JP2009100014A - 無線通信システム - Google Patents

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Abstract

【課題】通信路環境に係わらず、通信容量を最大とし、BERを最小にできるMIMO方式の無線通信システムを提供する。
【解決手段】送信局に送信信号の位相を任意に変化させる位相制御装置を設置する。または該位相制御装置と同様の機能を備えた中継局を送信局と受信局間に配置する。この位相制御装置または中継局により、通信路環境を表すチャネル応答行列の各要素の位相を意図的に変化させ、通信容量が最大となり、BERが最小となるように、チャネル応答行列の相関行列の固有値の値を操作する。
【選択図】図2

Description

本発明は多入力多出力(MIMO:Multiple Input Multiple Output)技術を適用した無線通信システムに関する。
近年、限られた周波数で大容量のデータを伝送するための技術が要求され、それを実現するための一手法としてMIMO技術が注目を集めている。また、MIMO技術については、その通信容量やBER(Bit Error Rate)を向上させるための研究が盛んに行われている。
MIMO技術を適用しない無線通信システムでは、1Hz当たりの通信容量Cが周知のシャノンの情報理論から
Figure 2009100014
で決まる(非特許文献1参照)。
上式より、1Hz当たりの通信容量を向上させるには、送信電力を大きくして受信SNR(Signal to Noise Ratio)を大きくする必要がある。したがって、無線通信システムの低消費電力化には限界がある。それに対して、MIMO技術を適用すれば、送信電力を大きくしなくても、アンテナ数を増やすことで1Hzあたりの通信容量を向上させることができる。
しかしながら、MIMO技術を適用しても通信容量が理想的に向上するわけではない。実際の通信容量は送信局と受信局間の無線伝搬路の伝達特性(通信路環境)を表すチャネル応答行列の相関行列の固有値によって変動することが確認されている。
以下、このMIMO技術を適用したMIMO方式の無線通信システム(以下、MIMO通信システムと称す)の通信容量とチャネル応答行列の相関行列の固有値との関係について説明する。
例えば、図12に示す2×2MIMO通信システムにおける1Hz当たりの通信容量Cは、非特許文献2より
Figure 2009100014
となる。ここで、γ0は全ての受信アンテナにおける受信SNRの和であり、λ12はチャネル応答行列の相関行列の固有値を示している。但し、λ1≧λ2である。
上記式(1)のγ0を固定値とすると、(相乗平均)≦(相加平均)の関係より
Figure 2009100014
が成立し、通信容量Cは
Figure 2009100014
で表される。したがって、通信容量Cはλ1=λ2のときに最大となる。
この関係は、図12に示した2×2MIMO通信システムに限らず、M×N(M、N:任意の数)MIMO通信システムでも成り立つ。すなわち、一般的に、MIMO通信システムではチャネル応答行列の相関行列の固有値が全て等しいときに通信容量Cが最大となる。なお、Mは送信局が備える送信アンテナ数であり、Nは受信局が備える受信アンテナ数である。
次に、通信路環境が良好である場合と通信路環境が不良である場合の通信容量Cについて検討する。具体的には、チャネル応答行列の相関行列の固有値のばらつきが最も少ない場合を通信路環境が良好であるとし、固有値のばらつきが最も大きい場合を通信路環境が不良であるとする。
まず、送信アンテナ101から送信される信号をt1、送信アンテナ102から送信される信号をt2とし、受信アンテナ103で受信される信号をr1、受信アンテナ104で受信される信号をr2とすると、これらの信号の関係は
Figure 2009100014
で表される。ここで
Figure 2009100014
はチャネル応答行列であり、n1,n2は受信アンテナ103、104で受信した信号に現れるガウス雑音である。
式(3)のh11とh12の位相差をθ1とし、h21とh22の位相差をθ2とし、φ=θ2−θ1とすると、非特許文献3より
Figure 2009100014
のとき、式(3)は下記式(4)のように記述しても一般性が失われない。
Figure 2009100014
但し、
Figure 2009100014
の平均値は1であり、Kはキャリアパワーである。
このとき、相関行列の固有値λ12
Figure 2009100014
となり、φを0°から180°まで変化させたとき、固有値λ1とλ2は図13のグラフで示すように変化する。
図13に示すグラフから分かるように、固有値のばらつきが最も小さいときは、λ1=λ2=1であり、固有値のばらつきが最も大きいときは、λ1=2、λ2=0である。
λ1=λ2=1のときの通信路環境をタイプ1とし、λ1=2、λ2=0のときの通信路環境をタイプ2としたとき、タイプ1,2の通信路環境における通信容量Cの特性を図14に示す。
図14に示すグラフから分かるように、通信容量は受信SNRの値が大きくなるほど向上する。また、通信容量は、タイプ1の通信路環境(λ1=λ2=1)の方がタイプ2の通信路環境(λ1=2、λ2=0)よりも大きくなる。さらに、固有値のばらつきが最小のときの通信路環境(λ1=λ2=1)と、固有値のばらつきが最大のときの通信路環境(λ1=2、λ2=0)とでは、受信SNRの値が大きくなるほど通信容量の差が大きくなる。
次に、図12に示した2×2MIMO通信システムのBERについて、変調方式としてQPSK(Quadrature Phase Shift Keying)を用いた場合を例にして検討する。
上記式(4)より、相関行列の固有値λ12は、
Figure 2009100014
であるため、BERは下記式(5)で表すことができる。また、各φにおけるBERの特性は図15のグラフで示すようになる。
Figure 2009100014
なお、γは受信アンテナ一つ当たりのCNR(キャリアパワー対雑音比)である。
図15に示すBER特性から分かるように、BERは|φ|=180のときに最小となる。また、このときの相関行列の固有値λ12の関係はλ1=λ2である。
以上、チャネル応答行列の相関行列の固有値がばらつく通信路環境と、ばらつかない通信路環境とでは、その通信容量やBER特性が大きく異なることを示した。
したがって、MIMO技術を適用する無線通信システムでは、従来から通信容量の向上やBERを改善するための様々な手法が検討されている。特許文献1にはその一例が記載されている。
特許文献1には、複数のアンテナ素子に対する重みを変化させることで指向性を変更できる適応アレイアンテナ手段を備え、行列HH*(Hは現在のチャネル応答行列を表し、H*はその共役転置行列を表す)の固有値を算出し、算出した固有値の平均値を含む所定の範囲内に全ての固有値が含まれるチャネル応答行列H’を算出し、現在のチャネル応答行列Hが該算出したチャネル応答行列H’に近づくように適応アレイアンテナ手段の指向性を調整して、実際に通信で利用できる通信路の通信容量を向上させることが記載されている。
特開2005−045351号公報 福村晃夫著、「情報理論」、コロナ社、p.253−254 唐沢好男、「MIMO伝搬チャネルモデリング」、電子情報通信学会論文誌B、vol.J86−B、No.9、pp.1706−1720、2003年9月 村上豊、小林聖峰、折橋雅之、松岡剛史、「MIMOシステムにおける固有値を用いたBER特性の解析」、信学技報、IT2002−76、ISEC2002−134、SST2002−182、ITS2002−159(2003−03)
上述したようにMIMO通信システムでは、従来から通信容量の向上やBERを改善するための様々な手法が検討されている。
本発明は上記したような従来の技術が有する問題点を解決するためになされたものであり、通信路環境に係わらず、通信容量を最大にし、BERを最小にできるMIMO方式の無線通信システムを提供することを目的とする。
上記目的を達成するため本発明の無線通信システムは、複数の送信アンテナで信号を送信する送信局と、前記送信局から送信された信号を複数の受信アンテナで受信する受信局とを有する、多入力多出力方式の無線通信システムであって、
前記送信局は、
前記送信局と前記受信局間の通信路環境を表すチャネル応答行列の相関行列の最小固有値が最大となるように、前記チャネル応答行列の各要素の位相を変化させる構成である。
または、複数の送信アンテナで信号を送信する送信局と、前記送信局から送信された信号を複数の受信アンテナで受信する受信局とを有し、
前記送信局が、異なる複数の信号に対して所要の重みを付加して合成した後、複数の前記送信アンテナからそれぞれ送信し、前記受信局が、複数の受信アンテで送信局から送信された信号を受信して最大比合成を行う、多入力多出力方式の無線通信システムであって、
前記送信局は、
前記送信局と前記受信局間の通信路環境を表すチャネル応答行列の相関行列の最大固有値が最大となるように、前記チャネル応答行列の各要素の位相を変化させる構成である。
または、複数の送信アンテナで信号を送信する送信局と、前記送信局から送信された信号を複数の受信アンテナで受信する受信局と、前記送信局から前記受信局に送信される信号を中継する中継局とを有する、多入力多出力方式の無線通信システムであって、
前記中継局は、
前記中継局と前記受信局間の通信路環境を表す第1のチャネル応答行列の相関行列の最小固有値が最大となるように、前記第1のチャネル応答行列の各要素の位相を変化させる構成である。
または、複数の送信アンテナで信号を送信する送信局と、前記送信局から送信された信号を複数の受信アンテナで受信する受信局と、前記送信局から前記受信局に送信される信号を中継する中継局とを有し、
前記送信局及び前記中継局が、異なる複数の信号に対して所要の重みを付加して合成した後、複数の前記送信アンテナからそれぞれ送信し、前記受信局が、複数の受信アンテで送信局から送信された信号を受信して最大比合成を行う、多入力多出力方式の無線通信システムであって、
前記中継局は、
前記中継局と前記受信局間の通信路環境を表す第1のチャネル応答行列の相関行列の最大固有値が最大となるように、前記第1のチャネル応答行列の各要素の位相を変化させる構成である。
本発明によれば、通信容量を最大にし、BERを最小にできるMIMO方式の無線通信システムが得られる。
次に本発明について図面を用いて説明する。
(第1の実施の形態)
第1の実施の形態は、送信局により全送信電力を等分して複数の送信アンテナからそれぞれ信号を送信し、受信局により複数の受信アンテナで送信局から送信された信号を受信する、図1に示すMIMO方式の無線通信システム(以下、通常伝送方式のMIMO通信システムと称す)に好適な例である。なお、図1は送信局が2つの送信アンテナ801及び802から信号を送信し、受信局が2つの受信アンテナ803及び804で信号を受信する構成例を示している。
第1の実施の形態のMIMO通信システムは、送信局に、送信前の信号(IFFT処理前の信号)に位相制御行列Gを乗算する位相制御装置を備え、送信局と受信局間の通信路環境を表すチャネル応答行列の相関行列の最小固有値が最大となるように、位相制御装置を用いてチャネル応答行列の各要素の位相を変化させる。それにより、図1に示す通常伝送方式のMIMO通信システムの通信容量を最大にし、BERを最小にする。以下、そのための具体的な構成及び動作について説明する。
まず、第1の実施の形態のMIMO通信システムの構成について、図2に示す2×2MIMO通信システムを例にして説明する。
図2に示すように、第1の実施例の形態のMIMO通信システムは、2つの送信アンテナ1201及び1202、位相制御装置1204、制御部1208並びに記憶部1209を備えた送信局1203と、2つの受信アンテナ1205及び1206を備えた受信局1207とを有する構成である。
位相制御装置1204は、送信局1203と受信局1207間の通信路環境を表すチャネル応答行列の各要素の位相を変化させるためのものである。
制御部1208は、位相制御装置1204によるチャネル応答行列の各要素の位相変化量を制御する。位相制御装置1204及び制御部1208は、例えばプログラムにしたがって処理を実行するCPUやDSP、あるいはそれらと各種の論理回路やA/D変換器、D/A変換器等のアナログ処理回路を組み合わせることで実現できる。
一般に、無線通信システムを構成する無線基地局装置や端末装置等は送信局1203及び受信局1207としての機能をそれぞれ備えている。また、受信局1207には、通信路の状態に応じて、最適な伝送レート、変調方式あるいは符号化方式等を選択するために、送信局と受信局間の通信路特性を周知の方法を用いて測定する機能や、その測定結果(チャネル情報)を送信側(送信局1203)に通知する機能を備えている。その場合、送信局1203は、該チャネル情報に基づいてチャネル応答行列を生成し、生成したチャネル応答行列の各要素の位相を調整してもよい。なお、通信路環境の変動が少ないと予想される場合(固定端末装置間の通信等)、チャネル応答行列は予め設定した固定値であってもよい。
記憶部1209は、予め設定されたチャネル応答行列の情報や上記受信局1207から送信されたチャネル情報を保持するために用いられる。
送信局1203は、送信する前の信号をシリアルパラレル変換して2系統の送信信号を生成する。位相制御装置1204は2系統の送信信号にそれぞれの位相を変化させるための位相制御行列Gを乗算する。位相制御行列Gが乗算された一方の系統の送信信号は送信アンテナ1201から送信され、他方の系統の送信信号は送信アンテナ1202から送信される。
送信アンテナ1201及び1202から送信された信号は、受信局1207の受信アンテナ1205及び1206で受信される。このとき、受信局1207で受信した信号は、送信局1203から送信された信号と、送信局1203と受信局1207間の通信路環境を表すチャネル応答行列H1との乗算結果と等価になる。なお、位相制御行列G、及びチャネル応答行列H1は、図2に示すように
Figure 2009100014
とする。
ここで、送信アンテナ1201から送信される信号をt1、送信アンテナ1202から送信される信号をt2とし、受信アンテナ1205で受信する信号をr1、受信アンテナ1206で受信する信号をr2とすると、これらの信号の関係は
Figure 2009100014
で表される。このとき
Figure 2009100014
とおくと、θ1、θ2、θ3、θ4を変化させることで、φ1、φ2、φ3、φ4を任意に変化させることができる。
次に、上記チャネル応答行列H2の相関行列の固有値について検討する。
参考文献1(唐沢好男、谷口哲樹、張 毅民、「MIMO構成における最大比合成ダイバーシチOFDMの最適伝送について」、信学技報、A・P 2001−196、p.45−52、2002−1)よれば、チャネル応答行列H2の相関行列の固有値λ1、λ2(λ1≧λ2)は以下のように表される。
Figure 2009100014
但し、ξ=φ1423である。
代表的な例として、
Figure 2009100014
とすると、
Figure 2009100014
になる。
続いて、上記λ1及びλ2に関する式を用いて、ξを変化させた時の通信容量及びBERについて検討する。
第1の実施の形態のMIMO通信システムにおける1Hz当たりの通信容量Cは、全ての受信アンテナにおける受信SNRの和をγとすると、上記非特許文献2より
Figure 2009100014
となる。
この式に基づく、ξの変化に対する通信容量の特性の変化の様子を図3に示す。
図3に示すように、1Hzあたりの通信容量Cは、ξを大きくすると向上し、ξの絶対値が180°のときに最大となる。
一方、第1の実施の形態のMIMO通信システムにおけるBERは、変調方式にQPSKを用いている場合、以下の式のようになる。
Figure 2009100014
この式に基づく、ξの変化に対するBERの特性の変化の様子を図4に示す。
図4に示しように、BERは、ξを大きくすると小さくなり、ξの絶対値が180°のときに最小となる。
したがって、送信局1203が備える位相制御装置1204によって送信する信号の各位相θ1、θ2、θ3、θ4を変化させてξの絶対値が180°となるように調整すれば、通信容量が最大であり、かつBERが最小となるMIMO通信システムを実現できる。
次に第1の実施の形態の送信局1203が備える位相制御装置1204の動作について図5を用いて説明する。
図5に示すように、位相制御装置1204は、2つの系統の送信信号を遅延させる位相制御器1303〜1306と、位相制御器1303〜1306から出力された信号を加算する加算器1307及び1308とを備えている。
データ入力端子1301から入力された送信信号は2つに分岐される。分岐された信号の一方は位相制御器1303により位相がθ1だけ遅延され、分岐された信号の他方は位相制御器1304により位相がθ3だけ遅延される。
同様に、データ入力端子1302から入力された送信信号は2つに分岐され、分岐された信号の一方は位相制御器1305により位相がθ2だけ遅延され、分岐された信号の他方は位相制御器1306により位相がθ4だけ遅延される。
位相制御器1303で位相がθ1だけ遅延された信号と位相制御器1305で位相がθ2だけ遅延された信号は加算器1307で加算され、データ出力端子1309から出力される。
同様に、位相制御器1304で位相がθ2だけ遅延された信号と位相制御器1306で位相がθ4だけ遅延された信号は加算器1308で加算され、データ出力端子1310から出力される。
上記位相制御器1303〜1306並びに加算器1307及び1308による位相制御装置1204の処理は、送信する信号に位相制御行列Gを乗算して出力する処理と等価であり、チャネル応答行列の各要素の位相を変化させる処理と等価になる。したがって、本実施形態のMIMO通信システムによれば、位相制御装置1204によってチャネル応答行列の相関行列の固有値を意図的に操作できる。そのため、位相制御装置1204により送信する信号の各位相θ1、θ2、θ3、θ4を変化させてξの絶対値が180°となるように調整すれば、通信容量が最大であり、かつBERが最小となるMIMO通信システムを実現できる。
上述した背景技術のMIMO通信システムでは、チャネル応答行列の相関行列の固有値を調整することなく信号を送受信している。したがって、通信容量やBERが通信路環境に依存して決まり、通信路環境が劣悪な場合は通信容量が低下し、かつBERが大きくなっていた。一方、本実施形態のMIMO通信システムでは、チャネル応答行列の相関行列の固有値を意図的に操作することで、いかなる通信路環境においても通信容量が最大であり、かつBERが最小となるMIMO通信システムを実現できる。
(第2の実施の形態)
第2の実施の形態のMIMO通信システムは、送信局により異なる複数の信号に対して所要の重みを付加して合成した後、複数の送信アンテナからそれぞれ送信し、受信局により複数の受信アンテで送信局から送信された信号を受信して最大比合成を行う、図6に示すMIMO方式の無線通信システム(以下、最大比合成伝送方式のMIMO通信システムと称す)に好適な例である。なお、図6は送信局が2つの送信アンテナ903及び904から信号を送信し、受信局が2つの受信アンテナ905及び906で信号を受信する構成例を示している。
第2の実施の形態のMIMO通信システムは、第1の実施の形態と同様に、送信局に、送信前の信号(IFFT処理前の信号)に位相制御行列Gを乗算する位相制御装置を備え、送信局と受信局間の通信路環境を表すチャネル応答行列の相関行列の最大固有値が最大となるように、位相制御装置を用いてチャネル応答行列の各要素の位相を変化させる。それにより、図1に示す通常伝送方式のMIMO通信システムの通信容量を最大にし、BERを最小にする。
以下、第2の実施の形態のMIMO通信システムについて、第1の実施の形態と同様に、図2に示した2×2MIMO通信システムを例にして説明する。
なお、MIMO通信システムの構成、送信局1203と受信局1207間の通信路環境を表すチャネル応答行列H1および位相制御行列Gは、第1の実施の形態と同様であるため、その説明は省略する。
第2の実施の形態のMIMO通信システムでは、送信アンテナ1201から送信される信号をt1、送信アンテナ1202から送信される信号をt2とし、受信アンテナ1205で受信する信号をr1、受信アンテナ1206で受信する信号をr2とすると、これらの信号の関係は
Figure 2009100014
で表される。このとき
Figure 2009100014
とおけば、θ1、θ2、θ3、θ4を変化させることで、φ1、φ2、φ3、φ4を任意に変化させることができる。
また、上記参考文献1によれば、チャネル応答行列H2の相関行列の固有値λ1、λ2(λ1≧λ2)は、以下のように表される。
Figure 2009100014
但し、ξ=φ1423である。
代表的な例として、
Figure 2009100014
とすると、
Figure 2009100014
になる。
したがって、第2の実施の形態のMIMO通信システムにおける1Hz当たりの通信容量Cは、全ての受信アンテナにおける受信SNRの和をγとすると、上記非特許文献2より
Figure 2009100014
となる。
この式に基づく、ξの変化に対する通信容量の特性の変化の様子を図7に示す。
図7に示すように、1Hzあたりの通信容量Cは、ξを小さくすると向上し、ξの絶対値が0°のときに最大となる。
一方、第2の実施の形態のMIMO通信システムにおけるBERは、変調方式にQPSKを用いている場合、以下の式のようになる。
Figure 2009100014
この式に基づく、ξの変化に対するBERの特性の変化の様子を図8に示す。
図8に示しように、BERは、ξを小さくすると小さくなり、ξの絶対値が0°のときに最小となる。
したがって、第2の実施の形態のMIMO通信システムによれば、送信局1203が備える位相制御装置1204により送信する信号の各位相θ1、θ2、θ3、θ4を変化させてξの絶対値が0°となるように調整すれば、通信容量が最大であり、かつBERが最小となるMIMO通信システムを実現できる。
第2の実施の形態の送信局1203が備える位相制御装置1204の構成及び動作は、第1の実施の形態と同様であるため、ここではその説明を省略する。
(第3の実施の形態)
第3の実施の形態は、図1に示した通常伝送方式のMIMO通信システムに好適な例である。
第3の実施の形態のMIMO通信システムは、送信局と受信局間に、送信局から受信局に送信される信号を中継する中継局を備えた構成である。中継局は、第1の実施の形態で示した位相制御装置と同様に、中継する信号に対して位相制御行列Gを乗算し、送信局と中継局及び中継局と受信局間の通信路環境を表す各チャネル応答行列の相関行列の最小固有値が最大となるように、位相制御装置を用いてチャネル応答行列の各要素の位相を変化させる。それにより、通常伝送方式のMIMO通信システムの通信容量を最大にし、BERを最小にする。以下、そのための具体的な構成及び動作について説明する。
まず、第3の実施の形態のMIMO通信システムの構成について、図9に示す2×2MIMO通信システムを例にして説明する。
図9に示すように、第3の実施例の形態のMIMO通信システムは、2つの送信アンテナ401及び402を備えた送信局403と、2つの受信アンテナ409及び410を備えた受信局411と、2つの送信アンテナ404及び405、制御部412、記憶部413並びに2つの受信アンテナ406及び407を備えた中継局408とを有する構成である。
中継局408は、送信局403と中継局408間の通信路環境を表すチャネル応答行列(第1のチャネル応答行列)、並びに中継局408と受信局411間の通信路環境を表すチャネル応答行列(第2のチャネル応答行列)の各要素の位相を変化させる。
制御部412は、中継局408による各チャネル応答行列の各要素の位相変化量を制御する。制御部412は、例えばプログラムにしたがって処理を実行するCPUやDSP、あるいはそれらと各種の論理回路やA/D変換器、D/A変換器等のアナログ処理回路を組み合わせることで実現できる。中継局408は、送信部及び受信部を備えた周知の無線通信部並びにプログラムにしたがって処理を実行するCPUやDSP、あるいはそれらと各種の論理回路やA/D変換器、D/A変換器等のアナログ処理回路を組み合わせることで実現できる。
一般に、無線通信システムを構成する無線基地局装置や端末装置等は、送信局403、中継局408及び受信局411としての機能をそれぞれ備えている。また、中継局408には、通信路の状態に応じて、最適な伝送レート、変調方式あるいは符号化方式等を選択するために、送信局403と中継局408間の通信路特性を周知の方法を用いて測定する機能や、その測定結果(チャネル情報)を送信側(送信局)に通知する機能を備えている。同様に、受信局411には、通信路の状態に応じて、最適な伝送レート、変調方式あるいは符号化方式等を選択するために、中継局408と受信局411間の通信路特性を周知の方法を用いて測定する機能や、その測定結果(チャネル情報)を送信側(送信局)に通知する機能を備えている。その場合、中継局408は、自身で測定したチャネル情報に基づいて送信局403と中継局408間のチャネル応答行列を生成し、生成したチャネル応答行列の各要素の位相を調整してもよい。また、中継局408は、受信局411から通知されるチャネル情報に基づいて中継局408と受信局411間のチャネル応答行列を生成し、生成したチャネル応答行列の各要素の位相を調整してもよい。なお、通信路環境の変動が少ないと予想される場合(固定端末装置間の通信等)、チャネル応答行列は予め設定した固定値であってもよい。
記憶部413は、予め設定されたチャネル応答行列の情報や上記受信局411から送信されたチャネル情報を保持するために用いられる。
送信局403は、異なる送信信号を2つの送信アンテナ401及び402を介して送信する。
中継局408は、送信局403から送信された信号を受信アンテナ406及び407で受信する。このとき、中継局408で受信した信号は、送信局403から送信された信号と、送信局403と中継局408間の通信路環境を表すチャネル応答行列(第1のチャネル応答行列)H1との乗算結果と等価になる。
中継局408は、受信アンテナ404及び405で受信した信号に位相制御行列Gを乗算し、乗算結果を送信アンテナ406及び407から送信する。
受信局411は、中継局408から送信された信号を受信アンテナ409及び410で受信する。このとき、受信局411で受信した信号は、中継局408から送信された信号と、中継局408と受信局411間の通信路環境を表すチャネル応答行列(第2のチャネル応答行列)H2との乗算結果と等価になる。なお、位相制御行列G、及びチャネル応答行列H1及びH2は、図9に示すように
Figure 2009100014
とする。
ここで、送信アンテナ401から送信される信号をt1、送信アンテナ402から送信される信号をt2とし、受信アンテナ409で受信する信号をr1、受信アンテナ410で受信する信号をr2とすると、これらの信号の関係は
Figure 2009100014
で表される。このとき
Figure 2009100014
とおけば、θ1、θ2、θ3、θ4を変化させることで、φ1、φ2、φ3、φ4を任意に変化させることができる。
次に、送信局403と受信局411間のチャネル応答行列H3の相関行列の固有値について検討する。
上記参考文献1によれば、チャネル応答行列H3の相関行列の固有値λ1、λ2(λ1≧λ2)は、以下のように表される。
Figure 2009100014
但し、ξ=φ1423である。
代表的な例として、
Figure 2009100014
とすると、
Figure 2009100014
となる。
上記λ1及びλ2に関する式を用いて、ξを変化させた時の通信容量及びBERについて検討する。
第3の実施の形態のMIMO通信システムにおける1Hz当たりの通信容量Cは、全ての受信アンテナにおける受信SNRの和をγとすると、上記非特許文献2より
Figure 2009100014
となる。
この式に基づく、ξの変化に対する通信容量の特性は、第1の実施の形態と同様に図3のグラフで示すように変化し、1Hzあたりの通信容量Cは、ξを大きくすると向上し、ξの絶対値が180°のときに最大となる。
一方、第3の実施の形態のMIMO通信システムにおけるBERは、変調方式にQPSKを用いている場合、以下の式のようになる。
Figure 2009100014
この式に基づく、ξの変化に対するBERの特性は、第1の実施の形態と同様に図4のグラフで示すように変化し、BERは、ξを大きくすると小さくなり、ξの絶対値が180°のときに最小となる。
したがって、中継器408によって中継する信号の各位相θ1、θ2、θ3、θ4を変化させてξの絶対値が180°となるように調整すれば、通信容量が最大であり、かつBERが最小となるMIMO通信システムを実現できる。
次に第3の実施の形態のMIMO通信システムが備える中継器408の動作について図10を用いて説明する。
図10に示すように、中継器1204は、2つの系統の受信信号を遅延させる位相制御器503〜506と、位相制御器503〜506から出力された信号を加算する加算器507及び508とを備えている。
受信アンテナ501で受信した信号は2つに分岐され、分岐された信号の一方は位相制御器503により位相がθ1だけ遅延され、分岐された信号の他方は位相制御器504により位相がθ3だけ遅延される。
同様に、受信アンテナ502で受信した信号は2つに分岐され、分岐された信号の一方は位相制御器505により位相がθ3だけ遅延され、分岐された信号の他方は位相制御器506により位相がθ4だけ遅延される。
位相制御器503で位相がθ1だけ遅延された信号と位相制御器505で位相がθ2だけ遅延された信号は加算器507で加算され、送信アンテナ509から送信される。
同様に、位相制御器504で位相がθ2だけ遅延された信号と位相制御器506で位相がθ4だけ遅延された信号は加算器508で加算され、送信アンテナ510から送信される。
上記位相制御器503〜506並びに加算器507及び508による中継局408の処理は、送信する信号に位相制御行列Gを乗算して出力する処理と等価であり、チャネル応答行列の各要素の位相を変化させる処理と等価になる。したがって、本実施形態のMIMO通信システムによれば、中継局408によってチャネル応答行列の相関行列の固有値を意図的に操作できる。そのため、中継局408により中継する信号の各位相θ1、θ2、θ3、θ4を変化させてξの絶対値が180°となるように調整すれば、通信容量が最大であり、かつBERが最小となるMIMO通信システムを実現できる。
なお、上記説明では、中継局408が送信局403と中継局408間の通信路環境を表すチャネル応答行列(第1のチャネル応答行列)H1及び中継局408と受信局411間の通信路環境を表すチャネル応答行列(第2のチャネル応答行列)H2をそれぞれ用いて中継する信号の位相を調整する例を示したが、中継局408は第1のチャネル応答行列H1または第2のチャネル応答行列)H2のいずれか一方のみ用いて中継する信号の位相を調整してもよい。
(第4の実施の形態)
第4の実施の形態は、図6に示した最大比合成伝送方式のMIMO通信システムに好適な例である。
第4の実施の形態のMIMO通信システムは、第3の実施の形態と同様に、中継局により中継する信号に対して位相制御行列Gを乗算し、送信局と受信局間の通信路環境を表すチャネル応答行列の相関行列の最大固有値が最大となるように、チャネル応答行列の各要素の位相を変化させる。それにより、最大比合成伝送方式のMIMO通信システムの通信容量を最大にし、BERを最小にする。
以下、第4の実施の形態のMIMO通信システムについて、第3の実施の形態と同様に、図9に示した2×2MIMO通信システムを例にして説明する。
なお、MIMO通信システムの構成、送信局403と中継局408間の通信路環境を表すチャネル応答行列H1、中継局408と受信局411間の通信路環境を表すチャネル応答行列H2および位相制御行列Gは、第3の実施の形態と同様であるため、その説明は省略する。
第4の実施の形態のMIMO通信システムでは、送信アンテナ401から送信される信号をt1、送信アンテナ402から送信される信号をt2とし、受信アンテナ409で受信する信号をr1、受信アンテナ410で受信する信号をr2とすると、これらの信号の関係は
Figure 2009100014
で表される。このとき
Figure 2009100014
とおけば、θ1、θ2、θ3、θ4を変化させることで、φ1、φ2、φ3、φ4を任意に変化させることができる。
また、上記参考文献1によれば、チャネル応答行列H3の相関行列の固有値λ1、λ2(λ1≧λ2)は、以下のように表される。
Figure 2009100014
但し、ξ=φ1423である。
代表的な例として、
Figure 2009100014
とすると、
Figure 2009100014
になる。
したがって、第4の実施の形態のMIMO通信システムにおける1Hz当たりの通信容量Cは、全ての受信アンテナにおける受信SNRの和をγとすると、上記非特許文献2より
Figure 2009100014
となる。
この式に基づく、ξの変化に対する通信容量の特性は、第2の実施の形態と同様に図7のグラフで示すように変化し、1Hzあたりの通信容量Cは、ξを小さくすると向上し、ξの絶対値が0°のときに最大となる。
一方、第4の実施の形態のMIMO通信システムにおけるBERは、変調方式にQPSKを用いている場合、以下の式のようになる。
Figure 2009100014
この式に基づく、ξの変化に対するBERの特性は、第2の実施の形態と同様に図8のグラフで示すように変化し、BERは、ξを小さくすると小さくなり、ξの絶対値が0°のときに最小となる。
したがって、第4の実施の形態のMIMO通信システムによれば、中継器408により中継する信号の各位相θ1、θ2、θ3、θ4を変化させてξの絶対値が0°となるように調整すれば、通信容量が最大であり、かつBERが最小となるMIMO通信システムを実現できる。
第4の実施の形態のMIMO通信システムが備える中継器408の構成及び動作は、第3の実施の形態と同様であるため、ここではその説明を省略する。
(第5の実施の形態)
第5の実施の形態は、図1に示した通常伝送方式のMIMO通信システムに好適な例である。但し、第5の実施の形態のMIMO通信システムでは、各送信アンテナに対して周知の注水定理に基づき電力が分配されるものとする。電力分配の注水定理については、例えば参考文献2(尾崎一幸、中島昭範、安達文幸、「ターボ符号化HARQを用いる固有モードMIMOの多重のスループット特性」、信学技報)に記載されている。
第5の実施の形態のMIMO通信システムは、第1の実施の形態と同様に、送信局に、送信前の信号(IFFT処理前の信号)に位相制御行列Gを乗算する位相制御装置を備え、送信局と受信局間の通信路環境を表すチャネル応答行列の相関行列の最小固有値が最大となるように、位相制御装置を用いてチャネル応答行列の各要素の位相を変化させる。それにより、通常伝送方式のMIMO通信システムの通信容量を最大にし、BERを最小にする。以下、そのための具体的な構成及び動作について説明する。
まず、第5の実施の形態のMIMO通信システムの構成について、図11に示す2×2MIMO通信システムを例にして説明する。
図11に示すように、第5の実施例の形態のMIMO通信システムは、2つの送信アンテナ1501及び1502並びに位相制御装置1504を備えた送信局1503と、2つの受信アンテナ1505及び1506を備えた受信局1507とを有する構成である。
送信局1503は、送信する前の信号をシリアルパラレル変換して2系統の送信信号を生成する。位相制御装置1504は2系統の送信信号にそれぞれの位相を変化させるための位相制御行列Gを乗算する。位相制御行列Gが乗算された一方の系統の送信信号は送信アンテナ1501から送信され、他方の系統の送信信号は送信アンテナ1502から送信される。
送信アンテナ1501及び1502から送信された信号は、受信局1507の受信アンテナ1505及び1506で受信される。このとき、受信局1507で受信した信号は、送信局1503から送信された信号と、送信局1503と受信局1507間の通信路環境を表すチャネル応答行列H1との乗算結果と等価になる。なお、位相制御行列G、及びチャネル応答行列H1は、図11に示すように
Figure 2009100014
とする。
ここで、送信アンテナ1501から送信される信号をt1、送信アンテナ1502から送信される信号をt2とし、受信アンテナ1505で受信する信号をr1、受信アンテナ1506で受信する信号をr2とすると、これらの信号の関係は
Figure 2009100014
で表される。ここで
Figure 2009100014
とおくと、
Figure 2009100014
となる。
次に、上記チャネル応答行列H2の相関行列の固有値について検討する。
上記参考文献1によれば、チャネル応答行列H2の相関行列の固有値λ1、λ2(λ1≧λ2)は、以下のように表される。
Figure 2009100014
但し、ξ=θ11+θ22−θ12−θ21+θ1+θ4−θ2−θ3である。
代表的な例として、
Figure 2009100014
とすると、
Figure 2009100014
となる。
上記λ1及びλ2に関する式を用いて、ξを変化させた時の通信容量及びBERについて検討する。
第5の実施の形態のMIMO通信システムにおける1Hz当たりの通信容量Cは、全ての受信アンテナにおける受信SNRの和をγとすると、上記非特許文献2より
Figure 2009100014
となる。
この式に基づく、ξの変化に対する通信容量の特性は、第1の実施の形態と同様に図3のグラフで示すように変化し、1Hzあたりの通信容量Cは、ξを大きくすると向上し、ξの絶対値が180°のときに最大となる。
一方、第3の実施の形態のMIMO通信システムにおけるBERは、変調方式にQPSKを用いている場合、以下の式のようになる。
Figure 2009100014
この式に基づく、ξの変化に対するBERの特性は、第1の実施の形態と同様に図4のグラフで示すように変化し、BERは、ξを大きくすると小さくなり、ξの絶対値が180°のときに最小となる。
したがって、第5の実施の形態のMIMO通信システムによれば、送信局1503が備える位相制御装置1504によって送信する信号の各位相θ1、θ2、θ3、θ4を変化させてξの絶対値が180°となるように調整すれば、通信容量が最大であり、かつBERが最小となるMIMO通信システムを実現できる。
第5の実施の形態の送信局1503が備える位相制御装置1504の構成及び動作は、第1の実施の形態と同様であるため、ここではその説明を省略する。
(第6の実施の形態)
第6の実施の形態は、図6に示した最大比合成伝送方式のMIMO通信システムに好適な例である。但し、第6の実施の形態のMIMO通信システムも、第5の実施の形態と同様に、各送信アンテナに対して周知の注水定理に基づき電力が分配されるものとする。
第6の実施の形態のMIMO通信システムは、第1の実施の形態と同様に、送信局に、送信前の信号(IFFT処理前の信号)に位相制御行列Gを乗算する位相制御装置を備え、送信局と受信局間の通信路環境を表すチャネル応答行列の相関行列の最大固有値が最大となるように、位相制御装置を用いてチャネル応答行列の各要素の位相を変化させる。それにより、図6に示す最大比合成伝送方式のMIMO通信システムの通信容量を最大にし、BERを最小にする。以下、そのための具体的な構成及び動作について説明する。
以下、第6の実施の形態のMIMO通信システムについて、第5の実施の形態と同様に、図11に示した2×2MIMO通信システムを例にして説明する。
なお、MIMO通信システムの構成、送信局1503と受信局1507間の通信路環境を表すチャネル応答行列H1および位相制御行列Gは、第5の実施の形態と同様であるため、その説明は省略する。
第6の実施の形態のMIMO通信システムでは、送信アンテナ1501から送信される信号をt1、送信アンテナ1502から送信される信号をt2とし、受信アンテナ1505で受信する信号をr1、受信アンテナ1506で受信する信号をr2とすると、これらの信号の関係は
Figure 2009100014
で表される。ここで
Figure 2009100014
とおくと、
Figure 2009100014
となる。
また、上記参考文献1によれば、チャネル応答行列H2の相関行列の固有値λ1、λ2(λ1≧λ2)は、以下のように表される。
Figure 2009100014
但し、ξ=θ11+θ22−θ12−θ21+θ1+θ4−θ2−θ3である。
代表的な例として、
Figure 2009100014
とすると、
Figure 2009100014
になる。
したがって、第6の実施の形態のMIMO通信システムにおける1Hz当たりの通信容量Cは、全ての受信アンテナにおける受信SNRの和をγとすると、上記非特許文献2より
Figure 2009100014
となる。
この式に基づく、ξの変化に対する通信容量の特性は、第2の実施の形態と同様に図7のグラフで示すように変化し、1Hzあたりの通信容量Cは、ξを小さくすると向上し、ξの絶対値が0°のときに最大となる。
一方、第6の実施の形態のMIMO通信システムにおけるBERは、変調方式にQPSKを用いている場合、以下の式のようになる。
Figure 2009100014
この式に基づく、ξの変化に対するBERの特性は、第2の実施の形態と同様に図8のグラフで示すように変化し、BERは、ξを小さくすると小さくなり、ξの絶対値が0°のときに最小となる。
したがって、第6の実施の形態のMIMO通信システムによれば、中継器408により中継する信号の各位相θ1、θ2、θ3、θ4を変化させてξの絶対値が0°となるように調整すれば、通信容量が最大であり、かつBERが最小となるMIMO通信システムを実現できる。
第6の実施の形態の送信局1503が備える位相制御装置1504の構成及び動作は、第1の実施の形態と同様であるため、ここではその説明を省略する。
上述した第1の実施の形態〜第6の実施の形態では、2×2MIMO通信システムを例にして、本発明の構成や動作及び効果について説明したが、本発明はM×N(M、N:任意の数)MIMO通信システムに適用しても第1の実施の形態〜第6の実施の形態で示した2×2MIMO通信システムと同様の効果が得られる。なお、Mは送信局が備える送信アンテナ数であり、Nは受信局が備える受信アンテナ数である。
本発明を適用する通常伝送方式のMIMO通信システムの一構成例を示すブロック図である。 第1の実施の形態のMIMO通信システムの一構成例を示すブロック図である。 第1の実施の形態のMIMO通信システムのξの変化に対する通信容量の特性の変化を示すグラフである。 第1の実施の形態のMIMO通信システムのξの変化に対するBERの特性の変化を示すグラフである。 図2に示した送信局が備える位相制御装置の一構成例を示すブロック図である。 本発明を適用する最大比合成伝送方式のMIMO通信システムの一構成例を示すブロック図である。 第2の実施の形態のMIMO通信システムのξの変化に対する通信容量の特性の変化を示すグラフである。 第2の実施の形態のMIMO通信システムのξの変化に対するBERの特性の変化を示すグラフである。 第3の実施の形態のMIMO通信システムの一構成例を示すブロック図である。 図9に示したMIMO通信システムが備える中継局の一構成例を示すブロック図である。 第5の実施の形態のMIMO通信システムの一構成例を示すブロック図である。 2×2MIMO通信システムの構成を示すブロック図である。 背景技術のMIMO通信システムにおける、φの変化に対する固有値λ1及びλ2の変化の様子を示すグラフである。 固有値のばらつきが最も小さいときの通信路環境及び固有値のばらつきが最も大きいときの通信路環境における通信容量の特性を示すグラフである。 背景技術のMIMO通信システムのφの変化に対するBERの特性の変化を示すグラフである。
符号の説明
401、402、406、407、501、502、801、802、903、904、1201、1202、1501、1502 送信アンテナ
403、1203、1503 送信局
404、405、409、410、509、510、803、804、905、906、1205、1206、1505、1506 受信アンテナ
408 中継局
411、1207、1507 受信局
412、1208 制御部
413、1209 記憶部
503〜506、1303〜1306 位相制御器
507、508、1307、1308 加算器
1204、1504 位相制御装置
1301、1302 データ入力端子
1309、1310 データ出力端子

Claims (22)

  1. 複数の送信アンテナで信号を送信する送信局と、前記送信局から送信された信号を複数の受信アンテナで受信する受信局とを有する、多入力多出力方式の無線通信システムであって、
    前記送信局は、
    前記送信局と前記受信局間の通信路環境を表すチャネル応答行列の相関行列の最小固有値が最大となるように、前記チャネル応答行列の各要素の位相を変化させる無線通信システム。
  2. 前記送信局は、
    予め設定された前記チャネル応答行列の情報を保持している請求項1記載の無線通信システム。
  3. 前記受信局は、
    前記送信局と受信局間の通信路の特性を測定し、該測定結果から得られる前記チャネル応答行列を生成するためのチャネル情報を前記送信局に送信し、
    前記送信局は、
    前記チャネル情報に基づいて前記チャネル応答行列の各要素の位相を変化させる請求項1記載の無線通信システム。
  4. 前記送信局は、
    複数の前記送信アンテナに、全送信電力を等分して前記信号を送信する請求項1記載の無線通信システム。
  5. 前記送信局は、
    複数の前記送信アンテナに、注水定理に基づいて全送信電力を配分して前記信号を送信する請求項1記載の無線通信システム。
  6. 複数の送信アンテナで信号を送信する送信局と、前記送信局から送信された信号を複数の受信アンテナで受信する受信局とを有し、
    前記送信局が、異なる複数の信号に対して所要の重みを付加して合成した後、複数の前記送信アンテナからそれぞれ送信し、前記受信局が、複数の受信アンテで送信局から送信された信号を受信して最大比合成を行う、多入力多出力方式の無線通信システムであって、
    前記送信局は、
    前記送信局と前記受信局間の通信路環境を表すチャネル応答行列の相関行列の最大固有値が最大となるように、前記チャネル応答行列の各要素の位相を変化させる無線通信システム。
  7. 前記送信局は、
    予め設定された前記チャネル応答行列の情報を保持している請求項6記載の無線通信システム。
  8. 前記受信局は、
    前記送信局と受信局間の通信路の特性を測定し、該測定結果から得られる前記チャネル応答行列を生成するためのチャネル情報を前記送信局に送信し、
    前記送信局は、
    前記チャネル情報に基づいて前記チャネル応答行列の各要素の位相を変化させる請求項6記載の無線通信システム。
  9. 複数の送信アンテナで信号を送信する送信局と、前記送信局から送信された信号を複数の受信アンテナで受信する受信局と、前記送信局から前記受信局に送信される信号を中継する中継局とを有する、多入力多出力方式の無線通信システムであって、
    前記中継局は、
    前記中継局と前記受信局間の通信路環境を表す第1のチャネル応答行列の相関行列の最小固有値が最大となるように、前記第1のチャネル応答行列の各要素の位相を変化させる無線通信システム。
  10. 前記中継局は、
    前記送信局と前記中継局間の通信路環境を表す第2のチャネル応答行列の相関行列の最小固有値が最大となるように、前記第2のチャネル応答行列の各要素の位相を変化させる請求項9記載の無線通信システム。
  11. 前記中継局は、
    予め設定された前記第1のチャネル応答行列の情報を保持している請求項9記載の無線通信システム。
  12. 前記中継局は、
    予め設定された前記第2のチャネル応答行列の情報を保持している請求項10記載の無線通信システム。
  13. 前記受信局は、
    前記中継局と受信局間の通信路の特性を測定し、該測定結果から得られる前記第1のチャネル応答行列を生成するためのチャネル情報を前記中継局に送信し、
    前記中継局は、
    前記チャネル情報に基づいて前記第1のチャネル応答行列の各要素の位相を変化させる請求項9記載の無線通信システム。
  14. 前記中継局は、
    前記送信局と中継局間の通信路の特性を測定し、該測定結果から得られる前記第2のチャネル応答行列を生成するためのチャネル情報を取得し、
    前記チャネル情報に基づいて前記第2のチャネル応答行列の各要素の位相を変化させる請求項10記載の無線通信システム。
  15. 前記中継局は、
    複数の送信アンテナに、全送信電力を等分して前記信号を送信する請求項9記載の無線通信システム。
  16. 前記中継局は、
    複数の送信アンテナに、注水定理に基づいて全送信電力を配分して前記信号を送信する請求項9記載の無線通信システム。
  17. 複数の送信アンテナで信号を送信する送信局と、前記送信局から送信された信号を複数の受信アンテナで受信する受信局と、前記送信局から前記受信局に送信される信号を中継する中継局とを有し、
    前記送信局及び前記中継局が、異なる複数の信号に対して所要の重みを付加して合成した後、複数の前記送信アンテナからそれぞれ送信し、前記受信局が、複数の受信アンテで送信局から送信された信号を受信して最大比合成を行う、多入力多出力方式の無線通信システムであって、
    前記中継局は、
    前記中継局と前記受信局間の通信路環境を表す第1のチャネル応答行列の相関行列の最大固有値が最大となるように、前記第1のチャネル応答行列の各要素の位相を変化させる無線通信システム。
  18. 前記中継局は、
    前記送信局と前記中継局間の通信路環境を表す第2のチャネル応答行列の相関行列の最大固有値が最大となるように、前記第2のチャネル応答行列の各要素の位相を変化させる請求項17記載の無線通信システム。
  19. 前記中継局は、
    予め設定された前記第1のチャネル応答行列の情報を保持している請求項17記載の無線通信システム。
  20. 前記中継局は、
    予め設定された前記第2のチャネル応答行列の情報を保持している請求項18記載の無線通信システム。
  21. 前記受信局は、
    前記中継局と受信局間の通信路の特性を測定し、該測定結果から得られる前記第1のチャネル応答行列を生成するためのチャネル情報を前記中継局に送信し、
    前記中継局は、
    前記チャネル情報に基づいて前記第1のチャネル応答行列の各要素の位相を変化させる請求項17記載の無線通信システム。
  22. 前記中継局は、
    前記送信局と中継局間の通信路の特性を測定し、該測定結果から得られる前記第2のチャネル応答行列を生成するためのチャネル情報を取得し、
    前記チャネル情報に基づいて前記第2のチャネル応答行列の各要素の位相を変化させる請求項18記載の無線通信システム。
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