JP2009107882A - 超伝導体及びその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】銅酸化物を用いた超伝導体をより容易に合成できるようにする。
【解決手段】酸素分圧を100.325Paに維持した状態で酸素・窒素混合ガスを供給し、大気より小さい酸素分圧の低酸素雰囲気とした管状の炉内で、850℃の条件で加熱処理(本焼成)し、結晶基板101の上に、過剰酸素を含むRE2CuO4+δもしくはAECuO2+δからなる金属酸化物層103が形成された状態とする。次に、金属酸化物層103が形成された結晶基板101を、大気圧より低い圧力の減圧雰囲気とした真空中で、例えば440℃・10分の条件で加熱処理し、金属酸化物層103より酸素を除去し、これをREもしくはAEと銅と酸素との化学量論組成の酸化物とし、結晶基板101の上に、超伝導体薄膜104が形成された状態とする。
【選択図】 図1

Description

本発明は、銅酸化物からなる超伝導体及びその製造方法に関するものである。
従来、銅酸化物は、母物質絶縁体に電子又は正孔をドーピングすることにより超伝導化され、キャリアドープをしない状態では超伝導が発現しないものと考えられてきた。例えば、1986年にベドノルツ,ミュラーによって最初に発見された高温超伝導体La2-xBaxCuO4の場合には、K2NiF4構造(以下T構造と略記する)を有する母物質絶縁体La2CuO4の一部のLa3+(3価元素)を、Ba2+(2価元素)に置換して正孔を導入することにより、超伝導を発現させている(非特許文献1参照)。
また、Nd2CuO4構造(以下T’構造と略記する)を有する銅酸化物RE2CuO4(希土類元素RE=Pr,Nd,Sm,Eu,及びGd)では、一部のRE3+(3価元素)をCe4+(4価元素)に置換して電子を導入することにより、超伝導を発現させている(非特許文献2参照)。また、2価元素との化合物であり無限層構造を持つAECuO2の超伝導発現には、一部のAE2+(2価元素)を3価の元素に置換することで電子ドーピングを行うことにより、超伝導を発現させている。
一方、発明者らは、T’構造の銅酸化物にLa2CuO4に限り、一部のLa3+(3価元素)を同じ3価元素で置換することにより、超伝導を発現させることが可能であることを既に示している。これは、電子ドープ及び正孔ドープのいずれにも該当しない。しかし、この場合においても、元素の置換が必要であるため、超伝導体を構成する化合物中には3種類以上の金属元素が含まれることになり、合成や材料の特性制御が複雑になると言う問題は解決されていない。また、同じ価数の元素の置換を行うため、形式上のキャリアドーピングはないが、La3+とこれを置換した3価の元素との電気陰性度の違いの差に由来するイントリンジックドーピングの可能性が指摘されている。
特開2005−219976号公報 J.G.Bednorz,and K.A.Muller,"Possible High Tc Superconductivity in the Ba-La-Cu-O System",Z.Phys.B-Condensed Matter,Vol.64,pp.189-193,1986. Y.Tokura et al.,"A superconducting copper oxide compound with electrons as the charge carriers", Nature, Vol.337, pp.345-347,1989. A.Tsukada, Y. Krockenberger, M.Noda, H.Yamamoto, D.Manske, L.Alff, M.Naito, "New class of T'-structure cuprate superconductors",Solid State Commun.Vol.133,pp.427-431,2005.
上述したように、従来では、銅酸化物を用いたRE2CuO4やAECuO2などの構造の超伝導体では、RE及びAEを、部分的に価数の異なる元素に置き換えて電子ドーピングを行うことが、超伝導を発現させるために必要であるものと考えられていた。このため、超伝導体を得るためには、化合物中に酸素以外に3種類の金属元素を含ませる必要があり、これを合成することや、材料の特性を制御することが複雑になり容易ではないという問題があった。
本発明は、以上のような問題点を解消するためになされたものであり、銅酸化物を用いた超伝導体をより容易に合成できるようにすることを目的とする。
本発明に係る超伝導体は、希土類元素,アルカリ土類金属元素,及びCdの中から選択された金属と銅との2つの金属の酸化物から構成され、化学量論組成とされているものである。
上記超伝導体において、希土類元素と銅との酸化物から構成された超伝導体は、Nd2CuO4構造を備えるものである。なお、希土類元素は、La,Pr,Nd,Sm,Eu,Gd,Tb,Dy,Ho,Er,Tm,Yb,Lu,及びYの中から選択されたものであればよい。
また、上記超伝導体において、アルカリ土類金属元素及びCdの中から選択された金属と銅との酸化物から構成された超伝導体は、無限層構造を備えるものである。なお、アルカリ土類金属元素は、Ca,Sr,及びBaの中から選択されたものであればよい。
また、本発明に係る超伝導体の製造方法は、希土類元素,アルカリ土類金属元素,及びCdの中から選択された金属と銅との2つの金属の酸化物から構成された超伝導体の製造方法であって、上記金属及び銅よりなる化合物を大気より小さい酸素分圧の低酸素雰囲気で加熱して金属及び銅よりなる第1金属酸化物が形成された状態とする第1工程と、第1金属酸化物を大気圧より低い圧力の減圧雰囲気で加熱して第1金属酸化物に含まれている一部の酸素を除去し、金属と銅と酸素との化学量論組成の酸化物から構成された超伝導体が形成された状態とする第2工程とを少なくとも備え、第1工程では、金属及び銅よりなる化合物を大気中で加熱することで形成される金属及び銅よりなる第2金属酸化物より、酸素の組成比が少ない状態に第1金属酸化物が形成される状態に、酸素分圧を小さくするようにしたものである。
上記超伝導体の製造方法において、第1工程における酸素分圧は、100.325Paより小さい状態であればよい。
また、上記超伝導体の製造方法において、第1工程では、金属及び銅よりなる化合物の薄膜が、結晶基板の上に形成された状態とし、化合物の薄膜を大気より小さい酸素分圧の低酸素雰囲気で加熱して金属及び銅よりなる第1金属酸化物よりなる薄膜が結晶基板の上に形成された状態とし、第2工程では、第1金属酸化物よりなる薄膜を大気圧より低い圧力の減圧雰囲気で加熱して第1金属酸化物に含まれている一部の酸素を除去し、金属と銅と酸素との化学量論組成の酸化物から構成された超伝導体からなる薄膜が結晶基板の上に形成された状態とすればよい。
以上説明したように、本発明によれば、希土類元素,アルカリ土類金属元素,及びCdの中から選択された金属と銅との2つの金属の酸化物から構成し、過剰な酸素を含まない化学量論組成としたので、銅酸化物を用いた超伝導体がより容易に合成できるようになるという優れた効果が得られる。
以下、本発明の実施の形態について図を参照して説明する。本発明の実施の形態に係る超伝導体は、希土類元素,アルカリ土類金属元素,及びCdの中から選択された金属(RE,AE)と銅との2つの金属の酸化物から構成され(RE2CuO4,AECuO2)、過剰な酸素や酸素欠損などを含まない、化学量論組成とされているものである。REは、希土類元素であるLa,Pr,Nd,Sm,Eu,Gd,Tb,Dy,Ho,Er,Tm,Yb,Lu,及びYのいずれかであり、AEは、Cdもしくはアルカリ土類金属元素のCa,Sr,及びBaのいずれかである。また、希土類元素と銅との酸化物からなる超伝導体RE2CuO4は、Nd2CuO4構造を備え、Cdもしくはアルカリ土類金属元素と銅との酸化物からなる超伝導体AECuO2は、無限層構造を備える。
以下、図1(a)〜図1(c)を用いて、製造方法について説明する。まず、希土類元素,アルカリ土類金属,もしくはCdの有機酸塩及びCuの有機酸塩を、化学量論比に混合した有機酸塩溶液を、所定の結晶基板101の上に塗布し、図1(a)に示すように、結晶基板101の上に上述した有機酸塩の塗布膜102が形成された状態とする。例えば、塗布膜102は、回転塗布法により形成すればよい。
次に、塗布膜102が形成された結晶基板101を、例えば、大気中において、400℃・30分の条件で加熱処理(仮焼成)する。この仮焼成は、塗布膜102に含まれている有機成分の除去が主な目的である。この後、例えば、酸素分圧を100.325Paに維持した状態で酸素・窒素混合ガスを供給することで、大気より小さい酸素分圧の低酸素雰囲気とした管状の炉内で、850℃の条件で加熱処理(本焼成)し、図1(b)に示すように、結晶基板101の上に、過剰酸素(不純物酸素)を含むRE2CuO4+δもしくはAECuO2+δ(第1金属酸化物)からなる金属酸化物層103が形成された状態とする。
次に、金属酸化物層103が形成された結晶基板101を、大気圧より低い圧力の減圧雰囲気とした真空中で、例えば440℃・10分の条件で加熱処理し、金属酸化物層103より酸素を除去し、これをREもしくはAE(金属)と銅と酸素との化学量論組成の酸化物とすれば、図1(c)に示すように、結晶基板101の上に、本実施の形態における超伝導体からなる超伝導体薄膜104が形成された状態が得られる。この処理においては、よく知られている真空装置の真空槽内で、可能な範囲で高い真空度(低い圧力)で上記の加熱を行えばよい。
この工程は、雰囲気を減圧環境とすることで、金属酸化物層103より酸素を除去するものであり、金属酸化物層103より酸素を除去して上記化学量論組成の酸化物が得られる範囲の真空度(圧力)の状態で加熱を行えばよい。また、この工程では、金属酸化物層103からの化学量論組成に対して過剰な酸素の除去が、金属酸化物層103(超伝導体薄膜104)が分解せずに行える範囲の温度条件で加熱を行う。
また、上述した本実施の形態における製造方法において、上述した低酸素雰囲気における加熱(本焼成)処理では、REもしくはAEと銅とからなる化合物を大気中で加熱することで形成される金属及び銅よりなる金属酸化物(第2金属酸化物)に比較して、酸素の組成比が少ない状態にRE2CuO4+δもしくはAECuO2+δが形成される状態に、酸素分圧を小さくする。言い換えると、低酸素雰囲気における加熱処理の後に行う真空中の加熱処理による酸素の除去で、REもしくはAEと銅と酸素との化学量論組成の酸化物が得られる範囲で、低酸素雰囲気の酸素分圧を決定すればよい。上述では、酸素分圧を100.325Paに維持するものとしたが、上述した製造の条件では、低酸素雰囲気における酸素分圧は、100.325Paより小さい範囲であればよい。
本発明における超伝導体の製造方法は、上述したように、低酸素雰囲気の加熱(焼成)により過剰酸素の量を抑制した状態のRE2CuO4+δもしくはAECuO2+δを形成した後、減圧環境(真空)下で加熱処理して過剰酸素を除去することで、REもしくはAE(金属)と銅と酸素との化学量論組成の酸化物であるRE2CuO4もしくはAECuO2からなる超伝導体を得るようにしたところに特徴がある。
ここで、上述した有機酸塩としては、例えばナフテン酸を用いることができる。また、結晶基板101としては、形成しようとする超伝導体に、格子定数が適合するものを選べばよい。
例えば、T’構造のPr2CuO4超伝導体を製造する場合、Prのナフテン酸溶液及びCuのナフテン酸溶液を化学量論比に混合して塗布液を作製し、この塗布液を、主表面の面方位を(001)としたスカンジウム酸ディスプロシウム(DyScO3)からなる結晶基板101の上にスピンコーターで塗布し、結晶基板101の上に塗布膜102が形成された状態とすればよい。このように塗布した塗布膜102を、大気中において、400℃・30分の条件で仮焼成し、次いで、所定の混合比の酸素・窒素混合ガスを供給して低酸素雰囲気として酸素分圧を100.325Paに維持した管状の炉内で、850℃の条件で本焼成し、基板101の上に金属酸化物層103が形成された状態とする。
この後、真空中で、440℃・10分の条件で加熱処理すれば、結晶基板101の上に、T’構造のPr2CuO4超伝導体からなる超伝導体薄膜104が形成される。このように形成されたT’構造のPr2CuO4超伝導体の薄膜の超伝導特性は、図2に示すように、超伝導オンセット26K、ゼロ抵抗温度24Kとなり、CeをドープしたPr1.85Ce0.15CuO4のTc〜25Kと、超伝導臨界温度は同程度である。
また、T’構造のNd2CuO4超伝導体を製造する場合、Ndのナフテン酸溶液及びCuのナフテン酸溶液を化学量論比に混合して塗布液を作製し、この塗布液を、主表面の面方位を(001)としたチタン酸ストロンチウム(SrTiO3)からなる結晶基板101の上にスピンコーターで塗布し、結晶基板101の上に塗布膜102が形成された状態とすればよい。このように塗布した塗布膜102を、大気中において、400℃・30分の条件で仮焼成し、次いで、所定の混合比の酸素・窒素混合ガスを供給して低酸素雰囲気として酸素分圧を100.325Paに維持した管状の炉内で、850℃の温度条件で本焼成し、基板101の上に金属酸化物層103が形成された状態とする。
この後、真空中で、440℃・10分の条件で加熱処理すれば、結晶基板101の上に、T’構造のNd2CuO4超伝導体からなる超伝導体薄膜104が形成される。このように形成されたT’構造のNd2CuO4超伝導体の薄膜の超伝導特性は、図3に示すように、超伝導オンセット33K、ゼロ抵抗温度30Kとなり、CeをドープしたNd1.85Ce0.15CuO4のTc〜24Kと比較して超伝導臨界温度は約10K高い。
また、T’構造のSm2CuO4超伝導体を製造する場合、Smのナフテン酸溶液及びCuのナフテン酸溶液を化学量論比に混合して塗布液を作製し、この塗布液を、主表面の面方位を(001)としたチタン酸ストロンチウム(SrTiO3)からなる結晶基板101の上にスピンコーターで塗布し、結晶基板101の上に塗布膜102が形成された状態とすればよい。このように塗布した塗布膜102を、大気中において、400℃・30分の条件で仮焼成し、次いで、所定の混合比の酸素・窒素混合ガスを供給して低酸素雰囲気として酸素分圧を100.325Paに維持した管状の炉内で、850℃の温度条件で本焼成し、基板101の上に金属酸化物層103が形成された状態とする。
この後、真空中で、440℃・10分の条件で加熱処理すれば、結晶基板101の上に、T’構造のSm2CuO4超伝導体からなる超伝導体薄膜104が形成される。このように形成されたT’構造のSm2CuO4超伝導体の薄膜の超伝導特性は、図4に示すように、超伝導オンセット28K、ゼロ抵抗温度25Kとなり、CeをドープしたSm1.85Ce0.15CuO4のTc〜19Kと比較して超伝導臨界温度は約10K高い。
また、T’構造のEu2CuO4超伝導体を製造する場合、Euのナフテン酸溶液及びCuのナフテン酸溶液を化学量論比に混合して塗布液を作製し、この塗布液を、主表面の面方位を(001)としたチタン酸ストロンチウム(SrTiO3)からなる結晶基板101の上にスピンコーターで塗布し、結晶基板101の上に塗布膜102が形成された状態とすればよい。このように塗布した塗布膜102を、大気中において、400℃・30分の条件で仮焼成し、次いで、所定の混合比の酸素・窒素混合ガスを供給して低酸素雰囲気として酸素分圧を100.325Paに維持した管状の炉内で、850℃の温度条件で本焼成し、基板101の上に金属酸化物層103が形成された状態とする。
この後、真空中で、440℃・10分の条件で加熱処理すれば、結晶基板101の上に、T’構造のEu2CuO4超伝導体からなる超伝導体薄膜104が形成される。このように形成されたT’構造のEu2CuO4超伝導体の薄膜の超伝導特性は、図5に示すように、超伝導オンセット24K、ゼロ抵抗温度10K以下となり、CeをドープしたEu1.85Ce0.15CuO4のTc〜11Kと比較して超伝導臨界温度は10K以上高い。
次に、本実施の形態におけるRE2CuO4からなる超伝導体について、より詳細に説明する。一般に、これらの金属酸化物は、大気圧下で有機酸金属塩などを高温焼成及び高温還元処理することにより製造していた。大気圧では、酸素の分圧が20.2〜101kPaとされた高酸素分圧となっている。このように製造された、例えば希土類元素と銅との酸化物は、従来では電子相関の強いモット絶縁体と考えられていた。これに対し、発明者らは、この系の絶縁性が、図6に示す、RE(Nd)601とCu602と酸素603とから構成されたT’構造のRE2CuO4結晶の、図中「+」の位置(頂点位置)に内在する不純物酸素の存在(RE2CuO4+δ)に由来することを明らかにした。
過剰な酸素を含む形でのRE2CuO4+δ結晶の合成(製造)は、既に報告されているが、本願発明は、T’構造のRE2CuO4+δ結晶における頂点位置の不純物酸素を取り除き、化学量論組成としたRE2CuO4とすることで、他の材料のドーピングをすることなしに、超伝導特性を発現させることができることを初めて明らかにしたものである。本発明における超伝導体は、図6中の「+」を除いた状態の、RE601とCu602と酸素603とから構成されたT’構造のRE2CuO4結晶から構成されたものである。
従来より行われていた不純物の添加(ドーピング)による超伝導特性の発現は、元素置換を行うことで、化合物を分解しにくくし、内在する不純物酸素の除去を、化合物を分解させることなく実現していたものと考えられる。このように、3種類の金属を含む状態では、前述したように、合成や材料の特性制御が複雑になると言う問題があった。
これに対し、本願発明では、化学量論組成としたRE2CuO4とすることで超伝導特性を発現させたので、2種類の金属より超伝導体を構成することができ、合成や材料の特性制御が非常に容易になる。
一般に、銅酸化物においては、Cu2+近傍の特異な電子状態を別にすれば、電子充填とともにTcは低下するため、T’構造のRE2CuO4へのCeやThの添加による電子ドーピングは、本来的にはTc低下要因となる。ここで、従来では、ドーピングを行うことでRE3+に対して元素置換を行い、化合物を分解させることなくRE2CuO4+δに内在する不純物酸素の除去を実現していたため、この結果生じる電子ドーピングによってTcが低下しているものと考えられる。
これに対し、本実施の形態の化学量論組成としたRE2CuO4によれば、元素置換をしていなく電子ドーピングの状態が発生していないので、Tcの低下を招くことがなく、高いTcが得られる。例えば、T’構造を有する超伝導体の最高のTcはこれまで(La,Ce)2CuO4のTc=30Kであったが、これに対し、発明者らの実験結果、純粋なNd2CuO4試料はTc=33Kを記録している。
ところで、Nd2CuO4構造を有する銅酸化物RE2CuO4の一部のRE3+をアルカリ土類元素AE2+(AE=Ca,Sr,Ba)あるいはCdで置換することにより、ホールドーピングにより超伝導体とすることができ、かつ、Tcの上昇を図ることが可能であることが推測される。
本発明の実施の形態における超伝導体の製造方法を説明するための工程図である。 本発明の実施の形態における超伝導体の製造方法で製造されたT’構造のPr2CuO4超伝導体の薄膜の超伝導特性を示す特性図である。 本発明の実施の形態における超伝導体の製造方法で製造されたT’構造のNd2CuO4超伝導体の薄膜の超伝導特性を示す特性図である。 本発明の実施の形態における超伝導体の製造方法で製造されたT’構造のSm2CuO4超伝導体の薄膜の超伝導特性を示す特性図である。 本発明の実施の形態における超伝導体の製造方法で製造されたT’構造のEu2CuO4超伝導体の薄膜の超伝導特性を示す特性図である。 T’構造のRE2CuO4結晶の構成を示す斜視図である。
符号の説明
101…結晶基板、102…塗布膜、103…金属酸化物層、104…超伝導体薄膜、601…RE(Nd)、602…Cu、603…酸素。

Claims (8)

  1. 希土類元素,アルカリ土類金属元素,及びCdの中から選択された金属と銅との2つの金属の酸化物から構成され、化学量論組成とされている
    ことを特徴とする超伝導体。
  2. 請求項1記載の超伝導体において、
    希土類元素と銅との酸化物から構成された前記超伝導体は、Nd2CuO4構造を備えることを特徴とする超伝導体。
  3. 請求項2記載の超伝導体において、
    前記希土類元素は、La,Pr,Nd,Sm,Eu,Gd,Tb,Dy,Ho,Er,Tm,Yb,Lu,及びYの中から選択されたものであることを特徴とする超伝導体。
  4. 請求項1記載の超伝導体において、
    アルカリ土類金属元素及びCdの中から選択された金属と銅との酸化物から構成された前記超伝導体は、無限層構造を備えることを特徴とする超伝導体。
  5. 請求項4記載の超伝導体において、
    前記アルカリ土類金属元素は、Ca,Sr,及びBaの中から選択されたものである
    ことを特徴とする超伝導体。
  6. 希土類元素,アルカリ土類金属元素,及びCdの中から選択された金属と銅との2つの金属の酸化物から構成された超伝導体の製造方法であって、
    前記金属及び銅よりなる化合物を大気より小さい酸素分圧の低酸素雰囲気で加熱して前記金属及び銅よりなる第1金属酸化物が形成された状態とする第1工程と、
    前記第1金属酸化物を大気圧より低い圧力の減圧雰囲気で加熱して前記第1金属酸化物に含まれている一部の酸素を除去し、金属と銅と酸素との化学量論組成の酸化物から構成された前記超伝導体が形成された状態とする第2工程と
    を少なくとも備え、
    前記第1工程では、前記金属及び銅よりなる前記化合物を大気中で加熱することで形成される前記金属及び銅よりなる第2金属酸化物より、酸素の組成比が少ない状態に前記第1金属酸化物が形成される状態に、前記酸素分圧を小さくする
    ことを特徴とする超伝導体の製造方法。
  7. 請求項6記載の超伝導体の製造方法において、
    前記第1工程における前記酸素分圧は、100.325Paより小さい
    ことを特徴とする超伝導体の製造方法。
  8. 請求項6又は7記載の超伝導体の製造方法において、
    前記第1工程では、前記金属及び銅よりなる化合物の薄膜が、結晶基板の上に形成された状態とし、前記化合物の薄膜を大気より小さい酸素分圧の低酸素雰囲気で加熱して前記金属及び銅よりなる第1金属酸化物よりなる薄膜が前記結晶基板の上に形成された状態とし、
    前記第2工程では、第1金属酸化物よりなる前記薄膜を大気圧より低い圧力の減圧雰囲気で加熱して前記第1金属酸化物に含まれている一部の酸素を除去し、金属と銅と酸素との化学量論組成の酸化物から構成された前記超伝導体からなる薄膜が前記結晶基板の上に形成された状態とする
    ことを特徴とする超伝導体の製造方法。
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