JP2009105365A - コイル部品 - Google Patents
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Abstract
【課題】高周波帯域において、優れた特性を発揮するコイル部品を提供する。
【解決手段】コイル部品であって、六方晶フェライトコアと、該六方晶フェライトコアに巻回された一対の導体と、前記六方晶フェライトコアの表面に形成され、前記導体が接続される端子電極とを備え、前記六方晶フェライトコアは、前記一対の導体が巻回される巻線部を有し、前記巻線部の前記導体の巻回軸方向の初透磁率が、前記巻回軸方向に垂直な少なくとも一の方向の初透磁率よりも大きいことを特徴とする。
【選択図】図1
【解決手段】コイル部品であって、六方晶フェライトコアと、該六方晶フェライトコアに巻回された一対の導体と、前記六方晶フェライトコアの表面に形成され、前記導体が接続される端子電極とを備え、前記六方晶フェライトコアは、前記一対の導体が巻回される巻線部を有し、前記巻線部の前記導体の巻回軸方向の初透磁率が、前記巻回軸方向に垂直な少なくとも一の方向の初透磁率よりも大きいことを特徴とする。
【選択図】図1
Description
本発明は、高周波におけるインピーダンス特性に優れるコイル部品、特にトランスやコモンモードフィルタ等として使用されるコイル部品に関する。
パーソナルコンピュータや携帯端末等の電子機器における信号伝送速度の高速化や駆動周波数の高周波化が進んでいる。例えば、伝送速度400MbpsのIEEE1394aや伝送速度480MbpsのUSB2.0の規格はすでに広く普及しており、より高速なHDMI(700Mbps)、IEEE1394b(800Mbps)もひかえる。これらの高速差動伝送において用いられるコモンモードフィルタなどのコイル部品は、高周波に対応したものであること、小型であることなどが要求される。例えば、特許文献1には高周波用コモンモードフィルタが開示されている。特許文献1では、巻線を施したコア1の両端の鍔部の間に、コア1より低い比透磁率の磁気シールド部を設けることにより、高周波でインピーダンスが高められる点が開示されている。
特許文献1によれば、高周波で高インピーダンスのコモンモードフィルタが得られるとされている。しかしながら、上記特許文献1に示すような従来のコイル部品は、高周波のインピーダンスを高くすると帯域が狭くなるため、好ましい構成ではない。したがって、かかる構成にかかわらずインピーダンスを高めたコイル部品が望まれていた。
そこで、本発明は、高周波帯域において、優れた特性を発揮するコイル部品を提供することを目的とする。
本発明のコイル部品は、六方晶フェライトコアと、該六方晶フェライトコアに巻回された一対の導体と、前記六方晶フェライトコアの表面に形成され、前記導体が接続される端子電極とを備え、前記六方晶フェライトコアは、前記一対の導体が巻回される巻線部を有し、前記巻線部の前記導体の巻回軸方向の初透磁率が、前記巻回軸方向に垂直な少なくとも一の方向の初透磁率よりも大きいことを特徴とする。六方晶フェライトは、c軸に垂直な方向を磁化容易面とする磁気異方性を有するため、配向させて初透磁率を高め、高いインダクタンスを得ることが可能である。初透磁率が大きい方向を導体の巻回軸方向とする、かかる構成をコモンモードフィルタに適用すれば、高周波帯域におけるコモンモードノイズ減衰量を改善することができる。
また、前記コイル部品において、前記巻線部は、前記巻回軸方向に垂直な方向に、初透磁率が前記巻回軸方向の初透磁率に略等しい他の方向を有することが好ましい。かかる構成によれば、例えば高周波帯域におけるノイズ減衰量を効果的に改善することができる。
さらに、前記コイル部品において、前記六方晶フェライトコアは貫通孔を有し、前記貫通孔の周囲の一部を前記巻線部とし、前記貫通孔を通して前記導体が巻回されており、前記端子電極は、少なくとも前記六方晶フェライトコアの、前記貫通孔の貫通方向に平行な面に形成されていることが好ましい。かかる構成によれば磁束の漏洩がさらに抑制され、ノイズ減衰量をいっそう改善できる。
さらに、前記コイル部品において、前記他の方向が前記貫通孔の貫通方向と前記巻回軸方向とに垂直な方向であることを特徴とする。かかる構成によれば、貫通孔を周回する方向の初透磁率が高くなるため、高周波帯域におけるノイズ減衰量を効果的に改善することができる。
また、貫通孔を有する前記コイル部品において、前記他の方向が前記貫通孔の貫通方向であってもよい。特に、かかる構成が、貫通孔を周回する磁路方向を前記巻回軸方向に置き換えて考えたとき、六方晶フェライトコア全体に渡って満足されることがより好ましい。かかる場合も磁路方向全体が初透磁率の高い方向に沿うようになるからである。
本発明の他のコイル部品は、六方晶フェライトコアと、該六方晶フェライトコアに巻回された一対の導体と、前記六方晶フェライトコアの表面に形成され、前記導体が接続される端子電極を備え、前記六方晶フェライトコアは、前記一対の導体が巻回される巻線部を有し、前記巻線部の少なくとも一部は、結晶方位のc軸が、前記導体の巻回軸方向に略垂直な面内方向に配向していることを特徴とする。かかる構成によれば、巻回軸方向の初透磁率が高くなり、高周波帯域におけるノイズ減衰量を効果的に改善することができる。
また、前記コイル部品において、前記巻線部は、結晶方位のc軸が、前記導体の巻回軸方向に略垂直な面内方向の一の方向に配向していることが好ましい。かかる構成によれば、高周波帯域におけるノイズ減衰量を効果的に改善することができる。
また、前記コイル部品において、前記巻線部は、結晶方位のc軸が法線方向に配向している表面を有することが好ましい。かかる構成によっても、高周波帯域におけるノイズ減衰量を効果的に改善することができる。
また、前記コイル部品において、前記六方晶フェライトコアは貫通孔を有し、前記貫通孔の周囲の一部を前記巻線部とし、前記貫通孔を通して前記導体が巻回されており、前記端子電極は、少なくとも前記六方晶フェライトコアの、前記貫通孔の貫通方向に平行な面に形成されており、前記巻線部は、結晶方位のc軸が、前記貫通孔の貫通方向に配向していることが好ましい。かかる構成によれば、貫通孔を周回する方向の初透磁率が高くなるため、高周波帯域におけるノイズ減衰量を効果的に改善することができる。
また、前記コイル部品において、前記六方晶フェライトコアは貫通孔を有し、前記貫通孔の周囲の一部を前記巻線部とし、前記貫通孔を通して前記導体が巻回されており、前記端子電極は、少なくとも前記六方晶フェライトコアの、前記貫通孔の貫通方向に平行な面に形成されており、前記六方晶フェライトコアの前記貫通孔側の内側面とそれに対向する外側面における結晶方位のc軸が、それぞれ前記内側面または前記外側面の法線方向に配向していることが好ましい。かかる構成によっても、貫通孔を周回する方向の初透磁率が高くなるため、高周波帯域におけるノイズ減衰量を効果的に改善することができる。
さらに、貫通孔を有する前記コイル部品において、前記六方晶フェライトコアは、前記貫通方向に対して垂直な方向の断面形状が、前記貫通方向で実質的に変化しない形状であることが好ましい。かかる構成は、簡易な方法で六方晶フェライトコアを作製することができるため、量産性に優れる。なお、断面形状が前記貫通方向で実質的に変化しない形状とは、六方晶フェライトコアの角部分の面取りなどによる差異は許容する趣旨である。
さらに、前記コイル部品において、前記六方晶フェライトコアが直方体形状であることが好ましい。直方体形状の六方晶フェライトを用いた構成は、コイル部品の低背化・小型化に有利である
さらに、前記コイル部品において、前記貫通孔の孔形状は矩形であるとともに、該矩形の各角部分は円弧状であり、前記角部分の円弧の半径が貫通孔の断面形状の矩形の短手方向の長さの10%以上であることがより好ましい。かかる構成によればノイズ減衰量をいっそう改善できる。
また、前記コイル部品において、前記貫通孔の孔形状は矩形であるとともに、前記貫通孔の前記巻回軸に垂直な方向の幅が前記一対の導体の平均巻き線ピッチ以上であることが好ましい。かかる構成はノイズ減衰量および信号損失の改善に寄与する。
なお、上記各構成は適宜組み合わせることもできる。
本発明によれば、高周波帯域において、優れた特性を発揮するコイル部品を提供することができる。
本発明のコイル部品の実施形態について、以下具体的に説明するが、本発明は必ずしも該実施形態に限定されるものではない。各実施形態において同一部材は同一符号を付した。図1は本発明のコイル部品の一実施形態である巻線型コモンモードフィルタの構造を示す図である。図1(a)は斜視図、(b)は鍔部の裏側を示す底面図の一部である。本発明のコイル部品は、六方晶フェライトコアと、該六方晶フェライトコアに巻回された一対の導体と、前記六方晶フェライトコアの表面に形成され、前記導体が接続される端子電極とを備えており、表面実装型のコイル部品として用いることができる。コアにI型コアやドラム型コアを用いて開磁路を形成してもよいし、閉磁路を形成してもよい。図1には、漏洩磁束の少ない閉磁路構造のコモンモードフィルタを示してある。コイル部品は、コモンモードフィルタに限らず、例えば他のフィルタ、トランスにも適用できるものである。また、導線は一対に限らず、さらに導線の数が増えた構成であってもよい。なお、以下に説明する構成は、一対の導線を用いる場合だけでなく、インダクタやチップビーズのような一本の導線を用いたコイル部品にも適用することが可能である。
六方晶フェライトコアを構成する第一のフェライト1の巻線部3には一対の導体として導線6、7が巻回されている。導線には銅など抵抗率の小さい材質の線材を、薄い樹脂膜等で絶縁被覆したものを用いればよい。なお、導体として薄膜プロセスや印刷プロセスなどで形成した導体パターンを用いることも可能である。この一対の導体は、例えばコモンモードフィルタとした場合、特に高周波における差動信号の損失を低減させるため、略平行に一定の線間隔を保って巻回されていることが好ましい。直方体状の巻線部3の一端には、巻回軸に垂直な方向であって互いに逆方向に突出している直方体状の鍔部4が配置されている。また、巻線部3の他端には、同じようにして鍔部5が配置されている。巻線部3と鍔部4、5の巻回軸に垂直な方向(鍔が突出する方向に垂直な方向)は同じ幅になっており、第一のフェライトは断面略H型の柱状体を成している。なお、巻線部の形状は直方体状に限るものではなく、円柱状等であってもよい。また、巻線部3と鍔部4、5の巻回軸に垂直な方向(図中のy方向)は必ずしも同じ幅である必要はないが、同じ幅となるような形状にすることで、生産性が格段に向上する。巻線部両端の該鍔部4、5の上面には平板状の第二のフェライト2が接着固定され、巻線部3に対向して配置されている。接着材は樹脂等であり磁気回路の効率向上のためには接着層は薄い方が望ましい。鍔部4、5の下面には外部電極として端子電極8〜11が形成されている。端子電極は銀ペーストを塗布し焼き付けることにより形成することもできるし、熱硬化型樹脂に銀粉を分散したペーストを塗布した後に熱硬化することにより形成することもできる。導線6の一端は端子電極8に接続され、他端は端子電極10に接続されている。導線7の一端は端子電極9に接続され、他端は端子電極11に接続されている。なお、端子電極は実装面となる下面側だけでなく、図1に示すように該面に垂直な側面に渡って形成してもよい。
第一のフェライト1と第二のフェライト2には、透磁率、結晶粒の結晶方位に異方性を有する六方晶フェライトを用いる。かかる六方晶フェライトとしては、磁化容易面を有する、Z型フェライト、Y型フェライト、W型フェライトなどのソフトフェライトを用いる。このうち、Z型フェライトは1GHz程度の周波数帯域での透磁率が高いため、特に好ましい。c軸に垂直な方向を磁化容易面とする六方晶フェライトは、配向によって透磁率を高めることができる。この場合、磁化容易面に平行な方向の透磁率が高くなる。図1の実施形態では、このように配向した六方晶フェライトを用いて、第一のフェライトの巻線部3の、導線の巻回軸方向であるx方向の初透磁率μxが、巻回軸方向に垂直な方向の透磁率μy、μzより大きくなるようにしてある。コイル部品を構成する場合、それに用いる六方晶フェライトコアは、巻き線領域を確保するために前記巻回軸方向に長い形状となりやすいため、該方向の磁路が長くなる。したがって、かかる方向の透磁率を高めることによって、高周波まで高いノイズ減衰特性を得ることができる。また、第二のフェライトは、透磁率を高めた方向を、巻回軸方向であるx方向にしてもよいし、巻回軸に垂直な、鍔部の突出方向にしてもよい。また、フェライト2は、フェライト1と異なる磁性材料でも良い。高透磁率のNiZnフェライトあるいはMnZnフェライトを用いることにより低周波におけるインピーダンスを増加させ、低周波における高いノイズ減衰特性を得ることができる。
上記x方向の初透磁率μxが、巻回軸方向に垂直な方向の透磁率μy、μzより大きくなるような配向状態を持つ六方晶フェライトは、六方晶フェライト粉末を一方向磁界中で成形して得られた成形体を焼成して得られる六方晶フェライト焼結体で実現される。図12(a)はその配向状態を示す模式図である。この場合、平板状の六方晶フェライトの結晶粒121は、図中の板面と一致する磁化容易面(c面)が一方向、すなわち磁界印加方向(x方向)に平行になるように配向されるため、該方向の透磁率が高められる。一方、該方向に垂直な面方向(yz方向)には磁化容易面がランダムに向くことになるため、c面内方向の高い透磁率とc軸方向の低い透磁率の中間の透磁率が均等に発現し、該面方向における透磁率の極端な低下を抑えることができる。透磁率が高い磁界印加方向を巻回軸方向にして用いれば、巻線部3の結晶方位のc軸が、前記導体の巻回軸方向に略垂直な面内方向に配向していることになる。すなわち、透磁率を高めた方向を利用する上述の構成の効果は、一対の導体が巻回された、六方晶フェライトコアの巻線部の結晶方位のc軸が、前記導体の巻回軸方向に略垂直な面内方向に配向している状態で実現されることになる。
巻線部の巻回軸方向の透磁率を高める構成として、六方晶フェライトコアをなす第一フェライトの巻線部3の、導体の巻回軸方向に垂直な、一の方向の初透磁率が前記巻回軸方向の初透磁率よりも小さく、前記巻回軸方向に垂直な、他の方向の初透磁率が、前記巻回軸方向の初透磁率と略等しい構成も好ましい。巻回軸方向に垂直な方向に、初透磁率が巻回軸方向の初透磁率に略等しい他の方向を有する、かかる構成は、六方晶フェライト粉末の成形時における印加磁界として回転磁界を用いるなどして六方晶フェライトの結晶粒を面配向させた場合に実現される状態である。図12(b)はその配向状態を示す模式図である。磁化容易面を回転磁界の軸(y方向)に垂直な面方向に揃えるように配向することができるため、該面内方向(zx方向)の透磁率が高くなる。この場合、c軸は回転磁界の軸方向(y方向)に配向する。一方、該面内以外の方向(例えばy方向)は透磁率が低くなる。回転磁界の印加面が、導体の巻回軸方向に平行になるように配置すれば、六方晶フェライトコアをなす第一フェライトの巻線部3の前記巻回軸方向(x方向)の初透磁率は、少なくとも前記巻回軸方向に垂直な、一の方向(例えばy方向)の初透磁率よりも大きくなり、導体の巻回軸方向に垂直な、他の方向(例えばz方向)の初透磁率が、前記巻回軸方向の初透磁率と略等しい構成となる。この場合、巻回軸方向と、前記他の方向を含む面が、前記回転磁界印加面に対応する。
さらに、前記他の方向が、第一のフェライト1と第二のフェライト2との対向方向(z方向)、すなわち鍔部が第一のフェライトと第二のフェライトを連結する方向とすれば、第一のフェライト内の磁路方向は全て透磁率が高い方向を利用できるため、磁束の漏洩が抑制され、特に好ましい。面配向させた六方晶フェライトコアを用いることによって、巻線部ではc軸が特定の一つの方向を向くことになる。上述の他の方向を第一のフェライト1と第二のフェライト2との対向方向(z方向)にして用いれば、巻線部3の結晶方位のc軸が、前記巻回軸方向に略垂直であり、かつ第一のフェライト1と第二のフェライト2との対向方向(z方向)に略垂直な、一つの方向に配向していることになる。すなわち、透磁率を高めた面配向を利用する上述の構成の効果は、巻線部3の結晶方位のc軸が、巻回軸方向に略垂直であり、かつ前記第一のフェライトと前記第二のフェライトとの対向方向に垂直な方向に配向している状態で実現されることになる。
本発明のコイル部品の第2の実施形態について図2を参照して説明する。図2は本発明のコイル部品の第2の実施形態の構造を示す図である。図2(a)は斜視図、(b)は鍔部の裏側を示す底面図の一部である。第1の実施形態と同様の機能を有する部分には同じ符号を付してある。第2の実施形態は六方晶フェライトコア21は一体で構成され、貫通孔24を有する。貫通孔24の周囲の一部を巻線部とし、貫通孔24を通して導体6,7が巻回されている。端子電極は、六方晶フェライトコア21の貫通孔24の貫通方向に平行な下面に形成されている。巻線および端子電極は第1の実施形態と同様なので詳細な説明は省略する。貫通孔24は、四つの直交する平面で構成され、その断面は矩形である。四つの平面のうち一つを用いて一対の導線を巻回している。導線の巻回には、一つの平面を用いればよいので、貫通孔24の断面は必ずしも矩形である必要はなく、内側面の少なくとも一部が平面であればよい。巻線部23は、貫通孔24の平面のうちの一つを一面とする略直方体形状である。六方晶フェライトコア21は、巻線部23の両端に、前記巻線部を基準として貫通孔24とは反対側に突出した一対の脚部22、25を有する。六方晶フェライトコア21のみで閉磁路が構成され、磁路の途中に接着材等の非磁性のギャップがないため、磁気回路の効率が高く、高いノイズ減衰特性を得ることができる。
六方晶フェライトコアを一体で構成している以外の部分は第1の実施形態と同様であるので説明を省略するが、巻線部に配向した六方晶フェライトを用いる構成や、その効果は第1の実施形態の場合と同様である。なお、第2の実施形態の場合、六方晶フェライトコアは一体で構成されているため、巻線部23の透磁率、配向状態はそのまま連続的に六方晶フェライトコア21全体の配向状態となっている。例えば、上記面配向させた六方晶フェライトコアを用いて、巻線部23の結晶方位のc軸が、貫通孔の貫通方向に配向している状態、すなわち初透磁率が巻回軸方向と略等しい他の方向が、貫通孔の貫通方向と、巻回軸方向に垂直な方向となる状態にすれば、磁路の周回方向と、初透磁率の高い面内方向が一致するとともに、磁路にギャップもないことから、ノイズ減衰量の向上に特に有効である。
第2の実施形態では、六方晶フェライトコア21は、貫通孔24の貫通方向に対して垂直な方向の断面形状が、前記貫通方向で実質的に変化しない形状になっている。断面形状が一定の形状を採用すれば、一方向に加圧する加圧成形や押し出し成形などで簡易に成形できるため、生産性が格段に向上する。かかる点は、第1の実施形態においても同様であるが、第2の実施形態の構成は部品点数が少ないため特に好ましい。なお、第2の実施形態では、一対の脚部22、25はそれぞれ図のy方向を長手方向とする長方形であり、端子電極8および9、10および11の組は同一平面状に形成されているが、端子電極8および9の間、端子電極10および11の間に、ダイサーなどで溝を入れ、端子電極を形成する面を独立にしてもよい。
上述の配向は成形の際に磁界を印加することで行なえばよいが、第2の実施形態の構成を採用する場合、押し出し成形を用いて配向を行なうことができる。すなわち、コイル部品の製造方法として、磁化容易面を有する六方晶フェライト粉末を、貫通孔を有する第2の実施形態の形状に押し出し成形して成形体を得て、該成形体を焼成して焼結体を得て、該貫通孔に導線を通して巻回してコイル部品を得る方法を採用することができる。第2の実施形態の六方晶フェライトコア21の貫通孔24の軸方向(y方向)に押し出すようにすると、押し出し時の機械的配向によって、六方晶フェライトコア21のうち、貫通孔24側の内側面とそれに対向する外側面における結晶方位のc軸が、それぞれ前記内側面または前記外側面の法線方向に配向する。その配向の状態を図12(c)の模式図に示す。図12(c)の下側の部分が巻線部の配向状態を示す。この場合、巻線部23で見ると、巻線部23の巻回軸方向(x方向)の初透磁率と略等しい初透磁率を示す方向が、貫通孔の貫通方向(y方向)となる。回転磁界によって面配向させた六方晶フェライトコアを用いる場合は巻線部全体が一様な配向状態を示すが、前記押出し成形による機械配向の場合は、巻線部の表面、すなわち巻線部の一部が配向する。かかる傾向は巻線部に限らず貫通孔の周囲の面およびこれに対向する外周面全体に現れ、これらの配向およびそれにともなって透磁率が向上する方向は、コイル部品の磁路方向と一致するため、本発明のコイル部品のコアとして好適である。特に、六方晶フェライトコアが一体で形成されることと相俟って、コイル部品としての特性および生産性向上に寄与する。
また、かかる押し出し成形に磁界配向を組み合わせることによって、六方晶フェライトコアの表面と内部との配向モードを変えることもできる。例えば、六方晶フェライトコアの表面を前記配向状態とし、内部を上述の一方向配向または面配向状態として、磁束漏洩を抑制することもできる。なお、図1に示す実施形態の第一のフェライトおよび/または第二のフェライトに、上記押し出し成形による配向状態を付与してもよい。押出し成形を用いて得られたフェライトを使用した場合、巻線部は結晶方位のc軸が法線方向に配向している表面を有する。この場合、第一のフェライトと第二のフェライトの貼り合わせ面では、該面に平行にc面が配向しているため、磁気抵抗を減らすためには、表面研削しておくことが好ましい。かかる表面研削等を回避するためには、押し出し成形による配向状態は、図2に示す例のような、貫通孔を有する一体型の六方晶フェライトコアに適用することが特に好ましい。
また、六方晶フェライトコアが一体で構成され、貫通孔を有する実施形態として図6に示す実施形態(第3の実施形態)を用いてもよい。図6に示す実施形態の六方晶フェライトコア31は脚部に相当する突起部がなく、貫通孔35の貫通方向から見た外形は矩形であり、全体の外形が直方体をなしている点で図2に示す実施形態の六方晶フェライトコアと異なる。図6の実施形態の場合、巻線部32は矩形の貫通孔35を挟んで、端子電極36が形成された実装面側とは反対側に形成されている。巻線部32に巻回された導線33、34の両端は、六方晶フェライトコア31の側面を回って(図示せず)それぞれ端子電極36〜39(37は図示せず)に接続される。なお、六方晶フェライトコア31の側面において、端子電極36〜39を実装面とは反対側の上面まで延設して、該上面側で導線33、34を端子電極36〜39に接続してもよい。上記直方体形状のように、脚部に相当する突起部がない枠状の一体型の六方晶フェライトコアは、製造安定性、量産性に優れるとともに、コイル部品の低背化・小型化に有利である。また、図6に示す実施形態のように、貫通孔の貫通方向から見た六方晶フェライトコアの形状が、貫通孔の形状も含めて実装面に平行な中心線に対して対称であると、製造工程において六方晶フェライトコアの方向を区別する必要がないため、量産性が向上する。なお、脚部に相当する突起部がない構成は、図1の実施形態のように六方晶フェライトコアを複数のフェライトで構成する場合にも適用できる。
図7には図2に示す実施形態とは貫通孔の形態が異なる第4の実施形態を示す。図7(a)に示す実施形態では貫通孔42の孔形状は矩形であるとともに、矩形の各角部分は円弧状である。図7(b)は、その貫通孔42の拡大図である。すなわち、貫通孔の断面形状すなわち孔形状は角にアールが設けられた矩形である。六方晶フェライトコアを複数のフェライトで構成する場合には、その貼り合わせの部分に隙間ができやすく、磁気抵抗が大きくなる。これに対して、一体で構成された六方晶フェライトコア41の矩形の貫通孔42の各角部分を円弧状にすることによって磁気抵抗を低減し、インダクタンスの向上を図ることができる。例えばコモンモードフィルタの場合であれば、ノイズ減衰量を高めることができる。この場合、六方晶フェライトコアは、貫通孔の貫通方向から見た矩形の外形においても、各角部分が円弧状であることがより好ましい。円弧状の大きさは、これが小さすぎると円弧状にすることの特性への効果が十分に発揮されないので、円弧状の半径rを円弧状の部分の大きさとした場合、該半径rは貫通孔の断面形状の矩形の短手方向の長さの10%以上とすることがより好ましい。貫通孔において各角部を円弧状にすると、該円弧状の部分は巻線部の平面よりも高くなるため、巻線をする場合に、導体を貫通孔側面から離間させるスペーサとして利用することも可能である。この場合は半径rは導体の半径を超える大きさであることが好ましい。さらに、50%を超えると貫通孔が矩形でなくなり、六方晶フェライトコアの磁路の均一性が損なわれるようになるので、半径rは50%以下であることがより好ましい。また、円弧状の部分が大きすぎると導体を均一に巻回できる部分が小さくなるため、例えば巻線部に沿った、貫通孔の一辺の長さの3〜20%であることがより好ましい。なお、円弧状は必ずしも完全な円弧状である必要はなく、貫通孔断面の巻線部に沿った一辺において円弧状部分によって失われた直線部分の長さを前記円弧状の半径rとすればよい。なお、前記円弧状の角形状は、貫通孔を貫通方向から見たときの投影的な形状において把握する。
図1の構成のように六方晶フェライトコアを別体で構成すると、孔部分の四隅全部にアールを設けることはできないが、貫通孔が形成された一体型の六方晶フェライトコアを用いることで孔部分の四隅全部にアールを設けることが可能となる。特に、一体型の六方晶フェライトコアを用いた場合は、導体が接する部分などのバリや角をとるためにバレル研磨、ショットブラスト等の研磨をしても、矩形の貫通孔の四隅の角部分のアールがなくなることがない。一方、別体型の六方晶フェライトコアを用いる場合、六方晶フェライトコアを構成する各フェライトに研磨を行った後、それらを貼り合わせてコアを構成するとコアの孔部分には逆に外側に向かうクサビ状の隙間ができてしまう。したがって、一体型の六方晶フェライトコアは、上記研磨を施して作製するコモンモードフィルタに好適である。
また、貫通孔の孔形状が矩形である場合、貫通孔の巻回軸に垂直な方向の幅が一対の導体の平均ピッチ以上であることが好ましい。平均ピッチは図7で示す巻き線のピッチpの平均をとったものである。なお、図7において示される間隔dは、一対の導体を構成する各導体の中心間隔である。貫通孔の幅を大きくすることで信号損失を低減することができる。これは以下の理由によるものである。例えばコイル部品をコモンモードフィルタとして用いる場合、差動信号による高周波磁場は、大部分はペア線で互いにキャンセルされ残りの一部は隣接するペア線の磁場でキャンセルされるが、さらに残った磁場がフェライト内部で磁気損失を発生し信号損失を増加させる。上部フェライトと巻線の距離を隣接するペア線の距離より大きくすることにより、隣接するペア線でキャンセルされずに残った磁場のフェライト内部での強度を弱くし、磁気損失を低減することにより信号損失を低減する。貫通孔の幅を大きくすると磁路が長くなるため、GHz帯にかかる高周波帯のノイズ減衰が必要な場合に、透磁率の低い従来のNi−Zn系フェライトをそのまま用いるとインダクタンスが低下してしまい、コモンモードフィルタとして十分な特性が得られない。これに対して、配向して、透磁率が高められた六方晶フェライトコアを用いることによって、十分なインダクタンスを確保できるため、貫通孔の幅を大きくすることが可能となる。なお、上記貫通孔の角部分の円弧形状に係る構成や貫通孔の幅に係る構成は、脚部の有無や六方晶フェライトの配向の有無にかかわらず、矩形の貫通孔を有する場合に広く適用できるものである。
本発明において用いる六方晶フェライトコアとしては、Z型フェライト、Y型フェライト、W型などの焼結体コアを用いることができる。これらの六方晶フェライトは、使用する周波数帯域等に応じて選択すればよい。Z型フェライト、Y型フェライトの順に高周波まで高い初透磁率が維持される。このうち、Z型フェライトは、1GHz程度まで高い初透磁率を維持し、しかも初透磁率が上記六方晶フェライトの中でも最も高いので、1GHz或いはそれを超える周波数帯域での使用を想定したコモンモードフィルタなどのコイル部品に好適である。Z型フェライトとしては、Ba3Co2Fe24O41で表されるCo2Z型のものが初透磁率の高周波特性に優れ、好ましい。Z型フェライトは、必ずしも単相である必要はない。Z型フェライトは異相を含む場合があり、本発明ではかかる場合も許容し、異相を含むものも含めてZ型フェライトと呼ぶ。但し、高初透磁率を得るためにはZ型フェライトを主相とすることが好ましい。Z型フェライトを主相とするとは、粉末X線回折においてピーク強度最大のピークがZ型フェライトのものであることを意味する。
ここで、六方晶フェライトの配向についてさらに詳述する。配向させて初透磁率を高めた方向を、コイルの巻回軸方向とすることにより、全体の磁気抵抗を低減し、高インピーダンスを確保するうえで有利な構成となる。上述のようにZ型フェライトやY型フェライトは磁化容易方向がc軸に垂直な面を向く磁気異方性を有し、配向させることが可能である。したがって、結晶方位のc軸を一の面内方向に配向させて、上記のように初透磁率に異方性を持たせることが可能である。また、配向させることで、高周波特性を低下させることなく、初透磁率を大幅に向上させることができるので、高周波まで高いインダクタンスを得ることができ、高周波まで高いノイズ減衰特性を得ることができる。
六方晶フェライトのc軸が基板の一の面内方向に配向している状態は、X線回折で評価すればよい。回折ピークの面指数を(HKL)とするとき、基板の一の面でX線回折を行った場合に、c軸に対し平行な特定の面(hk0)からの回折ピーク強度Ihk0と、c軸に垂直な特定の面(00l)からの回折ピーク強度I00lとの比Ihk0/I00lが、他の面でX線回折を行った場合に比べて大きくなっていれば、前記一の面内方向にc軸が配向していると言える。
配向の具体的な程度は以下のようにして算出すればよい。面配向や押出し成形による表面の配向において、c軸が一の方向に配向しているか否かは、以下の方法で確認すればよい。なお、配向は完全でなくてもよく、等方性に対して配向状態が優勢であればよい。評価しようとする面に対してX線回折を行い、等方性の場合に比べて、c面からの回折ピークの相対的な強度が高いことを確認すればよい。具体的には、c面に垂直な(110)のピーク強度に対するc面の(0018)のピーク強度比I(0018)/I(110)が、等方性の場合よりも大きいことで、評価しようとする面においてc面配向が優勢であることを確認する。さらに配向の程度を評価するためには、以下の方法を用いることができる。c軸が一方向に配向した(c面が一の面内方向に平行に配向した)フェライトの配向度はLotgeringの式から配向度fを算出する。まず、X線回折パターンにおいて、2θ=20〜80°の範囲に含まれる、六方晶Z型フェライトに由来する全ての回折ピークの積分強度和をとってΣI(hkl)とし、前記範囲に含まれる(00l)面の回折ピークの積分強度和をとってΣI(00l)とする。ここでI(00l)とは(00l)面の回折線のピーク角度をθ(00l)とした時、θ(00l)-0.4°からθ(00l)+0.4°までの範囲で積分した値を示す。次にP=ΣI(00l)/ΣI(hkl)とし、Lotgeringの式(f=(P-P0)/(1-P0):J. Inorg. Nucl. Chem.,1959, Vol. 9, pp. 113 to 123. 参照)から配向度fを算出する。なお、前述のようにP0すなわち無配向の場合のPは、結晶粒の結晶方位がランダムな状態に対して測定されたX線回折パターンを用いて算出されるものであり、ここではPhilips Res. Rep., 12 491 (1957)におけるZ型フェライトの回折パターンデータから、P0は0.06を用いる。本発明に係る六方晶フェライトコアは、かかる配向度fが0.8以上である配向面を有することが好ましい。かかる配向度fは面配向の指標であり、これが大きいことは面配向性が高いことを意味する。高透磁率を得るためには、前記配向度fは0.84以上であることがより好ましい。
c軸が1つの面内に配向したフェライトの配向度は以下のように求める。六方晶フェライト基板の一の面に対して行った測定範囲が2θ=20〜80°であるX線回折パターンにおいて、六方晶フェライトの全ての回折ピークの積分強度和をΣI(HKL)とし(但し、I(HKL)は指数(HKL)で表される回折ピークの積分強度を示す)、L=0であるすべての(HK0)の回折ピークの積分強度和をΣI(HK0)とした場合、fc⊥=ΣI(HK0)/ΣI(HKL)で与えられる配向度fc⊥を求める。ここでは、I(HKL)として、(HKL)面の回折線のピーク角度をθ(HKL)とした時、θ(HKL)−0.4°からθ(HKL)+0.4°までの範囲で積分した値を用いる。かかる配向度fc⊥が、他の面におけるX線回折から算出した配向度fc⊥よりも大きければ、前記一の面内方向にc軸が配向していると言える。また、前記配向度fc⊥が大きいということは、前記一の面内方向へのc軸の配向が顕著であることを示している。この場合の前記一の面内方向をc軸配向面とすると、前記c軸配向面における前記配向度fc⊥は0.4以上であることが好ましい。前記配向度fc⊥を0.4以上とすると、X線回折を行っている面に垂直な方向の透磁率が特に高くなり、例えば100kHzの周波数で30以上の透磁率を得ることも可能となる。なお、かかる配向度を有する面をc軸配向面と称している。より好ましくは、配向度fc⊥を0.45以上とすると35以上の透磁率を得るうえで好適な構成となる。
さらに、少なくとも、前記c軸配向面に垂直で且つ互いに垂直な2つの面(以下垂直面と称する)において、X線回折におけるfc//=I(0018)/I(110)から算出される配向度fc//が0.3以上であることが好ましい。該配向度fc//が大きいということは、前記垂直面に垂直な方向にc軸が向いた結晶粒が多いということを示している。これが、少なくとも互いに垂直な2つの面において満たされることによって、c軸がランダムに向いていることを担保している。このようにすることによって、c軸配向面に平行な方向においても、高い透磁率を得ることができる。
また、評価対象物が小さい場合は、走査電子顕微鏡(SEM)観察においてEBSP(Electron Back Scatterd Pattern)測定を行い観察面に存在する結晶粒子の方位を測定することで配向の有無の評価を行うことが可能である。かかる方位解析では、焼結体の方位解析面に垂直な方向に対する結晶粒のc軸の傾き量を観測できるため、結晶粒の配向状態を評価することができる。該方位解析において、θAV=Σθn(θ)/Σn(θ)(式1)を算出する。ここで、θは、焼結体で構成された六方晶フェライト基板の方位解析面に垂直な方向と、EBSPの測定点における六方晶フェライト基板のc軸方向との方位角度差を示し、n(θ)は前記θを示す測定点の数を示す。またΣθn(θ)、Σn(θ)はそれぞれ0から90°までの区間ですべてのθに対するθn(θ)、n(θ)を足し合わせたものを示す。無配向、すなわち等方性の場合は、θAVは45°となる。したがって、観察面である基板の一の面におけるθAVが45°を超えれば、該面の面内方向にc軸が配向していることになる。好ましくは、前記平均方位差θAVを65°以上とすることで、方位解析面に垂直な方向にc面が配向し、該方向の透磁率に優れた六方晶フェライト基板となる。かかる場合は、c軸は前記方位解析面に平行な方向に配向することになり、前記方位解析面はc軸配向面となる。更にnAV=Σn(φ)/m(式2)(但し、φは、c軸方向の前記方位解析面への射影方向と前記方位解析面内の一の直線との方位差を正の鋭角にとった時の角度を示す。I(φ)は方位差φを示す測定点数を示し、mは0〜90°間の分割した点数を示す。)で与えられる測定点数の平均値で、SD={Σ(n(φ)−nAV)2/m}1/2(式3)で与えられる標準偏差SDを除した値SD/nAVが0.6以下であれば、c軸がc軸配向面に並行な方向にランダムに向いていることを担保している。なお、前記一の直線は、前記方位解析面内において任意なものでよい。このようにすることによって、c軸配向面に平行な方向においても、高い透磁率を得ることができる。なお、SDは測定点数が多くなれば大きい値となってしまうので、異なる測定点数のEBSP解析の結果どうしでも比較できるように、指標としては平均測定点数に相当数するnAVで除した指標用いている。nAVは4000程度に設定することが好ましい。平均方位差θAVを65°以上、SD/nAVを0.6以下とすることによって、c軸配向面に垂直方向の100kHzでの透磁率を30以上、c軸配向面に平行な方向の100kHzでの透磁率を8以上、c軸配向面に垂直な方向の透磁率に対するc軸配向面に平行な方向の透磁率の比を0.15以上とすることも可能である。該比はより好ましくは、0.20以上である。なお、EBSPの評価は、ビーム径として1μmのものを用い、1μmスパンで測定して行えばよい。解析領域は、解析領域内に40個以上の結晶粒が含まれるように、結晶粒の平均粒径に応じて0.01〜0.3×10−6m2の範囲で選択してもよいが、本発明では汎用性のある条件として0.16×10−6m2の解析領域を採用して方位解析を行う。
試料の一方向の透磁率は以下に述べる手法により評価すればよい。予め透磁率を測定しておいたリング形状の高μフェライトにギャップを作製し、巻線を施す(以降ヨーク部と呼ぶ)。例えば以下の実施例ではヨーク部として100kHzでμi=8100のMn−Znフェライトを用いている。標準試料として透磁率が60までの既知の透磁率を持つ材料を用意しヨーク部のギャップ部位と断面形状が一致するように加工した後、ギャップ部位に挿入し、100kHzにおけるインダクタンス値を測定し、透磁率とインダクタンス値の検量線を作成する。ここで測定したい透磁率が未知の試料を同様にギャップ部位に収まるように加工し100kHzでのインダクタンスLを測定し、検量線に照らして透磁率を算出する。また、透磁率の周波数特性はリング形状試料を作製しインピーダンスメータ4291B(Agilent社製)にて10MHz〜1.8GHzまで測定する。
六方晶フェライトコアは、従来からの粉末冶金的方法を用いて作製することができる。また、六方晶フェライトコアとして、配向したZ型フェライト等を用いる場合、六方晶フェライトコアは例えば以下のようにして得ることができる。磁化容易面を持つ六方晶フェライトの粉末を一方向磁界中で成形して得られた成形体を焼成し、配向された六方晶フェライトを得る。一方向磁界中の成形は、例えば直流静磁界中で加圧成形を行えばよい。この場合、得られる六方晶フェライトは、c面が印加磁界方向に平行に揃い、c軸が該方向に垂直な面内方向に等方的に向いたものが得られる。なお、六方晶フェライトの粉末形状がc面方向に平たい板状であるなど、形状の異方性が大きい場合は、横磁場成形(加圧方向と磁界印加方向が垂直)によれば、加圧成形によってc軸を一方向である加圧方向に配向させることもできる。また、縦磁場成形(加圧方向と磁界印加方向が平行)によれば、c面が印加磁界方向に平行に揃う一方、c軸が特定の方向に配向することを抑制することも可能である。一方、上記Z型フェライトの配向は、成形の際に加圧方向と垂直な方向から回転磁界を加えることで行うこともできる。回転磁界の印加方法としては、加圧開始直前まで一方向磁界中で六方晶フェライト粉末を充填した金型を回転させる方法でもよいし、磁界印加装置を回転させてもよい。また、複数方向からの磁界印加可能な装置を用い、回路を切り換えることで印加磁界方向を切り換えて回転磁界を印加してもよい。上記ように配向させる場合、成形に供するZ型フェライト粉末は、単結晶粒を多く含む構成が好ましい。そのためには、仮焼粉の状態で反応を進めて結晶粒を大きくしておいてから、或いは一度焼結体を作製しておいてから、単結晶粒の割合が多くなるまでこれらを粉砕して、Z型フェライト粉末としてもよい。またコア形状は、前記の工程で作製した六方晶フェライトの焼結体ブロックから加工により作製することができる。あるいは、コア形状の金型によりコア単体の成形体を作製し、焼成することにより作製することもできる。この場合、加工のコストを低減できる。あるいは、粉砕した仮焼粉に適度な水と有機バインダを混合、混練し、押し出し成型により成型体を作製し、焼成することにより作製することもできる。この場合も、加工のコストを低減できる。押し出し成形の場合は、押し出し方向に垂直な断面すなわちフェライトの貫通孔に垂直な断面内において縁端部における結晶方位のc軸の配向は断面内部における配向とは異なるという特徴がある。このため、押し出し成形のフェライトコアは磁束の漏洩が少なく、その結果高いインピーダンス特性を有するコイル素子を得ることができる。
主成分としてFe2O3、BaCO3、CoO(Co3O4を使用)をそれぞれ70.2mol%、18.8mol%、11.0mol%となるように秤量し、この主成分に対しMn3O4を3.0質量%、Li2CO3を0.4質量%、SiO2を0.13質量%それぞれ添加し、湿式ボールミルにて16時間混合した。なお、Mn3O4、Li2CO3、SiO2については仮焼後に行う粉砕時に加えてもよい。次にこれを大気中1200℃で2時間仮焼した。この仮焼粉を湿式ボールミルにて18時間粉砕した。作製した粉砕粉にバインダ(PVA)を添加し、造粒した。造粒後、圧縮成形し、その後、酸素雰囲気中1300℃で3時間焼成し、Z型フェライト焼結体を得た(比較例1)。
上記と同じ条件で得られたZ型フェライト焼結体を、ディスクミルを用いて粗粉砕を行い、得られた粗粉砕粉を振動ミルで粉砕し、BET法による比表面積が1080m2/kgのZ型フェライトの粉末を得た。得られた粉末に水および1wt%のPVAを加えてフェライトスラリーを作製し、回転磁場中で湿式成形した。印加磁界は0.5MA/mとした。得られた成形体を酸素中1300℃で3時間焼成し、面配向型のZ型フェライトの焼結体を得た。配向度はLotgering法で評価しf=0.84と高い配向度を得た(実施例1)。さらに、上記スラリーを用いて、直流磁界をプレス方向に垂直な方向に印加して湿式成形した。印加磁界は0.84MA/mとした。得られた成形体を酸素中1310℃で3時間焼成し、一方向配向型のZ型フェライトの焼結体を得た(実施例2)。得られた焼結体をジョークラッシャーで砕きディスクミルにて粗粉砕を行い、粗粉砕粉を得た。更に粗粉砕粉を振動ミルにて粉砕し、振動ミルにて粉砕した粉体を更にボールミルにて2時間50分間粉砕して、BET法による比表面積が2350m2/kgのZ型フェライトの粉末を得た。得られた粉末に水および1wt%のPVAを加えてフェライトスラリーを作製し、一軸性の直流磁界をプレス方向に垂直な方向に印加して湿式成形した。印加磁界は0.84MA/mとした。得られた成形体を酸素中1300℃で3時間焼成し、一方向配向型のZ型フェライトの焼結体を得た(実施例3)。また、比較用の試料としてNi−Znフェライト焼結体を用意した(比較例2)。
このように作製した比較例1及び比較例2のフェライト焼結体の特性を表1に、初透磁率の周波数特性を図3に示した。なお、初透磁率はリング形状試料を作製しインピーダンスメータ4291B(Agilent社製)にて10MHz〜1.8GHzまで測定した。また、実施例1〜3の配向したZ型フェライトの特性を表1に、初透磁率の周波数特性を無配向のZ型フェライトの特性と比較して図4に示した。表1の中で、比較例1、実施例2、3については、X線回折で評価した配向度として、配向磁界印加方向のc軸配向度をfc⊥、直角方向のc軸配向度をfc//L(プレス方向・磁界印加方向のそれぞれに直角な方向)、fc//P(プレス方向)をそれぞれ示した。配向した実施例1〜3のZ型フェライトは1GHzで15以上の初透磁率を示し、比較例1の無配向のZ型フェライトの1.5倍以上となった。面配向した実施例1のZ型フェライトでは、磁界印加方向の100MHzでの透磁率は磁界直角方向の9倍以上の透磁率を示している。また、一方向配向した実施例2、3のZ型フェライトは、それぞれ磁界印加方向の透磁率は磁界直角方向の2倍以上、3倍以上の透磁率を示している。体積抵抗率はいずれも2〜8×104Ω・mであり十分高い。特に、粉末の比表面積を2300m2/kg以上とし、焼結体密度も5.0×103(kg/m3)以上と高い実施例3では、100MHzで40以上の高い初透磁率を示している。なお、X線回折で評価した配向度も0.66であり、高い配向度を示していることがわかる。Z型フェライトを配向させることにより、高周波特性を維持したまま初透磁率が大幅に向上した。図3および4から明らかなように、Z型フェライトを用いることにより、Ni−Znフェライト比べて高周波での透磁率が大幅に向上する。さらに、配向させることによって、周波数特性を維持したまま、高透磁率化が図られていることがわかる。
次に、比較例1、比較例2、実施例1、実施例3のZ型フェライトについて、図1の構造のコモンモードフィルタを作製し、コモンモードノイズ減衰量を測定した結果を図5に示した。外形寸法は2×1×1.5mmとした。Z型フェライトの厚さは0.5mm、導線は直径0.03mmの絶縁被覆銅線を使用し巻き数は4回とした。なお、コモンモードノイズ減衰量と差動信号の損失はそれぞれSパラメータと以下の関係にある。
コモンモードノイズ減衰量[dB]=−20log|Scc21|
差動信号損失[dB] =−20log|Sdd21|
比較例1のZ型フェライト焼結体を用いたコモンモードフィルタは、Ni−Znフェライトを用いた場合と比較して1GHzにおけるコモンモードノイズ減衰量が2dB向上する。これに対して、一方向配向に係る実施例3のZ型フェライト焼結体を用いたコモンモードフィルタは、さらに2dB良好なコモンモードノイズ減衰特性を得た。さらに、面配向に係る実施例1のZ型フェライト焼結体を用いたコモンモードフィルタは、さらに4dB良好なコモンモードノイズ減衰特性を得た。
コモンモードノイズ減衰量[dB]=−20log|Scc21|
差動信号損失[dB] =−20log|Sdd21|
比較例1のZ型フェライト焼結体を用いたコモンモードフィルタは、Ni−Znフェライトを用いた場合と比較して1GHzにおけるコモンモードノイズ減衰量が2dB向上する。これに対して、一方向配向に係る実施例3のZ型フェライト焼結体を用いたコモンモードフィルタは、さらに2dB良好なコモンモードノイズ減衰特性を得た。さらに、面配向に係る実施例1のZ型フェライト焼結体を用いたコモンモードフィルタは、さらに4dB良好なコモンモードノイズ減衰特性を得た。
図2に示す構造を有し、貫通孔の角の形状が直角であるコモンモードフィルタと、円弧状であるコモンモードフィルタのそれぞれについてフィルタ特性を調べた。外形寸法は2×1.2×1.2mm、貫通孔の寸法は1.0×0.3mmである。導線の直径は0.03mm、巻線数は4ターンである。評価した円弧状の半径rは0.015mm、0.03mm、0.09mmおよび0.15mmである。これらの円弧状の半径rは、貫通孔の断面の矩形の短辺の長さの5%、10%、30%および50%に相当し、長辺の1.5%、3%、9%および15%に相当する。また、六方晶フェライトコアは、結晶方位のc軸が前記貫通孔の貫通方向に配向し、貫通孔の貫通方向に垂直な面内で高い透磁率を有する配向したZ型フェライトを用いている。100MHzでの面内初透磁率はそれぞれ37である。コモンモードノイズ減衰量の評価結果を図8に示す。なお、図8において0%の場合と5%の場合はグラフがほぼ重なっている。円弧状の半径rが、貫通孔の断面の矩形の短辺の長さの0%(角の形状が直角の場合)、5%、10%、30%および50%の場合に対して、1.6GHzでのコモンモードノイズ減衰量は、それぞれ28.0dB、27.9dB、28.4dB、29.4dBおよび30.0dBであった。5%では角部を円弧状にする実質的な効果は発揮されないが、10%以上とすることでコモンモードノイズ減衰量が改善されることがわかる。さらに、30%以上において、コモンモードノイズ減衰量がいっそう向上していることがわかる。矩形の貫通孔の角部を円弧状にすることで、特に1GHz周辺の帯域でノイズ減衰量が向上していることがわかる。
次に、図2に示す構造を有し、貫通孔の大きさが異なる二種類のコモンモードフィルタについてフィルタ特性を調べた。外形寸法は2×1.2×1.2mmである。貫通孔の寸法は1.0×0.1mm(No1)と1.0×0.3mm(No2)である。巻き線の平均ピッチは0.18mmであるので、巻回軸に垂直な方向の貫通孔の幅は、それぞれ平均ピッチの0.56倍、1.67倍である。また、No1およびNo2のコモンモードフィルタとも、六方晶フェライトコアは結晶方位のc軸が、前記貫通孔の貫通方向に配向した配向性を持ち、その透磁率特性は、貫通孔の貫通方向に垂直な面内で高い透磁率を有する面内異方性があり、100MHzでの面内初透磁率はそれぞれ24、37である。コモンモードノイズ減衰量および差動信号の損失の評価結果を図9および図10に示す。配向性が高く、透磁率が高い六方晶フェライトコアを用いながら、貫通孔の幅を0.1mmから0.3mmと大きくすることにより、コモンモードノイズ減衰量および差動信号損失を改善できることがわかる。
次に、押し出し成形によって作製した六方晶フェライトコアを用いたコモンモードフィルタを評価した。まず、仮焼粉をボールミルにて粉砕し、乾燥した後、得られた粉体に結合剤及び水を添加しながら混練し、フェライト杯土を作製した。得られたフェライト杯土を押し出し成形機にて押し出して成形体を作製し、該成形体を焼成して六方晶フェライトコアを得た。成形以外の工程は実施例1と同様である。得られた六方晶フェライトコアに巻き線を施し、図13に示す形状のコモンモードフィルタを得た(No3)。図13に示す形状のコモンモードフィルタは導線52、53が六方晶フェライトコア51の実装面側に巻回されていて、巻線部54の位置が図6に示す構成と異なるが、それ以外は図6に示す構成と同様である。なお、寸法は横1.9mm、高さ1.2mm、貫通孔方向の長さ1.2mmである。また、貫通孔の孔形状は1.1mm×0.4mmの矩形である。また、比較のために磁界配向させずに作製した焼結体ブロックから、同寸法のコアを切り出し加工して同形状のコモンモードフィルタを作製した(No4)。これらのコモンモードフィルタのノイズ減衰量を評価した結果を図11に示す。押し出し成形によって作製したコモンモードフィルタの方がコモンモードノイズ減衰量に優れることがわかる。なお、No3の六方晶フェライトコアの貫通孔の内側面に対向する外側面においてX線回折を行ったところ、c面に垂直な(110)のピーク強度に対するc面の(0018)のピーク強度比I(0018)/I(110)は0.76となり、等方性の場合のピーク強度比0.2よりも大きく、該外側面の面方向にc面が配向していることがわかった。なお、機械的配向は押し出し成形する際の圧力と金型面との作用でもたらされるので、外側面の他の面および内側面とも同様の配向性を示す。
1:第一のフェライト 2:第二のフェライト 3、23、32、54:巻線部
4、5:鍔部 6、7、33、34、52、53:導線
8〜11、36〜39:端子電極 21、31、41、51:六方晶フェライトコア
22、25:脚部 24、35、42:貫通孔 121:結晶粒
4、5:鍔部 6、7、33、34、52、53:導線
8〜11、36〜39:端子電極 21、31、41、51:六方晶フェライトコア
22、25:脚部 24、35、42:貫通孔 121:結晶粒
Claims (14)
- 六方晶フェライトコアと、該六方晶フェライトコアに巻回された一対の導体と、前記六方晶フェライトコアの表面に形成され、前記導体が接続される端子電極とを備え、
前記六方晶フェライトコアは、前記一対の導体が巻回される巻線部を有し、
前記巻線部の前記導体の巻回軸方向の初透磁率が、前記巻回軸方向に垂直な少なくとも一の方向の初透磁率よりも大きいことを特徴とするコイル部品。 - 前記巻線部は、前記巻回軸方向に垂直な方向に、初透磁率が前記巻回軸方向の初透磁率に略等しい他の方向を有することを特徴とする請求項1に記載のコイル部品。
- 前記六方晶フェライトコアは貫通孔を有し、
前記貫通孔の周囲の一部を前記巻線部とし、前記貫通孔を通して前記導体が巻回されており、
前記端子電極は、少なくとも前記六方晶フェライトコアの、前記貫通孔の貫通方向に平行な面に形成されていることを特徴とする請求項2に記載のコイル部品。 - 前記他の方向が前記貫通孔の貫通方向と前記巻回軸方向とに垂直な方向であることを特徴とする請求項3に記載のコイル部品。
- 前記他の方向が前記貫通孔の貫通方向であることを特徴とする請求項3に記載のコイル部品。
- 六方晶フェライトコアと、該六方晶フェライトコアに巻回された一対の導体と、前記六方晶フェライトコアの表面に形成され、前記導体が接続される端子電極を備え、
前記六方晶フェライトコアは、前記一対の導体が巻回される巻線部を有し、
前記巻線部の少なくとも一部は、結晶方位のc軸が、前記導体の巻回軸方向に略垂直な面内方向に配向していることを特徴とするコイル部品。 - 前記巻線部は、結晶方位のc軸が、前記導体の巻回軸方向に略垂直な面内方向の一の方向に配向していることを特徴とする請求項6に記載のコイル部品。
- 前記巻線部は、結晶方位のc軸が法線方向に配向している表面を有することを特徴とする請求項6に記載のコイル部品。
- 前記六方晶フェライトコアは貫通孔を有し、
前記貫通孔の周囲の一部を前記巻線部とし、前記貫通孔を通して前記導体が巻回されており、
前記端子電極は、少なくとも前記六方晶フェライトコアの、前記貫通孔の貫通方向に平行な面に形成されており、
前記巻線部は、結晶方位のc軸が、前記貫通孔の貫通方向に配向していることを特徴とする請求項6に記載のコイル部品。 - 前記六方晶フェライトコアは貫通孔を有し、
前記貫通孔の周囲の一部を前記巻線部とし、前記貫通孔を通して前記導体が巻回されており、
前記端子電極は、少なくとも前記六方晶フェライトコアの、前記貫通孔の貫通方向に平行な面に形成されており、
前記六方晶フェライトコアの前記貫通孔側の内側面とそれに対向する外側面における結晶方位のc軸が、それぞれ前記内側面または前記外側面の法線方向に配向していることを特徴とする請求項6に記載のコイル部品。 - 前記六方晶フェライトコアは、前記貫通方向に対して垂直な方向の断面形状が、前記貫通方向で実質的に変化しない形状であることを特徴とする請求項3〜5、9および10のいずれかに記載のコイル部品。
- 前記六方晶フェライトコアが直方体形状であることを特徴とする請求項11に記載のコイル部品。
- 前記貫通孔の孔形状は矩形であるとともに、該矩形の各角部分は円弧状であり、前記角部分の円弧の半径が貫通孔の断面形状の矩形の短手方向の長さの10%以上であることを特徴とする請求項11または12に記載のコイル部品。
- 前記貫通孔の孔形状は矩形であるとともに、前記貫通孔の前記巻回軸に垂直な方向の幅が前記一対の導体の平均巻き線ピッチ以上であることを特徴とする請求項11または12に記載のコイル部品。
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