JP2009108900A - シャフト支持構造 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 空間αと空間βを連通する呼吸溝は、シャフト1の外周面の螺旋溝7と第1、第2直線溝8、9であるため、呼吸溝を形成する際の加工コストを抑えることができる。シャフト1の外周面に形成した螺旋溝7により、軸方向から見て、呼吸溝を設けたことによる凹みが発生しない。このため、呼吸溝を設けたことによるシャフト1の偏心量の増加を招かず、摺動ガタの発生および摺動不良の発生を防ぐことができる。呼吸溝の両側は、軸方向に沿う第1、第2直線溝8、9であるため、第1、第2直線溝8、9が摺動しても、第1、第2軸受エッジ4、5に引っ掛からず、引っ掛かりによるシャフト1の摺動不良の発生を防ぐことができる。
【選択図】 図1
Description
この特許文献1に開示される電磁弁は、シャフトを軸方向へ摺動自在に支持する軸受を備えるものであり、軸受の軸方向の一方側の空間αは、軸受とプランジャで囲まれており、プランジャの変位に応じて容積が変動する。
軸受の軸方向の他方側の空間βは、外部と連通する室(オイル排出室、呼吸室等)であり、空間αの容積変動を可能とするために、シャフトと軸受との間の摺動面には、空間αと空間βとを連通する呼吸溝が形成されている。
(a)呼吸溝をシャフトの外周面に形成する場合、外側に向けて露出するシャフトの外周面に溝加工を施すものであるため、一般的な切削、研削等の加工が可能である。
(b)しかし、呼吸溝を軸受の内周面に形成する場合、穴の内周面に溝加工を施さなければならず、呼吸溝を形成するための切削加工が困難であり、加工コストが高くなってしまう不具合がある。
(c)呼吸溝が直線溝の場合、軸受の軸芯に対するシャフトの軸芯の偏心量が大きくなってしまう。具体的に、軸受の内周面に直線溝が形成される場合、軸方向から見て、シャフトの外周面の一部が直線溝に嵌まり合うことで、シャフトの偏心量が大きくなってしまう。また、シャフトの外周面に直線溝が形成される場合でも、軸方向から見て、シャフトの外周面の一部が直線溝により凹むため、軸受の内周面に直線溝が合致することで、シャフトの偏心量が大きくなってしまう(例えば、特許文献1の図2参照)。
シャフトの偏心量が増加することで、シャフトの摺動ガタが増加することになり、シャフトの摺動不良の要因となってしまう。
(d)これに対し、呼吸溝が螺旋溝の場合(例えば、特許文献1、2参照)、軸方向から見て、呼吸溝を設けたことによる凹みが発生しない。このため、呼吸溝を設けても、シャフトの偏心量の増加を防ぐことができる。
しかし、シャフト1の外周面に形成された螺旋溝7は、シャフト1が軸方向へ摺動した際、軸受2の両端の第1、第2軸受エッジ4、5(軸受の端部の角部)に対して交差する。このため、シャフト1が軸方向へ変位した際、第1、第2軸受エッジ4、5に対するシャフト1の摺動範囲A、Bにおいて、螺旋溝7のエッジが第1、第2軸受エッジ4、5に引っ掛かり易く、シャフト1の摺動不良を招く可能性がある。
特に、第1、第2軸受エッジ4、5や、螺旋溝7に切削バリなどの形状不良が発生すると、シャフト1の摺動不良が発生する可能性が高くなる。
請求項1の手段を採用するシャフト支持構造における呼吸溝(螺旋溝+第1、第2直線溝)は、シャフトの外周面に設けられるものであるため、呼吸溝を形成するための加工コストを抑えることができる。
また、軸方向範囲Cにおける呼吸溝が、シャフトの外周面に形成された螺旋溝であるため、軸方向から見て、呼吸溝を設けたことによる凹みが発生しない。このため、軸受とシャフトの摺動面に呼吸溝を設けても、呼吸溝を設けたことによるシャフトの偏心量の増加を招かない。
さらに、摺動範囲A、Bにおける呼吸溝は、シャフトの外周面に形成され、シャフトの軸方向に沿う第1、第2直線溝であるため、第1、第2軸受エッジに対して交差するエッジを持たない。このため摺動範囲A、Bにおいて第1、第2直線溝が摺動しても、第1、第2軸受エッジと第1、第2直線溝とが引っ掛からず、シャフトの摺動不良の発生を招かない。
即ち、請求項1の手段を採用することにより、「加工の容易性」と、「シャフトの偏心防止」と、「呼吸溝による引っ掛かり防止」とを得ることができ、低コストでシャフト支持構造の信頼性を高めることができる。
請求項2の手段を採用するシャフト支持構造は、請求項1の手段における第1直線溝または第2直線溝の少なくとも一方を、シャフトの外周面に形成されて、軸受の内周面との間に隙間を形成する小径部に置き替えたものである。
小径部はシャフトの外周面に設けられるものであるため、「加工の容易性」を得ることができる。
また、軸方向範囲Cにおける呼吸溝は螺旋溝であるため、「シャフトの偏心防止」を得ることができる。
さらに、小径部は軸受の内周面との間に隙間を形成するものであるため、小径部が第1、第2軸受エッジに引っ掛からず、「呼吸溝による引っ掛かり防止」を得ることができる。
即ち、請求項2の手段を採用することにより、請求項1の手段と同様、「加工の容易性」と、「シャフトの偏心防止」と、「呼吸溝による引っ掛かり防止」とを得ることができ、低コストでシャフト支持構造の信頼性を高めることができる。
ここで、軸受の軸方向の一方側の空間をα、
軸受の軸方向の他方側の空間をβ、
軸受の軸方向一端の第1軸受エッジに対するシャフトの摺動範囲をA、
軸受の軸方向他端の第2軸受エッジに対するシャフトの摺動範囲をB、
摺動範囲Aと摺動範囲Bの軸方向間で、且つ摺動範囲Aおよび摺動範囲Bのそれぞれに重なることのないシャフトの軸方向範囲をCとする。
軸方向範囲Cにおける呼吸溝は、シャフトの外周面に形成された螺旋溝である。
摺動範囲Aにおける呼吸溝は、シャフトの外周面に形成され、空間αと螺旋溝の一端を連通するシャフトの軸方向に沿う第1直線溝である。
摺動範囲Bにおける呼吸溝は、シャフトの外周面に形成され、空間βと螺旋溝の他端を連通するシャフトの軸方向に沿う第2直線溝である。
なお、第1直線溝または第2直線溝の少なくとも一方を、シャフトの外周面に形成されて、軸受の内周面との間に隙間を形成する小径部に置き替えても良い。
自動車の自動変速機(AT)やバルブ可変タイミング装置(VVT)の油圧回路は、油圧の切替調整を行う電磁弁を搭載している。
電磁弁は、バルブ装置(開閉弁、三方弁、四方弁、五方弁等)と、このバルブ装置を駆動するリニアソレノイド(電磁アクチュエータ)とを結合したものであり、電磁弁はリニアソレノイドの軸方向出力をバルブ装置の弁体に伝達するシャフト1を備える。
具体的にシャフト1は、リニアソレノイドのプランジャ(可動子)およびバルブ装置の弁体と一体に変位するものであり、シャフト1の一端側では、シャフト1がプランジャと一体に設けられる場合、シャフト1がプランジャと圧入等で結合される場合、シャフト1がプランジャに押し付けられる場合などがある。また、シャフト1の他端側では、シャフト1が弁体と一体に設けられる場合、シャフト1が弁体と圧入等で結合される場合、弁体がシャフト1に押し付けられる場合などがある。
軸受2は、シャフト1を軸方向へ貫通配置する挿通穴3を備えており、この挿通穴3の内周面においてシャフト1の外周面を直接摺動支持するものである。
また、軸受2の軸方向一端の第1軸受エッジ4(プランジャに近い側の挿通穴3の端)に対するシャフト1の摺動範囲をA、軸受2の軸方向他端の第2軸受エッジ5に対するシャフト1の摺動範囲をB、摺動範囲Aと摺動範囲Bの軸方向間で、且つ摺動範囲Aおよび摺動範囲Bのそれぞれに重なることのないシャフト1の軸方向範囲をCと称する。
一方、バルブ装置側の空間βは、外部と連通する室(オイル排出室、呼吸室等)である。
電磁弁は、空間αの容積変動を可能とするために、シャフト1と軸受2との間の摺動面に、空間αと空間βとを連通する呼吸溝を形成している。
・呼吸溝は、シャフト1の外周面に形成されて、空間αと空間βを連通する。
・軸方向範囲Cにおける呼吸溝は、シャフト1の外周面に形成された螺旋溝7である。即ち、螺旋溝7の両端は、図1(a)に示すように、摺動範囲Aおよび摺動範囲Bに届かないものである。
・摺動範囲Aにおける呼吸溝は、シャフト1の外周面に形成され、空間αと螺旋溝7の一端を連通するシャフト1の軸方向に沿う第1直線溝8であり、第1軸受エッジ4と交差するエッジが存在しないものである。具体的に、第1直線溝8の空間α側の端は、シャフト1の摺動範囲において常に空間α内に連通するように設けられており、常に空間αと螺旋溝7の一端とを連通する。
・摺動範囲Bにおける呼吸溝は、シャフト1の外周面に形成され、空間βと螺旋溝7の他端を連通するシャフト1の軸方向に沿う第2直線溝9であり、第2軸受エッジ5と交差するエッジが存在しないものである。具体的に、第2直線溝9の空間β側の端は、シャフト1の摺動範囲において常に空間β内に連通するように設けられており、常に空間βと螺旋溝7の他端とを連通する。
・空間αと空間βを連通する呼吸溝は、シャフト1の外周面の螺旋溝7と第1、第2直線溝8、9であるため、シャフト1の外周面に溝加工を施すことで形成することができる。即ち、呼吸溝を成す螺旋溝7と第1、第2直線溝8、9を、一般的な切削、研削等の加工で形成することができる。この結果、軸受2の内周面に呼吸溝を形成する場合に比較して呼吸溝の加工が容易となり、呼吸溝を形成する際の加工コストを抑えることができる。
・軸方向範囲Cにおける呼吸溝が、シャフト1の外周面に形成された螺旋溝7であるため、軸方向から見て、呼吸溝を設けたことによる凹みが発生しない。このため、軸受2とシャフト1の摺動面に呼吸溝を設けても、呼吸溝を設けたことによるシャフト1の偏心量の増加を招かない。このように、シャフト1の偏心量の増加を招かないため、シャフト1の偏心量の増加による摺動ガタの発生、シャフト1の摺動不良の発生を防ぐことができる。・摺動範囲A、Bにおいて摺動する呼吸溝は、軸方向に沿う第1、第2直線溝8、9であるため、第1、第2軸受エッジ4、5に対して交差するエッジを持たない。このため、摺動範囲A、Bにおいて第1、第2直線溝8、9が摺動しても、第1、第2軸受エッジ4、5と第1、第2直線溝8、9とに引っ掛かりが生じず、引っ掛かりによるシャフト1の摺動不良の発生を招かない。
この実施例2は、上記実施例1で示した第1、第2直線溝8、9を、第1、第2小径部11、12に置き替えたものである。この第1、第2小径部11、12は、シャフト1の外周面に形成され、軸受2の内周面(挿通穴3の内周面)との間に隙間を形成するものであり、シャフト1の外周面において軸受2に摺動する範囲Dは、軸方向範囲Cの内側となる。
同様に、第2小径部12は、摺動範囲Bにおいて第2軸受エッジ5と接触しないものであり、第2小径部12と軸受2の内周面との間の隙間により、常に空間βと螺旋溝7の他端とを連通するものである。
このように設けても、実施例1と同様の効果を得ることができる。
上記の実施例では、シャフト1を駆動するアクチュエータの一例としてリニアソレノイドを示したが、電動アクチュエータ(例えば、ピエゾアクチュエータ、電動モータの回転出力を直線出力に変換して出力するアクチュエータ等)や、流体圧アクチュエータ(例えば、油圧や負圧などを用いたアクチュエータ等)など、他のアクチュエータであっても良い。
上記の実施例では、アクチュエータ(実施例中はリニアソレノイド)の駆動出力をシャフト1を介してバルブ装置の弁体に与える例を示したが、駆動対象物(実施例中はバルブ装置)は限定されるものではなく、シャフト1が軸方向へ駆動されて軸受2の両側の空間α、βを連通する他のシャフト支持構造に本発明を適用しても良い。
2 軸受
4 第1軸受エッジ
5 第2軸受エッジ
7 螺旋溝
8 第1直線溝
9 第2直線溝
11 第1小径部
12 第2小径部
α 軸受の軸方向の一方側の空間
β 軸受の軸方向の他方側の空間
A 第1軸受エッジに対するシャフトの摺動範囲
B 第2軸受エッジに対するシャフトの摺動範囲
C 摺動範囲Aと摺動範囲Bの軸方向間で、且つ摺動範囲Aおよび摺動範囲Bのそれぞれに重なることのないシャフトの軸方向範囲
Claims (2)
- 円柱棒状を呈し、所定の範囲内において軸方向へ往復駆動されるシャフトと、
このシャフトの外周面を摺動自在に支持する軸受とを具備するシャフト支持構造において、
前記軸受の軸方向の一方側の空間をα、
前記軸受の軸方向の他方側の空間をβ、
前記軸受の軸方向一端の第1軸受エッジに対する前記シャフトの摺動範囲をA、
前記軸受の軸方向他端の第2軸受エッジに対する前記シャフトの摺動範囲をB、
前記摺動範囲Aと前記摺動範囲Bの軸方向間で、且つ前記摺動範囲Aおよび前記摺動範囲Bのそれぞれに重なることのない前記シャフトの軸方向範囲をCとした場合、
前記シャフト支持構造は、前記シャフトと前記軸受との間に、前記空間αと前記空間βとを連通する呼吸溝を備え、
前記軸方向範囲Cにおける前記呼吸溝は、前記シャフトの外周面に形成された螺旋溝であり、
前記摺動範囲Aにおける前記呼吸溝は、前記シャフトの外周面に形成され、前記空間αと前記螺旋溝の一端を連通する前記シャフトの軸方向に沿う第1直線溝であり、
前記摺動範囲Bにおける前記呼吸溝は、前記シャフトの外周面に形成され、前記空間βと前記螺旋溝の他端を連通する前記シャフトの軸方向に沿う第2直線溝であることを特徴とするシャフト支持構造。 - 請求項1に記載の前記第1直線溝または前記第2直線溝の少なくとも一方は、前記シャフトの外周面に形成され、前記軸受の内周面との間に隙間を形成する小径部に置き替えられることを特徴とするシャフト支持構造。
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