JP2009106614A - 哺乳瓶用人工乳首 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】哺乳瓶用人工乳首1の先端に中空形状の先端部10を設け、前記先端部10より先端と反対側に胴部20を設け、前記先端部10と前記胴部20との間に隔膜部30を設け、前記隔膜部30に弁31を設ける哺乳瓶用人工乳首1であって、前記隔膜部30に前記隔膜部30から前記胴部20側に向けて突出する湾曲部32を設け、前記湾曲部32に前記弁31を設ける。
【選択図】図10
Description
元来、母乳には育児に必要な栄養分や成分等が含まれており、近年では母乳による育児が大幅に見直されている(例えば、ユニセフ及びWHOによる「母乳育児を成功させるための10カ条」等参照)。母親による直接母乳の利点の例として以下のようなものがある。例えば、乳児にとっては、高い栄養価を有し、この栄養は乳児の成長とともに変化するため、フォローアップミルクが不要となる。一方、母親にとっては、乳児とのスキンシップにより、母性愛を育むことにより、ホルモンバランスの安定、ひいては精神状態の安定を促す効果がある。
このため、母乳で授乳される直接母乳の乳児が一時的に利用する人工乳首への移行をスムーズに行なえるように、また人工乳首で間接授乳される乳児の母乳による育児への移行をスムーズに行なえるように、母親の乳首と人工乳首との特性や感触を近似させる必要がある。そこで、母親の乳首に近似する人工乳首の開発・研究が広く行なわれている(例えば、特許文献1、2参照。)。
これにより、この人工乳首を乳児がくわえた際に、乳児の舌と当接する部分が伸長し易い肉薄部により構成されるため、舌によって伸ばされることとなる。また、舌に圧力を加えられても剛性部により人工乳首が潰れにくくなっている。
特許文献2に開示される技術は、哺乳瓶に取り付けられる取付手段と、取付手段に連設された乳首胴部と、乳首胴部から突出して形成された乳頭部と、を有し、少なくとも乳頭部及び/又は乳首胴部の一部に柔軟な素材より成る伸長部が形成されると共に、少なくとも、取付手段及び乳首胴部の取付手段側は、伸長部より剛性を有する素材より成る剛性部となっており、取付手段には、哺乳瓶に取り付けられた人工乳首の内外を連通する通気手段が形成され、少なくとも、前記取付手段は、前記伸長部より剛性を有する素材より成る剛性部となっており、前記伸長部及び前記剛性部が、分離不能に結合されるよう一体成形で形成されることを特徴とするものである。
これにより、前記伸長部が乳児等の舌の蠕動様運動により、伸長する伸展可能な人工乳首となる。
しかし、一般的に、乳児が母親から直接母乳を吸飲する際は、母体の乳首を乳輪部まで深く捕獲した状態で、上顎と下顎とを吸啜動作させながら、舌先で、乳輪部から乳頭部側へ押圧力を加えてしごきつつ吸啜している。すなわち、母体から直接授乳する場合には、母体の乳首先端の乳頭部を吸っただけでは、母乳を十分に吸飲できない場合がある。
さらに、人工栄養が流出しやすい人工乳首では、先端部の変形のみにより人工栄養が流出する場合があり、乳児が先端部のみを変形させて人工栄養を飲む可能性がある。仮にこのような人工乳首による間接授乳に乳児が慣れると、母親の乳首の先端だけをくわえる、いわゆる「先飲み」になる傾向があり、母乳からの直接授乳をしにくくなる傾向があり、人工乳首による間接授乳から母乳による育児への移行をスムーズにしにくい場合がある。
前記隔膜部は、当該隔膜部の全部を湾曲部として構成してもよい。
なお、以下において、図中における矢印Aの指す方向を上とし、上下方向を規定する。
図1乃至図3に示すように、哺乳瓶用人工乳首1は、それぞれ一体的に成形される、先端部10、胴部20、隔膜部30、取り付け部40等を具備する。哺乳瓶用人工乳首1は、釣鐘形状に構成されており、下部に側方に延出された取り付け部40が設けられた形状となっている。
隔膜部30は湾曲した形状となっており、図3に示すごとく、弁31の位置は、高さにおいて、隔膜部30と先端部10および胴部20との接続部に対してオフセットした位置にある。本実施例において、隔膜部30は下方に突出した湾曲部もしくは凹部により構成され、弁31は隔膜部30の周縁より下方に位置している。これにより、胴部20の変形による応力により、隔膜部30の弁31を開きやすくでき、弁31によるミルクなどの飲料の流出特性が制御しやすい。また、隔膜部30と胴部20との接続部は円滑な曲面を形成しているので、効率的に応力を分散でき、応力の局所的な集中を解消しやすく、洗浄も容易にできる。
なお、本実施例において湾曲部32は、断面視において中央部が最下端部となるように下方に(胴部20側に)向けて湾曲する略球面形状を有する構成であるが、これに限らず、弁31の形状や構成に応じて、図4(a)に示すような、断面視U形状を有する構成、図4(b)に示すような、断面視V形状を有する略円錐形状を有する構成等としてもよい。
また、本実施例において弁31は、平面視円形状を有するとともに中心部分を有する哺乳瓶用人工乳首1の中心部である湾曲部32の平面視中心部(つまり、最下端部)に設けられることが好ましい。
図7に示すように、乳房100内の乳腺組織の一つである乳腺房101・101・・・内で母乳が作られた後、乳腺房101・101・・・にそれぞれ接続される乳管102・102・・・を介して乳管洞103・103・・・に一時的に貯蓄され、この乳管洞103・103・・・から母乳の出口である乳口104・104・・・に運ばれ、乳口104・104・・・から母乳が漏出される。
乳児が母乳を母体より直接的に吸飲する場合は、図8(a)に示すように、乳房100を乳管洞103・103・・・付近まで捕獲して、上顎と下顎とを吸啜動作させながら、舌先で、乳輪部105から乳頭部側へ押圧力を加えてしごきつつ吸啜する。そして同時に適当な圧力で吸飲することにより乳管洞103・103・・・から乳口104・104・・・に母乳が運ばれ、乳口104・104・・・より母乳が漏出する構成である。
以下に、このときの弁31の動きについて具体的に説明する。
これに対して、図11(b)に示すように、押圧力が加えられる方向から平面視略90度回転させた箇所においては、哺乳瓶用人工乳首1の変形による弾性力により、外側に向かう方向(図中矢印Gの指す方向)に内力が発生する。この内力は、下方に向けて突出させて設けられる湾曲部32において外側に向かう方向に発生し、かつ、内力が発生する箇所に近い湾曲部32の下側に発生する力の大きさが、同じく上側に発生する力の大きさよりも大きく作用するので、弁31が下方に向けて開く方向に動く。
このようにして、胴部20に対して外側から挟み込むように押圧力を加えることで弁31が開き状態になる(図9及び図10参照)。また、上述のような吸飲動作と同時に、哺乳瓶用人工乳首1を吸飲方向に吸い込むことによって、胴部20が上下方向に伸び、哺乳瓶用人工乳首1の上下方向の変形量が大きくなるので、弁31の開度が大きくなる。
また、湾曲部32は隔膜部30の内側面より胴部20側に向けて突出して設けられるとともに、逆太鼓橋形状を有することにより、材料の弾性力を利用することに加えて、形状による内力が発生するので、吸飲時以外に湾曲部32が弁31を閉じる方向に力を強く加えることが可能となり、哺乳瓶の転倒等によって哺乳瓶内に収容される搾乳された母乳、人工栄養等が弁31を通過して漏出することを確実に防止できる。
さらに、先端部10の内部空間において、搾乳された母乳、人工栄養等と唾液とが十分に混ざり合うので、吸飲しながら口腔内に吸飲される搾乳された母乳、人工栄養等を唾液で洗うことができ、口腔内環境を改善できる。
また、先端部10と胴部20との間に隔膜部30が設けられ、この隔膜部30に弁31が設けられるので、先端部10に押圧力を加えるだけでは弁31が開かない構造を実現できる。これにより、さらに母体から母乳を吸飲する際に適した飲み方の授乳形態を実現できる。
図9乃至図11に示すように、胴部20に外側からの押圧力が加えられると、上述のように湾曲部32に内力が発生し、リブ33は内力が発生する方向(図中矢印Gが指す方向)、つまり、弁31の開く方向と同じ方向に変形し、胴部20に加えられる押圧力がなくなると、逆方向、つまり、弁31を閉じる方向に変形するので、弁31の剛性を向上させることができ、弁31の開閉を担保できる。これにより、弁31の開口量を経時的にほぼ一定に保つことができる。さらには、吸飲時以外に哺乳瓶の転倒等によって哺乳瓶内に収容される搾乳された母乳、人工栄養等が弁31を通過して漏出することをより確実に防止できる。
図8(b)に示すように、哺乳瓶用人工乳首1を用いて吸飲する際には、段部23付近まで咥え込み、第一胴部21を上顎と下顎で挟み込んで押圧力を加える。
なお、本実施例では、段部23は胴部20の上下略中央部に配置されるが、これに限定されず、乳児が哺乳瓶用人工乳首1を咥えたときに上顎と下顎と(または上唇と下唇と)で挟み込む位置に配置されていればよい。また、図8(a)及び図8(b)に示すように、本実施例における第一胴部21は、母親の乳輪部105と略同じ形状となる曲率を有する。
また、胴部20は、第一胴部21と曲率の異なる第二胴部22を有することによって、胴部20を外側から咥え込む際に、第一胴部21及び第二胴部22に発生する内力の大きさの差が発生するので、胴部20全体の剛性を向上させることができ、ひいては、哺乳瓶用人工乳首1の形状を維持し易くなる。
さらに、第一胴部21は、母親の乳輪部105と略同じ形状となる曲率を有するので、より母親の乳首および乳輪の形状、感触に近づいた哺乳瓶用人工乳首1を実現できる。
10 先端部
11 開口部
20 胴部
21 第一胴部
22 第二胴部
23 段部
30 隔膜部
31 弁
32 湾曲部
33 リブ
40 取り付け部
Claims (3)
- 哺乳瓶用人工乳首の先端に中空形状の先端部を設け、
前記先端部より先端と反対側に胴部を設け、
前記先端部と前記胴部との間に隔膜部を設け、
前記隔膜部に弁を設ける哺乳瓶用人工乳首であって、
前記隔膜部に当該隔膜部から前記胴部側に向けて突出する湾曲部を設け、
前記湾曲部に前記弁を設ける哺乳瓶用人工乳首。 - 前記弁の周囲に、当該弁と所定の間隔を空けて前記胴部側に向けたリブを設ける、ことを特徴とする請求項1に記載の哺乳瓶用人工乳首。
- 前記胴部は、それぞれ曲率の異なる第一胴部と第二胴部とを有し、前記第一胴部と前記第二胴部との間の周上に、前記胴部内側に凹んだ段部を設ける、ことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の哺乳瓶用人工乳首。
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