JP2009110565A - レーザー駆動装置およびそれを用いた情報記録再生装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】情報を記録する記録パルスとして、緩和振動を伴って発生するサブナノクラスのパルスレーザー光を用いて記録媒体に情報を記録する情報記録再生装置において、パルスレーザー光のエネルギー量を正確に検出する。
【解決手段】 この発明は、レーザー素子を出射され、記録媒体に向かうレーザー光の一部を記録媒体で反射された反射レーザー光と独立に受光して、その強度に対応する出力を出力する光検出器(95)と、前記光検出器からの出力を所定時間積分する積分回路(7511)と、前記積分回路からの出力に基づいて、レーザー素子に供給するレーザー駆動電流の大きさを設定する設定回路(7509)と、を有し、前記設定回路は、レーザー素子からレーザー出力を出力させることを特徴とするレーザー駆動回路およびそれを用いた光ヘッド装置である。
【選択図】 図3
【解決手段】 この発明は、レーザー素子を出射され、記録媒体に向かうレーザー光の一部を記録媒体で反射された反射レーザー光と独立に受光して、その強度に対応する出力を出力する光検出器(95)と、前記光検出器からの出力を所定時間積分する積分回路(7511)と、前記積分回路からの出力に基づいて、レーザー素子に供給するレーザー駆動電流の大きさを設定する設定回路(7509)と、を有し、前記設定回路は、レーザー素子からレーザー出力を出力させることを特徴とするレーザー駆動回路およびそれを用いた光ヘッド装置である。
【選択図】 図3
Description
この発明は、サブナノ秒クラスであって、デューティ比(記録マーク長に対するレーザー光照射時間の比)が低いパルスレーザー光を用いて記録媒体に情報を記録する情報記録再生装置ならびにそれに用いるレーザー駆動装置に関する。
デジタル映像を蓄積する光ディスクとして、DVD(デジタル多用途ディスク)規格に準拠したDVDディスクが広く普及している。また、上記DVD(既存DVDと称する)に比べて、さらに大容量の光ディスクとして、DVD規格をより発展させたHD DVDも、既に幅広く使われている。
上記のような光ディスクへの記録方法として、記録パルス長さが1ns(ナノ秒)よりも小さい急峻なパルスを利用して、より高密度で情報を記録する方法が開発されている。この記録方法は、例えばサブナノパルス記録方法、あるいは緩和振動を利用した記録方法と称される。
特許文献1には、駆動電流のパルス長が2〜15nsで、繰り返し周期が3〜30ns程度の高速短パルス光の出力を、ローパスフィルタにより平均化して検出することが開示されている。
特許文献2には、光ディスクからの反射光(再生波形)を検出して、記録時のレーザーパワーを設定することが開示されている。
特開2005−129832
特開平6−89438号公報
しかしながら、いずれの文献に記載された方法によっても、デューティ比(記録マーク長に対するレーザー素子の発光時間)が10%程度の短パルスレーザー光について、そのレーザーパワーを正確に求めることは、
ア)モニタ用光電変換素子の応答がパルスに対して遅く、瞬時値を取得することが困難
イ)パルスのデューティ比が小さいため、ピークパワーに対する平均値が小さくなり、平均値のSN比が低下する
等の理由により、実現されていない。
ア)モニタ用光電変換素子の応答がパルスに対して遅く、瞬時値を取得することが困難
イ)パルスのデューティ比が小さいため、ピークパワーに対する平均値が小さくなり、平均値のSN比が低下する
等の理由により、実現されていない。
このことは、発光レーザーパワーを一定に維持することを、実質的に困難としている。
この発明の目的は、デューティ比(記録マーク長に対するレーザー素子の発光時間)が低い短パルスレーザー光について、そのレーザーパワーを一定に維持し、サブナノクラス記録に用いるパルスレーザー光の記録エネルギーを正確に制御可能なレーザー駆動回路、およびそれを用いた情報記録再生装置を提供することである。
この発明は、上記問題点に基づきなされたもので、レーザー光を出力するレーザー素子と、前記レーザー素子からの光を記録媒体に向けて案内する光学系と、前記レーザー素子からのレーザー光のうち、前記光学系で分離された成分を受光し、その強度に対応する出力を出力する光検出器と、前記光検出器からの出力を所定時間積分する積分回路と、前記積分回路からの出力に基づいて、前記レーザー素子に供給するレーザー駆動電流の大きさを設定する設定回路と、を有し、前記設定回路は、前記レーザー素子からレーザー出力を出力させることを特徴とする光ヘッド装置である。
この発明によれば、モニタ用光電変換素子の出力の積分値(出射光のエネルギーに比例)と基準値とを比較して発光パワー(記録膜に照射されるレーザー光のエネルギー量)を一定に保つAEC(Automatic Energy Control)により、緩和振動を伴って発生するサブナノクラスのレーザー光を安定に出力可能である。
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら詳細に説明する。
図1は、本発明が適用可能な情報記録再生装置(光ディスクドライブ)の構成の一例を示すブロック図である。
情報記録再生装置(光ディスクドライブ)は、情報記録媒体(光ディスク)100の記録面に情報を記録し、あるいは記録面に記録されている情報を再生する。
光ディスク100の記録面には、同心円状、または螺旋(スパイラル)状に溝が刻まれており、溝の凹部をランド、凸部をグルーブと呼び、グループまたはランドの一周をトラックと呼ぶ。
ユーザーデータは、トラック(グルーブのみまたはグルーブ及びランド)に沿って、強度変調されたレーザー光を照射して記録マークを形成することで、記録される。データ再生は、記録時より弱いリードパワー(read power)のレーザー光をトラックに沿って照射して、トラック上にある記録マークによる反射光強度の変化を検出することにより行われる。
記録されたデータは、前記リードパワーより強いイレースパワー(erase power)のレーザー光をトラックに沿って照射し、記録層を結晶化することにより、消去可能である。
光ディスク100は、スピンドルモータ63によって所定の速度で回転される。
スピンドルモータ63に設けられたロータリエンコーダ63Aからは回転角信号が出力される。回転角信号は、スピンドルモータ63が1回転すると例えば5パルス発生する。この回転角信号からスピンドルモータ63の回転角度及び回転数がスピンドルモータ制御回路64にて判断される。
光ディスク100に対する情報の記録・再生は、光ピックアップ(Pick Up Head,PUH)65によって行われる。
光ピックアップ(PUH、以下、単に光ヘッドと称する)65は、ギアとスクリューシャフトを介して送りモータ67と連結されており、この送りモータ67は送りモータ制御回路68により制御される。送りモータ67が送りモータ制御回路68からの送りモータ駆動電流により回転することにより、光ヘッド65が光ディスク100の半径方向に移動する。
光ヘッド65には、図示しないワイヤもしくは板バネにより、光ディスク100の記録面と直交する方向及び光ディスク100の半径方向に所定距離だけ移動可能に支持された対物レンズ70が設けられている。対物レンズ70は、駆動コイル72の駆動によりフォーカシング方向(記録面と直交する方向すなわち対物レンズ70の光軸方向)への移動が可能で、また駆動コイル71の駆動によりトラッキング方向(光ディスク100の半径方向すなわち対物レンズ70の光軸と直交する方向)への移動が可能である。
レーザー変調制御回路75は、情報記録時(記録マーク形成時)に、ホスト装置94からインタフェース回路93を介して供給される記録データに基づいて、書き込み用信号をレーザーダイオード(LD,レーザー素子)79に提供する。
レーザーダイオード79が発生するレーザー光は、ハーフミラー96に入射する。ハーフミラー96は、レーザーダイオード79が発生するレーザー光を一定比率だけ分岐している。
フォトダイオードにより構成されるモニタ光検出器(FM−PD)95は、レーザー光の一部光をハーフミラー96から受光する。モニタ光検出器(FM−PD)95は、レーザー光の照射パワーに比例した一部光を検出し、受光信号をレーザー変調制御回路75に供給する。
レーザー変調制御回路75は、モニタ光検出器95で受光した反射レーザー光の強度に基づいて、Central Processing Unit(CPU)を含む主演算処理ブロック90により設定された再生時レーザーパワー、記録時レーザーパワー及び消去時レーザーパワーが適切に得られるように、レーザーダイオード79を制御する。
レーザーダイオード79は、レーザー変調制御回路75から供給される駆動電流に応じてレーザー光を発生する。レーザーダイオード79から発せられるレーザー光は、コリメータレンズ80、ハーフプリズム81、対物レンズ70を介して光ディスク100上に照射される。光ディスク100からの反射光は、対物レンズ70、ハーフプリズム81、集光レンズ82、シリンドリカルレンズ83を介して、光検出器84に導かれる。
光検出器84は、例えば4分割の光検出セルから成り、これら光検出セルの検知信号はRFアンプ85に出力される。RFアンプ85は光検知セルからの信号を処理し、合焦点位置からの誤差を示すフォーカスエラー信号FE、レーザー光のビームスポット中心とトラック中心との誤差を示すトラッキングエラー信号TE、及び光検知セル信号の全加算信号である再生信号を生成する。
フォーカスエラー信号FEは、フォーカス制御回路87に供給される。フォーカス制御回路87は、フォーカスエラー信号FEに応じてフォーカス駆動(制御)信号を生成する。フォーカス駆動信号は、フォーカシング方向の駆動コイル71に供給される。これにより、レーザー光が光ディスク100の記録膜上に常時ジャストフォーカスとなるフォーカスサーボが行われる。
トラッキングエラー信号TEは、トラック制御回路88に供給される。トラック制御回路88は、トラッキングエラー信号TEに応じてトラック駆動信号を生成する。トラック制御回路88から出力されるトラック駆動(制御)信号は、トラッキング方向の駆動コイル72に供給される。これにより、レーザー光が光ディスク100上に形成されたトラック上を常にトレースするトラッキングサーボが行われる。
上記フォーカスサーボおよびトラッキングサーボがなされることで、光検出器84の各光検出セルの出力信号の全加算信号RFには、記録情報に対応して光ディスク100のトラック上に形成された記録マークなどからの反射光の変化が反映される。この信号は、データ再生回路78に供給される。データ再生回路78は、PLL回路76からの再生用クロック信号に基づき、記録データを再生する。
上記トラッキング制御回路88によって対物レンズ70が制御されているとき、送りモータ制御回路68により、対物レンズ70が光ヘッド65内の所定位置の近傍に位置するよう、送りモータ67すなわち光ヘッド(PUH)65の位置も制御される。
スピンドルモータ制御回路64、送りモータ制御回路68、レーザー制御回路73、PLL(Phase Locked Loop)回路76、データ再生回路78、フォーカス制御回路87、トラック制御回路88、エラー訂正回路62等は、バス(Bus)89を介して主演算処理ブロック(CPU)90によって制御される。CPU(主演算処理ブロック)90は、インタフェース回路93通じてホスト装置94から提供される動作コマンドに従って、記録再生装置の全体動作を制御する。また、CPU90は、RAM(Random Access Memory)91を作業エリアとして使用し、不揮発メモリ(NV−RAM)99に記録された装置個体毎のパラメータを適宜参照し、ROM(Read Only Memory)92に記録されている本発明によるプログラムを含む制御プログラムに従って所定の動作を行う。なお、エラー訂正回路62は、再生信号のエラー訂正を行なうことはいうまでもない。
今日、図1に示したような光ディスクドライブ(情報記録再生装置)による記録媒体、すなわち光ディスクへの情報の記録方法として、記録パルス長さが1ns(ナノ秒)よりも小さい急峻なパルスを利用して、より小さな光エネルギーで情報を記録する「サブナノパルス記録」が実用化されつつある。
「サブナノパルス記録」においては、記録パルスとして、レーザーダイオード79へのLD駆動電流パルスの立ち上がり/立ち下がり時間が100ps(ピコ秒)を切る性能が求められる。
また、「サブナノパルス記録」においては、立ち上がり時間/立ち下がり時間に対する要求は満たすが、「サブナノパルス記録」のレーザー発光のDuty(デューティ)比、すなわちON時間の割合(記録マークの長さに対するLDオンの時間の比)が10%を切ることもある。
また、1波(1つめのパルス)と1波(次のパルス)との間隔が、パルスデューティーに換算して10%以下となる場合があり、レーザーパワーを一定に維持するための周知のAPC(Auto Power Control)を用いた場合は、モニタ用検出器の出力は、通常時間的に平均化された出力であることにより、平均値が小さくなり、信号対雑音比(SN比)が悪化することが認められる。
このような背景から、サブナノクラス記録に用いるパルスレーザー光の記録エネルギーを正確に制御できることが要求されている。
以下、図2を用いて、図1に示した情報記録再生装置において、上述のサブナノクラス記録を実施する際にレーザーパワーを正確に検出できなくなる理由を考察する。
図2(a)〜図2(f)は、レーザー出射光強度とそのモニタ用光電変換素子ならびにその積分値の時系列変化を模式的に示したものである。
レーザー出射光は、図2(c)に示す通り、緩和振動も含むパルスであり、特に緩和振動が発生している部分は、半値幅が50〜100ps(ピコ秒)程度と幅が狭く、かつパルス全体の幅が小さいため、レーザー発光のエネルギー量に占める緩和振動部分(エネルギー量)が無視できない。
このため、レーザー出射光(発光光)のパワーを安定化するためには、緩和振動部分も含めたパルスの総エネルギーを検出することが、必要である。
しかしながら、パルス幅は、1ns(ナノ秒)を下回る長さもありえるため、広く利用されている安価で入手容易な光ディスク用モニタ光電変換素子(PDIC)の出力は、図2(d)に示すように、鈍った波形になる。
このため、通常のAPC(Auto Power Control)手法では、上述のパルスレーザーのピーク値等の瞬時値を取得することは、困難である(実質的に不可能である)。
本発明は、モニタ用光電変換素子(FM−PD95)の出力の積分値(出射光のエネルギーに比例)と基準値の比較により、LD79から出力されるレーザー光の発光パワーを一定に保つAEC(Automatic Energy Control)を新たに適用することにより、記録パルス長さが1nsよりも小さい急峻な光パルスで、記録媒体(光ディスクの記録膜上の記録)マーク長に対してレーザーの発光時間が10%を切るようなレーザー発光のDuty(デューティ)比の低い、レーザーのパルス発光が行われるサブナノパルスによる記録においても、発光レーザーパワーを一定に維持することを可能としている。
すなわち、図2(f)に示す積分ゲート信号を用いて、モニタ光電変換素子出力(図2(e))をパルス出力期間のみ積分した結果を、パルスレーザーの大きさの観測量として用い、ゲート信号終了時に、積分信号が保持されるように積分器(前段)の後にサンプルホールド(S/H)出力を設け、S/Hの出力を後段の積分器で積分することで、単純な平均化とは異なるAEC(Automatic Energy Control)動作を実現している。
より詳細には、図3に示すように、レーザー変調制御回路75は、記録クロックと記録データから記録波形を生成しそれに対応した電流源の切り替えを行う波形生成部、記録・再生時にCPU90から指令された照射パワーになるようLD(レーザーダイオード)79への電流を制御するAEC演算部、信号バス89からの制御信号を解釈し、レーザー変調制御回路75全体を制御する制御部に分けられる。
波形生成部は、PLL回路7508、変調回路7509、高周波重畳回路7548から構成されている。PLL回路7508は記録クロックを受信して変調回路7509に必要なタイミング信号を生成する。変調回路7509は記録データを解釈して内部バス7502により設定された制御信号に従って記録波形を生成し、各電流源のON/OFFを示す電流源制御信号に分解する。
電流源制御信号は、それぞれ、PEAK SW7543およびBIAS SW7544へ接続され、それにしたがって各電流源がON/OFFされることにより、LD駆動電流の強弱が発生し、記録時照射パワーの強度変調が達成される。
PEAK SW7545は、主に再生時のみONになる電流源のスイッチであり、信号バス89からの制御信号に含まれる記録・再生切り替え信号により制御回路7510がON/OFFを行う。高周波重畳回路7548は、概ね100MHzから1GHzまでの範囲の内部バス7502により設定された制御信号により決定される振幅と周波数の正弦波を出力する。また、内部バス7502を通してCPU90よりON/OFFが制御されるHFM SW7547により、高周波重畳回路7548の出力電流が制御され、主に再生時のみ、高周波電流が重畳される。
AEC演算部は、再生時においては、従来からAPC回路としてよく知られている回路の動作を行う。すなわち、FM−PD95から雑音除去のためのLPF7503、記録中に再生時の状態を保持するためのサンプルホールド回路SH7505を通じて入力される受光信号と信号バス89を経由してCPU90から入力される制御信号に含まれるREAD照射パワー情報が設定されたREAD APC DAC7516の出力を比較アンプ7522により比較して、READ照射パワーに一致するように電流源7540を制御しLD駆動電流を調節する。
記録時においては、スペース部でのFM−PD95からの受光信号は積分器7511へ入力される。積分器7511は、特定(1つまたは複数種類)のパルス長のレーザー光、あるいは特定(1つまたは複数種類)の記録マーク長を提供できる光強度のレーザー光について、FM−PD95の出力を積分し、その積分値を目標値として、駆動電流の強さを制御する。すなわち、積分器7511は、変調回路7509により生成される積分ゲート信号の出力期間だけ積分を行う。積分器7511の出力は、サンプルホールド回路S/H7504へ入力され、積分ゲート信号終了時の値を保持する。なお、目標値は、2以上の積分結果を平均化して設定されてもよいことはいうまでもない。
以下、サンプルホールド回路S/H7504の出力と信号バス89を経由してCPU90から入力される制御信号に含まれる照射パワー積分指令値を比較して、PEAK SW7543がONしているときの照射パワーが設定された照射パワー積分指令値に一致するように、電流源7539を制御する。
なお、AEC演算は、レーザー変調制御回路75の比較アンプによる他に、CPU90の演算により実施する方法もある。
例えば、CPU90がS/H7504の出力をAD変換器ADC7507へ入力してAD変換し、その情報(AD変換結果)を、内部バス7502と信号バス89を通じて取得し、演算によりLD駆動電流を演算する。演算したLD駆動電流値は、PEAK APC DAC7515に設定され、比較アンプ7521を経由して、電流源7539へ伝達される。
ところで、積分器7513の後段に位置する積分器7511は、入力の直流オフセットを積算するため、直流オフセットの存在または変動が大きな出力誤差を生む場合がある。そこで、前記AEC演算部の積分器には、入力の直流オフセットを除去する回路を設けることが好適である。その例を示す。
図3に示した通り、積分器7511の前にオフセット検出用(の前段)の積分器7513を含む回路を設け、オフセット検出用積分器7513に積分ゲート信号を入力すると、制御回路7510(CPU90)から積分ゲート信号が供給されている間だけ、FM−PD95から入力される受光信号が積分され、そうでないとき(受光信号非入力時)は、積分値がゼロに初期化される。
以下、積分器7513の出力は、サンプルホールド回路S/H7512へ入力され、積分ゲート信号終了時の値を保持する。
オフセットを除去するためには、光ディスク100への情報の記録あるいは光ディスクからの情報の再生に先立って(主に電源投入後の初期化動作時に)、LD79を駆動していない状態で、図4に示すように、
ステップS11として、
『積分器(前段の積分器)7513の積分ゲート信号を出力し、積分を開始』
続いて、ステップS12として、
『一定時間経過後、積分ゲート信号出力を止める』
というシーケンスが有益である。
ステップS11として、
『積分器(前段の積分器)7513の積分ゲート信号を出力し、積分を開始』
続いて、ステップS12として、
『一定時間経過後、積分ゲート信号出力を止める』
というシーケンスが有益である。
このときの積分器7513の入出力の様子を図5に示す。
図5(a)において、曲線Aは、前段積分器7513の出力をサンプルホールド回路7512の出力として示し、曲線Aは、後段積分器7511への入力を示す。なお、積分器7513に入力されるFM−PD95の出力は、図5(b)に示す積分ゲート信号(制御回路7510からの)出力が入力されている間のみ、入力されることはいうまでもない。
従って、積分器7513には、一定時間(ゲインK(図3に7551で概略的に示す)によって決まる時定数10倍以上)経過後には、LD79を駆動していない状態の受光信号出力(入力オフセット)が蓄積される。
なお、同様の動作を、積分器7513をADコンバータに、S/H7512をDAコンバータに置き換えて、CPU90の演算により実現することも可能である。
図6(a)〜図6(c)は、それぞれ、出射パルス波形と積分ゲート信号の関係の例を示している。
変調回路7509により生成される積分ゲート信号は、図6(a)のように特定のマーク長のときのみ積分を行うために特定のマーク長のときのみ出力することも好適である。積分の対象とするマーク長は、CPU90により設定される。
光ディスク100への情報の記録の場合、マーク部(記録マーク)の記録パルス強度を一定として、記録パルスの長さを変えることによりマーク長を可変する記録される方式が多い。そこで、特定マーク長のときの照射エネルギーを一定に保つように、マーク部での記録パルス電流を制御し、他のマーク長ではその電流を用いてパルスの長さを変えることにより安定して任意のマーク長を記録できるようにする。
一方で、光ディスク100に情報を記録する方法としては、図6(b)に示すように、単一の強度と長さのパルスを出す回数をマーク長に応じて変えることにより任意のマーク長記録を実現する記録方式(記録パルスの生成方法)も、広く利用されている。
このような場合、前記のように特定のマーク長全体での積分値を用いることも可能であるが、記録パルス1波ごとに積分して、記録パルス1波のエネルギーを一定にするよう記録パルス電流を制御する方法も好適である。
また、単一の強度と長さの繰り返しパルスだけではないときに、単一の強度と長さの時だけ積分ゲート信号を出力して積分値を得る方法も考えられる。
なお、図6(c)に示すように、記録パルスの長短に関係なく記録パルス部分の積分を行い、その積分値の平均値を観測して一定に保つように記録パルス電流を制御する方法も好適である。
この場合は、図3において、S/H7504と比較アンプ7522の間に平均化処理のための回路、例えばローパスフィルタ(LPF)を挿入することで、容易に実現できる。
光ディスクへの情報の記録においては、記録マーク長の平均長さがほぼ一定になるように変調されているので、記録パルスの平均エネルギーを一定になるように記録パルス電流を制御すれば、安定した記録パルスを得ることが可能である。
なお、図3を用いて上述したレーザ変調制御回路は、図1に示した光ディスクドライブ(情報記録再生装置)において、光ディスクの記録層への試し書きと、その記録マークの再生により、ライトストラテジ(記録波形(レーザー)の最適化)のための波形生成回路を兼ねることはいうまでもない。
ところで、緩和振動を伴って発生するサブナノクラスのパルスレーザー光を用いて記録媒体に情報を記録する情報記録再生装置ならびにそれに用いる光ヘッド装置においては、緩和振動の発生と記録パルス長(緩和振動を伴って発生するパルスレーザー光の出力)を安定化することも、現時点では、課題の1つである。
このため、以下に緩和振動を伴って発生するサブナノクラスのパルスレーザー光を安定に出力させる方法について説明する。
図7は、レーザーダイオードの構成(共振器長)を説明する概略図である。
レーザーダイオード(LD)79は、図示しないハウジング内に、図7に概略を示すような半導体レーザーチップ30を含む。
レーザーチップ30は、例えば厚さ(上下方向)tが0.15mm、長さ(左右方向)Lが0.5mm、横幅(奥行き方向)dが0.2mm程度の微小ブロックである。
レーザーチップ30は、活性層31が上下方向から第1および第2のクラッド32,33により挟み込まれたもので、それぞれのクラッドの上端32aおよび下端33aが、「−(マイナス)」電極(32a)と「+(プラス)」電極(33a)である。
第1および第2のクラッド層32,33は、それぞれ、活性層31の屈折率に対して、例えば5%程度低くなるよう材料選択されており、活性層31にて発生した光は、上下のクラッド層との境界を反射しながら活性層31内を進行し、鏡面30f,30r間を進行する間に次第に増幅され、所定のレベルまで増幅された時点で、鏡面30fおよび30rから、レーザー光として放出される。すなわち、レーザー光は、図7の例では、活性層31が広がる方向と平行な方向であるx方向に出力される。なお、第1および第2の鏡面30f−30r間距離が、共振器長Lである。
図7に示すレーザーチップ30において、第1および第2の鏡面30f,30r間距離Lは、要求されるレーザー光のパルス長に依存して規定されるが、この例では、共振器長Lは約0.8mmである。なお、後述する緩和振動の周期は、半値全幅で約100ps(ピコ秒)である。
LD79は、図1に示したレーザー変調制御回路(レーザー駆動回路)75から駆動電流が供給されることによりレーザー光を出射(発振)する。なお、レーザー変調制御回路75からLD79に供給される駆動電流の立上がり時間は、約1ns(ナノ秒)である。
次に、図8(a)〜図8(d)を用いて、記録媒体すなわち光ディスク100の図示しない記録膜に情報を記録するために利用可能な記録パルスの生成方法(レーザー駆動方法)について説明する。
図8(a)および図8(b)は、半導体レーザー素子において、一般的なレーザー駆動電流が供給された場合のレーザー光の出射(レーザー出力)との関係を示し、図8(c)は、図8(d)に示すような緩和振動パルス(特徴的なレーザー出力)を得ることのできるレーザー駆動電流の供給例を示す。
図8(a)および図8(c)に示す通り、駆動電流は、バイアス電流Ibiとピーク電流Ipeの2レベルに制御されている。なお、バイアス電流がさらに2つのレベル、あるいは、3つのレベルに細分化されて制御される場合もあるがここでは、説明の簡易化のため、バイアス電流とピーク電流がそれぞれ1レベルずつの場合を用いて説明する。
通常の記録パルス生成の場合、レーザー変調制御回路75は、図8(a)に示すように、LD79がレーザー発振を開始する閾値電流Ithよりもやや高いレベルに設定されたバイアス電流Ibiをまず生成し、LD79を予備的に駆動する。その後、時刻Bにてバイアス電流Ibiへと引き下げられるまでの間、時刻Aにて、所望のピークパワーを得るためのピーク電流Ipeが印加される。このように、時刻Aから時刻Bまでの間、ピーク電流Ipeが印加されることで、図8(b)に示すようなレーザー出力(レーザー出射光強度の時間変化)が得られる。
すなわち、レーザー駆動電流の大きさが、バイアス電流Ibiである時刻Aまでの間は、出射光強度は、LD79から出力されるレーザー光は、光ディスク100にデータを記録することができない極く低いパワーであるが、ピーク電流Ipeが印加され、レーザー光の強度が記録パワーまで増大される。時刻B以降は、出射光の強度は、再び低パワーとなることはいうまでもない。
より詳細に出射光強度を観測すると、図8(b)においては、時刻Aにおいて強度が記録パワーまで引き上げられた際に、定常の記録パワーに安定するまでに、強度が瞬間的に上昇して低下する様子が伺える(図中の矢印c部分)。これは、LD79の緩和振動によるものであり、通常の記録パルス生成においては、この緩和振動がなるべく小さくなるように制御を行なう。
緩和振動とは、このように半導体レーザー(LD79)において、レーザー駆動電流があるレベルから閾値電流を大きく超える所定のレベルに急激に上昇した際に生ずる、過渡的な振動現象である。
なお、緩和振動は、振動を繰り返す毎に小さくなり、やがて振動は収まる。
本発明の光記録装置においては、この緩和振動を積極的に記録に利用するものである。
すなわち、本来は、発生を抑制すべき緩和振動であるが、緩和振動に特有の「パルス長が短い」、「エネルギー量(光出力としてのレーザーパワーの積分値)は、光ディスク100の記録膜を記録レベルに変化させることができる場合がある」ことを利用して、パルス長が短く急峻な記録パルスを『安定に』得ることを、本発明で達成しようとするものである。
図8(c)に示す通り、LD79に、レーザー変調制御回路75から所定の特性の駆動電流を供給すると、図8(d)に見られる通り、振動を伴うが、ピークレベルの高いレーザー出力が、僅かな時間だけ得られる。
より詳細には、LD79に、閾値電流Ithより低いレベルに設定されたバイアス電流Ibiを供給し、所定のタイミングすなわち時刻Aにて、通常の記録パルス生成よりも早い立ち上がり時間で急激に、駆動電流をピーク電流レベルIpeまで引き上げ、通常の記録パルス生成よりも短いナノ秒レベルの僅かな時間経過後の時刻Dにて、バイアス電流Ibiに戻す。
この場合、図8(d)に見られるように、レーザー出力(レーザー出射光強度の時間変化)が得られる。
すなわち、図8(d)において、閾値電流Ithよりも低いバイアス電流Ibiにより駆動されている時刻Aまでは、LD79はレーザー発振を開始しておらず、無視できる程度のレベルであって、発光ダイオードとしての光出射がある程度である。その後、時刻Aにおいて急激に電流が印加されることで、緩和振動が生じて出射光強度も急激に上昇する。
以下、緩和振動の振幅は次第に定常レベルに収束するが、所定の時間すなわち時刻Cを定めて、駆動電流を閾値電流Ithよりも低いIbiに設定することで、あるエネルギー量のレーザー光が得られる。なお、時刻Cは、図8(c)および図8(d)から明らかなように、緩和振動の2周期目のパルスが生成されたタイミングとしている。
このように、緩和振動によるパルスは、通常の記録パルスに比べて、非常に短い時間で出射光強度が上昇し、半導体レーザーの構造によって決まる一定の周期で出射光強度が低下するという特徴を持っている。従って、緩和振動によるパルスを記録パルスに用いることにより、通常の記録パルスでは得られない、短い立ち上がり・立下り時間を持ち、かつ強いピーク強度を持った短パルスを得ることができる。
ところで、緩和振動の周期は、図7により説明した半導体レーザー素子(LD)のレーザーチップの共振器長と関連があることが知られている。
一般的に知られた関係として、LDの共振器長をLと緩和振動周期Tには、
T = k・{2 nL /c} …(1)
ここで、kは定数、
nは半導体レーザーの活性層の屈折率、
cは光速(3.0×108(m/s))
の関係がある。
T = k・{2 nL /c} …(1)
ここで、kは定数、
nは半導体レーザーの活性層の屈折率、
cは光速(3.0×108(m/s))
の関係がある。
従って、レーザーチップの共振器長と緩和振動周期ひいては、緩和振動により生じる急峻なパルスのパルス幅は、比例関係があり、緩和振動パルス幅を長くしたい場合は、共振器長を長く、緩和振動パルス幅を短くしたい場合には、共振器長を短くすればよいことになる。
以下、緩和振動により生じる緩和振動パルスのパルス幅を、レーザーチップの共振器長を制御して、任意に設定する方法を簡単に説明する。
図9は、共振器長が650μmの半導体レーザーによる緩和振動波形の計測結果である。
緩和振動パルス幅(FWHM)Wrは、半値全幅で、およそ81ps(ピコ秒)であることが解る。
LD79のレーザーチップ30の共振器長と緩和振動パルス幅は、上述の通り、比例関係にあるから、レーザーチップ30の共振器長Lと、得られる緩和振動パルス幅(FWHM)Wrの変換式として、
Wr(ps)=L(μm)/8.0(μm/ps)…(2)
の関係が得られる。
Wr(ps)=L(μm)/8.0(μm/ps)…(2)
の関係が得られる。
図10(a)〜図10(c)は、レーザー変調制御回路75からLD(レーザー素子)79に供給されるレーザー駆動電流の時間発展(図10(a))、LD79から出射されるレーザー波形(図10(b))、ならびに出力レーザー波形によって光ディスク100の記録膜に形成されるマーク(記録マーク)の形状を示す(図10(c))。
図10(a)において、光ディスク100の記録膜上のレーザー光の集光点が記録マークを形成しない場所にある領域(A)の区間では、LD79から出射されるレーザー光のパワーは、光ディスク100から情報を再生する際に用いられる再生用のパワーに制御されている。すなわち、レーザー発振可能な駆動電流の閾値であるIthよりも大きなI2の大きさの駆動電流がLD79に供給される。
また、区間(C)においては、I2よりもさらに大きなI3のレーザー駆動電流がLD79に供給され、最大値がP1に達する緩和振動パルスレーザー光(図10(b)参照)が出力される。
なお、緩和振動パルス光が出力される領域(C)の直前の所定時間T1の間、すなわち領域(B)の間、閾値Ithよりも小さいI1の大きさのレーザー駆動電流が、LD79に供給される。
また、緩和振動終了後すなわち領域(D)におけるレーザー駆動電流の大きさは、再び、閾値Ithよりも大きな前述のI2としている。
すなわち、緩和振動により得られる急峻なパルスレーザーを用いて光ディスク100に情報を記録する本発明においては、光ディスク100に記録されている情報を再生するために必要なレーザーパワー(再生パワー)に比較して、記録時に照射するレーザー光の時間平均パワーが小さく、光ディスク100から情報を再生した直後に記録を始めた場合には、レーザーから出射される平均レーザーパワーを変動させる。
平均レーザーパワーが変動することによりLD79の温度が変化してLD79の閾値電流も変動することになる。
この閾値の変動は、同じ電流をLD79に駆動している場合においても温度変化の前後で、レーザー強度を変化させる。よって、このような閾値の変化は、光ディスク100の記録膜に良好なマークを記録するためには、生じないことが望ましい。
このような問題を避けるために、再生時と記録時のレーザーの平均パワーを略等しくすることが望ましい。なお、記録時と再生時のレーザーの平均パワーは、例えば再生時に用いる第1の平均パワー(A)と、記録時に用いる第2の平均パワー(B)について、
0.8 < A/B < 1.2
の範囲内において、概ね温度変化の影響を無視できる程度であることが確認されている。
0.8 < A/B < 1.2
の範囲内において、概ね温度変化の影響を無視できる程度であることが確認されている。
図11は、LD(レーザー素子)79に供給される駆動時間の電流値をI1に設定する時間T1と緩和振動の最大強度P1との関係を示している。
既に説明した通り、緩和振動は、半導体レーザー(発振系)において、駆動電流があるレベルから閾値電流を大きく超える一定のレベルまで急激に上昇した際に生ずる、過渡的な振動現象であるから、記録パルスとして利用するためには、パルス幅(記録パルス長)が安定であることが必須である。なお、時間T1が小さい場合には、緩和振動によって生じるレーザーの最大パワーP1が小さく、T1が長くなるにつれて、あるレベルまでは、P1も大きくなることが確認されている。また、P1は、その後収束するが、本実施例では、緩和振動が収束した後のレーザー強度を、0.45×P1としている。
このため、緩和振動を使ってマークを記録する場合には、P1が飽和する値の90%の値になる、T1の期間が1ns以上であることが望ましいことがわかる。さらに、T1が3ns以上であればほぼ飽和パワーと等しくなり、これ以上ではT1の期間のレーザー出力に対する影響がほぼ無いことが確認されている。従って、T1は、3ns以上であれば更に望ましい。
反面、レーザー変調制御回路75からLD79に入射される電流の立ち上がり時間Trと立ち下がり時間Tf(それぞれ、LD79に流れる最大電流の10%から90%まで変動するのに要する時間とする)は、LD79,レーザー変調制御回路75及び、レーザー変調制御回路75からLD79までの図示しない配線の容量を全て考慮した状態で、それぞれ150psである。
なお、立ち下がり時間が遅い場合には、レーザー変調制御回路75に閾値以下の電流値に設定してからLD79に実際に流れる電流値が閾値以下になるまでの時間が長くなる。この時間は、ほぼ立ち下がり時間Tfと等しいため、適当な大きさの緩和振動を発生させるためには、Tf+1.25ns(1250ps)以上の間隔のプリオフパルス(T1の立ち下がりの開始を指示するパルス)が用意することが有益である(プリオフパルスが必要)。すなわち、Tfが150psであれば、T1は、1400ps(1.4ns)以上であることが好ましい。
図12は、図10(a)〜図10(c)における区間(C)すなわち緩和振動により誘発される記録パルスの終了タイミングを説明する概略図である。
図12に示すように、LD79のレーザーチップ30の共振器長が800μmである場合、ピークパワーP1を「1」とした場合に、0.45×P1に収束する時間は、概ね1ns(図11の範囲を、緩和振動と規定した場合であっても1.5ns)である。
従って、共振器長が800μmである場合には、記録パルス長、すなわち図10(a)〜図10(c)における区間(C)の長さは、1500ps(1.5ns)よりも短い長さであればよい。
以上説明したように、緩和振動を使った記録においては、緩和振動により誘発された急峻な記録レーザーパルスのパルス幅が、一般的な駆動電流の供給により生じるレーザー出力に比較して1.5ns以下と短く、ピーク出力P1が大きなレーザー光が出射される。
これにより、熱記録(レーザー光として供給される熱エネルギー量)によって記録マークが記録される光ディスクにおいては、通常の低パワーで長時間レーザーを照射してマークを記録する場合に比較して、緩和振動を使った記録方法では、記録マークを小さくできる。
すなわち、緩和振動により得られる記録パルスを用いることで、光ディスク100の記録膜にレーザー光が照射される時間は、緩和振動がないレーザー光を用いる場合よりも短縮されることにより、光ディスクの記録層のレーザーが照射されている場所から他の場所に拡散する熱量が小さくなる。
このことは、記録パルスとして要求される平均のレーザーパワーも、従来の記録方法に比べて小さくできることを示している。
なお、図1〜図12を用いて説明した「サブナノパルス記録」においては、光ディスク(情報記録媒体)100に記録される記録マーク列の1つひとつであるマーク長に対してレーザーの発光時間が10%を切る(1〜10%)ようなパルスレーザー光が出力されるため、レーザー光の記録時のパワーの平均値は、再生時のパワーを下回ることがある。
一方で、記録媒体としての光ディスクの材質により、マーク部とスペース部の反射率差が低いものがある。このため、みかけ上のコントラストを向上させるため、情報記録が行なわれた状態のとき、マーク部またはスペース部の反射率が2%程度まで下がるようにした記録媒体が開発されている。
このような記録媒体への情報記録に、サブナノパルスによる記録方法を適用した場合、記録中に光ヘッド内の光検出器に戻ってくる平均光量が極めて小さくなる。このため検出信号の信号品位が著しく劣化し、そこから誤差信号を得て対物レンズを記録層の所定位置にとどめる動作(フォーカス・トラッキングサーボ)が不可能になることがある。
そこで発明者は、記録パルス間に高周波信号を重畳することにより平均光量を上げて、サブナノパルスによる記録を行いながら、かつ、正常にフォーカストラッキングサーボを実行できるようにした情報記録再生装置として、図1に示した光ディスク装置を提案済みである。
しかし、サブナノパルスを用いて記録パルスを生成した場合において、記録パルス間に高周波信号が重畳されたとき、記録パルスのエッジの電位(又電流)レベルに連続する高周波信号の電位(又は電流)レベルとの差が大きいと、LD(レーザー素子)79に、不要な(意図しない)緩和振動を発生される虞がある。不要な緩和振動があると、レーザー光にムラが生じ、記録マークの乱れ、再生信号の乱れを生じることになる。
そこで、不要な緩和振動を生じさせないように高周波信号を、記録パルス間に重畳するようにしている。
その一例としては、図13に示すが、記録されるデータ(NRZI)と、それに対応するレーザーダイオード(LD)の駆動電流波形が、記録パルス期間(V1)と、高周波信号重畳期間(V2)を含むとき、記録パルス12aは、マーク部11aで1回もしくは複数回出力される。また、記録パルス期間(V1)以外では、高周波信号12bが、マーク部11a、スペース部11bに関係なく出力される。これにより、レーザーダイオードの平均光強度が維持される。
記録パルス期間(V1)の駆動電流により、LD79は、高周波信号重畳期間(V2)の発光強度よりも記録パルス期間(V1)で強く発光する。この強発光により、光ディスクの記録層に熱変化が発生し、記録マークが形成される。高周波信号重畳期間(V2)の駆動電流は、レーザーダイオードの平均光強度が光ディスクの記録層に熱または光変化を起こさせない程度の強度となるような電流値である。
この光強度は、多くの場合、光ディスクの記録層から情報を読み出すときの強度である。図13に示す閾値電流のレベルは、レーザーダイオードが発光を開始する或いは発光を停止する境目となるレベルである。緩和振動を得るためには、レーザーダイオードは、この閾値電流レベル以下のレベルから急峻に変化する記録パルスが必須である。したがって、記録のためには、光ディスクの記録層から情報を読み出すときの光強度を得る電流値から、一旦、閾値電流以下に低下させて、急峻に変化する記録パルス12aを得る必要がある。記録モードにおいて、光ディスクから情報を読み出すときの光強度としては、アドレスなどを読取るときに必要である。なお、記録パルス12aと高周波信号12bの間には、駆動電流が、バイアス電流として一定になる期間が設けられてもよい。
上記したように、サブナノパルスを使用した記録では、レーザーダイオードに緩和振動と呼ばれる状態を作り出し、高い発光強度の光を得る。そのため、記録パルス12a以後駆動電流を止めた後も、発光強度が減衰しながら発光が持続する。緩和振動が収まるまで記録パルス12aの後に駆動電流が一定のバイアス期間を設けることにより、安定な記録が可能となる。なお、記録パルス12aは、図1および図3に示したレーザー変調制御回路(レーザー駆動回路)75に、図示しないが、高周波信号12bを出力可能に、高周波重畳回路を追加すればよいことは、容易に理解される。
上記した説明において、レーザーダイオードの駆動電流と、NRZI波形の関係については、説明をわかりやすくするために、図13のように1種類を示した。しかし、チャンネルデータに応じてNRZI波形としては各種の波形が用いられる。またこのNRZI波形に応じて、記録媒体に対して効果的にマーク部、スペース部を形成するための記録パルスが生成される。
なお、本発明は、上述のいずれかの実施の形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、上記のいずれかの実施の形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合わせにより、種々の発明を形成できる。例えば、実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。さらに、異なる実施形態にわたる構成要素を適宜組み合わせてもよい。
1…光ディスク装置(情報記録再生装置)、11a…マーク部,11b…スペース部,12a…記録パルス,30…レーザーチップ(LD)、31…活性層、32,33…クラッド、62…エラー訂正回路,63…スピンドルモータ,63A…ロータリエンコーダ,64…スピンドルモータ制御回路,65…光ヘッド,67…送りモータ,68…送りモータ制御回路,70…対物レンズ,71,72…駆動コイル,75…レーザー変調制御回路,76…PLL回路,78…データ再生回路,79…レーザーダイオード(LDすなわち光源)、80…コリメータレンズ,81…ハーフプリズム,82…集光レンズ,83…シリンドリカルレンズ,84…光検出器,85…RFアンプ,87…フォーカス制御回路,88…トラッキング制御回路,89…信号バス,90…中央演算処理ユニット,91…RAM,92…ROM,93…インタフェース回路,94…ホスト装置,95…モニタ光検出器,96…ハーフミラー,99…不揮発メモリ,100…光ディスク,7502…内部バス,7504〜7506…サンプルホールド回路,7507…AD変換器,7508…PLL回路,7509…変調回路,7510…制御回路,7511…(後段)積分器、7512…サンプルホールド回路(前段積分器出力)、7513…(前段)積分器、7516,7518…APC指令回路,7520…バイアス指令回路,7521〜7523…比較アンプ,7542…レーザー駆動SW,7543〜7544…BIAS SW,7548…高周波重畳回路,7549…ローパスフィルタ。
Claims (11)
- レーザー光を出力するレーザー素子と、
前記レーザー素子からの光を記録媒体に向けて案内する光学系と、
前記レーザー素子からのレーザー光のうち、前記光学系で分離された成分を受光し、その強度に対応する出力を出力する光検出器と、
前記光検出器からの出力を所定時間積分する積分回路と、
前記積分回路からの出力に基づいて、前記レーザー素子に供給するレーザー駆動電流の大きさを設定する設定回路と、
を有し、
前記設定回路は、前記レーザー素子からレーザー出力を出力させることを特徴とする光ヘッド装置。 - 前記レーザー素子からのパルスレーザー出力レベルは、レーザー素子に入力される電流値により制御されることを特徴とする請求項1記載の光ヘッド装置。
- 前記設定回路は、任意のパルス長のレーザー光を前記光検出器で受光して得られる出力を前記積分回路にて積分して得られる積分出力を目標値として、前記レーザー素子に供給するレーザー駆動電流の電流値を設定することを特徴とする請求項2記載の光ヘッド装置。
- 前記設定回路は、任意のパルス長のレーザー光を前記光検出器で受光して得られる出力を前記積分回路にて積分して得られる複数の積分出力の平均値を目標値として、前記レーザー素子に供給するレーザー駆動電流の電流値を設定することを特徴とする請求項2記載の光ヘッド装置。
- レーザー光を出力するレーザー素子と、
前記レーザー素子からの光を記録媒体に向けて案内する光学系と、
前記レーザー素子からのレーザー光のうち、前記光学系で分離された成分を受光し、その強度に対応する出力を出力する光検出器と、
前記光検出器からの出力を所定時間積分する第1の積分回路と、
前記第1の積分回路に入力される前記光検出器からの出力から直流成分を除去するためのオフセット成分除去回路と、
前記第1の積分回路からの出力に基づいて、前記レーザー素子に供給するレーザー駆動電流の大きさを設定する設定回路と、
を有し、
前記設定回路は、前記レーザー素子からレーザー出力を出力させることを特徴とする光ヘッド装置。 - 前記オフセット成分除去回路は、前記第1の積分回路の前段に設けられた第2の積分回路と、この第2の積分回路の出力を所定時間保持するサンプルホールド回路と、含むことを特徴とする請求項5記載の光ヘッド装置。
- 前記オフセット成分除去回路は、前記第2の積分回路の出力を前記第1の積分回路に入力する時間を設定する積分ゲート回路をさらに有することを特徴とする請求項6記載の光ヘッド装置。
- レーザー光を出力するレーザー素子と、前記レーザー素子からの光を記録媒体に向けて案内する光学系と、前記レーザー素子からのレーザー光のうち、前記光学系で分離された成分を受光し、その強度に対応する出力を出力する光検出器と、前記光検出器からの出力を所定時間積分する積分回路と、前記積分回路からの出力に基づいて、前記レーザー素子に供給するレーザー駆動電流の大きさを設定する設定回路と、を含み、前記設定回路は、前記レーザー素子からサブナノオーダーのパルスレーザー出力を出力させることを特徴とする光ヘッド装置と、
前記光ヘッド装置を記録媒体の半径方向に移動する移動機構と、
記録媒体を所定の速度で回転する媒体回転機溝と、
前記光検出器からの出力から記録媒体に記録されている情報を再生する信号再生系と、
を有することを特徴とする情報記録再生装置。 - レーザー光を出力するレーザー素子と、前記レーザー素子からの光を記録媒体に向けて案内する光学系と、前記レーザー素子からのレーザー光のうち、前記光学系で分離された成分を受光し、その強度に対応する出力を出力する光検出器と、前記光検出器からの出力を所定時間積分する第1の積分回路と、前記第1の積分回路に入力される前記光検出器からの出力から直流成分を除去するためのオフセット成分除去回路と、前記第1の積分回路からの出力に基づいて、前記レーザー素子に供給するレーザー駆動電流の大きさを設定する設定回路と、を含み、前記設定回路は、前記レーザー素子からサブナノオーダーのパルスレーザー出力を出力させることを特徴とする光ヘッド装置と、
前記光ヘッド装置を記録媒体の半径方向に移動する移動機構と、
記録媒体を所定の速度で回転する媒体回転機溝と、
前記光検出器からの出力から記録媒体に記録されている情報を再生する信号再生系と、
を有することを特徴とする情報記録再生装置。 - レーザー素子を出射され、記録媒体に向かうレーザー光の一部を記録媒体で反射された反射レーザー光と独立に受光して、その強度に対応する出力を出力する光検出器と、
前記光検出器からの出力を所定時間積分する積分回路と、
前記積分回路からの出力に基づいて、レーザー素子に供給するレーザー駆動電流の大きさを設定する設定回路と、
を有し、
前記設定回路は、レーザー素子からサブナノオーダーのパルスレーザー出力を出力させることを特徴とするレーザー駆動回路。 - 前記設定回路は、レーザー発振が可能な閾値よりも大きなレーザー駆動電流をレーザー素子に供給した状態で、パルスレーザー出力を出力すべきタイミングの前段で、所定時間の間、レーザー駆動電流を閾値よりも低下させることを特徴とする請求項10のレーザー駆動回路。
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Legal Events
Date | Code | Title | Description |
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A521 | Written amendment |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523 Effective date: 20090330 |
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A02 | Decision of refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02 Effective date: 20090512 |