JP2009109299A - 流量測定装置 - Google Patents

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【課題】本発明は、超音波送信子によって励起されたガイド波を用いてパイプ内部の流体の流速を測定するようにした流量測定装置を提供することを目的と
【解決手段】本発明の流量測定装置は、流体を流すパイプの外面に2個の超音波振動子を距離L隔てて設け、前記2個の超音波振動子の一方を送信子、他方を受信子として相互に作動させ、超音波振動子の駆動によりパイプと内部流体とを1つの媒体として励起されるガイド波が、間隔L離れた超音波送受信子間を上流から下流へ伝搬する時の伝搬時間T1と、下流から上流へ伝搬する時の伝搬時間T2との伝搬時間差から流体の流速を求める制御・解析装置を備えた超音波を利用した流量測定装置において、水の縦波音速の近傍において位相速度の変化量が小さくなるモードのガイド波を用いることを特徴としている。
【選択図】 図9

Description

本発明は、超音波を利用した流量測定装置、特に、半導体製造装置等に用いられる細い管の内部を流れる流体の流速を非接触に測定する装置に関する。
従来、超音波を利用した流量測定装置としては、管路を流れる流体内に超音波を伝搬せしめ、流れの上流から下流への超音波伝搬速度と、下流から上流への超音波伝搬速度の差によって流体の速度を求め、これに基づいて管路を流れる流体の流量を計測する流量計は伝搬速度差式超音波流量計と呼ばれ、広く知られている。
伝搬速度差式超音波流量計の第1の例として、全長に亘って同径をなす測定管の軸線方向をなす前後2カ所の部位の外周部にそれぞれ円環状の振動子をその内周面が測定管の外周面と実質的に密着するように設け、これら2個の振動子のうちの一方の振動子に交番電気エネルギが与えられることにより発信した超音波を他方の振動子によって受信し、発信側と受信側の振動子を交互に切り換えることにより上流側から下流側への超音波の伝播時間と下流側から上流側への超音波の伝播時間とをそれぞれ計測し、演算回路によりこれら伝播時間の差を演算して測定管内を流れる流体の流速を求める超音波流量計が知られている(特許文献1参照。)。
また、伝搬速度差式超音波流量計の第2の例として、2個の環状超音波振動子を、被測定流体を流す測定管により貫通されて測定管に接触するように距離Lを隔てて設け、前記2個の環状超音波振動子を一方が超音波送信機、他方が超音波受信機として相互に作動させ、被測定流体の上流側の環状圧電体を超音波送信機としたときの下流方向超音波伝播時間と、被測定流体の下流側の環状圧電体を超音波送信機としたときの上流方向超音波伝播時間を測定して流速を算出する超音波流量計において、各温度における音速および密度が既知の校正用流体を使用して既知の流速における下流方向超音波伝播時間T1 および上流方向超音波伝播時間T2 を各温度で測定し、測定管の振動を考慮に入れた上流方向と下流方向の平均伝播時間T0 の式および上流方向と下流方向の伝播時間の差ΔTの式によって、これらの式における被測定流体の種類に無関係な当該流量計固有の定数を各温度について求めて収納した記憶装置と、被測定流体の測定温度における密度および前記記憶装置に収納された測定温度における前記流量計固有の定数を、前記平均伝播時間T0 の式および伝播時間の差ΔTの式に入れて、流速を求める演算装置とを有することを特徴とする超音波流量計が知られている(特許文献2参照。)。
他方、静水を満たしたパイプを伝搬するガイド波の解析を行ったものとして、非特許文献1及び2が知られている。
特開平10−122923号公報 特開2005−106594号公報 H.Pan、K.Koyano and Y.Usui:J.Acoust.Soc.Am.113(2003)3209. 佐藤治道、メキシム レベデフ、明渡純:Proc.Symp.Ultrason.Electron.26(2005)443.
従来、管の内径が波長程度以上になれば、バルク波が伝搬すると予想され、通常の超音波流量計では、流体中を伝搬するバルク波の縦波が使われ、そのような方向で商品開発が行われていた。しかし、半導体製造装置等、直径数ミリのパイプではパイプ径が細くなるためバルク波を用いる従来の超音波流量計を用いることが困難であることから、上記した伝搬速度差式超音波流量計の第1の例及び第2の例のように円筒型の超音波送受信子を用いることが考えられたものである。しかし、上記した、伝搬速度差式超音波流量計の第1の例及び第2の例においては、円筒型の送受信子を測定管の外周面に取り付けるようにしているため、既存の設備に超音波流量計を後付したい場合には用いることができないという問題があった。また、第2の例のものは、測定に用いる超音波の周波数が共鳴周波数に限定されるという問題もあった。
さらに、上記した第1の例及び第2の例においては、超音波がバルク波として伝搬しているのか、あるいは、ガイド波として伝搬しているのか等その伝搬について理論的解析がきちんと行われていないため、その最適化も困難であった。
また、静水を満たしたパイプを伝搬するガイド波の解析を行った非特許文献1及び2には、Introductionで流量計に関する記述はあるが、静水に限定された理論であるためそのままでは流量計に応用することはできないという問題があった。
本発明の発明者は、パイプ内を流れる流体の流速と超音波送信子によって励起されるガイド波の伝搬速度との関係について研究を重ねた結果、流体の流速が変化するとパイプを伝搬するガイド波の伝搬速度に影響が現れるという知見を得たものである。
この知見に基づき本発明はなされたもので、超音波送信子によって励起されたガイド波を用いてパイプ内部の流体の流速を測定するようにした流量測定装置を提供することを目的としている。
なお、本明細書において「ガイド波」とは、板、棒、パイプ等、超音波波長より短い間隔の境界面に囲まれた媒質中を伝わる超音波の総称である。
上記目的を達成するため、本発明の流量測定装置は、流体を流すパイプの外面に2個の超音波振動子を距離L隔てて設け、前記2個の超音波振動子の一方を送信子、他方を受信子として相互に作動させ、超音波振動子の駆動によりパイプと内部流体とを1つの媒体として励起されるガイド波が、間隔L離れた超音波送受信子間を上流から下流へ伝搬する時の伝搬時間T1と、下流から上流へ伝搬する時の伝搬時間T2との伝搬時間差から流体の流速を求める制御・解析装置を備えた超音波を利用した流量測定装置において、水の縦波音速の近傍において位相速度の変化量が小さくなるモードのガイド波を用いることを特徴としている。
本発明は、以下のような優れた効果を奏する。
(1)従来の超音波流量計はバルク波を用いていることから波長より細い径のパイプには適応できないのに対し、本発明の流量測定装置においてはガイド波を用いるいるため波長より細い径のパイプにも適用することができる。
(2)本発明においては、ガイド波を用いた解析を利用しているため、簡単かつ、物理的裏付けのある式を用いて細い径のパイプ内の流量を測定することができる。
(3)水の縦波の位相速度の近傍において位相速度の変化量が小さくなるモードを利用することにより、流体の流速の感度の高い流量計を提供できる。
(4)水の縦波の位相速度の近傍において位相速度の変化量が小さくなるモードでは、群速度が大きいことから、他のモードより早く受信子に到達するので、流量計として用いるには好都合である。
本発明に係る流量測定装置を実施するための最良の形態を実施例に基づいて図面を参照して以下に説明する。
図1は、内部に水を流した直径1/8インチ(外径3.17mm、内径1.59mm)のPFA製パイプ1に直方体の超音波送受信子2を2個取り付け、ガイド波の励起、検出を行った装置の概略説明図である(PFA:テトラオロエチレン、パーフルオロアルキルエーテル共重合体の意味でフッ素樹脂の1種である。)。なお、パイプ1としては、その径が直径1/8インチに限らず、また、その材質もPFA製に限らないことはいうまでもない。
超音波送受信子2は、圧電効果あるいは磁気歪効果等により超音波を発生する公知のセラミクス材等からなり、従来の円環状の超音波送受信子のようにパイプ外面の全周にわたって設けられる形状ではなく、パイプ外面の周方向の一部分にのみ取り付けられる形状、たとえば、直方体あるいは半円筒をしたものであって、PFA製パイプ1の外面に図示しないカップラーを用いて固定されている。超音波送受信子2とPFA製パイプ1外面との間にはグリース等の半流動体や半固形物からなる超音波が伝搬しやすい物質を充填し、いわゆる音響結合状態にして各超音波送受信子2をPFA製パイプ1へ固定する。
また、超音波送受信子2は、その振動方向がPFA製パイプ1外面と直交する方向あるいは斜交する方向のどちらに取付けてもよい。
2つの超音波送受信子2、2は、PFA製パイプ1の軸方向に距離Lだけ離れて設置されている。
なお、超音波送受信子2、2の一方を送信子、他方を受信子と構成してもよい。
各超音波送受信子2は、超音波信号発生・受信装置3と接続されており、2つの超音波信号発生・受信装置3は、それぞれ制御・解析装置4に接続されている。
図1の装置において、PFA製パイプ1の径以上の波長になる周波数で超音波送受信子2を駆動することにより、PFA製パイプ1と内部の流体を1つの媒体とみなしたようなガイド波が励起・伝搬される(詳細は上記した非特許文献2参照。)。
図2は、図1の装置において、一方の送受信子の励起信号の波形と、静水を満たしたPFA製パイプ1を伝搬したガイド波の受信信号の波形を示したものである。中心周波数320kHzのガイド波を検出したときの2つの超音波送受信子2の間隔Lは75mmである。
図2で示した波がガイド波であることを検証するため、内部に静水を満たした直径が1/8インチのPFA製パイプを伝搬するガイド波の音速の理論値と実験値とを比較した。理論値は,パイプの内壁と内部の流体の界面の境界条件,パイプの外壁の境界条件を満たす波動方程式の解を数値的に解くことにより得られる(計算の詳細は上記した非特許文献2参照)。その結果を図3に示す。理論値L(0,1)〜L(0,4)、F(1,0)〜F(1,4)の合計8個のモードのガイド波において、実線は位相速度を、また、破線は群速度を示している。図3の理論曲線から、ガイド波は速度分散性(周波数依存性)を持っていることがわかる。ガイド波には、さまざまなモードがあるが、L(0,1)〜L(0,4)は軸対称のモードで、F(1,0)〜F(1,4)は曲げモードの一種である。
L(0,4)の群速度は他のモードの群速度から孤立しており、測定に適していることがみてとれる。図3に示すとおり、実験で測定された弾性波の音速はL(0,4)の群速度と一致した。また、実験で測定されたガイド波は単独で検出されており、この周波数帯ではL(0,4)のモードが孤立しているという理論値とも符号している。
図4は、本発明の解析に用いたモデルの概念図であり、図4(a)は静水の場合、図4(b)は流速vの場合を示している。
図(a)の静水の場合は、PFA製パイプ1部分と液体部分の位相速度、周波数、波面は一致している。しかし、図(b)に示すような内部の流体が流速vで流れると、PFA製パイプ1部分のガイド波の位相速度がV,波数がkであるとすると、内部の流体部分のガイド波の位相速度はV−v,波数はk′=kV(v)/(V(v)−v)となる。この場合、流体部分のみが速くなると、ガイド波の波面がパイプ部分との界面でずれてしまう。よって、波面の連続性を保持するために、PFA製パイプ1部分を伝搬するガイド波の位相速度が,流速が0の時の音速V(0)からV(v)に変化すると考えられる。
ここで、流体部分のガイド波の波数がk′=kV(v)/(V(v)−v)となることと、Vはガイド波の位相速度であるから数百から数千m/sのオーダーであり、vはせいぜい数十m/sのオーダーであることからv<<Vと仮定することにより、図3を得たと同様な手法でガイド波の音速を計算することができる。
図5は、PFA製パイプ内部の水が流速(v=−10m/s、v=±0m/s、v=+10m/s)を持つときのL(0,4)のモードのガイド波の位相速度と群速度の理論値を示したものである。この図から、内部の流体が流速を持つと、ガイド波の位相速度にその影響が現れ、群速度にも影響が現れることがわかる。この結果、流体の流速がガイド波の伝搬速度の変化として観察されることが理論的に確認された。
図6は、L(0,4)のモードのガイド波の位相速度と群速度の流速依存性の理論値の詳細を示したものである。流体の流速とガイド波の位相速度と群速度には線形の関係、すなわち、
V(v)=V(0)+αv
(v)=v(0)+βv
であることが確認された。ただし、αはパイプ内部の流体の流速がガイド波の位相速度におよぼす影響を表す因子であり,βはパイプ内部の流体の流速がガイド波の群速度におよぼす影響を表す因子である。
よって、ガイド波が間隔L離れた超音波送受信子間を上流から下流へ伝搬する時の伝搬時間は
=L/(v(0)+βv)であり、
同じく、下流から上流への伝搬時間は
=L/(v(0)−βv)となり、
ガイド波の伝搬時間差は
ΔT=T−T=2Lβv/(v (0)−β)=2Lβv/v (0)×(1+β/v (0)+・・・・)≒2Lβv/v (0)=v/γとなる。ここで,テーラー展開および,流体の流速(v)がガイド波の群速度(v(0))より十分遅い(β/v (0)<<1)ことを用いた。ただし、γ=v (0)/2Lβとする。
よって、定数γを事前に決定しておき、ΔTを測定すれば、v=γΔTからリアルタイムに流速の測定をすることができる。
また、下流から上流など一方向の伝搬時間しか測定できない場合は、流速が0の場合の伝搬時間をT=L/(v(0))とし、
ΔT=T−T=Lβv/(v (0)−βv(0)v)≒Lβv/(v (0))=v/γ。ただし、この場合はγ=v (0)/Lβである。としても流速の測定はできる。
図7は、流体の流速による群速度の変化の理論値と実験値との比較をしたものである。実験の流速には平均流速の値を用いるとともに、下流から上流方向への伝搬時間とv=0の時の伝搬時間の差を用いている。
図から、理論値、実験値とも線形の関係が確認される。この結果から、v=γΔTの関係も確認された。理論値と実験値とで傾きが異なるのは、水圧の影響、計算に用いた物理のパラメータと実験に用いた材料の差等が考えられる。しかし、定性的には一致している。また、この実験結果から、γ=21.5×10m/sであることが分かる。
図8は、図7から得られたγ及びダイド波の伝搬時間差ΔTを用いて、流体の流速を検証した結果を示したものである。設定値と計測値とがほぼ同じ値になっており、この図から、ガイド波の伝搬時間の変化から流速が測定できることが分かる。
上記のように、ガイド波は速度分散性をもつので、ガイド波が励起される周波数ならどの周波数でも超音波流量計にふさわしいわけではなく、また、すべてのモードのガイド波が流量計に利用できるわけではない。そこで,特に流体部分に感度が高いモードを選定しなくてはならない。
具体例として内部に静水を満たした1/8インチPFA製パイプ(外径3.17mm、内径1.59mm)を伝搬するガイド波の位相速度を図9に示す。
図9中の各曲線はL(0,1)、L(0,2)、L(0,3)、L(0,4)・・・で表示されるモードを示しており、L(0,4)までしか表記していないが、L(0,34)までプロットしている。
また、図の縦軸の1500m/sは水の縦波音速を、1230m/sはPFAの縦波音速を示している。
図9の中でも,特に、水の縦波音速1500m/sの近傍において複数のモードにまたがる傾きの小さな部分を結ぶ,図中にA、B、C、・・・、Kとアルフアベットで示した仮想的なモードが有効である。 この傾きが穏やかな部分は,不連続ではあるが,モードにまたがって存在し、実際に、ガイド波の振幅を計算すると,周波数的には不連続なのに,振幅の分布は同一モードの他の周波数の分布より,隣の傾きが穏やかな部分の振幅の分布に近いことが計算で確認されている。このようなことから、「仮想的なモード」というのは、円柱波の縦波音速に収束するガイド波に相当するものと推量されるものであり、本発明においては、PFAパイプと水の2層構造なので,まず水の縦波音速に到達した後、PFAの縦波音速に収束している。
ここで、本明細書において水の縦波音速1500m/sの近傍とは、1500±300m/sの範囲を指している。
これらの仮想的なモードA、B、C、・・・、Kが有効である理由は、水の縦波音速1500m/s近傍で周波数依存性が小さくなるからである。位相速度が水の縦波音速に近いということは,水の情報をより多く持っているということであるから,音速の情報も多く持つことになる。
具体例として,ガイド波の振幅の分布を示したのが図10〜図13である。
ガイド波の変位は振幅と三角関数の積で表現されるが、図10〜図13では,その三角関数の部分を除いた振幅の値のみをプロットしたものであり、図10〜図13で使用した座標系とパイプ、流体(水)の関係は図14に示したとおりである。図10〜図13の縦軸は,半径方向の位置を表しており、r=0が中心軸、r=a=0.795mmが流体(水)とPFA製パイプの境界面を示している。また、uは半径方向振幅、uは軸方向振幅、uθは回転方向振幅を示す。振幅が0ということは,全く振動しないことを意味している。
ここで、図10〜図13の理解を容易にするため、水の部分(r<a)において半径(r)方向の振幅を生じる理由を説明する。
波長に比べて、管の内径が細いと、回折の影響で斜め方向に伝播する成分が無視できなくなる。特に、波長と内径が共振関係になる「ある特定の(斜め)」方向に伝播する弾性波が選択的に伝播するようになる。つまり、特定のモードの弾性波しか伝搬できなくなる。
図15は、水中を伝搬するガイド波のイメージを示した概念図であり、PFA製パイプの影響が無視できるくらい薄いときの場合で、実際はもっと複雑である。
あくまで伝搬しているのは縦波だけであるが、全体として見れば、 z方向に伝搬する、通常の縦波とは違った挙動(音速, 変位の方向等)を持った波が伝播しているように見える。このため、縦波しか伝播していないのにもかかわらず、 z方向以外にr方向やθ方向にも振幅を持つ。
また、斜めに伝播しているため、縦波の伝搬距離は、ガイド波の伝搬距離より長くなる。そのため、ガイド波の伝搬速度(群速度)は縦波音速(水の場合は1500m/s)より遅くなる。
換言すると、群速度が1500m/sに近づいているということは、ガイド波でありながら、斜めに進行する成分が減少し、(通常の意味での)縦波が伝播している状態に近づいていることを意味する。
図9に示した仮想的なモードは主として縦波に依存した部分なので、流体部分の変位の割合が大きく、流速の感度が高いことが分かる。縦波に依存したと言っている理由は、アルフアベットのAで示す仮想モードが顕著なように,周波数が大きくなるとPFAの縦波の位相速度1230m/sに収束していくからである。アルフアベットのBで示す仮想モード以上は、水の縦波の位相速度1500m/sで一度フラットになってから1230m/sに近づいている。また、5MHzではかなりPFAの縦波の位相速度に近づいているのが分かる。
また,図9から分かるように、この仮想的なモードは傾きが小さいことから、群速度の伝搬速度が速く、他のモードより早く到達するので、流量計として用いるのに都合が良い。
群速度は、周波数依存性が無い場合(前記「傾き」と表現した量が0の場合)、位相速度と一致することはよく知られているので特段説明を要しないが、傾きが小さいと群速度が速くなる点について、以下に説明する。
群速度は、
Figure 2009109299
である。
ここで、式の変形には、位相速度の式
Figure 2009109299
および,角周波数と周波数の関係式
Figure 2009109299
を用いた。ここで,前記「傾き」と表現した量は周波数当たりの位相速度の変化量である。つまり,周波数(
Figure 2009109299
,
Figure 2009109299
)がその値(ある特定の値でも良い)の時の位相速度の差(
Figure 2009109299
)が小さいという意味である。つまり、群速度の式の分母の絶対値が小さくなる事を意味し、結果的に群速度も大きくなるのである。
実際に,図9から群速度を計算したのが図16である。
ギリシャ数字で示した仮想的なモードの群速度が速いことが確認される。
仮想的なモードは,周波数が低いときは、無限大に発散する。つまり、周波数が低いときは群速度が遅く、周波数が大きくなるにつれ徐々に水の縦波音速に近づき、そこで、位相速度の変化量が小さくなる。このときの群速度が最も水の縦波音速に近づく。それが、図16の群速度のピークに相当する。さらに周波数が上がると、また位相速度は減少し始めるので、群速度が小さくなる。その後、PFAの縦波音速に近づくとまた位相速度の変化は小さくなり、群速度もPFAの縦波音速に近づく。
図16にプロットした範囲内では周波数0.3〜1.2MHz, 1.5〜1.9MHz, 2.3〜3.3MHz, 3.5〜4.7MHzにおいて水の縦波音速近傍の傾きの小さな部分を結ぶ仮想的なモードを用いると伝搬時間が短く、測定に都合が良いことが確認できる。
また、L(0,1)、L(0,2)の振幅の分布は周波数が低い範囲内では,流体部分の変位成分も多い。しかし、周波数が上昇するにつれ流速が速い軸上の振幅が小さくなり,流速が遅い固体との境界面にガイド波の振幅が集中するため流速感度が下がると予想される(図17〜図20参照)。
すなわち、流速を測定するには,流速によるガイド波の伝搬速度の変化を測定する必要があるが、管内の流速の分布は、軸中心が最も速く、固体との境界面では0になる。 周波数が高くなると流体部分は境界面(r=0.795mm)近傍以外では振幅が0になる。つまり流速がある程度の値を持つ領域のほとんどがガイド波の振動の節になるわけで、いくらそこの部分で流速が速くなっても,ガイド波の伝搬速度には影響が無いと想像される。
また、上記したように、L(0,1)、L(0,2)の流速の分布は周波数が低い範囲内では,流体部分の変位成分も多いが,周波数が上昇するにつれ流速感度が下がる(図17〜図20参照)。また、他のモードと音速が重なると使い難い。よって、260kHz以下ではL(0,1)、L(0,2)が大変に有効である。
本発明の実施の形態に係る流量測定装置の概略説明図である。 図1の装置において、一方の送受信子の励起信号の波形と、静水を満たしたPFAパイプを伝搬したガイド波の受信信号の波形を示したものである。 図1の装置において、静水を満たしたPFAパイプを伝搬するガイド波の音速の理論値と実験値とを比較した結果を示す図である。 本発明の解析に用いたモデルの概念図であり、(a)は静水の場合、(b)は流速vの場合を示している。 パイプ内部の水が流速(v=−10m/s、v=±0m/s、v=+10m/s)を持つときのL(0,4)のモードのガイド波の位相速度と群速度の理論値を示したものである。 L(0,4)のモードのガイド波の位相速度と群速度の流速依存性の理論値の詳細を示したものである。 流体の流速による群速度の変化の理論値と実験値との比較をしたものである。 図7から得られたγ及びダイド波の伝搬時間差ΔTを用いて、流体の流速を検証した結果を示したものである。 内部に静水を満たした1/8インチPFAチューブを伝搬するガイド波の位相速度を示した図である。 ガイド波の振幅の分布を示し図である。 ガイド波の振幅の分布を示し図である。 ガイド波の振幅の分布を示し図である。 ガイド波の振幅の分布を示し図である。 図10〜図13で使用した座標系とパイプ、流体(水)の関係示した図である。 水中を伝搬するガイド波のイメージを示した概念図である。 図9から計算した群速度を示す図である。 L(0,1)モード、周波数200kHzの場合のガイド波の振幅の分布を示し図である。 L(0,1)モード、周波数1MHzの場合のガイド波の振幅の分布を示し図である。 L(0,2)、周波数200kHzの場合のガイド波の振幅の分布を示し図である。 L(0,2)モード、周波数1MHzの場合のガイド波の振幅の分布を示し図である。
符号の説明
1 PFA製パイプ
2 超音波送受信子
3 超音波信号発生・受信装置
4 制御・解析装置











Claims (1)

  1. 流体を流すパイプの外面に2個の超音波振動子を距離L隔てて設け、前記2個の超音波振動子の一方を送信子、他方を受信子として相互に作動させ、超音波振動子の駆動によりパイプと内部流体とを1つの媒体として励起されるガイド波が、間隔L離れた超音波送受信子間を上流から下流へ伝搬する時の伝搬時間T1と、下流から上流へ伝搬する時の伝搬時間T2との伝搬時間差から流体の流速を求める制御・解析装置を備えた超音波を利用した流量測定装置において、水の縦波音速の近傍において位相速度の変化量が小さくなるモードのガイド波を用いることを特徴とする超音波を利用した流量測定装置。


















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