JP2009099251A - 磁気ディスク用ガラス基板及びその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】現状に求められる耐衝撃性よりもさらに高い耐衝撃性を満足する磁気ディスク用ガラス基板及びその製造方法を提供すること。
【解決手段】本発明の磁気ディスク用ガラス基板は、主表面及び端面を有し、化学強化処理が施された円盤状の磁気ディスク用ガラス基板であって、前記主表面の最表部応力層押し込み長が49.1μm以下であり、バビネ補正器法による応力プロファイルにおいて前記主表面と圧縮応力との間のなす角をθとしたときに、{12・t・ln(tanθ)+(49.1/t)}の値yが前記最表部応力層押し込み長以下であることを特徴とする。
【選択図】図1

Description

本発明は、ハードディスクドライブ装置に搭載される磁気ディスク用のガラス基板及びその製造方法に関する。
ハードディスクドライブ装置(HDD装置)に搭載される磁気記録媒体として磁気ディスクがある。磁気ディスクは、アルミニウム−マグネシウム合金などで構成された金属基板上にNiP膜を被着したり、ガラス基板やセラミックス基板上に磁性層や保護層を積層したりして作製される。従来では、磁気ディスク用の基板としてアルミニウム合金基板が広く用いられていたが、近年の磁気ディスクの小型化、薄板化、高密度記録化に伴って、アルミニウム合金基板に比べて表面の平坦度や薄板での強度に優れたガラス基板が用いられるようになってきている(特許文献1)。
近年、HDD装置に搭載される磁気ディスクにおいては、今後、記録容量がさらに拡大し、HDD装置において情報の記録速度及び読出速度をより一層速くすることが求められる。そして、これらの要求を満たすためには、磁気ディスクをより高速に回転させることが求められる。
ところが、HDD装置において磁気ディスクを高速に回転させると、磁気ディスクには強い負荷がかかることになるので、磁気ディスクには、高い強度(耐衝撃性)が求められる。また、近年では、HDD装置は、例えば、ノートパソコン、携帯電話、携帯型音楽プレーヤなどの携帯機器に用いられるようになっているため、磁気ディスクには、携帯機器を落とした場合でも、壊れないような耐衝撃性が求められている。このように、現状に求められる耐衝撃性よりもさらに高い耐衝撃性を満足する磁気ディスク(磁気ディスク用基板)が求められている。
特開平9−27150号公報
本発明はかかる点に鑑みてなされたものであり、現状に求められる耐衝撃性よりもさらに高い耐衝撃性を満足する磁気ディスク用ガラス基板及びその製造方法を提供することを目的とする。
本発明の磁気ディスク用ガラス基板は、主表面及び端面を有し、化学強化処理が施された円盤状の磁気ディスク用ガラス基板であって、前記主表面の最表部応力層押し込み長が49.1μm以下であり、バビネ補正器法による応力プロファイルにおいて前記主表面と圧縮応力との間のなす角をθとしたときに、{12・t・ln(tanθ)+(49.1/t)}の値yが前記最表部応力層押し込み長以下であることを特徴とする。
ここで、前記最表部応力層押し込み長は、対稜角が172°30’と130°の横断面が菱形であるダイヤモンド四角錐圧子を100gの押圧力で前記主表面に押し込んだ際の圧痕における長い方の対角線の長さであり、前記tanθは、バビネ補正器法で求めた応力値及び応力深さから求められた値{(P+P)/(L+L)}であり、前記tは基板厚さである。
は圧縮応力値であり、Pは引張応力値であり、Lは圧縮応力深さであり、Lは引張応力深さである。
この構成によれば、表層部(基板表面から約1.5μm程度の深さ)における圧縮応力が高く、基板内部の深さ方向における応力値(圧縮応力、引張応力)の変化率が小さいので、現状に求められる耐衝撃性よりもさらに高い耐衝撃性(例えば、1000分の1秒で加速度1500G〜2000Gに耐える)を満足することができる。
本発明の磁気ディスク用ガラス基板においては、前記yの値が{16・t・ln(tanθ)+(49.1/t)}であることが好ましい。
本発明の磁気ディスク用ガラス基板においては、前記磁気ディスク用ガラス基板を構成するガラスがZrを含むアルミノシリケートガラスであることが好ましい。
本発明の磁気ディスク用ガラス基板においては、原子間力顕微鏡で測定した前記主表面の表面粗さRaが0.3nm以下であることが好ましい。
本発明の磁気ディスク用ガラス基板においては、前記磁気ディスク用ガラス基板の円周方向に測定長0.8mmで前記端面の表面粗さRaが0.2μm以下であることが好ましい。
本発明の磁気ディスク用ガラス基板においては、圧縮応力深さが50μm以上であることが好ましい。
本発明の磁気ディスク用ガラス基板の製造方法は、ガラス基板に化学強化処理を施す工程を含む磁気ディスク用ガラス基板の製造方法であって、前記化学強化処理は、前記磁気ディスク用ガラス基板の主表面の最表部応力層押し込み長が49.1μm以下であり、バビネ補正器法による応力プロファイルにおいて前記主表面と圧縮応力との間のなす角をθとしたときに、{12・t・ln(tanθ)+(49.1/t)}の値yが前記最表部応力層押し込み長以下であるために十分な条件で行われることを特徴とする。
ここで、前記最表部応力層押し込み長は、対稜角が172°30’と130°の横断面が菱形であるダイヤモンド四角錐圧子を100gの押圧力で前記主表面に押し込んだ際の圧痕における長い方の対角線の長さであり、前記tanθは、バビネ補正器法で求めた応力値及び応力深さから求められた値{(P+P)/(L+L)}であり、前記tは基板厚さである。
は圧縮応力値であり、Pは引張応力値であり、Lは圧縮応力深さであり、Lは引張応力深さである。
この方法によれば、表層部(基板表面から約1.5μm程度の深さ)における圧縮応力が高く、基板内部の深さ方向における応力値(圧縮応力、引張応力)の変化率が小さいので、現状に求められる耐衝撃性よりもさらに高い耐衝撃性(例えば、1000分の1秒で加速度1500G〜2000Gに耐える)を満足する磁気ディスク用ガラス基板を得ることができる。
本発明の磁気ディスク用ガラス基板の製造方法においては、前記yの値が{16・t・ln(tanθ)+(49.1/t)}であることが好ましい。
本発明の磁気ディスク用ガラス基板の製造方法においては、前記磁気ディスク用ガラス基板を構成するガラスがZrを含むアルミノシリケートガラスであることが好ましい。
本発明の磁気ディスクは、上記磁気ディスク用ガラス基板と、前記磁気ディスク用ガラス基板の主表面上に、直接又は他の層を介して設けられた磁性層と、を具備することを特徴とする。
以下、本発明の実施の形態について添付図面を参照して詳細に説明する。
(実施の形態1)
本発明に係る磁気ディスク用ガラス基板は、例えば、ハードディスクドライブ(HDD)などに搭載される磁気ディスク用のガラス基板である。この磁気ディスクは、例えば、垂直磁気記録方式によって高密度の情報信号記録及び再生を行うことができる記録媒体である。また、この磁気ディスク用ガラス基板は、主に1.8インチ型磁気ディスクや、2.5インチ型磁気ディスクに用いられる。
本発明に係る磁気ディスク用ガラス基板は、前記主表面の最表部応力層押し込み長が49.1μm以下であり、バビネ補正器法による応力プロファイルにおいて前記主表面と圧縮応力との間のなす角をθとしたときに、{12・t・ln(tanθ)+(49.1/t)}の値yが前記最表部応力層押し込み長以下であるので、現状に求められる耐衝撃性よりもさらに高い耐衝撃性を満足することができる。なお、前記最表部応力層押し込み長は、対稜角が172°30’と130°の横断面が菱形であるダイヤモンド四角錐圧子を100gの押圧力で前記主表面に押し込んだ際の圧痕における長い方の対角線の長さであり、前記tanθは、バビネ補正器法で求めた応力値及び応力深さから求められた値{(P+P)/(L+L)}であり、前記tは基板厚さである。
は圧縮応力値であり、Pは引張応力値であり、Lは圧縮応力深さであり、Lは引張応力深さである。
化学強化を施したガラス基板においては、ガラス基板を構成するガラスに含まれている原子のイオンをその原子よりも大きい原子半径を持つ原子のイオンと交換することにより、表層に圧縮応力層が形成されている。このように化学強化処理を施されたガラス基板における応力プロファイルを図1に示す。図1は、厚さtのガラス基板における応力プロファイルを示す図である。図1においては、中央のX線よりも右側が圧縮応力の領域であり、X線よりも左側が引張応力の領域である。すなわち、図1におけるPは圧縮応力値を示し、Pは引張応力値を示す。また、図1におけるLは圧縮応力深さを示し、Lは引張応力深さを示す。圧縮応力の領域において、圧縮応力値Pが大きいほど強化の程度が高い。また、引張応力の領域において、基板表面から応力プロファイルまでの距離(深さ)は、基板表面から応力プロファイルまでクラックが到達すると割れが生じる距離であり、この深さが大きいとガラスが割れにくい。
耐衝撃性の観点(割れにくさ)からは、圧縮応力の領域から引張応力の領域にかけての応力プロファイルの傾き(主表面と圧縮応力との間のなす角)をθとしたときにtanθが大きい、すなわち基板表面から応力プロファイルまでの距離(深さ)が大きいことが好ましい。これは、tanθが大きいと、主表面から内部への応力変化量が緩やかになり、短い時間(1000分の2秒以下)の衝撃に対して伸びようとするクラックを有効に抑えることができるからである。一方、応力プロファイルにおいてtanθを大きくすると、必然的に圧縮応力値Pが小さくなる。このような状況において、本発明者らは、基板表面のミクロな表層部分に着目し、応力プロファイルにおけるtanθを大きし、圧縮応力値Pが小さい場合であっても、基板表層部分の硬度を高くすることにより耐衝撃性を向上させることができることを見出し本発明をするに至った。
基板表層の硬度については、対稜角が172°30’と130°の横断面が菱形であるダイヤモンド四角錐圧子を100gの押圧力でガラス基板の主表面に押し込んだ際の圧痕における長い方の対角線の長さ(最表部応力層押し込み長)で評価する。このような評価方法によれば、基板表面における厚さ1μm〜2μm程度の薄い表層での硬度を間接的に表現することができる。なお、基板表面の表層の硬度の評価方法については、これに限定されず、基板表面における厚さ1μm〜2μm程度の薄い表層での硬度を間接的に表現できる方法を用いることができる。本発明においては、上記評価方法における圧痕の長い方の対角線の長さが49.1以下とする。
また、バビネ補正器法による応力プロファイルにおいて前記主表面と圧縮応力との間のなす角をθとしたときに、{12・t・ln(tanθ)+(49.1/t)}の値yが最表部応力層押し込み長以下にする。tanθは、バビネ補正器法で求めた応力値及び応力深さから求められた値{(P+P)/(L+L)}であり、tは基板厚さである。
このとき、Pは圧縮応力値であり、Pは引張応力値であり、Lは圧縮応力深さであり、Lは引張応力深さである。このy={12・t・ln(tanθ)+(49.1/t)}なる特性曲線は、図2に示す特性曲線Aである。したがって、本発明に係るガラス基板は、この特性曲線において最表部応力層押し込み長49.1以下の領域の特性を有する。より好ましくは、図2に示す特性曲線Bであるy={16・t・ln(tanθ)+(49.1/t)}の領域の特性を有する。上述したように、割れにくさの観点からは、tanθが大きいことが好ましいので、本発明に係るガラス基板は、図2において、最表部応力層押し込み長が49.1μm以下であり、特性曲線Aよりも右側(tanθが大きい側)、好ましくは特性曲線Bよりも右側(tanθが大きい側)の領域(図2における右下の領域)の特性を有することが好ましい。
図1に示すような応力プロファイルは、バビネ補正器法により得ることができる。なお、バビネ補正器とは、等しい角度を持った二つの相対した水晶楔(クサビ)を含む器具であり、一方の楔はマイクロメーターのネジによってその長さの方向に移動されるようになっている。これら二つの楔は、光学軸方向が互いに垂直となされ、かつ、移動可能な一方の楔の光学軸方向は、移動可能方向に沿っている。この器具は、結晶の位相差の遅れ(リターデーション)や複屈折の度合い、あるいは、内部応力のあるガラスの検査などに広く使用されている。
ガラス基板の製造においては、(1)形状加工工程及び第1ラッピング工程、(2)端部形状工程(穴部を形成するコアリング工程、端部(外周端部及び内周端部)に面取り面を形成するチャンファリング工程(面取り面形成工程))、(3)端面研磨工程(外周端部及び内周端部)、(4)第2ラッピング工程、(5)主表面研磨工程(第1及び第2研磨工程)、(6)化学強化工程を備えている。なお、化学強化工程以外の工程については、通常行われる条件で行われる。
上述したような特性を持つガラス基板を得るためには、(6)化学強化工程において、ガラス組成及び化学強化条件を適切に設定する必要がある。すなわち、主表面の最表部応力層押し込み長が49.1μm以下であり、バビネ補正器法による応力プロファイルにおいて前記主表面と圧縮応力との間のなす角をθとしたときに、{12・t・ln(tanθ)+(49.1/t)}の値yが前記最表部応力層押し込み長以下となるように、ガラス組成及び化学強化条件を適切に設定する。
ガラス基板を構成するガラス材料としては、アルミノシリケートガラスを挙げることができる。アルミノシリケートガラスは、優れた平滑鏡面を実現することができるとともに、化学強化を行うことによって、破壊強度を高めることができる。特に、アルミノシリケートガラスにZrが含まれていることが好ましい。このようにアルミノシリケートガラスにZrが含まれていることにより、基板の剛性率(=ヤング率/比重)を上げることができる。
具体的には、アルミノシリケートガラスとしては、SiOが57質量%〜75質量%であり、Alが5質量%〜20質量%(ただし、SiOとAlの合計量が74質量%以上)であり、ZrO,HfO,Nb,Ta,La,YO3びTiOが合計で0を超え6質量%以下であり、LiOが1質量%を超え9質量%以下であり、NaOが5質量%〜18質量%であり(ただし、質量比LiO/NaOが0.5以下)、KOが0〜6質量%であり、MgOが0〜4質量%であり、CaOが0を超え5質量%以下であり(ただし、MgOとCaOの合計量は5質量%以下であり、かつCaOの含有量はMgOの含有量よりも多い)、SrO+BaOが0〜3質量%であるものを好ましく用いることができる。
SiOは、ガラス骨格を形成する主成分であって、ガラス安定性、化学的耐久性、特に耐酸性を向上させ、基板の熱拡散を低下させ、輻射による基板の加熱効率を高める働きをする成分である。その含有量が57%未満では耐失透性が低下し、安定に製造可能なガラスが得られにくい上、粘性が低下して成形が困難となり、一方75%を超えるとガラスの熔解が困難となる。耐失透性、粘性、成形性などの面から、より好ましいSiOの含有量は63質量%〜70質量%の範囲であり、さらに好ましい含有量は63質量%〜68質量%の範囲である。
Alは、化学的耐久性を向上させるとともに、イオン交換を促進させる成分であって、その含有量が5質量%未満では上記効果が充分に発揮されず、20質量%を超えるとガラスの熔解性及び耐失透性が低下し易い。化学的耐久性、イオン交換性、ガラスの熔解性、耐失透性のバランスなどの面から、より好ましいAlの含有量は11質量%〜20質量%の範囲であり、さらに好ましい含有量は13質量%〜18質量%の範囲である。
SiOとAlは相互に置換可能であるが、ガラス安定性と化学的耐久性を良好に維持する上からSiOとAlの合計含有量を74質量%以上とするのがよい。前記合計量の好ましい範囲は76質量%以上であり、より好ましい範囲は78質量%以上であり、更に好ましい範囲は79質量%を超える範囲であり、一層好ましくは80質量%以上である。
LiO、NaO、KOといったアルカリ金属酸化物は、ガラスの熔融性を高めるとともに、熱膨張係数を高めて情報記録媒体用基板、特に磁気記録媒体用基板に好適な熱膨張特性を付与する働きをする。
LiOはイオン交換に供するアルカリイオンとして、最も好ましい成分であって、その含有量が1質量%以下では化学強化処理した場合に、厚い圧縮応力層と強度を有する化学強化ガラスが得られにくく、9質量%を超えると化学的耐久性及び耐失透性が低下し易い。化学強化ガラスの性能及び化学的耐久性、耐失透性などの面から、より好ましいLiOの含有量は1.5質量%〜7質量%の範囲であり、さらに好ましくは2質量%〜5質量%の範囲である。
NaOは、上記LiOと同様に化学強化ガラスを得るための成分であって、その含有量が5質量%未満では所望の性能を有する化学強化ガラスが得られにくく、18%質量を超えると化学的耐久性が低下し易い。化学強化ガラスの性能及び化学的耐久性などの面から、好ましいNaOの含有量は7質量%〜16質量%の範囲、さらに好ましい含有量は8質量%〜15質量%の範囲である。また、アルカリ成分として、KOを用いてもよいが、このKOはイオン交換に関与しないため、その含有量%は0〜6質量%程度である。
ただし、NaO量に対するLiO量の割合(LiO/NaO)を、通常0.5以下、好ましくは0.45以下、より好ましくは0.4以下、更に好ましくは0.38以下とする。化学強化時のイオン交換に直接寄与するガラス成分はLiOとNaOであり、熔融塩中、イオン交換に寄与するあるアルカリイオンはNaイオン及び/又はKイオンである。化学強化処理する基板の枚数が増えるにつれて、熔融塩中のLiイオン濃度が増加するが、(LiO/NaO)が0.5を超えるガラスを多量に処理すると、熔融塩中のLiイオン濃度の上昇が顕著になり、イオン交換に寄与するアルカリイオンとイオン交換に寄与しないアルカリイオンのバランスが処理開始時から大きく変化することになる。その結果、処理開始時に最適化した処理条件が、処理枚数が多くなるにつれて最適範囲からずれてしまう。このような問題を解消するためにLiO/NaOを上記範囲に設定することが好ましい。
MgO,CaOは、少量の添加によりガラスの熔解性を向上させる効果があるが、いずれも多く添加しすぎるとイオン交換が阻害され、得られる化学強化ガラスの圧縮応力層の厚さが小さくなるので好ましくない。したがって、MgOは0〜4質量%がより好ましく、CaOは0%を超え5質量%以下がより好ましい。
また、MgOとCaOの合計量が5%を超えると化学的耐久性が低下しやすいので、MgOとCaOの合計量を、好ましくは5質量%以下、より好ましくは4.5質量%以下、さらに好ましくは4質量%以下とする。更に、耐失透性を良好にするために、CaOの含有量をMgOの含有量よりも多くするのがよい。化学的耐久性をより高める上からは、MgO及びCaOをガラス成分として共存させることが好ましい。そして、CaO量に対するMgO量の割合(MgO/CaO)を、好ましくは0.1〜0.9、より好ましくは0.3〜0.7とすることにより一層化学的耐久性を高めることができ、ガラス安定性を高めることもできる。
ZrO,HfO,Nb,Ta,La,Y及びTiOは、化学的耐久性、特に耐アルカリ性を向上させ、剛性や靭性を高める成分である。そのため、ZrO,HfO,Nb,Ta,La,Y及びTiOの合計含有量を0%超とすることが好ましい。しかし、上記合計含有量が6質量%を越えると、ガラス安定性が低下したり、熔融性が低下したり、比重が増大するため、ZrO,HfO,Nb,Ta,La,Y及びTiOの合計含有量は0を超え6質量%以下とするのがよい。前記合計含有量の好ましい範囲は5.5質量%以下、より好ましい範囲は4質量%以下、更に好ましい範囲は3質量%以下である。前記含有量の好ましい下限は0.1質量%、より好ましい下限は0.2質量%、更に好ましい下限は0.5質量%、一層好ましい下限は1質量%、より一層好ましい下限は1.4質量%である。
ZrO,HfO,Nb,Ta,La,Y及びTiOのうち、TiOを含むガラスは水に浸漬したときにガラス表面にガラスと水の反応生成物が付着することがあり、耐水性に関しては他の成分のほうが有利である。したがって、耐水性を維持する上からTiOの含有量を0〜1質量%とすることが好ましく、0〜0.5質量%とすることがより好ましく、導入しないことが更に好ましい。
HfO,Nb,Ta,Laはガラスの比重を増大させ、基板の質量を増加させるから、基板を軽量化する上からHfO,Nb,Ta及びLaの合計含有量を0〜3質量%の範囲にすることが好ましく、0〜2質量%の範囲にすることがより好ましく、0〜1質量%の範囲にすることが更に好ましく、導入しないことが一層好ましい。HfO,Nb,Ta,Laのそれぞれの好ましい含有量は0〜3質量%、より好ましい含有量は0〜2質量%、更に好ましく0〜1質量%、一層好ましくは導入しない。
ZrOは、化学的耐久性、特に耐アルカリ性を向上させる働きが強く、剛性や靭性を高めるとともに、化学強化の効率を高める働きを有する。また、Yに比べて原料コストを安いため、ZrO,HfO,Nb,Ta,La,Y2O及びTiOの合計含有量に対するZrOの含有量の質量比を0.8〜1の範囲にすることが好ましく、0.9〜1の範囲にすることがより好ましく、0.95〜1にすることが更に好ましく、1にすることが一層好ましい。
ZrOは微量でも導入することにより、化学的耐久性、特に耐アルカリ性を向上させ、剛性や靭性を高めるとともに、化学強化の効率を高める働きを有する必須成分である。しかし、薄肉化された基板でZrOを多く導入しすぎると化学強化の効率が高くなりすぎ、過剰な圧縮応力層が形成され、基板のうねりが生じやすくなる。したがって、ZrOの含有量は0%を超え5.5質量%以下とするのが良い。ZrO含有量の好ましい範囲は0.1質量%〜5.5質量%である。ZrO含有量の好ましい下限は0.2質量%、より好ましい下限は0.5質量%、更に好ましい下限は1質量%、一層好ましい下限は1.4質量%であり、好ましい上限は5質量%、より好ましい上限は4質量%、更に好ましい上限は3質量%である。
基板の熱拡散を低減するだけでなく、赤外線を吸収する添加物をガラスに導入してガラスの赤外線吸収を高めることも有効である。このような赤外線吸収添加剤としては、Fe,Cu,Co,Yb,Mn,Nd,Pr,V,Cr,Ni,Mo,Ho,Er、水分を例示できる。Fe,Cu,Co,Yb,Mn,Nd,Pr,V,Cr,Ni,Mo,Ho,Erはガラス中でイオンとして存在するが、これらイオンが還元されるとガラス中又は表面に析出し、基板表面の平滑性を損なうおそれがあるので、その含有量は合計で0〜1質量%に抑えることが肝要であり、0〜0.5質量%にすることが好ましく、0〜0.2質量%にすることがより好ましい。Feの導入量は、Feに換算して、1質量%以下にすることが好ましく、0.5質量%以下にすることがより好ましく、0.2質量%以下にすることが更に好ましく、0.1質量%以下とすることが一層好ましく、0.05質量%以下とすることがより一層好ましい。好ましい下限量は0.01質量%、より好ましい下限量は0.03質量%である。特に好ましい範囲は0.03質量%〜0.02質量%である。上記添加剤を使用する場合、赤外線吸収が大きいFeを導入することが望ましい。いずれにしてもこれら添加剤は微量の導入で効果が得られるため、これら添加剤を不純物として含むガラス原料、例えばシリカ原料を使用しても良い。ただし、不純物であってもその量は一定であることが求められるから、原料の選定にあたっては前記の点に留意すべきである。なお、Feはガラスの熔融容器の一部や撹拌棒、ガラスを流すための管を構成する白金または白金合金と合金化して前記容器、撹拌棒、管にダメージを与えるので、これら器具を使用する場合は、Feの添加量を抑えることが好ましい。こうした場合、Feを導入しないことがより好ましい。Bは熔融性を向上させる働きをするが、揮発性があり、ガラス熔融時に耐火物を侵蝕することがあるので、その含有量は、例えば2質量%未満、好ましくは0〜1.5質量%、より好ましくは0〜1質量%、更に好ましくは0〜0.4質量%とし、導入しないことがより好ましい。
Sb,As,SnO,CeOの清澄剤として導入してもよい。ただし、Asは環境への負荷がかかることから、特にフロート法を経て基板を製造する場合には使用しないことが望ましい。
本発明において用いる、このようなガラス組成を有する化学強化用ガラスは、比重が通常2.3〜2.8程度、好ましくは2.4〜2.6であり、ガラス転移温度が通常450℃〜600℃、好ましくは480℃〜520℃である。
本発明において使用するガラス基板を構成するガラス材料は、前述したものに限定されず、例えば、ソーダライムガラス、ソーダアルミノケイ酸ガラス、アルミノボロシリケートガラス、ボロシリケートガラス、石英ガラス、チェーンシリケートガラス、または、結晶化ガラスなどのガラスセラミックなどを挙げることができる。
化学強化に用いる化学強化液としては、ガラスを構成する材料にもよるが、融点や価格などを考慮して、硝酸カリウムや硝酸ナトリウムなどを用いることが好ましい。また、化学強化温度としては、化学強化液の融点やガラスのガラス転移点などを考慮して、300℃〜450℃であることが好ましい。また、化学強化時間は、量産性を考慮して、1時間〜4時間であることが好ましい。なお、化学強化条件は、使用するガラス材料により適宜決定することができる。
このような化学強化を施すことにより、表層部(基板表面から約1.5μm程度の深さ)における圧縮応力を高くし、基板内部の深さ方向における応力値(圧縮応力、引張応力)の変化率を小さくすることができる。これにより、主表面の最表部応力層押し込み長が49.1μm以下であり、バビネ補正器法による応力プロファイルにおいて前記主表面と圧縮応力との間のなす角をθとしたときに、{12・t・ln(tanθ)+(49.1/t)}の値yが前記最表部応力層押し込み長以下となる特性を持つガラス基板を得ることができる。この場合において、圧縮応力深さは50μm以上であることが好ましい。なお、第1段階としてガラスに含まれるLiをNaでイオン交換した後に、第2段階としてNaをKでイオン交換する2段階イオン交換による化学強化を行うことにより、効率良く前記特性を有するガラス基板を得ることができる。
本発明に係る磁気ディスク用ガラス基板は、原子間力顕微鏡(AFM)で測定した主表面の表面粗さRaが0.3nm以下であることが好ましい。また、本発明に係る磁気ディスク用ガラス基板は、そのガラス基板の円周方向に測定長0.8mmで端面の表面粗さRaが0.2μm以下であることが好ましい。これにより、さらに耐衝撃性を高めることができる。
上記のように得られたガラス基板上に直接又は他の層を介して磁性層を設けることにより、磁気ディスクを作製することができる。ここで、磁性層としては、高い異方性磁場(Hk)を備えるCo−Pt系合金磁性層を用いることが好ましい。また、磁気ディスク用ガラス基板と磁性層との間には、磁性層の結晶配向性やグレインの均一化、微細化を図る観点から、適宜下地層を形成するようにしても良い。また、磁性層上には、磁性層を保護するための保護層を設けることが好ましい。さらに、保護層上には、磁気ヘッドからの衝撃を緩和するための潤滑層を形成することが好ましい。
このように、本発明に係る磁気ディスク用ガラス基板は、表層部(基板表面から約1.5μm程度の深さ)における圧縮応力が高く、基板内部の深さ方向における応力値(圧縮応力、引張応力)の変化率が小さいので、現状に求められる耐衝撃性よりもさらに高い耐衝撃性(例えば、1000分の1秒で加速度1500G〜2000Gに耐える)を満足することができる。
次に、本発明の効果を明確にするために行った実施例について説明する。
(実施例)
まず、溶融させたアルミノシリケートガラスを上型、下型、胴型を用いたダイレクトプレスによりディスク形状に成型し、アモルファスの板状ガラスを得た。次に、この板状ガラスの両主表面をラッピング加工し、ディスク状のガラス母材とした。次いで、ダイヤモンドカッタを用いてガラス母材の中心部に穴部を形成し、円盤状のガラス基板とした(コアリング)。なお、アルミノシリケートガラスには、SiO:70重量%、Al:10重量%、LiO:5重量%、NaO:7重量%、ZrO:8重量%を主成分とするものを用いた。
次いで、ガラス基板の端面について、ブラシ研磨方法により、鏡面研磨を行った。このとき、研磨砥粒としては、酸化セリウム砥粒を含むスラリー(遊離砥粒)を用いた。また、内周端部については、磁気研磨法により鏡面研磨を行った。そして、鏡面研磨工程を終えたガラス基板を水洗浄した。これにより、ガラス基板の直径は65mmとなり、2.5インチ型磁気ディスクに用いる基板とすることができた。
次いで、得られたガラス基板の両主表面について、上記ラッピングと同様にしてラッピング加工を行った。次いで、主表面研磨工程として、まず第1研磨工程を施した。研磨剤としては、酸化セリウム砥粒を用いた。そして、この第1研磨工程を終えたガラス基板を、中性洗剤、純水(1)、純水(2)、IPA(イソプロピルアルコール)、IPA(蒸気乾燥)の各洗浄槽に順次浸漬して、洗浄した。
次いで、ガラス基板の両主表面について、主表面を鏡面状に仕上げる第2研磨工程を施した。研磨剤としては、第1研磨工程で用いた酸化セリウム砥粒よりも微細な酸化セリウム砥粒を用いた。そして、この第2研磨工程を終えたガラス基板を、中性洗剤(1)、中性洗剤(2)、純水(1)、純水(2)、IPA(イソプロピルアルコール)、IPA(蒸気乾燥)の各洗浄槽に順次浸漬して、洗浄した。なお、各洗浄槽には、超音波を印加した。
次いで、上述したラッピング工程及び研磨工程を終えたガラス基板に、化学強化を施した。化学強化は、硝酸カリウム:硝酸ナトリウムが重量比で8:2でなる化学強化溶液を用意し、この化学強化溶液を400°Cに加熱し、その中に洗浄済みのガラス基板を約4時間浸漬することによって行った。このように、化学強化溶液に浸漬処理することによって、ガラス基板の表層においてLiイオン、Naイオンが、化学強化溶液中のNaイオン、Kイオンにそれぞれ置換され、ガラス基板の表層が強化された。このとき、圧縮応力層の厚さは、114μmであった。
このようなガラス基板を、20°Cの水槽に浸漬して急冷し、約10分間維持した。そして、急冷を終えたガラス基板を、約40°Cに加熱した濃硫酸に浸漬して洗浄を行った。さらに、硫酸洗浄を終えたガラス基板を、純水(1)、純水(2)、IPA(イソプロピルアルコール)、IPA(蒸気乾燥)の各洗浄槽に順次浸漬して洗浄した。なお、各洗浄槽には超音波を印加した。
このようにして作製された厚さ0.635mm、最外径65mmの磁気ディスク用ガラス基板について、対稜角が172°30’と130°の横断面が菱形であるダイヤモンド四角錐圧子を100gの押圧力で主表面に押し込んで圧痕における長い方の対角線の長さ(最表部応力層押し込み長)を調べたところ45.3μmであり、49.1μm以下であった。また、磁気ディスク用ガラス基板の切断面についてバビネ補正器法を用いて測定すると、図1に示すような応力プロファイルが得られた。このとき、主表面と圧縮応力との間のなす角をθとしたときに、{12・t・ln(tanθ)+(49.1/t)}の値yは53.8μmであり、最表部応力層押し込み長以上であった。なお、tanθは、上述したように、バビネ補正器法で求めた応力値及び応力深さから求められた値{(P+P)/(L+L)}であり、前記tは基板厚さである。このとき、Pは圧縮応力値であり、Pは引張応力値であり、Lは圧縮応力深さであり、Lは引張応力深さである。このように、このガラス基板は、表層部(基板表面から約1.5μm程度の深さ)における圧縮応力が高く、基板内部の深さ方向における応力値(圧縮応力、引張応力)の変化率は小さいものであった。
この磁気ディスク用ガラス基板について、AVEX−SM−110−MP(エアブラウン社製、商品名)を用いてDana衝撃試験法で耐衝撃性を評価した。この衝撃試験は、磁気ディスク用ガラス基板を専用の衝撃試験用冶具に組み付け、正弦半波パルスの衝撃を、0.2msecで900Gの条件、及び1msecで1500Gの条件で主表面に対して垂直方向に与えて、この磁気ディスク用ガラス基板の破損状況を調べることにより行った。その結果、いずれの条件においてもガラス基板の破損は生じなかった。
(比較例)
化学強化を次の条件で行うこと以外実施例と同様にして磁気ディスク用ガラス基板を作製した。化学強化は、硝酸カリウム:硝酸ナトリウムが重量比で5:5でなる化学強化溶液を用意し、この化学強化溶液を340°Cに加熱し、その中に洗浄済みのガラス基板を約2時間浸漬することによって行った。このとき、圧縮応力層の厚さは、80μmであった。
このようにして作製された厚さ0.635mm、最外径65mmの磁気ディスク用ガラス基板について、対稜角が172°30’と130°の横断面が菱形であるダイヤモンド四角錐圧子を100gの押圧力で主表面に押し込んで圧痕における長い方の対角線の長さ(最表部応力層押し込み長)を調べたところ49.4μmであり、49.1μm以上であった。
この磁気ディスク用ガラス基板について、実施例と同様にして耐衝撃性を評価したところ、0.2msecで900Gの条件では破損が生じなかったが、1msecで1500Gの条件では破損が生じたものがあった。
(実施の形態2)
本実施の形態の磁気ディスク用ガラス基板の製造方法においては、以下に示す製造方法1、製造方法2、製造方法3及び製造方法4の4つの態様がある。
[磁気ディスク用ガラス基板の製造方法1]
本実施の形態の磁気ディスク用ガラス基板の製造方法1は、中心部に円孔が形成されたディスク状ガラス基板を化学強化処理液に浸漬し、前記ガラス基板表面に含まれる相対的に小さなイオンを、化学強化処理液に含まれる相対的に大きなイオンとイオン交換することにより、当該ガラス基板表面に圧縮応力層を創生する化学強化処理工程を含む磁気ディスク用ガラス基板の製造方法であって、当該ディスク状ガラス基板中心部に形成された前記円孔の変形量が、円孔直径の0.05%以内になり、かつ当該ディスク状ガラス基板の抗折強度が98N以上になるように化学強化処理することを特徴とする。
本実施の形態の製造方法1においては、中心部に円孔が形成されたディスク状ガラス基板を、イオン交換により当該ガラス基板表面に圧縮応力層を創生する化学強化処理を行うことで、磁気ディスク用ガラス基板が製造される。
そして、この化学強化処理を行う際に、当該ディスク状ガラス基板中心部に形成された前記円孔の変形量が、円孔直径の0.05%以内になり、かつ当該ディスク状ガラス基板の抗折強度が98N以上になるように、化学強化処理条件を選択する。
前記円孔の変形量が円孔直径の0.05%以内であれば、磁気ディスク上に設定された記録再生トラック位置と、磁気ヘッドが走行する記録再生トラック位置とにずれが生じるのを防止することができ、高TPI(100ギガビット/平方インチ以上)対応のガラス基板が得られる。前記円孔の変形量は、好ましくは円孔直径の0.025%以内である。
また、前記抗折強度が98N以上であれば、ハードディスクドライブ内において、ガラス基板に歪みが生じるのを防止することができる。この抗折強度は118N以上であることが好ましい。また、その上限に特に制限はないが、通常147N程度である。なお、前記抗折強度の測定方法は、後で説明する。
[磁気ディスク用ガラス基板の製造方法2]
本実施の形態の磁気ディスク用ガラス基板の製造方法2は、中心部に円孔を有するドーナツ状の磁気ディスク用ガラス基板の製造方法であって、任意に選択した500〜1000枚の前記ガラス基板の円孔直径を測定した場合、各ガラス基板の円孔直径が、当該ガラス基板の平均円孔直径Aに対して、±5×10−4×Aの範囲内にあり、かつ各ガラス基板の抗折強度が98N以上になるように制御することを特徴とする。
本実施の形態の製造方法2において、各ガラス基板の円孔直径が、任意に選択した500枚〜1000枚のガラス基板の平均円孔直径Aに対して、±5×10−4×Aの範囲を逸脱すると、磁気ディスク上に設定された記録再生トラック位置と、磁気ヘッドが走行する記録再生トラック位置とにずれを生じ、高TPI(100ギガビット/平方インチ以上)対応のガラス基板が得られにくく、本発明の目的が達せられない。各ガラス基板の円孔直径は、前記平均円孔直径Aに対して、±2.5×10−4×Aの範囲内にあることが好ましい。
本実施の形態の製造方法2においては、得られる磁気ディスク用ガラス基板は、2.5インチ基板であって、各ガラス基板の円孔直径が、A±10μm以内であることが好ましく、A±5μm以内であることがより好ましい。
また、得られる磁気ディスク用ガラス基板の抗折強度は98N以上であることを要する。この抗折強度が98N未満であるとハードディスクドライブ内において、ガラス基板に歪みが生じやすくなり、本発明の目的が達せられない。この抗折強度は、118N以上であることが好ましい。また、その上限に特に制限はないが、通常147N程度である。
[磁気ディスク用ガラス基板の製造方法3]
本実施の形態の磁気ディスク用ガラス基板の製造方法3は、中心部に円孔が形成されたディスク状ガラス基板を化学強化処理液に浸漬し、前記ガラス基板表面に含まれる相対的に小さなイオンを、化学強化処理液に含まれる相対的に大きなイオンとイオン交換することにより、当該ガラス基板表面に圧縮応力層を創生する化学強化処理工程を含む磁気ディスク用ガラス基板の製造方法であって、当該ディスク状ガラス基板中心部に形成された前記円孔の変形量を、円孔直径の0.05%以内とするべく、かつ当該ディスク状ガラス基板の抗折強度が98N以上になるように、当該ディスク状ガラス基板のガラス材料と、前記化学強化処理の処理条件とを選択して、化学強化処理することを特徴とする。
本実施の形態の製造方法3においては、前記の製造方法1と同様に、中心部に円孔が形成されたディスク状ガラス基板を、イオン交換により当該ガラス基板表面に圧縮応力層を創生する化学強化処理を行うことで、磁気ディスク用ガラス基板が製造される。
そして、この化学強化処理を行う際に、当該ディスク状ガラス基板中心部に形成された前記円孔の変形量を、円孔直径の0.05%以内とするべく、かつ当該ディスク状ガラス基板の抗折強度が98N以上になるように、当該ディスク状ガラス基板のガラス材料と、前記化学強化処理の処理条件とを選択する。
前記円孔の変形量は、前述した製造方法1と同様の理由から、円孔直径の0.05%以内であることを要し、0.025%以内であることが好ましい。また、前記抗折強度は、前述した製造方法1と同様の理由から、98N以上であることを要し、118N以上であることが好ましい。また、その上限に特に制限はないが、通常147N程度である。
[磁気ディスク用ガラス基板の製造方法4]
本実施の形態の磁気ディスク用ガラス基板の製造方法4は、中心部に円孔が形成されたディスク状ガラス基板を化学強化処理液に浸漬し、前記ガラス基板表面に含まれる相対的に小さなイオンを、化学強化処理液に含まれる相対的に大きなイオンとイオン交換することにより、当該ガラス基板表面に圧縮応力層を創生する化学強化処理工程を含む磁気ディスク用ガラス基板の製造方法であって、当該ディスク状ガラス基板中心部に形成された前記円孔の化学強化処理による変形量を、各ガラスについて予め把握しておき、変形量が円孔直径の0.05%以内になり、かつ化学強化処理による当該ディスク状ガラス基板の抗折強度が98N以上になるようにガラス材料を選択し、この選択されたガラス材料をディスク状に加工すると共に、中心部に円孔を形成し、化学強化処理することを特徴とする。
本実施の形態の製造方法4においては、前記の製造方法1と同様に、中心部に円孔が形成されたディスク状ガラス基板を、イオン交換により当該ガラス基板表面に圧縮応力層を創生する化学強化処理を行うことで、磁気ディスク用ガラス基板が製造される。
そして、この化学強化処理を行う際に、当該ディスク状ガラス基板中心部に形成された前記円孔の化学強化処理による変形量を、各ガラスについて予め把握しておき、変形量が円孔直径の0.05%以内になり、かつ化学強化処理による当該ディスク状ガラス基板の抗折強度が98N以上になるようにガラス材料を選択し、この選択されたガラス材料をディスク状に加工すると共に、中心部に円孔を形成し、化学強化処理を行う。
前記円孔の変形量は、前述した製造方法1と同様の理由から、円孔直径の0.05%以内になることを要し、0.025%以内になることが好ましい。また、前記抗折強度は、前述した製造方法1と同様の理由から、98N以上になることを要し、118N以上になることが好ましい。また、その上限に特に制限はないが、通常147N程度である。
(化学強化用ガラス)
前述した磁気ディスク用ガラス基板の製造方法1、3及び4において、中心部に円孔が形成されたディスク状ガラス基板を構成する化学強化用ガラスとしては、実施の形態1と同じものを用いることができる。
(化学強化処理)
本発明においては、中心部に円孔が形成されたディスク状ガラス基板を化学強化処理液に浸漬し、前記ガラス基板表面に含まれる相対的に小さなイオンを、化学強化処理液に含まれる相対的に大きなイオンとイオン交換することにより、当該ガラス基板表面に圧縮応力層を創生する化学強化処理を行い、磁気ディスク用ガラス基板を製造する。
この化学強化処理を行う際に、前述したように、製造方法1においては、当該ディスク状ガラス基板中心部に形成された円孔の変形量が、円孔直径の0.05%以内になり、かつ当該ディスク状ガラス基板の抗折強度が98N以上になるように化学強化処理条件を選択し、製造方法3においては、当該ディスク状ガラス基板中心部に形成された円孔の変形量を、円孔直径の0.05%以内とするべく、かつ当該ディスク状ガラス基板の抗折強度が98N以上になるように、当該ディスク状ガラス基板のガラス材料と、前記化学強化処理の処理条件とを選択し、製造方法4においては、当該ディスク状ガラス基板中心部に形成された円孔の化学強化処理による変形量を、各ガラスについて予め把握しておき、変形量が円孔直径の0.05%以内になり、かつ化学強化処理による当該ディスク状ガラス基板の抗折強度が98N以上になるようにガラス材料を選択し、この選択されたガラス材料をディスク状に加工すると共に、中心部に円孔を形成し、化学強化処理を行う。
この化学強化処理に特に制限はなく、従来公知の方法、例えばNaイオン及び/又はKイオンを含有する処理浴中で、中心部に円孔が形成された化学強化用のディスク状ガラス基板をイオン交換処理することにより、行うことができる。この処理は、ガラスの歪点以下の温度で、かつ熔融塩が分解しない温度で行うことが肝要であり、通常350℃〜420℃、好ましくは360℃〜380℃にて、1時間〜12時間程度、好ましくは2時間〜6時間行う。Naイオン及び/又はKイオンを含有する処理浴としては、硝酸ナトリウム及び/又は硝酸カリウムを含有する処理浴を用いるのが好ましいが、硝酸塩に限定されるものではなく、硫酸塩、重硫酸塩、炭酸塩、重炭酸塩、ハロゲン化物を用いても良い。処理浴がNaイオンを含む場合には、このNaイオンがガラス中のLiイオンとイオン交換し、また処理浴がKイオンを含む場合には、このKイオンがガラス中のLiイオン及びNaイオンとイオン交換し、さらに処理浴がNaイオン及びKイオンを含む場合には、これらNaイオン及びKイオンが、ガラス中のLiイオン及びNaイオンとそれぞれイオン交換する。このイオン交換により、ガラス表層部のアルカリ金属イオンが、より大きなイオン半径のアルカリ金属イオンに置き換わり、ガラス表層部に圧縮応力層が形成されてガラスが化学強化される。上述のように本発明で用いる化学強化用ガラス基板は、優れたイオン交換性能を有するので、イオン交換によって形成された圧縮応力層は深く、その厚さは通常10μm〜150μm程度、好ましくは50μm〜120μmである。
このような化学強化処理により得られた磁気ディスク用ガラス基板においては、当該ディスク状ガラス基板中心部に形成された円孔の変形量は0.05%以内、好ましくは0.025%以内となり、かつ当該ガラス基板の抗折強度は98N以上、好ましくは118N以上であり、その上限は147N程度である。
また、前記の化学強化処理された磁気ディスク用ガラス基板の中から任意に選択した500枚〜1000枚のガラス基板の円孔直径を測定した場合、各ガラス基板の円孔直径が、当該ガラス基板の平均円孔直径Aに対して、±5×10−4×Aの範囲内にあり、±2.5×10−4×Aの範囲内にあることが好ましい。
このような性状を有する磁気ディスク用ガラス基板は、記録される情報のトラック密度が、少なくとも100ギガビットTPIであるディスクに対応することができる。また、該磁気ディスク用ガラス基板は、垂直磁気記録方式に対応することができる。
次に、本発明の磁気ディスクについて説明する。
[磁気ディスク]
本発明の磁気ディスクは、前述した本発明の製造方法1〜4で得られた磁気ディスク用ガラス基板の表面に、少なくとも磁気記録層を有することを特徴とする。
本発明の磁気ディスクは、本発明の製造方法で得られた磁気ディスク用ガラス基板上に、通常下地層、磁気記録層、保護層及び潤滑層を順次積層することにより、製造することができる。
磁気記録層としては特に限定されないが、例えば、Co−Cr系、Co−Cr−Pt系、Co−Ni−Cr系、Co−Ni−Pt系、Co−Ni−Cr−Pt系、及びCo−Cr−Ta系などの磁気記録層が好ましい。下地層としてはNi層、Ni−P層、Cr層などを採用できる。保護層としては、カーボン膜などが使用でき、潤滑層を形成するためにはパーフルオロポリエーテル系などの潤滑材を使用することができる。
本発明の方法で得られた磁気ディスク用ガラス基板は、特に垂直磁気記録方式の磁気記録媒体に好適である。垂直磁気記録方式の磁気記録媒体における磁気記録層の膜構成は、磁気ディスク用ガラス基板上に垂直磁気記録層を形成した単層膜、軟磁性層と磁気記録層を順次に積層した二層膜、及び硬磁性層、軟磁性層及び磁気記録層を順次に積層した三層膜などを好適なものとして例示できる。その中で二層膜と三層膜は単層膜よりも高記録密度化及び磁気モーメントの安定維持に適しているので好ましい。
(実施例)
次に、本発明を実施例により、さらに詳細に説明するが、本発明は、これらの例によってなんら限定されるものではない。なお、各例における諸特性は、下記の方法に従って測定した。
<化学強化用ガラス>
(1)ガラス転移温度(Tg)及び屈伏点(Ts)
熱機械分析装置を用い、4℃/分の昇温速度で測定した。
(2)平均線熱膨張係数α
100℃〜300℃における平均線熱膨張係数αを、ガラス転移温度の測定時に一緒に測定した。
(3)比重
40mm×20mm×15mmの試料について、アルキメデス法により測定した。
(4)屈折率[nd]及びアッベ数[νd]
1時間当たり、30℃の降温速度で冷却したガラスについて測定した。
(5)λ80及びλ5
10mm厚の研磨サンプルについて、分光透過率を測定した際の透過率が80%の波長(nm)をλ80とし、透過率が5%の波長(nm)をλ5として求めた。
<磁気ディスク用ガラス基板>
(6)ガラス基板の円孔直径
磁気ディスク用ガラス基板を500枚任意に選択し、各ガラス基板の円孔直径を、以下の方法により求め、その平均円孔直径Aを算出した。
ガラス基板の円孔直径(内径)は、図3に示す内径測定装置を用いて測定した。この内径測定装置について以下に説明する。
図3は、本発明によるガラス基板の内径測定装置のすべての実施形態に共通するレーザ変位計100の斜視図である。レーザ変位計100は、ライン光であるラインレーザ112を照射するラインレーザ光源110と、中央に円孔210が形成されているガラス基板200を支持する基板ホルダ130と、ラインレーザ112がガラス基板200の円孔210を通過するように基板ホルダ130を昇降させるホルダ昇降部140と、昇降中、通過したラインレーザ112を受光する受光部120と、受光部120の受光したラインレーザ112に基づいて円孔210の内径を測定する内径測定部150と、複数のガラス基板200を格納するカセット160とを含んでいる。
そして、ホルダ昇降部140によってガラス基板200昇降させる、この昇降しているガラス基板200に対してラインレーザ112を照射する。このとき、受光部120は、受光したラインレーザ112に基づいて円孔210の距離を測定する。そして、測定された距離のうち、最大値をガラス基板200の内径とする。このようにして、ガラス基板200の内径を測定している。
(7)ガラス基板の抗折強度
ガラス基板の抗折強度は、図4に示す抗折強度試験機(島津オートグラフDDS−2000)を用い、抗折強度を測定した。具体的には、ガラス基板上に荷重を加えていったとき、ガラス基板が破壊したときの荷重を抗折強度として求めた。
(8)圧縮応力層の厚さ
磁気ディスク用ガラス基板の断面を研磨し、偏光顕微鏡にて圧縮応力層の厚さを測定した。
実施例1〜6及び比較例1
表1に示す酸化物組成になるように、ケイ石粉、水酸化アルミニウム、アルミナ、炭酸リチウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム、酸化ジルコニウム、酸化鉄などを用いて、約2kgの混合物を調製したのち、白金ルツボ中にて1450℃〜1550℃で熔解・清澄後、鉄製型にキャストしてアニールすることにより、化学強化用ガラスを作製した。その物性を表1に示す。
次に、前記の各化学強化用ガラスをそれぞれ用い、中心部に直径20mmの円孔を有するドーナツ状の2.5インチディスク状ガラス基板を150枚ずつ作製した。詳細については以下に示す。
(1)形状加工工程
実施例1〜6に記載の組成のガラスをダイレクトプレス法で成形し、アモルファス状態のディスク状ガラス基板とした。そして、砥石を用いてガラス基板の中央部分に孔をあけ、中心部に円孔を有するディスク状のガラス基板とした。さらに、外周端面及び内周端面に面取加工を施した。
(2)端面研磨工程
続いて、ガラス基板を回転させながら、ブラシ研磨によりガラス基板の端面(内周、外周)の表面粗さを、最大高さ(Rmax)で1.0μm程度、算術平均粗さ(Ra)で0.3μm程度になるように研磨した。
(3)研削工程
続いて、#1000の粒度の砥粒を用いて、主表面の平坦度が3μm、Rmaxが2μm程度、Raが0.2μm程度となるようにガラス基板表面を研削した。ここで平坦度とは、基板表面の最も高い部分と、最も低い部分との上下方向(表面に垂直な方向)の距離(高低差)であり、平坦度測定装置で測定した。また、Rmax、及びRaは、原子間力顕微鏡(AFM)(デジタルインスツルメンツ社製ナノスコープ)にて5μm×5μmの矩形領域を測定した。
(4)予備研磨工程
続いて、一度に100枚〜200枚のガラス基板の両主表面を研磨できる研磨装置を用いて予備研磨工程を実施した。研磨パッドには、硬質ポリッシャを用いた。研磨パッドには、予め酸化ジルコニウムと酸化セリウムとを含ませてあるものを使用した。
予備研磨工程における研磨液は、水に、平均粒径が1.1μmの酸化セリウム研磨砥粒を混合することにより作製した。なお、グレイン径が4μmを越える研磨砥粒は予め除去した。研磨液を測定したところ、研磨液に含有される研磨砥粒の最大値は3.5μm、平均値は1.1μm、D50値は1.1μmであった。
その他、ガラス基板に加える荷重は784〜980mN/cmとし、ガラス基板の表面部の除去厚は20μm〜40μmとした。
(5)鏡面研磨工程
続いて、一度に100枚〜200枚のガラス基板の両主表面を研磨できる遊星歯車方式の研磨装置を用いて、鏡面研磨工程を実施した。研磨パッドには、軟質ポリシャを用いた。
鏡面研磨工程における研磨液は、超純水に、硫酸と酒石酸とを加え、さらにグレイン径が40nmのコロイド状シリカ粒子を加えて作製した。この際、研磨液中の硫酸濃度を0.15質量%とし、研磨液のpH値を2.0以下とした。また、酒石酸の濃度は0.8質量%とし、コロイド状シリカ粒子の含有量は10質量%とした。
なお、鏡面研磨処理に際して、研磨液のpH値には変動がなく、略一定に保持できた。本実施例においては、ガラス基板の表面に供給した研磨液を、ドレインを用いて回収し、メッシュ状フィルタで異物を除去して清浄化し、その後再びガラス基板に供給することにより再利用した。
鏡面研磨工程における研磨加工速度は0.25μm/分であり、上述の条件において有利な研磨加工速度を実現できることが判った。なお、研磨加工速度とは、所定鏡面に仕上げるために必要なガラス基板の厚さの削減量(加工取代)を、所要研磨加工時間で割ることにより求めた。
(6)鏡面研磨処理後の洗浄工程
続いて、ガラス基板を、濃度3質量%〜5質量%のNaOH水溶液に浸漬してアルカリ洗浄を行った。なお、洗浄は超音波を印加して行った。さらに、中性洗剤、純水、純水、イソプロピルアルコール、イソプロピルアルコール(蒸気乾燥)の各洗浄槽に順次浸漬して洗浄した。洗浄後のガラス基板の表面をAFM(デジタルインスツルメンツ社製ナノスコープ)(5μm×5μmの矩形領域を測定)により観察したところ、コロイダルシリカ研磨砥粒の付着は確認されなかった。また、ステンレスや鉄などの異物も発見されなかった。また、洗浄前後における基板表面の粗さの増大は見られなかった。
(7)化学強化処理工程
続いて、硝酸カリウム(60質量%)と硝酸ナトリウム(40質量%)とを混合して375℃に加熱した化学強化塩の中に、300℃に予熱した洗浄済みガラス基板を約4時間浸漬することにより化学強化処理を行った。この処理により、ガラス基板の表面のリチウムイオン、ナトリウムイオンは、化学強化塩中のナトリウムイオン、カリウムイオンにそれぞれ置換され、ガラス基板は化学的に強化される。なお、ガラス基板の表面に形成された圧縮応力層の厚さは、約100μm〜150μmであった。化学強化の実施後は、ガラス基板を20℃の水槽に浸漬して急冷し、約10分維持した。
(8)化学強化後の洗浄工程
続いて、上記急冷を終えたガラス基板を、約40℃に加熱した硫酸に浸漬し、超音波を掛けながら洗浄した。その後、0.5%(Vol%)のケイフッ酸(HSiF)水溶液を用いてガラス基板を洗浄した後、1質量%の水酸化カリウム水溶液を用いてガラス基板の洗浄を行った。そして、磁気ディスク用ガラス基板の製造を完了した。
(9)磁気ディスク用ガラス基板の検査工程
続いて、磁気ディスク用ガラス基板について検査を行った。磁気ディスク用ガラス基板の表面の粗さをAFM(原子間力顕微鏡)(5μm×5μmの矩形領域を測定)で測定したところ、最大山高さ(Rmax)は1.5nm、算術平均粗さ(Ra)は0.15nmであった。また、表面は清浄な鏡面状態であり、磁気ヘッドの浮上を妨げる異物や、サーマルアスペリティ障害の原因となる異物は存在しなかった。また、洗浄前後における基板表面の粗さの増大は見られなかった。
なお、上記説明では、化学強化後に酸洗浄及びアルカリ洗浄を行っているが、鏡面研磨工程後の洗浄において酸洗浄及びアルカリ洗浄を行ってもよい。
また、各例の磁気ディスク用ガラス基板について、円孔の平均直径Aを求めると共に、各ガラス基板の円孔直径が平均円孔直径Aに対して±5×10−4×Aの範囲を逸脱するものの割合(%)を求めた。また、各例の磁気ディスク用ガラス基板の平均圧縮応力層の厚さ及び平均抗折強度を求めた。これらの結果を表1に示す。
Figure 2009099251
(注)ガラス組成において、(H)、(C)及び(N)は、それぞれ原料として、水酸化物、炭酸塩、硝酸塩を意味する。
次に、実施例1で作製した磁気ディスク用ガラス基板を用い、以下に示すように磁気ディスクを作製し、ハードディスクドライブの試験を行った。図5に、基板12上の膜構成(断面)を模式的に示す。
まず、真空引きを行った成膜装置を用いて、DCマグネトロンスパッタリング法にて、Ar雰囲気中で、付着層14、及び軟磁性層16を順次成膜した。
このとき、付着層14は、20nmのアモルファスCrTi層となるように、CrTiターゲットを用いて成膜した。また、軟磁性層16は、200nmのアモルファスCoTaZr(Co:88原子%、Ta:7原子%、Zr:5原子%)層となるように、CoTaZrターゲットを用いて成膜した。
軟磁性層16までの成膜を終えた磁気ディスク10を、成膜装置から取り出し、表面粗さを同様に測定したところ、Rmaxが2.1nm、Raが0.20nmという平滑鏡面であった。VSM(振動試料型磁化測定装置)で磁気特性を測定したところ、保磁力(Hc)は2エルステッド、飽和磁束密度は810emu/ccであり、好適な軟磁性特性を示していた。
続いて枚葉・静止対向型成膜装置を用いて、Ar雰囲気中で、下地層18、グラニュラー構造の微細化促進層20、グラニュラー構造の強磁性層32、磁気的結合制御層34、交換エネルギー制御層36、及び保護膜24を順次成膜した。本実施例において、下地層18は、第1層及び第2層を有する2層構造である。
この工程においては、最初に、ディスク基板上に、下地層18の第1層として、アモルファスのNiTa(Ni:40原子%、Ta:10原子%)からなる10nm厚の層を形成し、第2層として、10〜15nm厚のRu層を形成した。
次に、非磁性CoCr−SiOからなるターゲットを用いて、2〜20nmのhcp結晶構造からなる微細化促進層20を形成した。更に、CoCrPt−SiOからなる硬磁性体のターゲットを用いて、15nmのhcp結晶構造からなる強磁性層32を形成した。強磁性層32作成のための、ターゲットの組成は、Co:62原子%、Cr:10原子%、Pt:16原子%、Si:12原子%である。更に、Pd層からなる磁気的結合制御層34を形成し、[CoB/Pd]n層からなる交換エネルギー制御層36を形成した。
次に、エチレンを材料ガスとしたCVD法により、水素化カーボンからなる保護膜24を形成した。水素化カーボンとすることで、膜硬度が向上するので、磁気ヘッドからの衝撃に対して磁気記録層22を防護することができる。
この後、PFPE(パーフロロポリエーテル)からなる潤滑層26をディップコート法により形成した。潤滑層26の膜厚は1nmである。以上の製造工程により、垂直磁気記録媒体である垂直磁気記録方式の磁気ディスク10が得られた。得られた表面粗さを前述同様に測定したところ、Rmaxが2.2nm、Raが0.21nmという平滑鏡面であった。
得られた磁気ディスク10を2.5インチ型ロードアンロード型ハードディスクドライブに搭載した。このハードディスクドライブに搭載されている磁気ヘッドは、Dynamic Flying Height(略称:DFH)型磁気ヘッドである。この磁気ヘッドの磁気ディスクに対する浮上量は8nmである。
このハードディスクドライブにより磁気ディスクの主表面上の記録再生用領域に、1平方インチ当たり200ギガビットの記録密度で記録再生試験を行ったところ、良好な記録再生特性を示した。また試験中、クラッシュ障害やサーマルアスペリティ障害が生じることもなかった。
次にハードディスクドライブによりロードアンロード(Load Unload、以下LUL)試験を実施した。
LUL試験は、5400rpmで回転する2.5インチ型ハードディスクドライブと、浮上量が8nmの磁気ヘッドにより行う。磁気ヘッドは前述のものを利用した。シールド部はNiFe合金からなる。磁気ディスクをこの磁気ディスク装置に搭載し、前述の磁気ヘッドによりLUL動作を連続して行い、LULの耐久回数を測定する。
LUL耐久性試験後に、磁気ディスク表面及び磁気ヘッド表面の観察を肉眼及び光学顕微鏡で行い、傷や汚れなどの異常の有無を確認する。このLUL耐久性試験は40万回以上のLUL回数に故障無く耐久することが求められ、特に、60万回以上耐久すれば好適である。なお、通常に使用されるHDD(ハードディスクドライブ)の使用環境では、LUL回数が60万回を超えるには、概ね10年程度の使用が必要であると云われている。
このLUL試験を実施したところ、磁気ディスク10は60万回以上耐久し合格した。また、LUL試験後に磁気ディスク10を取り出して検査したが、傷や汚れなどの異常は検出されなかった。アルカリ金属成分の析出も認められなかった。
本発明は上記実施の形態に限定されず、適宜変更して実施することができる。上記実施の形態1,2は適宜組み合わせて実施することができる。また、上記実施の形態における部材の個数、サイズ、処理手順などは一例であり、本発明の効果を発揮する範囲内において種々変更して実施することが可能である。その他、本発明の目的の範囲を逸脱しない限りにおいて適宜変更して実施することが可能である。
ガラス基板における応力プロファイルを示す図である。 最表層応力押し込み長とtanθとの間の関係を示す図である。 本発明における磁気ディスク用ガラス基板の内径を測定する内径測定装置の構成を示す斜視図である。 本発明における磁気ディスク用ガラス基板の抗折強度を測定する抗折強度試験機の概略の構成を示す図面である。 本発明の一実施形態に係る磁気ディスクの構成の一例を示す図である。

Claims (10)

  1. 主表面及び端面を有し、化学強化処理が施された円盤状の磁気ディスク用ガラス基板であって、前記主表面の最表部応力層押し込み長が49.1μm以下であり、バビネ補正器法による応力プロファイルにおいて前記主表面と圧縮応力との間のなす角をθとしたときに、{12・t・ln(tanθ)+(49.1/t)}の値yが前記最表部応力層押し込み長以下である磁気ディスク用ガラス基板。
    ここで、前記最表部応力層押し込み長は、対稜角が172°30’と130°の横断面が菱形であるダイヤモンド四角錐圧子を100gの押圧力で前記主表面に押し込んだ際の圧痕における長い方の対角線の長さであり、前記tanθは、バビネ補正器法で求めた応力値及び応力深さから求められた値{(P+P)/(L+L)}であり、前記tは基板厚さである。
    は圧縮応力値であり、Pは引張応力値であり、Lは圧縮応力深さであり、Lは引張応力深さである。
  2. 前記yの値が{16・t・ln(tanθ)+(49.1/t)}である請求項1記載の磁気ディスク用ガラス基板。
  3. 前記磁気ディスク用ガラス基板を構成するガラスがZrを含むアルミノシリケートガラスである請求項1又は請求項2記載の磁気ディスク用ガラス基板。
  4. 原子間力顕微鏡で測定した前記主表面の表面粗さRaが0.3nm以下である請求項1から請求項3のいずれかに記載の磁気ディスク用ガラス基板。
  5. 前記磁気ディスク用ガラス基板の円周方向に測定長0.8mmで前記端面の表面粗さRaが0.2μm以下である請求項1から請求項4のいずれかに記載の磁気ディスク用ガラス基板。
  6. 圧縮応力深さが50μm以上である請求項1から請求項5のいずれかに記載の磁気ディスク用ガラス基板。
  7. ガラス基板に化学強化処理を施す工程を含む磁気ディスク用ガラス基板の製造方法であって、前記化学強化処理は、前記磁気ディスク用ガラス基板の主表面の最表部応力層押し込み長が49.1μm以下であり、バビネ補正器法による応力プロファイルにおいて前記主表面と圧縮応力との間のなす角をθとしたときに、{12・t・ln(tanθ)+(49.1/t)}の値yが前記最表部応力層押し込み長以下であるために十分な条件で行われる磁気ディスク用ガラス基板の製造方法。
    ここで、前記最表部応力層押し込み長は、対稜角が172°30’と130°の横断面が菱形であるダイヤモンド四角錐圧子を100gの押圧力で前記主表面に押し込んだ際の圧痕における長い方の対角線の長さであり、前記tanθは、バビネ補正器法で求めた応力値及び応力深さから求められた値{(P+P)/(L+L)}であり、前記tは基板厚さである。
    は圧縮応力値であり、Pは引張応力値であり、Lは圧縮応力深さであり、Lは引張応力深さである。
  8. 前記yの値が{16・t・ln(tanθ)+(49.1/t)}である請求項7記載の磁気ディスク用ガラス基板の製造方法。
  9. 前記磁気ディスク用ガラス基板を構成するガラスがZrを含むアルミノシリケートガラスである請求項7又は請求項8記載の磁気ディスク用ガラス基板の製造方法。
  10. 請求項1から請求項6のいずれかに記載の磁気ディスク用ガラス基板と、前記磁気ディスク用ガラス基板の主表面上に、直接又は他の層を介して設けられた磁性層と、を具備する磁気ディスク。
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