JP2009098078A - 穴開きフレームの機械的性能値を予測する方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】穴無しフレーム28では、第1の見掛け穴無し部26、26は見掛けヤング率が122GPaで、第2の見掛け穴無し部27は見掛けヤング率が108GPaで、残部の母材穴無し部18はヤング率が206GPaとなる。穴が開いていなければ、分割数は少なくすることができるため、穴無しフレーム28の撓み、曲げ応力、捻り応力、引張り応力、圧縮応力など機械的性能値を容易に計算することができる。
【効果】穴開きフレームを、穴無しフレームに置き換え、この穴無しフレームで機械的性能計算を行う。穴無しフレームであれば、機械的性能計算は容易であり、計算時間は短くなる。このことは、見掛けの物性値(ヤング率など)を採用することで可能となった。
【選択図】図7
Description
図9は従来の技術の基本構成を説明する図であり、車両のフード100は、フードアウターパネル101に、フードインナーパネル102を重ねて構成される。そして、フードインナーパネル102は、穴径がDの小穴103がピンチPで多数開けられた穴開き板を折り曲げ成形したものである。多数の小穴103が開けられているため、フードインナーパネル102は軽くなる。この結果、フード100及び車両の軽量化が図れる。
穴開きフレームの機械的性能計算は、有限要素法などの複雑な解析法で計算される。例えば有限要素法では、フレームをメッシュ状に区分して無数のエレメント(要素)を設定することから計算が開始される。メッシュのサイズは小さいほど計算の信頼性が高まると言われている。反面、エレメントの数が莫大になり、計算時間が延びる。
先ず、上下の縁を除いて小穴を開けた長方形形状のテストピースの機械的性能値を実測して得た実測値と、前記テストピースの機械的性能を計算で算出して得た計算値と比較して、この計算値の確からしさが前記実測値で確認できたら、テストピースの上下の幅の変化に応じた機械的性能値を計算により算出した板材の材料幅と機械的性能値との関係図を作成し、
次に、前記関係図を用いて、前記穴開きフレームの小穴形成エリアの上下幅から機械的性能値を得て、その小穴形成エリアの機械的性能値を穴無しフレームの前記小穴形成エリアに該当する箇所の機械的性能値として設定してから、前記穴無しフレームの機械的性能値を計算し、この計算値を穴開きフレームの機械的性能値へ置き換えることにより、穴開きフレームの機械的性能値を予測する方法が提供する。
図1は本発明に係る穴開きフレームの斜視図であり、穴開きフレーム10は、厚さがTの薄い鋼板を折り曲げ形成してなる溝形部材であり、例えば、広幅の平板部11と、この平板部11の両端から下げた縦壁部12、12と、これらの縦壁部12、12の下端から平板部11に平行に互いに外側へ延ばした張出し部13、13とからなり、縦壁部12、12に帯状に多数の小穴14が開けられ、平板部11にも矩形をなすように多数の小穴15が開けられている。
第1の穴開き部16と第2の穴開き部17とを除外した部分は、穴が開いていないため、母材穴無し部18と呼ぶことにする。
このようなヤング率は、静的試験法、横振動法、又は超音波法で測定することができる。
次図で最も一般的な静的試験法を説明するが、横振動法や超音波法で測定することは差し支えない。
断面二次モーメントIは、(2)式で与えられる。幅は図1に示すa、厚さは図1に示すTである。(1)式をEについて変形すると、(3)式が与えられる。
しかし、小穴が多数開いているテストピース20は、穴が開いていない梁22よりも大きく撓む。すなわち、δ<δ1となり、E1*<Eとなる。
そこで、E1*を「見掛けヤング率」と呼び、「ヤング率」と区別する。
この122GPaは、実測により求めた120GPaと、ほぼ同一であり、良好に合致している。このことから、計算値の確からしさが確認できた。
計算モデル23は、厚さが1.6mmで、幅eが73mmで、長さfが200mm、上下に各々3mmの縁をおき、残りの67mm(=73−3*2)に直径3mmの小穴を5mmピッチで開口率(小穴の面積の合計/穴無し板)が32%になるように開け、材質が軟鋼である。この計算モデル23の見掛けヤング率を計算したところ、103GPaであった。
図1に戻って、第1穴開き部16の幅aが、25mmであったとする。この場合には、図6から材料幅25mmに対応する値として、見掛けヤング率120GPaを得る。
次に、第2穴開き部17の幅cが、60mmであったとする。この場合には、図6から材料幅60mmに対応する値として、見掛けヤング率108GPaを得る。
穴が開いていなければ、分割数は少なくすることができるため、穴無しフレーム28の撓み、曲げ応力、捻り応力、引張り応力、圧縮応力など機械的性能値を容易に計算することができる。
先ず、上下の縁を除いて小穴を開けた長方形形状のテストピース(図4)の機械的性能値を実測して得た実測値と、前記テストピースの機械的性能を計算で算出して得た計算値と比較して、この計算値の確からしさが前記実測値で確認できたら、テストピースの上下の幅の変化(図5)に応じた機械的性能値を計算により算出した板材の材料幅と機械的性能値との関係図を作成し(図6)、
次に、前記関係図を用いて、前記穴開きフレームの小穴形成エリアの上下幅から機械的性能値を得て、その小穴形成エリアの機械的性能値を穴無しフレームの前記小穴形成エリアに該当する箇所の機械的性能値として設定してから、前記穴無しフレームの機械的性能値を計算し、この計算値を穴開きフレームの機械的性能値へ置き換えることにより、穴開きフレームの機械的性能値を予測する。
本発明は、薄板を折り曲げ形成し、局部的に多数の小穴14を開けてなる穴開きフレーム10の機械的性能値を予測する方法であって、
先ず、上下の縁を除いて小穴を開けた長方形形状のテストピースを作製するステップと、
このテストピースを実測することで機械的性能実測値を求めるステップと、
前記テストピースの同形のモデルを計算することで機械的性能計算値を求めるステップと、
得られた機械的性能計算値を、前記機械的性能実測値と比較して計算値の確からしさを確認するステップと、
計算値の確からしさが確認できたら、上下幅の異なるモデルを想定し、想定したモデルについて計算することにより機械的性能計算値を求めるステップと、
複数個の機械的性能計算値により、板材の材料幅と機械的性能値との関係図を作成するステップと、
前記関係図を用いて、前記穴開きフレームの小穴形成エリアの上下幅から機械的性能値を得て、その小穴形成エリアの機械的性能値を穴無しフレームの前記小穴形成エリアに該当する箇所の機械的性能値として設定するステップと、
得られた穴無しフレームを計算するステップとからなり、穴無しフレームを計算することで穴開きフレームの機械的性能値を予測することを特徴とする。
実測値から得た見掛けヤング率と、計算で得た見掛けヤング率が次の表に示す値であったとする。
この場合は、(実測値から得た見掛けヤング率)/(計算で得た見掛けヤング率)=補正値に基づいて補正値を決める。本例では、113/122=0.93の計算により、補正値は0.93となる。
材料幅が23mm、73mm、109mmについて計算して得た見掛けヤング率が次の表に示す値であれば、これらに補正値(0.93)を乗じることにより、補正した見かけのヤング率を、簡単に求めることができる。
Claims (2)
- 薄板を折り曲げ形成し、局部的に多数の小穴を開けてなる穴開きフレームの機械的性能値を予測する方法であって、
先ず、上下の縁を除いて小穴を開けた長方形形状のテストピースの機械的性能値を実測して得た実測値と、前記テストピースの機械的性能を計算で算出して得た計算値と比較して、この計算値の確からしさが前記実測値で確認できたら、テストピースの上下の幅の変化に応じた機械的性能値を計算により算出した板材の材料幅と機械的性能値との関係図を作成し、
次に、前記関係図を用いて、前記穴開きフレームの小穴形成エリアの上下幅から機械的性能値を得て、その小穴形成エリアの機械的性能値を穴無しフレームの前記小穴形成エリアに該当する箇所の機械的性能値として設定してから、前記穴無しフレームの機械的性能値を計算し、この計算値を穴開きフレームの機械的性能値へ置き換えることにより、穴開きフレームの機械的性能値を予測する方法。 - 前記計算値の確からしさを確認する段階で、前記計算値と実測値との差異が一定値以上であるときには、実測値を基準にした補正値を算出し、この補正値を前記計算値に乗じるという補正処理を行うことを特徴とする請求項1記載の穴開きフレームの機械的性能値を予測する方法。
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