JP2004301295A - 電磁弁 - Google Patents
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Abstract
【課題】螺旋溝11を旋削のみにより形成することができ、磁気回路Mcの呼吸路の形成に要する加工工程数が減って製作コストが減少し、プランジャ7と軸受部8とが芯ずれを起こさず摺動がたを生じない電磁弁1を提供する。
【解決手段】プランジャ7の外周面あるいは軸受部8の内周面のいずれか一方にプランジャ7の摺動方向に対して交差する方向にヨーク2内を外部と連通させる螺旋溝11を形成している。螺旋溝11はプランジャ7の摺動方向に対して交差する方向に指向するので、螺子切りなどに使用する旋削加工することで済み、磁気回路の呼吸路の形成に要する加工工程数が減って製作コストが減少する。螺旋溝11がプランジャ7の摺動方向に対して交差することに伴い、プランジャ7と軸受部8とが芯ずれを起こすことがない。
【選択図】 図1
【解決手段】プランジャ7の外周面あるいは軸受部8の内周面のいずれか一方にプランジャ7の摺動方向に対して交差する方向にヨーク2内を外部と連通させる螺旋溝11を形成している。螺旋溝11はプランジャ7の摺動方向に対して交差する方向に指向するので、螺子切りなどに使用する旋削加工することで済み、磁気回路の呼吸路の形成に要する加工工程数が減って製作コストが減少する。螺旋溝11がプランジャ7の摺動方向に対して交差することに伴い、プランジャ7と軸受部8とが芯ずれを起こすことがない。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、通電および無通電に応じてプランジャが軸方向に移動する電磁弁に係り、特にはプランジャを軸受部に摺動可能に設けた電磁弁に関する。
【0002】
【従来の技術】
車両などの内燃機関に用いられる電磁弁にあっては、例えば電磁式油圧制御弁として設けられたものがある。この電磁式油圧制御弁は、内燃機関の吸気バルブあるいは排気バルブの少なくとも一方のバルブタイミングを変更する機能に適用され、吸排気可変バルブタイミング機構の遅角油圧室および進角油圧室に対して油圧源の油圧を選択的に給排する(例えば特許文献1参照)。
あるいは、自動変速機の多板クラッチや多板ブレーキの油圧係合要素を駆動する電磁油圧制御弁にあっては、通電状態に応じ直接または増圧バルブを介し間接的に係合圧力を給排、又は昇降する。
【0003】
【特許文献1】
特開2002−357278号公報(第2−4頁、図2)
【0004】
電磁式油圧制御弁の構造としては図7に示すものが一般的である。すなわち、ソレノイドコイル50を有するキャップ状のヨーク51内には、可動子52を備えたプランジャ53が主ギャップGに相当する間隔だけ軸方向に移動可能に配設されている。ヨーク51の開口端部は蓋板部材54により密閉されており、蓋板部材54にプランジャ53を摺動可能に支持する筒状の軸受部55を嵌着している。蓋板部材54には、遅角油圧室および進角油圧室に連通する遅角ポートおよび進角ポートをそれぞれ形成したスリーブ56を連結している。軸受部55の内周面には、軸受部55の内外を連通させ、サイドギャップGsを含む磁気回路Mcの呼吸路を確保すべくストレートな縦形の直線溝57が軸方向に複数条にわたって刻設されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、縦形の直線溝57すなわち磁気回路Mcの呼吸路の形成にあたっては、鍛造および旋削の双方の加工が必要になり工程数が増えて製作コストが増加する不都合がある。また、使用に伴ってプランジャ53と軸受部55とが直線溝57に起因して芯ずれを起こして摺動がたが大きくなる。また、直線溝57では、異物を噛み込み易く、プランジャ53と軸受部55との間の摺動クリアランスに異物が堆積して摺動抵抗が増大したり、最悪の場合には摺動ロックを起こす恐れがある。
【0006】
本発明は上記事情に鑑みてなされたもので、その目的は条溝部を旋削のみにより形成することができ、磁気回路の呼吸路の形成に要する加工工程数が減って製作コストが減少し、プランジャと軸受部とが芯ずれを起こさず摺動がたを生ぜず、しかも異物を噛み込み難く、摺動抵抗の増大をもたらさず摺動ロックを抑制できる電磁弁を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
(請求項1について)
ヨークはソレノイドコイルを収容しており、ソレノイドコイルに対する通電および無通電に応じて筒状の軸受部はプランジャを軸方向に摺動可能に支持する。プランジャの外周面あるいは軸受部の内周面のいずれか一方にプランジャの摺動方向に対して交差するようにヨーク内を外部に連通させる条溝部を磁気回路の呼吸路として周方向に形成している。
条溝部は、プランジャの摺動方向に対して交差する方向に形成されているので、螺子切りなどに使用する旋削加工することで済み、磁気回路の呼吸路の形成に要する加工工程数が減って製作コストが減少する。条溝部がプランジャの摺動方向に対して交差することに伴い、プランジャと軸受部とが芯ずれを起こさず摺動がたを生ずることがない。また、プランジャの摺動方向に対して交差する条溝部では、異物を噛み込み難く摺動抵抗の増大をもたらさず摺動ロックを抑制することができる。
【0008】
(請求項2について)
条溝部は螺旋溝からなるので、螺旋溝はプランジャの摺動方向に直角または略直角状態に交差する構成となって請求項1と同様な効果が得られる。
【0009】
(請求項3について)
条溝部に加えて、異物を取り込むプール用の周溝を形成しているので、周溝に浸入した磨耗粉などの異物を確実に収容することができて耐異物性が大幅に向上する。
【0010】
(請求項4について)
条溝部の中間部に異物を取り込むプール用の中繰り溝を形成しているので、請求項3と同様に中繰り溝に浸入した異物を確実に収容することができて耐異物性が大幅に向上する。
(請求項5について)
ヨークに設けた蓋板部材とソレノイドコイルを巻回したボビンと軸受部とがなす隅角部には、シール部材を液密に介在させている。このため、オイルが軸受部に取付けられたガイドスリーブに浸入した際、オイルが外部に洩れ出ることがない。
【0011】
【発明の実施の形態】
本発明の各実施例を図面に基づいて説明する。
本発明の第1実施例を示す図1において、電磁弁1は、例えば電磁式油圧制御弁として自動変速機の多板クラッチや多板ブレーキの油圧係合要素を駆動する機構に適用され、係合要素への直接的な圧力あるいは間接的に増圧バルブの圧力を給排あるいは昇降するようになっている(弁部については図示せず)。電磁弁1は、外郭として磁性体材料からキャップ状に形成されたヨーク2を有し、ヨーク2内に巻枠としてのボビン3に巻回したソレノイドコイル4を配設している。ボビン3の内周面には、短筒状の支持筒部5がステータコアとして嵌着されている。支持筒部5の先端開口部に形成された鍔部5aは、ボビン3の外側開口部3aとヨーク2の閉鎖端部2aとの間に挟持されている。
【0012】
ヨーク2の開口端部2bは蓋板部材6により密閉されており、蓋板部材6はプランジャ7を摺動可能に支持する筒状の軸受部8を嵌着している。蓋板部材6には、遅角油圧室および進角油圧室に連通する遅角ポートおよび進角ポートをそれぞれ形成したスリーブ9をO−リング10を介して連結している。軸受部8における軸穴8bの内周面には、軸受部8の内外を連通させて後述する磁気回路Mcの呼吸路を確保すべく、断面略半円形の螺旋溝11が例えば五条の条溝部として周方向に連続形成されている。これにより、螺旋溝11は軸受部8の周方向に指向するので、螺旋溝11はプランジャ7の摺動方向と直角あるいは略直角方向に交差するように構成されている。
【0013】
プランジャ7の先端部7aは、可動子12が軸部12Aと軸ずれを許容する形態で当接され、ソレノイドコイル4に対する通電あるいは電流量に応じて軸受部8のボス部8aの主ギャップGに発生する磁気力により押す方向に変位する。軸受部8および可動子12には、段付きコップ状のガイドスリーブ13が取付けられている。ガイドスリーブ13は、磁気効率の観点から非磁性体材料により薄肉に形成されており、その径小筒部13aは可動子12を摺動可能に収容し、中間筒部13bは軸受部8の外径部と同軸的に嵌合されている。ガイドスリーブ13のテーパ部13cは、シール部材としてのO−リング14を介して蓋板部材6および軸受部8に密着し、先端のフランジ部13dは蓋板部材6とボビン3の内側開口部3bとの間に介在している。このため、蓋板部材6とボビン3と軸受部8とがなす隅角部は、O−リング14によりシールされて、ガイドスリーブ13内に浸入したオイルが洩れ出すことがない。
なお、ガイドスリーブ13は支持筒部5と同軸的に配置され、両者の間に磁気回路McをなすサイドギャップGsを両者が嵌合可能な小さな隙間にて最小に抑制して形成している。
【0014】
上記構成において、ソレノイドコイル4に対する通電時に駆動電流が所定量以下の場合、プランジャ7に加わるリターンスプリングの荷重あるいは弁体に発生する油圧反力(いずれも図示せず)により、プランジャ7とこれに当接する可動子12がガイドスリーブ13のコップ状底面に当接する待機位置に付勢されている。ソレノイドコイル4に対する駆動電流が所定量以上の場合、可動子12が軸受部8のボス部8aに吸引されてリターンスプリングの荷重あるいは弁体の油圧反力に対抗してプランジャ7とともに弁体を変位せしめ、通電状態に応じて制御油圧の給排あるいは昇降をさせている。
【0015】
このようにソレノイドコイル4に対する通電に伴い、プランジャ7が軸方向に摺動するが、螺旋溝11はプランジャ7の摺動方向に対して交差する方向に形成されているので、螺子切りなどに使用する旋削加工することで済み、磁気回路Mcの呼吸路の形成に要する加工工程数が減って製作コストが減少する。螺旋溝11がプランジャ7の摺動方向に対して交差することに伴い、プランジャ7と軸受部8とが芯ずれを起こさず摺動がたを生ずることがない。この場合、図2の(イ)に示す従来例と(ロ)に示す本実施例とを比較することにより、従来例の摺動クリアランスtより本実施例での摺動クリアランスTが小さくなることが分かる。
【0016】
また、プランジャ7の摺動方向に対して交差する螺旋溝11では、図3にプランジャ31に環状溝30を形成した一般構造で示す場合と同様に、プランジャ31と軸受部33との間の摺動クリアランス32に異物が侵入し難い。このため、螺旋溝11では、異物を噛み込み難く摺動抵抗の増大をもたらさず摺動ロックを抑制することができる。また、螺旋溝11は、軸方向の単位長さ当たりの実効長さ寸法が事実上長くなるため、その容積が実質的に増加して異物の収容能力が高くなり耐異物性が向上する。
【0017】
図4は本発明の第2実施例を示す。第2実施例が第1実施例と異なるところは、図1の断面略半円形の螺旋溝11に代わって、断面略矩形の螺旋溝15を設けるとともに略中央部に幅広なプール用の周溝16を形成している。第2実施例では、螺旋溝15に加えて、異物を取り込むプール用の幅広な周溝16を形成しているので、磨耗粉などの異物を磁気回路Mcに侵入させることなく周溝16に確実に収容することができて耐異物性が大幅に向上する。この場合、周溝16に代わって螺旋溝15の中間部に中繰り溝を形成してもよい。
【0018】
図5は本発明の第3実施例を示す。第3実施例では図1の螺旋溝11に代わって、斜溝17を介して互いに連通する複数の環状溝18を条溝部として形成している。
図6は本発明の第4実施例を示す。第4実施例では、図1の螺旋溝11を軸受部8に形成する代わりに、プランジャ7の外表面に螺旋溝19として設けている。
【0019】
(変形例)
上記実施例では条溝部を螺旋溝11、15、19として設けたが、条溝部はプランジャ7の摺動方向に交差するように指向するものであればよい。螺旋溝11、15、19の形状は断面略半円形や断面略矩形に限らず、半楕円形をはじめ山形、台形、三日月形M形、W形あるいは三角形などであってもよい。
【0020】
また、本発明に係る電磁弁1は、車両の自動変速機の油圧係合要素を駆動する機構や内燃機関の給排気バルブタイミング機構に適用する自動電磁式油圧制御弁に限らず、空気、オイルや水などの流体の駆動流路を切替える電磁式の流路切替弁や圧力制御弁あるいは流量制御弁に適用してもよい。その他、本発明の具体的な実施にあたっては、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々変更することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】電磁弁の縦断面図である(第1実施例)。
【図2】(イ)、(ロ)は従来例と本実施例とを比較するために示すプランジャの横断面図である。
【図3】環状溝を形成したプランジャの一般構造を示す縦断面図である。
【図4】電磁弁の縦断面図である(第2実施例)。
【図5】環状溝を形成したプランジャの拡大斜視図である(第3実施例)。
【図6】電磁弁の縦断面図である(第4実施例)。
【図7】従来の電磁式油圧制御弁を示す縦断面図である。
【符号の説明】
1 電磁弁
2 ヨーク
3 ボビン
4 ソレノイドコイル
7 プランジャ
8 軸受部
11、15、19 螺旋溝(条溝部、呼吸路)
12 可動子
13 ガイドスリーブ
14 O−リング(シール部材)
16 周溝(条溝部、呼吸路)
17 斜溝(条溝部、呼吸路)
18 環状溝(条溝部、呼吸路)
Mc 磁気回路
【発明の属する技術分野】
本発明は、通電および無通電に応じてプランジャが軸方向に移動する電磁弁に係り、特にはプランジャを軸受部に摺動可能に設けた電磁弁に関する。
【0002】
【従来の技術】
車両などの内燃機関に用いられる電磁弁にあっては、例えば電磁式油圧制御弁として設けられたものがある。この電磁式油圧制御弁は、内燃機関の吸気バルブあるいは排気バルブの少なくとも一方のバルブタイミングを変更する機能に適用され、吸排気可変バルブタイミング機構の遅角油圧室および進角油圧室に対して油圧源の油圧を選択的に給排する(例えば特許文献1参照)。
あるいは、自動変速機の多板クラッチや多板ブレーキの油圧係合要素を駆動する電磁油圧制御弁にあっては、通電状態に応じ直接または増圧バルブを介し間接的に係合圧力を給排、又は昇降する。
【0003】
【特許文献1】
特開2002−357278号公報(第2−4頁、図2)
【0004】
電磁式油圧制御弁の構造としては図7に示すものが一般的である。すなわち、ソレノイドコイル50を有するキャップ状のヨーク51内には、可動子52を備えたプランジャ53が主ギャップGに相当する間隔だけ軸方向に移動可能に配設されている。ヨーク51の開口端部は蓋板部材54により密閉されており、蓋板部材54にプランジャ53を摺動可能に支持する筒状の軸受部55を嵌着している。蓋板部材54には、遅角油圧室および進角油圧室に連通する遅角ポートおよび進角ポートをそれぞれ形成したスリーブ56を連結している。軸受部55の内周面には、軸受部55の内外を連通させ、サイドギャップGsを含む磁気回路Mcの呼吸路を確保すべくストレートな縦形の直線溝57が軸方向に複数条にわたって刻設されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、縦形の直線溝57すなわち磁気回路Mcの呼吸路の形成にあたっては、鍛造および旋削の双方の加工が必要になり工程数が増えて製作コストが増加する不都合がある。また、使用に伴ってプランジャ53と軸受部55とが直線溝57に起因して芯ずれを起こして摺動がたが大きくなる。また、直線溝57では、異物を噛み込み易く、プランジャ53と軸受部55との間の摺動クリアランスに異物が堆積して摺動抵抗が増大したり、最悪の場合には摺動ロックを起こす恐れがある。
【0006】
本発明は上記事情に鑑みてなされたもので、その目的は条溝部を旋削のみにより形成することができ、磁気回路の呼吸路の形成に要する加工工程数が減って製作コストが減少し、プランジャと軸受部とが芯ずれを起こさず摺動がたを生ぜず、しかも異物を噛み込み難く、摺動抵抗の増大をもたらさず摺動ロックを抑制できる電磁弁を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
(請求項1について)
ヨークはソレノイドコイルを収容しており、ソレノイドコイルに対する通電および無通電に応じて筒状の軸受部はプランジャを軸方向に摺動可能に支持する。プランジャの外周面あるいは軸受部の内周面のいずれか一方にプランジャの摺動方向に対して交差するようにヨーク内を外部に連通させる条溝部を磁気回路の呼吸路として周方向に形成している。
条溝部は、プランジャの摺動方向に対して交差する方向に形成されているので、螺子切りなどに使用する旋削加工することで済み、磁気回路の呼吸路の形成に要する加工工程数が減って製作コストが減少する。条溝部がプランジャの摺動方向に対して交差することに伴い、プランジャと軸受部とが芯ずれを起こさず摺動がたを生ずることがない。また、プランジャの摺動方向に対して交差する条溝部では、異物を噛み込み難く摺動抵抗の増大をもたらさず摺動ロックを抑制することができる。
【0008】
(請求項2について)
条溝部は螺旋溝からなるので、螺旋溝はプランジャの摺動方向に直角または略直角状態に交差する構成となって請求項1と同様な効果が得られる。
【0009】
(請求項3について)
条溝部に加えて、異物を取り込むプール用の周溝を形成しているので、周溝に浸入した磨耗粉などの異物を確実に収容することができて耐異物性が大幅に向上する。
【0010】
(請求項4について)
条溝部の中間部に異物を取り込むプール用の中繰り溝を形成しているので、請求項3と同様に中繰り溝に浸入した異物を確実に収容することができて耐異物性が大幅に向上する。
(請求項5について)
ヨークに設けた蓋板部材とソレノイドコイルを巻回したボビンと軸受部とがなす隅角部には、シール部材を液密に介在させている。このため、オイルが軸受部に取付けられたガイドスリーブに浸入した際、オイルが外部に洩れ出ることがない。
【0011】
【発明の実施の形態】
本発明の各実施例を図面に基づいて説明する。
本発明の第1実施例を示す図1において、電磁弁1は、例えば電磁式油圧制御弁として自動変速機の多板クラッチや多板ブレーキの油圧係合要素を駆動する機構に適用され、係合要素への直接的な圧力あるいは間接的に増圧バルブの圧力を給排あるいは昇降するようになっている(弁部については図示せず)。電磁弁1は、外郭として磁性体材料からキャップ状に形成されたヨーク2を有し、ヨーク2内に巻枠としてのボビン3に巻回したソレノイドコイル4を配設している。ボビン3の内周面には、短筒状の支持筒部5がステータコアとして嵌着されている。支持筒部5の先端開口部に形成された鍔部5aは、ボビン3の外側開口部3aとヨーク2の閉鎖端部2aとの間に挟持されている。
【0012】
ヨーク2の開口端部2bは蓋板部材6により密閉されており、蓋板部材6はプランジャ7を摺動可能に支持する筒状の軸受部8を嵌着している。蓋板部材6には、遅角油圧室および進角油圧室に連通する遅角ポートおよび進角ポートをそれぞれ形成したスリーブ9をO−リング10を介して連結している。軸受部8における軸穴8bの内周面には、軸受部8の内外を連通させて後述する磁気回路Mcの呼吸路を確保すべく、断面略半円形の螺旋溝11が例えば五条の条溝部として周方向に連続形成されている。これにより、螺旋溝11は軸受部8の周方向に指向するので、螺旋溝11はプランジャ7の摺動方向と直角あるいは略直角方向に交差するように構成されている。
【0013】
プランジャ7の先端部7aは、可動子12が軸部12Aと軸ずれを許容する形態で当接され、ソレノイドコイル4に対する通電あるいは電流量に応じて軸受部8のボス部8aの主ギャップGに発生する磁気力により押す方向に変位する。軸受部8および可動子12には、段付きコップ状のガイドスリーブ13が取付けられている。ガイドスリーブ13は、磁気効率の観点から非磁性体材料により薄肉に形成されており、その径小筒部13aは可動子12を摺動可能に収容し、中間筒部13bは軸受部8の外径部と同軸的に嵌合されている。ガイドスリーブ13のテーパ部13cは、シール部材としてのO−リング14を介して蓋板部材6および軸受部8に密着し、先端のフランジ部13dは蓋板部材6とボビン3の内側開口部3bとの間に介在している。このため、蓋板部材6とボビン3と軸受部8とがなす隅角部は、O−リング14によりシールされて、ガイドスリーブ13内に浸入したオイルが洩れ出すことがない。
なお、ガイドスリーブ13は支持筒部5と同軸的に配置され、両者の間に磁気回路McをなすサイドギャップGsを両者が嵌合可能な小さな隙間にて最小に抑制して形成している。
【0014】
上記構成において、ソレノイドコイル4に対する通電時に駆動電流が所定量以下の場合、プランジャ7に加わるリターンスプリングの荷重あるいは弁体に発生する油圧反力(いずれも図示せず)により、プランジャ7とこれに当接する可動子12がガイドスリーブ13のコップ状底面に当接する待機位置に付勢されている。ソレノイドコイル4に対する駆動電流が所定量以上の場合、可動子12が軸受部8のボス部8aに吸引されてリターンスプリングの荷重あるいは弁体の油圧反力に対抗してプランジャ7とともに弁体を変位せしめ、通電状態に応じて制御油圧の給排あるいは昇降をさせている。
【0015】
このようにソレノイドコイル4に対する通電に伴い、プランジャ7が軸方向に摺動するが、螺旋溝11はプランジャ7の摺動方向に対して交差する方向に形成されているので、螺子切りなどに使用する旋削加工することで済み、磁気回路Mcの呼吸路の形成に要する加工工程数が減って製作コストが減少する。螺旋溝11がプランジャ7の摺動方向に対して交差することに伴い、プランジャ7と軸受部8とが芯ずれを起こさず摺動がたを生ずることがない。この場合、図2の(イ)に示す従来例と(ロ)に示す本実施例とを比較することにより、従来例の摺動クリアランスtより本実施例での摺動クリアランスTが小さくなることが分かる。
【0016】
また、プランジャ7の摺動方向に対して交差する螺旋溝11では、図3にプランジャ31に環状溝30を形成した一般構造で示す場合と同様に、プランジャ31と軸受部33との間の摺動クリアランス32に異物が侵入し難い。このため、螺旋溝11では、異物を噛み込み難く摺動抵抗の増大をもたらさず摺動ロックを抑制することができる。また、螺旋溝11は、軸方向の単位長さ当たりの実効長さ寸法が事実上長くなるため、その容積が実質的に増加して異物の収容能力が高くなり耐異物性が向上する。
【0017】
図4は本発明の第2実施例を示す。第2実施例が第1実施例と異なるところは、図1の断面略半円形の螺旋溝11に代わって、断面略矩形の螺旋溝15を設けるとともに略中央部に幅広なプール用の周溝16を形成している。第2実施例では、螺旋溝15に加えて、異物を取り込むプール用の幅広な周溝16を形成しているので、磨耗粉などの異物を磁気回路Mcに侵入させることなく周溝16に確実に収容することができて耐異物性が大幅に向上する。この場合、周溝16に代わって螺旋溝15の中間部に中繰り溝を形成してもよい。
【0018】
図5は本発明の第3実施例を示す。第3実施例では図1の螺旋溝11に代わって、斜溝17を介して互いに連通する複数の環状溝18を条溝部として形成している。
図6は本発明の第4実施例を示す。第4実施例では、図1の螺旋溝11を軸受部8に形成する代わりに、プランジャ7の外表面に螺旋溝19として設けている。
【0019】
(変形例)
上記実施例では条溝部を螺旋溝11、15、19として設けたが、条溝部はプランジャ7の摺動方向に交差するように指向するものであればよい。螺旋溝11、15、19の形状は断面略半円形や断面略矩形に限らず、半楕円形をはじめ山形、台形、三日月形M形、W形あるいは三角形などであってもよい。
【0020】
また、本発明に係る電磁弁1は、車両の自動変速機の油圧係合要素を駆動する機構や内燃機関の給排気バルブタイミング機構に適用する自動電磁式油圧制御弁に限らず、空気、オイルや水などの流体の駆動流路を切替える電磁式の流路切替弁や圧力制御弁あるいは流量制御弁に適用してもよい。その他、本発明の具体的な実施にあたっては、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々変更することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】電磁弁の縦断面図である(第1実施例)。
【図2】(イ)、(ロ)は従来例と本実施例とを比較するために示すプランジャの横断面図である。
【図3】環状溝を形成したプランジャの一般構造を示す縦断面図である。
【図4】電磁弁の縦断面図である(第2実施例)。
【図5】環状溝を形成したプランジャの拡大斜視図である(第3実施例)。
【図6】電磁弁の縦断面図である(第4実施例)。
【図7】従来の電磁式油圧制御弁を示す縦断面図である。
【符号の説明】
1 電磁弁
2 ヨーク
3 ボビン
4 ソレノイドコイル
7 プランジャ
8 軸受部
11、15、19 螺旋溝(条溝部、呼吸路)
12 可動子
13 ガイドスリーブ
14 O−リング(シール部材)
16 周溝(条溝部、呼吸路)
17 斜溝(条溝部、呼吸路)
18 環状溝(条溝部、呼吸路)
Mc 磁気回路
Claims (5)
- 内部にソレノイドコイルを収容したヨークと、
このヨーク内に設けられて前記ソレノイドコイルに対する通電および無通電に応じてプランジャを軸方向に摺動可能に支持する筒状の軸受部とを備え、
前記プランジャの外周面あるいは前記軸受部の内周面のいずれか一方に前記プランジャの摺動方向に対して交差するように前記ヨーク内を外部に連通させる条溝部を磁気回路の呼吸路として周方向に形成したことを特徴とする電磁弁。 - 前記条溝部は螺旋溝からなることを特徴とする請求項1に記載の電磁弁。
- 前記条溝部に加えて、異物を取り込むプール用の周溝を形成していることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の電磁弁。
- 前記条溝部の中間部に異物を取り込むプール用の中繰り溝を形成していることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の電磁弁。
- 前記ヨークに設けた蓋板部材と前記ソレノイドコイルを巻回したボビンと前記軸受部とがなす隅角部には、シール部材を液密に介在させていることを特徴とする請求項1ないし請求項4のいずれかに記載の電磁弁。
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2003
- 2003-03-31 JP JP2003097485A patent/JP2004301295A/ja active Pending
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