JP2004340620A - 管状体の内部を移動する流体の流量の測定方法 - Google Patents

管状体の内部を移動する流体の流量の測定方法 Download PDF

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一正 大西
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Abstract

【課題】既設の管状体を取り外すことなく、その内部を移動する流体の流量を安定に測定することができ、そして内径の小さな管状体の内部を移動する流体の流量の測定に好ましい流量測定方法を提供すること。
【解決手段】管状体、管状体の外側表面に付設された第一の振動波発生検出手段、および第一の振動波発生検出手段から管状体の長さ方向に沿って間隔をあけて、かつ管状体の外表面の第一の振動波発生検出手段の付設位置から管状体の長さ方向に沿って伸びる延長線上とは異なる位置に付設された第二の振動波発生検出手段を有する構造体により測定された、前記管状体の壁体を伝わる振動波の伝達時間を用いて管状体の内部を移動する流体の流量を測定する方法。
【選択図】 図8

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、管状体の内部を移動する流体の流量の測定方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
管状体の内部を移動する流体の流量を測定する流量計のうちの一つとして、クランプオン型超音波流量計が知られている。クランプオン型超音波流量計は、管状体の外側表面に付設され、管状体の内部を移動する流体の流量を、管状体の外部にて測定する流量計である。
【0003】
図1は、クランプオン型超音波流量計を用いた従来の流体の流量測定方法を説明する断面図である。クランプオン型超音波流量計は、一対の超音波発生検出手段1a、1bから構成されている。図1に記入した矢印7は、管状体の内部の流体の移動方向を示している。
【0004】
超音波発生検出手段1aは、超音波振動子2aと超音波伝搬材3aから構成されている。超音波振動子2aは、超音波伝搬材3aの斜面5aに付設されている。超音波振動子2aとしては、圧電振動子が用いられている。圧電振動子は、圧電セラミックと、その両面に付設された一対の電極とから構成されている。超音波発生検出手段1bの構成は、超音波発生検出手段1aと同様である。
【0005】
超音波振動子2a、2bのそれぞれは、その電極に電圧を印加すると超音波を発生し、そして超音波が付与されるとその電極に電圧を発生する。従って、超音波振動子が備えられた超音波発生検出手段1a、1bのそれぞれは、超音波の発生手段でもあり、検出手段でもある。
【0006】
管状体の内部を移動する流体の流量は、以下のようにして測定される。先ず、超音波発生検出手段1aの超音波振動子2aに電圧パルスを印加して、超音波を発生させる。超音波は、図1に記入した破線9に沿って、超音波伝搬材3a、管状体の壁体6、流体、管状体の壁体6、そして超音波伝搬材3bをこの順に伝わり、そして超音波発生検出手段1bの超音波振動子2bに到達する。そして超音波が、超音波発生検出手段1aから流体内を伝わって、超音波発生検出手段1bに到達するまでの伝達時間(T)を測定する。
【0007】
次に、超音波発生検出手段1bの超音波振動子2bに電圧パルスを印加して、超音波を発生させる。超音波は、前記の経路を逆の向きに伝わり、そして超音波発生検出手段1aの超音波振動子2aに到達する。そして超音波が、超音波発生検出手段1bから流体内を伝わって、超音波発生検出手段1aに到達するまでの伝達時間(T)を測定する。
【0008】
超音波の伝達時間T、Tは、超音波が流体内を伝わる方向(図1に記入した矢印9a、9bの示す方向)により、互いに異なる値となる。
【0009】
超音波発生検出手段1aから超音波発生検出手段1bに(矢印9aが示す方向に)伝わる超音波は、流体の流れに乗って流体内を伝わるので、伝達時間(T)は、流体が静止している場合よりも小さな値を示す。
【0010】
超音波発生検出手段1bから超音波発生検出手段1aに(矢印9bが示す方向に)伝わる超音波は、流体の流れに逆らって流体内を伝わるので、伝達時間(T)は、流体が静止している場合よりも大きな値を示す。
【0011】
これらの伝達時間の差(T−T)は、管状体の内部を移動する流体の流量(流速)と相関がある。そして、この伝達時間の差と、別に用意された超音波の伝達時間の差と流量との関係を示す較正用のデータとを比較することによって、管状体の内部を移動する流体の流量を決定する。
【0012】
クランプオン型超音波流量計は、工場などに既設の管状体を取り外すことなく、その内部を移動する流体の流量を測定することができるという大きな利点を有している。また、クランプオン型超音波流量計は、内径の小さな管状体の内部を移動する流体の流量を測定した場合に、流量の測定精度が低下するという欠点を有している。管状体の内径が小さい場合、超音波が流体内を伝わる距離が短くなり、前記の伝達時間の差が非常に小さな値となる。このため、測定される伝達時間の差に含まれる誤差の割合が大きくなり、流量の測定精度が低下する。市販のクランプオン型超音波流量計では、測定可能な管状体の内径は、通常25mm程度以上とされている。
【0013】
内径の小さな管状体は、例えば、食品、医薬品、化学製品、もしくは半導体デバイスなどを製造する際に微量で使用される流体を移動するために用いられている。そして、このような内径の小さな管状体の内部を移動する流体の流量を、高い精度で測定する方法が望まれている。内径の小さな管状体は、治療中の患者に対して、薬液や血液などを連続的に投与する際にも用いられている。患者に投与される薬液や血液の流量は、高い精度で測定する必要がある。
【0014】
非特許文献1には、内径の小さな管状体の内部を移動する流体の流量測定に用いることができる超音波流量計について記載されている。この超音波流量計は、一対のリング状の超音波振動子(超音波発生検出手段)から構成されている。一対のリング状の超音波振動子は、その各々の孔に、測定対象の流体を移動させる管状体を通すことにより管状体の外側表面に付設される。
【0015】
リング状の超音波振動子を用いた超音波流量計により、管状体の内部を移動する流体の流量は、以下のようにして測定される。先ず、一方の超音波振動子にて超音波を発生させ、この超音波が流体内を管状体の長さ方向に伝わって、他方の超音波振動子に到達するまでの伝達時間を測定する。次いで前記の他方の超音波振動子にて超音波を発生させ、この超音波が流体内を管状体の長さ方向に伝わって、前記の一方の超音波振動子に到達するまでの伝達時間を測定する。そして、測定された伝達時間の差と、別に用意された超音波の伝達時間の差と流量との関係を示す較正用のデータとを比較することによって、管状体の内部を移動する流体の流量を決定する。
【0016】
リング状の超音波振動子を用いた超音波流量計においては、超音波が流体内を管状体の長さ方向に沿って伝わる。従って、一対のリング状の超音波振動子の間隔を広げることにより、超音波が流体内を伝わる距離を長く設定することができる。このため、リング状の超音波振動子を用いた超音波流量計により、内径が小さな管状体の内部を移動する流体の流量を高い精度で測定できるとされている。
【0017】
しかし、リング状の超音波振動子を用いた超音波流量計は、工場などに既設の管状体の内部を移動する流体の流量を測定するためには、管状体を取り外して流量計を設置する必要があるという問題を有している。
【0018】
また、内径の小さな管状体の内部を移動する流体の流量の測定に、電磁流量計を用いることも知られている。電磁流量計は、管状体の内径が小さい場合であってもその内部を移動する流体の流量を高い精度で測定することができる。しかし、工場などに既設の管状体の内部を移動する流体の流量を測定するためには、管状体を取り外して流量計を設置する必要があるという問題を有している。
【0019】
【非特許文献1】
石川博朗等著,「液体用超音波微小流量計のセンサ配置と流量特性」,計測自動制御学会論文集,2000年,第36巻,第12号,p.1071−1078
【0020】
【発明が解決しようとする課題】
本発明者は、既設の管状体を取り外すことなく、その内部を移動する流体の流量の測定が可能であり、そして内径の小さな管状体の内部を移動する流体の流量の測定に好ましい流量測定方法の発明について、2002年11月13日に国際出願(国際出願番号:PCT/JP02/11821号)をした。
【0021】
上記国際出願をした発明は、下記の工程を含む流路を移動する流体の流量の測定方法にある。
(1)壁体によって区画された管もしくは溝状の流路、及びその壁体の外側表面もしくは内側表面に流路に沿って配設された第一の振動波発生検出手段と第二の振動波発生検出手段を有する構造体を用意する工程。
(2)流路に測定対象の流体を移動させる工程。
(3)第一の振動波発生検出手段にて振動波を発生させ、その振動波を壁体に付与する工程。
(4)上記振動波が、該振動波の付与によって、移動する流体と共に振動する壁体を伝わって第二の振動波発生検出手段に到達するまでの伝達時間を測定する工程。
(5)第二の振動波発生検出手段にて振動波を発生させ、その振動波を壁体に付与する工程。
(6)上記振動波が、該振動波の付与によって、移動する流体と共に振動する壁体を伝わって第一の振動波発生検出手段に到達するまでの伝達時間を測定する工程。
(7)上記(4)の工程で測定した伝達時間と上記(6)の工程で測定した伝達時間との差を算出する工程。
(8)上記(1)の工程で用いた構造体もしくは該構造体の均等物の流路に、上記(2)の工程で用いた流体もしくは該流体の均等物を既知の流量で移動させて、上記(3)と(4)に記載の測定、そして上記(5)と(6)に記載の測定を行ない、次いで上記(7)に記載の伝達時間の差を算出して作製した、流量と振動波の伝達時間の差との関係を示す較正用データを用意する工程。
(9)上記(7)の工程で算出した伝達時間の差と、上記(8)の工程で用意した較正用データとを比較することによって、上記(2)の工程で移動した流体の流量を決定する工程。
【0022】
この流量測定方法は、これまでは流量を測定する際にノイズと考えられていた管状体の壁体を伝わる振動波を用いて、管状体の内部を移動する流体の流量の測定をするものである。
【0023】
このような、管状体の壁体を伝わる振動波を用いた流量測定方法により、管状体の内部を移動する流体の流量を問題なく測定することができる。本発明者は、この流量測定方法(以下、改良前の方法と記載する)を、管状体の内部を移動する流体の流量を測定する場合に、管状体の形状や配置、そして管状体に対する振動波発生検出手段の配置の違いによって生ずる流量値の僅かな変動を低減させて改良することを検討した。
【0024】
本発明の目的は、既設の管状体を取り外すことなく、その内部を移動する流体の流量の測定が可能であり、管状体の形状や配置、そして管状体に対する振動波発生検出手段の配置の違いによる流量値の変動が低減され、そして内径の小さな管状体の内部を移動する流体の流量の測定に好ましい流量測定方法を提供することにある。
【0025】
【課題を解決するための手段】
本発明は、下記の工程を含むことを特徴とする管状体の内部を移動する流体の流量測定方法にある。
(1)管状体、該管状体の外側表面に付設された第一の振動波発生検出手段、および該第一の振動波発生検出手段から管状体の長さ方向に沿って間隔をあけて、かつ該管状体の外側表面の第一の振動波発生検出手段の付設位置から管状体の長さ方向に沿って伸びる延長線上とは異なる位置に付設された第二の振動波発生検出手段を備えた構造体を用意する工程。
(2)管状体の内部で測定対象の流体を一方の方向に移動させる工程。
(3)第一の振動波発生検出手段にて振動波を発生させ、この振動波を管状体の壁体に付与する工程。
(4)上記振動波が、該振動波の付与によって、移動する流体と共に振動する壁体を伝わって第二の振動波発生検出手段に到達するまでの伝達時間を測定する工程。
(5)第二の振動波発生検出手段にて振動波を発生させ、この振動波を管状体の壁体に付与する工程。
(6)上記振動波が、該振動波の付与によって、移動する流体と共に振動する壁体を伝わって第一の振動波発生検出手段に到達するまでの伝達時間を測定する工程。
(7)上記(4)の工程で測定した伝達時間と、上記(6)の工程で測定した伝達時間との差を算出する工程。
(8)上記(1)の工程で用いた構造体もしくは該構造体の均等物の管状体の内部にて、上記(2)の工程で用いた流体もしくは該流体の均等物を、既知の流量で一方の方向に移動させて、上記(3)と(4)に記載の測定、そして上記(5)と(6)に記載の測定を行ない、次いで上記(7)に記載の伝達時間の差を算出して作成した、振動波の伝達時間の差と流量との関係を示す較正用データを用意する工程。
(9)上記(7)の工程で算出した伝達時間の差と、上記(8)の工程で用意した較正用データとを用いて、上記(2)の工程で移動した流体の流量を決定する工程。
【0026】
以下、このような流量測定方法を、第一の方法と記載する。第一の方法の好ましい態様は、下記の通りである。
1)第二の振動波発生検出手段が、管状体の外側表面の該管状体の中心軸に対して、第一の振動波発生検出手段の付設位置から伸びる延長線と対称の位置に付設されている。
2)管状体の第一の振動波発生検出手段の付設位置と第二の振動波発生検出手段の付設位置との間の部分が、管状体の中心軸に沿って湾曲している。
3)管状体の第一の振動波発生検出手段の付設位置と第二の振動波発生検出手段の付設位置との管状体の中心軸に沿った両外側部分のうちの少なくとも一方の側の部分が、管状体の中心軸に沿って湾曲している。
4)各々の振動波発生検出手段が、振動子と振動方向制御素子とを含み、前記の振動子で発生した振動波を、主として管状体の壁体に対して垂直な方向に振動する振動波として管状体に付与する。
【0027】
本発明はまた、下記の工程を含むことを特徴とする管状体の内部を移動する流体の流量の測定方法にもある。
(1)管状体、該管状体の外周に沿って互いに間隔をあけて付設された複数の振動波発生検出手段からなる第一の組の振動波発生検出手段、および該第一の組の振動波発生検出手段から管状体の長さ方向に沿って間隔をあけて、該管状体の外周に沿って互いに間隔をあけて付設された複数の振動波発生検出手段からなる第二の組の振動波発生検出手段を備えた構造体を用意する工程。
(2)管状体の内部で測定対象の流体を一方の方向に移動させる工程。
(3)第一の組の各々の振動波発生検出手段にて振動波を同時に発生させ、これらの複数の振動波を管状体の壁体に付与する工程。
(4)上記複数の振動波が、該複数の振動波の付与によって、移動する流体と共に振動する壁体を伝わって第二の組の振動波発生検出手段に到達するまでの伝達時間を、前記複数の振動波の到達を、その各々の振動波が第二の組の各々の振動波発生検出手段に到達することにより発生する電気信号の和として検出することにより測定する工程。
(5)第二の組の各々の振動波発生検出手段にて振動波を同時に発生させ、これらの複数の振動波を管状体の壁体に付与する工程。
(6)上記複数の振動波が、該複数の振動波の付与によって、移動する流体と共に振動する壁体を伝わって第一の組の振動波発生検出手段に到達するまでの伝達時間を、前記複数の振動波の到達を、その各々の振動波が第一の組の各々の振動波発生検出手段に到達することにより発生する電気信号の和として検出することにより測定する工程。
(7)上記(4)の工程で測定した伝達時間と、上記(6)の工程で測定した伝達時間との差を算出する工程。
(8)上記(1)の工程で用いた構造体もしくは該構造体の均等物の管状体の内部にて、上記(2)の工程で用いた流体もしくは該流体の均等物を、既知の流量で一方の方向に移動させて、上記(3)と(4)に記載の測定、そして上記(5)と(6)に記載の測定を行ない、次いで上記(7)に記載の伝達時間の差を算出して作成した、振動波の伝達時間の差と流量との関係を示す較正用データを用意する工程。
(9)上記(7)の工程で算出した伝達時間の差と、上記(8)の工程で用意した較正用データとを用いて、上記(2)の工程で移動した流体の流量を決定する工程。
【0028】
以下、このような流量測定方法、第二の方法と記載する。第二の方法の好ましい態様は、下記の通りである。
1)各々の組の複数の振動波発生検出手段が、管状体の外周を等分する位置に付設されている。
2)管状体の第一の組の振動波発生検出手段の付設位置と第二の組の振動波発生検出手段の付設位置との間の部分が、管状体の中心軸に沿って湾曲している。
3)管状体の第一の組の振動波発生検出手段の付設位置と第二の組の振動波発生検出手段の付設位置との管状体の中心軸に沿った両外側部分のうちの少なくとも一方の側の部分が、管状体の中心軸に沿って湾曲している。
4)各々の振動波発生検出手段が、振動子と振動方向制御素子とを含み、前記の振動子で発生した振動波を、主として管状体の壁体に対して垂直な方向に振動する振動波として管状体に付与する。
【0029】
なお、上記本発明の流量測定方法(第一の方法および第二の方法)において、較正用データを用意するために用いられる構造体の均等物とは、流量を測定するための構造体と同一の物性を示す材料を用いて同一の構成とした、別の構造体を意味する。同様に、測定対象の流体の均等物とは、構造体に移動させる測定対象の流体と密度が実質的に等しい流体、あるいは構造体の均等物に移動させる測定対象の流体と同じ流体もしくは測定対象の流体と密度が実質的に等しい流体を意味する。密度が実質的に等しいとは、流体の均等物の密度の値が、測定対象の流体の密度の値の0.3乃至1.7倍の範囲にあることを意味する。流体の均等物の密度の値は、測定対象の流体の密度の値の0.4乃至1.6倍の範囲にあることが好ましい。流体の均等物としては、測定対象の流体と同じ流体を用いることが最も好ましい。但し、測定対象の流体が引火性や毒性などを有して取り扱いに注意が必要である場合には、較正用データを用意するために前記流体の均等物(例えば、水など)を用いることもできる。
【0030】
本発明はまた、上側部分と下側部分とに分離可能な細長い形状の容器の内部に、前記の容器上側部分の内側面と容器下側部分の内側面とのそれぞれに固定され、容器の長さ方向に垂直な方向に沿って互いに対向するように配置された一対の振動波発生検出手段からなる第一の組の振動波発生検出手段、および第一の組の振動波発生検出手段から容器の長さ方向に沿って間隔をあけて前記の容器上側部分の内側面と容器下側部分の内側面とのそれぞれに固定され、容器の長さ方向に垂直な方向に沿って互いに対向するように配置された一対の振動波発生検出手段からなる第二の組の振動波発生検出手段が収容されてなり、前記の各々の振動波発生検出手段が、振動子と、この振動子で発生した振動波を主として前記容器の長さ方向に対して垂直な方向に振動する振動波とする振動方向制御素子とから構成されていることを特徴とする流量測定用の構造体にもある。
【0031】
本発明はまた、一対の透孔を備えた容器、前記の一対の透孔を通って前記容器に一部分が収容されている内部に流量測定対象の流体を移動させる管状体、前記容器内部の管状体の外周に沿って、かつ管状体の中心軸に対して対称の位置に付設された一対の振動波発生検出手段からなる第一の組の振動波発生検出手段、および第一の組の振動波発生検出手段から管状体の長さ方向に沿って間隔をあけて配置され、前記容器内部の管状体の外周に沿って、かつ管状体の中心軸に対して対称の位置に付設された一対の振動波発生検出手段からなる第二の組の振動波発生検出手段を備え、前記の各々の振動波発生検出手段が、振動子と、この振動子で発生した振動波を主として管状体の壁体に対して垂直な方向に振動する振動波とする振動方向制御素子とから構成されていることを特徴とする流量測定用の構造体にもある。
【0032】
本発明の流量測定用の構造体の好ましい構成は、下記の通りである。
1)管状体が、その第一の組の振動波発生検出手段の付設位置と第二の組の振動波発生検出手段の付設位置との間に、前記管状体の中心軸を含む対称面内にて中心軸が湾曲している湾曲部を有している。
2)湾曲部の形状がU字状の形状にある。
3)上記1)及び2)の構造体の管状体の湾曲部、もしくは管状体の湾曲部及びその延長部の一部が、容器の内側面に付設され、前記対称面に垂直な一対の支持面を備える支持部材の前記一対の支持面によって狭まれた状態で固定されている。
【0033】
【発明の実施の形態】
まず、本発明の流量測定方法に用いられる、管状体の壁体を伝わる振動波、およびこの振動波を用いた流量測定方法の原理について説明する。
【0034】
管状体の内部を移動する流体の流量を測定するために、管状体、および管状体の外側表面に管状体の長さ方向に沿って付設された一対の振動波発生検出手段から構成される流量測定用の構造体を用意する。
【0035】
図2は、管状体に振動波を付与するために用いられる振動波発生検出手段の一例の構成を示す斜視図である。振動波発生検出手段21は、振動方向制御素子23の二つの側面のそれぞれに、振動子22a、22bが付設された構成を有している。
【0036】
振動子22a、22bのそれぞれとしては、板状の圧電セラミックと、その各々の平面に付設された電極(図示は略する)とから構成される圧電振動子が用いられている。圧電セラミックの幅Wは10mm、高さHは25mm、そして厚みTは0.5mmである。圧電セラミックは、その厚み方向(図2に記入した矢印27の示す方向)に分極されている。振動子22a、22bのそれぞれは、その電極に電圧を印加することにより、図2に記入した矢印20の示す方向に振動する。圧電セラミックは、ジルコン酸チタン酸鉛系のセラミック材料から形成されている。
【0037】
振動子22a、22bは、電気的に並列に接続されている。振動波発生検出手段による振動波の発生、そして検出は、この並列接続された振動子22a、22bに電圧を印加、そして並列接続された振動子にて発生する電圧を検出することにより実施される。なお、振動子の電気的な接続方法(すなわち、振動子に電圧を印加する方法、そして振動子にて発生する電圧を検出する方法)は、上記の例に限定されるわけではない。
【0038】
振動方向制御素子23としては、樹脂材料シート28中に複数本の高弾性繊維29がシート平面に沿って平行に整列配置された繊維強化樹脂シートの複数枚が、底面24に垂直な方向に積層、そして一体化された構成の繊維強化樹脂材が用いられている。繊維強化樹脂材の幅Wは10mm、高さHは27mm、そして厚みTは3mmである。繊維強化樹脂材を構成する樹脂材料としてはエポキシ樹脂が、そして高弾性繊維としては炭素繊維が用いられている。
【0039】
振動波発生検出手段21は、振動子22a、22bに電圧を印加することにより振動波を発生する。この振動波は、振動方向制御素子23の内部を伝わる。振動方向制御素子23の複数本の高弾性繊維29は、その長さ方向に沿った振動の発生を抑制する。このため振動波は、振動方向制御素子23の底面24に向かって伝わる。振動波は、振動方向制御素子23の内部を主に縦波成分からなる振動波として伝わるので、その振動方向は、振動方向制御素子の底面24に垂直な方向となる。従って、流量測定対象の流体を移動させる管状体の外側表面に、振動波発生検出手段21を、その底面24が管状体の外側表面に接するようにして付設した場合、振動波発生検出手段は、その各々の振動子で発生した振動波を、主として管状体の壁体に対して垂直な方向に振動する振動波として管状体に付与する。振動方向制御素子については、特開平7−284198号公報に詳しい記載がある。
【0040】
次に、図2の振動波発生検出手段21の一対を、管状体の外側表面に管状体の長さ方向に沿って付設し、一方の振動波発生検出手段(第一の振動波発生検出手段という)にて振動波を発生して、この振動波を管状体に付与した場合に、他方の振動波発生検出手段(第二の振動波発生検出手段という)にて検出される振動波について説明する。なお、各々の振動波発生検出手段は、振動方向制御素子の高弾性繊維の長さ方向が管状体の長さ方向と一致するように管状体の外側表面に付設した。第二の振動波発生検出手段は、第一の振動波発生検出手段から管状体の長さ方向に沿って間隔をあけて、かつ管状体の外側表面の第一の振動波発生検出手段の付設位置から管状体の長さ方向に沿って伸びる延長線上に付設した。
【0041】
図3は、外径が2mm、そして内径が1mmのステンレススチール製の管状体の内部に水を満たした状態(水は静止している状態)において、その外側表面に付設された第一の振動波発生検出手段に印加した電圧の波形(S)、および第二の振動波発生検出手段にて検出された振動波に対応する電気信号の電圧波形(S)を示す図である。一対の振動波発生検出手段の間隔(第一の振動波発生検出手段の振動方向制御素子の幅方向の中央の位置と、第二の振動波発生検出手段の振動方向制御素子の幅方向の中央の位置との間の距離)は、300mmに設定した。
【0042】
図3の電圧波形(S)に示すように、第一の振動波発生検出手段の各々の振動子には、周波数が56kHz、そして振幅が30V(ピークピーク値)である正弦波電圧の4周期を印加した。管状体の壁体は、この正弦波電圧の印加により第一の振動波発生検出手段にて発生した振動波が付与されることにより、管状体の内部で静止している流体と共に振動する。
【0043】
図3に示すように、第一の振動波発生検出手段にて発生した振動波が、第二の振動波発生検出手段に到達するまでの伝達時間(T)は154μ秒であった。一対の振動波発生検出手段の間隔は300mmであるため、第二の振動波発生検出手段にて検出された振動波の速度は約1948m/秒となる。
【0044】
一般に、振動波は、液体中もしくは気体中を縦波としてのみ伝わり、固体中を縦波、横波、あるいは縦波成分と横波成分とを有する波として伝わることが知られている。そして、水を伝わる振動波(縦波)の速度は、約1450m/秒であることも知られている。従って、上記の第二の振動波発生検出手段にて検出された振動波は、管状体の壁体を伝わる振動波であることがわかる。また、一般に、ステンレススチールを伝わる縦波成分のみからなる振動波の速度は、約5790m/秒であることが知られている。従って、上記の第二の振動波発生検出手段にて検出された振動波は、管状体の壁体を低速で伝わる横波成分を有する振動波であることがわかる。
【0045】
次に、このステンレススチール製の管状体の内部の水を、第一の振動波発生検出手段から第二の振動波発生検出手段へと向かう方向に移動させた。
【0046】
そして、管状体の内部の水を移動させた状態で、振動波が、第一の振動波発生検出手段から管状体の壁体を伝わって、第二の振動波発生検出手段に到達するまでの伝達時間(T)を測定した。管状体の壁体は、第一の振動波発生検出手段にて発生した振動波が付与されることにより、管状体の内部を移動する流体と共に振動する。前記時間測定の結果、伝達時間(T)は、管状体内部の水の流れの影響を受けて、水が静止している場合の振動波の伝達時間(図3のT)よりも小さな値を示した。なお、第二の振動波発生検出手段にて検出された電圧波形は、図3の電圧波形Sとの時間差が極僅か(数十ナノ秒程度)であるため、図示は略する。
【0047】
次いで、振動波が、第二の振動波発生検出手段から管状体の壁体を伝わって、第一の振動波発生検出手段に到達するまでの伝達時間(T)を測定した。その結果、伝達時間(T)は、管状体内部の水の流れの影響を受けて、水が静止している場合の伝達時間(T)よりも大きな値を示した。
【0048】
そして、このようにして測定した伝達時間(T)と伝達時間(T)との差(T−T)の値が、管状体の内部を移動する流体(水)の流量値と相関があることが判明した。従って、測定された伝達時間の差と、別に用意された超音波の伝達時間の差と流量との関係を示す較正用のデータを用いて、管状体の内部を移動する流体の流量を測定することができる。
【0049】
図4は、上記のステンレススチール製の管状体の内部で水を移動させた状態において、電磁流量計により測定された水の流量と、管状体の壁体を伝わる振動波を用いた流量測定方法(改良前の方法)により測定された水の流量との関係を示すグラフである。図4に示すように、管状体の壁体を伝わる振動波を用いた流量測定方法により測定された水の流量は、電磁流量計により測定された水の流量とほぼ一致することがわかる。このように、管状体の壁体を伝わる振動波を用いた流量測定方法により、内径の小さな管状体の内部を移動する流体の流量を測定することができる。
【0050】
図5は、管状体に振動波を付与するために用いられる振動波発生検出手段の別の構成例を示す図である。振動波発生検出手段51は、円盤状の振動子52と、円盤状の振動方向制御素子53とが積層された構成を有している。
【0051】
円盤状の振動子52としては、円盤状の圧電セラミックと、その平面のそれぞれに付設された電極(図示は略する)とから構成される圧電振動子が用いられている。圧電セラミックの直径は10mm、そして厚みは1.0mmである。圧電セラミックは、その厚み方向(図5に記入した矢印27の示す方向)に分極されている。円盤状の振動子52は、その電極に電圧を印加することにより、円盤の径方向に(円盤面が拡縮するように)振動する。円盤状の振動子が前記のように振動すると、振動子は、そのポアソン比に基づいて厚み方向にも振動する。圧電セラミックは、ジルコン酸チタン酸鉛系のセラミック材料から形成されている。
【0052】
振動方向制御素子53としては、樹脂材料シート58中に複数本の高弾性繊維59aがシート平面に沿って平行に整列配置された繊維強化樹脂シートの複数枚が、底面54に垂直な方向に積層、そして一体化された構成の繊維強化樹脂材が用いられている。図5に示すように、振動方向制御素子53は、複数枚の繊維強化樹脂シートが、隣接する各シートの備える高弾性繊維の長さ方向が互いに直交するように交互に積層された構成を有している。図5に記入した破線59bは、前記の高弾性繊維59aを備える繊維強化樹脂シートに隣接する繊維強化樹脂シートが備える高弾性繊維を示している。繊維強化樹脂材の直径は10mm、そして厚みは2.5mmである。繊維強化樹脂材を構成する樹脂材料としてはエポキシ樹脂が、そして高弾性繊維としては炭素繊維が用いられている。
【0053】
振動方向制御素子53として用いる繊維強化樹脂材は、その内部の高弾性繊維によって前記円盤状の振動子の円盤の径方向の振動を抑制し、そして振動子の厚み方向に振動する振動波を、選択的に振動方向制御素子の底面54へと伝える。
【0054】
次に、図5の振動波発生検出手段51の一対(第一の振動波発生検出手段及び第二の振動波発生検出手段)を、管状体の外側表面に管状体の長さ方向に沿って付設した。管状体としては、外径が6mm、そして内径が4mmのアクリル樹脂製の管状体を用いた。
【0055】
各々の振動波発生検出手段は、その振動方向制御素子の高弾性繊維59aの長さ方向と、管状体の長さ方向とのなす角度が45度になるようにして、管状体の外側表面に付設した。第二の振動波発生検出手段は、第一の振動波発生検出手段から管状体の長さ方向に沿って間隔をあけて、かつ管状体の外側表面の第一の振動波発生検出手段の付設位置から管状体の長さ方向に沿って伸びる延長線上に付設した。一対の振動波発生検出手段の間隔(円盤状の第一の振動波発生検出手段の円盤の中心の位置と、円盤状の第二の振動波発生検出手段の円盤の中心の位置との間の距離)は、100mmに設定した。
【0056】
そして、管状体の内部に水を満たした状態(水は静止している状態)において、その外側表面に付設された第一の振動波発生検出手段の振動子に電圧を印加して振動波を発生し、この振動波が第二の振動波発生検出手段に到達するまでの伝達時間を測定した。なお、第一の振動波発生検出手段の振動子には、周波数が248kHz、そして振幅が30V(ピークピーク値)である正弦波電圧の4周期を印加した。
【0057】
その結果、第一の振動波発生検出手段にて発生した振動波が、第二の振動波発生検出手段に到達するまでの伝達時間(T)は73.6μ秒であった。一対の振動波発生検出手段の間隔は100mmであるため、第二の振動波発生検出手段にて検出された振動波の速度は、約1359m/秒となる。
【0058】
前記のように、一般に、水を伝わる振動波(縦波)の速度は、約1450m/秒であることが知られている。従って、上記の第二の振動波発生検出手段にて検出された振動波は、管状体の壁体を伝わる振動波であることがわかる。また、一般に、アクリル樹脂を伝わる縦波成分のみからなる振動波の速度は約2730m/秒であることが知られている。従って、上記の第二の振動波発生検出手段にて検出された振動波は、管状体の壁体を低速で伝わる横波成分を有する振動波であることがわかる。
【0059】
そして、上記の図2の振動波発生検出手段を用いる場合と同様にして、管状体の内部の水を移動させ、管状体の壁体を伝わる振動波の伝達時間の差の値を用いて水の流量を測定した。その結果、同様に管状体の壁体を伝わる振動波を用いた流量測定方法により測定された水の流量が、電磁流量計により測定された流量とほぼ一致することが確認できた。このように、管状体の壁体を伝わる振動波を用いた流量測定方法(改良前の方法)により、内径の小さな管状体の内部を移動する流体の流量を測定することができる。
【0060】
従来の超音波流量計においては、管状体の壁体を伝わる振動波は、流量を測定する際のノイズと考えられていた。例えば、特開2000−180228号公報には、超音波流量計を用いて流量を測定をする際に、管状体の壁体を伝わる振動波を除去するために、管状体の壁体にフランジ状の音響フィルタを付設する技術について記載されている。
【0061】
本発明者は、このような管状体の壁体を伝わる振動波を用いた流量測定方法について、前記の国際出願をした。管状体の壁体を伝わる振動波を用いた流量測定方法(改良前の方法)は、一対の振動波発生検出手段の間隔を、管状体の内径とは無関係に大きな値に設定することができるため、管状体の内径が小さい場合であっても、その内部を移動する流体の流量を高い精度で測定することができる。また、流量を測定するために、既設の管状体を取り外す必要がない。
【0062】
このような流量測定方法においては、管状体の内部を移動する流体の影響を受けながら管状体の壁体を伝わる振動波を用いて流体の流量を測定している。このような管状体の壁体を伝わる振動波が、管状体の内部を移動する流体の影響を受ける原因は、次のように推測される。
【0063】
管状体の壁体を伝わる振動波は、流量測定とは別の分野で利用されている。N.Kanabe等の技術報告( J.Acoust.Soc.Am.,Vol.93,No.6,p.3235,1993−06)には、超音波振動子により、管状体の壁体をその長さ方向に沿って伝わる振動波を発生させ、この振動波により管状体内部にある粉体を輸送する技術について記載されている。この振動波は、振動方向が管状体の壁体に垂直で、そして管状体の長さ方向に沿って伝わる主として横波成分からなる振動波である。
【0064】
そして前記の流量測定方法に用いる振動波も、この文献に記載されているように、主として横波成分からなる振動波として、管状体の壁体を伝わっていると理解される。そして管状体の壁体を伝わる振動波は、この振動波の付与によって振動する管状体の壁体が、管状体の内部で流体を移動させた場合に管状体と共に振動する流体において発生するコリオリ力を受けるために、その位相(振動波の伝達時間に対応する)が変化すると理解される。
【0065】
また、流量測定に用いる振動波としては、上記の主として横波成分からなる振動波のみでなく、管状体の壁体を伝わる様々な振動波を用いることができる。振動波の一例としては、板波が挙げられる。板波とは、縦波と横波が板の上下面(本発明においては、管状体の壁体の外側表面と内側表面)にて反射を繰り返しながら伝わる振動波である。また、板波は、板の上下面において縦波と横波の振動モードの変換を伴いながら板を伝わる振動波である。このように、板(本発明においては、管状体の壁体)を伝わる板波も、本発明の流量測定方法における振動波として用いることができる。
【0066】
そして、振動波が第一の振動波発生検出手段から第二の振動波発生検出手段に伝わる場合と、第二の振動波発生検出手段から第一の振動波発生検出手段に伝わる場合とで、管状体の壁体が流体から受けるコリオリ力の位相(方向)が180度異なるために、振動波が流体の移動方向に沿って壁体を伝わるときには、伝達時間が短くなり、振動波が流体の移動方向とは逆の方向に沿って壁体を伝わるときには、伝達時間が長くなると理解される。そして管状体の壁体は、流体の流量に対応する大きさのコリオリ力を受けるため、壁体を伝わる振動波の伝達時間をもとに管状体の内部を流れる流体の流量が測定できると理解される。なお、流体が気体である場合にもコリオリ力は発生するので、管状体の壁体を伝わる振動波を用いた流量測定方法により、気体の流量も測定することができる。
【0067】
次に、本発明の流量測定方法を、改良前の方法と対比させながら、各々の方法により管状体の内部を移動する水の流量を測定した実験結果と共に説明する。実験では、管状体に振動波を付与する振動波発生検出手段として、図6に示す構成の振動波発生検出手段を用いた。
【0068】
図6は、管状体に振動波を付与するために用いられる振動波発生検出手段の別の構成例を示す斜視図である。振動波発生検出手段61は、平板状の振動子62と、平板状の振動方向制御素子63とが積層された構成を有している。
【0069】
平板状の振動子62としては、平板状の圧電セラミックと、その平面のそれぞれに付設された電極(図示は略する)とから構成される圧電振動子が用いられている。圧電セラミックの厚みは1.0mmであり、そしてその平面は一辺が5.5mmの正方形の形状とされている。圧電セラミックは、その厚み方向(図6に記入した矢印27の示す方向)に分極されている。振動子62は、その電極に電圧を印加することにより、その平面が拡縮するように振動する。平板状の振動子が前記のように振動すると、振動子は、そのポアソン比に基づいて厚み方向にも振動する。圧電セラミックは、ジルコン酸チタン酸鉛系のセラミック材料から形成されている。
【0070】
振動方向制御素子63としては、樹脂材料シート中に複数本の高弾性繊維がシート平面に沿って平行に整列配置された繊維強化樹脂シートの複数枚が、底面64に垂直な方向に積層、そして一体化された構成の繊維強化樹脂材が用いられている。振動方向制御素子63は、複数枚の繊維強化樹脂シートが、隣接する各シートの備える高弾性繊維の長さ方向が互いに直交するように交互に積層された構成を有している。図6に記入した破線の矢印69a、69bは、前記の隣接する繊維強化樹脂シートの各々が備える複数本の高弾性繊維維の長さ方向を示している。繊維強化樹脂材の厚みは2.0mmであり、そしてその平面は一辺が5.5mmの正方形の形状とされている。繊維強化樹脂材を構成する樹脂材料としてはエポキシ樹脂が、そして高弾性繊維としては炭素繊維が用いられている。図6に示すように、振動波発生検出手段61の底面64には、振動波発生検出手段を管状体の外側表面に安定に配置するための溝67が形成されている。
【0071】
振動方向制御素子63として用いる繊維強化樹脂材は、その内部の高弾性繊維によって前記平板状の振動子の平面を拡縮するような振動を抑制し、そして振動子の厚み方向に振動する振動波を、選択的に振動方向制御素子の底面64へと伝える。
【0072】
図6の振動波発生検出手段61は、管状体の外側表面に底面64が接するように付設された場合、振動方向制御素子63の複数本の高弾性繊維がその長さ方向に沿った振動の発生を抑制するために、振動子62で発生した振動波を、主として管状体の壁体に対して垂直な方向に振動する振動波として管状体に付与する。
【0073】
図7は、管状体の壁体を伝わる振動波を用いた流量測定方法(改良前の方法)を実施するために用意される流量測定用の構造体の構成例、及びその管状体と振動波発生検出手段の配置を説明する図である。
【0074】
図7(a)、図7(b)及び図7(c)は、いずれも改良前の方法を実施するために用意される構造体の構成例を示している。図7(a)、図7(b)及び図7(c)に示す各々の構造体は、管状体77、および管状体77の外側表面に管状体の長さ方向に沿って付設された第一の振動波発生検出手段61aと第二の振動波発生検出手段61bとから構成されている。各々の振動波発生検出手段としては、図6の振動波発生検出手段が用いられている。
【0075】
第一の振動波発生検出手段61aと第二の振動波発生検出手段61bとの間隔Lは、40mmに設定されている。そして管状体77としては、外径が3.17mm、そして内径が1.59mmのフッ素樹脂製の管状体が用いられている。
【0076】
図7(a)、図7(b)及び図7(c)に示すように、改良前の方法においては、第二の振動波発生検出手段61bは、管状体77の外側表面の第一の振動波発生検出手段61aの付設位置から管状体の長さ方向に沿って伸びる延長線上に付設されている。
【0077】
図7(b)及び図7(c)の構造体の構成は、管状体の配置、あるいは管状体に対する振動波発生検出手段の配置が異なっていること以外は、図7(a)の構造体と同様である。
【0078】
図7(a)の構造体においては、管状体77が水平方向に配置され、そして第一の振動波発生検出手段61aと第二の振動波発生検出手段61bとが、前記管状体の外側表面の頂部に配置されている。以下、管状体が水平方向に配置され、かつ第一の振動波発生検出手段が前記管状体の外側表面の頂部に配置されている構造体を、配置Aの構造体と記載する。
【0079】
図7(b)の構造体においては、管状体77が水平方向に配置され、そして第一の振動波発生検出手段61aと第二の振動波発生検出手段61bとが、前記管状体の外側表面の側部に配置されている。以下、管状体が水平方向に配置され、かつ第一の振動波発生検出手段が前記管状体の外側表面の側部に配置されている構造体を、配置Bの構造体と記載する。
【0080】
図7(c)の構造体においては、管状体77が垂直方向に配置され、そして第一の振動波発生検出手段61aと第二の振動波発生検出手段61bとが、前記管状体の長さ方向に沿って配置されている。以下、管状体が垂直方向に配置されている構造体を、配置Cの構造体と記載する。
【0081】
図7(a)、図7(b)及び図7(c)のいずれの構造体によっても、各々の構造体を用いて測定された伝達時間の差と、各々の構造体について用意された超音波の伝達時間の差と流量との関係を示す較正用のデータとを用いて、管状体の内部を移動する流体の流量を問題なく測定することができる。
【0082】
改良前の方法においては、例えば、図4(a)の配置Aの構造体を用いた流量測定の際に用意された較正用データを用いて、図4(b)の配置Bの構造体、あるいは図4(c)の配置Cの構造体を用いて測定された伝達時間の差から流量値を決定した場合に、測定された流量値に、配置Aの構造体を用いて測定された流量値に対して僅かに変動を生じる。すなわち、工場などに既設の管状体に一対の振動波発生検出手段を付設して流量測定用の構造体を用意して流量の測定をした場合に、既設管状体の配置、あるいはこの管状体に対する振動波発生検出手段の配置が、較正用データを用意した構造体と異なる場合には、測定される流量値に僅かに変動を生ずる。この変動の大きさは、通常の使用で問題となるレベルではないが、改良が望まれる。このような流量値の変動が低減されれば、例えば、配置Aの構造体について用意された較正用のデータと、既設の管状体の配置、あるいはこの管状体に対する振動波発生検出手段の配置が、配置Aの構造体とは異なる構造体によって測定された伝達時間の差とを用いて、流体の流量を安定に測定することが可能となる。
【0083】
以下に、改良前の方法における流量値の変動について、実験結果と共に説明する。実験では、図7(a)の配置Aの構造体による流量測定に用いられる較正用のデータを用いて、図7(b)の配置Bの構造体、そして図7(c)の配置Cの構造体により測定された流量値の、配置Aの構造体により測定された流量値に対する変動の大きさを評価した。
【0084】
まず、図7(a)の配置Aの構造体を用いた流量測定のために用意される較正用のデータについて説明する。まず、図7(a)の構造体の管状体77の内部に流体を既知の流量Vで移動させる。この既知の流量値は、例えば、構造体の管状体77に接続された電磁流量計などによって確認する。そして、管状体の壁体を伝わる振動波の伝達時間を測定することにより、伝達時間の差(ΔT=T−T)を算出する。振動波の伝達時間の差(ΔT)と、管状体77の内部を移動する流体の流量とは相関(ほぼ比例関係)がある。このことから、較正用のデータとしては、電磁流量計で測定された既知の流量値Vを、振動波の伝達時間の差ΔTで除して得られる比例定数k(=V/ΔT)を用いた。すなわち、管状体77の内部を移動する流体の流量値は、測定された伝達時間の差の値に、前記の比例定数kを乗ずることにより決定することができる。
【0085】
較正用データとしては、前記の比例定数k以外のものも用いることができる。例えば、振動波の伝達時間の差と、既知の流量との関係を示す較正曲線を用いることもできる。また、較正用データは、測定環境の温度、管状体の歪み、管状体の材料、あるいは測定対象の流体の種類などに対応するデータとすることもできる。
【0086】
実験では、図7(a)の構造体の管状体77の内部に水を移動させ、管状体77に接続された電磁流量計(図示は略する)の示す流量値を確認しながら、水の流量を100mL(ミリリットル)/分に調整した。図7に記入した矢印71は、管状体の内部の水の移動方向を示している。次いで、管状体77の壁体を伝わる振動波の伝達時間を測定して、前記の振動波の伝達時間の差を算出した。なお、振動波発生検出手段の振動子には、振動波を発生するためにパルス電圧(電圧値:30V(ピークピーク値)、パルス幅:約480n秒)を印加した。
【0087】
算出された振動波の伝達時間の差と、前記の電磁流量計により設定された流量値(100mL/分)とを用いて、較正用データ(比例常数k)を作成した。すなわち、電磁流量計の示す流量値が100mL/分である場合には、図7(a)の構造体を用いて測定される流量値も100mL/分となる。
【0088】
次に、図7(b)の配置Bの構造体の管状体の内部で水を移動させ、管状体77に接続された電磁流量計(図示は略する)の示す流量値を確認しながら、水の流量を100mL/分に調整した。次いで、管状体77の壁体を伝わる振動波の伝達時間を測定して、前記の振動波の伝達時間の差を算出した。そして測定された伝達時間の差と、図7(a)の配置Aの構造体に用意した較正用データ(前記の比例常数k)を用いて、管状体の内部を移動する水の流量を測定した。その結果、配置Bの構造体により測定された水の流量は、98.3mL/分であった。
【0089】
次に、図7(c)の配置Cの構造体の管状体の内部で水を移動させ、管状体77に接続された電磁流量計(図示は略する)の示す流量値を確認しながら、水の流量を100mL/分に調整した。次いで、管状体77の壁体を伝わる振動波の伝達時間を測定して、前記の振動波の伝達時間の差を算出した。そして測定された伝達時間の差と、図7(a)の配置Aの構造体に用意した較正用データ(前記の比例常数k)を用いて、管状体の内部を移動する水の流量を測定した。その結果、配置Cの構造体により測定された水の流量は、97.5mL/分であった。
【0090】
このように、配置Bの構造体、あるいは配置Cの構造体により、配置Aの構造体に用意された較正用データを用いて測定された流量値は、配置Aの構造体により測定された流量値(100mL/分)に対して僅かに変動を生ずることがわかる。
【0091】
第1表に、改良前の方法によって、配置Bの構造体、あるいは配置Cの構造体により測定された水の流量値と、測定された各々の流量値の、配置Aの構造体により測定された水の流量値に対する誤差の値を示す。第1表に示すように、配置Bの構造体により測定された水の流量値は、配置Aの構造体により測定された水の流量値に対して、−1.7mL/分の誤差を生じていることがわかる。同様に、配置Cの構造体により測定された水の流量値は、配置Aの構造体により測定された水の流量値に対して、−2.5mL/分の誤差を生じていることがわかる。
【0092】
このような流量値の誤差の値(変動量)は、通常の流量測定(例えば、工場などに既設の管状体の内部を移動する流体の流量測定など)においては、全く問題とならないレベルである。ただし、このような流量値の変動を低減することができれば、配置Aの構造体に用意した較正用データを用いて、一対の振動波発生検出手段を、工場などに既設の水平方向、垂直方向、あるいは斜め方向に配置された管状体のいずれに付設した場合、あるいは管状体の表面の頂部、側部、あるいは底部のいずれに付設した場合であっても管状体の内部を移動する流体の流量を高い信頼性で測定することが可能となる。なお、既設の管状体の配置、そしてこの管状体に対する振動波発生検出手段の配置を予め決定しておけば、この配置の構造体に対応する較正用データを用いて流量を測定することにより、このような流量値の変動を生じない。
【0093】
次に、本発明の流量測定方法(第一の方法)と、第一の方法における流量値の変動について説明する。図8は、本発明の流量の測定方法(第一の方法)を実施するために用意される流量測定用の構造体の例、及びその管状体と振動波発生検出手段の配置を説明する図である。
【0094】
本発明の流量測定方法(第一の方法)は、下記の(1)から(7)の工程を実施することを特徴とする。
(1)管状体77、この管状体77の外側表面に付設された第一の振動波発生検出手段61a、および第一の振動波発生検出手段から管状体の長さ方向に沿って間隔をあけて、かつ管状体の外側表面の第一の振動波発生検出手段61aの付設位置から管状体の長さ方向に沿って伸びる延長線上とは異なる位置に付設された第二の振動波発生検出手段61bを有する構造体を用意する工程。
(2)管状体77の内部に測定対象の流体を移動させる工程。
(3)第一の振動波発生検出手段61aにて振動波を発生させ、この振動波を管状体77の壁体に付与する工程。
(4)上記振動波が、該振動波の付与によって、移動する流体と共に振動する壁体を伝わって第二の振動波発生検出手段61bに到達するまでの伝達時間を測定する工程。
(5)第二の振動波発生検出手段61bにて振動波を発生させ、この振動波を管状体77の壁体に付与する工程。
(6)上記振動波が、該振動波の付与によって、移動する流体と共に振動する壁体を伝わって第一の振動波発生検出手段61aに到達するまでの伝達時間を測定する工程。
(7)上記(4)の工程で測定した伝達時間と、上記(6)の工程で測定した伝達時間との差を算出する工程。
(8)上記(1)の工程で用いた構造体もしくは該構造体の均等物の管状体の内部にて、上記(2)の工程で用いた流体もしくは該流体の均等物を、既知の流量で一方の方向に移動させて、上記(3)と(4)に記載の測定、そして上記(5)と(6)に記載の測定を行ない、次いで上記(7)に記載の伝達時間の差を算出して作成した、振動波の伝達時間の差と流量との関係を示す較正用データを用意する工程。なお、本発明の流量測定方法に含まれるこの(8)の工程は、次の(9)の工程を実施する前であれば、いつ実施してもよい(第一の方法以外についても同様である)。
(9)上記(7)の工程で算出した伝達時間の差と、上記(8)の工程で用意した較正用データとを用いて、上記(2)の工程で移動した流体の流量を決定する工程。
【0095】
第一の方法は、改良前の方法と同様に、一対の振動波発生検出手段を管状体の長さ方向に沿って配置する。第一の方法は、改良前の方法に用いられる構造体の第二の振動波発生検出61bを、管状体の外側表面の第一の振動波発生検出手段61aの付設位置から管状体の長さ方向に沿って伸びる延長線上とは異なる位置に付設することに特徴がある。管状体の外側表面に、このように一対の振動波発生検出手段を付設することにより、前記の流量値の変動を低減することができる。図8に示すように、第二の振動波発生検出手段61bは、管状体77の外側表面の管状体の中心軸に対して、第一の振動波発生検出手段61aの付設位置から伸びる延長線と対称の位置に付設されていることが好ましい。
【0096】
管状体の中心軸及び管状体外側表面の第一の振動波発生検出手段の付設位置から管状体の長さ方向に沿って伸びる延長線を含む面と、管状体の中心軸及び管状体外側表面の第二の振動波発生検出手段の付設位置から管状体の長さ方向に沿って伸びる延長線を含む面とのなす角度は、30度以上であることが好ましく、90度以上であることがより好ましく、180度(±10度)であることがさらに好ましい。
【0097】
図8(a)、図8(b)及び図8(c)の構造体の構成は、第二の振動波発生検出手段61bが、管状体77の外側表面の第一の振動波発生検出手段61aの付設位置から伸びる延長線上とは異なる位置(管状体77の中心軸に対して前記延長線と対称の位置)に付設されていること以外は、それぞれ図7(a)、図7(b)及び図7(c)の構造体と同様である。
【0098】
図8(a)の構造体は、その管状体77が水平方向に配置され、かつ第一の振動波発生検出手段61aが前記管状体の外側表面の頂部に配置されている配置Aの構造体である。図8(b)の構造体は、その管状体77が水平方向に配置され、かつ第一の振動波発生検出手段61aが前記管状体の外側表面の側部に配置されている配置Bの構造体である。図8(c)の構造体は、その管状体77が垂直方向に配置されている配置Cの構造体である。
【0099】
そして、改良前の方法と同様にして、図8(a)の配置Aの構造体に用意された較正用のデータを用いて、図8(b)、そして図8(c)の構造体により測定された流量値の、図8(a)の構造体により測定された流量値に対する変動の大きさを評価した。第1表に、図8(b)の配置Bの構造体、および図8(c)の配置Cの構造体により測定された水の流量値と、測定された各々の流量値の、図8(a)の配置Aの構造体により測定された流量値に対する誤差の値を示す。第1表に示すように、第一の方法により測定された流量値の誤差(変動)は、改良前の方法の場合と較べて小さな値を示すことがわかる。
【0100】
次に、本発明の流量測定方法(第二の方法)と、第二の方法における流量値の変動について説明する。図9は、本発明の流量の測定方法(第二の方法)を実施するために用意される流量測定用の構造体の構成例、及びその管状体と振動波発生検出手段の配置を説明する図である。
【0101】
本発明の流量測定方法(第二の方法)は、下記の工程からなる。
(1)管状体77、管状体77の外周に沿って互いに間隔をあけて付設された振動波発生検出手段61a、61cからなる第一の組の振動波発生検出手段、および第一の組の振動波発生検出手段から管状体の長さ方向に沿って間隔をあけて、管状体77の外周に沿って互いに間隔をあけて付設された振動波発生検出手段61b、61dからなる第二の組の振動波発生検出手段を有する構造体を用意する工程。
(2)管状体77の内部に測定対象の流体を移動させる工程。
(3)第一の組の各々の振動波発生検出手段61a、61cにて振動波を同時に発生させ、これらの複数の振動波を管状体77の壁体に付与する工程。
(4)上記複数の振動波が、該複数の振動波の付与によって、移動する流体と共に振動する壁体を伝わって第二の組の振動波発生検出手段に到達するまでの伝達時間を、前記複数の振動波の到達を、その各々の振動波が第二の組の各々の振動波発生検出手段61b、61dに到達することにより発生する電気信号の和として検出することにより測定する工程。
(5)第二の組の各々の振動波発生検出手段61b、61dにて振動波を同時に発生させ、これらの複数の振動波を管状体77の壁体に付与する工程。
(6)上記複数の振動波が、該複数の振動波の付与によって、移動する流体と共に振動する壁体を伝わって第一の組の振動波発生検出手段に到達するまでの伝達時間を、前記複数の振動波の到達を、その各々の振動波が第一の組の各々の振動波発生検出手段61a、61cに到達することにより発生する電気信号の和として検出することにより測定する工程。
(7)上記(4)の工程で測定した伝達時間と、上記(6)の工程で測定した伝達時間との差を算出する工程。
(8)上記(1)の工程で用いた構造体もしくは該構造体の均等物の管状体の内部にて、上記(2)の工程で用いた流体もしくは該流体の均等物を、既知の流量で一方の方向に移動させて、上記(3)と(4)に記載の測定、そして上記(5)と(6)に記載の測定を行ない、次いで上記(7)に記載の伝達時間の差を算出して作成した、振動波の伝達時間の差と流量との関係を示す較正用データを用意する工程。
(9)上記(7)の工程で算出した伝達時間の差と、上記(8)の工程で用意した較正用データとを用いて、上記(2)の工程で移動した流体の流量を決定する工程。
【0102】
第二の方法は、改良前の方法と同様に、第一の組の振動波発生検出手段と第二の組の振動波発生検出手段とを管状体の長さ方向に沿って配置する。第二の方法は、改良前の方法に用いられる各々の振動波発生検出手段を、管状体の外周に沿って互いに間隔をあけて付設された複数の振動波発生検出手段から構成することに特徴がある。この複数の振動波発生検出手段は、管状体の外周を等分する位置に付設されていることが好ましい。図9に示す構造体においては、各々の組の振動波発生検出手段は、管状体の外周に沿って互いに間隔をあけて、そして管状体の外周を二等分する位置に付設された二つの振動波発生検出手段から構成されている。管状体の外側表面に、このように第一の組の振動波発生検出手段と第二の組の振動波発生検出手段とを付設することにより、前記の流量値の変動を低減することができる。
【0103】
第一の組の振動波発生検出手段の備える振動子62a、62cは、電気的に並列に接続されている。第一の組の振動波発生検出手段による振動波の発生は、この並列接続された振動子62a、62cに電圧を同時に印加することにより実施される。第一の組の振動波発生検出手段による、第二の組の振動波発生検出手段にて発生した複数の振動波の検出は、その各々の振動波の到達により、振動子62a、62cのそれぞれにおいて発生する電気信号を、これらの振動子を並列接続することによって電気信号の和として検出することにより実施される。
【0104】
なお、振動子の電気的な接続方法(すなわち、振動子に電圧を印加する方法、そして振動子にて発生する電圧を検出する方法)は、第一の組の振動波発生検出手段61a、61cの各々の振動波発生検出手段にて振動波を同時に発生でき、そしてこの各々の振動波振動波発生検出手段にて発生する電気信号の和を検出することができれば、特に上記の例に限定されるわけではない。
【0105】
第二の組の振動波発生検出手段によって振動波の発生、そして検出をする方法は、第一の組の振動波発生検出手段の場合と同様である。
【0106】
図9(a)、図9(b)及び図9(c)の構造体の構成は、管状体77の外周に沿って互いに間隔をあけて付設された振動波発生検出手段61a、61cからなる第一の組の振動波発生検出手段と、第一の組の振動波発生検出手段から管状体の長さ方向に沿って間隔をあけて配置され、管状体の外周に沿って互いに間隔をあけて付設された振動波発生検出手段61b、61dからなる第二の組の振動波発生検出手段とを備えていること以外は、それぞれ図7(a)、図7(b)及び図7(c)の構造体と同様である。
【0107】
図9(a)の構造体は、その管状体77が水平方向に配置され、かつ第一の振動波発生検出手段61aが前記管状体の外側表面の頂部に配置されている配置Aの構造体である。図9(b)の構造体は、その管状体77が水平方向に配置され、かつ第一の振動波発生検出手段61aが前記管状体の外側表面の側部に配置されている配置Bの構造体である。図9(c)の構造体は、その管状体77が垂直方向に配置されている配置Cの構造体である。
【0108】
そして、改良前の方法と同様にして、図9(a)の配置Aの構造体に用意された較正用のデータを用いて、図9(b)、そして図9(c)の構造体により測定された流量値の、図9(a)の構造体により測定された流量値に対する変動の大きさを評価した。第1表に、図9(b)の配置Bの構造体、および図9(c)の配置Cの構造体により測定された水の流量値と、測定された各々の流量値の、図9(a)の配置Aの構造体により測定された流量値に対する誤差の値を示す。第1表に示すように、第二の方法により測定された流量値の誤差(変動)は、改良前の方法の場合と較べて小さな値を示すことがわかる。
【0109】
【表1】
Figure 2004340620
【0110】
このように、本発明の流量測定方法(第一の方法と第二の方法)により、流量値の変動が低減される理由は、下記のように推測される。本発明の流量測定方法においては、流量の測定に管状体の壁体を伝わる振動波を用いている。管状体は、その長さ方向のいずれかの位置にて支持固定されているため、あるいは管状体、その内部を移動する流体、あるいはその外側表面に設置される振動波発生検出手段の質量を受けるために、その壁体内部に歪みを生じる。このような歪みの大きさは、管状体の壁体内部の場所により不均一な値を示す。そして流量測定に用いられる振動波は、振動波の伝わる経路によって異なる大きさの歪みを生じている管状体の壁体を伝わる。このため、振動波の伝わる経路によって、その伝達時間が変動すると理解される。従って、管状体の配置、あるいは管状体に対する振動波発生検出手段の配置により、測定される流量値に変動を生じるものと理解される。
【0111】
第一の方法においては、第二の振動波発生検出手段が、管状体の外側表面の第一の振動波発生検出手段の付設位置から管状体の外側表面に沿って伸びる延長線上とは異なる位置に付設される。このため、振動波が、管状体の長さ方向のみでなく、管状体の外周方向にも伝わるために、前記の管状体の歪みの影響を受け難くなり、測定される流量値の変動が低減されると理解される。
【0112】
第二の方法においては、第一の組の各々の振動波発生検出手段にて同時に発生した複数の振動波を、その各々の振動波が第二の組の各々の振動波発生検出手段に到達することにより発生される電気信号の和として検出する。振動波を前記の電気信号の和として検出することは、管状体の壁体を異なる経路で伝わる振動波をその合成波として検出することを意味している。このため、前記の管状体の歪みの影響を受け難くなり、測定される流量値の変動が低減されると理解される。
【0113】
次に、改良前の方法における、管状体の形状により生ずる流量値の変動について説明する。図10は、管状体の壁体を伝わる振動波を用いた流量測定方法(改良前の方法)を実施するために用意される流量測定用の構造体の別の構成例、及びその管状体の形状を説明する図である。
【0114】
図10(a)、図10(b)及び図10(c)は、いずれも改良前の方法を実施するために用意される構造体の構成例を示している。図10(a)の構造体の構成は、図7(a)の構造体と同一である。
【0115】
図10(b)の構造体の構成は、管状体77bの、流体の移動方向71に対して上流側の部分が、管状体の中心軸に沿って湾曲していること以外は、図10(a)の構造体と同様である。管状体77bは、振動波発生検出手段61aの底面の中央の位置から、約65mm離れた位置にて湾曲している。このように、管状体の上流側が湾曲している構造体を、上流側湾曲タイプの構造体と記載する。
【0116】
図10(c)の構造体の構成は、管状体の77cの、流体の移動方向71に対して下流側の部分が、管状体の中心軸に沿って湾曲していること以外は、図10(a)の構造体と同様である。管状体77cは、振動波発生検出手段61bの底面の中央の位置から、約65mm離れた位置にて湾曲している。このように、管状体の下流側が湾曲している構造体を、下流側湾曲タイプの構造体と記載する。
【0117】
そして、前記の流量値の変動を確認する実験と同様にして、図10(a)の構造体を用いた流量測定のために用意された較正用のデータを用いて、図10(b)、そして図10(c)の構造体により測定された流量値の、図10(a)の構造体により測定された流量値に対する変動の大きさを評価した。第2表に、図10(b)の上流側湾曲タイプの構造体、および図10(c)の下流側湾曲タイプの構造体により測定された水の流量値と、測定された各々の流量値の、図10(a)の構造体により測定された流量値に対する誤差の値を示す。
【0118】
第2表に示すように、図10(b)の上流側湾曲タイプの構造体により測定された水の流量値は、図10(a)の構造体により測定された水の流量値に対して、−2.5mL/分の誤差を生じていることがわかる。同様に、図10(c)の下流側湾曲タイプの構造体により測定された水の流量値は、図10(a)の構造体により測定された水の流量値に対して、−1.5mL/分の誤差を生じていることがわかる。
【0119】
このような流量値の誤差の値(変動量)は、通常の流量測定においては、全く問題とならないレベルである。このような流量値の変動を低減することができれば、図10(a)の構造体に用意した較正用データを用いて、一対の振動波発生検出手段を、工場などに既設の湾曲部を有する管状体に付設した場合であっても管状体の内部を移動する流体の流量を安定に測定することが可能となる。なお、既設の管状体の形状が既知である場合には、湾曲した管状体を有する構造体に対応する較正用データを用いて流量を測定すれば、このような流量値の変動を生じない。
【0120】
図11は、本発明の流量測定方法(第一の方法)を実施するために用意される流量測定用の構造体の別の構成例、及びその管状体の形状を説明する図である。
【0121】
図11(a)、図11(b)及び図11(c)の構造体の構成は、第二の振動波発生検出手段61bが、管状体外側表面の第一の振動波発生検出手段61aの付設位置から伸びる延長線上とは異なる位置(管状体の中心軸に対して前記延長線と対称の位置)に付設されていること以外は、それぞれ図10(a)、図10(b)及び図10(c)の構造体と同様である。
【0122】
そして、改良前の方法と同様にして、図11(a)の構造体に用意された較正用のデータを用いて、図11(b)、そして図11(c)の構造体により測定された流量値の、図11(a)の構造体により測定された流量値に対する変動の大きさを評価した。第2表に、図11(b)の上流側湾曲タイプの構造体、および図11(c)の下流側湾曲タイプの構造体により測定された水の流量値と、測定された各々の流量値の、図11(a)の構造体により測定された流量値に対する誤差の値を示す。第2表に示すように、第一の方法により測定された流量値の誤差(変動)は、改良前の方法の場合と較べて小さな値を示すことがわかる。
【0123】
図12は、本発明の流量測定方法(第二の方法)を実施するために用意される流量測定用の構造体の別の構成例、及びその管状体の形状を説明する図である。
【0124】
図12(a)、図12(b)及び図12(c)の構造体の構成は、管状体の外周に沿って互いに間隔をあけて付設された振動波発生検出手段61a、61cからなる第一の組の振動波発生検出手段と、第一の組の振動波発生検出手段から管状体の長さ方向に沿って間隔をあけて配置され、管状体の外周に沿って互いに間隔をあけて付設された振動波発生検出手段61b、61dからなる第二の組の振動波発生検出手段とを備えていること以外は、それぞれ図10(a)、図10(b)及び図10(c)の構造体と同様である。
【0125】
そして、改良前の方法と同様にして、図12(a)の構造体に用意された較正用のデータを用いて、図12(b)、そして図12(c)の構造体により測定された流量値の、図12(a)の構造体により測定された流量値に対する変動の大きさを評価した。第2表に、図12(b)の上流側湾曲タイプの構造体、および図12(c)の下流側湾曲タイプの構造体により測定された水の流量値と、測定された各々の流量値の、図12(a)の構造体により測定された流量値に対する誤差の値を示す。第2表に示すように、第二の方法により測定された流量値により測定された流量値の誤差(変動)は、改良前の方法の場合と較べて小さな値を示すことがわかる。
【0126】
【表2】
Figure 2004340620
【0127】
次に、改良前の方法における、管状体の形状により生ずる流量値の変動についてさらに説明をする。図13は、管状体の壁体を伝わる振動波を用いた流量測定方法(改良前の方法)を実施するために用意される流量測定用の構造体の構成例、及びその管状体の形状を説明する図である。
【0128】
図13(a)、図13(b)、図13(c)及び図13(d)は、いずれも改良前の方法を実施するために用意される構造体の構成例を示している。図13(a)の構造体の構成は、管状体97aの第一の振動波発生検出手段61aの付設位置と第二の振動波発生検出手段61bの付設位置との間の部分が、管状体の中心軸に沿って湾曲していること以外は、図7(a)の構造体と同様である。管状体97aの有する二つの直線部分の距離は、約24mmに設定されている。
【0129】
図13(b)の構造体の構成は、管状体の97bの、流体の移動方向71に対して上流側の部分が、管状体の中心軸に沿って湾曲していること以外は、図13(a)の構造体と同様である。管状体97bは、振動波発生検出手段61aの底面の中央の位置から、約65mm離れた位置にて湾曲している。このような、管状体の上流側が湾曲した構造体を、上流側湾曲タイプの構造体と記載する。
【0130】
図13(c)の構造体の構成は、管状体の97cの、流体の移動方向71に対して下流側の部分が、管状体の中心軸に沿って湾曲していること以外は、図13(a)の構造体と同様である。管状体97cは、振動波発生検出手段61bの底面の中央の位置から、約65mm離れた位置にて湾曲している。このような、管状体の下流側が湾曲した構造体を、下流側湾曲タイプの構造体と記載する。
【0131】
図13(d)の構造体の構成は、管状体の97dの、流体の移動方向71に対して上流側の部分及び下流側の部分が、管状体の中心軸に沿って湾曲していること以外は、図13(a)の構造体と同様である。このような、管状体の上流側及び下流側が湾曲した構造体を、両側湾曲タイプの構造体と記載する。
【0132】
そして、前記の流量値の変動を確認する実験と同様にして、図13(a)の構造体に用意された較正用のデータを用いて、図13(b)、図13(c)及び図13(d)の構造体により測定された流量値の、図13(a)の構造体により測定された流量値に対する変動の大きさを評価した。第3表に、図13(b)の上流側湾曲タイプの構造体、図13(c)の下流側湾曲タイプの構造体、そして図13(d)の両側湾曲タイプの構造体により測定された水の流量値と、測定された各々の流量値の、図13(a)の構造体により測定された流量値に対する誤差の値を示す。
【0133】
第3表に示すように、図13(b)の上流側湾曲タイプの構造体により測定された水の流量値は、図13(a)の構造体により測定された水の流量値に対して、−1.2mL/分の誤差を生じていることがわかる。同様に、図13(c)の下流側湾曲タイプの構造体により測定された水の流量値は、図13(a)の構造体により測定された水の流量値に対して、−0.5mL/分の誤差を生じていることがわかる。同様に、図13(d)の両側湾曲タイプの構造体により測定された水の流量値は、図13(a)の構造体により測定された水の流量値に対して、−0.5mL/分の誤差を生じていることがわかる。
【0134】
このような流量値の誤差の値(変動量)は、通常の流量測定においては、全く問題とならないレベルである。このような流量値の変動を低減することができれば、図13(a)の構造体に用意した較正用データを用いて、一対の振動波発生検出手段を、工場などに既設の管状体の湾曲部を挟むように付設し、さらに管状体の上流側、下流側もしくは両側が、管状体の中心軸に沿って湾曲している場合であっても管状体の内部を移動する流体の流量を安定に測定することが可能となる。このように、管状体の湾曲部においても流量値を安定に測定することができると、既設の管状体が流量計を設置するための十分な直管部分を備えていない場合にも安定な流量測定が可能となる。
【0135】
図14は、本発明の流量測定方法(第一の方法)を実施するために用意される流量測定用の構造体の別の構成例、及びその管状体の形状を説明する図である。
【0136】
図14(a)、図14(b)、図14(c)及び図14(d)の構造体の構成は、第二の振動波発生検出手段61bが、管状体外側表面の第一の振動波発生検出手段61aの付設位置から伸びる延長線上とは異なる位置(管状体の中心軸に対して前記延長線と対称の位置)に付設されていること以外は、それぞれ図13(a)、図13(b)、図13(c)及び図13(d)の構造体と同様である。
【0137】
そして、改良前の方法と同様にして、図14(a)の構造体に用意された較正用のデータを用いて、図14(b)、図14(c)及び図14(d)の構造体により測定された流量値の、図14(a)の構造体により測定された流量値に対する変動の大きさを評価した。第3表に、図14(b)の上流側湾曲タイプの構造体、図14(c)の下流側湾曲タイプの構造体、そして図14(d)の両側湾曲タイプの構造体により測定された水の流量値と、測定された各々の流量値の、図14(a)の構造体により測定された流量値に対する誤差の値を示す。第3表に示すように、第一の方法により測定された流量値の誤差は、改良前の方法の場合と較べて小さな値を示すことがわかる。
【0138】
図15は、本発明の流量測定方法(第二の方法)を実施するために用意される流量測定用の構造体の別の構成例、及びその管状体の形状を説明する図である。
【0139】
図15(a)、図15(b)、図15(c)及び図15(d)の構造体の構成は、管状体の外周に沿って互いに間隔をあけて付設された振動波発生検出手段61a、61cからなる第一の組の振動波発生検出手段と、第一の組の振動波発生検出手段から管状体の長さ方向に沿って間隔をあけて配置され、管状体の外周に沿って互いに間隔をあけて付設された振動波発生検出手段61b、61dからなる第二の組の振動波発生検出手段とを備えていること以外は、それぞれ図13(a)、図13(b)、図13(c)及び図13(d)の構造体と同様である。
【0140】
そして、改良前の方法と同様にして、図15(a)の構造体に用意された較正用のデータを用いて、図15(b)、図15(c)及び図15(d)の構造体により測定された流量値の、図15(a)の構造体により測定された流量値に対する変動の大きさを評価した。第3表に、図15(b)の上流側湾曲タイプの構造体、図15(c)の下流側湾曲タイプの構造体、そして図15(d)の両側湾曲タイプの構造体により測定された水の流量値と、測定された各々の流量値の、図15(a)の構造体により測定された流量値に対する誤差の値を示す。第3表に示すように、第二の方法により測定された流量値の誤差が、改良前の方法の場合と較べて小さな値を示すことがわかる。
【0141】
【表3】
Figure 2004340620
【0142】
次に、本発明の流量測方法(第二の方法)の実施に好ましく用いることのできる流量測定用の構造体について説明する。図16は、本発明の流量測定用の構造体の構成例と、その使用の態様とを説明する図である。図16(a)は構造体の平面図であり、図16(b)は、図16(a)に記入した切断線I−I線に沿って切断した構造体の断面図であり、そして図16(c)は、図16(a)に記入した切断線II−II線に沿って切断した構造体の断面図である。
【0143】
図16の流量測定用の構造体は、上側部分と下側部分とに分離可能な細長い形状の容器109の内部に、前記の容器上側部分109aの内側面と容器下側部分109bの内側面とのそれぞれに固定され、容器109の長さ方向に垂直な方向に沿って互いに対向するように配置された一対の振動波発生検出手段61a、61cからなる第一の組の振動波発生検出手段、および第一の組の振動波発生検出手段から容器109の長さ方向に沿って間隔をあけて前記の容器上側部分109aの内側面と容器下側部分109bの内側面とのそれぞれに固定され、容器109の長さ方向に垂直な方向に沿って互いに対向するように配置された一対の振動波発生検出手段61b、61dからなる第二の組の振動波発生検出手段が収容されてなる構成を有している。そして、前記の各々の振動波発生検出手段は、振動子62と、振動子62で発生した振動波を主として容器109の長さ方向に対して垂直な方向に振動する振動波とする振動方向制御素子63とから構成されている。
【0144】
振動波発生検出手段61a、61dは、支持板107aを介して前記の容器上側部分109aの内側面に固定されている。同様に、振動波発生検出手段61c、61bは、支持板107bを介して前記の容器下側部分109bの内側面に固定されている。各々の振動波発生検出手段には、その振動子62に電圧を印加するためのリード線108が付設されている。
【0145】
支持板107a、107bは、各々の振動波発生検出手段にて発生した振動波の容器109の側への伝達を防止するために、音響インピーダンスの値が、振動子62の示す音響インピーダンスの値に対して差の大きな材料から形成することが好ましい。このような材料の例としては、フッ素樹脂、シリコーン樹脂、ナイロン樹脂、ポリイミド樹脂、アクリル樹脂、およびポリウレタン樹脂などの樹脂材料が挙げられる。各々の振動波発生検出手段を、容器の内側面に直接固定する場合には、容器、もしくは容器の内側面を前記の支持板を形成する材料と同様の材料から形成することが好ましい。
【0146】
図16の構造体は、振動波発生検出手段61a、61dが固定された容器上側部分109aと、振動波発生検出手段61c、61bが固定された容器下側部分109bとにより、既設の管状体77を挟んだ状態で固定するという簡単な操作により、管状体77の内部を移動する流体の流量測定を始めることができる。容器上側部分109aと容器下側部分109bとは、ねじ106を用いて互いに固定する。
【0147】
図17は、本発明の流量測定用の構造体の別の構成例を示す斜視図である。図17の流量測定用の構造体は、一対の透孔171を備えた容器179、前記の一対の透孔171を通って容器179に一部分が収容されている内部に流量測定対象の流体を移動させる管状体97d、容器内部の管状体の外周に沿って、かつ管状体の中心軸に対して対称の位置に付設された一対の振動波発生検出手段61a、61cからなる第一の組の振動波発生検出手段、および第一の組の振動波発生検出手段から管状体97dの長さ方向に沿って間隔をあけて配置され、容器内部の管状体の外周に沿って、かつ管状体の中心軸に対して対称の位置に付設された一対の振動波発生検出手段61b、61dからなる第二の組の振動波発生検出手段などから構成されている。そして前記の各々の振動波発生検出手段は、振動子62と、振動子62で発生した振動波を主として管状体の壁体に対して垂直な方向に振動する振動波とする振動方向制御素子63とから構成されている。
【0148】
図17に示す構造体の管状体97dは、第一の組の振動波発生検出手段の付設位置と第二の組の振動波発生検出手段との間に、前記の管状体の中心軸を含む対称面内にて中心軸が湾曲している湾曲部172を備えている。図17に示すように湾曲部の形状は、U字形状であることが好ましい。管状体がこのような湾曲部を有していると、振動波の伝達距離(第一の組の振動波発生検出手段の付設位置と第二の振動波発生検出手段の付設位置との間の距離)を長く設定した場合であっても、流量測定用の構造体のサイズを小さくすることができる。
【0149】
図17の構造体は、測定対象の流体が移動する管状体の長さが短い場合、例えば、近接配置されたポンプとバルブとを接続している管状体の内部を移動する流体の流量を測定する場合に、このような管状体に代えて構造体を設置することにより、充分に高い精度で流体の流量を測定をすることができる。
【0150】
図17に示すように、管状体の湾曲部179及びその延長部の一部は、容器179の内側面に付設され、前記対称面に垂直な一対の支持面173を備える支持部材174の前記一対の支持面173によって狭まれた状態で固定されていることも好ましい。このように管状体の湾曲部、あるいは管状体の湾曲部及びその延長部の一部を支持部材により支持することにより、流量測定の際にノイズとなる外部振動の影響を低減することができる。
【0151】
支持部材174は、管状体97dの壁体を伝わる振動波の支持部材174への伝達を防止するために、音響インピーダンスの値が、管状体97dの示す音響インピーダンスの値に対して差の大きな材料から形成することが好ましい。このような材料としては、樹脂材料、あるいは発泡樹脂材料を用いることが好ましい。樹脂材料の代表例としては、シリコーン樹脂、およびポリウレタン樹脂が挙げられる。
【0152】
以下に、本発明の流量測定方法を実施するために用意される構造体の振動波発生検出手段などについて説明する。
【0153】
振動波発生検出手段としては、管状体の壁体に振動波を付与、そして検出することが可能であれば、その構成に特に制限はない。従って、振動波発生検出手段としては、従来の超音波流量計に用いられている公知の超音波発生検出手段、例えば、前記のリング状の超音波振動子から構成された超音波発生検出手段、あるいは振動子と超音波(振動波)伝搬材から構成された振動波発生検出手段などを用いることができる。超音波伝搬材は、通常、音響インピーダンスの値が、振動子の音響インピーダンスの値と、管状体の音響インピーダンスの値との間にある樹脂材料あるいは金属材料などから形成される。このような材料から超音波伝搬材を形成することにより、管状体の外側表面における振動波の反射を低減して、振動波を効率良く管状体の壁体に伝えることができる。
【0154】
本発明においては、振動波を効率良く壁体に付与するために、各々の振動波発生検出手段が、振動子と振動方向制御素子を含む構成を有していることが好ましい。そして、振動方向制御素子により振動波の振動方向を制御することにより、振動波発生検出手段が、振動子で発生した振動波を主として壁体に対して垂直な方向に振動する振動波として、壁体に付与することが好ましい。このような振動波を用いることにより、振動波を効率良く壁体に付与することができる。なお、管状体の壁体に対して垂直な方向とは、壁体の法線とのなす角度が10度未満、好ましくは5度未満である方向を意味する。
【0155】
振動波発生検出手段により壁体に付与する振動波の周波数は、一般に超音波と呼ばれる20kHz以上の周波数に限定される訳ではない。壁体に付与する振動波としては、周波数が10kHz乃至3MHzの範囲にある振動波、あるいはパルス状の振動波を好ましく用いることができる。振動波を管状体の壁体に効率良く付与するために、振動波の周波数を、管状体の固有振動数、あるいは管状体とその内部にある流体を一体とする固有振動数と一致させることが好ましい。これらの固有周波数は、例えば、有限要素法を用いた解析用のソフトウエア「ANSYS」(ANSYS社製)を用いたシミュレーションにより決定することができる。
【0156】
振動子の例としては、電歪振動子、および磁歪振動子が挙げられる。電歪振動子の例としては、圧電振動子、および圧電振動子を一対の金属部材でボルト締めした構成のランジュバン型振動子が挙げられる。磁歪振動子の例としては、金属磁歪振動子、およびフェライト振動子が挙げられる。振動子としては、その構成が簡単であることから、電歪振動子(特に、圧電振動子)を用いることが好ましい。
【0157】
振動方向制御素子としては、樹脂材料シート中に複数本の高弾性繊維がシート平面に沿って平行に整列配置された繊維強化樹脂シートの複数枚が、その底面(管状体の外側表面と接する面)に垂直な方向に積層、そして一体化された構成の繊維強化樹脂材を用いることが好ましい。
【0158】
樹脂材料の例としては、エポキシ樹脂、ポリアミド樹脂、ポリイミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、PEEK(ポリエーテルエーテルケトン)樹脂、フェノール樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、およびポリカーボネート樹脂が挙げられる。
【0159】
高弾性繊維の例としては、炭素繊維、炭化ケイ素繊維、ナイロン繊維、アラミド繊維、およびポリアミド繊維が挙げられる。
【0160】
各々の振動波発生検出手段と管状体との接触面には、この接触面における振動波の反射を防止するために、グリースやワセリンなどの接触媒質からなる薄い層を付設することが好ましい。
【0161】
また、管状体の外側表面に付設された振動波発生検出手段により、管状体の壁体を伝わる振動波の伝達時間の測定は、一方の振動波発生検出手段にて振動波の発生を開始してから、他方の振動波発生検出手段にて振動波に対応する電気信号の検出が開始されるまでの時間に限定されない。例えば、振動波の伝達時間を、一方の振動波発生検出手段にて振動波の発生を開始してから、他方の振動波発生検出手段にて検出される電気信号の電圧値が、所定のしきい値を超えたのちに零となるまでの時間としても、伝達時間の差を算出すれば、上記の伝達時間の差(T−T)と同じ値が得られるからである。このようにして伝達時間を測定し、そして伝達時間の差を得る方法は、ゼロクロス法とよばれており、従来の超音波流量計において流体中を伝わる超音波の伝達時間の差を得るために一般的に用いられている方法である。
【0162】
すなわち、本明細書において、振動波の伝達時間とは、一方の振動波発生検出手段にて発生した振動波の波形の特定の位置を時間計測の開始点として、他方の振動波発生検出手段にて検出された振動波の波形の特定の位置を時間計測の終了点として計測された時間を意味する。
【0163】
振動波の伝達時間は、上記他方の振動波検出手段にて検出された振動波に対応する電気信号を、A−D変換器(アナログ−デジタル変換器)を用いてデジタル信号に変換し、これをDSP(Digital Signal Processor)を用いて演算処理して決定することが好ましい。
【0164】
【発明の効果】
本発明の流量測定方法においては、管状体の内部を移動する流体の影響を受けながら管状体の壁体を伝わる振動波を用いて流体の流量を測定している。このため、流体の流量と相関のある振動波の伝達時間を測定するための一対の振動波発生検出手段の間隔を、管状体の内径とは無関係に長く設定することができる。従って、本発明の測定方法により、内径が小さな管状体の内部を移動する流体の流量を高い精度で測定することができる。そして本発明の流量測定方法を実施するために、既設の管状体を取り外す必要はない。さらに、本発明の流量測定方法は、既設の管状体の形状や配置、あるいは管状体に対する振動波発生検出手段の付設位置によらずに、高い精度で流体の流量を測定することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】従来の流体の流量測定方法を説明する断面図である。
【図2】振動波発生検出手段の構成例を示す斜視図である。
【図3】ステンレススチール製の管状体の内部に水を満たした状態(水は静止している状態)において、その外側表面に付設された第一の振動波発生検出手段の振動子に印加した電圧の波形(S)、および第二の振動波発生検出手段にて検出された振動波に対応する電気信号の電圧波形(S)を示す図である。
【図4】ステンレススチール製の管状体の内部で水を一方の方向に移動させた状態において、電磁流量計により測定された水の流量と、管状体の壁体を伝わる振動波を用いた流量測定方法(改良前の方法)により測定された水の流量との関係を示すグラフである。
【図5】振動波発生検出手段の別の構成例を示す図である。
【図6】振動波発生検出手段の別の構成例を示す斜視図である。
【図7】管状体の壁体を伝わる振動波を用いた流量測定方法(改良前の方法)を実施するために用意される流量測定用の構造体の構成例、及びその管状体と振動波発生検出手段の配置を説明する図である。
【図8】本発明の流量測定方法(第一の方法)を実施するために用意される構造体の構成例、及びその管状体と振動波発生検出手段の配置を説明する図である。
【図9】本発明の流量測定方法(第二の方法)を実施するために用意される構造体の構成例、及びその管状体と振動波発生検出手段の配置を説明する図である。
【図10】管状体の壁体を伝わる振動波を用いた流量測定方法(改良前の方法)を実施するために用いられる流量測定用の構造体の別の構成例、及びその管状体の形状を説明する図である。
【図11】本発明の流量測定方法(第一の方法)を実施するために用意される構造体の別の構成例、及びその管状体の形状を説明する図である。
【図12】本発明の流量測定方法(第二の方法)を実施するために用意される構造体の別の構成例、及びその管状体の形状を説明する図である。
【図13】管状体の壁体を伝わる振動波を用いた流量測定方法(改良前の方法)を実施するために用いられる流量測定用の構造体の別の構成例、及びその管状体の形状を説明する図である。
【図14】本発明の流量測定方法(第一の方法)を実施するために用意される構造体の別の構成例、及びその管状体の形状を説明する図である。
【図15】本発明の流量測定方法(第二の方法)を実施するために用意される構造体の別の構成例、及びその管状体の形状を説明する図である。
【図16】本発明の流量測定用の構造体の構成例と、その使用の態様とを説明する図である。
【図17】本発明の流量測定用の構造体の別の構成例を示す斜視図である。
【符号の説明】
1a、1b 超音波発生検出手段
2a、2b 超音波振動子
3a、3b 超音波伝搬材
4a、4b 底面
5a、5b 斜面
6 管状体の壁体
7 流体の移動方向を示す矢印
9 超音波の伝わる経路を示す破線
9a、9b 超音波の伝わる方向を示す矢印
20 振動子の振動方向を示す矢印
21 超音波発生検出手段
22a、22b 振動子
23 振動方向制御素子
24 底面
27 分極方向を示す矢印
28 樹脂材料シート
29 高弾性繊維
管状体内部の水が静止状態にある場合の振動波の伝達時間
第一の振動波発生検出手段に印加した電圧の波形
第二の振動波発生検出手段にて検出された振動波に対応する電気信号の電圧波形
51 振動波発生検出手段
52 振動子
53 振動方向制御素子
54 底面
58 樹脂シート
59a、59b 樹脂材料
61、61a、61b、61c、61d 振動波発生検出手段
62 振動子
63 振動方向制御素子
64 底面
69a、69b 高弾性繊維の長さ方向を示す矢印
71 流体の移動方向を示す矢印
77、77b、77c 管状体
97a、97b、97c、97d 管状体
106 ねじ
107a、107b 支持板
108 リード線
109 容器
109a 容器上側部分
109b 容器下側部分
171 容器の透孔
172 管状体の湾曲部
173 支持面
174 支持部材
179 容器

Claims (15)

  1. 下記の工程を含む管状体の内部を移動する流体の流量の測定方法:
    (1)管状体、該管状体の外側表面に付設された第一の振動波発生検出手段、および該第一の振動波発生検出手段から管状体の長さ方向に沿って間隔をあけて、かつ該管状体の外側表面の第一の振動波発生検出手段の付設位置から管状体の長さ方向に沿って伸びる延長線上とは異なる位置に付設された第二の振動波発生検出手段を備えた構造体を用意する工程;
    (2)管状体の内部で測定対象の流体を一方の方向に移動させる工程;
    (3)第一の振動波発生検出手段にて振動波を発生させ、この振動波を管状体の壁体に付与する工程;
    (4)上記振動波が、該振動波の付与によって、移動する流体と共に振動する壁体を伝わって第二の振動波発生検出手段に到達するまでの伝達時間を測定する工程;
    (5)第二の振動波発生検出手段にて振動波を発生させ、この振動波を管状体の壁体に付与する工程;
    (6)上記振動波が、該振動波の付与によって、移動する流体と共に振動する壁体を伝わって第一の振動波発生検出手段に到達するまでの伝達時間を測定する工程;
    (7)上記(4)の工程で測定した伝達時間と、上記(6)の工程で測定した伝達時間との差を算出する工程;
    (8)上記(1)の工程で用いた構造体もしくは該構造体の均等物の管状体の内部にて、上記(2)の工程で用いた流体もしくは該流体の均等物を、既知の流量で一方の方向に移動させて、上記(3)と(4)に記載の測定、そして上記(5)と(6)に記載の測定を行ない、次いで上記(7)に記載の伝達時間の差を算出して作成した、振動波の伝達時間の差と流量との関係を示す較正用データを用意する工程;
    および
    (9)上記(7)の工程で算出した伝達時間の差と、上記(8)の工程で用意した較正用データとを用いて、上記(2)の工程で移動した流体の流量を決定する工程。
  2. 第二の振動波発生検出手段が、管状体の外側表面の該管状体の中心軸に対して、第一の振動波発生検出手段の付設位置から伸びる延長線と対称の位置に付設されている請求項1に記載の流量測定方法。
  3. 管状体の第一の振動波発生検出手段の付設位置と第二の振動波発生検出手段の付設位置との間の部分が、管状体の中心軸に沿って湾曲している請求項1もしくは2に記載の流量測定方法。
  4. 管状体の第一の振動波発生検出手段の付設位置と第二の振動波発生検出手段の付設位置との管状体の中心軸に沿った両外側部分のうちの少なくとも一方の側の部分が、管状体の中心軸に沿って湾曲している請求項1乃至3のうちのいずれかの項に記載の流量測定方法。
  5. 各々の振動波発生検出手段が、振動子と振動方向制御素子とを含み、該振動子で発生した振動波を、主として管状体の壁体に対して垂直な方向に振動する振動波として管状体に付与する請求項1乃至4のうちのいずれかの項に記載の流量測定方法。
  6. 下記の工程を含む管状体の内部を移動する流体の流量の測定方法:
    (1)管状体、該管状体の外周に沿って互いに間隔をあけて付設された複数の振動波発生検出手段からなる第一の組の振動波発生検出手段、および該第一の組の振動波発生検出手段から管状体の長さ方向に沿って間隔をあけて、該管状体の外周に沿って互いに間隔をあけて付設された複数の振動波発生検出手段からなる第二の組の振動波発生検出手段を備えた構造体を用意する工程;
    (2)管状体の内部で測定対象の流体を一方の方向に移動させる工程;
    (3)第一の組の各々の振動波発生検出手段にて振動波を同時に発生させ、これらの複数の振動波を管状体の壁体に付与する工程;
    (4)上記複数の振動波が、該複数の振動波の付与によって、移動する流体と共に振動する壁体を伝わって第二の組の振動波発生検出手段に到達するまでの伝達時間を、前記複数の振動波の到達を、その各々の振動波が第二の組の各々の振動波発生検出手段に到達することにより発生する電気信号の和として検出することにより測定する工程;
    (5)第二の組の各々の振動波発生検出手段にて振動波を同時に発生させ、これらの複数の振動波を管状体の壁体に付与する工程;
    (6)上記複数の振動波が、該複数の振動波の付与によって、移動する流体と共に振動する壁体を伝わって第一の組の振動波発生検出手段に到達するまでの伝達時間を、前記複数の振動波の到達を、その各々の振動波が第一の組の各々の振動波発生検出手段に到達することにより発生する電気信号の和として検出することにより測定する工程;
    (7)上記(4)の工程で測定した伝達時間と、上記(6)の工程で測定した伝達時間との差を算出する工程;
    (8)上記(1)の工程で用いた構造体もしくは該構造体の均等物の管状体の内部にて、上記(2)の工程で用いた流体もしくは該流体の均等物を、既知の流量で一方の方向に移動させて、上記(3)と(4)に記載の測定、そして上記(5)と(6)に記載の測定を行ない、次いで上記(7)に記載の伝達時間の差を算出して作成した、振動波の伝達時間の差と流量との関係を示す較正用データを用意する工程;
    および
    (9)上記(7)の工程で算出した伝達時間の差と、上記(8)の工程で用意した較正用データとを用いて、上記(2)の工程で移動した流体の流量を決定する工程。
  7. 各々の組の複数の振動波発生検出手段が、管状体の外周を等分する位置に付設されている請求項6に記載の流量測定方法。
  8. 管状体の第一の組の振動波発生検出手段の付設位置と第二の組の振動波発生検出手段の付設位置との間の部分が、管状体の中心軸に沿って湾曲している請求項6もしくは7に記載の流量測定方法。
  9. 管状体の第一の組の振動波発生検出手段の付設位置と第二の組の振動波発生検出手段の付設位置との管状体の中心軸に沿った両外側部分のうちの少なくとも一方の側の部分が、管状体の中心軸に沿って湾曲している請求項6乃至8のうちのいずれかの項に記載の流量測定方法。
  10. 各々の振動波発生検出手段が、振動子と振動方向制御素子とを含み、該振動子で発生した振動波を、主として管状体の壁体に対して垂直な方向に振動する振動波として管状体に付与する請求項6乃至9のうちのいずれかの項に記載の流量測定方法。
  11. 上側部分と下側部分とに分離可能な細長い形状の容器の内部に、前記の容器上側部分の内側面と容器下側部分の内側面とのそれぞれに固定され、該容器の長さ方向に垂直な方向に沿って互いに対向するように配置された一対の振動波発生検出手段からなる第一の組の振動波発生検出手段、および該第一の組の振動波発生検出手段から該容器の長さ方向に沿って間隔をあけて前記の容器上側部分の内側面と容器下側部分の内側面とのそれぞれに固定され、該容器の長さ方向に垂直な方向に沿って互いに対向するように配置された一対の振動波発生検出手段からなる第二の組の振動波発生検出手段が収容されてなり、前記の各々の振動波発生検出手段が、振動子と、該振動子で発生した振動波を主として該容器の長さ方向に対して垂直な方向に振動する振動波とする振動方向制御素子とから構成されていることを特徴とする流量測定用の構造体。
  12. 一対の透孔を備えた容器、前記の一対の透孔を通って該容器に一部分が収容されている内部に流量測定対象の流体を移動させる管状体、該容器内部の管状体の外周に沿って、かつ管状体の中心軸に対して対称の位置に付設された一対の振動波発生検出手段からなる第一の組の振動波発生検出手段、および該第一の組の振動波発生検出手段から該管状体の長さ方向に沿って間隔をあけて配置され、該容器内部の管状体の外周に沿って、かつ管状体の中心軸に対して対称の位置に付設された一対の振動波発生検出手段からなる第二の組の振動波発生検出手段を備え、前記の各々の振動波発生検出手段が、振動子と、該振動子で発生した振動波を主として管状体の壁体に対して垂直な方向に振動する振動波とする振動方向制御素子とから構成されていることを特徴とする流量測定用の構造体。
  13. 管状体が、その第一の組の振動波発生検出手段の付設位置と第二の組の振動波発生検出手段の付設位置との間に、前記管状体の中心軸を含む対称面内にて中心軸が湾曲している湾曲部を有していることを特徴とする請求項12に記載の流量測定用の構造体。
  14. 湾曲部の形状がU字状の形状にある請求項13に記載の流量測定用の構造体。
  15. 管状体の湾曲部、もしくは管状体の湾曲部及びその延長部の一部が、容器の内側面に付設され、前記対称面に垂直な一対の支持面を備える支持部材の該一対の支持面によって狭まれた状態で固定されている請求項13もしくは14に記載の流量測定用の構造体。
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