の製造装置を提供する。 【解決手段】 真空処理装置は、電子放出素子の製造装
置(フォーミング工程以降)、電気特性の測定評価装
置、さらには、活性化工程で堆積した炭素または炭素化
合物の評価装置としての各機能を兼ね備える。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、活性化工程により
得られる、炭素または炭素化合物を含む堆積膜を備えた
電子放出素子の評価方法および電子放出素子の評価装置
および電子放出素子の製造方法および電子放出素子の製
造装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来、電子放出素子としては、大別して
熱電子放出素子と冷陰極電子放出素子を用いた2種類の
ものが知られている。冷陰極電子放出素子には電界放出
型(以下、「FE型」という。)、金属/絶縁層/金属
型(以下、「MIM型」という。)や表面伝導型電子放
出素子等がある。
【0003】ここで、FE型の例としてはW.P.Dy
ke and W.W.Dolan,”Field e
mission”,Advance in Elect
ron Physics,8,89(1956)あるい
はC.A.Spindt,”Physical Pro
perties of thin−film fiel
d emission cathodes with
molybdenium cones”,J.App
l.Phys.,47,5248(1976)等に開示
されたものが知られている。
【0004】また、MIM型の例としてはC.A.Me
ad,”Operation ofTunnel−Em
ission Devices”,J.Apply.P
hys.32,646(1961)等に開示されたもの
が知られている。
【0005】表面伝導型電子放出素子型の例としては、
M.I.Elinson、Radio Eng.Ele
ctron Phys.,10,1290(1965)
等に開示されたものがある。
【0006】ここで、表面伝導型電子放出素子は、基板
上に形成された小面積の薄膜に、膜面に平行に電流を流
すことにより、電子放出が生ずる現象を利用するもので
ある。
【0007】この表面伝導型電子放出素子としては、前
記エリンソン等によるSnO2薄膜を用いたもの、Au
薄膜によるもの〔G.Ditmmer,Thin So
lid Films,9,317(1972)〕、In
23/SnO2薄膜によるもの〔M.Hartwell
and C.G.Fonsted,IEEE Tra
ns.ED Conf.,519(1975)〕,カー
ボン薄膜によるもの〔荒木久他:真空、第26巻、第1
号、22頁(1983)〕等が報告されている。
【0008】本出願人は、表面伝導型電子放出素子とそ
の応用に関し、多数の提案を行っており、表面伝導型電
子放出素子の構成、製造方法などは、例えば特開平7−
235255号公開公報、特開平8−171849号公
開公報などに開示されている。
【0009】以下、その要点を図12を参照して簡単に
説明する。図12は従来技術に係る表面伝導型電子放出
素子の模式図であり、図12(a)はその平面図、図1
2(b)はその断面図である。
【0010】表面伝導型電子放出素子は、図12
(a),(b)に模式的に示すように、基体1上に対向
する一対の素子電極2,3と、これら素子電極2,3に
電気的に接続されて、その一部に電子放出部5を有する
導電性薄膜4と、から構成される。
【0011】また、図中5は、導電性薄膜4の一部が、
破壊、変形ないし変質されることによって形成された間
隙であり、間隙5の内部及びその近傍の導電性薄膜4上
には、活性化と呼ばれる工程により、炭素及び/または
炭素化合物を主成分とする堆積物が形成されている。
【0012】この活性化工程により得られる堆積物によ
って、放出される電子の量が大幅に増大する。
【0013】ここで、上記導電性薄膜4は、後述する通
電による処理(フォーミング工程)によって、間隙5を
好ましい状態に形成するために、導電性微粒子より構成
される。
【0014】以上のような電子放出素子を複数個形成し
た電子源基板を用い、蛍光体などからなる画像形成部材
と組み合わせることで画像形成装置を構成できる。
【0015】なお、前述の活性化工程によれば、炭素ま
たは炭素化合物が導電性薄膜4に形成された間隙部およ
びその近傍に堆積して新たに狭い間隙部を構成するよう
になる。
【0016】これにより、放出電流Ieおよび素子電流
Ifが増大するが、放出電子量、寿命等の素子特性は、
活性化工程によって堆積した炭素または炭素化合物の構
造や安定性によって左右される。
【0017】ここで、微小領域に堆積した炭素または炭
素化合物の構造や状態に関する分析評価方法としては、
従来次のようなもの知られている。即ち、ラマン分光
法、透過電子顕微鏡による観察法、X線光電子分光法、
透過電子エネルギー損失分光法(以上については例え
ば、相澤俊、表面科学、第11巻、第7号、398(1
990年))、オージェ電子分光法などである。
【0018】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記の
ような従来技術の場合には、下記のような問題が生じて
いた。
【0019】上述したように、活性化工程によって堆積
した炭素または炭素化合物の構造や安定性によって、放
出電子量や寿命等の素子特性は左右される。
【0020】したがって、電子放出素子における活性化
工程によって形成される堆積膜の分析を行って、炭素ま
たは炭素化合物の構造や状態の分析結果を活かしながら
堆積膜を形成することが望ましいが、従来はそのような
ものが実現されていなかった。
【0021】ここで、そのような分析を行うために、上
述したような各種分析評価方法を採用することも考えら
れるが、その場合には、次のような問題点がある。
【0022】まず、活性化工程によって形成される堆積
膜においては、炭素または炭素化合物が量的に少なく、
また面積的にも限られていることから、入射光(励起
源)として原理的に集光の難しいX線を使用するX線電
子分光装置によっては微小領域(具体的には1μm四方
以下の領域)を分析できないという問題点がある。
【0023】また、ラマン分光装置で通常用いられてい
るレーザー光も、1μm以下に絞ることは現段階では難
しい状況にある。また、ラマン分光装置では、上記炭素
または炭素化合物の存在量が極端に少ない場合には、感
度的にも難があり、有効な情報が得られにくいという問
題点もある。
【0024】即ち、上記炭素または炭素化合物の分析、
評価方法/装置においては、集光が容易な電子又はイオ
ンを1次励起源(プローブ)としている分析装置に、実
質上限られる。
【0025】また、上記炭素または炭素化合物の存在場
所が、通常、表面伝導型電子放出素子の間隙内部及びそ
の近傍の導電性膜の表面であるため、この素子の製造
と、分析/評価を異なる装置で行う場合には、素子は一
度大気に曝されることになり、その結果、素子表面に有
機物や水等のガスが吸着し、これらが分析/評価を妨害
してしまうという問題点もある。
【0026】これを避けるため、素子の製造と、分析/
評価とを同一装置内で行う必要があるが、透過電子顕微
鏡による観察法と透過電子エネルギー損失分析法では、
素子の加工(被分析試料の薄片化:100nm程度ま
で)をすべて真空中で行うことは難しい。
【0027】また、透過電子を用いる上記二つの分析方
法は、特定の微小領域を詳細に分析できる反面、試料作
製に長時間を要してしまい、また、断面方向からの観察
/分析では特定の一断面の情報しか得られない、という
問題点もある。
【0028】また、オージェ電子分光分析の場合には、
電子線を励起源とし、固体表面を分析対象としている
が、上記炭素または炭素化合物の構造や状態に関する情
報が得られにくいという問題点がある。また、1次電子
線として通常用いるエネルギー範囲、電流量では被分析
試料がダメージを受け易いという問題点もある。
【0029】ここで、表面伝導型電子放出素子の製造工
程、特に活性化工程において、上記炭素または炭素化合
物の構造や状態に関する分析評価結果を、素子の製造条
件(基板温度、ガス圧、電圧波形など)にフィードバッ
クさせるためには、被分析試料の加工を必要としない表
面方向からの分析に限られてしまう。
【0030】また、分析評価に要する時間が短い、即
ち、高感度な分析装置、手法を用いることも必要条件で
ある。
【0031】本発明は上記の従来技術の課題を解決する
ためになされたもので、その目的とするところは、品質
性に優れた電子放出素子の実現を図るべく、活性化工程
により得られる堆積膜中の炭素または炭素化合物の構造
および状態を精度良く高感度で分析を行うことができ、
また、その分析結果を堆積膜の形成に反映させることの
できる電子放出素子の評価方法および電子放出素子の評
価装置および電子放出素子の製造方法および電子放出素
子の製造装置を提供することにある。
【0032】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に本発明にあっては、真空中で行われる活性化工程によ
り得られる、炭素または炭素化合物を含む堆積膜を備え
た電子放出素子の評価方法において、前記活性化工程に
おける真空状態を維持したまま、前記炭素または炭素化
合物の構造及び状態の分析を行うことを特徴とする。
【0033】従って、大気に暴露させることなく分析で
きるため、適正な分析が可能となる。
【0034】前記堆積膜に電子線を照射して、反射した
電子から得られる情報に基づいて分析する反射電子エネ
ルギー損失分光法によって分析を行うと良い。
【0035】これにより、真空状態を維持したまま、短
時間での分析が可能となる。
【0036】前記電子放出素子は、表面伝導型電子放出
素子であると良い。
【0037】前記反射電子エネルギー損失分光法による
分析は、反射電子のエネルギー損失スペクトルに現れ
る、πプラズモン損失ピークまたはπ+σプラズモン損
失ピークのエネルギー値及びπプラズモン損失ピークま
たはπ+σプラズモン損失ピークの強度のうち少なくと
もいずれか一つに基づいて行うと良い。
【0038】前記πプラズモン損失ピークまたはπ+σ
プラズモン損失ピークの強度は、弾性散乱ピークに対す
る相対強度であると良い。
【0039】また、真空容器内で行われる活性化工程に
より得られる、炭素または炭素化合物を含む堆積膜を備
えた電子放出素子の評価装置において、前記真空容器内
に、前記炭素または炭素化合物の構造及び状態の分析を
行う分析機構を備えることを特徴とする。
【0040】従って、大気に暴露させることなく分析で
きるため、適正な分析が可能となる。
【0041】前記真空容器内に、電子放出素子を駆動す
るために電圧を供給する電圧供給機構と、電子放出素子
から放出された電子を捕捉する捕捉機構と、を備えると
良い。
【0042】前記捕捉機構は、前記分析機構の分析を妨
げない位置まで移動可能に設けられるアノード電極を有
すると良い。
【0043】前記捕捉機構は、前記分析機構の分析を妨
げない位置に固定されたアノード電極を有すると良い。
【0044】前記分析機構は、電子線を照射して、反射
した電子から得られる情報に基づいて分析する反射電子
エネルギー損失分光分析機構であると良い。
【0045】これにより、真空状態を維持したまま、短
時間での分析が可能となる。
【0046】前記電子放出素子は、表面伝導型電子放出
素子であると良い。
【0047】前記反射電子エネルギー損失分光分析機構
は、電子銃と電子エネルギー分析器とを有すると良い。
【0048】前記反射電子エネルギー損失分光分析機構
による分析は、反射電子のエネルギー損失スペクトルに
現れる、πプラズモン損失ピークまたはπ+σプラズモ
ン損失ピークのエネルギー値及びπプラズモン損失ピー
クまたはπ+σプラズモン損失ピークの強度のうち少な
くともいずれか一つに基づいて行うと良い。
【0049】前記πプラズモン損失ピークまたはπ+σ
プラズモン損失ピークの強度は、弾性散乱ピークに対す
る相対強度であると良い。
【0050】前記真空容器内に、電子放出素子を製造す
る製造機構と、電子放出素子の電気特性を評価する評価
機構と、を備えると良い。
【0051】各々仕切られた少なくとも2つの真空容器
を備え、前記製造機構による製造と、前記評価機構によ
る評価と、前記分析機構による分析と、を少なくとも2
つの異なる真空容器に分けて行うと良い。
【0052】真空中で行われる活性化工程により得られ
る、炭素または炭素化合物を含む堆積膜を備えた電子放
出素子の製造方法において、前記炭素または炭素化合物
の構造及び状態の分析を行って、分析結果に基づきなが
ら前記堆積膜の形成を行うことを特徴とする。
【0053】従って、大気に暴露させることなく適正な
分析を行いながら、分析結果を堆積膜の形成に反映でき
る。
【0054】前記堆積膜に電子線を照射して、反射した
電子から得られる情報に基づいて分析する反射電子エネ
ルギー損失分光法によって分析を行うと良い。
【0055】これにより、真空状態を維持したまま、短
時間での分析が可能となり、分析結果を堆積膜の製造に
素早く反映できる。
【0056】前記電子放出素子は、表面伝導型電子放出
素子であると良い。
【0057】前記反射電子エネルギー損失分光法による
分析は、反射電子のエネルギー損失スペクトルに現れ
る、πプラズモン損失ピークまたはπ+σプラズモン損
失ピークのエネルギー値及びπプラズモン損失ピークま
たはπ+σプラズモン損失ピークの強度のうち少なくと
もいずれか一つに基づいて行うと良い。
【0058】前記πプラズモン損失ピークまたはπ+σ
プラズモン損失ピークの強度は、弾性散乱ピークに対す
る相対強度であると良い。
【0059】真空容器内で行われる活性化工程により得
られる、炭素または炭素化合物を含む堆積膜を備えた電
子放出素子の製造装置において、前記真空容器内に、前
記炭素または炭素化合物の構造及び状態の分析を行う分
析機構を備えることを特徴とする。
【0060】前記真空容器内に、電子放出素子を駆動す
るために電圧を供給する電圧供給機構と、電子放出素子
から放出された電子を捕捉する捕捉機構と、を備えると
良い。
【0061】前記捕捉機構は、前記分析機構の分析を妨
げない位置まで移動可能に設けられるアノード電極を有
すると良い。
【0062】前記捕捉機構は、前記分析機構の分析を妨
げない位置に固定されたアノード電極を有すると良い。
【0063】前記分析機構は、電子線を照射して、反射
した電子から得られる情報に基づいて分析する反射電子
エネルギー損失分光分析機構であると良い。
【0064】これにより、真空状態を維持したまま、短
時間での分析が可能となり、分析結果を堆積膜の製造に
素早く反映できる。
【0065】前記電子放出素子は、表面伝導型電子放出
素子であると良い。
【0066】前記反射電子エネルギー損失分光分析機構
は、電子銃と電子エネルギー分析器とを有すると良い。
【0067】前記反射電子エネルギー損失分光分析機構
による分析は、反射電子のエネルギー損失スペクトルに
現れる、πプラズモン損失ピークまたはπ+σプラズモ
ン損失ピークのエネルギー値及びπプラズモン損失ピー
クまたはπ+σプラズモン損失ピークの強度のうち少な
くともいずれか一つに基づいて行うと良い。
【0068】前記πプラズモン損失ピークまたはπ+σ
プラズモン損失ピークの強度は、弾性散乱ピークに対す
る相対強度であると良い。
【0069】前記真空容器内に、電子放出素子を製造す
る製造機構と、電子放出素子の電気特性を評価する評価
機構と、を備えると良い。
【0070】各々仕切られた少なくとも2つの真空容器
を備え、前記製造機構による製造と、前記評価機構によ
る評価と、前記分析機構による分析と、を少なくとも2
つの異なる真空容器に分けて行うと良い。
【0071】前記分析機構の分析結果に基づいて、製造
条件を制御する制御機構を備えると良い。
【0072】
【発明の実施の形態】以下に図面を参照して、この発明
の好適な実施の形態を例示的に詳しく説明する。ただ
し、この実施の形態に記載されている構成部品の寸法、
材質、形状、その相対配置などは、特に特定的な記載が
ない限りは、この発明の範囲をそれらのみに限定する趣
旨のものではない。
【0073】以下、図面を参照しながら、本発明の実施
の形態に係る電子放出素子の評価方法およびその評価装
置、さらに、分析評価結果を反映させた電子放出素子の
製造方法およびその製造装置について、この順に説明す
る。
【0074】まず、本発明の実施の形態に係る電子放出
素子の構成、その一般的な製造方法、およびその電気特
性について説明する。
【0075】図7は本発明の実施の形態に係る電子放出
素子の模式図であり、(A),(B)はそれぞれその平
面図と断面図であり、説明簡単のため、上述した従来技
術の説明で引用した図面中の構成と同一の構成には同一
の符号を付している。
【0076】図示のように、基板1上に一対の素子電極
2,3が対向して配置されており、後述するフォーミン
グ工程等により導電性薄膜4の一部に形成された第一の
間隙6を置いて、導電性薄膜4が基板1表面に対して横
方向に対向している。
【0077】そして、導電性薄膜4が素子電極2,3の
表面を覆うことで、一対の電極と導電性薄膜4とが電気
的に接続されている。
【0078】さらに、後述する活性化工程により、第一
の間隙である間隙6内の基板1上およびその近傍の導電
性薄膜4上に、堆積物である、炭素または炭素化合物を
含む堆積膜10が配される。尚、以下の説明において
は、堆積物と、炭素または炭素化合物を有する堆積膜は
同一のものを指すものとする。
【0079】また、炭素または炭素化合物を有する堆積
膜10は、間隙6内に配された、第二の間隙である間隙
7を置いて、基板1表面に対して横方向に対向して配さ
れる。
【0080】次に、素子電極および導電性膜を形成する
工程とフォーミング工程について、図8(A)〜(C)
を参照して説明する。
【0081】1)基板1を、洗剤,純水および有機溶剤
等を用いて十分に洗浄し、真空蒸着法、スパッタ法等に
より素子電極材料を堆積後、例えばフォトリソグラフィ
ー技術を用いて基板1上に素子電極2,3を形成する
(図8(A))。
【0082】2)素子電極2,3を形成した基板1に、
有機金属化合物の溶液を塗布して、有機金属化合物薄膜
を形成し、この有機金属化合物薄膜を加熱焼成処理し、
リフトオフ、エッチング等によりパターニングし、導電
性薄膜4を形成する(図8(B))。
【0083】ここでは、有機金属溶液の塗布法を挙げて
説明したが、導電性薄膜4の形成方法はこれに限られる
ものでなく、真空蒸着法、スパッタ法、化学的気相堆積
法、分散塗布法、ディッピング法、スピンナー法等を用
いることもできる。また、上記の有機金属化合物の溶液
をインクジェット装置により所望の位置に液滴として付
与する方法を用いることもでき、この場合はリフトオフ
やエッチングによるパターニング工程は不要となる。
【0084】3)つづいて、フォーミング工程を行う。
このフォーミング工程の方法として導電性膜の還元を促
すガスを含む雰囲気中での通電処理による方法を説明す
る。
【0085】導電性膜が金属酸化物、特にPdOよりな
る場合は、このガスとして水素が使用可能である。導電
性膜を形成した上記電子放出素子を、真空装置内に設置
し、内部を例えば1.3×10-3Pa程度の圧力以下と
なるように排気し、N2(98%)−H2(2%)の混合
ガスを1.3×10-1Pa程度、真空装置内に導入し、
素子電極2,3間に、不図示の電源を用いて通電を行う
と、導電性薄膜4に間隙6が形成される(図8
(C))。
【0086】このとき、水素ガスによる還元により、導
電性薄膜4を構成する物質が金属酸化物から金属に変化
し、その際、凝集を伴って間隙の形成が促進される。
【0087】更に、好ましくは、基板温度を室温以上の
温度:50〜100℃程度に設定する。
【0088】なお、本実施の形態においては、上記フォ
ーミング工程から後述する安定化工程、さらには素子の
電気特性の測定評価を、図1に示す真空処理装置内で行
った。また、比較のため、素子の電気特性の測定評価ま
でを別の装置で行い、その素子を大気開放した後に、図
1に示す装置で分析評価することも行った。
【0089】ここで、上記フォーミング工程において通
電を行うために印加する電圧の電圧波形は、パルス波形
が好ましく、パルス波高値を定電圧としたパルスを連続
的に印加する図9に示した手法があげられる。
【0090】図9において、T1及びT2は、それぞれ
電圧波形のパルス幅とパルス間隔である。通常T1は1
μsec.〜10msec.、T2は、10μsec.
〜数100msec.の範囲で設定される。なお、矩形
波の波高値は、表面伝導型電子放出素子形態に応じて適
宜選択される。このような条件のもと、例えば、数秒か
ら数十分間電圧を印加する。
【0091】通電フォーミング処理の終了は、上記のフ
ォーミング用のパルス電圧の間に、導電性薄膜4を局所
的に破壊、変形しない程度のパルス電圧を挿入し、その
時の電流を測定して抵抗値を検知することにより決定す
ることができる。例えば0.1V程度の電圧印加により
流れる素子電流を測定し、抵抗値を求めて、1MΩ以上
の抵抗を示した時、通電フォーミングを終了させる。
【0092】なお、フォーミング工程の方法としては、
上記の方法以外でも、間隙6が適切に形成される方法で
あれば採用することができる。
【0093】さらに、フォーミング工程を終了した素子
を真空中で加熱することで、表面に吸着した不純物等を
排除するのが好ましい。このとき、前述のように導電性
薄膜4としてPdOを用いた場合は、200℃程度の加
熱により十分に還元して金属Pdとするのが好ましい。
【0094】4)次いで活性化工程を行う。本実施の形
態に係る活性化工程は、有機物質のガスを含有する雰囲
気下で、上記一対の素子電極間にパルス電圧を繰り返し
印加して、間隙6内の基板上及びその周囲に炭素を有す
る膜を堆積させる工程である。
【0095】この工程により素子に流れる電流である素
子電流Ifは著しく変化し、また、電子放出電流Ieも
増大する。活性化工程の終了判定は、素子電流Ifを測
定しながら、適宜行う。なお、パルス幅,パルス間隔,
パルス波高値などは適宜設定される。
【0096】ここで、本発明の実施の形態に係る活性化
工程においては、用いられる有機物質のガスを含有する
雰囲気としては、蒸気圧があまり高くなく、かつ重合し
やすい有機物質のガスを含有する雰囲気が好ましい。ま
た、窒素原子を含有するものが好ましく、特にニトリル
化合物が好ましく用いられる。
【0097】この条件を満たすものとしては、具体的に
は、気化したトルニトリルを含有する雰囲気が挙げられ
るが、間隙6内及びその周囲の堆積物である炭素または
炭素化合物を含む堆積膜10の形成に不都合がなけれ
ば、特に制限されるものではない。
【0098】また、この雰囲気は、例えばイオンポンプ
などにより一旦十分に排気した真空中に適当な有機物質
のガスを導入することなどによって得られる。さらに、
このときの好ましい有機物質のガス圧は、前述の応用の
形態、真空容器の形状や、有機物質の種類などにより異
なるため場合に応じて適宜設定される。
【0099】また、ここで堆積物である炭素または炭素
化合物を含む堆積膜10を構成する炭素の膜厚は、5〜
100nmの範囲とするのが好ましい。
【0100】このような特徴を有する炭素または炭素化
合物を含む堆積膜10を形成するためには、上述のよう
に、導電性薄膜4の表面を真空中で加熱する等の手法で
清浄にして、導電性薄膜4の表面と炭素または炭素化合
物を含む堆積膜10との相互作用を高めたり、窒素を含
有する有機化合物雰囲気中で活性化を行うこと等が重要
と推測されているが、本発明はそれらの製造方法に限定
されるものではない。
【0101】5)以上のような工程を経て得られた電子
放出素子は、安定化工程を行うことが好ましい。この工
程は、電子放出素子に吸着している余分な有機物質分子
などを除去する工程である。
【0102】なお、容器内の排気にはオイルを使用しな
い真空排気装置を使用することが好ましく、具体的に
は、ソープションポンプとイオンポンプを組み合わせた
真空排気装置等が挙げられる。
【0103】真空容器内の有機成分の分圧は、炭素及び
炭素化合物が素子上にほぼ新たに堆積しない分圧で1.
3×10-6Pa以下が好ましく、さらには1.3×10
-8Pa以下が特に好ましい。さらに真空容器内を排気す
るときには、真空容器全体を加熱して、真空容器内壁
や、電子放出素子に吸着した余分な有機物質分子を排気
しやすくするのが好ましい。
【0104】このときの加熱条件は、80〜300℃好
ましくは250℃以上で、できるだけ長時間処理するの
が望ましいが、特にこの条件に限るものではなく、真空
容器の大きさや形状、電子放出素子の構成などの諸条件
により適宜選ばれる条件により行う。
【0105】真空容器内の圧力は極力低くすることが必
要で、1.3×10-5Pa以下が好ましく、さらに1.
3×10-6Pa以下が特に好ましい。
【0106】安定化工程を行った後の、駆動時の雰囲気
は、上記安定化処理終了時の雰囲気を維持するのが好ま
しいが、これに限るものではなく、有機物質が十分除去
されていれば、真空度自体は多少低下しても十分安定な
特性を維持することが出来る。
【0107】このような真空雰囲気を採用することによ
り、新たな炭素または炭素化合物の堆積を抑制でき、ま
た真空容器や基板などに吸着したH2O,O2なども除去
でき、結果として素子電流If,放出電流Ieが安定す
る。
【0108】上述した工程を経て得られた本発明の実施
の形態に係る電子放出素子の基本特性について図1、図
10を参照しながら説明する。
【0109】図1は、本発明の実施の形態に係る真空処
理装置の模式図であり、この真空処理装置は、電子放出
素子の製造機構を具備する製造装置(フォーミング工程
以降)、電気特性の評価機構を具備する測定評価装置、
さらには、活性化工程で堆積した炭素または炭素化合物
の分析機構を具備する評価装置としての各機能を兼ね備
えたものである。
【0110】図1において、51は真空容器であり、排
気ポンプ(不図示)で排気される。真空容器51内には
電子放出素子が配されている。即ち、上述の図7と同一
の構成には同一の符号が付しており、1は電子放出素子
を構成する基体(基板)であり、2及び3は素子電極、
4は導電性薄膜10は炭素または炭素化合物を有する堆
積膜である。
【0111】また、31は電子放出素子に素子電圧Vf
を印加するための電源(電圧供給機構)であり、30は
素子電極2,3間の導電性薄膜4を流れる素子電流If
を測定するための電流計であり、34は電子放出部より
放出される放出電流Ieを捕捉するための捕捉機構を構
成するアノード電極である。
【0112】ここで、本実施の形態においては、このア
ノード電極34は分析を行う際には、分析を妨げない位
置まで移動できるように可動式となっており、後述の分
析評価を行う際はアノード電極34を移動させる。
【0113】また、33はアノード電極34に電圧を印
加するための高圧電源であり、32は素子の電子放出に
よる放出電流Ieを測定するための電流計である。一例
として、アノード電極34の電圧を1kV〜10kVの
範囲とし、アノード電極34と電子放出素子との距離H
を2mm〜8mmの範囲として測定を行うことができ
る。
【0114】そして、真空容器51内には、真空計等の
真空雰囲気下での測定に必要な機器が設けられていて、
所望の真空雰囲気での測定評価を行えるようになってい
る。また、真空処理装置の全体が不図示のヒーターによ
り加熱できるようになっている。
【0115】また、52は1次電子線56を放つための
電子銃であり、この電子銃52より放たれた1次電子線
56が、試料ステージ54上に置かれた試料(電子放出
素子の堆積膜)を照射して、反射された反射電子57を
電子エネルギー分析器53によって分析する(反射電子
エネルギー損失分光分析機構)。
【0116】これら電子銃52,電子エネルギー分析器
53は、分析評価測定を行うための装置であり、即ち、
反射型の電子エネルギー損失分光分析(REELS)に
用いるものである。これらの詳細は後述する。
【0117】図10は、図1に示した真空処理装置を用
いて測定された、放出電流Ieと素子電圧Vfの関係お
よび素子電流Ifと素子電圧Vfの関係を模式的に示し
た図である。図10においては、放出電流Ieが素子電
流Ifに比べて著しく小さいので、任意単位で示してい
る。なお、縦・横軸ともリニアスケールである。
【0118】図10からも明らかなように、本発明の実
施の形態で用いた表面伝導型電子放出素子は、放出電流
Ieに関して、次のような三つの特徴的性質を有する。
【0119】(1)本素子はある電圧(しきい値電圧と
呼ぶ、図10中のVth)以上の素子電圧を印加すると
急激に放出電流Ieが増加し、一方しきい値電圧Vth
以下では放出電流Ieがほとんど検出されない。つま
り、放出電流Ieに対する明確なしきい値電圧Vthを
持った非線形素子である。
【0120】(2)放出電流Ieが素子電圧Vfに単調
増加依存するため、放出電流Ieは素子電圧Vfで制御
できる。
【0121】(3)アノード電極34に捕捉される放出
電子の量は、素子電圧Vfを印加する時間に依存する。
つまり、アノード電極34に捕捉される電子の量は、素
子電圧Vfを印加する時間により制御できる。
【0122】以上の説明より理解されるように、本発明
の実施の形態で用いた表面伝導型電子放出素子は、入力
信号に応じて、電子放出特性を容易に制御できることに
なる。この性質を利用すると複数の電子放出素子を配し
て構成した電子源、画像形成装置等、多方面への応用が
可能となる。
【0123】図10においては、素子電流Ifが素子電
圧Vfに対して単調増加する(以下、「MI特性」とい
う。)例を示した。上述した製造工程によっては素子電
流Ifが素子電圧Vfに対して電圧制御型負性抵抗特性
(「VCNR特性」という。)を示す場合もあるが、上
記安定化工程を行うことによりMI特性に変化する。
【0124】以上のような表面伝導型電子放出素子の特
性を用いると、入力信号に応じて電子放出特性を容易に
制御できることになる。さらに、本発明の実施の形態に
係る電子放出素子は、長時間にわたって安定かつ高輝度
な電子放出特性を有するため、多方面への応用が期待で
きる。例えば、表面伝導型電子放出素子の複数個を基板
上に配列し、例えば電子源あるいは、画像形成装置を構
成できる。
【0125】次に、堆積膜中に含まれる炭素または炭素
化合物の分析評価方法、評価装置について説明する。
【0126】ここで、電子放出素子における活性化工程
によって形成される堆積膜の分析を適正に行うため、特
に、炭素または炭素化合物の構造や状態の分析結果を活
かしながら堆積膜を形成するための分析を行うために、
従来知られた分析手法を用いることは困難であり、実用
上は不可能である。
【0127】そこで、そのような分析を可能とするため
に、反射型の電子エネルギー損失分光分析(REEL
S)を行う反射電子エネルギー損失分光法を適用した。
【0128】この反射電子エネルギー損失分光法とは、
1μm四方以下の微小領域に形成される炭素材料の平均
結晶子径の測定方法として、好適に用いることができる
分析方法であり、本出願人が提案した技術である。な
お、この技術に関しては、本出願人が出願して公知とな
った特開平11−92945号公開公報に掲載している
ので詳細説明は省略する。
【0129】また、上記炭素材料が多結晶グラファイト
の場合には、反射電子エネルギー損失スペクトルに現れ
るπプラズモン損失エネルギーに、グラファイト結晶子
サイズ効果があること、即ちこの結晶子径が10nm程
度まで小さくなった場合、密度を反映したπ+σプラズ
モン損失エネルギーから予想される値よりも、πプラズ
モン損失エネルギー実測値が小さくなることも本出願人
の発明者が明らかにしている(H.Hashimoto
et al.,Jpn.J.Appl.Phys.,
第38号、4136(1999))。
【0130】ここで、πプラズモン損失エネルギーやπ
+σプラズモン損失エネルギーについて、簡単に説明す
る。
【0131】真空中で、物質(被分析試料)に電子線を
照射すると、この物質表面若しくは表面近傍で電子は散
乱する。真空中へ散乱した電子のうち入射電子線のエネ
ルギーを保持しているものを弾性散乱電子といい、入射
電子線のエネルギーの一部が上記物質表面若しくは表面
近傍で失われたものを非弾性散乱電子という。
【0132】また、後者で実際に失われたエネルギーを
損失エネルギーという。ここで、この損失エネルギーの
うちπ電子のプラズモン励起に使われたものをπプラズ
モン損失エネルギーといい、価電子のプラズモン励起に
使われたものを(炭素の場合には、価電子がπ電子とσ
電子から構成されていることから)π+σプラズモン損
失エネルギーという。
【0133】これらは、反射電子エネルギー損失スペク
トルに(一定の条件で測定すれば)別々に現れるが、両
者に対応するピークを、それぞれπプラズモン損失ピー
ク、π+σプラズモン損失ピークという。
【0134】先に説明したように、図1に示す真空処理
装置は、活性化工程で堆積した炭素または炭素化合物の
分析評価装置としての機能も有している。この真空処理
装置を用い、反射型の電子エネルギー損失分光分析(R
EELS)を行うが、この分析に必要となる電子銃52
や電子エネルギー分析器53等について、以下詳述す
る。
【0135】電子銃52は、電子線あるいはこれに電子
線偏向器を付加させたものから放出される電子線を放つ
ためのものであり、例えば、フィールドエミッション型
の電子銃を用いるのが好ましい。これは、測定に用いる
1次電子線56のエネルギー半値幅ΔEが小さい、すな
わち単色性が良い方が、測定の感度を上げられるためで
ある。
【0136】なお、電子銃52として熱電子放出型電子
銃を用いることも可能だが、この場合、この電子銃から
の電子線のエネルギー半値幅ΔEを小さくするために、
単色化機構を組み合わせるのが好ましい。
【0137】1次電子線56は、そのエネルギー範囲が
200eV〜3keVにあることが好ましい。200e
Vより小さいエネルギーでは反射電子57の検出が困難
となり、3keVより大きいエネルギーでは炭素または
炭素化合物を含む堆積膜10が、電子線によりダメージ
を受ける場合があるためである。
【0138】また、1次電子線56のビーム径は、用い
る電子銃や加速電圧に大きく依存するが、例えば、上述
のように電界放射型電子銃を用い、加速電圧を代表的な
1keVに設定した場合で200nm程度である。
【0139】反射電子57は炭素または炭素化合物を含
む堆積膜10において反射した電子線で、1次電子線5
6と等しいエネルギーの電子、即ち弾性散乱した電子に
加えて、炭素または炭素化合物を含む堆積膜10との相
互作用により、エネルギー損失した電子が含まれる。
【0140】ここで、本発明の実施の形態において十分
な測定分解能を有するためには、弾性散乱した電子のエ
ネルギーの広がり、すなわち弾性散乱ピークの半値幅が
1eV以下となる条件で測定されることが好ましい。こ
のため、上記1次電子線56のエネルギー半値幅ΔEを
0.4eV以下とするのが好ましく、さらに、電子エネ
ルギー分析器53の分解能を高めるのが好ましい。
【0141】電子エネルギー分析器53としては、高い
エネルギー分解能が得られる偏向分散方式のエネルギー
分析器を用いることが好ましい。このエネルギー分析器
には磁場偏向方式、静電偏向方式、さらには磁場と電場
を組み合わせたWien−filter式などがある
が、この中では、小型で経済的な静電偏向方式のエネル
ギー分析器が好ましく用いられる。
【0142】なお、静電偏向方式のエネルギー分析器で
あれば、例えば、同心半球型、円筒鏡型、共軸円筒鏡型
などいずれの分析器を用いてもよい。なお、エネルギー
分析器として同心半球型分析器を用いる場合には、この
分析器の入射側に反射電子の収束、加速、減速を目的と
した静電レンズを付加させてもよい。
【0143】反射電子の検出には、チャンネルトロン、
マルチチャンネルプレート、電子増倍管などを用いるこ
とができ、必要に応じて増幅器を付加させてもよい。ま
た検出方法も、アナログモードで用いロックイン増幅器
で増幅する方法、パルスカウントモードで用いパルス波
高弁別後パルスカウントとする方法のどちらを用いても
よい。
【0144】以上のような反射型の電子エネルギー損失
分光分析(REELS)の測定装置を用いて、例えば、
グラファイトの反射電子エネルギー損失スペクトルを測
定すると、πプラズモン損失ピークとπ+σプラズモン
ピークが観測される。πプラズモン損失ピークはsp2
炭素に由来するもので、sp3炭素(たとえばダイヤモ
ンド)では原理的にはこのピークが現れない。
【0145】また、πプラズモンピークのエネルギー
(損失エネルギー)はグラファイト結晶子径及び/また
はπ電子密度を反映していると考えられ、同ピーク強度
はπ電子密度と相関があると考えられている。
【0146】上述の装置により、単結晶グラファイト
(HOPG,商品名:Pyrolytic Graph
ite Monochromator 2YA,Adv
anced Ceramics社製)と、いくつかの結
晶子径の異なるグラッシーカーボンの試料(GC−1
0,GC−20,GC−30(いずれも東海カーボン
(株)製の商品名))に対して測定した反射電子エネル
ギー損失スペクトルを図2に示す(H.Hashimo
to et al.,Jpn.J.Appl.Phy
s.,第38号、4136(1999)より引用)。
【0147】また、πプラズモン損失エネルギーとπプ
ラズモン損失ピーク強度の関係をプロットしたものを図
3に示す。図3には、本発明の実施の形態で検討した、
炭素または炭素化合物を含む堆積膜10の分析結果も合
わせて示した。また、グラファイト(HOPG)と上記
グラッシーカーボンの試料の構造データを図13の表図
に示した。
【0148】図2,図13に示すように、グラファイト
(HOPG)、グラッシーカーボンGC−30,GC−
20,GC−10の順に、πプラズモンエネルギーとπ
+σプラズモンエネルギーが共に低くなっている。
【0149】このうち、π+σプラズモンエネルギーの
低下は密度の低下によるものと考えられている(L.
B.Leder and J.A.Suddeth,
J.Appl.Phys.,31,1422(196
0))。
【0150】一方、πプラズモンエネルギーの低下は、
密度の低下の他に、グラファイト結晶子のサイズの影響
が含まれることが最近明らかになった。即ち、グラファ
イトの結晶子径(a軸方向の平均結晶子径:La)が1
0nm程度まで小さくなった場合、π+σプラズモンエ
ネルギーに比べπプラズモンエネルギーの方がより顕著
に低エネルギー側へシフトする。
【0151】また、πプラズモン損失ピークの強度も上
記の順に低下しており、これは炭素中のπ電子密度が低
下していることを示唆している。
【0152】このように、反射型の電子エネルギー損失
分光分析(REELS)によれば、炭素の状態に関する
情報が得られ、特にsp2炭素に起因するπプラズモン
損失ピークには密度や結晶子に関する情報が含まれる。
【0153】なお、上記ではsp2炭素についての分析
評価結果を説明したが、(π電子がないため情報量は少
なくなるが)sp3炭素についても同様の分析評価が可
能と考えられる。
【0154】以上、図1に示す真空処理装置の分析評価
機構について説明したが、以下、構成の異なる真空処理
装置について説明する。
【0155】図4は、本発明の実施の形態に係る別の一
例を示す真空処理装置である。図4において、図1と異
なるのは、アノード電極58が固定式となっており、ア
ノード電極58の中央部に穴59が開いている点であ
る。なお、その他、図1と同一の構成については同一の
符号を付している。
【0156】穴59は、電子銃52からの1次電子線5
6の通過と、分析評価に用いる反射電子57の通過のた
めに設けられている。穴59の径は、1次電子線56や
反射電子57の入/出射角、反射電子57の取り込み立
体角、分析測定領域の大きさ、被分析試料とアノード5
8との距離、等により適宜決定される。
【0157】穴59の存在により、電子放出素子からの
放出電子の捕捉効率が低下する場合もあるが、電子放出
素子が表面伝導型電子放出素子の場合には、放出電子の
軌道が基板1の面から90°方向でない(例えば、A.
Asai et al.,SID Intl.Sym
p.Digest Tech.Papers,10.
4,p.127 May(1997))ため、これを考
慮すれば上記捕捉効率を比較的高く維持できる。
【0158】また、アノード電極58の簡易的なものと
して、市販されている走査型電子顕微鏡や走査型オージ
ェ電子分光分析装置のオプションとして市販されている
反射電子検出器を転用することもできる。
【0159】図4において、電子放出素子の電気特性の
測定(即ち、素子電圧Vfを印加し、放出電流Ieを計
測すること)と、反射電子エネルギー損失分光分析を同
時に行うことは、アノード電極58に印加されている電
圧により1次電子線56や反射電子57の軌道が乱され
るため一般的には難しい。
【0160】しかしながら、例えば、上記電気特性の測
定と反射電子エネルギー損失分光分析でそれぞれ印加す
る電圧を変調する等により、同時に行うことも可能では
ある。
【0161】また、図5は、電子放出素子の製造(フォ
ーミング工程以降)および電気特性の測定評価と、炭素
または炭素化合物の分析評価を異なる真空容器内で行う
場合の真空処理装置の模式図である。
【0162】図5において、200は電子放出素子、2
01は電子放出素子の製造(フォーミング工程以降)お
よび電気特性の測定評価を行うための真空容器、202
はゲートバルブ、203は試料搬送機構である。その
他、図1や図4に示したものと同一の構成については同
一の符号を付している。
【0163】なお、図5においては、電子放出素子の電
気特性の測定(即ち、素子電圧Vfを印加し、放出電流
Ieを計測すること)を行う機構は省略してある。
【0164】図5に示す構成の真空処理装置によって
も、電子放出素子の製造から上記分析評価まで、素子が
大気に触れることがないため高精度な分析評価が可能と
なる。
【0165】次に、分析評価結果を反映させた電子放出
素子の製造方法および製造装置について説明する。ただ
し、実際には分析評価結果をフィードバックさせながら
素子を製造することは行っていないので、ここでは概念
的に説明する。
【0166】上記の反射電子エネルギー損失分光分析
(REELS)は、弾性散乱電子付近のエネルギー領域
を分析対象としているため、比較的短時間で行うことが
できる。
【0167】特に、測定エネルギー領域をπプラズモン
損失ピークのみに限定すれば、測定条件にもよるが、数
秒〜数10秒のオーダーでスペクトルが得られ、これは
表面伝導型電子放出素子の通常の活性化に要する時間
(例えば数10分〜数時間)に比べはるかに短い。この
ことは、炭素または炭素化合物を含む堆積膜10の形成
過程で、上記分析結果をフィードバックできることを意
味している。
【0168】具体的な応用方法としては、予め素子特性
の良好な表面伝導型電子放出素子における、炭素または
炭素化合物を含む堆積膜10を、上記反射電子エネルギ
ー損失分光分析(REELS)により分析評価してお
き、この値に近づくようにこの素子の製造条件を調整す
ること等が挙げられる。
【0169】また、上記の具体的な製造条件とは、例え
ば、基板温度、活性化に用いるガスの圧力、電圧波形な
どである。これらの調整機構と分析器53とを、制御機
構としての制御器を介して結ぶことにより、分析評価結
果を素子の製造条件にフィードバックさせることが可能
となる。
【0170】一例として、反射電子エネルギー損失分光
分析(REELS)の結果を、基板温度および活性化に
用いるガスの圧力にフィードバックする構成とする真空
処理装置(概念図)を図6に示す。
【0171】図6において、210は試料加熱用電源、
211は活性化に用いるガス、212はバルブ、213
はガス流量制御装置、214は制御手段である。
【0172】このような構成の真空処理装置を用いれ
ば、炭素または炭素化合物の形成過程をモニターしなが
ら均質な炭素または炭素化合物を含む堆積膜10を得る
ことが可能となる。
【0173】
【実施例】以下、上記実施の形態に基づくより具体的な
実施例について説明する。
【0174】(実施例1)本実施例では、真空処理装置
についての具体的な例について説明する。本実施例にお
いては、市販のオージェ電子分光装置を改造し、図1に
示す構成の真空処理装置を製造した。
【0175】ここで、電子銃52はフィールドエミッシ
ョン型電子銃、電子エネルギー分析器53は静電偏向方
式の同心半球型エネルギー分析器、アノード電極34は
市販の直線導入器を改造したものである。
【0176】その他の構成、機能は先に説明した通りで
ある。なお、この実施例に係る真空処理装置を用いて、
次に説明する実施例2に係る電子放出素子の製造(フォ
ーミング工程以降)および実施例3に係る分析評価を行
った。
【0177】(実施例2)本実施例では、電子放出素子
の製造方法についての具体的な例について説明する。本
実施例に係る電子放出素子の構成は、上述した図7の
(A),(B)の平面図及び断面図と同様である。
【0178】また、本実施例に係る電子放出素子の製造
法は、基本的には上記実施の形態の説明の中で図8を参
照して説明したものと同様である。以下、図7,図8を
用いて、本実施例に係る電子放出素子の基本的な構成及
び製造法を説明する。
【0179】(工程−a)基板1として石英を用い、こ
れを洗剤、純水及び有機溶剤により洗浄した後、フォト
レジストRD−2000N(日立化成(株)製)をスピ
ンナーにより塗布(2500rpm、40秒)し、80
℃25分間のプリベークを行った。
【0180】次いで、素子電極のパターンに対応するマ
スクを用いて、密着露光し、現像液を用いて現像、12
0℃,20分間のポストベークを行って、レジストマス
クを形成した。
【0181】次いで、Niを真空蒸着法より成膜した。
成膜レートは0.3mm/sec.で膜厚を10nmと
した。
【0182】次いで、上記基板をアセトンに浸してレジ
ストマスクを溶解し、リフトオフによりNiの素子電極
2,3を形成した。電極間隙Hは2μm、電極長Wは5
00μmとした(図8(A))。
【0183】(工程−b)電極が形成された基板を、ア
セトン,イソプロパノール,酢酸ブチルで洗浄し乾燥し
た後、真空蒸着法によりCrを50nm成膜した。次い
でフォトレジストAZ1370(ヘキスト社製)をスピ
ンナーにより塗布(2500rpm,30秒)し、90
℃,30分間のプリベークを行った。
【0184】次いでマスクを用いた露光と現像により、
導電性薄膜の形状に対応する開口を形成、120℃,3
0分間のポストベークを行ってレジストマスクを形成し
た。
【0185】次いで、エッチャント((NH4)Ce
(NO36/HCl/H2O=17g/5cc/100
cc)に30秒間浸漬し、マスク開口部のCrエッチン
グし、次いでアセトンによりレジストを剥離しCrマス
クを形成した。
【0186】次いで、有機Pd化合物の溶液(ccp−
4230;奥野製薬(株)製)をスピンナーで塗布(8
00rpm、30秒)し、300℃,10分間の焼成を
行いPdO微粒子より成る導電性膜を形成した。
【0187】次いで、上記エッチャントに再度浸漬し
て、Crマスクを除去し、リフトオフにより、所望のパ
ターンの、導電性薄膜4を形成した(図8(B))。
【0188】(工程−c)次いで、上記の素子を図1に
模式的に示した装置に設置し、不図示の排気装置により
真空容器51内を排気し、圧力を1.3×10-3Pa以
下とした。
【0189】次に、N2(98%)−H2(2%)の混合
ガスを真空チャンバー内に導入した。なお、真空容器5
1内の圧力は1.3×10-3Paとした。
【0190】次に、素子電極2,3の間に、図9に示す
ような、波高値が10Vの一定の矩形波パルスを印加し
た。パルス幅T1は0.1msec.、パルス間隔T2
は16.6msec.とした。この条件で、約20分間
電圧を印加し続けたところ、フォーミングが完了した
(図8(C))。
【0191】上記パルスとパルスの間に、波高値0.1
Vの矩形波パルスを挿入し、素子の抵抗値を測定し、こ
れが1MΩを超えたところでパルス電圧の印加を止め、
真空容器51内を排気した。
【0192】さらに、圧力が1.3×10-5Pa以下と
なってから、素子を200℃で2時間ベークし、導電性
薄膜4を十分還元して金属Pd膜からなる導電性薄膜4
とした。なお、この際、真空容器51自体も不図示のヒ
ーターによりベークした(ベーク温度は150℃とし
た)。
【0193】(工程−d)素子が室温に戻り、圧力が
1.3×10-8Pa以下となってから、トルニトリルを
導入した。導入圧力は6.5×10-5〜1.3×10-3
Paとした。素子電極間に図11に示すような波高値一
定で極性を反転させる矩形波パルスを繰り返し印加し
た。なお、波高値は14V〜17Vとした。
【0194】(工程−e)次いで、排気装置により真空
容器51内を排気しながら、素子を300℃に加熱し保
持したところ、1.3×10-7Paの圧力に到達した。
【0195】次いで素子を室温に戻した後、アノード電
極34を素子上(非接触)に移動させ、ついで8kVの
電圧を印加した。そして、素子電極間に波高値一定の矩
形波パルスの電圧を印加して特性の測定を行った。な
お、アノード電極と素子の間隔は4mmにセットした。
【0196】このようにして、各条件下で製造した素子
について、一定時間駆動した際の素子電流Ifおよび放
出電流Ieの平均値を求めた。
【0197】(実施例3)本実施例では、活性化工程に
よって堆積された堆積膜中の炭素または炭素化合物の分
析についての具体的な例について説明する。
【0198】上記実施例2による特性を測定した後に、
同じ真空容器51内にて、反射電子エネルギー損失分光
分析(REELS)を行った。
【0199】主な測定条件は、1次電子の加速エネルギ
ー:約1keV、1次電子電流:約2nA、分析器動作
モード:分解能一定モード(パスエネルギーは5〜20
eV)、装置内圧力:5×10-8Pa以下とした。な
お、本条件下での1次電子ビーム径は約150nmであ
った。
【0200】図2に、グラファイト(HOPG)、各種
グラッシーカーボン(図13参照)について、このよう
な条件で測定した反射電子のエネルギー損失スペクトル
を示す。また、図3に、πプラズモンピークの(損失)
エネルギー値と相対強度の関係をプロットしたものを示
す。
【0201】図3には、上記のグラファイト(HOP
G)、グラッシーカーボンの測定結果と合わせ、実施例
1で得た各電子放出素子の測定結果を記した(各条件で
製造した複数の電子放出素子の結果をまとめたものが図
3中の(b)に相当する)。
【0202】(比較例1)上記の反射電子エネルギー損
失分光分析の機能を持たない真空処理装置、即ち、図1
に示す真空処理装置で電子銃52や電子エネルギー分析
器53が付加されていない真空処理装置を用いて、実施
例2と同様に電子放出素子を製造した。なお、トルニト
リルを用いた活性化条件も実施例2と同様にした。
【0203】各条件下で製造した素子について、一定時
間駆動した際の素子電流Ifおよび放出電流Ieの平均
値を求めたところ、実施例2とほぼ同様の値となった。
【0204】(比較例2)比較例1で得た電子放出素子
(複数)を一旦、大気開放し、その後、図1に示す真空
処理装置に導入し、不図示の排気装置により真空容器5
1内を排気し、圧力を5×10-8Paとした。
【0205】次に、実施例3と同じ条件で反射電子エネ
ルギー損失分光分析(REELS)を行った。各製造条
件で得た電子放出素子における、πプラズモンピークの
(損失)エネルギーと相対強度を求め、これらを図3に
示した(図3中の(a)に相当する)。
【0206】このように、ほぼ同一の条件で製造した電
子放出素子がほぼ同一の素子特性(If,Ie値)を示
す一方で、この電子放出素子を一旦大気開放すると、反
射電子エネルギー損失分光分析(REELS)で得られ
る結果が異なることが分かった。
【0207】これは大気開放により、素子表面に有機物
や水等のガスが吸着し、これが真空排気後も残存してい
るため、あるいは上記ガスが、活性化工程で形成される
炭素または炭素化合物を含む堆積膜10と反応してしま
ったためと考えられる。
【0208】即ち、活性化工程で形成される堆積膜10
中の炭素または炭素化合物の状態を精度よく分析するた
めには、大気開放を経ない分析が必要であることが明ら
かとなった。
【0209】
【発明の効果】以上説明したように、本発明は、活性化
工程における真空状態を維持したまま、炭素または炭素
化合物の構造及び状態の分析を行うので、精度良く高感
度で分析を行うことができる。
【0210】特に、反射電子エネルギー損失分光法によ
って分析を行うことによって、真空状態を維持したま
ま、短時間で精度良く分析を行うことが可能となる。
【0211】また、分析結果を堆積膜の形成に反映させ
ることによって、品質性に優れた電子放出素子を実現す
ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態に係る真空処理装置の模式
図である。
【図2】グラファイトと各種グラッシーカーボンについ
ての反射電子のエネルギー損失スペクトルを示す図であ
る。
【図3】πプラズモン損失エネルギーとπプラズモン損
失ピーク強度の関係を示すプロット図である。
【図4】本発明の実施の形態に係る真空処理装置の模式
図である。
【図5】本発明の実施の形態に係る真空処理装置の模式
図である。
【図6】本発明の実施の形態に係るフィードバック機構
を有する真空処理装置の模式図である。
【図7】本発明の実施の形態に係る電子放出素子の模式
図である。
【図8】本発明の実施の形態に係る電子放出素子の製造
工程の一部を示す模式図である。
【図9】フォーミング工程に用いる電圧波形の一例を示
す模式図である。
【図10】本発明の実施の形態に係る電子放出素子の放
出電流Ieと素子電圧Vfの関係および素子電流Ifと
素子電圧Vfの関係を模式的に示した図である。
【図11】本発明の実施例に係る活性化工程に用いる電
圧波形の一例を示す模式図である。
【図12】従来技術に係る表面伝導型電子放出素子の模
式図である。
【図13】グラファイトと各種グラッシーカーボンの試
料の構造データを示す図である。
【符号の説明】
1 基板 2,3 電極 4 導電性薄膜 6,7 間隙 10 (炭素または炭素化合物を有する)堆積膜 30,32 電流計 31 電源 33 高圧電源 34 アノード電極 51 真空容器 52 電子銃 53 電子エネルギー分析器 54 試料ステージ 56 1次電子線 57 反射電子 58 アノード電極 59 穴 200 電子放出素子 201 真空容器 202 ゲートバルブ 203 試料搬送機構 210 試料加熱用電源 211 ガス 212 バルブ 213 ガス流量制御装置 214 制御手段

Claims (33)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】真空中で行われる活性化工程により得られ
    る、炭素または炭素化合物を含む堆積膜を備えた電子放
    出素子の評価方法において、 前記活性化工程における真空状態を維持したまま、前記
    炭素または炭素化合物の構造及び状態の分析を行うこと
    を特徴とする電子放出素子の評価方法。
  2. 【請求項2】前記堆積膜に電子線を照射して、反射した
    電子から得られる情報に基づいて分析する反射電子エネ
    ルギー損失分光法によって分析を行うことを特徴とする
    請求項1に記載の電子放出素子の評価方法。
  3. 【請求項3】前記電子放出素子は、表面伝導型電子放出
    素子であることを特徴とする請求項1または2に記載の
    電子放出素子の評価方法。
  4. 【請求項4】前記反射電子エネルギー損失分光法による
    分析は、反射電子のエネルギー損失スペクトルに現れ
    る、πプラズモン損失ピークまたはπ+σプラズモン損
    失ピークのエネルギー値及びπプラズモン損失ピークま
    たはπ+σプラズモン損失ピークの強度のうち少なくと
    もいずれか一つに基づいて行うことを特徴とする請求項
    2または3に記載の電子放出素子の評価方法。
  5. 【請求項5】前記πプラズモン損失ピークまたはπ+σ
    プラズモン損失ピークの強度は、弾性散乱ピークに対す
    る相対強度であることを特徴とする請求項4に記載の電
    子放出素子の評価方法。
  6. 【請求項6】真空容器内で行われる活性化工程により得
    られる、炭素または炭素化合物を含む堆積膜を備えた電
    子放出素子の評価装置において、 前記真空容器内に、前記炭素または炭素化合物の構造及
    び状態の分析を行う分析機構を備えることを特徴とする
    電子放出素子の評価装置。
  7. 【請求項7】前記真空容器内に、電子放出素子を駆動す
    るために電圧を供給する電圧供給機構と、電子放出素子
    から放出された電子を捕捉する捕捉機構と、を備えるこ
    とを特徴とする請求項6に記載の電子放出素子の評価装
    置。
  8. 【請求項8】前記捕捉機構は、前記分析機構の分析を妨
    げない位置まで移動可能に設けられるアノード電極を有
    することを特徴とする請求項7に記載の電子放出素子の
    評価装置。
  9. 【請求項9】前記捕捉機構は、前記分析機構の分析を妨
    げない位置に固定されたアノード電極を有することを特
    徴とする請求項7に記載の電子放出素子の評価装置。
  10. 【請求項10】前記分析機構は、電子線を照射して、反
    射した電子から得られる情報に基づいて分析する反射電
    子エネルギー損失分光分析機構であることを特徴とする
    請求項6〜9のいずれか一つに記載の電子放出素子の評
    価装置。
  11. 【請求項11】前記電子放出素子は、表面伝導型電子放
    出素子であることを特徴とする請求項6〜10のいずれ
    か一つに記載の電子放出素子の評価装置。
  12. 【請求項12】前記反射電子エネルギー損失分光分析機
    構は、電子銃と電子エネルギー分析器とを有することを
    特徴とする請求項10または11に記載の電子放出素子
    の評価装置。
  13. 【請求項13】前記反射電子エネルギー損失分光分析機
    構による分析は、反射電子のエネルギー損失スペクトル
    に現れる、πプラズモン損失ピークまたはπ+σプラズ
    モン損失ピークのエネルギー値及びπプラズモン損失ピ
    ークまたはπ+σプラズモン損失ピークの強度のうち少
    なくともいずれか一つに基づいて行うことを特徴とする
    請求項10,11または12に記載の電子放出素子の評
    価装置。
  14. 【請求項14】前記πプラズモン損失ピークまたはπ+
    σプラズモン損失ピークの強度は、弾性散乱ピークに対
    する相対強度であることを特徴とする請求項13に記載
    の電子放出素子の評価装置。
  15. 【請求項15】前記真空容器内に、電子放出素子を製造
    する製造機構と、電子放出素子の電気特性を評価する評
    価機構と、を備えることを特徴とする請求項6〜14の
    いずれか一つに記載の電子放出素子の評価装置。
  16. 【請求項16】各々仕切られた少なくとも2つの真空容
    器を備え、 前記製造機構による製造と、前記評価機構による評価
    と、前記分析機構による分析と、を少なくとも2つの異
    なる真空容器に分けて行うことを特徴とする請求項15
    に記載の電子放出素子の評価装置。
  17. 【請求項17】真空中で行われる活性化工程により得ら
    れる、炭素または炭素化合物を含む堆積膜を備えた電子
    放出素子の製造方法において、 前記炭素または炭素化合物の構造及び状態の分析を行っ
    て、分析結果に基づきながら前記堆積膜の形成を行うこ
    とを特徴とする電子放出素子の製造方法。
  18. 【請求項18】前記堆積膜に電子線を照射して、反射し
    た電子から得られる情報に基づいて分析する反射電子エ
    ネルギー損失分光法によって分析を行うことを特徴とす
    る請求項17に記載の電子放出素子の製造方法。
  19. 【請求項19】前記電子放出素子は、表面伝導型電子放
    出素子であることを特徴とする請求項17または18に
    記載の電子放出素子の製造方法。
  20. 【請求項20】前記反射電子エネルギー損失分光法によ
    る分析は、反射電子のエネルギー損失スペクトルに現れ
    る、πプラズモン損失ピークまたはπ+σプラズモン損
    失ピークのエネルギー値及びπプラズモン損失ピークま
    たはπ+σプラズモン損失ピークの強度のうち少なくと
    もいずれか一つに基づいて行うことを特徴とする請求項
    18または19に記載の電子放出素子の製造方法。
  21. 【請求項21】前記πプラズモン損失ピークまたはπ+
    σプラズモン損失ピークの強度は、弾性散乱ピークに対
    する相対強度であることを特徴とする請求項20に記載
    の電子放出素子の製造方法。
  22. 【請求項22】真空容器内で行われる活性化工程により
    得られる、炭素または炭素化合物を含む堆積膜を備えた
    電子放出素子の製造装置において、 前記真空容器内に、前記炭素または炭素化合物の構造及
    び状態の分析を行う分析機構を備えることを特徴とする
    電子放出素子の製造装置。
  23. 【請求項23】前記真空容器内に、電子放出素子を駆動
    するために電圧を供給する電圧供給機構と、電子放出素
    子から放出された電子を捕捉する捕捉機構と、を備える
    ことを特徴とする請求項22に記載の電子放出素子の製
    造装置。
  24. 【請求項24】前記捕捉機構は、前記分析機構の分析を
    妨げない位置まで移動可能に設けられるアノード電極を
    有することを特徴とする請求項23に記載の電子放出素
    子の製造装置。
  25. 【請求項25】前記捕捉機構は、前記分析機構の分析を
    妨げない位置に固定されたアノード電極を有することを
    特徴とする請求項24に記載の電子放出素子の製造装
    置。
  26. 【請求項26】前記分析機構は、電子線を照射して、反
    射した電子から得られる情報に基づいて分析する反射電
    子エネルギー損失分光分析機構であることを特徴とする
    請求項22〜25のいずれか一つに記載の電子放出素子
    の製造装置。
  27. 【請求項27】前記電子放出素子は、表面伝導型電子放
    出素子であることを特徴とする請求項22〜26のいず
    れか一つに記載の電子放出素子の製造装置。
  28. 【請求項28】前記反射電子エネルギー損失分光分析機
    構は、電子銃と電子エネルギー分析器とを有することを
    特徴とする請求項26または27に記載の電子放出素子
    の製造装置。
  29. 【請求項29】前記反射電子エネルギー損失分光分析機
    構による分析は、反射電子のエネルギー損失スペクトル
    に現れる、πプラズモン損失ピークまたはπ+σプラズ
    モン損失ピークのエネルギー値及びπプラズモン損失ピ
    ークまたはπ+σプラズモン損失ピークの強度のうち少
    なくともいずれか一つに基づいて行うことを特徴とする
    請求項26,27または28に記載の電子放出素子の製
    造装置。
  30. 【請求項30】前記πプラズモン損失ピークまたはπ+
    σプラズモン損失ピークの強度は、弾性散乱ピークに対
    する相対強度であることを特徴とする請求項29に記載
    の電子放出素子の製造装置。
  31. 【請求項31】前記真空容器内に、電子放出素子を製造
    する製造機構と、電子放出素子の電気特性を評価する評
    価機構と、を備えることを特徴とする請求項22〜30
    のいずれか一つに記載の電子放出素子の製造装置。
  32. 【請求項32】各々仕切られた少なくとも2つの真空容
    器を備え、前記製造機構による製造と、前記評価機構に
    よる評価と、前記分析機構による分析と、を少なくとも
    2つの異なる真空容器に分けて行うことを特徴とする請
    求項31に記載の電子放出素子の製造装置。
  33. 【請求項33】前記分析機構の分析結果に基づいて、製
    造条件を制御する制御機構を備えることを特徴とする請
    求項22〜32のいずれか一つに記載の電子放出素子の
    製造装置。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
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KR100767142B1 (ko) 2004-09-22 2007-10-15 캐논 가부시끼가이샤 전자선장치의 제조방법
KR20160084831A (ko) * 2016-07-06 2016-07-14 씨이비티 주식회사 대면적 전계방출원 장치에의 전자 방출원의 균일 방출 검사 방법

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