JP3507887B2 - 単結晶基板の表面にエピタキシャル薄膜を形成する方法 - Google Patents

単結晶基板の表面にエピタキシャル薄膜を形成する方法

Info

Publication number
JP3507887B2
JP3507887B2 JP2000265134A JP2000265134A JP3507887B2 JP 3507887 B2 JP3507887 B2 JP 3507887B2 JP 2000265134 A JP2000265134 A JP 2000265134A JP 2000265134 A JP2000265134 A JP 2000265134A JP 3507887 B2 JP3507887 B2 JP 3507887B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
rare earth
earth metal
aluminum
thin film
containing compound
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Lifetime
Application number
JP2000265134A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2002068900A (ja
Inventor
巖 山口
高明 真部
俊弥 熊谷
進 水田
鈴木  茂
泰明 山口
紀夫 清水
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
National Institute of Advanced Industrial Science and Technology AIST
Original Assignee
National Institute of Advanced Industrial Science and Technology AIST
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by National Institute of Advanced Industrial Science and Technology AIST filed Critical National Institute of Advanced Industrial Science and Technology AIST
Priority to JP2000265134A priority Critical patent/JP3507887B2/ja
Publication of JP2002068900A publication Critical patent/JP2002068900A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP3507887B2 publication Critical patent/JP3507887B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Lifetime legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Crystals, And After-Treatments Of Crystals (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】 本発明は、単結晶基板の表
面にエピタキシャル薄膜を形成する方法に関するもので
ある。
【0002】
【従来の技術】 1986年に、高温酸化物超伝導体が
発明されて以来、既に14年が経過した。その間に研究
開発が積極的に進められ、実用化段階に達してきてお
り、多面的努力が傾けられている。この技術の中で、大
面積のイットリウム系の超伝導体(YBaCu
:以下、YBCOともいう。)膜は、移動体通信
用のマイクロ波フイルターや、限流器への応用の点から
重要な基幹技術のための材料となっている。 現在、そ
の膜の基板として、ランタンアルミネート(LaAlO
:以下、LAOともいう。)が用いられている。その
理由は、LAOの格子定数(擬立方晶系としたとき0.
379ナノメータ)が,YBCOのそれ(層状ペロブス
カイト構造の正方晶の短い一辺が0.382−0.38
9ナノメータ)に近いこと、及びLAOの誘電率が比較
的小さいので、交流の誘電損失が小さいこと等があげら
れる。一般に、移動体通信用のマイクロ波フイルターに
しても、限流器にしても、その性能は、超伝導膜の面積
に依存するので、大面積への要望と期待は、今後一層高
まるものと考えられる。 現在、商品化されているLA
O単結晶基板は、直径7〜8cmが限界である。これを
超える大きさ、例えば、直径10〜30cmの単結晶基
板を求めようとすれば、材料としてアルミナ(Al
)を用いる以外はないと考えられる。アルミナは基本
的に六方晶であり、YBCOは層状ペロブスカイト構造
の正方晶であることから、両者を整合させる方法とし
て、アルミナのR面(012)面の四角い格子配列を利
用することが考えられる。しかしながら、その場合この
四角い格子の一辺の長さは、0.349ナノメータであ
り、YBCOのそれと大きく異なることから、そのま
ま、基板として用いることは不可能である。即ちそのま
ま基板として使用した場合には、格子定数の不一致か
ら、その上に高臨界電流密度を有するエピタキシャルな
YBCO膜を製造するには困難であることによるもので
ある。 この問題点に対する解決策としては、格子定数
の相違を緩和する手段を講ずることが必要で、このため
に基板と超伝導膜の間に中間層を設けることが考えら
れ、先に述べたLAOを用いると、格子定数の相違を緩
和することが期待できる。 この際ランタンの他に希土
類金属すべてを対象として検討することにより、最適な
中間層を選び出すことも期待される。そこで、希土類金
属:アルミニウム:酸素の割合が1:1:3とするペロ
ブスカイト構造を持つ複合酸化物が中間層として注目を
浴びている。 アルミナを基板とした場合、その構成成
分であるアルミニウムが、YBCOの構成成分であるバ
リウムと反応する懸念があるが、希土類金属は、塩基性
の点でバリウムとアルミニウムの中間的性質を持つこと
から、このような中間層を存在させることは、熱処理を
行うときに、基板及び超伝導薄膜の両層間でおこる化学
反応を防止することができる点でも有用である。なお希
土類金属:アルミニウム:酸素の組成比が1:1:3と
ならない複合酸化物も存在するが、それらは本目的には
合致しない。 従来、このような中間層を形成する試み
としては、基板がサファイアで、その基板の上にエピタ
キシャルなGdAlO膜を、スパッタ法により形成す
る研究が報告されてきた(Mat.Res.Soc.S
ymp.Proc.Vol.401 p357〜362
(1996) Materials Research
Society )。 スパッタ法はプラズマ状態
で、目的とする化合物を蒸発させ、基板表面に膜を形成
するものである。しかしながら、このような方法では、
装置の点から見て大面積の超伝導膜の基板を製造とする
場合や、連続的に量産化を行って超伝導薄膜の基板を製
造しようとする場合には、無理がある。このような点か
ら大面積の超伝導薄膜を製造する場合には、この方法は
用いることができない。 このようなことから、大面積
の超伝導薄膜基板の製造方法、特に、大面積の超伝導薄
膜基板の製造が可能な単結晶アルミナ基板の上にエピタ
キシャルな薄膜を形成する新規な方法が求められてい
る。
【0003】
【発明の解決しようとする課題】 本発明の課題は、ア
ルミナ単結晶基板上に、希土類金属とアルミニウムより
なる複合酸化物のエピタキシャル薄膜を形成する新規な
方法を提供することである。
【0004】
【課題を解決する手段】 本発明者らは、アルミナ単結
基板の表面に、希土類金属含有化合物を溶媒に溶解さ
せ、均一な溶液として、アルミナ単結晶表面に塗布乾燥
させ、薄膜を形成し、加熱焼成すると、希土類金属含有
化合物が熱分解して生ずる希土類金属酸化物と基板に含
まれるアルミニウム酸化物の間に化学反応を生じ、希土
類金属とアルミニウムからなるエピタキシャルな複合酸
化物薄膜を形成することができることを見出して、本発
明を完成させた。
【0005】 本発明によれば、以下の発明が提供され
る。 (1)アルミナ単結晶基板の表面に、希土類金属:アル
ミニウム:酸素の組成が1:1:3である複合酸化物か
らなるエピタキシャル薄膜を形成する方法において、
ルミニウムに関し、アルミニウム含有複合酸化物として
必要とされる量を含まない希土類金属含有化合物を溶媒
に溶解させ、均一な溶液とし、アルミナ単結晶表面に塗
布乾燥させ、薄膜を形成し、加熱焼成することを特徴と
する、アルミナ基板上に希土類金属とアルミニウムから
なる複合酸化物のエピタキシャル薄膜を形成する方法。 (2)前記記載の方法において、希土類金属がイットリ
ウム、ランタン、セリウム、プラセオジム、ネオジム、
サマリウム、ユウロピウム、ガドリニウム、テルビウ
ム、ジスプロシウム、ホルミウム、エルビウム、ツリウ
ム、イッテルビウム、ルテチウム から選ばれたもので
あることを特徴とする、アルミナ基板上に希土類金属と
アルミニウムよりなる複合酸化物エピタキシャル薄膜を
形成する方法。 (3)前記記載の方法において、希土類金属含有化合物
が、希土類金属有機酸塩あるいは希土類金属アセチルア
セトナートから選ばれた化合物であることを特徴とす
る、アルミナ基板上に希土類金属とアルミニウムよりな
る複合酸化物エピタキシャル薄膜を形成する方法。 (4)前記記載の方法において、希土類金属含有化合物
が希土類金属アセチルアセトナートであるとき、その溶
媒がトリフルオロ酢酸あるいはアビエチン酸を含むメタ
ノールであることを特徴とする、アルミナ基板上に希土
類金属とアルミニウムからなる複合酸化物エピタキシャ
ル薄膜を形成する方法。 (5)前記記載の方法において、加熱焼成を、1000
−1600℃で行うことを特徴とする、アルミナ基板上
に希土類金属とアルミニウムからなる複合酸化物エピタ
キシャル薄膜を形成する方法。 (6)前記記載の方法において、希土類金属含有化合物
にアルミニウム含有化合物を添加することを特徴とす
る、アルミナ基板上に希土類金属とアルミニウムよりな
る複合酸化物エピタキシャル薄膜を形成する方法。
【0006】
【発明の実施の形態】 本発明では、アルミナ単結晶基
板が用いられる。本発明では、基板上に希土類金属とア
ルミニウムよりなる複合酸化物のエピタキシャル薄膜を
形成させるが、このエピタキシャル薄膜の上に、最終的
に、イットリウム系等の超伝導薄膜を形成させることに
より利用されるものである。この超伝導薄膜の使用用途
から基板直径が大きいものが要請されており、基板であ
るアルミナ単結晶としては径の大きいものが要求され
る。このような要請に応えて、適宜大きな直径の単結晶
のアルミナを利用することが可能である。用いるアルミ
ナ単結晶の直径としては、得られる限りの大直径のもの
であって差し支えない。 アルミナ単結晶基板の使用に
際してアルミナ表面は、前処理として磨き上げられ、表
面の配向は、A面(110)、C面(001)、R面
(012)、M面(100)のいずれであっても採用す
ることが可能である。
【0007】 次に、この単結晶の表面に、希土類金属
及びアルミニウムからなる複合酸化物からなるエピタキ
シャル薄膜を形成するための、希土類金属含有化合物の
溶液の調製は、以下のようにして行う。 希土類金属と
しては、Y、La、Ce、Pr、Nd、Sm、Eu、G
d、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Yb、Luからな
る希土類元素中から選択して用いることができる。前記
希土類金属含有化合物を、溶媒に溶解して均一な溶液と
する。希土類金属化合物を、溶媒に均一に溶解させ、基
板の上に膜が形成させることができる特性のものであれ
ば、希土類金属化合物はどのようなものでも用いること
ができる。一般的には、このような希土類金属含有化合
物としては、比較的大きな有機基を有するものであり、
それにより製膜が容易であるものが用いられる。好まし
い具体例を挙げれば、希土類ナフテン酸塩や希土類2−
エチルヘキサン酸塩などの希土類金属有機酸塩あるいは
希土類金属アセチルアセトナートを挙げることができ
る。 希土類金属アルミニウム複合酸化物の生成は、希
土類金属含有化合物の熱分解によって生ずる希土類金属
酸化物と基板のアルミナとの化学反応で達成される。こ
の反応において何らかの理由によってアルミナが不足す
る場合には、その不足分を出発原料溶液にアルミニウム
含有化合物を添加することができる。換言すると、 前
記希土類金属含有化合物に対して、必要に応じて、アル
ミニウム含有化合物を添加することができる。
【0008】 希土類含有化合物を溶解させる際に用い
られる溶媒は、これらの化合物を均一な状態に溶解さ
せ、基板の上に膜を形成できるものであり、この他に、
単結晶アルミナ基板の表面に対する濡れ特性が優れたも
のであり、且つ、乾燥、加熱処理により溶媒を容易に揮
発除去できるものであることが必要である。 希土類金
属含有化合物に希土類金属有機酸塩を用いるときには、
その溶媒にはトルエンなど無極性溶媒が好ましい。 希
土類金属含有化合物として希土類金属アセチルアセトナ
ートを用いるときには、その溶媒としては、極性溶媒が
好ましい。このような溶媒としては、メタノ−ルなどの
アルコールが用いられる。さらにこの溶媒に、トリフル
オロ酢酸を添加して用いることができる。トリフルオロ
酢酸の含有量は、極性溶媒の0.1−10モル%であ
る。さらに、必要に応じて、プロピオン酸やアビエチン
酸などを添加することができる。この結果、製膜性を改
善することができる。
【0009】 希土類含有化合物を溶媒に混合、溶解さ
せる際の希土類含有化合物の濃度は、単結晶アルミナの
表面に塗布する場合に、その濃度が希薄すぎると期待す
る膜の生成は得られない。又、濃厚すぎると、膜を均一
に付着させることができず、期待する膜の生成は得るこ
とができない。 このようなことを考慮して、希土類含
有化合物の濃度は、0.05−1.0mol/l(リッ
トル)、好ましくは0.1−0.5mol/l(リット
ル) である。
【0010】 次に、単結晶アルミナ表面に、前記希土
類含有化合物を含有する溶液を塗布する。 塗布の方法
としては、浸漬法、スプレー法、刷毛塗り法、スピンコ
ート法などの公知の方法が適宜用いられる。 希土類含
有化合物の溶液を塗布後に、乾燥処理を施して、単結晶
アルミナ表面上に希土類含有化合物を単結晶アルミナ基
板上に付着させる。乾燥処理の圧力は、常圧又は減圧下
に行う。空気が存在していても差し支えない。 乾燥の
ための加熱手段としては、加熱乾燥炉を用いる。加熱乾
燥終了後、単結晶アルミナ表面に薄膜状の希土類含有化
合物の乾燥生成物からなる薄膜が形成される。乾燥工程
は次の加熱焼成工程と連続的に行うこともできる。
【0011】 次に、前記の乾燥処理した基板
上の薄膜状の希土類含有化合物を加熱焼成する。この加
熱焼成過程において、希土類含有化合物は熱分解され希
土類酸化物に変化すると同時に、基板のアルミナとも化
学反応し、目的生成物である希土類金属アルミニウム複
合酸化物が生成される。 本格的加熱焼成を行う前に、
仮焼成を行うことが有効である。仮焼成の条件は、空気
中、加熱焼成温度以下の温度が採用される。具体的に
は、150℃を超え、1000℃未満の温度範囲の条件
が採用される。具体的には、500℃程度の温度下に3
0分間処理を行うことにより、仮焼成を行ない、有機成
分を分解除去した。この後、以下の本格的熱処理を行っ
た。 複合酸化物を製造するための加熱焼成の条件は、
空気中、1000−1600℃の温度で、30分−10
時間にわたり処理を行うものである。目的生成物である
希土類金属:アルミニウム:酸素の割合が1:1:3で
ある複合酸化物を生成させるためには、前記条件の中で
も、好ましくは、1100−1300℃、より好ましく
は、1150−1250℃で30分−10時間の条件が
採用される。 この条件下に処理することにより、希土
類金属:アルミニウム:酸素の割合が1:1:3とする
目的とする複合酸化物を得ることができる。 前記の温
度範囲に至らない温度或いは加熱時間が少ないなどの加
熱条件が不充分なときには、目的とする、希土類金属:
アルミニウム:酸素の組成比が1:1:3となるペロブ
スカイト構造の物質を得ることができない。 一方、加
熱条件がこの温度範囲を超えていたり、時間が長かった
りすると、希土類金属:アルミニウム:酸素の組成比が
3:5:12となるガーネット構造、あるいは1:1
1:18あるいは1:12:19となる六方晶などが出
現してしまう場合もあり、目的とするペロブスカイトを
得ることができない。 圧力は、加圧、常圧、及び減圧
のいずれの条件においても行うことができる。空気、或
いは酸素が存在しても、又存在しない条件下でも行うこ
とができる。 加熱焼成には焼成炉が用いられる。焼成
炉はトンネル式の連続炉或いはバッチ式の焼成炉を用い
ることができる。 なお、1000−1600℃におけ
る加熱焼成に至る前段階として、500℃前後での仮焼
成を適宜組み合わせることができる。
【0012】 加熱焼成により得られる希土類とアルミ
ニウムからなる複合酸化物からなるエピタキシャル薄膜
は、例えば、以下の通りである。 希土類金属として、
Laを用いた場合にはLaAlO、Gdを用いた場合
にはGdAlO、Smを用いた場合にはSmAl
、Yを用いた場合にはYAlO、Ceを用いた場
合にはCeAlO、Prを用いた場合にはPrAlO
、Ndを用いた場合にはNdAlO、Euを用いた
場合にはEuAlO、Tbを用いた場合にはTbAl
、Dyを用いた場合にはDyAlO,Hoを用い
た場合にはHoAlO、Erを用いた場合にはErA
lO、Tmを用いた場合にはTmAlO、Ybを用
いた場合にはYbAlO、Luを用いた場合にはLu
AlOを各々得ることができる。 これらの複合酸化
物の膜の配向性については、単結晶のアルミナの表面の
酸素の充填の方向と複合酸化物の酸素の充填の方向が一
致するように、結晶が成長して形成されているものであ
り、この結果はX線解析によって確認することができ
る。
【0013】 このようにして得られる希土類とアルミ
ニウムからなる複合酸化物は、単結晶のアルミナと格子
定数が類似しているものであり、この希土類とアルミニ
ウムからなる複合酸化物の層の上に、イットリウム系の
超伝導体を形成したときには、希土類とアルミニウムか
らなる複合酸化物が中間層として働き、単結晶のアルミ
ナ基板の表面に超伝導体を安定に形成することができ
る。
【0014】
【実施例】 実施例1−16 各種希土類金属(Y、La、Pr、Nd、Sm、Eu、
Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Yb、Lu)を
用いる実験を行った。実験条件および結果を表1に示
す。 表の最左欄は出発原料である希土類金属含有化合
物であり、acacはアセチルアセトナートを、nap
hはナフテン酸塩を、oxは2−エチルヘキサン酸塩を
示す。 前記アセチルアセトナートの場合は、溶媒とし
て、トリフルオロ酢酸を微量(0.1−10モル%)含
むメタノール溶液を用いた。トリフルオロ酢酸を添加す
ることにより、乾燥させた後の膜の基板に対する密着性
を良くすることができた。 前記ナフテン酸塩あるいは
2−エチルヘキサン酸塩の場合は、溶媒として、トルエ
ンを用いて溶解させた。これらの原料溶液の濃度を表1
の2番目の欄に示す。 アルミナ単結晶基板は、すべ
て、R面、(012)面を表面とする1.27cm角の
大きさの基板を用い、この基板に約0.04mlの各原
料溶液を滴下したのち、スピンコート法により、200
0rpmで5s(秒間)行った。次に、空気中、500
℃にて30分間、仮焼成を行ない、有機成分を分解除去
した。この後、以下の熱処理を行った。 (1)酸素中、急速昇温して、1000℃で2時間保
持、その後、急速に冷却した。 (2)空気中、急速昇温して、1000℃で2時間保
持、その後、急速に冷却した。 (3)空気中、急速昇温して、1200℃で2時間保
持、その後、急速に冷却した。 (4)空気中、ゆるやかに昇温して、1600℃で7時
間保持、その後、ゆるやかに冷却し、この後、生成物を
X線回折により同定した。 以上の結果を表1の右の欄に示した。 これから、前記
加熱条件(3)の場合には、得られた薄膜についてX線
解析の結果、希土類金属:アルミニウム:酸素の組成比
が1:1:3となるペロブスカイト構造の物質が生成さ
れていることが、確かめられた。又、エピタキシャルの
ものが得られた。一方、1000℃で2時間程度の保持
(前記(1))では、反応は充分には進行していない結
果となった。前記(2)の場合にはNdの場合には目的
とするNdAlOが一部含まれていることが分かっ
た。 また、1600℃で7時間保持(前記(4))で
は、反応が進みすぎて、希土類金属:アルミニウム:酸
素の組成比が3:5:12となるガーネット構造相、ま
たは1:11:18の相が出現していることを確認し
た。Nd,Sm、Euの場合には、生成物の一部に目的
とするNdAlO、SmAlO、EuAlOが含
まれていることが分かった。この結果、最適熱処理条件
は、温度としては、1000−1600、好ましくは1
100−1300℃、更に好ましくは1200℃前後で
あることが分かる。また保持時間としては、温度の高低
にもよるが、おおよそ、30分から10時間程度、好ま
しくは1時間から7時間の範囲にあることが分かる。
【0015】
【表1】
【0016】
【発明の効果】 本発明によれば、単結晶アルミナ表面
に湿式法により希土類金属とアルミニウムからなる複合
酸化物のエピタキシャル薄膜を形成することができる。
本発明で得られる、希土類金属とアルミニウムからなる
複合酸化物を中間層することにより、その表面にエピタ
キシャルなイットリウム系の超伝導体を形成することが
できる。この複合酸化物のエピタキシャル薄膜の形成方
法は湿式法であるので、大直径の単結晶アルミナに対し
ても対処可能であり、面積の大きな単結晶アルミナを基
板とした超伝導体を得ることができる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 鈴木 茂 千葉県習志野市2−17−1 千葉工業大 学工学部内 (72)発明者 山口 泰明 千葉県習志野市2−17−1 千葉工業大 学工学部内 (72)発明者 清水 紀夫 千葉県習志野市2−17−1 千葉工業大 学工学部内 (56)参考文献 特開 平1−197303(JP,A) 特開 平5−9022(JP,A) 特開 昭63−277770(JP,A) 特開 平5−70292(JP,A) 特開2000−119099(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C30B 1/00 - 35/00 JSTPlus(JOIS)

Claims (6)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】アルミナ単結晶基板の表面に、希土類金
    属:アルミニウム:酸素の組成が1:1:3である複合
    酸化物からなるエピタキシャル薄膜を形成する方法にお
    いて、アルミニウムに関し、アルミニウム含有複合酸化
    物として必要とされる量を含まない希土類金属含有化合
    物を溶媒に溶解させ、均一な溶液とし、アルミナ単結晶
    表面に塗布乾燥させ、薄膜を形成し、加熱焼成すること
    を特徴とする、アルミナ基板上に希土類金属とアルミニ
    ウムからなる複合酸化物のエピタキシャル薄膜を形成す
    る方法。
  2. 【請求項2】請求項1記載の希土類金属が、イットリウ
    ム、ランタン、セリウム、プラセオジム、ネオジム、サ
    マリウム、ユウロピウム、ガドリニウム、テルビウム、
    ジスプロシウム、ホルミウム、エルビウム、ツリウム、
    イッテルビウム、ルテチウム から選ばれたものである
    ことを特徴とする、アルミナ基板上に希土類金属とアル
    ミニウムよりなる複合酸化物のエピタキシャル薄膜を形
    成する方法。
  3. 【請求項3】請求項1記載の希土類金属含有化合物が、
    希土類金属有機酸塩あるいは希土類金属アセチルアセト
    ナートから選ばれた化合物であることを特徴とする、ア
    ルミナ基板上に希土類金属とアルミニウムよりなる複合
    酸化物のエピタキシャル薄膜を形成する方法。
  4. 【請求項4】請求項1記載の希土類金属含有化合物が希
    土類金属アセチルアセトナートであるとき、その溶媒が
    トリフルオロ酢酸あるいはアビエチン酸を含むメタノー
    ルであることを特徴とする、アルミナ基板上に希土類金
    属とアルミニウムからなる複合酸化物のエピタキシャル
    薄膜を形成する方法。
  5. 【請求項5】請求項1記載の加熱焼成を、1000−1
    600℃で行うことを特徴とする、アルミナ基板上に希
    土類金属とアルミニウムからなる複合酸化物のエピタキ
    シャル薄膜を形成する方法。
  6. 【請求項6】請求項1記載の希土類金属含有化合物にア
    ルミニウム含有化合物を添加することを特徴とする、ア
    ルミナ基板上に希土類金属とアルミニウムよりなる複合
    酸化物のエピタキシャル薄膜を形成する方法。
JP2000265134A 2000-09-01 2000-09-01 単結晶基板の表面にエピタキシャル薄膜を形成する方法 Expired - Lifetime JP3507887B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2000265134A JP3507887B2 (ja) 2000-09-01 2000-09-01 単結晶基板の表面にエピタキシャル薄膜を形成する方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2000265134A JP3507887B2 (ja) 2000-09-01 2000-09-01 単結晶基板の表面にエピタキシャル薄膜を形成する方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2002068900A JP2002068900A (ja) 2002-03-08
JP3507887B2 true JP3507887B2 (ja) 2004-03-15

Family

ID=18752447

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2000265134A Expired - Lifetime JP3507887B2 (ja) 2000-09-01 2000-09-01 単結晶基板の表面にエピタキシャル薄膜を形成する方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP3507887B2 (ja)

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
KR20170028962A (ko) * 2014-08-12 2017-03-14 티디케이가부시기가이샤 알루미나 기판

Families Citing this family (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP3556586B2 (ja) 2000-09-05 2004-08-18 株式会社東芝 酸化物超電導体の製造方法、酸化物超電導体用原料、および酸化物超電導体用原料の製造方法
JP4547540B2 (ja) * 2006-05-18 2010-09-22 独立行政法人産業技術総合研究所 イットリウムアルミネート単結晶上に配向した希土類123型超電導膜の製造方法
CN108774456B (zh) * 2018-06-28 2020-02-14 南昌航空大学 一种光固化稀土铕改性松香酸复合高分子材料的制备方法

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
KR20170028962A (ko) * 2014-08-12 2017-03-14 티디케이가부시기가이샤 알루미나 기판
KR101983540B1 (ko) 2014-08-12 2019-05-29 티디케이가부시기가이샤 알루미나 기판

Also Published As

Publication number Publication date
JP2002068900A (ja) 2002-03-08

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US5231074A (en) Preparation of highly textured oxide superconducting films from mod precursor solutions
McIntyre et al. Metalorganic deposition of high‐J c Ba2YCu3O7− x thin films from trifluoroacetate precursors onto (100) SrTiO3
US8865628B2 (en) Solution for forming rare-earth superconductive film and production method thereof
JP3548801B2 (ja) 特定の金属種に特定の配位子を配位させた金属錯体を含む溶液組成物、希土類超電導膜製造用溶液組成物、特定金属錯体の非結晶固形物、特定の金属種に特定の配位子を配位させた金属錯体を含む溶液の製造方法、希土類超電導膜製造用溶液の製造方法、及び超電導薄膜の形成方法。
US7625843B2 (en) Method for manufacturing a metal organic deposition precursor solution using super-conduction oxide and film superconductor
WO2003075288A1 (fr) Couche superconductrice et procede de preparation
JP4208806B2 (ja) 酸化物超電導体の製造方法
JP3851948B2 (ja) 超電導体の製造方法
JP3507887B2 (ja) 単結晶基板の表面にエピタキシャル薄膜を形成する方法
US8658571B2 (en) Wet-chemical method for producing high-temperature superconductor
JP2003300726A (ja) テープ状酸化物超電導体及びその製造方法
JP4154475B2 (ja) 基板の表面に形成されたエピタキシャル薄膜及びその製造方法
JP4203606B2 (ja) 酸化物超電導厚膜用組成物及び厚膜テープ状酸化物超電導体
JP3548802B2 (ja) 特定の金属種に特定の配位子を配位させた金属錯体を含む溶液組成物、希土類超電導膜製造用溶液組成物、特定金属錯体の非結晶固形物、特定の金属種に特定の配位子を配位させた金属錯体を含む溶液の製造方法、希土類超電導膜製造用溶液の製造方法、及び超電導薄膜の製造方法。
JP3612556B2 (ja) アルミナ単結晶基板の表面に形成された超伝導薄膜からなる超伝導体、及びアルミナ単結晶基板の表面に超伝導薄膜を形成する方法
JP5273561B2 (ja) 超電導膜の製造方法
KR100998310B1 (ko) 유기금속증착용 전구용액 형성방법 및 이를 사용하는초전도 후막 형성방법
CN1317777C (zh) 铊系高温超导薄膜材料及其制备方法
JPH01215702A (ja) 超電導薄膜の製造法
JP5345983B2 (ja) 超伝導体薄膜の製造方法
JPH03109204A (ja) 超電導薄膜の製造方法
JPH0556283B2 (ja)
JP4861290B2 (ja) 超伝導体及びその製造方法
JPH01192720A (ja) 超伝導薄膜の形成方法
Zhao Preparation of YBCO Superconducting Films by Sol-gel Process Gaoyang Zhao, Huangli Zhang, Renzhong Xue, Yuanqing Chen and Li Lei

Legal Events

Date Code Title Description
TRDD Decision of grant or rejection written
R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 3507887

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

S533 Written request for registration of change of name

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313533

R350 Written notification of registration of transfer

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350

EXPY Cancellation because of completion of term