JP2009109364A - 尿検査紙製試験棒 - Google Patents
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【解決手段】人間の尿を検査するための尿検査紙製試験棒であって、水溶解性乃至は水分散性の紙を撚ってなる紙製棒状体の表面の一部に尿検査用指示薬を含有するインク組成物を印刷により塗布したことを特徴とする尿検査紙製試験棒。
【選択図】図1
Description
このように、尿の状態、尿中の各種の成分を簡単にかつ迅速に検出することは、各種の病気の発見、診断、治療等において極めて重要なことであり、かかる尿検査には、尿検査体用の支持体と該支持体に形成されている試薬層とからなる各種の体液検査体が利用されている。
そして、この種の体液検査体においては、使用後の体液検査体の廃棄処理が手軽であるという理由で、該体液検査体を水洗トイレで流出廃棄できることが要望されており、例えば、特許文献2には水分散性基材を支持体とする体液検査体についての開示があり、また、特許文献3には、体液検査体用の支持体として利用される水分散性基材についての開示がある。
しかしながら、該体液検査体は、支持体として紙やプラスチックシートを用いるものであり、紙製の試験棒を用いるものではない。
1.人間の尿を検査するための尿検査紙製試験棒であって、水溶解性乃至は水分散性の紙を撚ってなる紙製棒状体の表面に尿検査用指示薬を含有するインク組成物を印刷により塗布した塗布部を有することを特徴とする尿検査紙製試験棒。
2.水溶解性乃至は水分散性の紙の厚さが、10〜90g/m2 であることを特徴とする上記1.に記載の尿検査紙製試験棒。
3.紙製試験棒が、吸インク性の薄紙と剛性の厚紙とを重ね合わせて撚って居られた紙製試験棒であることを特徴とする上記1.又は2.に記載の尿検査紙製試験棒。
4.紙製棒状体の塗布部が、該棒状体を指で摘んで尿付着させる際に尿が指に付着しない範囲を残した部分であることを特徴とする上記1.〜3.のいずれかに記載の尿検査紙製試験棒。
5.尿検査用指示薬が、尿糖検出用指示薬、尿蛋白検出用指示薬、尿pH検出用指示薬、尿含窒素成分検出用指示薬又は尿潜血検出用指示薬であることを特徴とする上記1.〜4.のいずれかに記載の尿検査紙製試験棒。
6.印刷による塗布が、刷毛塗り印刷、平版印刷、凸版印刷による塗布であることを特徴とする上記1.〜5.のいずれかに記載の尿検査紙製試験棒。
7.塗布部が、横縞模様、縦縞模様、網目模様のいずれかの模様であることを特徴とする上記1.〜6.のいずれかに記載の尿検査紙製試験棒。
8.縞模様が、各々の縞が異なる尿検査用指示薬を含有するインク組成物を印刷して塗布したものであることを特徴とする上記7.に記載の尿検査紙製試験棒。
先ず、本発明の尿検査紙製試験棒の支持体を構成する紙製棒状体について説明する。
本発明の尿検査紙製試験棒の支持体を形成する水溶解性乃至は水分散性の紙を撚ってなる紙製棒状体とは、支持体に印刷塗布した塗布部に形成される尿検査用指示薬を含有するインク組成物と排泄尿中の所定の成分との間の呈色反応の間及びそれに続く試薬層の変色の判定に要する時間内においては、尿が浸漬された部分が溶解乃至は分散するようなことがないが、使用済みのものを水洗トイレに流出廃棄する、すなわち、少量の水の存在下では溶解乃至分散することはないが大量の水によって容易に溶解乃至分散する性質を有する紙を撚ってなる紙製棒状体、いわゆる溶解乃至分散する性質を有する紙からなる紙紐状のものである。
そして、該紙製棒状体は、排泄する尿と接触させる際には、一端を指で摘んで排泄中の尿に接触させる必要があるので、或る一定の剛性を備えていることが重要である。
紙製棒状体を形成する水分散性基材としては、水溶性或は水分散性の紙が挙げられ、水溶性或は水分散性の紙としては、再生パルプ、パルプをカルボキシメチルセルロース等の水溶性樹脂をバインダーとして用いて抄紙した紙等が挙げられ、パルプをカルボキシメチルセルロース等の水溶性樹脂をバインダーとして抄紙した紙が最も好ましい。具体的には、トイレットペーパーの如きの紙を撚って紙紐の如きの状の紙製棒状体となしたものであることが好ましい。
また棒状体は、或る一定の剛性を有することが必要であり、その大きさは、長さが3〜20cm、好ましくは5〜17cm、更に好ましくは7〜15cmであり、その直径が1〜8mm、好ましくは2〜7mm、特に好ましくは3〜6mmの範囲である。長さが3cm未満であると排泄尿を付着する際に指先を汚す恐れがあり、また20cmを超えると取り扱いが困難であり無駄が多くなる。また、直径が1mm未満であると表面積に対する体積が不足し湿分を吸収が十分でなく高湿度環境下における保存性が低下し、また剛性が不足しインク組成物の印刷付加が困難となり、変色判定が難しく、8mmを超えるとインク組成物の付着量が多くなり、取り扱いや保存に困難をきたす。
更に、本発明の紙製棒状体へのインク組成物の印刷による塗布は該棒状体の全面への塗布でも良いが、手で摘む部分を残した部分に塗布するのが望ましい。
本発明のインク組成物が含有する尿検査用指示薬は、排泄尿と接触すると変色し、尿のpH、尿中の蛋白質、ブドウ糖、潜血等を定性的あるいは定量的に検知するものであり、例えば、尿中の蛋白質検査薬としては、テトラブロムフェノールブルーが、尿中のブドウ糖の検査薬としては、クルコースオキシダーゼ、ベルオキシダーゼ、2.7−ジアミノフルオレイン二塩酸塩、N−(3−スルホプロビル)−3,3’,5,5’−テトラメチルベンチジンナトリウム等が、尿中の潜血の検査薬としては、過酸化水素クメン、テトラメチルベンジン等が、尿中のウロビリノーゲン検査薬としては、メタン酸、3,4メチレンジオキベンゼンジアゾニウム四フッ化硼酸塩等が、尿中のケトン体検査剤としては、グリシン、ニトロプルミドナトリウム等が挙げられる。
さらに、これら尿検査指示薬を含有するインク組成物とするためには、これらの尿検査指示薬と、セルロース及び/又は該セルロースの誘導体とを有機溶媒中で分散、または、溶解してインク組成物とする。具体的には、セルロース及び/又はセルロースの誘導体であるワニス、ヒドロキシプロピルセルロース等を加え、メタノール、エタノール、トルエン、水酸化ナトリウム等の有機溶媒中で分散、又は、溶解してインク組成物とする。
例えば、尿pH検出用インク組成物について具体的に説明すると、尿pH検出用インク組成物は、pH指示薬、4級アンモニウム塩またはアミン塩、結合剤および吸水性粉末から成る指示薬組成物を溶媒中に溶解、或いは、分散して成るものであり、但し、4級アンモニウム塩またはアミン塩は除かれても良い。pH指示薬は、排泄尿水素イオン濃度に応じて色調の変化する指示薬であれば用いることができ、また、複数の指示薬を選択、組み合わせることによって、広い範囲のpH領域を測定することもできる。例えば、pH指示薬としてメチルレッドとブロモチモールブルーとを組み合わせて用いれば、pH5〜9の範囲でpHの判定を行うことができる。
結合剤としては、甘薯澱粉、馬鈴薯澱粉、こんにゃく粉、ふのり、寒天、アルギン酸ナトリウム、トロロアオイ、トンガロゴム、アラビアゴム、ニカワ、レバン、ゼラチン、ガゼイン、コラーゲン等の天然親水性高分子化合物、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロース等のセルロース誘導体、カルボキシメチル澱粉、ジアルデヒド澱粉等の誘導体等の半合成親水高分子化合物、ポリビニルアルコール、ポリアクリルアミド、ポリビニルピロリドンまたは、これらの共重合体、ポリアクリル酸ナトリウム、ポリエチレンオキシド等の合成高分子化合物が用いられる。
溶媒は試薬類、特に、結合剤を均一、かつ、安定に溶解あるいは分散させ得るものが好適であり、具体的には、芳香族炭化水素、脂肪族炭化水素、エステル類、アルコール類等の非水溶媒または水あるいはこれらの混合物が用いられる。上記各成分のほかに、少量の湿潤剤、例えば、非イオン界面活性剤、陰イオン界面活性剤、陽イオン界面活性剤、ポリエチレングリコール類等をpH検出用インク組成物中に配合することができる。塩基性物質としては水酸化アンモニウム、アルカリ金属水酸化剤、アルカリ土類金属水酸化物等が用られる。
吸水性粉末は、該指示薬組成物中に配合されることによって排泄尿とpH指示薬との接触を促進し、このpH指示薬の呈色反応を促進する。このような吸水性粉末としては、水と接触した場合に極端に酸性あるいはアルカリ性を示すものは好適ではない。カオリン、合成シリカ、ガラス、セルロースブロック、炭酸カルシウム、珪酸アルミニウム等が用いられる。
本発明においては、紙製棒状体へのインク組成物の塗布は、印刷ににより行うことが必要である。図1の(イ)はベタ印刷により得られた本発明の尿検査紙製試験棒を示し、図1の(ロ)は横縞模様に印刷塗布した尿検査紙製試験棒を示す。
紙製棒状体への印刷としては、平版印刷、オフセット印刷、凹版印刷、グラビア印刷、凸版印刷、活版印刷、シルクスクリーン印刷、刷毛塗り印刷等に印刷手段が挙げられるが、好ましくは刷毛塗り印刷、平版印刷、凸版印刷が好ましい。図3はハケ塗り方式の印刷手段と、平版回転方式の印刷手段と、凸版印刷方式の印刷手段を用いてのインク組成物の印刷塗布を示す。
また、インク組成物を横縞状や螺旋縞状に塗布する場合、各々の縞模様に尿検査用指示薬が異なるインク組成物を用いることが好ましく、異なる尿検査用指示薬含有インク組成物を用いることにより、一度の操作で複数項目の尿検査を行うことができる。
[実施例1]
・紙製棒状体
厚さが坪量で38g/m2 の再生紙を用い、幅160mmの長尺巻紙に撚りをかけて、長尺紙紐状の紙製棒状体を得て、該製棒状体を10cmの長さに切断して、直径4mm、長さ10cmの紙製棒状体を得た。
・尿pH検査用インク組成物
尿pH検出用液は、メチルレッド20mg/dlエタノール溶液17.6mlと、ブロムチモールブルー200mg/dlエタノール溶液25mlと、結合剤としてのポリビニルピリドン12g/dlエタノール溶液50mlを混合し、さらに全量を100mlになるようにエタノールを加えて作成した。該pH検出用液に、4級アンモニウム塩としてアルキルジメチルベンジンアンモニウム塩、皮膜形成性水溶性高分子化合物としてポリビニルアルコールを加え、エタノールを溶媒とした尿pH検査用インク組成物を得た。
上記で得られて紙製棒状体の一端の4cm部分に、平版印刷ににより上記尿pH検出用インク組成物をベタ印刷塗布して、尿pH検査用紙製試験棒を得た。
得られた尿pH検査用紙製試験棒に、健常人が排泄中の尿を接触させたところ、通常の検査試験材と同様に使用できた。
・紙製試験棒の保存性
得られた紙製試験棒を湿度77%の室内、湿度60%の室内、並びに湿度57%の室内に4時間20分放置したが、印刷インク塗布部分に何らの変化が見られなかった。
一方、該紙製試験棒の湿度95%の浴室に放置した場合の保存性を評価するために以下の実験を試みた。
実施例1において、印刷によるインク組成物の塗布を凸版印刷により上記尿pH検出用インク組成物を幅4mmの横縞模様を3mm間隔で塗布して、尿pH検査用紙製試験棒を得た。
得られた尿pH検査用紙製試験棒は、実施例1と同様に使用することができた。
尿pH検査用インク組成物の塗布を、撚りをかける前の原紙に幅1mmで、間隔5mmの等間隔で螺旋格子状に凸版で印刷した後、撚りをかけて棒状体となして、尿pH検査用紙製試験棒を得た。
得られた尿pH検査用紙製試験棒は、実施例1と同様に使用することができた。
実施例1において、インク組成物の塗布を浸漬塗布により上記尿pH検出用インク組成物を塗布して尿pH検査用紙製試験棒を得た。
得られた尿pH検査用紙製試験棒は、実施例1と同様に使用することができたが、浸漬塗布によるので、印刷塗布に比較して多量のインク組成物を消費した。
Claims (8)
- 人間の尿を検査するための尿検査紙製試験棒であって、水溶解性乃至は水分散性の紙を撚ってなる紙製棒状体の表面に尿検査用指示薬を含有するインク組成物を印刷により塗布した塗布部を有することを特徴とする尿検査紙製試験棒。
- 水溶解性乃至は水分散性の紙の厚さが、10〜90g/m2 であることを特徴とする請求項1に記載の尿検査紙製試験棒。
- 紙製試験棒が、吸インク性の薄紙と剛性のある厚紙とを重ね合わせて撚って得られた紙製試験棒であることを特徴とする請求項1又は2に記載の尿検査紙製試験棒。
- 紙製棒状体の塗布部が、該棒状体を指で摘んで尿付着させる際に尿が指に付着しない範囲を残した部分であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかの項に記載の尿検査紙製試験棒。
- 尿検査用指示薬が、尿糖検出用指示薬、尿蛋白検出用指示薬、尿pH検出用指示薬、尿含窒素成分検出用指示薬又は尿潜血検出用指示薬であることを特徴とする請求項1〜4のいずれかの項に記載の尿検査紙製試験棒。
- 印刷による塗布が、平版印刷、凸版印刷による塗布であることを特徴とする請求項1〜5のいずれかの項に記載の尿検査紙製試験棒。
- 塗布部が、横縞模様、縦縞模様、網目模様のいずれかの模様であることを特徴とする請求項1〜6のいずれか項に記載の尿検査紙製試験棒。
- 縞模様が、各々の縞が異なる尿検査用指示薬を含有するインク組成物を印刷塗布したものであることを特徴とする請求項7に記載の尿検査紙製試験棒。
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