JP4741787B2 - 高温超電導膜の作製方法 - Google Patents

高温超電導膜の作製方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、高温超電導膜の作製方法に関する。更に詳述すると、本発明は高温超電導テープに適した高温超電導膜の作製方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
BaFを含んでいる前駆体膜の作製工程にはBaFを蒸発源に用いて基板上に蒸着する方法と(P.M. Mankeiwich, APPl. PhYs. Lett. 51(1987)1753)、溶液に溶かしたフッ素を含んだ有機金属塩を基板上に塗布して低温で有機成分を分解して作製する方法(P.C.McIntyre, J. APPl.Phys. 68(1990)4183)が開発されている。
【0003】
BaFを蒸発源に用いてY(イットリウム)系高温超電導膜を作製する方法は、 Ba と水との反応を抑えることにより、特性の同じ高温超電導体の作製の再現性を高めるために行われた。この方法では、BaF以外の原料は金属を用いて、これらの原料を基板の上に蒸着させて前駆体の薄膜を作製する。そして、電気炉中で、酸素ガスを流しながら800℃〜920℃の雰囲気にこの前駆体の膜を晒して熱処理を行う。これにより、高温超電導体の薄膜を作製することができる。このとき、電気炉内は流した酸素で充満されるので、全圧は1気圧より多少高くなると共に酸素分圧は全圧とほとんど同じになる。
【0004】
また、BaFを蒸発源に用いてY系高温超電導膜を作製する方法は、厚膜化および高速成膜を実現するために適用されている(特開2001-332145号)。この作製方法によると、前述と同様にBaF以外の原料は金属を用い、これらの原料を基板上に蒸着させて前駆体の膜を作製する。さらに、フッ素を含んだ有機金属塩を用いたY系高温超電導膜を作製する方法は、低コストを実現するために適用されている。この作製方法はフッ素を含んだ有機金属塩を溶液に溶かして基板上に塗布する。その後、有機成分を除去するために低温で熱処理をして前駆体膜を作製する。その後、両前駆体膜は電気炉中で、低酸素分圧で水蒸気を含んだ約1気圧の混合ガス雰囲気中に晒して熱処理を行う。
【0005】
このときの酸素分圧は約100mTorr〜300mTorr(約13.3〜40.0Pa)であり、また、反応速度を速くするために水蒸気圧は25〜100Torr(約3.33〜13.3kPa)にしている。そして、上述の作製方法に比べて酸素分圧を下げたため、熱処理温度を725℃〜800℃に下げることができる。この作製方法によれば、高温超電導体の厚膜化および高速製膜を実現することができる。
【0006】
また、BaFを蒸発源に用いてY系高温超電導膜を作製する方法は、バッファー層との反応を抑制し、高速製膜を実現するために適用されている。前述と同様にBaF以外の原料は金属を用い、これらの原料を基板上に蒸着させて前駆体の膜を作製する。その後、電気炉中で、水蒸気を添加しないで、低酸素圧で酸素を吹きかけながら熱処理を行う。
【0007】
このときの酸素圧は約0.1mTorr〜10mTorr(約1.33×10-2〜1.33Pa)にしている。そして、上述の作製方法に比べて酸素分圧を下げたため、熱処理温度を400℃〜750℃に下げることができる。そして、水蒸気を含まないため、フッ化バリウムと水蒸気の反応による反応性の高いHF(フッ化水素)の生成を可能な限り抑えることができる。この作製方法によれば、高温超電導膜の形成可能な基板材料やバッファー層の種類の選択の範囲を広げることができる。また、酸素圧が約0.1〜10mTorr(約1.33×10-2〜1.33Pa)の非常に低酸素圧にしているため、熱処理温度を750℃以下にすることができ、基板の酸化および基板の拡散反応を抑制することができる。
【0008】
【特許文献1】
特開2001−332145号
【非特許文献1】
P.M. Mankeiwich, APPl. PhYs. Lett. 51(1987)1753
【非特許文献2】
P.C.McIntyre, J. APPl.Phys. 68(1990)4183
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上述の酸素分圧が1気圧程度の雰囲気中で熱処理する高温超電導膜の作製方法では、酸素分圧が大きいので熱処理の反応を安定させるために高温が必要になってしまう。このため、高温超電導膜を薄膜に作製するにもかかわらず、酸素と前駆体との固相反応を利用して、通常の固相反応で高温超電導体を作製するときの熱処理温度よりも少し低い程度の800℃〜920℃というかなり高温の熱処理を行わければならない。よって、この作製方法により高温超電導膜を半導体あるいは金属の基板上に作製しようとすると、金属の拡散反応を促進してしまい好ましくない。しかも、この作製方法では酸素分圧が大きいので、高温超電導膜を半導体あるいは金属基板上に作製しようとすると基板が酸化され易い。
【0010】
また、低酸素分圧で水蒸気を含んだ雰囲気中で熱処理する高温超電導膜の作製方法では、BaFとHOとを反応させているので、HFが生成してしまう。そして、HFは高い反応性を有しているので、これが金属基板のバッファー層と反応して高温超電導膜の特性を劣化させてしまう。これを防止するために、高温超電導膜の形成可能な基板材料やバッファー層の種類が限られてしまう。現状ではYバッファー層およびMgOバッファー層上に特性の優れた超電導膜は得られていない。そして、約100〜300mTorr(約13.3〜40.0Pa)の分圧となる酸素が含まれていることから、この作製方法によっても半導体あるいは金属製の基板が酸化され易い。また、熱処理温度が725℃〜800℃という高温であるので、この作製方法によっても金属の拡散反応を促進してしまうおそれがある。
【0011】
また、低酸素圧で水蒸気を含まない雰囲気中で熱処理する特開2001−332145号の高温超電導膜の作製方法では、高温超電導体のバッファー層との反応の抑制および高速製膜を実現することができるが、1回の熱処理で作製できる高温超電導膜の厚さが100nm未満で、1μmの膜厚を作製するためには蒸着、熱処理の工程を10回程度繰返す必要がある。したがって、製膜の高速化により1回の工程時間が短かくても、厚膜化のために10回以上それを繰返えさなければならないのでは結局作製時間は長くなってしまう。また、10回以上も製膜工程を繰返すことは一旦作製した超電導膜の変質により超電導特性を劣化させてしまうおそれがある。
【0012】
そこで、本発明は、金属製の基板の酸化および拡散を極力抑制し、基板およびバッファー層の材質の選択を広範囲にでき、1回の熱処理で100nm以上のエピタキシャル超電導膜を作製できる高温超電導膜の作製方法を提供することを目的とする。
【0013】
【課題を解決するための手段】
かかる目的を達成するために、本発明者が種々の実験・研究を重ねた結果、蒸発源にY, BaF,Cuを用いて基板上にYBaCuO7−zの酸化物超電導体の前駆体を基板を加熱せず作製し、その後、水蒸気を添加せず、減圧雰囲気中で酸素を吹きかけながら熱処理を行うことで、熱処理温度を従来の作製法の中で最も低い温度と同程度に下げた状態および酸素圧が0.2〜1.0Torrの状態で従来にない極めて厚膜(430nm)の酸化物超電導体の作製に成功した。即ち、特開2001−332145号に記載の発明においては、熱処理時の雰囲気の全圧を10mTorr(約1.33Pa)を超える大きさにした場合は、前駆体からフッ素が出難くなるので高温超電導体の作製速度が遅くなってしまうと共に、前駆体にフッ素が残留しやすく、超電導特性が悪くなってしまうと考えられていたが、実際には一定の酸素圧下では高温超電導体の作製に支障がないことを解明した。
【0014】
かかる知見に基づいて発明された請求項1記載の発明は、基板上にフッ化物を含む前駆体膜を作製した後に、前駆体の作製された基板を熱処理して高温超電導膜を作製する熱処理工程を実施する高温超電導膜の作製方法において、熱処理工程は、全圧Pが0.2Torr(約26.7Pa)≦P≦1Torr(約133.3Pa)で、酸素圧Poが0.2Torr(約26.7Pa)≦Po≦1Torr(約133.3Pa)の真空雰囲気中で、基板の温度Tbを600℃≦Tb≦760℃にすることにより行われるようにしている。なお、本明細書中で「真空雰囲気」とは、気体が完全に排除された雰囲気を意味せず、全圧Pが0.2Torr(約26.7Pa)≦P≦1Torr(約133.3Pa)で、酸素圧Poが0.2Torr(約26.7Pa)≦Po≦1Torr(約133.3Pa)となる減圧された雰囲気を意味しており、これら圧力調整において外部から導入されるガスは基本的には酸素のみである。
【0015】
したがって、比較的低酸素圧の雰囲気中で熱処理を行っていることから従来のように高酸素分圧の雰囲気中で熱処理する場合に比べて反応温度を600〜760℃に抑えることができるので、基板として金属を利用しても高温による金属の拡散を極めて抑制することができる。よって、基板として利用できる材質の種類を多くして基板選択の範囲を広げる。
【0016】
また、水蒸気を添加する必要が無いので、HFの生成を可能な限り抑えることができる。このため、基板として利用できる材質を多くして基板選択の範囲を広げることができる。
【0017】
また、酸素圧が0.2Torr(約26.7Pa)〜1Torr(約133.3Pa)と比較的小さく、酸素圧だけでなく雰囲気全体の圧力を小さくしているので、熱処理工程において前駆体の中のフッ素等の生成ガスが吸い出され表面上に出易くなると共に、酸素圧が酸化物を生成するために十分にあるので、酸化物が生成し易くなり、従来の技術と同様あるいはそれ以上の反応速度で高温超電導膜を作製することができる。さらに、従来のように反応速度を上げた低酸素圧熱処理に比べて、1回の熱処理で十分に厚い高温超電導膜を作製することができる。よって、厚膜化した高温超電導膜の作製の高速化を図ることができる。
【0018】
ここで、全圧Pと酸素分圧Poとは同じであることが好ましい。本発明者等の実験・研究により、酸素分圧比とエピタキシャル成長膜の厚さとの間には相関があり、酸素分圧比が大きくなる程に膜厚が厚くなる傾向にあり、全圧Pと酸素分圧Poとが同じときに同じ条件下で最も厚い膜厚が得られることを解明した。また、熱処理は基板に酸素を吹きかけながら行うことが、熱処理の際に前駆体と酸素との反応を促進して高温超電導体の作製を迅速化する上で好ましい。
【0019】
また、請求項3記載の発明は、請求項1記載の高温超電導膜の作製方法において、前駆体膜にはBaF(フッ化バリウム)を含むようにしている。この場合には、より簡単に良質の超電導膜が得られる。ここで、BaFを含む前駆体膜の作製においては、蒸発源となる物質あるいは溶液を用いて行うことができる。
【0020】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の構成を図面に示す実施の形態の一例に基づいて詳細に説明する。図1に本発明の高温超電導膜の作製方法の実施形態の流れ図を示す。この高温超電導膜の作製方法は、フッ化物例えばBaFを含む前駆体膜を作製する前駆体作製工程(ステップ1)と、前駆体の作製された基板を熱処理して高温超電導膜を作製する熱処理工程(ステップ2)とを有する。
【0021】
ここでは、前駆体膜作製工程にBaFを蒸発源に用いた蒸着法を用いている。そして、蒸発源のフッ化物以外の原料としては、Y,Cu等の金属、酸化物あるいはフッ化物のいずれかを用いるようにしている。ここでは、蒸発源はY, BaF,Cuとしている。
【0022】
また、熱処理工程は全圧Pが0.2Torr(約26.7Pa)≦P≦1Torr(約133.3Pa)で、酸素圧Poが0.2Torr(約26.7Pa)≦Po≦1Torr(約133.3Pa)の真空雰囲気中で、基板の温度Tbを600℃≦Tb≦760℃にすることにより行われるようにしている。このため、比較的に低酸素圧中で熱処理を行っていることから反応温度を600℃〜760℃に低く抑えることができるので、基板として金属を利用しても高温による金属の拡散を抑制することができる。また、熱処理中に酸素のみを導入することにより、反応性の高いHFの生成をできる限り抑えることができるので、基板あるいは基板上に作製したバッファー層と前駆体の反応を抑制することができる。これらのことから、基板およびバッファー層として利用できる材質の種類を多くして基板およびバッファー層選択の範囲を広げることができる。さらに、真空雰囲気中で熱処理されることにより、前駆体の中のフッ素等の反応による生成ガスが吸い出されて表面上に出易くなる。また、同時に比較的低い真空雰囲気であるが、従来の技術と同様あるいはそれ以上の反応速度で高温超電導膜を作製することができる。
【0023】
真空雰囲気は酸素のみから成るようにしている。但し、実際には熱処理を行うチャンバの残留ガスが若干混合してしまうので酸素以外の成分が極微量ふくまれることになるが、熱処理に悪影響を与える程ではない。ここで、全圧Pと酸素分圧Poとは同じであることが好ましい。一方、結晶を作るための酸素分圧の好ましい値は、YBaCu7−xの高温超電導膜(以下、YBCOと略称する)の厚さにより、酸素分圧の最適値は異なる。例えば、約200nmの厚さのYBCOでは260mTorrが最適で、それ以上に圧力を増やすと却って悪くなってしまう。しかし、約400nmのYBCOの場合では、530mTorrの酸素分圧が必要で、それ以下ではYBCOはきれいに結晶が配列しない(c軸配向・エピタキシャル成長しない)。また、多過ぎてもYBCOの成長に却って悪影響を与える。膜厚に対して適当な酸素分圧より実際の酸素分圧が低い場合、膜の上部の結晶配列が乱れ、多過ぎる場合は、顕著な違いは見られないが、結晶の配向が違うものが生成したり、不純物が生成しやすくなる。そこで、全圧Pと酸素分圧Poを同じにして、酸素分圧Poが0.2Torr≦Po≦1Torrの範囲で所望の膜厚に応じて設定される。
【0024】
基板としては金属テープを利用している。この場合、高温超電導膜がエピタキシャル成長できるように金属テープ表面に予めY,CeO等の希土類酸化物やLaAlO, NdGaO等の基本構造にぺロブスカイト構造を有するバッファー層を形成しておき、このバッファー層に対して前駆体を作製するようにすることが好ましい。また、金属テープの上で高温超電導膜がエピタキシャル成長する場合、バッファー層を作製しないで、金属基板上に前駆体膜を直接作製するようにすることも可能である。
【0025】
また、熱処理は基板に酸素を吹きかけながら行われるようにしている。これにより、前駆体と酸素との反応が促進されるので、高温超電導膜の作製を迅速化することができる。
【0026】
上述した高温超電導膜の作製方法の手順を以下に説明する。
【0027】
前駆体膜作製工程は、基板温度を室温とし、蒸発源としてY, BaF,Cuを電子ビームで別々に蒸発させる。蒸発源の蒸発方法としては、従来と同様に電子ビーム、抵抗加熱、レーザ、イオンビーム等のいずれかを選択して使用することができる。よって、前駆体を作製するために各種の蒸着方法を選択できるので、作製する高温超電導膜にとって最も適したものを選択することができる。
【0028】
そして、蒸発源の各物質は別々に蒸発させて同時に基板に吹きつけて蒸着する。このとき、蒸着されたY, BaF,Cuの金属元素の組成比が1:2:3に成るように、各物質の蒸発速度を制御する。このように蒸着されることにより、前駆体が形成される。
【0029】
前駆体を作製するときは、雰囲気の圧力を5×10−5Torr(約6.67mPa)以下にすることが好ましい。この程度に減圧することにより、原料の蒸発が安定になり、前駆体の組成比のずれが小さくなる。このため、後の熱処理により均質な高温超電導膜が得られるようになる。また、前駆体を作製するときは、雰囲気の圧力を5×10-7Torr(約0.07mPa)以下にすることが好ましい。これより減圧することにより前駆体がち密になり、その後の熱処理中において体積変化による歪みが入り易くなる可能性がある。また、酸素の侵入通路が十分に確保されなくなる可能性があり、特性の良い高温超電導膜が得られなくなるようになる。
【0030】
前駆体の作製後に熱処理工程を実行する。この工程では、当該基板を熱処理して高温超電導膜を作製する。
【0031】
熱処理は全圧が0.2Torr(約26.7Pa)以上1Torr(約133.3Pa)以下で、酸素圧が0.2Torr(約26.7Pa〜1Torr(約133.3Pa)の真空雰囲気中で行う。この酸素圧の範囲で熱処理することにより、1回の熱処理で作製できるエピタキシャル成長した高温超電導膜の厚さを0.2μm〜0.8μm程度にすることができる。さらに、低酸素圧の真空雰囲気中で熱処理を行っていることから反応温度を600℃〜760℃程度に低く抑えることができる。このように基板温度を低く抑えられるので、基板として金属を利用しても高温による金属の拡散を抑制することができる。
【0032】
また、熱処理は基板に酸素を吹きかけながら行うようにする。これにより、前駆体と酸素との反応が促進されるので、高温超電導膜の作製・結晶化を迅速化することができる。このようにして、YBaCu7−xの高温超電導膜を作製することができる。
【0033】
この600℃〜760℃程度の反応温度での熱処理は、超電導体の結晶構造の形成に十分な時間保持することが必要である。本実施形態の場合の保持時間としては、例えば30分程度で十分である。本発明者等の種々の実験より、30分程度保持すれば、結晶化には十分な時間であり、それ以上は無駄であることが判明している。勿論、30分よりも短い保持時間とすることも可能である。
【0034】
この600℃〜760℃程度の反応温度での熱処理の後、超電導体が十分に酸素を取り込み得る温度例えば500℃〜550℃程度まで基板を炉中で熱歪みなどが生じないように冷却し、酸素注入に十分な酸素圧例えば100Torrになるまで酸素を注入し、目的の酸素圧となったときに基板加熱を停止して炉中で除冷(自然冷却)を行う。これによって、酸化物超電導体を得る。
【0035】
本実施形態の高温超電導膜の作製方法によれば、基板として金属テープを利用しているので、電力機器への適用効果が特に大きい可撓性の高温超電導線材を作製することができる。また、1回の熱処理により作製できる超電導膜の厚さが厚いので、1〜2回の工程の繰返しで大電流線材を作製することができる。したがって、高速製膜化を実現しつつ電力機器への適用効果が大きい大電流高温超電導線材を作製することができる。
【0036】
なお、上述の実施形態は本発明の好適な一例ではあるがこれに限定されるものではなく本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々変形実施可能である。例えば本実施形態では基板に酸素を吹きかけながら熱処理をするようにしているが、これには限らず基板に酸素を吹きかけずに熱処理をするようにしても良い。
【0037】
また、本実施形態では、蒸発源にBaFを用いてBaFを含む前駆体膜を作製している。この場合、蒸発源としてY, BaF,Cuとしているが、これに限られず、Y, BaF,Cuとしても良い。あるいは、蒸発源をYF, BaF,Cuとしても良い。さらに、金属有機塩を用いて基板上に塗布し、熱処理でBaFを含んだ前駆体膜を作製しても良い。いずれの場合も前駆体膜にBaFが含まれていれば良い。前駆体を作製するための各種の原料および作製方法を選択できるので、作製する高温超電導膜に対して最も適したものを選択することができる。
【0038】
更に、本実施形態では、主に高温超電導体として代表的なY系超電導体の例を挙げて説明しているが、他の希土類元素Ln(Ln=La,Nd,Sm,Eu,Gd,Dy,Ho,Er,Yb,Lu)を用いた超電導体の膜作製についても適用できることは言うまでもない。この場合の前駆体としてはLnBaCu7−zの酸化物の前駆体となる。ここでzは、当該前駆体が結晶構造を作った後の低温での酸素注入熱処理時の条件により変化する超電導体の取り込み酸素量を示しており、1から0.01の範囲の数字である。
【0039】
また、本実施形態におけるフッ化物としては、より簡単に、良い超電導膜が得られるBaFを用いるようにしているが、これに特に限定されるものではなく、フッ化イットリウムやその他のフッ化物を用いるようにしても良い。
【0040】
更に、本実施形態では基板として金属テープを利用しているが、これに限らず金属フィルム等の可撓性を有する他の形態、あるいは金属板等の可撓性を有しないものとしても良い。さらには、金属以外の材質、例えばSi等の半導体から成る基板やセラミックス製の基板を使用しても良い。これらの場合、基板から高温超電導膜がエピタキシャル成長する場合があるので、基板にバッファー層を形成しなくても良いことがある。このような非金属製の基板を用いても、真空雰囲気中で熱処理されることによりフッ素等の生成ガスが前駆体の中から雰囲気中に出易く成るので、従来の技術と同様あるいはそれ以上の反応速度で高温超電導膜を作製することができる。さらに、熱処理中にほとんどの材質と反応する反応性の高いHFを可能なかぎり抑えることができるため、各種基板材料上に高温超電導膜を作製することができる。
【0041】
【実施例】
表1に示す条件により実施例1〜4及び比較例1にかかる試料1〜5を上述の高温超電導体の作製方法により作製した。尚、各実施例及び比較例においては、全圧Pと酸素分圧Poとは同じであり、酸素分圧Poのみを示している。ここで、本明細書において全圧と酸素分圧とが同じであるとは、厳密な意味で同じではなく、必ず全圧の方が僅かに酸素分圧より高くなる状態を含んだ意味で使われている。何故ならば、所定の酸素分圧の真空雰囲気を得るためには、まず真空(1μmTorr以下)にしてから酸素を注入して調整するが、最初の真空中には空気の成分である水蒸気、窒素、アルゴン等が排除できずに残ってしまうため僅かに含まれている。したがって、その分だけ、必ず全圧の方が高いが、これはほとんど無視できる圧力であるので、基本的には全圧と酸素分圧はほとんど同じであると考えられる。ここで、全圧が下がった状態は酸素分圧が下がった状態になる。また、酸素分圧より全圧が明らかに高い場合は、酸素以外に窒素、水蒸気、アルゴン等の他のガスを故意に導入した場合になる。
【0042】
【表1】
Figure 0004741787
【0043】
(実施例1)
前駆体膜は、蒸発源にY, BaF,Cuを用いて、Y, BaFを電子ビームで蒸発させると共にCuを抵抗加熱で蒸発させて、約0.005mTorrの真空雰囲気、室温でSrTiO(100)単結晶基板(株式会社アース製薬の商品名SrTiO3 wafer)に直付けにより蒸着した。その後、熱処理工程では、酸素を導入しながら、約50℃/minの速度で基板を700℃に加熱した。更に、酸素を1l/minの流量で基板付近に流しながら30分間の熱処理を行った。試料から約30cm離れた箇所での酸素圧は260mTorr(約34.7Pa)であった。その後、基板温度を約20℃/minの速度で9分かけて520℃に下げ、酸素圧が100Torr(約13.3kPa)になるまで酸素を導入して、基板ヒータの電源を切って自然冷却・炉中除冷した。この熱処理の温度プロファイルを図8に示す。これにより、膜厚約800nmの高温超電導膜(試料1)を作製した。尚、前駆体膜の作製及び熱処理に用いた炉は、株式会社日本電子製JEBE-1675SBである。
【0044】
この高温超電導膜のX線回折図を図2に示す。同図に示すように、YBCO膜はc軸配向した膜が成長している。尚、作製した超電導膜の相の同定および結晶配向は、マックサイエンス社製高速反射電子線回折装置(RHEED)MXP-18を用いて昇温途中から高温保持中の膜の表面構造を観察することによって行った。
【0045】
また、この高温超電導膜の結晶構造を示す透過型電子顕微鏡写真を図3に示す。同図に示すように、全体の膜厚(800nm)の中で基板界面の約200nmがエピタキシャル成長していることが判明した。また、表面近傍ではYBCO膜は成長しているが結晶方位が違う方向に向いて超電導電流を流れに寄与しないことが予測される。尚、エピタキシャル成長の観察は、株式会社日立製作所製透過型電子顕微鏡(TEM)HF-2000を用いて観察した。ここで、TEM用試料は、フォーカスドイオンビーム(Focused Ion Beam)装置を用いてマイクロサンプリング(Micro Sampling)法により作製した。
【0046】
(実施例2)
実施例1と同じ条件・同じ手順でY, BaF,Cuをを別々に蒸発させて、SrTiO(100)単結晶基板に直付けにより実施例1の約1/4の厚さ(170nm)の前駆体膜を蒸着した。そして、上述の実施例1と同様の手順で熱処理工程を実施して高温超電導膜(試料2)を作製した。
【0047】
この高温超電導膜のX線回折図を図2に示す。同図に示すように、実施例1のものと同様にYBCO膜はc軸配向した膜が成長している。図2中で実施例2のYBCO(005)の回折線の強度は実施例1とほぼ同じである。
【0048】
また、この高温超電導膜の結晶構造を示す透過型電子顕微鏡写真を図3に示す。同図に示すように、基板界面から膜表面までの膜厚の全体約170nmがエピタキシャル成長していることが判明した。
【0049】
したがって、実施例1、2を比較すると、図3に示したように超電導膜中でエピタキシャル成長した膜厚はほぼ同じ厚さであると言える。よって、図1に示したX線回折中でYBCO(005)の回折線の強度が実施例1と2でほぼ同じであることを説明できる。また、前駆体作製工程で作製した前駆体膜の厚さに拘わらず、実施例1、2の熱処理工程の条件ではエピタキシャル成長するYBCO膜の厚さは約200nmであると言える。試料2の臨界電流特性を図9に示す。臨界電流特性測定は、200μm幅、1mm長のブリッジを作製して四端子法を用いて測定した。これによると、77K、自己磁界のJcは測定電流値が大きすぎて実測できなかったが、77K、0.1Tの垂直磁場中でJcは1.59MA/cmであった。スケール則(K.Ymafuji and T.Kiss,Physica C290(1979)9.)による77K,自己磁場のJcの外挿値は4〜6MA/cmの高Jc膜であった。また、77Kでの膜に平行磁場をかけた場合も、測定電流値が大きくなったため測定しなかった。しかし、80Kにおける磁場中特性も膜表面に平行な磁場の場合、12T下でも0.1MA/cm以上で、高磁場中の臨界電流特性も良かった。
【0050】
(実施例3)
実施例1と同じ条件・同じ手順で、Y, BaF,Cuを別々に蒸発させて、SrTiO(100)単結晶基板に直付けにより厚さ290nmの前駆体膜を蒸着した。熱処理工程は、酸素を1.5l/minに増やして酸素分圧を410mTorr、基板温度715℃とした他は上述の実施例1と同様の手順で行うことにより高温超電導膜(試料3)を作製した。
【0051】
この高温超電導膜のX線回折図を図4に示す。同図に示すように、実施例1のものと同様にYBCO膜はc軸配向した膜が成長している。
【0052】
また、この高温超電導膜の結晶構造を示す透過型電子顕微鏡写真を図5に示す。同図に示すように、基板界面から膜表面までの膜厚の全体約290nmがエピタキシャル成長していることが判明した。
【0053】
この実施例3の膜と実施例1、2の膜とを比較すると、実施例2より前駆体膜の厚さを厚くし、実施例1よりも前駆体膜の厚さを薄くしているにもかかわらず、膜厚全体がエピタキシャル成長したYBCOである。これは、熱処理工程で酸素圧を410mTorrに上げたことによると考えられる。よって、熱処理工程の酸素圧が高くなるにしたがいエピタキシャル成長するYBCO膜の厚さが厚くなることが判明した。
【0054】
(実施例4)
実施例1と同じ条件・同じ手順で、Y, BaF,Cuを別々に蒸発させて、SrTiO(100)単結晶基板に直付けにより厚さ430nmの前駆体膜を蒸着した。熱処理工程は、酸素を2l/minに増やして酸素分圧を530mTorr、基板温度715℃とした他は上述の実施例1と同様の手順で行うことにより高温超電導膜(試料4)を作製した。
【0055】
この高温超電導膜のX線回折図を図4に示す。同図に示すように、実施例1のものと同様にYBCO膜はc軸配向した膜が成長している。
【0056】
また、この高温超電導膜の結晶構造を示す透過型電子顕微鏡写真を図5に示す。同図に示すように、基板界面から膜表面までの膜厚の全体約430nmがエピタキシャル成長していることが判明した。
【0057】
ここで、実施例4においても実施例1〜3から判明した熱処理工程の酸素圧とエピタキシャル成長するYBCO膜の厚さの関係に従っていることが確認された。このように、酸素圧を十分に高くすることにより、エピタキシャル成長したYBCO膜の膜厚を厚くすることができる。さらに、全ての実施例で熱処理工程の時間は30分で統一してある。よって、熱処理時間が不足してる事態は起きていないと言える。また、酸素圧を増加させているが、この範囲の酸素圧の増加では反応速度が比較例5のものに比べて大幅に遅くなることは確認されていない。
【0058】
(比較例1)
実施例1と同じ条件・同じ手順で、Y, BaF,Cuを別々に蒸発させて、SrTiO(100)単結晶基板に直付けにより実施例1の1/4の厚さ(200nm)の前駆体膜を蒸着した。熱処理工程は、酸素を0.5l/minとして酸素厚10mTorr、基板温度715℃とした。その他は実施例1と同様の手順で行うことにより高温超電導膜(試料5)を作製した。
【0059】
この高温超電導膜のX線回折図を図6に示す。同図に示すように、実施例1のものと同様にYBCO膜はc軸配向した膜が成長している。
【0060】
また、この高温超電導膜の結晶構造を示す透過型電子顕微鏡写真を図7に示す。同図に示すように、膜厚の全体の中で基板界面の約75nmがエピタキシャル成長していることが判明した。また、表面近傍ではYBCO膜は成長しているが結晶方位が違う方向に向いて超電導電流の流れに寄与しないことが予測される。
【0061】
これは、全膜厚(200nm)が実施例2(170nm)とほぼ同じであるが、実施例1のように基板界面にエピタキシャル成長したYBCO膜の形成が観察され、表面近傍の結晶配向は乱れている。したがって、酸素圧10mTorr以下ではエピタキシャル成長膜の厚さは100nm未満(例えば75nm以下)となる。よって、1μmの膜厚の超電導電流に寄与するYBCO膜を作製するためには10回以上の前駆体作製工程および熱処理工程を繰返さなければならない。したがって、1回の工程時間が短くても繰返すことにより全体の工程時間の高速化は期待できない。
【0062】
以上の実施例1〜4及び比較例1に基づいて、エピタキシャル層の膜厚と酸素圧との関係について検討した。実施例1〜4及び比較例1におけるエピタキシャル層の膜厚と酸素圧との関係をグラフにすると、図10に示すようになった。このことから、エピタキシャル成長膜の厚さは酸素圧に比例して増加することが判った。
【0063】
(実施例5)
上述の実施例1〜4及び比較例1では、作製条件のパラメータとしての酸素分圧Poと全圧Pとを同一とした。ここで、酸素分圧Poと全圧Pのどちらが重要なパラメータであるか、簡単な実験を行って確認をした。実験は、窒素と酸素の混合ガスを用いて、全圧をほぼ一定(260mTorr)に保ちながら、膜厚一定(170nm)として、P(O)/P(N)の比を変化させた。作製条件としては、P(O):P(N)=1:9,4:6,10:0の3つの試料を得た。この高温超電導膜のX線回折図を図11に示す。同図に示すように、酸素分圧(全圧が一定であるので、この例では実質的には酸素圧となる)が高くなる程にYBCO(005)のX線回折における強度が強くなり、c軸配向のエピタキシャル膜が成長する傾向、即ちエピタキシャル成長膜の厚さが酸素圧の増大に比例して増加することが判った。
【0064】
【発明の効果】
以上の説明で明らかなように、請求項1記載の高温超電導膜の作製方法によれば、水蒸気を添加する必要が無いので、反応性の高いHFガスの生成を可能な限り抑えることができる。このため、基板材料の選定範囲を金属や半導体あるいはセラミックに拡大することができる。
【0065】
また、比較的低酸素圧の雰囲気で熱処理を行っていることから反応温度を760℃以下に低く抑えることができるので、基板として金属を利用しても高温による金属の拡散を抑制することができる。よって、基板として各種金属を利用することができるようになるので、可撓性のある金属基板上に、あるいは、必要であれば金属基板上に作製したバッファー層上にこのプロセスを適用することにより、超電導特性が優れた可撓性のある例えば金属テープのような高温超電導線材を得ることができる。
【0066】
また、比較的低酸素圧にするだけではなく全圧も同様に低下しているので、熱処理工程において前駆体中に発生したガスが吸い出されて表面上に出易くなる。このため、従来の技術と同様あるいはそれ以上の反応速度で高温超電導膜を作製することができる。しかも、1回の熱処理で十分に厚い高温超電導膜を作製することができる。よって、電力機器への適用効果が大きい高性能(大電流)の高温超電導線材を迅速に作製することができる。特に、請求項2記載の発明のように、全圧Pと酸素分圧Poとを同じにする場合には、1回の熱処理で従来製法では達成し得なかった100nm以上の厚い膜厚(実験によれば、430nm)のエピタキシャル超電導膜を得ることができるので、例えば1μm程度の膜厚の高温超電導体を少なくとも1、2回の処理で迅速に作製することができ、超電導膜の変質による超電導特性の劣化のおそれがない。
【0067】
また、本発明の作製方法によれば、熱処理の際に酸素圧と温度を制御するだけで超電導膜が作製可能である。このため、低コストかつ短時間で高温超電導膜を作製することができる。
【0068】
また、請求項3記載の発明によると、前駆体膜にはBaF(フッ化バリウム)を含むようにしているので、より簡単に良質の超電導膜が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の高温超電導膜の作製方法の実施形態の一例を示すフローチャートである。
【図2】(A)は実施例1の、(B)は実施例2の各試料のX線回折パターンを示すグラフである。
【図3】(A)は実施例1の、(B)は実施例2の各試料の結晶構造を示す透過型電子顕微鏡写真である。
【図4】(A)は実施例3の、(B)は実施例4の各試料のX線回折パターンを示すグラフである。
【図5】(A)は実施例3の、(B)は実施例4の各試料の結晶構造を示す透過型電子顕微鏡写真である。
【図6】(A)は実施例2の、(B)は比較例1の各試料のX線回折パターンを示すグラフである。
【図7】(A)は実施例2の、(B)は比較例1の各試料の結晶構造を示す透過型電子顕微鏡写真である。
【図8】実施例2の超電導体の臨界電流特性図である。
【図9】実施例1〜4及び比較例1における熱処理の温度プロファイルである。
【図10】実施例1〜4及び比較例1におけるエピタキシャル層の膜厚と酸素圧との関係を示すグラフである。
【図11】実施例5のP(O):P(N)=1:9,4:6,10:0の3つの試料のX線回折パターンを示すグラフであり、YBCO(005)のピーク強度の酸素分圧依存性を示す。
【符号の説明】
S1 前駆体作製工程
S2 熱処理工程

Claims (3)

  1. 基板上にフッ化物を含む前駆体膜を作製した後に、前記前駆体の作製された前記基板を熱処理して高温超電導膜を作製する熱処理工程を実施する高温超電導膜の作製方法において、前記熱処理工程は、全圧Pが200mTorr≦P≦1Torrで、酸素分圧Poが200mTorr≦Po≦1Torrの真空雰囲気中で、前記基板の温度Tbを600℃≦Tb≦760℃にすることにより行われることを特徴とする高温超電導膜の作製方法。
  2. 前記全圧Pと酸素分圧Poとは同じであることを特徴とする請求項1記載の高温超電導膜の作製方法。
  3. 前記前駆体膜には BaF(フッ化バリウム)を含むことを特徴とする請求項1または2記載の高温超電導膜の作製方法。
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