JP2002068900A - 単結晶基板の表面にエピタキシャル薄膜を形成する方法 - Google Patents

単結晶基板の表面にエピタキシャル薄膜を形成する方法

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Abstract

(57)【要約】 【課題】アルミナ単結晶基板上に、希土類金属とアルミ
ニウムよりなる複合酸化物のエピタキシャル薄膜を形成
する新規な方法の提供。 【解決手段】アルミナ単結晶基板の表面に、希土類金
属:アルミニウム:酸素の組成が1:1:3である複合
酸化物からなるエピタキシャル薄膜を形成する方法にお
いて、希土類金属含有化合物を溶媒に溶解させ、均一な
溶液とし、アルミナ単結晶表面に塗布乾燥させ、薄膜を
形成し、加熱焼成することを特徴とする、アルミナ基板
上に希土類金属とアルミニウムからなる複合酸化物のエ
ピタキシャル薄膜を形成する方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、単結晶基板の表面
にエピタキシャル薄膜を形成する方法に関するものであ
る。
【0002】
【従来の技術】1986年に、高温酸化物超伝導体が発
明されて以来、既に14年が経過した。その間に研究開
発が積極的に進められ、実用化段階に達してきており、
多面的努力が傾けられている。この技術の中で、大面積
のイットリウム系の超伝導体(YBaCu:以
下、YBCOともいう。)膜は、移動体通信用のマイク
ロ波フイルターや、限流器への応用の点から重要な基幹
技術のための材料となっている。現在、その膜の基板と
して、ランタンアルミネート(LaAlO:以下、L
AOともいう。)が用いられている。その理由は、LA
Oの格子定数(擬立方晶系としたとき3.79オングス
トローム)が,YBCOのそれ(層状ペロブスカイト構
造の正方晶の短い一辺が3.82−3.89オングスト
ローム)に近いこと、及びLAOの誘電率が比較的小さ
いので、交流の誘電損失が小さいこと等があげられる。
一般に、移動体通信用のマイクロ波フイルターにして
も、限流器にしても、その性能は、超伝導膜の面積に依
存するので、大面積への要望と期待は、今後一層高まる
ものと考えられる。現在、商品化されているLAO単結
晶基板は、直径7〜8cmが限界である。これを超える
大きさ、例えば、直径10〜30cmの単結晶基板を求
めようとすれば、材料としてアルミナ(Al)を
用いる以外はないと考えられる。アルミナは基本的に六
方晶であり、YBCOは層状ペロブスカイト構造の正方
晶であることから、両者を整合させる方法として、アル
ミナのR面(012)面の四角い格子配列を利用するこ
とが考えられる。しかしながら、その場合この四角い格
子の一辺の長さは、3.49オングストロームであり、
YBCOのそれと大きく異なることから、そのまま、基
板として用いることは不可能である。即ちそのまま基板
として使用した場合には、格子定数の不一致から、その
上に高臨界電流密度を有するエピタキシャルなYBCO
膜を製造するには困難であることによるものである。こ
の問題点に対する解決策としては、格子定数の相違を緩
和する手段を講ずることが必要で、このために基板と超
伝導膜の間に中間層を設けることが考えられ、先に述べ
たLAOを用いると、格子定数の相違を緩和することが
期待できる。この際ランタンの他に希土類金属すべてを
対象として検討することにより、最適な中間層を選び出
すことも期待される。そこで、希土類金属:アルミニウ
ム:酸素の割合が1:1:3とするペロブスカイト構造
を持つ複合酸化物が中間層として注目を浴びている。ア
ルミナを基板とした場合、その構成成分であるアルミニ
ウムが、YBCOの構成成分であるバリウムと反応する
懸念があるが、希土類金属は、塩基性の点でバリウムと
アルミニウムの中間的性質を持つことから、このような
中間層を存在させることは、熱処理を行うときに、基板
及び超伝導薄膜の両層間でおこる化学反応を防止するこ
とができる点でも有用である。なお希土類金属:アルミ
ニウム:酸素の組成比が1:1:3とならない複合酸化
物も存在するが、それらは本目的には合致しない。従
来、このような中間層を形成する試みとしては、基板が
サファイアで、その基板の上にエピタキシャルなGdA
lO膜を、スパッタ法により形成する研究が報告され
てきた(Mat.Res.Soc.Symp.Pro
c.Vol.401 p357〜362(1996)
Materials ResearchSociety
)。スパッタ法はプラズマ状態で、目的とする化合物
を蒸発させ、基板表面に膜を形成するものである。しか
しながら、このような方法では、装置の点から見て大面
積の超伝導膜の基板を製造とする場合や、連続的に量産
化を行って超伝導薄膜の基板を製造しようとする場合に
は、無理がある。このような点から大面積の超伝導薄膜
を製造する場合には、この方法は用いることができな
い。 このようなことから、大面積の超伝導薄膜基板の
製造方法、特に、大面積の超伝導薄膜基板の製造が可能
な単結晶アルミナ基板の上にエピタキシャルな薄膜を形
成する新規な方法が求められている。
【0003】
【発明の解決しようとする課題】本発明の課題は、アル
ミナ単結晶基板上に、希土類金属とアルミニウムよりな
る複合酸化物のエピタキシャル薄膜を形成する新規な方
法を提供することである。
【0004】
【課題を解決する手段】本発明者らは、アルミナ単結晶
板の表面に、希土類金属含有化合物を溶媒に溶解させ、
均一な溶液として、アルミナ単結晶表面に塗布乾燥さ
せ、薄膜を形成し、加熱焼成すると、希土類金属含有化
合物が熱分解して生ずる希土類金属酸化物と基板に含ま
れるアルミニウム酸化物の間に化学反応を生じ、希土類
金属とアルミニウムからなるエピタキシャルな複合酸化
物薄膜を形成することができることを見出して、本発明
を完成させた。
【0005】本発明によれば、以下の発明が提供され
る。 (1)アルミナ単結晶基板の表面に、希土類金属:アル
ミニウム:酸素の組成が1:1:3である複合酸化物か
らなるエピタキシャル薄膜を形成する方法において、希
土類金属含有化合物を溶媒に溶解させ、均一な溶液と
し、アルミナ単結晶表面に塗布乾燥させ、薄膜を形成
し、加熱焼成することを特徴とする、アルミナ基板上に
希土類金属とアルミニウムからなる複合酸化物のエピタ
キシャル薄膜を形成する方法。 (2)前記記載の方法において、希土類金属がイットリ
ウム、ランタン、セリウム、プラセオジム、ネオジム、
サマリウム、ユウロピウム、ガドリニウム、テルビウ
ム、ジスプロシウム、ホルミウム、エルビウム、ツリウ
ム、イッテルビウム、ルテチウム から選ばれたもので
あることを特徴とする、アルミナ基板上に希土類金属と
アルミニウムよりなる複合酸化物エピタキシャル薄膜を
形成する方法。 (3)前記記載の方法において、希土類金属含有化合物
が、希土類金属有機酸塩あるいは希土類金属アセチルア
セトナートから選ばれた化合物であることを特徴とす
る、アルミナ基板上に希土類金属とアルミニウムよりな
る複合酸化物エピタキシャル薄膜を形成する方法。 (4)前記記載の方法において、希土類金属含有化合物
が希土類金属アセチルアセトナートであるとき、その溶
媒がトリフルオロ酢酸あるいはアビエチン酸を含むメタ
ノールであることを特徴とする、アルミナ基板上に希土
類金属とアルミニウムからなる複合酸化物エピタキシャ
ル薄膜を形成する方法。 (5)前記記載の方法において、加熱焼成を、1000
−1600℃で行うことを特徴とする、アルミナ基板上
に希土類金属とアルミニウムからなる複合酸化物エピタ
キシャル薄膜を形成する方法。 (6)前記記載の方法において、希土類金属含有化合物
にアルミニウム含有化合物を添加することを特徴とす
る、アルミナ基板上に希土類金属とアルミニウムよりな
る複合酸化物エピタキシャル薄膜を形成する方法。
【0006】
【発明の実施の形態】本発明では、アルミナ単結晶基板
が用いられる。本発明では、基板上に希土類金属とアル
ミニウムよりなる複合酸化物のエピタキシャル薄膜を形
成させるが、このエピタキシャル薄膜の上に、最終的
に、イットリウム系等の超伝導薄膜を形成させることに
より利用されるものである。この超伝導薄膜の使用用途
から基板直径が大きいものが要請されており、基板であ
るアルミナ単結晶としては径の大きいものが要求され
る。このような要請に応えて、適宜大きな直径の単結晶
のアルミナを利用することが可能である。用いるアルミ
ナ単結晶の直径としては、得られる限りの大直径のもの
であって差し支えない。アルミナ単結晶基板の使用に際
してアルミナ表面は、前処理として磨き上げられ、表面
の配向は、A面(110)、C面(001)、R面(0
12)、M面(100)のいずれであっても採用するこ
とが可能である。
【0007】次に、この単結晶の表面に、希土類金属及
びアルミニウムからなる複合酸化物からなるエピタキシ
ャル薄膜を形成するための、希土類金属含有化合物の溶
液の調製は、以下のようにして行う。希土類金属として
は、Y、La、Ce、Pr、Nd、Sm、Eu、Gd、
Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Yb、Luからなる希
土類元素中から選択して用いることができる。前記希土
類金属含有化合物を、溶媒に溶解して均一な溶液とす
る。希土類金属化合物を、溶媒に均一に溶解させ、基板
の上に膜が形成させることができる特性のものであれ
ば、希土類金属化合物はどのようなものでも用いること
ができる。一般的には、このような希土類金属含有化合
物としては、比較的大きな有機基を有するものであり、
それにより製膜が容易であるものが用いられる。好まし
い具体例を挙げれば、希土類ナフテン酸塩や希土類2−
エチルヘキサン酸塩などの希土類金属有機酸塩あるいは
希土類金属アセチルアセトナートを挙げることができ
る。希土類金属アルミニウム複合酸化物の生成は、希土
類金属含有化合物の熱分解によって生ずる希土類金属酸
化物と基板のアルミナとの化学反応で達成される。この
反応において何らかの理由によってアルミナが不足する
場合には、その不足分を出発原料溶液にアルミニウム含
有化合物を添加することができる。換言すると、 前記
希土類金属含有化合物に対して、必要に応じて、アルミ
ニウム含有化合物を添加することができる。
【0008】希土類含有化合物を溶解させる際に用いら
れる溶媒は、これらの化合物を均一な状態に溶解させ、
基板の上に膜を形成できるものであり、この他に、単結
晶アルミナ基板の表面に対する濡れ特性が優れたもので
あり、且つ、乾燥、加熱処理により溶媒を容易に揮発除
去できるものであることが必要である。希土類金属含有
化合物に希土類金属有機酸塩を用いるときには、その溶
媒にはトルエンなど無極性溶媒が好ましい。希土類金属
含有化合物として希土類金属アセチルアセトナートを用
いるときには、その溶媒としては、極性溶媒が好まし
い。このような溶媒としては、メタノ−ルなどのアルコ
ールが用いられる。さらにこの溶媒に、トリフルオロ酢
酸を添加して用いることができる。トリフルオロ酢酸の
含有量は、極性溶媒の0.1−10モル%である。さら
に、必要に応じて、プロピオン酸やアビエチン酸などを
添加することができる。この結果、製膜性を改善するこ
とができる。
【0009】希土類含有化合物を溶媒に混合、溶解させ
る際の希土類含有化合物の濃度は、単結晶アルミナの表
面に塗布する場合に、その濃度が希薄すぎると期待する
膜の生成は得られない。又、濃厚すぎると、膜を均一に
付着させることができず、期待する膜の生成は得ること
ができない。このようなことを考慮して、希土類含有化
合物の濃度は、0.05−1.0mol/l(リット
ル)、好ましくは0.1−0.5mol/l(リット
ル) である。
【0010】次に、単結晶アルミナ表面に、前記希土類
含有化合物を含有する溶液を塗布する。塗布の方法とし
ては、浸漬法、スプレー法、刷毛塗り法、スピンコート
法などの公知の方法が適宜用いられる。希土類含有化合
物の溶液を塗布後に、乾燥処理を施して、単結晶アルミ
ナ表面上に希土類含有化合物を単結晶アルミナ基板上に
付着させる。乾燥処理の圧力は、常圧又は減圧下に行
う。空気が存在していても差し支えない。 乾燥のため
の加熱手段としては、加熱乾燥炉を用いる。加熱乾燥終
了後、単結晶アルミナ表面に薄膜状の希土類含有化合物
の乾燥生成物からなる薄膜が形成される。乾燥工程は次
の加熱焼成工程と連続的に行うこともできる。
【0011】 次に、前記の乾燥処理した基板上
の薄膜状の希土類含有化合物を加熱焼成する。この加熱
焼成過程において、希土類含有化合物は熱分解され希土
類酸化物に変化すると同時に、基板のアルミナとも化学
反応し、目的生成物である希土類金属アルミニウム複合
酸化物が生成される。本格的加熱焼成を行う前に、仮焼
成を行うことが有効である。仮焼成の条件は、空気中、
加熱焼成温度以下の温度が採用される。具体的には、1
50℃を超え、1000℃未満の温度範囲の条件が採用
される。具体的には、500℃程度の温度下に30分間
処理を行うことにより、仮焼成を行ない、有機成分を分
解除去した。この後、以下の本格的熱処理を行った。複
合酸化物を製造するための加熱焼成の条件は、空気中、
1000−1600℃の温度で、30分−10時間にわ
たり処理を行うものである。目的生成物である希土類金
属:アルミニウム:酸素の割合が1:1:3である複合
酸化物を生成させるためには、前記条件の中でも、好ま
しくは、1100−1300℃、より好ましくは、11
50−1250℃で30分−10時間の条件が採用され
る。この条件下に処理することにより、希土類金属:ア
ルミニウム:酸素の割合が1:1:3とする目的とする
複合酸化物を得ることができる。前記の温度範囲に至ら
ない温度或いは加熱時間が少ないなどの加熱条件が不充
分なときには、目的とする、希土類金属:アルミニウ
ム:酸素の組成比が1:1:3となるペロブスカイト構
造の物質を得ることができない。一方、加熱条件がこの
温度範囲を超えていたり、時間が長かったりすると、希
土類金属:アルミニウム:酸素の組成比が3:5:12
となるガーネット構造、あるいは1:11:18あるい
は1:12:19となる六方晶などが出現してしまう場
合もあり、目的とするペロブスカイトを得ることができ
ない。圧力は、加圧、常圧、及び減圧のいずれの条件に
おいても行うことができる。空気、或いは酸素が存在し
ても、又存在しない条件下でも行うことができる。加熱
焼成には焼成炉が用いられる。焼成炉はトンネル式の連
続炉或いはバッチ式の焼成炉を用いることができる。
なお、1000−1600℃における加熱焼成に至る前
段階として、500℃前後での仮焼成を適宜組み合わせ
ることができる。
【0012】加熱焼成により得られる希土類とアルミニ
ウムからなる複合酸化物からなるエピタキシャル薄膜
は、例えば、以下の通りである。希土類金属として、L
aを用いた場合にはLaAlO、Gdを用いた場合に
はGdAlO、Smを用いた場合にはSmAlO
Yを用いた場合にはYAlO、Ceを用いた場合には
CeAlO、Prを用いた場合にはPrAlO 、N
dを用いた場合にはNdAlO、Euを用いた場合に
はEuAlO、Tbを用いた場合にはTbAlO
Dyを用いた場合にはDyAlO,Hoを用いた場合
にはHoAlO、Erを用いた場合にはErAl
、Tmを用いた場合にはTmAlO、Ybを用い
た場合にはYbAlO、Luを用いた場合にはLuA
lOを各々得ることができる。これらの複合酸化物の
膜の配向性については、単結晶のアルミナの表面の酸素
の充填の方向と複合酸化物の酸素の充填の方向が一致す
るように、結晶が成長して形成されているいるものであ
り、この結果はX線解析によって確認することができ
る。
【0013】このようにして得られる希土類とアルミニ
ウムからなる複合酸化物は、単結晶のアルミナと格子定
数が類似しているものであり、この希土類とアルミニウ
ムからなる複合酸化物の層の上に、イットリウム系の超
伝導体を形成したときには、希土類とアルミニウムから
なる複合酸化物が中間層として働き、単結晶のアルミナ
基板の表面に超伝導体を安定に形成することができる。
【0014】
【実施例】実施例1−16 各種希土類金属(Y、La、Pr、Nd、Sm、Eu、
Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Yb、Lu)を
用いる実験を行った。実験条件および結果を表1に示
す。表の最左欄は出発原料である希土類金属含有化合物
であり、acacはアセチルアセトナートを、naph
はナフテン酸塩を、oxは2−エチルヘキサン酸塩を示
す。前記アセチルアセトナートの場合は、溶媒として、
トリフルオロ酢酸を微量(0.1−10モル%)含むメ
タノール溶液を用いた。トリフルオロ酢酸を添加するこ
とにより、乾燥させた後の膜の基板に対する密着性を良
くすることができた。前記ナフテン酸塩あるいは2−エ
チルヘキサン酸塩の場合は、溶媒として、トルエンを用
いて溶解させた。これらの原料溶液の濃度を表1の2番
目の欄に示す。アルミナ単結晶基板は、すべて、R面、
(012)面を表面とする1.27cm角の大きさの基
板を用い、この基板に約0.04mlの各原料溶液を滴
下したのち、スピンコート法により、2000rpmで
5s(秒間)行った。次に、空気中、500℃にて30
分間、仮焼成を行ない、有機成分を分解除去した。この
後、以下の熱処理を行った。 (1)酸素中、急速昇温して、1000℃で2時間保
持、その後、急速に降温させた。 (2)空気中、急速昇温して、1000℃で2時間保
持、その後、急速に降温させた。 (3)空気中、急速昇温して、1200℃で2時間保
持、その後、急速に降温させた。 (4)空気中、ゆるやかに昇温して、1600℃で7時
間保持、その後、ゆるやかに降温させ、この後、生成物
をX線回折により同定した。 以上の結果を表1の右の欄に示した。これから、前記加
熱条件(3)の場合には、得られた薄膜についてX線解
析の結果、希土類金属:アルミニウム:酸素の組成比が
1:1:3となるペロブスカイト構造の物質が生成され
ていることが、確かめられた。又、エピタキシャルのも
のが得られた。一方、1000℃で2時間程度の保持
(前記(1))では、反応は充分には進行していない結
果となった。前記(2)の場合にはNdの場合には目的
とするNdAlOが一部含まれていることが分かっ
た。また、1600℃で7時間保持(前記(4))で
は、反応が進みすぎて、希土類金属:アルミニウム:酸
素の組成比が3:5:12となるガーネット構造相、ま
たは1:11:18の相が出現していることを確認し
た。Nd,Sm、Euの場合には、生成物の一部に目的
とするNdAlO、SmAlO、EuAlO が含
まれていることが分かった。この結果、最適熱処理条件
は、温度としては、1000−1600、好ましくは1
100−1300℃、更に好ましくは1200℃前後で
あることが分かる。また保持時間としては、温度の高低
にもよるが、おおよそ、30分から10時間程度、好ま
しくは1時間から7時間の範囲にあることが分かる。
【0015】
【表1】
【0016】
【発明の効果】本発明によれば、単結晶アルミナ表面に
湿式法により希土類金属とアルミニウムからなる複合酸
化物のエピタキシャル薄膜を形成することができる。本
発明で得られる、希土類金属とアルミニウムからなる複
合酸化物を中間層することにより、その表面にエピタキ
シャルなイットリウム系の超伝導体を形成することがで
きる。この複合酸化物のエピタキシャル薄膜の形成方法
は湿式法であるので、大直径の単結晶アルミナに対して
も対処可能であり、面積の大きな単結晶アルミナを基板
とした超伝導体を得ることができる。
フロントページの続き (72)発明者 水田 進 茨城県つくば市東1丁目1番 工業技術院 物質工学工業技術研究所内 (72)発明者 鈴木 茂 千葉県習志野市2−17−1 千葉工業大学 工学部内 (72)発明者 山口 泰明 千葉県習志野市2−17−1 千葉工業大学 工学部内 (72)発明者 清水 紀夫 千葉県習志野市2−17−1 千葉工業大学 工学部内 Fターム(参考) 4G077 AA03 BC01 CB08 ED06 FE07

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】アルミナ単結晶基板の表面に、希土類金
    属:アルミニウム:酸素の組成が1:1:3である複合
    酸化物からなるエピタキシャル薄膜を形成する方法にお
    いて、希土類金属含有化合物を溶媒に溶解させ、均一な
    溶液とし、アルミナ単結晶表面に塗布乾燥させ、薄膜を
    形成し、加熱焼成することを特徴とする、アルミナ基板
    上に希土類金属とアルミニウムからなる複合酸化物のエ
    ピタキシャル薄膜を形成する方法。
  2. 【請求項2】請求項1記載の希土類金属が、イットリウ
    ム、ランタン、セリウム、プラセオジム、ネオジム、サ
    マリウム、ユウロピウム、ガドリニウム、テルビウム、
    ジスプロシウム、ホルミウム、エルビウム、ツリウム、
    イッテルビウム、ルテチウム から選ばれたものである
    ことを特徴とする、アルミナ基板上に希土類金属とアル
    ミニウムよりなる複合酸化物のエピタキシャル薄膜を形
    成する方法。
  3. 【請求項3】請求項1記載の希土類金属含有化合物が、
    希土類金属有機酸塩あるいは希土類金属アセチルアセト
    ナートから選ばれた化合物であることを特徴とする、ア
    ルミナ基板上に希土類金属とアルミニウムよりなる複合
    酸化物のエピタキシャル薄膜を形成する方法。
  4. 【請求項4】請求項1記載の希土類金属含有化合物が希
    土類金属アセチルアセトナートであるとき、その溶媒が
    トリフルオロ酢酸あるいはアビエチン酸を含むメタノー
    ルであることを特徴とする、アルミナ基板上に希土類金
    属とアルミニウムからなる複合酸化物のエピタキシャル
    薄膜を形成する方法。
  5. 【請求項5】請求項1記載の加熱焼成を、1000−1
    600℃で行うことを特徴とする、アルミナ基板上に希
    土類金属とアルミニウムからなる複合酸化物のエピタキ
    シャル薄膜を形成する方法。
  6. 【請求項6】請求項1記載の希土類金属含有化合物にア
    ルミニウム含有化合物を添加することを特徴とする、ア
    ルミナ基板上に希土類金属とアルミニウムよりなる複合
    酸化物のエピタキシャル薄膜を形成する方法。
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Cited By (3)

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