JP2009103104A - 内燃機関の制御装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】スロットルバルブの制御に異常をきたしたときに、走行状況に応じた退避走行を行うことができる内燃機関の制御装置を提供する。
【解決手段】エンジンシステム1は、吸気通路30を流れる空気の流量を制御するスロットルバルブ43と、スロットルバルブ43より上流側の吸気通路30からクランク室20へ導入された空気と燃焼室2からクランク室20へ漏れ出たブローバイガスとの混合気体を、クランク室20内からスロットルバルブ43より下流側の吸気通路30bへ排出する環流通路38と、環流通路38を流れる混合気体の流量を制御するPCVバルブ75とを備え、スロットルバルブ43の異常が検出されたとき、PCVバルブ75の開度を電子的に制御する。
【選択図】図1
【解決手段】エンジンシステム1は、吸気通路30を流れる空気の流量を制御するスロットルバルブ43と、スロットルバルブ43より上流側の吸気通路30からクランク室20へ導入された空気と燃焼室2からクランク室20へ漏れ出たブローバイガスとの混合気体を、クランク室20内からスロットルバルブ43より下流側の吸気通路30bへ排出する環流通路38と、環流通路38を流れる混合気体の流量を制御するPCVバルブ75とを備え、スロットルバルブ43の異常が検出されたとき、PCVバルブ75の開度を電子的に制御する。
【選択図】図1
Description
本発明は、内燃機関の燃焼室からクランクケースへ漏れ出たブローバイガスを再びエンジンの吸気通路へ戻して燃焼室へ導入するブローバイガス制御装置に関するものである。詳しくは、このブローバイガス制御装置に設けられたPCVバルブを制御する内燃機関の制御装置に関するものである。
この種のブローバイガス制御装置としては、ブローバイガスを吸気通路に導入する環流通路に、流量制御弁としてPCV(Positive Crankcase Ventilation)バルブを設置したものが知られている。そして、この装置では、スロットルバルブの下流側の吸気通路に発生する負圧でPCVバルブが開弁することにより、ブローバイガスが吸気通路に導入される。
例えば、特許文献1には、内燃機関の吸気通路に設けられたスロットルバルブと、スロットルバルブより上流の吸気通路からクランクケース又はヘッドカバー内に吸入空気を導入する導入通路と、スロットルバルブより下流の吸気通路にクランクケース又はヘッドカバー内からブローバイガスを導入する環流通路と、環流通路に設けられたブローバイガス流量を制御するPCVバルブとを備えた内燃機関の制御装置が開示されている。
PCVバルブの開度は、スロットルバルブの開度、吸入空気流量、内燃機関の負荷等に応じて調整される。また、PCVバルブの開閉は、例えばPCVバルブに取り付けられたモータを駆動させて行われる。
ところで、走行中にスロットルバルブを開閉するモータ等の故障により、スロットルバルブの開度を調整できなくなる時(フェール時)がある。このようなときには、スロットルバルブが開き過ぎたり完全に閉じたりするおそれがある。これに対して、例えば特許文献2には、スロットルバルブの制御に異常をきたした場合に、スロットルバルブを低速走行可能な所定の開度に保持する技術が開示されている。これにより、スロットルバルブの制御に異常をきたした場合に、車両を退避走行させるのに最低限必要な内燃機関の出力を得ることができる。このように、スロットルバルブのフェール時にスロットルバルブを低速走行可能な所定の開度に保持することにより、車両を退避走行させることが可能となる。
特開2007−092664号公報
特開2000−104567号公報
しかしながら、スロットルバルブのフェール時にスロットルバルブが低速走行可能な所定の開度に保持されたときには、スロットルバルブにより燃焼室に取り込まれる吸入空気の流量を増加させることができなくなる。従って、内燃機関の出力を上昇させることができなくなる。ここで、平坦路を退避走行する場合には、低速走行できるだけの比較的低い出力が得られれば十分であるが、フェール時の走行状況によっては、より大きな出力が必要とされる場合がある。例えば、登坂路を走行中にスロットルバルブの制御に異常をきたした場合には、退避走行するために平坦路を走行する時以上の出力が必要となる。しかし、フェール時にはスロットルバルブにより内燃機関の出力を上昇させることができなくなるため、走行速度が低下したり、車両が停止したりするおそれがある。このように、フェール時には、走行状況に応じて安定した退避走行ができないという問題がある。
そこで、本発明は上記した問題点を解決するためになされたものであり、スロットル弁(スロットルバルブ)の制御に異常をきたしたときに、走行状況に応じた退避走行を行うことができる内燃機関の制御装置を提供することを課題とする。
上記問題点を解決するためになされた本発明に係る内燃機関の制御装置は、内燃機関の燃焼室へ空気を導入する吸気通路に設けられ、前記吸気通路を流れる空気の流量を制御するスロットル弁と、前記スロットル弁より上流側の前記吸気通路から分岐して、内燃機関のクランクケースへ空気を導入する分岐通路と、前記分岐通路から前記クランクケースへ導入された空気と燃焼室から前記クランクケースへ漏れ出たブローバイガスとを、前記クランクケース内から前記スロットル弁より下流側の前記吸気通路へ排出する排出通路と、前記排出通路に設けられ、前記分岐通路から前記クランクケースへ導入された空気と燃焼室から前記クランクケースへ漏れ出たブローバイガスとの混合気体の前記排出通路を流れる流量を制御するブローバイガス制御弁と、前記ブローバイガス制御弁を開閉駆動する第一モータと、前記スロットル弁の異常を検出する異常検出手段と、前記異常検出手段により前記スロットル弁の異常が検出されたとき、前記ブローバイガス制御弁の開度を制御することにより燃焼室へ導入される空気の流量を調整するブローバイガス制御弁制御手段と、を備えたことを特徴とする。
この内燃機関の制御装置では、内燃機関の燃焼室へ空気を導入する吸気通路に、吸気通路を流れる空気の流量を制御するスロットル弁が設けられている。従って、スロットル弁の開閉駆動が正常に行われている時には、主としてスロットル弁が内燃機関の燃焼室へ導入される空気の流量を調整する。また、この内燃機関の制御装置には、スロットル弁より上流側の吸気通路から分岐して内燃機関のクランクケースへ空気を導入する分岐通路が設けられている。このため、スロットル弁より上流側の吸気通路を流れる空気の一部が内燃機関のクランクケースに導入される。
そして、分岐通路からクランクケースへ導入された空気と燃焼室からクランクケースへ漏れ出たブローバイガスとを、クランクケース内からスロットル弁より下流側の吸気通路へ排出する排出通路が設けられている。ここで、ブローバイガスとは、内燃機関の稼動時に燃焼室からピストンリングとシリンダのごくわずかなすき間を抜けてクランクケースに漏れ出た未燃焼ガスをいう。このブローバイガスは有毒成分を多量に含むため、そのまま大気中に排出されると大気汚染に繋がることになる。このため、クランクケースに溜まったブローバイガスは、分岐通路からクランクケースへ導入された空気とともに排出通路を経由して、スロットル弁より下流側の吸気通路へ排出され、吸気通路から再び燃焼室へ導入される。このようにして、ブローバイガスが大気中に排出されるのを抑制し、環境汚染を予防している。
この排出通路には第一モータにより開閉駆動されるブローバイガス制御弁が設けられており、分岐通路からクランクケースへ導入された空気と燃焼室からクランクケースへ漏れ出たブローバイガスとの混合気体の、排気通路を流れる流量が制御されている。また、分岐通路からクランクケースへ導入された空気と燃焼室からクランクケースへ漏れ出たブローバイガスとの混合気体は、スロットル弁より下流側の吸気通路を経由して燃焼室に導入されるため、スロットル弁により流量を直接的に制御されないようになっている。
ここで、スロットル弁等の異常によりスロットル弁の開閉駆動が正常に行われない場合がある。この場合には、スロットル弁により吸気通路から燃焼室へ適切な量の空気が供給されず、必要な内燃機関の出力が得られないという事態が生じる。これに対して、この内燃機関の制御装置は、スロットル弁の異常を検出する異常検出手段と、異常検出手段によりスロットル弁の異常が検出されたときブローバイガス制御弁の開度を制御することにより燃焼室へ導入される空気の流量を調整するブローバイガス制御弁制御手段とを備えている。このため、たとえスロットル弁の開閉駆動が正常に行われない場合にも、分岐通路からクランクケースに導入された空気を、排出通路からスロットル弁より下流側の吸気通路を経由して燃焼室へ空気を供給することができる。そして、ブローバイガス制御弁制御手段により燃焼室へ導入される空気量を適切に調整することによって、スロットル弁の開閉駆動が正常に行われない場合にも必要な内燃機関の出力を得ることができる。従って、この内燃機関の制御装置によれば、スロットル弁の制御に異常をきたした場合にも、走行状況に応じた退避走行を行うことができる。
本発明に係る内燃機関の制御装置においては、前記スロットル弁を開閉駆動する第二モータと、前記第二モータにより前記スロットル弁の開度を制御するスロットル弁制御手段とを備え、前記スロットル弁制御手段は、前記異常検出手段により前記スロットル弁の異常が検出されたとき、前記第二モータへの通電を停止することにより前記スロットル弁を所定の開度に機械的に保つことが好ましい。ここで、所定の開度とは、退避走行が可能な比較的低い出力が得られる程度の弁の開度をいう。これは、例えば全閉位置から5%程度開いたときの弁の開度である。
この構成によれば、異常検出手段によりスロットル弁の異常が検出されたとき、スロットル弁制御手段が第二モータへの通電を停止してスロットル弁を所定の開度に機械的に保つことにより、車両を退避走行させるのに最低限必要な内燃機関の出力を得られる。また、異常検出手段によりスロットル弁の異常が検出されたときに、第二モータへの通電が停止されるので、スロットル弁は異常時における第二モータの誤動作等の影響を受けなくてすむ。また、スロットル弁制御手段は、通電を停止することによりスロットル弁を所定の開度に機械的に保つものであるため、電気的な異常にかかわらずスロットル弁を所定開度に確実に保持することができる。また、異常時におけるスロットル弁制御手段は、第二モータへの通電を停止するという簡単な動作により実現される。従って、スロットル弁制御手段の構成を簡単にし、異常時におけるスロットル弁の制御をより確実に行うことができる。
本発明に係る内燃機関の制御装置においては、現在の車速と目標車速との速度差を検出する速度差検出手段を備え、前記ブローバイガス制御弁制御手段は、前記異常検出手段により前記スロットル弁の異常が検出されたとき、前記速度差検出手段により検出された速度差に基づいて現在の車速を目標車速とするようブローバイガス制御弁の開度を制御することが好ましい。
ここで、「前記速度差検出手段により検出された速度差に基づいて現在の車速を目標車速とするようブローバイガス制御弁の開度を制御する」態様としては、特に限定されないが、目標車速が現在の車速より大きいときには、ブローバイガス制御弁の開度を大きくして燃焼室へ導入される空気量を増加させ、目標車速が現在の車速より小さいときには、ブローバイガス制御弁の開度を小さくして燃焼室へ導入される空気量を減少させ、目標車速と現在の車速とが等しいときには、ブローバイガス制御弁の開度を保持して燃焼室へ導入される空気量を維持するものを例示できる。
この構成によれば、スロットル弁の制御に異常をきたしたとき、速度差検出手段により検出される速度差に基づいて燃焼室へ導入される空気量を調整し、目標速度に到達できるよう的確にブローバイガス制御弁の制御を行うことができる。従って、スロットル弁の制御に異常をきたした場合にも、より的確に走行状況に応じた退避走行を行うことができる。
本発明に係る内燃機関の制御装置においては、前記スロットル弁を前記所定の開度に保つときの目標車速とブローバイガス制御弁の開度との関係を示すデータを記憶した記憶手段を備え、前記ブローバイガス制御弁制御手段は、前記異常検出手段により前記スロットル弁の異常が検出されたとき、前記記憶手段に記憶された前記データに基づいて現在の車速を目標車速とするようブローバイガス制御弁の開度を制御することが好ましい。
この構成によれば、スロットル弁の制御に異常をきたしたとき、前記ブローバイガス制御弁制御手段が記憶手段に記憶されたデータを参照して、目標速度に到達するために必要なブローバイガス制御弁の開度を容易かつ瞬時に決定することができる。従って、スロットル弁の制御に異常をきたした場合にも、より確実に走行状況に応じた退避走行を行うことができる。
本発明に係る内燃機関の制御装置においては、アクセル開度を検出するアクセルセンサを備え、前記目標車速は、アクセルセンサにより検出されたアクセル開度に基づいて算出されることが好ましい。
この構成によれば、アクセル開度をアクセルセンサで検出することにより、運転者の望む目標速度を直接的に把握することができる。従って、スロットル弁の制御に異常をきたした場合に、走行状況に応じた運転者の望む速度で退避走行を行うことができる。
本発明に係る内燃機関の制御装置によれば、スロットル弁の制御に異常をきたした場合に、走行状況に応じた退避走行を行うことができる。
以下、本発明の内燃機関の制御装置を具体化した一実施形態である自動車のエンジンシステムについて、図1を参照しながら詳細に説明する。図1は、本発明の内燃機関の制御装置の一実施形態に係るエンジンシステムを示す概略構成図である。本実施形態に係るエンジンシステムは、燃焼室内に燃料を直接噴射する多気筒火花点火式のシステムである。このエンジンシステムは複数の気筒を有するが、各気筒は同様の構成であるため、以下では一つの気筒についてのみ説明し、他の気筒についての説明を省略する。
図1に示されるエンジンシステム1は、燃料と吸入空気との混合気体を燃焼させる燃焼室2と、燃焼室2の下に設けられたクランク室20と、燃焼室2へ吸入空気を導入する吸気通路30と、燃焼室2から排気ガスを排出する排気通路35と、吸気通路30に設けられ吸気通路30を流れる空気の流量を制御する電子スロットル40と、電子スロットル40より上流側の吸気通路30aから分岐してクランク室20へ吸入空気の一部を導入する分岐通路37a、37bと、クランク室20から電子スロットル40より下流側の吸気通路30bへと設けられた環流通路38と、エンジンシステム1の動作を電子的に制御するECU(電子制御装置)100と、を備えている。ECU100は、電子制御を司るマイクロコンピュータ(マイコン)を備えている。マイコンは、周知のように中央処理装置(CPU)、読み出し書き換えメモリ(RAM)、読み出し専用メモリ(ROM)等を備えている。
燃焼室2は、シリンダブロックにより形成されたシリンダ3の中空部である。燃焼室2の上部には、中央が高くなるよう傾斜したペントルーフ形状をなすシリンダヘッド4が設けられている。このシリンダヘッド4には、二本の吸気バルブ12をそれぞれ取り付け可能な二つの吸気ポート5と、二本の排気バルブ13をそれぞれ取り付け可能な二つの排気ポート6と、が形成されている。燃焼室2の下部には、シリンダ3内を上下に往復可能なピストン7が取り付けられている。すなわち、燃焼室2の下部は、ピストン7の上面により閉じられている。より詳しくは、燃焼室2の下部は、ピストン7の上端外周に取り付けられたピストンリング8とシリンダ3のボア3aとの間にわずかなクリアランスCをもって閉じられている。
また、燃焼室2は、燃焼室2内に燃料を噴射するインジェクタ9と、燃焼室2における吸気及び排気を行う動弁機構11と、燃焼室2内の燃料と空気との混合気体に点火する点火プラグ10と、を備えている。インジェクタ9は、燃焼室2の側面を形成するシリンダ3に貫設されている。詳しくは、インジェクタ9は、燃料を噴射する噴射口を、燃焼室2内に突出させるよう設けられている。また、点火プラグ10は、燃焼室2の上端を形成するシリンダヘッド4に貫設されている。詳しくは、点火プラグ10は、燃料と空気との混合気体に点火する点火部を、燃焼室2内に突出させるよう設けられている。
動弁機構11は、シリンダヘッド4の上方に設けられている。詳しくは、この動弁機構11は、各吸気バルブ12及び各排気バルブ13に対して一つずつ設けられており、各バルブ12、13をそれぞれ駆動することにより、吸気ポート5あるいは排気ポート6を開閉できるようになっている。本実施例では、吸気カム14のカムノーズが吸気ロッカアーム16を下方に押圧することにより、吸気バルブ12が吸気ポート5を開放し、排気カム15のカムノーズが排気ロッカアーム17を下方に押圧することにより、排気バルブ13が排気ポート6を開放するようになっている。また、シリンダヘッド4の上方には、これらの動弁機構11等を覆うようにヘッドカバー18が設けられている。
クランク室20は、エンジンブロック21により燃焼室2の下方に形成された中空部である。クランク室20の上部は、ピストン7により燃焼室2と仕切られている。クランク室20の下部には、オイルパン22が形成されている。このオイルパン22は、エンジン内部を潤滑したエンジンオイルOを自然落下により溜める受け皿である。このエンジンオイルOは、オイルパン22からオイルポンプ(図示略)で吸い上げられて再びエンジンの各部を潤滑するようになっている。クランク室20の中では、クランクシャフト23が回転可能に支持されている。そして、各ピストン7がそれぞれコネクティングロッド24を介してクランクシャフト23に連結されている。また、クランク室20には、クランク角を検出するクランクセンサ25が設けられている。オイルパン22には、油温を検出する油温センサ26が設けられている。エンジンブロック21には、エンジンの各部を冷却する冷却水の水温を検出するための水温センサ27が設けられている。そして、クランクセンサ25、油温センサ26及び水温センサ27は、それぞれECU100に接続されている。
吸気通路30は、燃焼室2に形成された吸気ポート5に連通するよう接続されている。そして、吸気通路30は、吸入した空気を蓄積可能なインテークマニホールド(図示略)を備えており、このインテークマニホールドにより、蓄積された空気を燃焼室2に設けられた各吸気ポート5へ分配できるようになっている。また、吸気通路30の吸気導入口には、吸入した空気を洗浄するエアクリーナ33が取り付けられている。エアクリーナ33には、吸入空気の流量を検出するエアフローメータ34が取り付けられている。そして、エアフローメータ34は、ECU100に接続されている。
排気通路35は、燃焼室2に形成された排気ポート6に連通するよう接続されている。そして、排気通路35は、エキゾーストマニホールド(図示略)を備えており、このエキゾーストマニホールドにより、燃焼室2に形成された各排気ポート6から排出される排気ガスを集めて外部へ排出できるようになっている。また、排気通路35には、排気ガス中の酸素残量を検出する酸素センサ36が設けられている。そして、酸素センサ36は、ECU100に接続されている。
分岐通路37a、37bは、電子スロットル40より上流側の吸気通路30aから分岐してヘッドカバー18内へ連通するよう設けられた第一分岐通路37aと、ヘッドカバー18内からクランク室20へ連通するよう設けられた第二分岐通路37bと、から構成されている。第二分岐通路37bは、シリンダ3とシリンダ3を覆うエンジンブロック21との間にある隙間を利用した通路である。環流通路38は、分岐通路37a、37bからクランク室20へ導入された空気と燃焼室2からクランク室20へ漏れ出たブローバイガスとを、クランク室20内から電子スロットル40より下流側の吸気通路30bへ排出するようになっている。なお、図1において、太線矢印はブローバイガスの流れを示し、点線矢印は空気の流れを示している。
本実施形態の電子スロットルについて、図2〜図4を参照しながら詳細に説明する。図2は、本実施形態に係るエンジンシステムの電子スロットルを示す概略構成図である。図3は、同電子スロットルのオープナ機構を示す概略構成図である。図4は、同電子スロットルのオープナ機構によるスロットルバルブの動作を示す説明図である。電子スロットル40は、ECU100により制御されて、吸気通路30を流れる空気の流量を調整するものである。図2に示されるように、この電子スロットル40は、吸気通路30の途中に形成されたスロットルボディ41と、スロットルボディ41に設けられたスロットルバルブ43と、スロットルバルブ43を開閉駆動するスロットルモータ47と、スロットルバルブ43の実開度VTAを検出するリニアスロットルセンサ48と、アクセルペダル55の操作量(目標開度RTA)を検出するアクセルセンサ56と、スロットルバルブ43を所定の開度に保持するオープナ機構49と、を備えている。
スロットルボディ41は、吸気通路30の一部を形成している。スロットルバルブ43は、スロットルボディ41のボア42を貫通するスロットルシャフト44に、回動可能に支持されている。このスロットルバルブ43が回動することにより、吸気通路30の断面積を大きくしたり、小さくしたりできるようになっている。スロットルモータ47は、減速装置45を介してスロットルシャフト44の一端に連結されている。詳しくは、スロットルモータ47の出力軸は、減速装置45を構成する複数のギヤ46を介してスロットルシャフト44に連結されている。なお、本実施形態におけるスロットルバルブ43は、アクセルペダル55の動作に機械的に連動しないリンクレスタイプのものである。すなわち、スロットルバルブ43は、ECU100により制御されるスロットルモータ47の駆動力を受けて開閉するようになっている。
リニアスロットルセンサ48は、スロットルボディ41に設けられている。このリニアスロットルセンサ48は、スロットルシャフト44の回転角(実開度VTA)を検出している。そして、リニアスロットルセンサ48により検出された実開度VTAは、入力回路及びAD変換器を介してECU100に備わるマイコンへ入力されるようになっている。本実施形態では、リニアスロットルセンサ48が、複数のポテンショメータにより構成されている。そして、ECU100に備わるマイコンが各ポテンショメータの出力を比較することにより、リニアスロットルセンサ48の異常が検出できるようになっている。
アクセルセンサ56は、アクセルペダル55に設けられている。このアクセルセンサ56は、アクセルペダル55の目標開度RTAを検出している。そして、アクセルセンサ56により検出された目標開度RTAは、入力回路及びAD変換器を介してECU100に備わるマイコンへ入力されるようになっている。このマイコンでは、実開度VTAと目標開度RTAとを比較することによりデューティ比DUTYが算出される。そして、算出されたデューティ比DUTYに基づき、駆動回路を介してスロットルモータ47が制御されるようになっている。従って、ECU100に備わるマイコンが、スロットルモータ47を駆動する駆動回路の出力とリニアスロットルセンサ48から検出されるスロットルバルブ43の実開度VTAとを比較することにより、電子スロットル40を構成するスロットルモータ47あるいはスロットルバルブ43の異常を検出することができる。
オープナ機構49は、スロットルボディ41に一体的に組み付けられている。このオープナ機構49は、図3に示されるように、スロットルシャフト44の他端(スロットルモータ47とは逆側)に連結されたオープナレバー50と、スロットルバルブ43を開方向へ付勢するオープナスプリング51と、スロットルバルブ43を閉方向へ付勢するリターンスプリング52と、オープナレバー50と係合してスロットルバルブ43が全開位置F(図4参照)より開かないようにする全開ストッパ53と、オープナレバー50と係合してスロットルバルブ43が全閉位置S(図4参照)より閉じないようにする全閉ストッパ54とを備えている。
オープナスプリング51の一端は、オープナレバー50に取り付けられ、オープナスプリング51の他端は、スロットルシャフト44に取り付けられている。そして、スロットルモータ47の非通電時には、オープナスプリング51がスロットルシャフト44を介してスロットルバルブ43を開方向へ付勢するようになっている。リターンスプリング52の一端も、オープナレバー50に取り付けられ、リターンスプリング52の他端は、スロットルボディ41に取り付けられている。そして、スロットルモータ47の非通電時には、リターンスプリング52がオープナレバー50を介してスロットルバルブ43を閉方向へ付勢するようになっている。
ここで、リターンスプリング52及びオープナスプリング51の付勢力は、スロットルモータ47の駆動力より小さく、スロットルモータ47の非通電時におけるディテントトルクより大きく設定されている。このため、スロットルモータ47の通電時には、リターンスプリング52及びオープナスプリング51の付勢力に抗してスロットルバルブ43を開閉させ、スロットルモータ47の非通電時には、リターンスプリング52及びオープナスプリング51の付勢力が釣り合うオープナ開度位置Nにスロットルバルブ43を保持するようになっている。従って、オープナ機構49によれば、図4に示されるように、電子スロットル40に異常があったとき、スロットルモータ47への通電を停止して、スロットルバルブ43をオープナ開度位置Nに保持することができる。なお、オープナ開度位置Nは、例えば全閉位置Sから5%程度開いた位置である。また、全閉ストッパ54及び全開ストッパ53により、スロットルバルブ43の作動範囲は、全閉位置Sから全開位置Fの間に制限されている。
本実施形態の電子PCVについて、図5を参照しながら詳細に説明する。図5は、本実施形態のエンジンシステムに係る電子PCVを示す断面図である。電子PCV60は、ECU100により制御されて、環流通路38を流れる混合気体の流量を調整するものである。上述したように、環流通路38を流れる混合気体は、クランク室20へ導入された空気とクランク室20へ漏れ出たブローバイガスである。この電子PCV60は、図5に示されるように、環流通路38の途中に形成されたPCVボディ61と、PCVボディ61に設けられたPCVバルブ75と、PCVバルブ75を開閉駆動するPCVモータ82と、を備えている。
PCVボディ61は、メインボディ62と、サブボディ71と、から構成されている。メインボディ62とサブボディ71とは、互いに組みつけられている。メインボディ62は、中空形状をなしており、環流通路38の一部を形成している。そして、上流側の環流通路38からサブボディ71へと連通するよう設けられている。このメインボディ62は、環流通路38の上流側に連通する入口側管継手63と、PCVバルブ75を収納する弁室64と、PCVモータ82を収納するモータ収納室69と、外部接続用のコネクタ部70と、を備えている。
入口側管継手63は、環流通路38と弁室64とを連通させる継手である。この入口側管継手63により、環流通路38から流入するブローバイガスと空気との混合気体を弁室64へ導入できるようになっている。また、入口側管継手63の外周には、気体漏れを防ぐためのシールリング74が装着されている。
弁室64は、PCVバルブ75を収納できるよう中空円筒形状をなしている。弁室64には、PCVバルブ75の弁体78を往復可能に保持するスリーブ65が設けられている。弁室64のサブボディ71側には、サブボディ71と連通するよう接続される開口端部66が形成されている。
モータ収納室69は、PCVモータ82を収納可能に形成されている。このモータ収納室69と弁室64との間は、メインボディ62の一部をなす隔壁部67により仕切られている。そして、この隔壁部67には、PCVモータ82のモータシャフト86を貫挿できるようシャフト孔が形成されている。
コネクタ部70には、端子84を介して外部コネクタ(図示略)が接続されている。この外部コネクタは、電磁石88、90を制御するために、外部配線(図示略)を介してECU100に接続されている。これらの電磁石88、90は、例えばPCVモータ82の励磁や、PCVバルブ75の凍結防止等に用いられている。
サブボディ71は、中空円筒形状をなしており、環流通路38の一部を形成している。そして、メインボディ62から環流通路38の下流側へと連通するよう設けられている。このサブボディ71は、メインボディ62の開口端部66に嵌入される基端部72と、環流通路38に連通する出口側管継手73と、を備えている。
PCVバルブ75は、メインボディ62の開口端部66に一体に設けられた弁座76と、弁座76に対して移動可能に設けられた弁体78と、を備えている。弁体78は、略円筒形をしており、先端が丸みを帯びて縮径している。そして、弁座76には、弁体78の先端部を出し入れ可能な弁孔77が形成されている。弁体78は、メインボディ62のスリーブ65に往復可能に保持されている。また、弁体76の外周には、フランジが形成されている。このフランジには、リターンスプリング81の一端が取り付けられている。リターンスプリング81の他端はメインボディ62に取り付けられている。このリターンスプリング81により、PCVモータ82の非通電時には、弁体78が所定の開度に保持されるようになっている。弁体78の内部には、後述するPCVモータ82のモータシャフト86と螺合するネジ穴80が形成されている。
PCVモータ82は、ステッピングモータであって、PCVバルブ75の弁体78を駆動するものである。このPCVモータ82は、PCVモータ82を収納するモータケース89と、外周部を構成するステータ83と、ステータ83に組み付けられた電磁コイル88と、ステータ83の内部に設けられたロータ85と、ロータ85の中心に設けられたモータシャフト86と、を備えている。モータシャフト86の外周面には、PCVバルブ75の弁体78に形成されたネジ穴80と螺合する雄ネジ87が形成されている。そして、通電によりモータシャフト86が回動すると、モータシャフト68の外周面に形成された雄ネジ87と弁体78に形成されたネジ穴80とが螺合して、弁体78が軸方向へ移動するようになっている。弁体78が、弁座77方向へ移動するときには環流通路38の断面積が小さくなり、弁座76とは反対方向へ移動するときには環流通路の断面積が大きくなる。従って、電子PCV60によれば、ECU100によりPCVモータ82を制御することで、環流通路38を流れる空気とブローバイガスとの混合気体の流量を調整することができる。
上記構成のエンジンシステム1について、以下に作用効果を説明する。
エンジンシステム1では、ピストン7の往復運動により燃焼室2に負圧が発生した状態で、動弁機構11により燃焼室2の吸気ポート5が開放されると、燃焼室2内に空気が取り込まれる。この空気は、まず吸気通路30の入口に設けられたエアクリーナ33により洗浄される。そして、浄化された空気は、吸気通路30を通りインテークマニホールドにより蓄積、分配され各気筒の燃焼室2に供給される。燃焼室2に供給された空気は、インジェクタ9から噴射される燃料と混合される。この混合気体は、点火プラグ10により点火され燃焼する。燃焼により混合気体は膨張してピストン7を下方に押圧する。その後、動弁機構11により排気バルブ13が駆動され排気ポート6が開放されると、燃焼後の排気ガスがエキゾーストマニホールドにより集められ、排気通路35により外部へ排気される。
エンジンシステム1では、ピストン7の往復運動により燃焼室2に負圧が発生した状態で、動弁機構11により燃焼室2の吸気ポート5が開放されると、燃焼室2内に空気が取り込まれる。この空気は、まず吸気通路30の入口に設けられたエアクリーナ33により洗浄される。そして、浄化された空気は、吸気通路30を通りインテークマニホールドにより蓄積、分配され各気筒の燃焼室2に供給される。燃焼室2に供給された空気は、インジェクタ9から噴射される燃料と混合される。この混合気体は、点火プラグ10により点火され燃焼する。燃焼により混合気体は膨張してピストン7を下方に押圧する。その後、動弁機構11により排気バルブ13が駆動され排気ポート6が開放されると、燃焼後の排気ガスがエキゾーストマニホールドにより集められ、排気通路35により外部へ排気される。
ここで、エンジンシステム1では、燃焼室2へ空気を導入する吸気通路30に、吸気通路30を流れる空気の流量を制御するスロットルバルブ43が設けられている。従って、スロットルバルブ43の開閉駆動が正常に行われている時には、主としてスロットルバルブ43が、燃焼室2へ導入される空気の流量を調整する。また、このエンジンシステム1には、スロットルバルブ43より上流側の吸気通路30aから分岐してクランク室20へ空気を導入する分岐通路37a、37bが設けられている。このため、スロットルバルブ43より上流側の吸気通路30aを流れる空気の一部がクランク室20内に導入される。燃焼室22の下部は、ピストン7の上端外周に取り付けられたピストンリング8とシリンダ3のボア3aとの間にわずかなクリアランスCをもって閉じられている。このため、燃焼室2からピストンリング8とシリンダ3のごくわずかなすき間を抜けて、未燃焼ガスがクランク室20に漏れ出る。この未燃焼ガスが、ブローバイガスである。このブローバイガスは有毒成分を多量に含むため、そのまま大気中に排出されると大気汚染に繋がることになる。
そこで、エンジンシステム1では、分岐通路37a、37bからクランク室20へ導入された空気と燃焼室2からクランク室20へ漏れ出たブローバイガスとを、クランク室20内からスロットルバルブ43より下流側の吸気通路30bへ排出する環流通路38が設けられている。このため、クランク室20に溜まったブローバイガスは、分岐通路37a、37bからクランク室20へ導入された空気とともに環流通路38を経由して、スロットルバルブ43より下流側の吸気通路30bへ排出され、吸気通路30bから再び燃焼室2へ導入される。このようにして、ブローバイガスが大気中に排出されるのを抑制し、環境汚染を予防している。
この環流通路38にはPCVモータ82により開閉駆動されるPCVバルブ75が設けられており、分岐通路37a、37bからクランク室20へ導入された空気と燃焼室2からクランク室20へ漏れ出たブローバイガスとの混合気体の環流通路38を流れる流量が制御されている。また、分岐通路37a、37bからクランク室20へ導入された空気と燃焼室2からクランク室20へ漏れ出たブローバイガスとの混合気体は、スロットルバルブ43より下流側の吸気通路30bを経由して燃焼室2に導入されるため、スロットルバルブ43により流量を直接的に制御されない。
ここで、スロットルバルブ43やスロットルモータ47、スロットルセンサ48等の異常によりスロットルバルブ43の開閉駆動が正常に行われない場合がある。このような場合には、スロットルバルブ43により吸気通路30から燃焼室2へ適切な量の空気が供給されず、必要なエンジンの出力が得られないという事態が生じる。これに対して、このエンジンシステム1は、ECU100によりスロットルバルブ43の異常を検出可能であり、スロットルバルブ43の異常が検出されたとき、ECU100によりPCVバルブ75の開度を制御して燃焼室2へ導入される空気の流量を調整している。このため、たとえスロットルバルブ43の開閉駆動が正常に行われない場合にも、分岐通路37a、37bからクランク室20に導入された空気を、環流通路38からスロットルバルブ43より下流側の吸気通路30bを経由して燃焼室2へ空気を供給することができる。
次に、ECU100が行う電子スロットル40及び電子PCV60の制御内容について、図6〜図8を参照して詳細に説明する。図6は、本実施形態のエンジンシステムに係るECUによる電子スロットル及び電子PCVの制御内容を示すフローチャートである。図7は、同フローチャートにおけるアクセル開度と目標速度との関係を示すグラフである。図8は、同フローチャートにおける速度差とPCVバルブ補正量との関係を示すグラフである。
図6に示されるように、ステップS1において、ECU100は、電子スロットル40に異常があるか否か(電スロフェール時か否か)を判断する。そして、この判断結果が否定である場合、ECU100は、その後の処理を終了する。この判断結果が肯定である場合、ECU100は、処理をステップS2へ移行する。
ステップS2において、ECU100は、上述したオープナ機構49により、スロットルバルブ40の開度を、オープナ開度位置Nに固定する。すなわち、ECU100は、スロットルモータ47への通電を停止する。これにより、スロットルバルブ43は、オープナ開度位置Nに機械的に固定される。そして、ECU100は、処理をステップS3へ移行する。
ステップS3において、ECU100は、現在の車速(espd)が目標車速(espdref)と異なるか否かを判定する。ここで、現在の車速(espd)は、上述したクランクセンサ25により検出されるクランク角に基づいて決定される。詳しくは、ECU100は、クランクセンサ25からクランク角の情報を受け取る。そして、ECU100は、このクランク角から現在の車速を算出する。一方、目標車速(espdref)は、図7に一例として示されるように、あらかじめECU100が備えるマイコンに記憶されたデータを参照して決定される。詳しくは、ECU100は、アクセルセンサ55からアクセル開度の情報を受け取る。そして、ECU100が備えるマイコンは、アクセル開度に基づき、図7に示されるデータを参照して、目標速度を算出する。さらに、ECU100は、現在の車速(espd)と目標車速(espdref)とを比較する。この判断結果が否定的である場合(現在の車速が目標車速と等しい場合)、ECU100は、その後の処理を終了する。この判断結果が肯定である場合(現在の車速が目標車速とが異なる場合)、ECU100は、処理をステップS4へ移行する。
ステップS4において、ECU100は、目標車速と現在の車速(実車速)との速度差から、PCVバルブ補正量を算出する。上述の様に、ECU100では、目標車速と現在の車速(実車速)とが算出されている。ECU100は、これらの速度差に基づいて、図8に一例として示されるように、あらかじめECU100が備えるマイコンに記憶されたデータを参照してPCVバルブ補正量、すなわちPCVバルブ75の開度を決定する。ECU100は、決定された開度に基づきPCVバルブ75の開度を制御し、処理を終了する。なお、図8に示されるグラフは、目標車速が現在の車速より大きいときには、PCVバルブ75の開度を大きくして燃焼室2へ導入される空気量を増加させ、目標車速が現在の車速より小さいときには、PCVバルブ75の開度を小さくして燃焼室2へ導入される空気量を減少させることにより、目標車速に到達させるためのデータの一例である。本実施形態に係るPCVモータ82はステッピングモータであるため、例えば図8では、横軸としての速度差−10〜10km/hの範囲における所定の5点について、縦軸としてのPCVバルブ補正量が定められている。
上記したECU100の制御により、電子スロットル40の正常時あるいは異常時におけるスロットルバルブ43及びPCVバルブ75が示す挙動の一例について、図9に示すタイムチャートを参照して説明する。図9は、電子スロットルの正常時あるいは異常時におけるスロットルバルブ及びPCVバルブの挙動を示すタイミングチャートである。図9において、(a)は電スロフェールフラグ、(b)はスロットルバルブ開度、(C)は車速、(d)は吸気管負圧、(e)はPCVバルブ開度、(f)は吸入空気量を示す。なお、(c)、(e)及び(f)において、実線は本実施形態に係る挙動を示し、破線は従来技術に係る挙動を示す。
まず、図9に示す時刻t1以前におけるスロットルバルブ43及びPCVバルブ75の挙動について説明する。このとき、(a)に示すように、電子スロットル40のフェール時を示すフラグ(電スロフェールフラグ)が立っていない。すなわち、ECU100により電子スロットル40の異常は検出されておらず、上述したステップS1(図6参照)においてECU100による判断結果が否定である場合に該当する。この場合に、ECU100は上述したステップS2〜ステップS4(図6参照)を実行しない。従って、ロットルバルブ43は、(b)に示されるように、目標速度に応じて開閉される。
ここで、吸気通路30に働く負圧(吸気管負圧)は、(d)に示されるように、スロットルバルブ開度が大きくなるにつれて小さくなり、スロットルバルブ開度が小さくなるにつれて大きくなる。一方、PCVバルブ75の開度は、(e)に示されるように、スロットルバルブ開度が大きくなるにつれて大きくなり、スロットルバルブ開度が小さくなるにつれて小さくなる。つまり、吸気管負圧とPCVバルブ開度とは、反比例の関係にある。このため、環流通路38から吸気通路30を経由して燃焼室2へ供給される吸入空気量は、(f)に示すように、少量の略一定値に保たれる。従って、実際の車速は、(c)に示されるように、主としてスロットルバルブ開度が大きくなるにつれて上昇し、スロットルバルブ開度が小さくなるにつれて低下する。
次に、図9に示す時刻t1以降におけるスロットルバルブ43及びPCVバルブ75の挙動について説明する。このとき、(a)に示すように、電スロフェールフラグが立っている。すなわち、ECU100により電子スロットル40の異常が検出されており、上述したステップS1(図6参照)においてECU100による判断結果が肯定である場合に該当する。この場合に、ECU100はステップS2(図6参照)を実行し、スロットルバルブ43は、(b)に示すように、オープナ機構49によりオープナ開度位置Nに保持される。従って、吸気通路30からスロットルバルブ43を経由して燃焼室2へ供給される吸入空気量は、退避走行が可能な必要最低限の一定値に維持される。
ここで、従来技術に係るエンジンシステムでは、PCVバルブ75も、(e)に破線で示すように、電スロフェール時には一定の開度に保持される。従って、環流通路38からPCVバルブ75を経由して燃焼室2へ供給される吸入空気量は、(f)に破線で示すように、少量の一定値に維持される。このため、車速は、(c)に破線で示すように、目標速度(espdref)に到達しない。
これに対して、本実施形態のエンジンシステム1では、ECU100がステップS3及びステップS4(図6参照)を実行し、PCVバルブ75が、(e)に実線で示すように、電スロフェール時に目標速度に合わせて大きく開かれる。このため、環流通路38からPCVバルブ75を経由して燃焼室2へ供給される吸入空気量は、(f)に実線で示すように、目標速度に合わせて増加する。従って、燃焼室2へ供給される吸入空気量の増加に伴いエンジンの出力が上昇し、現在の車速は、(c)に示すように、目標車速(espdref)に到達する。
以上、詳細に説明したとおり、本実施形態に係るエンジンシステム1によれば、電子スロットルに異常をきたした場合に、ECU100により電子PCV60を電子的に制御することにより、エンジンの燃焼室2に供給される吸入空気量を増加させて、走行状況に応じたエンジンの出力を得ることができる。よって、運転者は、電子スロットルに異常をきたした場合に、走行状況に応じた退避走行を行うことができる。
また、本実施形態に係るエンジンシステム1においては、スロットルバルブ43を開閉駆動するスロットルモータ47と、スロットルモータ47によりスロットルバルブ43の開度を制御するECU100とを備え、ECU100は、スロットルバルブ43の異常が検出されたとき、スロットルモータ47への通電を停止することによりスロットルバルブ43を所定の開度に機械的に保っている。このため、スロットルバルブ43の異常が検出されたとき、ECU100がスロットルモータ47への通電を停止してスロットルバルブ43を所定の開度に機械的に保つことにより、車両を退避走行させるのに最低限必要なエンジンの出力を得られる。また、スロットルバルブ43の異常が検出されたときに、スロットルモータ47への通電が停止されるので、スロットルバルブ43は異常時におけるスロットルモータ47の誤動作等の影響を受けなくてすむ。また、ECU100は、通電を停止することによりスロットルバルブ43を所定の開度に機械的に保つため、電気的な異常にかかわらずスロットルバルブ43を所定開度に確実に保持することができる。また、異常時におけるスロットルバルブ43の制御は、スロットルモータ47への通電又はその停止という簡単な動作により実現される。従って、エンジンシステム1の構成を簡単にし、異常時におけるスロットルバルブ43の制御をより確実に行うことができる。
また、本実施形態に係るエンジンシステム1においては、ECU100が、現在の車速と目標車速との速度差を検出し、スロットルバルブ43の異常が検出されたとき、この速度差に基づいて現在の車速を目標車速とするようPCVバルブ75の開度を制御する。このため、スロットルバルブ43の制御に異常をきたしたとき、ECU100により検出される速度差に基づいて燃焼室2へ導入される空気量を調整し、目標速度に到達できるよう的確にPCVバルブ75の制御を行うことができる。従って、スロットルバルブ43の制御に異常をきたした場合にも、より的確に走行状況に応じた退避走行を行うことができる。
また、本実施形態に係るエンジンシステム1においては、ECU100が、スロットルバルブ43をオープナ開度49に保つときの目標車速とPCVバルブ75の開度との関係を示すデータを記憶したマイコンを備え、スロットルバルブ43の異常が検出されたとき、マイコンに記憶されたデータに基づいて現在の車速を目標車速とするようPCVバルブ75の開度を制御している。このため、スロットルバルブ43の制御に異常をきたしたとき、ECU100がマイコンに記憶されたデータを参照して、目標速度に到達するために必要なPCVバルブ75の開度を容易かつ瞬時に決定できる。よって、スロットルバルブ43の制御に異常をきたした場合にも、より確実に走行状況に応じた退避走行を行うことができる。
また、本実施形態に係るエンジンシステム1においては、アクセルペダル55にアクセルセンサ56が設けられており、アクセル開度をアクセルセンサ56で検出することにより、運転者の望む目標速度を直接的に把握することができる。従って、スロットルバルブ43の制御に異常をきたした場合に、走行状況に応じた運転者の望む速度で退避走行を行うことができる。
なお、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、発明の趣旨から逸脱しない範囲で適宜変更して具体化することもできる。例えば、本実施形態のスロットルバルブ43は、ECU100により電子的に制御されるリンクレスタイプであるが、アクセルペダル56の動作に機械的に連動して開閉するリンクタイプであってもよい。
1 エンジンシステム
2 燃焼室
20 クランク室
30 吸気通路
30a 上流側の吸気通路
30b 下流側の吸気通路
35 排気通路
37a (第一)分岐通路
37b (第二)分岐通路
38 環流通路
40 電子スロットル
43 スロットルバルブ
47 スロットルモータ
48 リニアスロットルセンサ
49 オープナ機構
60 電子PCV
75 PCVバルブ
82 PCVモータ
100 ECU(電子制御装置)
2 燃焼室
20 クランク室
30 吸気通路
30a 上流側の吸気通路
30b 下流側の吸気通路
35 排気通路
37a (第一)分岐通路
37b (第二)分岐通路
38 環流通路
40 電子スロットル
43 スロットルバルブ
47 スロットルモータ
48 リニアスロットルセンサ
49 オープナ機構
60 電子PCV
75 PCVバルブ
82 PCVモータ
100 ECU(電子制御装置)
Claims (5)
- 内燃機関の燃焼室へ空気を導入する吸気通路に設けられ、前記吸気通路を流れる空気の流量を制御するスロットル弁と、
前記スロットル弁より上流側の前記吸気通路から分岐して、内燃機関のクランクケースへ空気を導入する分岐通路と、
前記分岐通路から前記クランクケースへ導入された空気と燃焼室から前記クランクケースへ漏れ出たブローバイガスとを、前記クランクケース内から前記スロットル弁より下流側の前記吸気通路へ排出する排出通路と、
前記排出通路に設けられ、前記分岐通路から前記クランクケースへ導入された空気と燃焼室から前記クランクケースへ漏れ出たブローバイガスとの混合気体の前記排出通路を流れる流量を制御するブローバイガス制御弁と、
前記ブローバイガス制御弁を開閉駆動する第一モータと、
前記スロットル弁の異常を検出する異常検出手段と、
前記異常検出手段により前記スロットル弁の異常が検出されたとき、前記ブローバイガス制御弁の開度を制御することにより燃焼室へ導入される空気の流量を調整するブローバイガス制御弁制御手段と、
を備えたことを特徴とする内燃機関の制御装置。 - 請求項1に記載する内燃機関の制御装置において、
前記スロットル弁を開閉駆動する第二モータと、前記第二モータにより前記スロットル弁の開度を制御するスロットル弁制御手段とを備え、
前記スロットル弁制御手段は、前記異常検出手段により前記スロットル弁の異常が検出されたとき、前記第二モータへの通電を停止することにより前記スロットル弁を所定の開度に機械的に保つことを特徴とする内燃機関の制御装置。 - 請求項1又は2に記載する内燃機関の制御装置において、
現在の車速と目標車速との速度差を検出する速度差検出手段を備え、
前記ブローバイガス制御弁制御手段は、前記異常検出手段により前記スロットル弁の異常が検出されたとき、前記速度差検出手段により検出された速度差に基づいて現在の車速を目標車速とするようブローバイガス制御弁の開度を制御することを特徴とする内燃機関の制御装置。 - 請求項2に記載する内燃機関の制御装置において、
前記スロットル弁を前記所定の開度に保つときの目標車速とブローバイガス制御弁の開度との関係を示すデータを記憶した記憶手段を備え、
前記ブローバイガス制御弁制御手段は、前記異常検出手段により前記スロットル弁の異常が検出されたとき、前記記憶手段に記憶された前記データに基づいて現在の車速を目標車速とするようブローバイガス制御弁の開度を制御することを特徴とする内燃機関の制御装置。 - 請求項3又は4に記載する内燃機関の制御装置において、
アクセル開度を検出するアクセルセンサを備え、
前記目標車速は、アクセルセンサにより検出されたアクセル開度に基づいて算出されることを特徴とする内燃機関の制御装置。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP2007277880A JP2009103104A (ja) | 2007-10-25 | 2007-10-25 | 内燃機関の制御装置 |
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