JP2009101920A - タイヤ - Google Patents
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Abstract
【解決手段】本発明に係るタイヤは、ビードを巻き返している折り返しプライコードの外側に隣接し、且つタイヤ高さの半分以下、該ビードより上方の領域の一部又は全部に配置されるパッドゴムのゴム組成物が、ゴム成分100質量部に対してシリカを2〜15質量部の範囲で含有することを特徴とし、更に、ヒドラジド化合物をゴム成分100質量に対して0.2〜3質量部の範囲で含有することを特徴とする。
【選択図】図1
Description
低発熱性のゴムを得る為にカーボンブラックの配合量は少なく、低弾性で、耐熱劣化性を確保する為に硫黄の配合量も少なくすることが一般に実施されている。また補強性充填剤を30〜100重量部、および特定のジフェニルアミン系老化防止剤を0.2〜3.0重量部配合してなるゴム組成物を、ビード部補強用のゴムに使用することが提案されている(例えば、特許文献1)。
即ち、重荷重用空気入りタイヤの使用条件は、荷重や路面の勾配、気温、等の様々な要因があるが、非常に過酷な条件で使用されており、トレッドが完摩する以前に折返しプライコードの外側に配置されているパッド部材のセバレーションにより廃品になってしまうことがある。特に気温が高く、荷重の大きい使用条件のユーザーでは改良が求められている。
また、近年のタイヤの大型化に伴い、タイヤの変形が大きな問題となってきているが、折返しプライコードの被覆ゴムに対して入力を緩和する為に配置されているパットの弾性率は低く設定されており変形量が増加傾向にある為、パットの耐久性能の向上が求められている。
更に、パットの折返しプライ外側を占める割合は多く、ボリュームがある為、発熱性能の悪化はパットゴムの耐久性を低下させるだけでなく、隣接するゴムの耐久性の低下、例えば耐亀裂性の低下や、プライコードの接着性の低下等を引き超こす為、発熱性を低下させることは好ましくない。
また、カップリング剤の使用により弾性率の向上も計れるが、耐亀裂性の改良効果が少ない等の問題点もある。
(1).ビードを巻き返している折り返しプライコードの外側に隣接し、且つタイヤ高さの半分以下、該ビードより上方の領域の一部又は全部に配置されるパッドゴムのゴム組成物が、ゴム成分100質量部に対してシリカを2〜15質量部の範囲で含有することを特徴とするタイヤ。
但し、式中のR1及びR2は、炭素数1〜18の範囲にあるO、S、及びNの元素を含んで良い環状又は非環状の炭化水素である。
(3).上記ヒドラジド化合物が一般式(1)で表されるヒドラジド化合物である上記(2)記載のタイヤ。
(5).上記タイヤのリム径が25インチ以上である上記(1)〜(4)の何れかに記載の重荷重用タイヤ。
(6).上記折り返しプライコードからタイヤ表面までの最大ゲージが30mm以上で、且つ上記ゴム組成物のパッドゴムへの割合が50体積%以上である上記(5)記載の重荷重用タイヤ。
ここで、本願発明にあっては、タイヤのリム径が25インチ以上、更には、40インチ以上の大型重荷重用のタイヤとすることが良く、この場合の折り返しプライコード5aとタイヤ表面までの厚みの最大部分(図1のBの長さ)、即ち最大ゲージが30mm以上、特に、40mm以上のものに対してより好適に作用する。
上記ゴム組成物からなるパッドゴム部分は少なくとも50体積%以上を占めることが望ましく、特に、60体積%以上を占めることが望ましい。
シリカの配合量が2.0質量部未満では耐亀裂性の効果が十分に認められなくなる。シリカの配合量が15質量部を超えるとゴムパッドの弾性率の低下により、走行中のパッドの歪量が増大するため、発熱量の増加と相まって耐亀裂性も却って低下させる悪影響がある。
本発明に配合するヒドラジド化合物は、構造式が−C(=O)NHN=C(R1)R2で表されるヒドラジド基を少なくとも1以上含むヒドラジド化合物の少なくとも1種以上の化合物をゴム成分100質量に対して0.2〜3質量部の範囲で含有することが好ましい。
中でも、一般式(1)で表されるナフトエ酸ヒドラジド化合物であることが好ましい。
更に、一般式(1)で表わされるナフトエ酸ヒドラジド化合物としては、例えば、1−ヒドロキシ−N′−(1−メチルエチリデン)−2−ナフトエ酸ヒドラジド、1−ヒドロキシ−N′−(1−メチルプロピリデン)−2−ナフトエ酸ヒドラジド、1−ヒドロキシ−N′−(1−メチルブチリデン)−2−ナフトエ酸ヒドラジド、1−ヒドロキシ−N′−(1,3−ジメチルブチリデン)−2−ナフトエ酸ヒドラジド、1−ヒドロキシ−N′−(2−フリルメチレン)−2−ナフトエ酸ヒドラジド、3−ヒドロキシ−N′−(1−メチルエチリデン)−2−ナフトエ酸ヒドラジド、3−ヒドロキシ−N′−(1−メチルプロピリデン)−2−ナフトエ酸ヒドラジド、3−ヒドロキシ−N′−(1−メチルブチリデン)−2−ナフトエ酸ヒドラジド、3−ヒドロキシ−N′−(1,3−ジメチルブチリデン)−2−ナフトエ酸ヒドラジド、3−ヒドロキシ−N′−(2−フリルメチレン)−2−ナフトエ酸ヒドラジド、3−ヒドロキシ−N′−(1,2−ジフェニルエチリデン)−2−ナフトエ酸ヒドラジド等が挙げられる。
この中でも、3−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸ヒドラジド(HNH)から誘導される3−ヒドロキシ−(1,3−ジメチルブチリデン)−2−ナフトエ酸ヒドラジド(BMH)が特に好ましい。
シリカ配合量の少ない場合にヒドラゾド化合物を多量に適用すると、弾性率が上昇し、ヒドラジド化合物はゴムの弾性率低下を抑制し、且つ発熱性を確保した上での耐亀裂性の改良効果を発揮できるが、ヒドラジド化合物は隣接するプライコードのコーティングゴムとコードとの接着性を阻害する特性を有するため3質量部以下での配合が好ましい。また、ヒドラジド化合物の配合量が0.2質量部未満では弾性率向上効果が十分にえられない。
0.1≦ヒドラジド化合物(質量部)/シリカ(質量部)≦0.3
シリカ配合量:2〜10質量部、ヒドラジド化合物配合量:0.2〜3質量部が好ましい。
従って、耐亀裂性を向上させると共に弾性率、発熱性のバランスを確保し、プライコーティングゴムへの悪影響もないパットゴムのゴム組成物となり、重荷重用空気入りタイヤを提供することが十分に可能となる。この場合においても、シランカップリング剤を含まないことが好ましい。更に発熱性に関しては、ヒドラジド化合物を配合することで改良効果が得られるが、シリカ配合量が2〜7質量部の領域においては、特に良好な特性を得ることができる。
上記ゴム成分は、このように天然ゴムのみ、合成ゴムのみを含んでいてもよいし、両者を含んでいてもよい。合成ゴムとしては、特に制限はなく、公知のものの中から目的に応じて適宜選択することができるが、特に、ジェン系ゴムが好ましく、中でもスチレン−ブタジエン共重合体(SBR)、ポリイソプレン(IR)、ポリブタジエン(BR)、アクリロニトリル−ブタジエンゴム、クロロプレンゴム、及びブチルゴムから少なくとも1種を適宜選択することができる。
カーボンブラックは、ゴム成分100質量部に対して、30〜60質量部の範囲、特に好ましくは35〜50質量部の範囲で含むことが望ましい。カーボンブラックの配合量が30質量部未満では補強剤としての効果が不十分となりゴムの弾性率を確保することができなくなり、また、カーボンブラックの配合量が60質量部を超えると、ゴムの発熱性が高くなり、破断伸度が低下してくる。
このようなカーボンブラックは通常ゴム業界で用いられるものから適宜選択することができ、例えば、SRF、GPF、FER、HAF、ISAF等の種々のグレードのカーボンブラックを使用することができる。
硫黄は、ゴム成分100質量部に対して、1.0〜5.0質量部の範囲、特に好ましくは1.5〜4.0質量部の範囲で含むことが望ましい。硫黄の配合量が1.0質量部未満では補強剤としての効果が不十分となりカーボンブラックと同様にゴムの弾性率を確保することができなくなり、また硫黄の配合量が5.0質量部を超えると、ゴムの発熱性が高くなり、破断伸度が低下してくる。
製造した新品タイヤのバッドゴムから試験片を作成し、東洋精機社製ストログラフ(DIN)で温度25℃、引張り速度100mm/minにて引張り試験を行い、50%伸張時の弾性率(MPa)を測定した。
<tanδ:発熱性>
製造した新品タイヤのバッドゴムから試験片を作成し、東洋精機社製スペクトロメーターで温度25℃、周波数52Hz及び動歪2.0%の条件で、損失正接(tanδ)の測定を行った。数値が小さいほどヒステリシスロスは少なく、発熱性が良好である。
製造した新品タイヤを車体のフロント装着で2000時間、リアー装着で2000時間、合計4000時間を走行させた後にタイヤを外した。次に、タイヤのバッドゴムから厚さ1mm、幅6mmの試験片を作成し、そのロードテスト後のタイヤ、及びまた新品のタイヤで、ダンベル状7号型(JIS−K6251)にて繰り返し引張り試験を実施し入力エネルギーに対する破断回数から評価した。得られた試験結果から下記式に従って、新品時の耐亀裂成長性と走行による耐亀裂成長性の保持率を算出した。保持率の大きい方が引張り物性の低下が少なく良好である。また、比較例1を100として指数表示した。指数値が大きい程、傷が成長するまでの時間が長く、耐亀裂成長性が良好であることを示す。
(保持率)=(ロードテスト後の測定値)÷(新品タイヤの測定値)×100
実施例4〜6から、シリカ2.0質量部でのヒドラジド化合物変量時の比較を行うと、実施例3のヒドラジド化合物の配合量が0.2質量部未満であると耐亀裂性の改良効果があまり認められない。これに対して、実施例5及び6で配合される範囲では耐亀裂性の向上と弾性率及び発熱性とのバランスが取れていることが分かる。耐亀裂性に関してはロードテスト後の耐亀裂性のレベルが低下し難くなっていることが分かる。
実施例7〜9では、シリカ5.0質量部でのヒドラジド化合物変量時の比較を実施した結果、ヒドラジド化合物増量に伴い弾性率において増加傾向が認められるが、耐亀裂性の向上と弾性率及び発熱性とのバランスが取れていることが分かる。
実施例10〜12から、シリカ10.0質量部でのヒドラジド化合物変量時の比較を行うと、実施例10のヒドラジド化合物の配合量のシリカ配合量に対する比率が0.1未満であると弾性率の低下が大きく、ロードテスト後の耐亀裂性のメリットが減少するが、実施例11、12の範囲では耐亀裂性の向上と弾性率及び発熱性とのバランスが取れていることが分かる。
2 トレッド
3 サイドウォール
4 ビード
5 カーカス(プライコード)
5a 折り返しプライコード
6 ベルト
A パッド設置領域
B 最大ゲージ
Claims (6)
- ビードを巻き返している折り返しプライコードの外側に隣接し、且つタイヤ高さの半分以下、該ビードより上方の領域の一部又は全部に配置されるパッドゴムのゴム組成物が、ゴム成分100質量部に対してシリカを2〜15質量部の範囲で含有することを特徴とするタイヤ。
- 上記ゴム組成物は構造式が−C(=O)NHN=C(R1)R2で表されるヒドラジド基を少なくとも1以上含むヒドラジド化合物の少なくとも1種以上の化合物をゴム成分100質量に対して0.2〜3質量部の範囲で含有する請求項1記載のタイヤ。
(但し、式中のR1及びR2は、炭素数1〜18の範囲にあるO、S、及びNの元素を含んで良い環状又は非環状の炭化水素である。) - 上記シリカはゴム成分100質量部に対して2〜10質量部の範囲にあり、上記シリカとヒドラジド化合物との配合量の関係が、0.1≦ヒドラジド化合物(質量部)/シリカ(質量部)≦0.3である請求項2又は3記載のタイヤ。
- 上記タイヤのリム径が25インチ以上である請求項1〜4の何れかに記載の重荷重用タイヤ。
- 上記折り返しプライコードからタイヤ表面までの最大ゲージが30mm以上で、且つ上記ゴム組成物のパッドゴムへの割合が50体積%以上である請求項5記載の重荷重用タイヤ。
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