JP4218510B2 - リニヤアクチュエータ - Google Patents

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Description

本発明は、電磁アクチュエータの作動により被駆動体を軸方向へ変位させるリニヤアクチュエータに関するものであり、例えば、弁装置を電磁アクチュエータで駆動する電磁弁に用いて好適な技術であり、スプール弁またはボール弁によって油圧の切替えや調整を行う電磁油圧制御弁に用いて好適な技術に関する。
(従来の技術)
を参照して、従来のリニヤアクチュエータの要部構造を説明する。
この図に示すリニヤアクチュエータは、電磁アクチュエータJ1 とスプリングJ2 によってシャフトJ3 を軸方向へ変位させることにより、シャフトJ3 とともに被駆動体(例えば、バルブ等)を軸方向へ移動させるものである。
電磁アクチュエータJ1 は、プランジャJ4 を軸方向へ移動可能に収容するプランジャ収容室Aを備えており、プランジャJ4 がコイルJ5 の内側で軸方向へ変位するには、プランジャ収容室Aの空間容積(プランジャ収容室AとプランジャJ4 の間に形成される空間の容積)が変化する必要がある。
被駆動体を収容するハウジングJ6 には、内外を連通する呼吸孔J7 が形成されており、その呼吸孔J7 とプランジャ収容室Aは、シャフトJ3 と軸受(図では、第1、第2軸受J8 、J9 からなる)の間の摺動クリアランスB1 、B2 (シャフトJ3 と摺接する部分の隙間)を介して連通している。そして、プランジャJ4 が軸方向へ変位する際は、この摺動クリアランスB1 、B2 を通って呼吸用流体(例えば、オイル、エア等)がプランジャ収容室Aに給排されて、プランジャ収容室Aの空間容積が変化し、プランジャJ4 が軸方向へ変位することができる。
一方、シャフトJ3 を支持する軸受の内周面に軸方向に伸びる溝(図示しない)を形成したものが知られている(例えば、特許文献1参照)。この溝は、摺動クリアランスB1 、B2 に異物(例えば、摩耗粉等)が侵入した場合に、シャフトJ3 の摺動により異物を溝内に集積し、異物が摺動クリアランスB1 、B2 に噛み込むのを防ぐものである。そして、この溝は、呼吸孔J7 とプランジャ収容室Aとを連通する呼吸通路としても作用するものである。
(従来の技術の不具合)
摺動クリアランスB1 、B2 を小さく設けた場合は、異物が摺動クリアランスB1 、B2 に入り込み難いため、異物の噛み込みによってシャフトJ3 が摺動不良を起こす可能性は低い。
しかし、摺動クリアランスB1 、B2 が小さいと、呼吸用流体の流れる流路面積が小さいため、急速にプランジャ収容室Aに呼吸用流体を給排できず、プランジャJ4 の作動抵抗が大きくなり、優れた応答性が得られない。
逆に、摺動クリアランスB1 、B2 が大きい場合は、呼吸用流体の流れる流路面積が大きいため、プランジャJ4 の作動抵抗が小さくなり、優れた応答性が得られる。
しかし、摺動クリアランスB1 、B2 が大きいことによって、摺動クリアランスB1 、B2 に粒径の大きな異物が侵入する可能性が高まり、異物の噛み込みによってシャフトJ3 に摺動不良が発生する可能性がある。
一方、特許文献1の技術のように、溝によって呼吸通路を設けた場合でも、呼吸用流体の流れる流路面積が大きいため、プランジャJ4 の作動抵抗が小さくなり、優れた応答性が得られる。
しかし、呼吸通路を設けたことによって、呼吸用流体とともに異物がプランジャ収容室Aへ侵入する可能性が高まる。プランジャ収容室Aに呼吸用流体とともに異物として磁性異物(例えば、摩耗粉や切削粉などによる鉄粉や鉄片等)が侵入すると、侵入した磁性異物が磁気回路の一部を構成する可能性がある。
プランジャ収容室Aに侵入した磁性異物が磁気回路の一部を構成すると、磁気ショートによってプランジャJ4 の吸引力が低下したり、プランジャJ4 へ作用する磁気のバランスが崩れ、プランジャJ4 の軸方向に対して直角方向の力が作用し、プランジャJ4 が周囲の部材(例えばシール用のカップガイドJ10)と強く摺動してプランジャJ4 の軸方向の移動が妨げられて、電磁アクチュエータJ1 に対する要求特性が得られなくなる可能性がある。
また、磁性異物ではない異物でも、プランジャ収容室Aに堆積、あるいは噛み込むなどしてプランジャJ4 の移動が妨げられて作動不良を発生する可能性もある。
国際公開第01/027511号パンフレット
本発明は、上記の不具合を解決すべくなされたものであり、その目的は、(1)呼吸用流体の流れる流路面積を大きくすることで応答性を高め、(2)異物によるシャフトの噛み込みの発生を抑え、(3)電磁アクチュエータの内部にあるプランジャ収容室への異物の侵入を阻止できるリニヤアクチュエータの提供にある。
[請求項1、2の手段]
(1)請求項1の手段を採用するリニヤアクチュエータは、電磁アクチュエータ内のプランジャ収容室と呼吸孔とが、シャフトと軸受の間の摺動クリアランスの流路面積よりも流路面積が大きい呼吸通路を介して連通するものである。
この呼吸通路は、呼吸用流体の流れる流路面積が大きいため、プランジャの移動によってプランジャ収容室の空間容積が変動する際、急速にプランジャ収容室に呼吸用流体を給排できる。このため、プランジャの作動抵抗を小さくでき、優れた応答性を得ることができる。
(2)摺動クリアランスとは別に、流路面積の大きい呼吸通路を設けているため、摺動クリアランスを小さくできる。これによって、異物が摺動クリアランスに入り込み難くなるため、異物の噛み込みによってシャフトが摺動不良を起こす不具合を抑えることができる。
(3)呼吸用流体の給排を行う呼吸通路に異物の通過を阻止するフィルタを設けているため、呼吸用流体とともに異物が電磁アクチュエータ内のプランジャ収容室に侵入しない。これによって、電磁アクチュエータの作動不良を防ぐことができるとともに、長期にわたり電磁アクチュエータの要求特性を維持できる。
そして、請求項1の手段を採用するリニヤアクチュエータの軸受は、第1軸受と第2軸受とからなり、プランジャに近い側の第2軸受は2つの部材を接合して設けられる。そして、フィルタは、第2軸受を構成する2つの部材に挟まれて支持されるものである。
また、請求項2の手段を採用するリニヤアクチュエータの軸受は、第1軸受と第2軸受とからなり、フィルタは第1軸受と第2軸受に挟まれて支持されるものである。
[請求項の手段]
請求項の手段を採用するリニヤアクチュエータは、電磁弁である。
即ち、ハウジングは、流体通路が形成されたバルブハウジングであり、被駆動体は、バルブハウジングの内部で軸方向に変位することで、流体通路の切替え(または流体通路の開閉、あるいは流体通路の通路面積の可変)を行うバルブであり、バルブハウジングとバルブによって弁装置が構成され、この弁装置が電磁アクチュエータによって駆動されるものである。
[請求項の手段]
請求項の手段を採用するリニヤアクチュエータは、電磁油圧制御弁である。
即ち、バルブハウジングは、オイルの入出力ポートあるいは排出ポートが形成されたスリーブであり、バルブは、バルブハウジングの内部で軸方向へ変位することで入出力ポートあるいは排出ポートの切替え(または入出力あるいは排出のポート開閉、あるいはポートの通路面積の可変)を行うものであり、バルブハウジングとバルブによって弁装置が構成され、この弁装置が電磁アクチュエータによって駆動されるものである。
最良の形態1、2のリニヤアクチュエータは、被駆動体(例えば、ボール弁、スプールバルブ等)、ハウジングを備えた駆動対象装置(例えば、弁装置、スプール弁等)と、コイル、プランジャ、ステータを備える電磁アクチュエータと、プランジャの軸方向の変位を被駆動体へ伝えるシャフトと、このシャフトの軸受と、プランジャとステータの対向距離が離れる方向へプランジャおよび被駆動体を付勢する付勢手段とを具備する。
そして、電磁アクチュエータは、プランジャを収容するプランジャ収容室を備える。
ハウジングは、内部と大気圧の外部とを連通する呼吸孔(あるいは排出ポートであっても良い)を備える。
プランジャ収容室は、シャフトと軸受の間の摺動クリアランスの流路面積よりも流路面積が大きい呼吸通路を介して呼吸孔と連通する。
呼吸通路には、その呼吸通路を流れる呼吸用流体に含まれる異物の通過を阻止するフィルタが設けられている。
そして、最良の形態1におけるリニヤアクチュエータの軸受は、第1軸受と第2軸受とからなり、プランジャに近い側の第2軸受は2つの部材を接合して設けられ、フィルタは第2軸受を構成する2つの部材に挟まれて支持されるものである。
また、最良の形態2におけるリニヤアクチュエータの軸受は、第1軸受と第2軸受とからなり、フィルタは第1軸受と第2軸受に挟まれて支持されるものである。
実施例1を図1、図2を参照して説明する。なお、以下の実施例では、リニヤアクチュエータの一例として電磁弁を示すものであり、その電磁弁の具体的な一例として電磁油圧制御弁を示すものである。
電磁油圧制御弁1は、例えば、自動変速機の油圧コントローラに搭載されて、自動変速機の多板クラッチや多板ブレーキ等の油圧係合要素の係脱を行う油圧アクチュエータにオイル(油圧)の給排を行ったり、バルブ可変タイミング装置(VVT等)の油圧コントローラに搭載されて、カムシャフト進角調整用の油圧アクチュエータの進角室あるいは遅角室にオイル(油圧)の給排を行う制御弁である。
図1は電磁油圧制御弁1の要部断面図であり、この図1を参照して電磁油圧制御弁1の構造を説明する。
電磁油圧制御弁1は、バルブハウジング(スリーブ)2、バルブ(被駆動体の一例:図示しない)からなる弁装置(駆動対象装置の一例)3と、バルブを軸方へ駆動する電磁アクチュエータ4とを備える。
バルブハウジング2は、略円筒形状を呈するものであり、オイルの給排口となる入出力ポート(図示しない)あるいは排出ポートが形成されている。
バルブは、バルブハウジング2内において軸方向に摺動自在なものであり、バルブがスプールタイプの場合、バルブハウジング2の内径寸法にほぼ一致した外径寸法を有するポート遮断用(あるいはポート開度可変用)の大径部(ランド)を備える。また、スプールには、大径部より径の小さい小径部が設けられており、小径部の軸方向の位置に応じて入出力ポートあるいは排出ポートの連通状態が変更される。そして、スプールバルブを電磁アクチュエータ4によって軸方向へ変位させることにより、大径部による入出力ポートあるいは排出ポートの遮断状態、および小径部による入出力ポートあるいは排出ポートの連通状態を制御して、油圧アクチュエータの油圧をコントロールしている。
電磁アクチュエータ4は、プランジャ5、ステータ6、コイル7、ヨーク8、サイドギャップ用コア9、およびコネクタ(図示しない)を備える。
プランジャ5は、ステータ6に磁気吸引される磁性体金属(例えば、鉄:磁気回路を構成する強磁性材料)によって形成されたものであり、コイル7の内側(具体的には、オイルシール用のカップガイド11の内側)で軸方向へスライド可能に支持される。
ステータ6は、バルブハウジング2とコイル7との間に挟まれて配置される略円盤形状のプレート12と、そのプレート12の磁束をプランジャ5の近傍まで導く略円筒形状の吸引コア13とからなる。
プレート12と吸引コア13は、ともに磁性体金属(例えば、鉄:磁気回路を構成する強磁性材料)であり、プランジャ5と吸引コア13との間にはメインギャップMG(磁気吸引ギャップ)が形成される。なお、この実施例では、プレート12と吸引コア13を別部品で構成する例を示すが、プレート12と吸引コア13を一部品で設けても良い。
吸引コア13の端部には、プランジャ5の端部が接触しないで差し込まれる凹部が形成されており、この凹部内にプランジャ5が侵入することで、プランジャ5がステータ6の端部に吸引された際に、プランジャ5とステータ6の一部が軸方向に交差するように設けられている。なお、吸引コア13あるいはプランジャ5の端部(メインギャップMG側)の形状は、平面、円錐、球面、自由曲面あるいはこれらの複合形状などであっても良い。
コイル7は、通電されると磁力を発生して、ステータ6にプランジャ5を磁気吸引させる磁力発生手段であり、樹脂性のボビン7aの周囲にエナメル線を多数巻回したものである。
ヨーク8は、コイル7の周囲を覆う磁性体金属(例えば、鉄:磁気回路を構成する強磁性材料)であり、図1左側に形成された爪部8aのカシメなどでバルブハウジング2と結合されるものである。
サイドギャップ用コア9は、プランジャ5の周囲を覆って、プランジャ5の周囲でプランジャ5と磁束の受渡しを行うものであり、プランジャ5とサイドギャップ用コア9の間にはサイドギャップSG(磁束受渡ギャップ)が形成される。なお、この実施例では、ヨーク8とサイドギャップ用コア9を別部品で構成する例を示すが、ヨーク8とサイドギャップ用コア9を一部品で設けても良い。
コネクタは、電磁油圧制御弁1を制御する制御装置と接続線を介して電気的な接続を行う手段であり、コネクタの内部にはコイル7の両端にそれぞれ接続される端子が配置されている。
電磁油圧制御弁1は、プランジャ5とバルブの軸方向の変位を伝達するシャフト14を備える。この実施例のシャフト14は、図1中の右側端がプランジャ5に当接する例を示すが、プランジャ5と圧入等により固着されるものであっても良い。一方、シャフト14の図1中の左側端は、バルブと圧入により固着されるものであっても良いし、バルブと一体に設けられるもの(シャフト14自体がバルブ、あるいはバルブの構成要素)であっても良い。また、スプリング等の付勢手段あるいは油圧反力によりバルブがプランジャ5側へ付勢する場合などでは、バルブとシャフト14が当接するものであっても良い。
シャフト14は、プランジャ5から離れた側(図1中、左側)において樹脂製のカラー15(第1軸受に相当する)によって支持されるとともに、プランジャ5に近い側(図1中、右側)で吸引コア13(第2軸受に相当する)によって支持される。即ち、カラー15と吸引コア13によって、シャフト14の軸受が構成される。
カラー15は、バルブハウジング2の内側に固定される。また、吸引コア13は、バルブハウジング2とコイル7の間に挟まれて固定されるプレート12の内側に圧入等によって固定される。
なお、この軸受内に設けられる呼吸通路16については後述する。
電磁油圧制御弁1は、プランジャ5とステータ6の対向距離(メインギャップMG)が離れる方向へ、プランジャ5を付勢するスプリング17(付勢手段に相当する)を備える。この実施例のスプリング17は、カラー15とシャフト14の間に配置されて、シャフト14に図1の右側へ移動する付勢力を与え、プランジャ5を図1の右側に付勢するものである。なお、吸引コア13とプランジャ5の間にスプリングを配置しても良い。また、プランジャ5とは異なる側のバルブハウジング2とバルブの間にスプリングを配置して、バルブ、シャフト14、プランジャ5に付勢力を与えても良い。また、バルブへの油圧反力などで特に付勢力が必要ない場合には、スプリング17を省略しても良い。
電磁油圧制御弁1は、コイル7のOFF 時、スプールとプランジャ5が、スプリング17の付勢力によってコイル7側(図1右側)へ変位して停止する。
この停止状態でメインギャップMGの最大ギャップが決定されるとともに、バルブハウジング2に対するバルブの位置決めが成される。
なお、図1中に示す符号18はシール用のOリングである。
〔実施例1の特徴〕
プランジャ5は、電磁アクチュエータ4の内部において軸方向へ移動するものであるため、電磁アクチュエータ4の内部には、プランジャ5を軸方向へ変位可能に収容するプランジャ収容室Aが設けられている。このプランジャ収容室Aは、カップガイド11と吸引コア13で囲まれた部屋である。
ここで、プランジャ5は、軸方向に径寸法が異なっており、その径に応じてプランジャ収容室Aの径も軸方向に異なっている。また、プランジャ5が軸方向へ変位すると、プランジャ収容室Aに侵入するシャフト14の侵入量も変位する。このため、プランジャ5が軸方向へ変位すると、プランジャ収容室Aの空間(各部材によって囲まれた空間:第1空間A1 +第2空間A2 +第3空間A3 )の容積が変化する。
プランジャ5のステータ6側(図1左側)の第1空間A1 と、プランジャ5の反ステータ6側(第1空間A1 とは異なる側:図1右側)の第2空間A2 とは、プランジャ5の中心において貫通して形成されたプランジャ内通路5aと、シャフト14の当接面に形成された径方向溝5bを介して連通するようになっており、第1空間A1 と第2空間A2 の間でオイル(作動流体)あるいは残留エアが自由に行き来できるようになっている。
プランジャ5の外周の第3空間A3 と第1空間A1 とは、プランジャ5の外周に形成されたプランジャ外周溝5cを介して連通するようになっており、第1空間A1 と第3空間A3 の間でオイルあるいは残留エアが自由に行き来できるようになっている。
なお、この実施例では、径方向溝5bをプランジャ5の端面に形成した例を示したが、シャフト14の端面に形成しても良い。また、プランジャ5の軸芯以外の部位に軸方向に貫通した内部通路を形成して第1空間A1 と第2空間A2 を連通させても良いし、プランジャ5の外周面に軸方向に伸びる溝を形成して第2空間A2 と第3空間A3 を連通させても良い。
バルブハウジング2には、内部と大気圧の外部とを連通してオイル(作動流体)あるいは内部残留エアの給排が可能な呼吸孔あるいは排出ポート(ドレインポート)21が形成されている。
プランジャ収容室A内における第1空間A1 は、シャフト14の軸受(カラー15と吸引コア13)に設けられた呼吸通路16を通って呼吸孔21に連通するように設けられている。
この呼吸通路16は、シャフト14と軸受(カラー15と吸引コア13)の間の両摺動クリアランスB1 、B2 の流路面積よりも流路面積が大きく設けられ、呼吸用のオイルが主に呼吸通路16を流れるようになっている。
この実施例では、吸引コア13の内部に呼吸通路16を形成し、且つ第2軸受に相当する吸引コア13の内部に後述するフィルタ22を配置するために、吸引コア13を2つの部材(主コア材13aと副コア材13b)で構成している。
主コア材13aは、プランジャ5側の中心部に円筒状の凹部が形成されており、その凹部の内側に略円筒形状の副コア材13bを圧入固定した構造になっている。副コア材13bには、フィルタ室16dの内部に配置されるフィルタ22の外周に挿入される複数(この実施例では、図2に示すように5つ)の突起13cが形成されている。副コア材13bの内周面は、シャフト14を支持するものであり、副コア材13bとシャフト14の間に摺動クリアランスB2 が形成される。
吸引コア13の内部の呼吸通路16は、主コア材13aと副コア材13bの軸方向の間に形成されたフィルタ室16d(スプリング17が配置される軸受内空間16bに連通する)と、副コア材13bの周囲に軸方向に複数形成された溝通路16e(プランジャ収容室Aに連通する)とからなる。
即ち、全体の呼吸通路16は、入口路16a→軸受内空間16b→フィルタ室16d→溝通路16eからなり、呼吸孔21とプランジャ収容室Aとを連通する。この呼吸通路16の最小流路面積は、カラー15および吸引コア13の摺動クリアランスB1 、B2 の軸方向の面積より大きく、呼吸通路16に積極的にオイルまたは残留エアを流し、摺動クリアランスB1 、B2 はオイルまたは残留エアが流れ難いものである。
上述したように、プランジャ5が軸方向へ変位すると、プランジャ収容室Aの空間容積(第1空間A1 +第2空間A2 +第3空間A3 の容積)が変化するため、呼吸通路16を介してオイルまたは残留エアが給排される。
プランジャ5が軸方向へ変位して、プランジャ収容室Aの空間容積が変動する毎に、呼吸通路16をオイルまたは残留エアが流れるため、オイル中または残留エア中に含まれる異物(摩耗粉や切削粉等)が呼吸通路16内およびプランジャ収容室A内に侵入する可能性がある。
そこで、呼吸通路16には、呼吸通路16を流れるオイルに含まれる異物の通過を阻止するフィルタ22を設けている。このフィルタ22は、呼吸通路16を通過する全てのオイルを濾過するようになっている。この実施例のフィルタ22は、フィルタ室16dに配置されて、主コア材13aと副コア材13bの軸方向の間に挟まれて支持されるものであり、例えば円筒形に形成した不織繊維、あるいは目の細かいメッシュ(例えば、♯80〜♯1000)よりなる。
〔実施例1の効果〕
この実施例1の電磁油圧制御弁1は、次の効果を奏する。
(1)プランジャ収容室Aと呼吸孔21とが、シャフト14と軸受(カラー15と吸引コア13)の間の摺動クリアランスB1 、B2 の流路面積よりも流路面積が大きい呼吸通路16を介して連通する。このように、呼吸通路16は流路面積が大きいため、プランジャ5の移動によってプランジャ収容室Aの空間容積が変動する際に、急速にプランジャ収容室Aにオイルを給排できる。これによって、プランジャ5の作動抵抗を小さくでき、プランジャ5の作動応答性、ひいては電磁油圧制御弁1の応答性を高めることができる。
(2)摺動クリアランスB1 、B2 とは別に、流路面積の大きい呼吸通路16を設けるため、摺動クリアランスB1 、B2 を小さくできる。これによって、摺動クリアランスB1 、B2 に異物が入り込み難くなるため、摺動クリアランスB1 、B2 に異物が噛み込むことによって発生するシャフト14の摺動不良を抑えることができる。
(3)呼吸通路16に異物の通過を阻止するフィルタ22を設けているため、オイルまたは残留エアとともに異物が呼吸通路16の内部、およびプランジャ収容室Aの内部に侵入しない。これによって、電磁アクチュエータ4の作動不良を防ぐことができるとともに、長期にわたり電磁アクチュエータ4の要求特性を維持でき、電磁油圧制御弁1の信頼性を高めることができる。
即ち、本発明を適用した電磁油圧制御弁1は、応答性に優れ、且つ異物の噛み込みによるシャフト14の作動不良が抑えられ、さらに電磁アクチュエータ4の内部にあるプランジャ収容室Aへの異物の侵入を阻止できる。
実施例2を図3を参照して説明する。なお、以下の実施例において上記実施例1と同一符号は同一機能物を示すものである
この実施例2は、第1軸受に相当するカラー15と、第2軸受に相当する吸引コア13の軸方向の間に、フィルタ22を挟んで支持するものである。この実施例のフィルタ22は、略リング円盤形状を呈するものであり、メッシュあるいは不織繊維によって設けられ、入口路16aの吸引コア13側をフィルタ22が覆うように配置されている。
なお、吸引コア13におけるフィルタ22の当接面には、フィルタ22を通過したオイルを軸受内空間16bに導くための円環溝16fと径方向溝16gが形成されている。
即ち、全体の呼吸通路16は、入口路16a→円環溝16f→径方向溝16g→軸受内空間16b→軸方向溝16cからなり、呼吸孔21とプランジャ収容室Aとを連通するものである。
このような実施例を採用しても、呼吸通路16を流れるオイルがフィルタ22を通過するため、上記実施例1と同様の効果を得ることができる。
〔変形例
記の実施例で示した電磁アクチュエータ4の構造は、実施例の説明のための一例であって、他の構造であっても良い。例えば、コイル7の軸方向にプランジャ5が配置されるものであっても良い。
上記の実施例では、コイル7がONした時にスプール(被駆動体、バルブ等)が反コイル7側へ変位する例を示したが、逆にコイル7がONした時にスプール(被駆動体、バルブ等)がコイル7側へ変位するようにしても良い。
上記の実施例では、電磁弁の一例として、電磁油圧制御弁1を例に示したが、オイル以外の流体(例えば、水、空気、排気ガス等)の切替え、流体の断続、流体の流量調整を行う電磁弁に本発明を適用しても良い。
さらに、バルブに代えて、他の被駆動体(直線的な移動を行う部材)を電磁アクチュエータ4で駆動するリニヤアクチュエータに本発明を適用しても良い。
電磁油圧制御弁の要部を示す軸方向に沿う断面図である(実施例1)。 フィルタ部分における軸方向に直交した方向の要部断面図である(実施例1)。 電磁油圧制御弁の要部を示す軸方向に沿う断面図である(実施例2)。 磁油圧制御弁の要部を示す軸方向に沿う断面図である(従来例)。
符号の説明
1 電磁油圧制御弁(リニヤアクチュエータ、電磁弁)
2 バルブハウジング(スリーブ)
3 弁装置(駆動対象装置)
4 電磁アクチュエータ
5 プランジャ(可動子)
6 ステータ
7 コイル
13 吸引コア(第2軸受)
13a 主コア材(第2軸受を構成する2つの部材の一方)
13b 副コア材(第2軸受を構成する2つの部材の他方)
14 シャフト
15 カラー(第1軸受)
16 呼吸通路
17 スプリング(付勢手段)
21 呼吸孔
22 フィルタ
A プランジャ収容室
B1 、B2 摺動クリアランス

Claims (4)

  1. (a)軸方向へ変位可能に支持された被駆動体、この被駆動体を収容するハウジングを備えた駆動対象装置と、
    (b)通電によって磁力を発生するコイル、軸方向へ移動可能に設けられたプランジャ、前記コイルの発生した磁力を前記プランジャの軸方向の対向位置へ導くステータを備え、前記コイルの発生する磁力によって前記プランジャを前記ステータに吸引する電磁アクチュエータと、
    (c)前記被駆動体と前記プランジャの間に配置され、前記プランジャの軸方向の変位を前記被駆動体へ伝えるシャフトと、
    (d)このシャフトを軸方向へ変位可能に支持する軸受と、
    (e)前記プランジャと前記ステータの対向距離が離れる方向へ、前記プランジャおよび前記被駆動体を付勢する付勢手段とを具備し、
    (f)前記電磁アクチュエータは、前記プランジャを軸方向へ変位可能に収容するプランジャ収容室を備え、
    (g)前記ハウジングは、当該ハウジングの内外を連通する呼吸孔を備え、
    (h)前記プランジャ収容室は、前記シャフトと前記軸受の間の摺動クリアランスの流路面積よりも流路面積が大きい呼吸通路を介して前記呼吸孔と連通するものであり、
    (i)この呼吸通路には、当該呼吸通路を流れる呼吸用流体に含まれる異物の通過を阻止するフィルタが設けられ
    前記軸受は、前記プランジャから離れた側で前記シャフトを支持する第1軸受と、この第1軸受よりも前記プランジャに近い側で前記シャフトを支持する第2軸受とを備え、
    この第2軸受は、2つの部材を接合して設けられたものであり、
    前記フィルタは、前記第2軸受を構成する2つの部材に挟まれて支持されることを特徴とするリニヤアクチュエータ。
  2. (a)軸方向へ変位可能に支持された被駆動体、この被駆動体を収容するハウジングを備えた駆動対象装置と、
    (b)通電によって磁力を発生するコイル、軸方向へ移動可能に設けられたプランジャ、前記コイルの発生した磁力を前記プランジャの軸方向の対向位置へ導くステータを備え、前記コイルの発生する磁力によって前記プランジャを前記ステータに吸引する電磁アクチュエータと、
    (c)前記被駆動体と前記プランジャの間に配置され、前記プランジャの軸方向の変位を前記被駆動体へ伝えるシャフトと、
    (d)このシャフトを軸方向へ変位可能に支持する軸受と、
    (e)前記プランジャと前記ステータの対向距離が離れる方向へ、前記プランジャおよび前記被駆動体を付勢する付勢手段とを具備し、
    (f)前記電磁アクチュエータは、前記プランジャを軸方向へ変位可能に収容するプランジャ収容室を備え、
    (g)前記ハウジングは、当該ハウジングの内外を連通する呼吸孔を備え、
    (h)前記プランジャ収容室は、前記シャフトと前記軸受の間の摺動クリアランスの流路面積よりも流路面積が大きい呼吸通路を介して前記呼吸孔と連通するものであり、
    (i)この呼吸通路には、当該呼吸通路を流れる呼吸用流体に含まれる異物の通過を阻止するフィルタが設けられ、
    前記軸受は、前記プランジャから離れた側で前記シャフトを支持する第1軸受と、この第1軸受よりも前記プランジャに近い側で前記シャフトを支持する第2軸受とを備え、
    前記フィルタは、前記第1軸受と前記第2軸受に挟まれて支持されることを特徴とするリニヤアクチュエータ。
  3. 請求項1または請求項2に記載のリニヤアクチュエータにおいて、
    前記ハウジングは、流体通路が形成されたバルブハウジングであり、
    前記被駆動体は、前記バルブハウジングの内部で軸方向に変位することで、前記流体通路の切替え、前記流体通路の開閉、あるいは前記流体通路の通路面積の可変を行うバルブであり、
    前記バルブハウジングと前記バルブによって弁装置が構成されることを特徴とするリニヤアクチュエータ。
  4. 請求項に記載のリニヤアクチュエータにおいて、
    前記バルブハウジングは、オイルの入出力ポートあるいは排出ポートが形成されたスリーブであり、
    前記バルブは、前記バルブハウジングの内部で軸方向へ変位することで前記入出力ポートあるいは排出ポートの切替え、または開閉、あるいは前記入出力ポートあるいは排出ポートの通路面積の可変を行うものであり、
    前記バルブハウジングと前記バルブによって弁装置が構成されることを特徴とするリニヤアクチュエータ。
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