JP2009103278A - ギヤ装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】ギヤ間に生じる駆動反力の大きさに拘わらずバックラッシュを適切に抑制可能なシザーズギヤ構造を有したギヤ装置を提供する。
【解決手段】ヘリカルギヤからなる一方のメインギヤ(10)と他方のメインギヤ(4)とが噛合するギヤ装置において、一方のメインギヤの端面に相対回転なく軸方向にスライド可能な同一捩れ角を有するサブギヤ(20)を並列に設け、一方のメインギヤとサブギヤとの間に、サブギヤを一方のメインギヤから離反するよう弾性部材で軸方向に付勢する第1の付勢手段(30)を設けるとともに、サブギヤが該サブギヤの捩れ歯と他方のメインギヤの捩れ歯との間で回転方向に所定の隙間θを形成するよう一方のメインギヤとサブギヤとの間で軸方向に所定量θ’の遊びθcを有してサブギヤを弾性部材で上記軸方向に付勢する第2の付勢手段(40)を設ける。
【選択図】図3
【解決手段】ヘリカルギヤからなる一方のメインギヤ(10)と他方のメインギヤ(4)とが噛合するギヤ装置において、一方のメインギヤの端面に相対回転なく軸方向にスライド可能な同一捩れ角を有するサブギヤ(20)を並列に設け、一方のメインギヤとサブギヤとの間に、サブギヤを一方のメインギヤから離反するよう弾性部材で軸方向に付勢する第1の付勢手段(30)を設けるとともに、サブギヤが該サブギヤの捩れ歯と他方のメインギヤの捩れ歯との間で回転方向に所定の隙間θを形成するよう一方のメインギヤとサブギヤとの間で軸方向に所定量θ’の遊びθcを有してサブギヤを弾性部材で上記軸方向に付勢する第2の付勢手段(40)を設ける。
【選択図】図3
Description
本発明は、ギヤ装置に係り、詳しくはエンジンやトランスミッション等に使用されるギヤトレインにて各ギヤ間に生じるバックラッシュを抑制するためのシザーズギヤ構造に関する。
車両用のエンジンやトランスミッション等に使用される一連のギヤトレインでは、伝達される動力の負荷変動に伴う回転変動により、例えばドライブギヤとアイドラギヤ間、或いはアイドラギヤとドリブンギヤ間で歯面分離及び歯面衝突、即ちバックラッシュが生じるという問題があり、当該バックラッシュによる歯打ちが騒音や部材の劣化の要因となっている。
そこで、例えば、リバースアイドラギヤの両端面にサイドギヤ(サブギヤ)を設け、各サイドギヤに回転方向の捩り力を与える付勢手段を設け、一方のサイドギヤでドライブギヤの歯を挟み付け、他方のサイドギヤでドリブンギヤの歯を挟み付けるような所謂シザーズギヤ構造をなしてバックラッシュを吸収する構成の変速装置が知られている(特許文献1参照)。
実開平4−97145号公報
上記特許文献1に開示された装置では、各サイドギヤに回転方向の捩り力を与える付勢手段を設けるようにしているが、当該付勢手段に必要な付勢力は主としてエンジンからドライブギヤを介して入力される駆動力に対して生じる駆動反力に基づいて適宜決定され、通常は、当該特許文献1に示すように一定の捩り力(捩りばね力)に設定されている。
しかしながら、バックラッシュを生じるエンジンの負荷変動や回転変動はエンジンの負荷の大きさや回転速度の大きさに応じてその度合いが変化するため、これに伴い駆動反力も比較的大きく変動し、上記特許文献1に開示されるように付勢手段の捩り力が一定であると、エンジンの運転領域の全域に亘ってバックラッシュを適切に抑制できないおそれがある。
しかしながら、バックラッシュを生じるエンジンの負荷変動や回転変動はエンジンの負荷の大きさや回転速度の大きさに応じてその度合いが変化するため、これに伴い駆動反力も比較的大きく変動し、上記特許文献1に開示されるように付勢手段の捩り力が一定であると、エンジンの運転領域の全域に亘ってバックラッシュを適切に抑制できないおそれがある。
即ち、例えば付勢手段に必要な付勢力(ばね力)をエンジンが低負荷、低回転である駆動反力の小さな場合に合わせて設定した場合には、エンジンが高負荷、高回転である場合において付勢力が不足してバックラッシュを十分に抑制できず、一方、エンジンが高負荷、高回転である駆動反力の大きな場合に合わせて設定した場合には、エンジンが低負荷、低回転である場合において付勢力が過剰となり、全体に付勢力が強過ぎ歯面面圧が増大して装置の耐久性、信頼性に劣るという問題がある。
本発明はこのような問題点を解決するためになされたもので、その目的とするところは、ギヤ間に生じる駆動反力の大きさに拘わらずバックラッシュを適切に抑制可能なシザーズギヤ構造を有したギヤ装置を提供することにある。
上記の目的を達成すべく、請求項1のギヤ装置は、一の回転軸に回転可能に連結されたヘリカルギヤからなる一方のメインギヤと、他の回転軸に回転可能に連結され、前記一方のメインギヤに同一捩れ角を有して噛合するヘリカルギヤからなる他方のメインギヤと、前記一方のメインギヤの端面に前記他方のメインギヤと噛合するよう該一方のメインギヤと同軸且つ相対回転なく軸方向にスライド可能に同一歯数、同一歯形及び同一捩れ角を有して並列に設けられたヘリカルギヤからなるサブギヤと、前記一方のメインギヤと前記サブギヤとの間に設けられ、前記サブギヤを前記一方のメインギヤから離反するよう弾性部材により軸方向に付勢する第1の付勢手段と、前記サブギヤが該サブギヤの捩れ歯と前記他方のメインギヤの捩れ歯との間で回転方向に所定の隙間を形成するよう前記一方のメインギヤと前記サブギヤとの間で軸方向に所定量の遊びを有して設けられ、該遊びが詰められると前記サブギヤを前記一方のメインギヤから離反するよう弾性部材により軸方向に付勢する第2の付勢手段とを備えたことを特徴とする。
また、請求項2のギヤ装置では、請求項1において、前記弾性部材はコイルスプリングであり、前記第1の付勢手段と前記第2の付勢手段とは、それぞれ前記一方のメインギヤと前記サブギヤとの間に前記コイルスプリングを軸方向に延設してなり、前記第2の付勢手段は、前記一方のメインギヤと前記コイルスプリングとの間または前記サブギヤと前記コイルスプリングとの間に前記遊びを有することを特徴とする。
また、請求項3のギヤ装置では、請求項1または2において、前記所定の隙間は、前記一方のメインギヤの捩れ歯と前記他方のメインギヤの捩れ歯との間におけるバックラッシュの最大寸法よりも小さいことを特徴とする。
また、請求項4のギヤ装置では、請求項1乃至3のいずれかにおいて、前記第2の付勢手段の弾性部材による付勢力は前記第1の付勢手段の弾性部材による付勢力よりも大きいことを特徴とする。
また、請求項4のギヤ装置では、請求項1乃至3のいずれかにおいて、前記第2の付勢手段の弾性部材による付勢力は前記第1の付勢手段の弾性部材による付勢力よりも大きいことを特徴とする。
請求項1のギヤ装置によれば、ヘリカルギヤからなる一方のメインギヤの端面に相対回転なく軸方向にスライド可能な同一捩れ角を有したヘリカルギヤからなるサブギヤを並列に設け、一方のメインギヤとサブギヤとの間に一方のメインギヤから離反するようサブギヤを弾性部材で軸方向に付勢する第1の付勢手段を設けるとともに、サブギヤが該サブギヤの捩れ歯と他方のメインギヤの捩れ歯との間で回転方向に所定の隙間を形成するよう一方のメインギヤとサブギヤとの間に軸方向に所定量の遊びを有してサブギヤを弾性部材により上記軸方向に付勢する第2の付勢手段を設けるようにしたので、一方のメインギヤの捩れ歯と他方のメインギヤの捩れ歯とが噛み合う場合において、伝達される駆動力に応じた一方のメインギヤと他方のメインギヤとの間に生じる駆動反力は捩れ歯同士が斜めに当接することによって軸方向の力に変換され、当該軸方向の力によりサブギヤが一方のメインギヤに向け押されることになるが、駆動反力が小さい範囲では、駆動反力を第1の付勢手段の回転方向の力に変換された弾性力で受け止めながら他方のメインギヤの捩れ歯が一方のメインギヤの捩れ歯とサブギヤの捩れ歯とに挟まれるように噛合して一方のメインギヤと他方のメインギヤ間のバックラッシュが良好に解消され、駆動反力が大きくなりサブギヤが一方のメインギヤに向けて軸方向にスライドして一方のメインギヤとサブギヤとの間の遊びが詰められると、駆動反力を第1の付勢手段の回転方向の力に変換された弾性力と第2の付勢手段の回転方向の力に変換された弾性力の合力で受け止めながら他方のメインギヤの捩れ歯が一方のメインギヤの捩れ歯とサブギヤの捩れ歯とに挟まれるように噛合して一方のメインギヤと他方のメインギヤ間のバックラッシュが良好に解消される。
即ち、一方のメインギヤと他方のメインギヤとの間に生じる駆動反力が小さい範囲では当該小さい駆動反力に合わせた第1の付勢手段による比較的弱い弾性力で一方のメインギヤの捩れ歯とサブギヤの捩れ歯とが他方のメインギヤの捩れ歯を挟み付け、駆動反力が大きい範囲では当該大きい駆動反力に合わせた第1の付勢手段と第2の付勢手段の合力からなる強い弾性力で一方のメインギヤの捩れ歯とサブギヤの捩れ歯とが他方のメインギヤの捩れ歯を挟み付けるシザーズギヤ構造が、ヘリカルギヤからなる一方のメインギヤと軸方向にスライド可能な一枚のサブギヤとによって呈される。これにより、一方のメインギヤと他方のメインギヤとの間に生じる駆動反力の大きさに拘わらず、弾性力の不足や過剰な弾性力での付勢を防止して一方のメインギヤと他方のメインギヤ間のバックラッシュを一枚のサブギヤでもって二段階に適切に抑制でき、これにより歯打ちによる騒音や部材の劣化を良好に防止することができ、ギヤ装置の耐久性及び信頼性を高く維持することができる。
従って、例えば一方のメインギヤ或いは他方のメインギヤが車両のエンジンからの駆動力を車輪に伝達するエンジン或いはトランスミッションのギヤトレインの一部である場合において、簡単な構成にしてバックラッシュを防止するためのシザーズギヤ構造を付勢力の過不足なく構成でき、エンジンが低負荷、低回転であるような駆動反力の小さな状況から高負荷、高回転であるような駆動反力の大きな状況に至るまでの広い範囲に亘り一方のメインギヤと他方のメインギヤ間のバックラッシュを適切に抑制することができ、騒音や部材の劣化を良好に防止してエンジンやトランスミッションの耐久性及び信頼性を高く維持することができる。
請求項2のギヤ装置によれば、第1の付勢手段と第2の付勢手段とは、一方のメインギヤとサブギヤとの間にコイルスプリングを軸方向に延設して構成され、第2の付勢手段は、一方のメインギヤとコイルスプリングとの間またはサブギヤとコイルスプリングとの間で軸方向に遊びを有するので、第1の付勢手段と第2の付勢手段とをコイルスプリングを用いて容易に構成でき、第2の付勢手段において一方のメインギヤとサブギヤとの間で軸方向に容易に遊びを設けることができる。
請求項3のギヤ装置によれば、回転方向の所定の隙間は一方のメインギヤの捩れ歯と他方のメインギヤの捩れ歯との間におけるバックラッシュの最大寸法よりも小さいので、所定の隙間に対応する軸方向の所定量の遊びもバックラッシュの最大寸法に対応する軸方向の寸法より小さく、故に駆動反力が比較的小さい段階から、駆動反力を第1の付勢手段の回転方向の力に変換された弾性力と第2の付勢手段の回転方向の力に変換された弾性力の合力で十分に受けるようにでき、一方のメインギヤと他方のメインギヤ間のバックラッシュを適切にして十分に抑制することができる。
請求項4のギヤ装置によれば、第2の付勢手段による弾性部材の付勢力は第1の付勢手段による弾性部材の付勢力よりも大きいので、特に、駆動反力が小さいときに過剰な付勢力が付勢されないようにできるとともに、駆動反力が大きいときに付勢力が不足しないようにでき、一方のメインギヤと他方のメインギヤ間のバックラッシュを適切にして確実に抑制することができる。
以下、図面に基づき本発明の一実施形態について説明する。
図1を参照すると、車両に搭載された本発明に係るギヤ装置の要部外観図が示され、図2を参照すると、図1のギヤ装置の縦断面図が示され、図3を参照すると、図1のギヤ装置の噛合状態を示す上視図が模式的に示されており、以下図1〜3に基づき本発明に係るギヤ装置の構成を説明する。
図1を参照すると、車両に搭載された本発明に係るギヤ装置の要部外観図が示され、図2を参照すると、図1のギヤ装置の縦断面図が示され、図3を参照すると、図1のギヤ装置の噛合状態を示す上視図が模式的に示されており、以下図1〜3に基づき本発明に係るギヤ装置の構成を説明する。
本発明に係るギヤ装置は、例えば、入力軸がエンジン(図示せず)の出力軸に連結されるとともに出力側が車軸を経て車輪に連結されたトランスミッション(変速機)のギヤトレインの一部である。なお、トランスミッションはマニュアルトランスミッション(MT)、オートトランスミッション(AT)のいずれでもよいが、当該トランスミッションは公知であり、その全体構成についてはここでは説明を省略する。
本発明に係るギヤ装置は、具体的には、例えば、トランスミッションのカウンタシャフト2に断接可能に嵌合されたリバースギヤ(他方のメインギヤ)4と、カウンタシャフト2と平行に配設されたアイドラシャフト6に嵌合されて上記リバースギヤ4と噛合するアイドラギヤ8とから構成されている。なお、ここでは図示していないが、カウンタシャフト2と平行にエンジンからの駆動力が入力するドライブシャフトが設けられ、当該ドライブシャフトにはドライブギヤが嵌合されており、アイドラギヤ8には当該ドライブギヤ(共に図示せず)も噛合されている。これにより、エンジンの駆動力は、例えば、トランスミッションのシフトレンジが前進位置にあるときにはドライブギヤからアイドラギヤ8を経てリバースギヤ4を空転させており、トランスミッションのシフトレンジが後退位置(リバースレンジ)に切り換えられてリバースギヤ4がカウンタシャフト2に接続されたときには、ドライブギヤからアイドラギヤ8、リバースギヤ4を経て車軸に伝達される。
ここに、リバースギヤ4とアイドラギヤ8とは互いに同一捩れ角を有して噛合するヘリカルギヤで構成されており、これによりリバースギヤ4とアイドラギヤ8との滑らかな噛み合いが実現されている。
ところで、アイドラギヤ8は、アイドラギヤ本体(一方のメインギヤ)10がアイドラシャフト6に嵌合されており、アイドラギヤ本体10の一方の端面には薄肉のサブギヤ20がアイドラギヤ本体10と同軸且つ相対回転なく軸方向にスライド可能にして同一歯数、同一歯形及び同一捩れ角を有して並列に設けられている。詳しくは、アイドラギヤ本体10の一方の端面側のボスには軸方向にスプライン12が形成されており、サブギヤ20は当該スプライン12に摺動自在に嵌合されている。なお、サブギヤ20はスナップリング22で軸方向の摺動端が規制されている。
ところで、アイドラギヤ8は、アイドラギヤ本体(一方のメインギヤ)10がアイドラシャフト6に嵌合されており、アイドラギヤ本体10の一方の端面には薄肉のサブギヤ20がアイドラギヤ本体10と同軸且つ相対回転なく軸方向にスライド可能にして同一歯数、同一歯形及び同一捩れ角を有して並列に設けられている。詳しくは、アイドラギヤ本体10の一方の端面側のボスには軸方向にスプライン12が形成されており、サブギヤ20は当該スプライン12に摺動自在に嵌合されている。なお、サブギヤ20はスナップリング22で軸方向の摺動端が規制されている。
アイドラギヤ本体10とサブギヤ20との間にはコイルスプリング(第1の付勢手段)30が軸方向に延設されるとともに、コイルスプリング(第2の付勢手段)40が軸方向に延設されている。詳しくは、ここでは、コイルスプリング30、40はそれぞれ半径の異なる円周上に4個ずつ周方向で等間隔に配設されている。
即ち、サブギヤ20が、コイルスプリング30の弾性力及びコイルスプリング40の弾性力の少なくともいずれか一方により、アイドラギヤ本体10から軸方向で離反するように付勢されている。
即ち、サブギヤ20が、コイルスプリング30の弾性力及びコイルスプリング40の弾性力の少なくともいずれか一方により、アイドラギヤ本体10から軸方向で離反するように付勢されている。
このように、サブギヤ20がアイドラギヤ本体10から軸方向で離反するように付勢されていると、一般にアイドラギヤ本体10の捩れ歯10aとリバースギヤ4の捩れ歯4aとの間には隙間があり、またサブギヤ20とリバースギヤ4とはヘリカルギヤであることから、サブギヤ20は、サブギヤ20の捩れ歯20aとリバースギヤ4の捩れ歯4aとが互いに当接するまで軸方向にスライドすることとなる。そして、この状態で、コイルスプリング30やコイルスプリング40の弾性力は捩れ歯20aと捩れ歯4aとが斜めに当接することで軸方向から回転方向の力に変換され、サブギヤ20の捩れ歯20aは、当該回転方向の力(弾性力α、β)によってアイドラギヤ本体10に対し回転方向に付勢され、リバースギヤ4の捩れ歯4aに押圧されている。
つまり、アイドラギヤ8では、アイドラギヤ本体10とサブギヤ20とから所謂シザーズギヤ構造が構成されており、故に、アイドラギヤ8は、アイドラギヤ本体10とリバースギヤ4とが噛合する際において、サブギヤ20の捩れ歯20aがアイドラギヤ本体10の捩れ歯10aとの間にリバースギヤ4の捩れ歯4aを挟み付けるように構成されている。
このようにアイドラギヤ本体10とサブギヤ20とからシザーズギヤ構造が構成されていると、上述の如く一般にはアイドラギヤ本体10の捩れ歯10aとリバースギヤ4の捩れ歯4aとの間には隙間があるため、伝達される駆動力の変化に伴う負荷変動や回転変動によりリバースギヤ4とアイドラギヤ8間に生じる駆動反力が変動して歯面分離及び歯面衝突、即ちバックラッシュが生じるのであるが、このようなバックラッシュがシザーズギヤ構造によって良好に抑制される。
ところで、図2及び図3に示すように、リバースギヤ4とアイドラギヤ8とが噛合した状態では、コイルスプリング30はアイドラギヤ本体10とサブギヤ20との間に縮設される一方、コイルスプリング40はアイドラギヤ本体10とサブギヤ20との間に遊嵌され、コイルスプリング40とサブギヤ20との間に遊びθcを有している。即ち、コイルスプリング40に関して言えば、アイドラギヤ本体10とサブギヤ20との間で軸方向に遊びθcを有している。
詳しくは、コイルスプリング40は、単独で視た場合に、リバースギヤ4とアイドラギヤ8とが噛合した状態で、サブギヤ20の捩れ歯20aとリバースギヤ4の捩れ歯4aとの間で回転方向にクリアランスθ(所定の隙間)の隙間を有するように設定されており、遊びθcは当該クリアランスθに対応した所定量θ’に設定されている。
つまり、サブギヤ20の捩れ歯20aは、初期状態や例えばリバースギヤ4とアイドラギヤ8とが定速回転状態で噛合する場合には、図3に示すように、先ずコイルスプリング30の回転方向の力に変換された弾性力αにより付勢されてアイドラギヤ本体10の捩れ歯10aとの間にリバースギヤ4の捩れ歯4aを挟み付けることになるが、この状態で、コイルスプリング40とサブギヤ側ストッパ部材26との間には所定量θ’の遊びθcが生じている(θc=θ’)。
つまり、サブギヤ20の捩れ歯20aは、初期状態や例えばリバースギヤ4とアイドラギヤ8とが定速回転状態で噛合する場合には、図3に示すように、先ずコイルスプリング30の回転方向の力に変換された弾性力αにより付勢されてアイドラギヤ本体10の捩れ歯10aとの間にリバースギヤ4の捩れ歯4aを挟み付けることになるが、この状態で、コイルスプリング40とサブギヤ側ストッパ部材26との間には所定量θ’の遊びθcが生じている(θc=θ’)。
具体的には、図3にはリバースギヤ4の捩れ歯4aとアイドラギヤ本体10の捩れ歯10aとの間に生じるバックラッシュの最大寸法δ(以下、バックラッシュδ)が示されているが、上記所定量θ’は、クリアランスθが当該バックラッシュδよりも小さく(θ<δ)なるようバックラッシュδに対応する軸方向の寸法よりも小さく設定されている。実験によれば、所定量θ’は、クリアランスθが例えばバックラッシュδの50%以下の寸法となるように設定されるのが好ましい。
なお、コイルスプリング30による弾性力αとコイルスプリング40による弾性力βとは互いに等しくてもよいが、ここではコイルスプリング40による弾性力βの方がコイルスプリング30による弾性力αよりも大きな付勢力となるよう、コイルスプリング40のばね定数の方が第コイルスプリング30のばね定数よりも大きく設定されている。
以下、このように構成された本発明に係るギヤ装置の作用及び効果について説明する。
以下、このように構成された本発明に係るギヤ装置の作用及び効果について説明する。
リバースギヤ4とアイドラギヤ8とが例えば低負荷、低回転の定速回転状態で噛合している状況下では、大きな負荷変動や回転変動もなくリバースギヤ4とアイドラギヤ8間に生じる駆動反力は小さく、上記図3に示すように、サブギヤ20の捩れ歯20aはコイルスプリング30の回転方向の力に変換された弾性力αにより付勢されてリバースギヤ4の捩れ歯4aと当接している。即ち、リバースギヤ4の捩れ歯4aがシザーズギヤ構造をなすサブギヤ20の捩れ歯20aとアイドラギヤ本体10の捩れ歯10aとで弾性力αにより挟み付けられている。これにより、低負荷、低回転におけるリバースギヤ4とアイドラギヤ8間のバックラッシュが良好に抑制される。
一方、エンジンの負荷、回転速度が急変して高負荷、高回転となり、アイドラギヤ8に入力する駆動力が急激に変動して大きな負荷変動や回転変動が生じると、リバースギヤ4とアイドラギヤ8間に生じる駆動反力が大きく変動する。これにより、サブギヤ20の捩れ歯20aが当該駆動反力によってコイルスプリング30による弾性力αに抗して後退し、変換された駆動反力の軸方向の力によってサブギヤ20がアイドラギヤ本体10に向けスライドし、リバースギヤ4とアイドラギヤ8間にバックラッシュが生じ始める。
そして、図4を参照すると、サブギヤ20の捩れ歯20aが当該駆動反力によってコイルスプリング30による弾性力αに抗して後退した場合のギヤ装置の噛合状態を示す上視図が図3と同様に模式的に示されているが、同図に示すように、リバースギヤ4とアイドラギヤ8間のバックラッシュの量がクリアランスθに達し(図4では同義としてアイドラギヤ本体10の捩れ歯10aの前面側でリバースギヤ4の捩れ歯4aとの間に生じる隙間がクリアランスθに達することを示す)、即ち軸方向においてコイルスプリング40とサブギヤ20との間の遊びθcが詰められて無くなると(θc=0)、サブギヤ20の捩れ歯20aはコイルスプリング30による弾性力αに加えてコイルスプリング40の回転方向の力に変換された弾性力βにより付勢されてリバースギヤ4の捩れ歯4aと当接することとなる。即ち、遊びθcが詰められて無くなると、リバースギヤ4の捩れ歯4aはシザーズギヤ構造をなすサブギヤ20の捩れ歯20aとアイドラギヤ本体10の捩れ歯10aとにより上記弾性力αと弾性力βとの合力によって挟み付けられる。これにより、高負荷、高回転となってリバースギヤ4とアイドラギヤ8間に生じる駆動反力が大きく変化したとしても、リバースギヤ4とアイドラギヤ8間のバックラッシュがやはり良好に抑制される。
このように、本発明に係るギヤ装置では、ヘリカルギヤからなるアイドラギヤ8において、アイドラギヤ本体10の端面に、コイルスプリング30の弾性力とコイルスプリング40の弾性力とでアイドラギヤ本体10から離反するよう軸方向に付勢され、捩れ歯同士が斜めに当接することで当該弾性力が回転方向の弾性力αと弾性力βとに変換されてこれら弾性力α、βにより回転方向に付勢されるサブギヤ20を設け、さらに、リバースギヤ4とアイドラギヤ8間のバックラッシュの量がクリアランスθに達したときに初めて弾性力βが作用するよう、コイルスプリング40をアイドラギヤ本体10とサブギヤ20との間に軸方向で遊びθcを有するよう配設してシザーズギヤ構造を二段階で構成するようにしている。
これにより、リバースギヤ4とアイドラギヤ8間に生じる駆動反力が小さい範囲では、駆動反力をコイルスプリング30による弾性力αで受け止めながらリバースギヤ4の捩れ歯4aをサブギヤ20の捩れ歯20aとアイドラギヤ本体10の捩れ歯10aとで挟み付けるようにしてリバースギヤ4とアイドラギヤ8間のバックラッシュを良好に抑制でき、また駆動反力が大きくなってサブギヤ20がアイドラギヤ本体10に向け軸方向にスライドしてアイドラギヤ本体10とサブギヤ20との間の遊びθcが詰められると、駆動反力をコイルスプリング30による弾性力αとコイルスプリング40による弾性力βの合力で受け止めながらリバースギヤ4の捩れ歯4aをサブギヤ20の捩れ歯20aとアイドラギヤ本体10の捩れ歯10aとで挟み付けるようにしてリバースギヤ4とアイドラギヤ8間のバックラッシュを良好に抑制することができる。
従って、ヘリカルギヤからなるアイドラギヤ本体10の一方の端面に軸方向にスライド可能な同一捩れ角を有するヘリカルギヤからなる一枚のサブギヤ20を設けるという簡単な構成でありながら、リバースギヤ4とアイドラギヤ8間に生じる駆動反力の大きさに拘わらず、エンジンが低負荷、低回転であるような駆動反力の小さな状況から高負荷、高回転であるような駆動反力の大きな状況に至るまでの広い範囲に亘り、弾性力の不足や過剰な弾性力での付勢を防止して、リバースギヤ4とアイドラギヤ8間のバックラッシュを二段階で適切に抑制でき、歯打ちによる騒音や部材の劣化を良好に防止することができ、トランスミッションの耐久性及び信頼性を高く維持することができる。
特に、第1の付勢手段としてコイルスプリング30を、第2の付勢手段としてコイルスプリング40を用い、サブギヤ20とコイルスプリング40との間に遊びθcを有するので、第1の付勢手段と第2の付勢手段とをコイルスプリング30、40を用いて容易に構成でき、第2の付勢手段においてアイドラギヤ本体10とサブギヤ20との間で軸方向に容易に遊びθcを設けることができる。
また、所定量θ’をクリアランスθがバックラッシュδよりも小さく(θ<δ)なるようバックラッシュδに対応する軸方向の寸法よりも小さく設定することにより、駆動反力が比較的小さい段階から駆動反力をコイルスプリング30による弾性力αとコイルスプリング40による弾性力βの合力で十分に受けるようにでき、リバースギヤ4とアイドラギヤ8間のバックラッシュを適切にして十分に抑制することができる。
また、コイルスプリング40による弾性力βがコイルスプリング30による弾性力αよりも大きな付勢力となるようコイルスプリング40のばね定数をコイルスプリング30のばね定数よりも大きく設定することで、エンジンが低負荷、低回転であって駆動反力が小さいときに過剰な付勢力が付勢されないようにできるとともに、エンジンが高負荷、高回転であって駆動反力が大きいときに付勢力が不足しないようにでき、リバースギヤ4とアイドラギヤ8間のバックラッシュを適切にして確実に抑制することができる。
以上で本発明の一実施形態についての説明を終えるが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々の変更ができるものである。
例えば、上記実施形態では、コイルスプリング40とサブギヤ20との間に所定量θ’の遊びθcを有するようにしたが、当該遊びθcは、コイルスプリング40とアイドラギヤ本体10との間に有ってもよいし、コイルスプリング40とサブギヤ20との間及びコイルスプリング40とアイドラギヤ本体10との間に振り分けられていてもよい。
例えば、上記実施形態では、コイルスプリング40とサブギヤ20との間に所定量θ’の遊びθcを有するようにしたが、当該遊びθcは、コイルスプリング40とアイドラギヤ本体10との間に有ってもよいし、コイルスプリング40とサブギヤ20との間及びコイルスプリング40とアイドラギヤ本体10との間に振り分けられていてもよい。
また、上記実施形態では、コイルスプリング30とコイルスプリング40とで付勢手段を構成したが、付勢手段はコイルスプリングに限られるものではなく、皿ばね等で構成するようにしてもよく、いずれか一方の付勢手段をコイルスプリングで構成し、いずれか他方を皿ばね等で構成するようにしてもよい。
また、上記実施形態では、アイドラギヤ本体10にスプライン12を形成してサブギヤ20を軸方向で摺動自在としたが、軸方向でスライド可能であればスプライン12に限られるものではなく、アイドラギヤ本体10にガイド部材を設け、サブギヤ20を当該ガイド部材に沿ってスライド可能に構成してもよい。
また、上記実施形態では、アイドラギヤ本体10にスプライン12を形成してサブギヤ20を軸方向で摺動自在としたが、軸方向でスライド可能であればスプライン12に限られるものではなく、アイドラギヤ本体10にガイド部材を設け、サブギヤ20を当該ガイド部材に沿ってスライド可能に構成してもよい。
また、上記実施形態では、コイルスプリング(第1の付勢手段)30とコイルスプリング(第2の付勢手段)40の二つで二段階に付勢手段を構成したが、三段階以上で付勢手段を構成するようにしてもよい。
また、上記実施形態では、コイルスプリング30とコイルスプリング40とをそれぞれ半径の異なる円周上に4個ずつ周方向で等間隔に配設するようにしたが、これに限られるものではなく、コイルスプリング30、40については自由に配設可能であり、この点は付勢手段を三段階以上で構成した場合においても同様である。
また、上記実施形態では、コイルスプリング30とコイルスプリング40とをそれぞれ半径の異なる円周上に4個ずつ周方向で等間隔に配設するようにしたが、これに限られるものではなく、コイルスプリング30、40については自由に配設可能であり、この点は付勢手段を三段階以上で構成した場合においても同様である。
また、上記実施形態では、ギヤ装置がトランスミッション(変速機)のギヤトレインの一部である場合を例に説明したが、これに限られるものではなく、バックラッシュを生じる構成であれば、ギヤ装置はエンジンのギヤトレインの一部であってもよいし、その他の機構のギヤトレインの一部であってもよい。
4 リバースギヤ(他方のメインギヤ)
8 アイドラギヤ
10 アイドラギヤ本体(一方のメインギヤ)
12 スプライン
20 サブギヤ
30 コイルスプリング(第1の付勢手段)
40 コイルスプリング(第2の付勢手段)
8 アイドラギヤ
10 アイドラギヤ本体(一方のメインギヤ)
12 スプライン
20 サブギヤ
30 コイルスプリング(第1の付勢手段)
40 コイルスプリング(第2の付勢手段)
Claims (4)
- 一の回転軸に回転可能に連結されたヘリカルギヤからなる一方のメインギヤと、
他の回転軸に回転可能に連結され、前記一方のメインギヤに同一捩れ角を有して噛合するヘリカルギヤからなる他方のメインギヤと、
前記一方のメインギヤの端面に前記他方のメインギヤと噛合するよう該一方のメインギヤと同軸且つ相対回転なく軸方向にスライド可能に同一歯数、同一歯形及び同一捩れ角を有して並列に設けられたヘリカルギヤからなるサブギヤと、
前記一方のメインギヤと前記サブギヤとの間に設けられ、前記サブギヤを前記一方のメインギヤから離反するよう弾性部材により軸方向に付勢する第1の付勢手段と、
前記サブギヤが該サブギヤの捩れ歯と前記他方のメインギヤの捩れ歯との間で回転方向に所定の隙間を形成するよう前記一方のメインギヤと前記サブギヤとの間で軸方向に所定量の遊びを有して設けられ、該遊びが詰められると前記サブギヤを前記一方のメインギヤから離反するよう弾性部材により軸方向に付勢する第2の付勢手段と、
を備えたことを特徴とするギヤ装置。 - 前記弾性部材はコイルスプリングであり、
前記第1の付勢手段と前記第2の付勢手段とは、それぞれ前記一方のメインギヤと前記サブギヤとの間に前記コイルスプリングを軸方向に延設してなり、
前記第2の付勢手段は、前記一方のメインギヤと前記コイルスプリングとの間または前記サブギヤと前記コイルスプリングとの間に前記遊びを有することを特徴とする、請求項1記載のギヤ装置。 - 前記所定の隙間は、前記一方のメインギヤの捩れ歯と前記他方のメインギヤの捩れ歯との間におけるバックラッシュの最大寸法よりも小さいことを特徴とする、請求項1または2記載のギヤ装置。
- 前記第2の付勢手段の弾性部材による付勢力は前記第1の付勢手段の弾性部材による付勢力よりも大きいことを特徴とする、請求項1乃至3のいずれか記載のギヤ装置。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2007277619A JP2009103278A (ja) | 2007-10-25 | 2007-10-25 | ギヤ装置 |
Applications Claiming Priority (1)
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Publications (1)
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JP2009103278A true JP2009103278A (ja) | 2009-05-14 |
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ID=40705142
Family Applications (1)
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JP2007277619A Withdrawn JP2009103278A (ja) | 2007-10-25 | 2007-10-25 | ギヤ装置 |
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JP (1) | JP2009103278A (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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CN107956863A (zh) * | 2016-10-14 | 2018-04-24 | 昆山金吉品机器有限公司 | 双输出传动机构的齿隙调整装置 |
-
2007
- 2007-10-25 JP JP2007277619A patent/JP2009103278A/ja not_active Withdrawn
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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CN107956863A (zh) * | 2016-10-14 | 2018-04-24 | 昆山金吉品机器有限公司 | 双输出传动机构的齿隙调整装置 |
CN107956863B (zh) * | 2016-10-14 | 2023-06-30 | 昆山金吉品机器有限公司 | 双输出传动机构的齿隙调整装置 |
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