JP2005031052A - 管状もしくは溝状の流路を移動する流体の流量の測定方法 - Google Patents

管状もしくは溝状の流路を移動する流体の流量の測定方法 Download PDF

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Abstract

【課題】 内径の小さな管状体内部を移動する流体の流量測定に好ましく、そして環境温度の変動に対して安定に流量測定できる流量測定方法を提供すること。
【解決手段】 管状又は溝状の流路の壁体の外表面に、各々が圧電体に一対の電極を付設してなる圧電振動子を備えた第一と第二の振動波発生検出手段が配設された構造体を用意する工程;流路にて流体を移動させる工程;第一の振動波発生検出手段にて発生させた振動波を壁体に付与し、振動波が壁体を伝わって第二の振動波発生検出手段に到達するまでの伝達時間を測定する工程;第二の振動波発生検出手段にて発生させた振動波を壁体に付与し、振動波が壁体を伝わって第一の振動波発生検出手段に到達するまでの伝達時間を測定する工程;これらの伝達時間の差と較正用データとを用いて流体の流量を決定する工程を含む流体の流量測定方法。
【選択図】 図4

Description

本発明は、壁体によって区画された管状もしくは溝状の流路を移動する流体の流量を測定する方法に関する。
管状体の内部を移動する流体の流量を測定する流量計のうちの一つとして、クランプオン型超音波流量計が知られている。クランプオン型超音波流量計は、管状体の壁体の外側表面に配設され、管状体の内部を移動する流体の流量を、管状体の外部にて測定する流量計である。
図1は、従来の流量測定方法の実施に用いられるクランプオン型超音波流量計の構成例を示す断面図である。クランプオン型超音波流量計は、一対の超音波発生検出手段1a、1bから構成されている。
超音波発生検出手段1aは、超音波振動子2aと超音波伝搬材3aから構成されている。超音波振動子2aとしては、圧電振動子が用いられている。圧電振動子は、圧電セラミック及び圧電セラミックに電圧を印加するための一対の電極から構成されている。超音波発生検出手段1bの構成は、超音波発生検出手段1aと同様である。
超音波振動子2a、2bのそれぞれは、その電極に電圧を印加すると超音波を発生し、そして超音波が付与されるとその電極に電圧を発生する。従って、超音波振動子が備えられた超音波発生検出手段1a及び1bのそれぞれは、超音波の発生手段でもあり、検出手段でもある。
管状体の内部を移動する流体の流量は、以下のようにして測定される。先ず、超音波発生検出手段1aの超音波振動子2aに電圧パルスを印加して超音波を発生させ、この超音波が、流体内を伝わって超音波発生検出手段1bに到達するまでの伝達時間(T1 )を測定する。図1に記入した破線9は、超音波が伝わる経路の一例を示している。
次に、超音波発生検出手段1bの超音波振動子2bに電圧パルスを印加して、超音波を発生させ、この超音波が、前記の経路を逆の向きに伝わって、超音波発生検出手段1bに到達するまでの伝達時間(T2 )を測定する。
超音波発生検出手段1aから超音波発生検出手段1bに(矢印9aが示す方向に)伝わる超音波は、流体の流れに乗って流体内を伝わるので、伝達時間(T1 )は、流体が静止している場合よりも小さな値を示す。そして超音波発生検出手段1bから超音波発生検出手段1aに(矢印9bが示す方向に)伝わる超音波は、流体の流れに逆らって流体内を伝わるので、伝達時間(T2 )は、流体が静止している場合よりも大きな値を示す。
これらの伝達時間の差(T2 −T1 )は、管状体の内部を移動する流体の流量と相関がある。そして、この伝達時間の差と、別に用意された流量と伝達時間の差との関係を示す較正用のデータとを用いて、流体の流量を決定する。
クランプオン型超音波流量計は、流体に非接触で流量の測定ができるという大きな利点を有している。しかし、クランプオン型超音波流量計は、内径の小さな管状体の内部を移動する流体の流量を測定した場合に、測定精度が低下する欠点を有している。これは、管状体の内径が小さい場合には、超音波が流体内を伝わる距離が短くなり、前記の時間差が非常に小さな値となるために、測定される時間差に含まれる誤差の割合が大きくなるからである。このため、市販のクランプオン型超音波流量計では、測定可能な管状体の内径は、通常25mm程度以上とされている。
非特許文献1には、内径の小さな管状体の内部を移動する流体の流量測定に好ましく用いることができる、リング状の超音波振動子を用いた超音波流量計が開示されている。この超音波流量計は、一対のリング状の超音波振動子から構成されている。一対のリング状の超音波振動子は、その各々の孔に、測定対象の流体を移動させる管状体を通すことにより管状体の壁体の外側表面に配設される。
一対のリング状の超音波振動子を用いた超音波流量計においては、上記クランプオン型超音波流量計の場合と同様に、その一方の超音波振動子にて発生した超音波が、流体内を伝わって他方の超音波振動子に到達するまでの伝達時間と、他方の超音波振動子にて発生した超音波が、流体内を伝わって一方の超音波振動子に到達するまでの伝達時間との差の値を用いて流体の流量が測定される。
リング状の超音波振動子を用いた超音波流量計においては、超音波が流体内を管状体の長さ方向に沿って伝わる。従って、一対のリング状の超音波振動子の間隔を広げることにより、超音波が流体内を伝わる距離を長く設定することがでる。このため、リング状の超音波振動子を用いた超音波流量計により、内径が小さな管状体の内部を移動する流体の流量を測定できるとされている。
しかし、リング状の超音波振動子を用いた超音波流量計は、既設の管状体の内部を移動する流体の流量を測定する場合には、既設の管状体を取り外して流量計を設置する必要があるという問題点を有している。
また、内径の小さな管状体の内部を移動する流体の流量の測定に、電磁流量計を用いることも知られている。しかし、電磁流量計は、導電性を有しない液体の流量の測定ができない、そして既設の管状体の内部を移動する流体の流量を測定する場合には、既設の管状体を取り外して流量計を設置する必要があるという問題点を有している。
本発明者は、上記のような流体内を伝わる超音波を用いた流量測定においてノイズと考えられていた、管状体の壁体を伝わる振動波を用いた流量測定方法の発明について国際特許出願をした(特許文献1参照)。
図2は、特許文献1に記載の従来の流量測定方法の実施に用いられる構造体の構成例を示す平面図であり、そして図3は、図2に記入した切断線I−I線に沿って切断した構造体の断面図である。
図2の構造体は、測定対象の流体を移動させる管状体21、管状体21の壁体24の外側表面に配設された第一の振動波発生検出手段22a及び第二の振動波発生検出手段22bから構成されている。第一の振動波発生検出手段22aは、圧電振動子27aと振動方向制御素子25aが接合された構成を有している。振動方向制御素子25aとしては、例えば、繊維強化樹脂材が用いられている。
上記特許文献1に記載の流量測定方法においては、第一の振動波発生検出手段22aにて発生させた振動波が、管状体21の壁体24を伝わって第二の振動波発生検出手段22bに到達するまでの伝達時間(T1 )と、第二の振動波発生検出手段22bにて発生させた振動波が、管状体21の壁体24を伝わって第一の振動波発生検出手段22aに到達するまでの伝達時間(T2 )との差の値を用いて、管状体の内部を移動する流体の流量が測定される。
この流量測定方法は、流体の流量測定に管状体の壁体を伝わる振動波を用いるために、一対の振動波発生検出手段の間隔を、管状体の内径とは無関係に大きな値に設定することができる。このために、管状体の内径が小さい場合であっても、その内部を移動する流体の流量を高い精度で測定することができる。また、流量を測定するために、既設の管状体を取り外す必要はない。
石川博朗等著,「液体用超音波微小流量計のセンサ配置と流量特性」,計測自動制御学会論文集,2000年,第36巻,第12号,p.1071−1078 国際公開第03/042638号パンフレット
特許文献1に記載の流量測定方法により、管状体の内径が小さい場合であっても、その内部を移動する流体の流量を、問題なく測定することができる。本発明者は、この流量測定方法を、測定環境の温度変動によって生ずる流量の測定値の僅かな変動を低減させて改良することについて検討した。
本発明の目的は、既設の管状体を取り外すことなく、その内部を移動する流体の流量測定が可能であり、測定環境の温度変動に対して安定に流量を測定することができ、そして内径の小さな管状体の内部を移動する流体の流量測定に好ましく用いることができる流量測定方法を提供することにある。
本発明は、下記の工程を含む流路を移動する流体の流量の測定方法にある。
(1)壁体によって区画された管状もしくは溝状の流路、この流路の壁体の外側表面もしくは内側表面に流路に沿って配設され、各々が、圧電体に一対の電極を付設してなる圧電振動子を備えた第一の振動波発生検出手段と第二の振動波発生検出手段、および前記各々の圧電振動子に付設され、該振動子の一対の電極を互いに電気的に接続する抵抗器を含む構造体を用意する工程。
(2)流路にて測定対象の流体を一方の方向に移動させる工程。
(3)第一の振動波発生検出手段にて振動波を発生させ、その振動波を壁体に付与する工程。
(4)上記振動波が、振動波の付与によって、移動する流体と共に振動する壁体を伝わって第二の振動波発生検出手段に到達するまでの伝達時間を測定する工程。
(5)第二の振動波発生検出手段にて振動波を発生させ、その振動波を壁体に付与する工程。
(6)上記振動波が、振動波の付与によって、移動する流体と共に振動する壁体を伝わって第一の振動波発生検出手段に到達するまでの伝達時間を測定する工程。
(7)上記(4)の工程で測定した伝達時間と上記(6)の工程で測定した伝達時間との差を算出する工程。
(8)上記(1)の工程で用いた構造体もしくはこの構造体の均等物の流路にて、上記(2)の工程で用いた流体もしくはこの流体の均等物を、既知の流量で一方の方向に移動させて、上記(3)と(4)に記載の測定、そして上記(5)と(6)に記載の測定を行ない、次いで上記(7)に記載の伝達時間の差を算出して作成した、流量と振動波の伝達時間の差との関係を示す較正用データを用意する工程。
(9)上記(7)の工程で算出した伝達時間の差と、上記(8)の工程で用意した較正用データとを用いて、上記(2)の工程で移動した流体の流量を決定する工程。
本発明の流量測定方法の好ましい態様は、下記の通りである。
(A)各々の振動波発生検出手段の圧電振動子に振動方向制御素子が付設され、そして各々の振動波発生検出手段が、振動子で発生した振動波を主として壁体に対して垂直な方向に振動する振動波として、壁体に付与する。
(B)抵抗器の抵抗値が、下記式(I)により定義される圧電振動子の等価抵抗値Rd の0.01乃至1.0倍の範囲にある。
(I) Rd =1/(2πfCd
[(I)式中、Cd は、圧電振動子の制動容量であり、そしてfは、圧電振動子の固有振動数である。]
(C)流路が、樹脂材料、金属材料もしくはセラミック材料の壁体により形成されている。
(D)流路が、内径が0.1乃至10mmの範囲にある管状体により形成されている。
なお、本明細書において、溝状の流路には、河川、特に人口の溝により形成された河川が含まれる。溝状の流路が河川である場合には、流路の壁体の内側表面とは、河川の底もしくは側壁を意味する。また、移動する流体と共に振動する壁体とは、流路を移動する流体に接して振動する壁体を意味する。
また、本明細書において、測定対象の流体を移動させるために用いる構造体の均等物とは、前記構造体と同一の物性を示す材料を用いて同一の構成とした、別の構造体を意味する。
また、本明細書において、測定対象の流体の均等物とは、構造体の均等物にて移動させる測定対象と同じ流体、もしくは測定対象の流体と密度が実質的に等しい流体を意味する。密度が実質的に等しいとは、流体の均等物の密度の値が、測定対象の流体の密度の値の0.3乃至1.7倍の範囲にあることを意味する。流体の均等物の密度の値は、測定対象の流体の密度の値の0.4乃至1.6倍の範囲にあることが好ましい。
流体の均等物としては、測定対象の流体と同一の流体を用いることが、最も好ましい。但し、較正用データを作成する場合、あるいは測定対象の流体が引火性や毒性などを有して取り扱いに注意が必要である場合には、流体の均等物としては、水を用いることが好ましい。
本発明の流量測定方法においては、流路を移動する流体の影響を受けながら流路の壁体を伝わる振動波を用いて流体の流量を測定している。このような壁体を伝わる振動波が、流路を移動する流体の影響を受ける原因は、次のように理解される。
流路の壁体を伝わる振動波は、流量測定とは別の分野で利用されている。N.Kanabe等の技術報告( J.Acoust.Soc.Am.,Vol.93,No.6,p.3235,1993-06)には、超音波振動子により、管状体(管状の流路)の壁体をその長さ方向に沿って伝わる振動波を発生させ、この振動波により管状体の内部にある粉体を輸送する技術について記載されている。この振動波は、振動方向が管状体の壁体に垂直で、そして管状体の長さ方向に沿って伝わる主として横波成分からなる振動波である。
本発明の流量測定方法に用いる振動波も、この文献に記載されているように、主として横波成分からなる振動波として、管状体の壁体を伝わっていると理解することができる。そして管状体の壁体を伝わる振動波は、この振動波の付与によって振動する管状体の壁体が、管状体の内部にて流体を一方の方向に移動させた場合に管状体と共に振動する流体において発生するコリオリ力を受けるために、その位相(振動波の伝達時間に対応する)を変化させると理解される。
また、流量測定に用いる振動波としては、上記の主として横波成分からなる振動波のみでなく、流路の壁体を伝わる様々な振動波を用いることができる。振動波の一例としては、板波が挙げられる。板波とは、縦波と横波が板の上下面(本発明においては、流路壁体の外側表面と内側表面)にて反射を繰り返しながら伝わる振動波である。また、板波は、板の上下面において縦波と横波の振動モードの変換を伴いながら板を伝わる振動波である。このように、板(本発明においては、流路壁体)を伝わる板波も、本発明の流量測定方法における振動波として用いることができる。
そして、振動波が第一の振動波発生検出手段から第二の振動波発生検出手段に伝わる場合と、第二の振動波発生検出手段から第一の振動波発生検出手段に伝わる場合とで、流路の壁体が流体から受けるコリオリ力の位相(方向)が180度異なるために、振動波が流体の移動方向に沿って壁体を伝わるときには、伝達時間が短くなり、振動波が流体の移動方向とは逆の方向に沿って壁体を伝わるときには、伝達時間が長くなると理解される。そして流路の壁体は、流体の流量に対応する大きさのコリオリ力を受けるため、壁体を伝わる振動波の伝達時間をもとに流路を移動する流体の流量が測定できると理解される。なお、流体が気体である場合にもコリオリ力は発生するので、流路の壁体を伝わる振動波を用いた流量測定方法により、気体の流量も測定することができる。
本発明の流量測定方法においては、流路を移動する流体の影響を受けながら流路の壁体を伝わる振動波を用いて流量を測定している。このため、例えば流路として管状体を用いた場合には、振動波の発生あるいは検出に用いる一対の振動波発生検出手段の間隔を、管状体の内径とは無関係に長く設定することができ、流体の流量と相関のある振動波の伝達時間を精度良く測定することができる。このため、本発明の流量測定方法は、流路が内径の小さな管状体である場合にも、その内部を移動する流体の流量を高い精度で測定することができる。そして本発明の流量測定方法を実施するために、既設の管状体を取り外す必要はない。
また、本発明の流量測定方法に用いる各々の振動波発生検出手段には、圧電振動子が備えられている。流量測定環境の温度が変動すると、圧電振動子には、焦電効果などによって電荷が発生する。この電荷による直流電圧は、振動波が振動波発生検出手段にて検出されることによって圧電振動子にて発生する電圧に付加されるため、流量測定に用いられる振動波の伝達時間の測定値に誤差を生じさせる場合がある。そして圧電振動子に、振動子の一対の電極を互いに電気的に接続する抵抗器を付設することにより、上記の振動子に発生した電荷が放電されるため、振動波の伝達時間をより高い信頼性で精度良く測定することができる。このため、本発明の流量測定方法は、測定環境の温度が変動した場合であっても流体の流量をより安定に測定することができる。
本発明の流量測定方法を、添付の図面を用いて説明する。本発明の流量測定方法においては、測定対象の流体を移動させる流路として、管状あるいは溝状の流路を用いることができる。以下、本発明を、流路として代表的な管状体(管状の流路)を用いる場合を例として説明する。
図4は、本発明に従う流量測定方法の実施に用いられる構造体の断面と、構造体の振動波発生検出手段の駆動検出回路とを示す図である。図4に示すように、本発明の流量測定方法においては、管状体21の内部を移動する流体の流量を、第一の振動波発生検出手段22aと第二の振動波発生検出手段22bなどを用いて測定する。
図4に示すように、振動波発生検出手段27aには、圧電振動子27aが備えられている。そして圧電振動子27aの上面及び下面のそれぞれに付設されている電極(図示は略する)には、抵抗器Ra が付設されている。振動波発生検出手段22bの構成は、振動波発生検出手段22aと同様である。振動波発生検出手段の構成については、後に詳しく説明する。
図4に示すように、各々の振動波発生検出手段にて振動波を発生させるための電圧を圧電振動子の一対の電極に印加し、そして振動波の到達により各々の振動波発生検出手段の圧電振動子にて発生する電圧を検出するために、振動波発生検出手段22a、22bには駆動検出回路が電気的に接続されている。駆動検出回路としては、従来のクランプオン型超音波流量計に用いられている駆動検出回路と同様のものを用いることができる。図4に示す駆動回路の構成や動作については、「超音波便覧,丸善株式会社,1999年」346頁に詳しく記載されている。
管状体21の内部を移動する流体の流量は、下記の(1)から(9)の工程を実施することにより測定することができる。
(1)壁体24によって区画された管状体(管状の流路)21、管状体21の壁体24の外側表面に管状体に沿って配設され、各々が圧電体に一対の電極を付設してなる圧電振動子を備えた第一の振動波発生検出手段22aと第二の振動波発生検出手段22b、および前記各々の圧電振動子に付設され、圧電振動子の一対の電極を互いに電気的に接続する抵抗器を含む構造体を用意する工程。
(2)管状体21にて測定対象の流体を一方の方向に移動させる工程。
図4に記入した矢印23は、流体の移動方向を示している。
(3)第一の振動波発生検出手段22aにて振動波を発生させ、その振動波を壁体24に付与する工程。
(4)上記振動波が、振動波の付与によって、移動する流体と共に振動する壁体を伝わって第二の振動波発生検出手段22bに到達するまでの伝達時間を測定する工程。
(5)第二の振動波発生検出手段22bにて振動波を発生させ、その振動波を壁体24に付与する工程。
(6)上記振動波が、振動波の付与によって、移動する流体と共に振動する壁体を伝わって第一の振動波発生検出手段22aに到達するまでの伝達時間を測定する工程。
(7)上記(4)の工程で測定した伝達時間と上記(6)の工程で測定した伝達時間との差を算出する工程。
上記の特許文献1に記載されているように、管状体21の壁体24を伝わる振動波が、第一の振動波発生検出手段22aから第二の振動波発生検出手段22bに到達するまでの伝達時間(T1 )は、移動する流体の影響を受けて、流体が静止している場合の伝達時間(T0 )よりも小さな値を示す。また、管状体21の壁体24を伝わる振動波が、第二の振動波発生検出手段22bから第一の振動波発生検出手段22aに到達するまでの伝達時間(T2 )は、移動する流体の影響を受けて、流体が静止している場合の伝達時間(T0 )よりも大きな値を示す。そして流体の流量を増加させると、伝達時間(T1 )は、さらに小さな値を示し、伝達時間(T2 )は、さらに大きな値を示す。これらの伝達時間は、管状体21の内部を移動する流体の流量と相関があるため、伝達時間の差(T2 1 )〔もしくは(T1 2 )〕を用いて流体の流量を測定することができる。
(8)上記(1)の工程で用いた構造体もしくはこの構造体の均等物の流路にて、上記(2)の工程で用いた流体もしくはこの流体の均等物を、既知の流量で一方の方向に移動させて、上記(3)と(4)に記載の測定、そして上記(5)と(6)に記載の測定を行ない、次いで上記(7)に記載の伝達時間の差を算出して作成した、流量と振動波の伝達時間の差との関係を示す較正用データを用意する工程。
例えば、各種の工場などにある既設の管状体を取り外さずに、較正用データを用意する場合には、既設の管状体と同一の形状で、同一の材料から形成された別の管状体に、第一の振動波発生検出手段と第二の振動波検出手段が配設された構成の構造体の均等物に、上記(2)の工程で用いた流体の均等物を移動させ、そして上記の記載に従って較正用データを用意することができる。この場合、伝達時間と対応する流量は、構造体の均等物の管状体に、公知の流量計(例えば、電磁流量計)を設置して測定することができる。
なお、本発明の流量測定方法に含まれる上記(8)の工程は、次の(9)の工程を実施する前であれば、いつ実施してもよい。
(9)上記(7)の工程で算出した伝達時間の差と、上記(8)の工程で用意した較正用データとを用いて、上記(2)の工程で移動した流体の流量を決定する工程。
次に、本発明の流量測定方法に用いる構造体が備える抵抗器の働きについて説明する。図4に示す構造体の構成は、各々の振動波発生検出手段の圧電振動子に抵抗器Ra 、Rb がそれぞれ付設されていること以外は、図3の従来の流量測定方法(以下、改良前の方法と記載する)に用いる構造体と同様である。
特許文献1に記載されているように、この改良前の方法によっても、管状体の内部を移動する流体の流量を問題なく測定することができる。本発明者は、この改良前の流量測定方法を、さらに高い測定精度が得られるように改良することを検討した。その結果、改良前の方法においては、測定環境の温度が変動した場合に、測定される流量値が極僅かに変動することがわかった。流量の測定値が変動する原因は、以下のように理解される。
流量の測定に用いる管状体の壁体を伝わる振動波は、振動波が振動波発生検出手段の圧電振動子に到達することにより圧電振動子の一対の電極に発生する電圧を用いて検出される。振動波の到達は、例えば、圧電振動子に発生した電圧が所定のしきい値電圧以上になったこと、あるいはその後に電圧が零になったことを判断して検出される。
ところが、測定環境の温度が変動した場合、焦電効果、あるいは圧電振動子や管状体等の伸縮により圧電体に生じた歪みによる圧電効果などにより、圧電振動子に電荷が発生する。そしてこの電荷による直流電圧は、振動波が振動波発生検出手段にて検出されることによって圧電振動子にて発生する電圧に付加される。このため、振動波の到達を、上記のように圧電振動子に発生した電圧が所定のしきい値電圧になったこと、あるいはその後に電圧が零になったことから検出した場合に、測定される伝達時間に誤差を生じる場合がある。ここで構造体の有する二個の圧電振動子27a、27bの温度特性が完全に一致している場合には、それぞれの振動子に発生する電荷の量が等しくなるため、上記の伝達時間に含まれる誤差は、伝達時間の差を算出する際に打ち消されるため、測定環境の温度が変動しても安定に流量を測定することができる。ところが、二個の圧電振動子の温度特性を完全に一致させることは困難なため、伝達時間の差を算出する際に、伝達時間に含まれる誤差が打ち消されず、流量の測定精度が低下し易くなる。このように伝達時間の差の値に誤差を生じると、流体が静止している場合であっても、測定される流量値が零を示さないようになる。
そして各々の圧電振動子の一対の電極を、抵抗器により互いに電気的に接続することにより、圧電振動子に発生した電荷が放電されるため、測定環境の温度変動に対して流量をさらに信頼性高く測定できるものと理解される。
抵抗器の抵抗値は、下記式(I)により定義される圧電振動子の等価抵抗値Rd の0.01乃至1.0倍の範囲にあることが好ましい。
(I) Rd =1/(2πfCd
[(I)式中、Cd は、圧電振動子の制動容量であり、そしてfは、圧電振動子の固有振動数である]。
各々の圧電振動子に付設される抵抗器の抵抗値が、圧電振動子の等価抵抗値Rd の0.01倍未満の値であると、振動波の到達により振動波発生検出手段にて出力される電圧値が小さくなり、流量の測定精度が低下する。抵抗器の抵抗値が、圧電振動子の等価抵抗値Rd の1.0倍を超える値であると、測定環境の温度変動により圧電振動子に発生した電荷が放電されにくくなり、流量の測定精度が低下する。
なお、圧電振動子の制動容量とは、図5に示す圧電振動子の等価回路におけるCd を意味する。圧電振動子の制動容量Cd の値は、圧電振動子のアドミタンス円を測定し、測定で得られた直列共振周波数、および並列共振周波数などの測定値をもとに算出することができる。圧電振動子の等価回路や制動容量Cd の算出方法については、例えば、「超音波便覧,丸善株式会社,1999年」106−107頁に記載がある。また、圧電振動子の固有振動数fは、圧電振動子の形状と振動モード(例、厚み振動モード、拡がり振動モードなど)などにより定まる。
次に、振動波発生検出手段について説明する。振動波発生検出手段としては、その構成が簡単となることから、圧電振動子を備えた構成とされる。なお、圧電振動子には、圧電振動子を一対の金属部材でボルト締めした構成のランジュバン型振動子が含まれる。
振動波発生検出手段により壁体に付与する振動波の周波数は、一般に超音波と呼ばれる20kHz以上の周波数に限定される訳ではない。振動波としては、周波数が10kHz乃至1MHzの範囲にある振動波を好ましく用いることができる。
振動波を効率良く壁体に付与するために、各々の振動波発生検出手段が、圧電振動子と振動方向制御素子を含む構成を有していることが好ましい。そして、振動方向制御素子により振動波の振動方向を制御することにより、振動波発生検出手段が、振動子で発生した振動波を主として壁体に対して垂直な方向に振動する振動波として、壁体に付与することが好ましい。このような振動波を用いることにより、振動波を効率良く壁体に付与することができる。
振動波をさらに効率良く壁体に付与するためには、振動波の周波数を、壁体の固有周波数と一致させることが好ましい。壁体の固有周波数は、例えば、有限要素法を用いた解析用のソフトウエア「ANSYS」(ANSYS社製)を用いたシミュレーションにより得ることができる。
図6は、図4の構造体の振動波発生検出手段22aと抵抗器Ra との電気的接続方法を説明するための平面図である。そして図7は、図4の構造体の振動波発生検出手段22aと抵抗器Ra との電気的接続方法を説明するための断面図である。図7の振動波発生検出手段22aは、図6に記入した切断線II−II線に沿って切断された断面を示している。
振動波発生検出手段22aは、圧電振動子27aと振動方向制御素子25aとを、例えば、エポキシ樹脂系の接着剤により互いに接合して構成される。圧電振動子27aは、板状の圧電体63と、その上面及び下面のそれぞれに付設された一対の電極61、62とから構成されている。図7に示すように圧電振動子27aの下面に付設された電極62は、抵抗器Ra との電気的接続を容易とするために、圧電振動子の上面にまで延長されている。図6及び図7に示すように、抵抗器Ra により、圧電振動子27aの一対の電極61、62は、互いに電気的に接続される。なお、振動波発生検出手段22bの構成は、振動波発生検出手段22aと同様である。
圧電体63の材料の例としては、圧電セラミック材料、および圧電高分子材料が挙げられる。一般に、圧電セラミック材料としては、ジルコン酸チタン酸鉛系のセラミック材料を用いる場合が多い。電極材料の代表例としては、銀、およびリン青銅が挙げられる。
各々の振動波発生検出手段と管状体との接触面には、この接触面における振動波の反射を防止するために、グリースやワセリンなどの接触媒質からなる薄い層を付設することが好ましい。
振動方向制御素子25aとしては、樹脂材料シート中に複数本の高弾性繊維がシート平面に沿って平行に整列配置された繊維強化樹脂シートの複数枚が、底面65に垂直な方向に積層、そして一体化された構成の繊維強化樹脂材を用いることが好ましい。振動方向制御素子25aは、複数枚の繊維強化樹脂シートが、隣接する各シートの備える高弾性繊維の長さ方向が互いに直交するように交互に積層された構成を有していることがより好ましい。
図7に示すように、振動方向制御素子25aの底面65には、振動波発生検出手段22aを管状体の壁体の外側表面に安定して配設するための凹状の溝64が形成されていることが好ましい。振動波発生検出手段を、管状体の壁体の外側表面に配設した場合に、繊維強化樹脂材の互いに直交する高弾性繊維の長さ方向は、それぞれ管状体の長さ方向(図7に示す振動波発生検出手段22aの場合には、図7の紙面に垂直な方向)に対して45度をなしていることが好ましい。
バインダ樹脂の例としては、エポキシ樹脂、ポリアミド樹脂、ポリイミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、PEEK(ポリエーテルエーテルケトン)樹脂、フェノール樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、およびポリカーボネート樹脂が挙げられる。
高弾性繊維の例としては、炭素繊維、炭化ケイ素繊維、ナイロン繊維、アラミド繊維、およびポリアミド繊維が挙げられる。
振動波発生検出手段22aの超音波振動子27aの一対の電極61、62に電圧を印加することにより振動波が発生し、この振動波は、振動方向制御素子25aの内部を伝わる。振動方向制御素子25a中に、その底面65に対して平行に整列配置された複数本の高弾性繊維は、その長さ方向に沿った振動の発生を抑制する。このため、振動波は、振動方向制御素子25aの底面65に向かって伝わる。振動波は、振動方向制御素子25aの内部を主に縦波成分からなる振動波として伝わるので、その振動方向は、振動方向制御素子の底面65に垂直な方向となる。従って、振動波発生検出手段22aは、超音波振動子27aで発生した振動波を、主として壁体に対して垂直な方向に振動する振動波として、壁体に付与する。振動方向制御素子については、特開平7−284198号公報に記載がある。
本発明においては、壁体に振動波が効率良く伝わるように、構造体の流路の壁体を、樹脂材料、金属材料、もしくはセラミック材料から形成することが好ましい。そして本発明の流量測定方法は、特に、内径が0.1乃至10mmの範囲にある管状体の内部を移動する流体の流量測定に好ましく用いることができる。
本発明において、流路の壁体を伝わる振動波の伝達時間の測定は、一方の振動波発生検出手段にて振動波の発生を開始してから、他方の振動波発生検出手段にて振動波に対応する電気信号(圧電振動子にて発生した電圧)の検出が開始されるまでの時間を測定することに限定されない。例えば、振動波の伝達時間を、一方の振動波発生検出手段にて振動波の発生を開始してから、他方の振動波発生検出手段にて検出される電気信号の電圧値が、所定のしきい値を超えたのちに零となるまでの時間としても、伝達時間の差を算出すれば、上記の伝達時間の差(T2 −T1 )と同じ値が得られるからである。このようにして伝達時間を測定し、そして伝達時間の差を得る方法は、ゼロクロス法と呼ばれており、従来の超音波流量計において流体中を伝わる超音波の伝達時間の差を得るために一般的に用いられている方法である。
すなわち、本明細書において、振動波の伝達時間とは、一方の振動波発生検出手段にて発生した振動波の波形(圧電振動子に印加した電圧の波形と対応する)の特定の位置を時間計測の開始点として、他方の振動波発生検出手段にて検出された振動波の波形(圧電振動子にて発生した電圧の波形と対応する)の特定の位置を時間計測の終了点として測定された時間を意味する。
振動波の伝達時間は、上記他方の振動波検出手段にて検出された振動波に対応する電気信号を、A−D変換器(アナログ−デジタル変換器)を用いてデジタル信号に変換し、これをDSP(Digital Signal Processor)を用いて演算処理して決定することが好ましい。
また、流量を決定するために用いられる較正用のデータは、例えば、以下のようにして作成することができる。まず、流路にて流体を既知の流量V0 で一方の方向に移動させる。この既知の流量値は、予め流路に設置された公知の流量計(例、電磁流量計)によって確認する。この既知の流量は、流路にて流体を所定の時間で一方の方向に移動させ、この時間で移動された流体の量(例、質量、体積)を実測し、実測された流体の量を前記の時間で除して求めることもできる。
次に、前記のようにして、壁体を伝わる振動波の伝達時間を測定することにより、伝達時間の差(ΔT=T2 −T1 )を算出する。振動波の伝達時間の差(ΔT)と、流路を移動する流体の流量とは相関(ほぼ比例関係)がある。このことから、較正用のデータとしては、例えば、上記の既知の流量値V0 を、振動波の伝達時間の差ΔTで除して得られる比例定数k(=V0 /ΔT)を用いることができる。すなわち、流路にて移動する流体の流量値は、測定された伝達時間の差の値に、前記の比例定数kを乗ずることにより決定することができる。
較正用データとしては、上記の比例定数k以外のものも用いることができる。例えば、振動波の伝達時間の差と、既知の流量との関係を示す較正曲線を用いることもできる。また、較正用データは、測定環境の温度、管状体の歪み、管状体及び板状部材の材料、あるいは測定対象の流体の種類などに対応するデータとすることもできる。
図8は、本発明に従う流体の流量測定方法の実施に用いる別の構造体の断面と、駆動検出回路との接続方法の別の一例について説明する図である。図8に示すように、抵抗器と駆動検出回路は、圧電振動子の電極の異なる位置に付設しても良い。各々の圧電振動子には、その上面及び下面のそれぞれに形成された電極(図示は略する)を互いに電気的に接続するように抵抗器が付設されている。なお、図8に示す駆動検出回路の構成は、図4の駆動回路と同じである。
流量を測定する構造体としては、図4に示す構造体を用いた。管状体21としては、外径が3.17mm、そして内径が1.59mmのフッ素樹脂製の管状体を用いた。第一の振動波発生検出手段22aと第二の振動波発生検出手段22bとの間隔Lは80mmに設定した。
各々の振動波発生検出手段の圧電振動子の圧電体としては、ジルコン酸チタン酸鉛系の正方形状の圧電セラミック(サイズ:5.5mm×5.5mm×1.0mm)を用いた。この圧電振動子の固有振動数fは約304kHzであり、そして制動容量Cd は、279pFである。これらの値から、圧電振動子の等価抵抗値Rd は、約1.9kΩと算出された。この結果から、圧電振動子27a、27bのそれぞれに、抵抗値が200Ωの抵抗器を電気的に接続した。
各々の振動波発生検出手段の振動方向制御素子としては、エポキシ樹脂シート中に複数本の炭素繊維がシート平面に沿って平行に整列配置された繊維強化樹脂シートの複数枚が、隣接する各シートの備える炭素繊維の長さ方向が互いに直交するようにして振動方向制御素子の底面に垂直な方向に積層、そして一体化された構成の繊維強化樹脂材(サイズ:5.5mm×5.5mm×2.0)を用いた。互いに直交する複数本の炭素繊維は、それぞれの炭素繊維の長さ方向が管状体の長さ方向に対して45度をなすように、エポキシ樹脂中に配置されている。
先ず、構造体の備える管状体にて水を移動させ、第一の振動波発生検出手段22aにて振動波を発生させ、振動波が第二の振動波発生検出手段22bに到達するまでの伝達時間を測定し、次いで第二の振動波発生検出手段22bにて振動波を発生させ、振動波が第一の振動波発生検出手段22aに到達するまでの伝達時間を測定した。なお、振動波を発生するために、圧電振動には、パルス電圧(振幅:30V、パルス幅760n秒)を印加した。
そして測定された伝達時間の差と較正用のデータとを用いて、水の流量を決定した。同時に、管状体21の内部に移動させた水の質量を測定し、得られた水の質量から、管状体の内部を実際に移動する水の流量を算出した。なお、測定環境の温度は、23℃である。
図9は、水の質量測定により得られた流量と、本発明に従って測定された水の流量との関係を示すグラフである。図9に示すように、本発明に従って測定された流量は、水の質量測定により得られた流量とほぼ一致することがわかる。
次に、測定環境の温度変動によって生じる流量値の誤差量を確認するため、恒温槽の内部にて、管状体の内部の水が静止している場合の流量値を測定した。比較のため、抵抗が付設されていないこと以外は同様の構成の構造体を用いて、管状体の内部の水が静止している場合の流量値を測定した。なお、各々の構造体は、恒温槽の温度が23℃の場合に流量値が零を示すように較正した(温度が23℃において用意された較正用のデータを用いた)。測定結果を第1表に示す。
[表1]
第1表
──────────────────────────────────
恒温槽の設定温度
構造体 9℃ 23℃ 37℃
──────────────────────────────────
本発明(抵抗器有り) 2mL/min 0mL/min 1mL/min
比較例(抵抗器無し) 15mL/min 0mL/min 7mL/min
──────────────────────────────────
第1表に示すように、圧電振動子に抵抗器を付設することにより、測定環境の変動により生ずる流量値の変動量が、抵抗を付設しない場合と比較して小さいことがわかる。
本発明の流量測定方法は、特に内径の小さな管状体を移動する流体、例えば、治療中の患者に対して連続的に投与する薬液や血液などの流量を測定するために好ましく用いることができる。
従来の流量測定方法の実施に用いられるクランプオン型超音波流量計の構成例を示す断面図である。 従来の流量測定方法の実施に用いられる流量測定用の構造体の構成例を示す平面図である。 図2に記入した切断線I−I線に沿って切断した構造体の断面図である。 本発明に従う流量測定方法の実施に用いられる構造体の断面と、構造体の振動波発生検出手段の駆動検出回路とを示す図である。 圧電振動子の等価回路を示す図である。 図4の構造体の振動波発生検出手段22aと抵抗器Ra との電気的接続方法を説明するための平面図である。 図4の構造体の振動波発生検出手段22aと抵抗器Ra との電気的接続方法を説明するための断面図である。 本発明に従う流量測定方法の実施に用いられる別の構造体の断面と、構造体の振動波発生検出手段の駆動検出回路とを示す図である。 水の質量測定により得られた流量と、本発明に従って測定された水の流量との関係を示すグラフである。
符号の説明
1a、1b 超音波送受信器
2a、2b 圧電振動子
3a、3b 超音波伝搬材
4a、4b 底面
5a、5b 斜面
6 管状体
7 流体の移動方向を示す矢印
9 超音波が伝わる経路の一例を示す線
9a、9b 超音波が伝わる方向を示す矢印
21 管状体
22a、22b 振動波発生検出手段
27a、27b 圧電振動子
25a、25b 振動方向制御素子
23 流体の移動方向を示す矢印
24 管状体
61、62 電極
63 圧電体
64 溝
65 底面
a 、Rb 抵抗器
d 圧電素子の制動容量
L 一対の振動波発生検出手段の間隔

Claims (5)

  1. 下記の工程を含む流路を移動する流体の流量の測定方法:
    (1)壁体によって区画された管状もしくは溝状の流路、該流路壁体の外側表面もしくは内側表面に流路に沿って配設され、各々が、圧電体に一対の電極を付設してなる圧電振動子を備えた第一の振動波発生検出手段と第二の振動波発生検出手段、および前記各々の圧電振動子に付設され、該振動子の一対の電極を互いに電気的に接続する抵抗器を含む構造体を用意する工程;
    (2)流路にて測定対象の流体を一方の方向に移動させる工程;
    (3)第一の振動波発生検出手段にて振動波を発生させ、その振動波を壁体に付与する工程;
    (4)上記振動波が、該振動波の付与によって、移動する流体と共に振動する壁体を伝わって第二の振動波発生検出手段に到達するまでの伝達時間を測定する工程;
    (5)第二の振動波発生検出手段にて振動波を発生させ、その振動波を壁体に付与する工程;
    (6)上記振動波が、該振動波の付与によって、移動する流体と共に振動する壁体を伝わって第一の振動波発生検出手段に到達するまでの伝達時間を測定する工程;
    (7)上記(4)の工程で測定した伝達時間と上記(6)の工程で測定した伝達時間との差を算出する工程;
    (8)上記(1)の工程で用いた構造体もしくは該構造体の均等物の流路にて、上記(2)の工程で用いた流体もしくは該流体の均等物を、既知の流量で一方の方向に移動させて、上記(3)と(4)に記載の測定、そして上記(5)と(6)に記載の測定を行ない、次いで上記(7)に記載の伝達時間の差を算出して作製した、流量と振動波の伝達時間の差との関係を示す較正用データを用意する工程;および
    (9)上記(7)の工程で算出した伝達時間の差と、上記(8)の工程で用意した較正用データとを用いて、上記(2)の工程で移動した流体の流量を決定する工程。
  2. 各々の振動波発生検出手段の圧電振動子に振動方向制御素子が付設され、そして各々の振動波発生検出手段が、該振動子で発生した振動波を主として壁体に対して垂直な方向に振動する振動波として、壁体に付与する請求項1に記載の流量測定方法。
  3. 抵抗器の抵抗値が、下記式(I)により定義される圧電振動子の等価抵抗値Rd の0.01乃至1.0倍の範囲にある請求項1に記載の流量測定方法:
    (I) Rd =1/(2πfCd
    [(I)式中、Cd は、圧電振動子の制動容量であり、そしてfは、圧電振動子の固有振動数である]。
  4. 流路が、樹脂材料、金属材料もしくはセラミック材料の壁体により形成されている請求項1に記載の流量測定方法。
  5. 流路が、内径が0.1乃至10mmの範囲にある管状体により形成されている請求項1に記載の流量測定方法。
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