JP2009097753A - 熱処理炉、熱処理装置、および、ディスプレイパネルの製造方法 - Google Patents

熱処理炉、熱処理装置、および、ディスプレイパネルの製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】適切な乾燥処理を高効率で実施できる熱処理装置を提供すること。
【解決手段】熱処理装置100の炉体131に乾燥ゾーンZ2と、焼成ゾーンZ3とを設け、乾燥ゾーンZ2内におけるセッタ110に対して下方となる位置に第1加熱手段133を設けている。このため、基板1の載置などを高速に実施するためのセッタ110としてリフトピン挿通孔111が設けられているものを適用しても、乾燥ゾーンZ2においてセッタ110を下方のみから加熱するので、上方のみから加熱する構成と比べて、基板1におけるリフトピン挿通孔111に対向する孔部と、対向しない孔無部との孔有無温度差を小さくすることができ、孔部に形成された構造物形成層に乾燥むらが生じることを抑制することができる。乾燥処理と焼成処理と1個の炉体131で実施するので、適切な乾燥処理を高効率で実施できる。
【選択図】図1

Description

本発明は、熱処理炉、熱処理装置、および、ディスプレイパネルの製造方法に関する。
従来、例えばプラズマディスプレイパネルの製造において、誘電体材料層などの構造物形成層を含む基板を乾燥させた後、この構造物形成層を焼成して基板上に構造物を形成する構成が知られている(例えば、特許文献1参照)。
この特許文献1に記載のものは、ペースト層を形成した基板を乾燥炉に投入して搬送することによりペースト層を乾燥させる。そして、乾燥炉の出口に到達した基板を、基板移載手段により移載装置の搬送ローラ上に置かれた支持基板上に載置して焼成炉に送り、ペースト層を焼成して誘電体層を基板上に形成する構成が採られている。
特開2003−331715号公報
ところで、近年、ディスプレイパネルを高効率で生産することが望まれている。この高効率生産を実現するためには、特許文献1に記載の構成のように乾燥と焼成を別々の炉で実施せずに、乾燥と焼成を1個の炉で実施することが考えられる。このような構成では、焼成時に加え乾燥時にも、基板をセッタ(支持基板)上に載置することになる。そして、セッタに基板を載置する構成では、このセッタへの基板の載置、取出しを高速に実施するために、セッタにリフトピンが挿通される複数個の挿通孔を設けることが考えられる。
しかしながら、挿通孔が設けられたセッタを用いて構造物形成層の乾燥処理を実施すると、構造物形成層における挿通孔に対応する部分に乾燥むらが生じることがある。この乾燥むらは電圧のマージンや画質へ影響を及ぼすため、乾燥と焼成を1個の炉で実施する構成は、実用化が困難である。このことから、適切な乾燥処理を高効率で実施可能な構成が望まれている。
本発明は、上記のような問題に鑑みて、適切な乾燥処理を高効率で実施可能な熱処理炉、熱処理装置、および、ディスプレイパネルの製造方法を提供することを1つの目的とする。
請求項1に記載の発明は、セッタに載置されて搬送される構造物形成層を含む基板を熱処理する熱処理炉であって、前記セッタの搬送路の上流側に設けられた乾燥ゾーンおよび下流側に設けられた焼成ゾーンを備えた炉体と、前記セッタを略水平となる状態で前記炉体内において搬送する搬送手段と、前記乾燥ゾーンに配置された第1加熱手段と、前記焼成ゾーンに配置された第2加熱手段と、を具備し、前記第1加熱手段は、前記セッタに対して下方となる位置のみに配置されたことを特徴とする熱処理炉である。
請求項2に記載の発明は、構造物形成層を含む基板が載置される載置部に下方から支持して昇降させるリフトピンの挿通孔が複数個設けられたセッタと、このセッタに載置されて搬送される前記基板を熱処理する請求項1に記載の熱処理炉と、を具備したことを特徴とする熱処理装置である。
請求項4に記載の発明は、構造物形成層を含む基板が載置される載置部に下方から支持して昇降させるリフトピンの挿通孔が複数個設けられたセッタを、略水平となる状態で熱処理炉内において搬送しながら前記構造物形成層を乾燥させる乾燥工程と、この乾燥工程で乾燥された前記構造物形成層を焼成する焼成工程と、を含むディスプレイパネルの製造方法であって、前記乾燥工程では、前記セッタに対して下方となる位置のみに配置された加熱手段を用いて前記構造物形成層を乾燥させることを特徴とするディスプレイパネルの製造方法である。
以下、本発明に係る一実施形態を図面に基づいて説明する。
なお、本実施形態ではプラズマディスプレイパネルを例示するが、これに限らず、本発明は液晶表示パネルや、有機ELパネル、FED、電気泳動ディスプレイパネルなどのディスプレイパネルのガラス基板などにも適用可能である。
[プラズマディスプレイパネル]
まず、本実施形態において製造するプラズマディスプレイパネルの概略構成について以下に説明する。
一般に、プラズマディスプレイパネルにおいては、放電空間を介して前面基板と背面基板とが対向配置されている。
前面基板の内面側には、例えば、複数の透明電極、複数のバス電極、複数のブラックストライプ、誘電体層および保護膜がそれぞれ設けられている。
例えば、背面基板の内面側には、この背面基板上に複数のアドレス電極がそれぞれ平行に設けられ、これらアドレス電極を覆うように背面基板の内面側に絶縁体層であるアドレス電極保護層が設けられ、さらにこのアドレス電極保護層上に例えばストライプ形状の隔壁が設けられ、これら隔壁により、複数個の放電セルが区画形成される。なお、隔壁としては、ストライプ形状に限らず、井桁形状などでもよい。
複数個の放電セルの内部には、例えば、それぞれ赤(R)、緑(G)、青(B)の3原色の蛍光体層が順に形成されている。放電空間の内部、すなわちそれぞれの放電セルの内部は、ネオンガスなどの放電ガスが充填され、外気との間で密閉されている。
そして、プラズマディスプレイパネルは、例えば、複数個の放電セル内で選択的に放電発光させることにより画像を表示する。
[ディスプレイパネルの製造に用いる装置]
次に、上記プラズマディスプレイパネルを製造する製造装置の概略構成について以下に説明する。
〔全体構成〕
本実施形態においては、製造装置として、無機物や有機物を含む材料層を基板上に形成するための図示しない材料層形成装置と、材料層に対して熱処理を施して構造物を形成する基板製造装置と、を備えている。
材料層形成装置は、例えば、オフセット印刷法や凸版印刷法、凹版印刷法、グラビア印刷法などの各種印刷法、ディスペンサ法、ダイコータ法、スピンコート法、ナイフコート法などにより、基板上に構造物形成用の材料層を塗布可能に構成された印刷機、ディスペンサ、ダイコータ、スピンコータ、ナイフコータなどの装置が挙げられる。また、例えば、フィルム状に形成された構造物形成用の材料を基板上にラミネートするラミネータなどの装置も使用することができる。
〔熱処理装置の構成〕
次に、熱処理装置の詳細な構成について、図面を参照して以下に説明する。
図1は、熱処理装置の概略構成を示すブロック図である。
図1において、100は熱処理装置である。
この熱処理装置100は、材料層形成装置により構造物形成層としての誘電体層が形成された基板1が載置される複数のセッタ110と、このセッタ110上に基板1を載置して搬送する基板投入部120と、この基板投入部120で搬送される基板1を乾燥、焼成する熱処理炉130と、この熱処理炉130で焼成された基板1をセッタ110から取り出して排出する基板排出部140と、この基板排出部140で基板が取り出されたセッタ110を基板投入部120へ返送する図示しないセッタ返送部と、熱処理装置100全体を制御する図示しない制御装置と、を備えている。
セッタ110は、ガラス製の耐熱性基板により、基板1よりも大きい長方形板状に形成されている。このセッタ110における基板1が載置される載置部の四隅近傍には、基板投入部120の後述するリフトピン121Aが挿通可能なリフトピン挿通孔111がそれぞれ開口形成されている。このリフトピン挿通孔111は、直径が15mm以下の円形に形成されている。なお、図1では、構成を理解しやすくするために、リフトピン挿通孔111を基板1に対して大きく示している。また、リフトピン挿通孔111の個数としては、4個に限らず基板1を支持可能な個数であればいずれの個数であってもよい。
基板投入部120は、基板投入ゾーンZ1を構成し、昇降装置121と、複数の投入搬送ローラ122と、を備えている。
昇降装置121は、セッタ110のリフトピン挿通孔111にそれぞれ挿通される4個のリフトピン121Aと、このリフトピン121Aを軸方向に昇降させる昇降駆動部121Bと、を備えている。
投入搬送ローラ122は、昇降装置121から熱処理炉130にかけて並設されている。
そして、基板投入部120は、投入搬送ローラ122により、セッタ110をリフトピン挿通孔111がリフトピン121Aに対応する位置まで搬送する。次に、昇降駆動部121Bにより、リフトピン121Aを上昇させてリフトピン挿通孔111に挿通させ、リフトピン121Aの先端をセッタ110の上方に位置させる。さらに、このリフトピン121Aに基板1が載置された後、リフトピン121Aを下降させて基板1をセッタ110に載置する。そして、投入搬送ローラ122でセッタ110を熱処理炉130まで搬送する。
熱処理炉130は、セッタ110の搬送路の上流側に設けられた乾燥ゾーンZ2および下流側に設けられた焼成ゾーンZ3を有する略箱状の炉体131と、セッタ110を略水平となる状態で炉体内において搬送する搬送手段としての複数の乾燥焼成搬送ローラ132と、炉体131の乾燥ゾーンZ2に配置された複数の第1加熱手段133と、焼成ゾーンZ3に配置された複数の第2加熱手段134と、を備えている。
乾燥焼成搬送ローラ132は、炉体131の入口131Aから出口131Bにかけて並設されている。
第1,第2加熱手段133,134は、IRヒータ、ホットプレート、マイクロ波発信器などであり、セッタ110の搬送方向に沿って略等間隔となる位置に配置されている。
第1加熱手段133は、乾燥ゾーンZ2における乾燥焼成搬送ローラ132の下方のみに、つまりセッタ110に対して下方となる位置のみに配置されている。
第2加熱手段134は、セッタ110に対して上方となる位置のみに配置されている。なお、想像線で示すように、第2加熱手段134をセッタ110に対して下方にも配置してもよい。
そして、熱処理炉130は、乾燥焼成搬送ローラ132により、基板投入部120から投入されたセッタ110を乾燥ゾーンZ2内で搬送しつつ、第1加熱手段133により、基板1の誘電体層を下方のみから120℃で加熱して乾燥させる。次に、セッタ110を焼成ゾーンZ3内で搬送しつつ、第2加熱手段134により、乾燥ゾーンZ2で乾燥処理された誘電体層を上方から約600℃で加熱して焼成する。この焼成により、基板1上に構造物が形成される。そして、乾燥焼成搬送ローラ132でセッタ110を熱処理炉130から搬出する。
なお、乾燥ゾーンZ2の温度としては、一般的な20℃〜200℃の範囲内で設定してもよい。
基板排出部140は、基板排出ゾーンZ4を構成し、4個のリフトピン141Aおよび昇降駆動部141Bを有する昇降装置141と、熱処理炉130から昇降装置141にかけて並設された複数の排出搬送ローラ142と、を備えている。
そして、基板排出部140は、セッタ110をリフトピン挿通孔111がリフトピン141Aに対応する位置まで搬送し、リフトピン141Aを上昇させてリフトピン挿通孔111に挿通させ、リフトピン121Aの先端で基板1を上昇させる。さらに、この基板1が移送された後、リフトピン141Aを下降させてセッタ110をセッタ返送部へ搬送する。このセッタ返送部により、セッタ110は、基板投入部120に返送される。
〔実施例〕
次に、実施例として、上述した熱処理装置100において、第1加熱手段133をセッタ110に対して下方のみに配置したことによる作用について、図面を参照して説明する。
(実施例1:加熱手段の配置位置と、基板上における孔部および孔無部の温度との関係)
まず、実施例1として、加熱手段の配置位置と、基板上における孔部および孔無部の温度との関係を調べた。
図2は、実施例1における実験方法を示す模式図である。図3は、加熱手段を上方のみに配置したときの加熱時間と、孔部および孔無部の温度との関係を示すグラフである。図4は、加熱手段を下方のみに配置したときの加熱時間と、孔部および孔無部の温度との関係を示すグラフである。
まず、図2に示すように、1個のリフトピン挿通孔201が設けられたセッタ200を準備した。このセッタ200、以下に示す実施例2の図示しないセッタ、実施例3,4のセッタ210として、日本電気硝子株式会社製の厚さ寸法が5mmの耐熱ガラスを用いた。また、セッタ200のリフトピン挿通孔201、実施例2のセッタのリフトピン挿通孔の直径を16mmとした。
このセッタ200の載置面(紙面手前側)に基板10を載置し、この基板10の表面(紙面手前側)におけるリフトピン挿通孔201に対向する孔部11と、対向しない孔無部12と、にそれぞれ熱電対300を貼り付けた。さらに、これらの熱電対300を測定装置301に接続した。
そして、図示しない加熱手段をセッタ200の上方(紙面手前側)のみに配置して、120℃の設定温度で15分間加熱した。つまり、熱処理装置100の乾燥ゾーンZ2における乾燥条件と略等しい条件で加熱した。このときの加熱時間と、孔部11および孔無部12の温度との関係を調べた。また、加熱手段をセッタ200の下方(紙面奥側)のみに配置して、同様の条件で両者の関係を調べた。これらの結果を図3および図4に示す。
図3に示すように、加熱手段を上方のみに配置した場合、孔部11と孔無部12との最大の温度差(以下、孔有無温度差と称す)ΔTが9℃となり、図4に示すように、下方のみに配置した場合、孔有無温度差ΔTが4.5℃となることが確認できた。
このことから、加熱手段をセッタ200の下方のみに配置すると、上方のみに配置する場合と比べて、孔部11と孔無部12との温度差を小さくできることが確認できた。
(実施例2:加熱手段の配置位置と、構造物形成層の乾燥むらの発生状態との関係)
次に、実施例2として、加熱手段の配置位置と、構造物形成層の乾燥むらの発生状態との関係を調べた。
図5は、加熱手段を上方に配置したときにおける構造物形成層の乾燥むらの発生状態を示す模式図である。図6は、加熱手段を下方に配置したときにおける構造物形成層の乾燥むらの発生状態を示す模式図である。
まず、基板10(図5および図6参照)の表面における1000mm×600mmの領域に、以下に示すような仕様のペーストを用いて、塗工膜厚が80μmの構造物形成層400を形成した。
・ガラス固形分:60wt%
・溶剤比率 :35wt%
・樹脂比率 :5wt%
・溶剤種類 :沸点220℃
そして、構造物形成層400が形成された基板10を4個のリフトピン挿通孔(直径16mm)が設けられた図示しないセッタ(厚さ寸法5mm)に載置するとともに、加熱手段をセッタの上方のみ、下方のみに配置して、120℃の設定温度で15分間加熱した。このときの構造物形成層400の乾燥むらの発生状態を図5および図6に示す。
図5に示すように、加熱手段を上方のみに配置した場合、孔部11に形成された構造物形成層400に乾燥むら401が発生することが確認できた。一方、図6に示すように、加熱手段を下方のみに配置した場合、構造物形成層400全体に乾燥むら401が発生しないことが確認できた。
ここで、乾燥むら401の原因は、基板10の孔部11と孔無部12との温度差により、構造物形成層400の溶剤の揮発量が異なってしまい、基板10の表面形状が変化するためと考えられる。
以上のことから、加熱手段を下方に配置すれば、乾燥むら401が生じない程度に孔部11と孔無部12との温度差を小さくできることが確認できた。
(実施例3:リフトピン挿通孔の直径と、加熱手段の配置位置と、孔有無温度差との関係)
次に、実施例3として、リフトピン挿通孔の直径と、加熱手段の配置位置と、孔有無温度差との関係を調べた。
図7は、実施例3で用いたセッタを示す模式図である。図8は、リフトピン挿通孔の直径と、加熱手段の配置位置と、孔有無温度差との関係を示すグラフである。
まず、図7に示すように、互いに直径が異なる第1〜第5のリフトピン挿通孔213〜217が設けられたセッタ210(厚さ寸法5mm)を準備した。各リフトピン挿通孔213〜217の直径を、5mm,10mm,15mm,20mm,25mmとした。
このセッタ210の載置面に基板10を載置し、この基板10における第1〜第5のリフトピン挿通孔213〜217にそれぞれ対向する第1〜第5の孔部13〜17に熱電対を貼り付けた。また、第1〜第5の孔部13〜17に隣接する第1〜第5の孔無部18〜22にも熱電対を貼り付けた。
そして、図示しない加熱手段をセッタ210の上方のみ、下方のみに配置し、120℃の設定温度で15分間加熱して、各孔部13〜17と、各孔部13〜17にそれぞれ隣接する各孔無部18〜22との孔有無温度差ΔTを調べた。その結果を図8に示す。
図8に示すように、リフトピン挿通孔の直径によらず、加熱手段をセッタ210の下方のみに配置(図8中の「下ヒータ」)すると、上方のみに配置(図8中の「上ヒータ」)する場合と比べて、孔有無温度差ΔTを小さくできることが確認できた。また、加熱手段の配置位置が上方のみ、下方のみのいずれの場合においても、リフトピン挿通孔の直径が大きくなるにしたがって、孔有無温度差ΔTが大きくなることが確認できた。
(実施例4:リフトピン挿通孔の直径と、構造物形成層の乾燥むらの発生状態との関係)
次に、実施例4として、リフトピン挿通孔の直径と、構造物形成層の乾燥むらの発生状態との関係を調べた。
図9は、加熱手段を上方に配置したときにおける構造物形成層の乾燥むらの発生状態を示す模式図である。図10は、加熱手段を下方に配置したときにおける構造物形成層の乾燥むらの発生状態を示す模式図である。
まず、基板10の表面に、実施例2と同一条件の構造物形成層400を形成した。
そして、この基板10を実施例3で用いたセッタ210に載置し、加熱手段をセッタの上方のみ、下方のみに配置して、120℃の設定温度で15分間加熱した。このときの構造物形成層400の乾燥むらの発生状態を図9および図10に示す。
図9に示すように、加熱手段を上方のみに配置した場合、第2〜第5の孔部14〜17に形成された構造物形成層400に乾燥むら404〜407が発生することが確認できた。一方、図10に示すように、加熱手段を下方のみに配置した場合、第4〜第5の孔部16〜17に形成された構造物形成層400に乾燥むら406〜407が発生することが確認できた。
以上のことから、加熱手段を下方に配置した場合、リフトピン挿通孔の直径を15mm以下にすれば、乾燥むらが生じない程度に孔部と孔無部との温度差を小さくできることが確認できた。
(実施例5:乾燥および焼成を別々の炉で実施したときと、1個の炉で実施したときとの消費電力差)
次に、乾燥および焼成を2個の炉で別々に実施したときと、本発明を適用して乾燥および焼成を1個の炉で実施するとともに乾燥時にセッタを下方から加熱したときの消費電力差を調べた。
1個の炉で実施する場合、2個の炉で実施する場合と比べて、1年間で約100万kW(キロワット)の消費電力を削減できることが確認できた。
[熱処理装置の作用効果]
以上の熱処理装置100によれば、以下の作用効果が期待できる。
(1)熱処理装置100を構成する熱処理炉130の炉体131に乾燥ゾーンZ2と、焼成ゾーンZ3とを設けている。そして、乾燥ゾーンZ2内におけるセッタ110に対して下方となる位置に第1加熱手段133を設けている。
このため、セッタ110への基板1の載置や取出しを高速に実施するために、セッタ110としてリフトピン挿通孔111が設けられているものを適用した場合であっても、乾燥ゾーンZ2においてセッタ110を下方のみから加熱するので、上方のみから加熱する構成と比べて、基板1におけるリフトピン挿通孔111に対向する孔部と、対向しない孔無部との孔有無温度差を小さくすることができる。そして、この孔有無温度差を小さくすることにより、孔部に形成された構造物形成層に乾燥むらが生じることを抑制することができる。
また、乾燥処理と焼成処理と1個の炉体131で実施できるので、熱処理炉130により、消費電力を抑制しつつ適切な乾燥処理を高効率で実施できる。さらには、炉体131の設置スペースも小さくできる。
さらに、適切な乾燥処理を高効率で実施できる熱処理炉130と、セッタ110とで熱処理装置100を構成することにより、この熱処理装置100の利用拡大を容易に図ることができる。
(2)リフトピン挿通孔111の直径を15mm以下にしているので、孔部の構造物形成層に乾燥むらが生じることを確実に防止することができる。
(3)セッタ110として、ガラス製の耐熱性基板を適用している。
このため、セッタ110として、例えば金属を適用する構成と比べて、腐食などの劣化を抑えることができ、セッタ110の長寿命化を図ることができる。
[他の実施形態]
なお、本発明は前述の一実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を達成できる範囲での変形、改良等は本発明に含まれるものである。
すなわち、リフトピン挿通孔111の直径を15mmよりも大きくしてもよい。15mmよりも大きくする場合、第1加熱手段133の位置や加熱時間を調整することにより、乾燥むらを抑制することができる。
また、セッタ110として、金属製のものを適用してもよい。
さらに、本発明の構造物形成層として、前面基板に設けられる誘電体層を例示したが、プラズマディスプレイパネルの隔壁、アドレス電極、バス電極などを適用してもよい。
その他、本発明の実施の際の具体的な構造および手順は、本発明の目的を達成できる範囲で他の構造などに適宜変更できる。
[実施形態の作用効果]
上記したように、熱処理装置100を構成する熱処理炉130の炉体131に乾燥ゾーンZ2と、焼成ゾーンZ3とを設けている。そして、乾燥ゾーンZ2内におけるセッタ110に対して下方となる位置に第1加熱手段133を設けている。
このため、セッタ110への基板1の載置や取出しを高速に実施するために、セッタ110としてリフトピン挿通孔111が設けられているものを適用した場合であっても、乾燥ゾーンZ2においてセッタ110を下方のみから加熱するので、上方のみから加熱する構成と比べて、基板1におけるリフトピン挿通孔111に対向する孔部と、対向しない孔無部との孔有無温度差を小さくすることができる。そして、この孔有無温度差を小さくすることにより、孔部に形成された構造物形成層に乾燥むらが生じることを抑制することができる。
また、乾燥処理と焼成処理と1個の炉体131で実施できるので、熱処理炉130により、適切な乾燥処理を高効率で実施できる。
本発明の一実施形態に係る熱処理装置の概略構成を示すブロック図である。 本発明の実施例1の実験方法を示す模式図である。 前記実施例1における加熱手段を上方のみに配置したときの加熱時間と、孔部および孔無部の温度との関係を示すグラフである。 前記実施例1における加熱手段を下方のみに配置したときの加熱時間と、孔部および孔無部の温度との関係を示すグラフである。 本発明の実施例2における加熱手段を上方に配置したときにおける構造物形成層の乾燥むらの発生状態を示す模式図である。 前記実施例2における加熱手段を下方に配置したときにおける構造物形成層の乾燥むらの発生状態を示す模式図である。 本発明の実施例3および実施例4で用いたセッタを示す模式図である。 前記実施例3におけるリフトピン挿通孔の直径と、加熱手段の配置位置と、孔有無温度差との関係を示すグラフである。 前記実施例4における加熱手段を上方に配置したときにおける構造物形成層の乾燥むらの発生状態を示す模式図である。 前記実施例4における加熱手段を下方に配置したときにおける構造物形成層の乾燥むらの発生状態を示す模式図である。
符号の説明
1…基板
100…熱処理装置
110…セッタ
111…リフトピン挿通孔
121A…リフトピン
130…熱処理炉
131…炉体
132…搬送手段としての乾燥焼成搬送ローラ
133…第1加熱手段
134…第2加熱手段
Z2…乾燥ゾーン
Z3…焼成ゾーン

Claims (6)

  1. セッタに載置されて搬送される構造物形成層を含む基板を熱処理する熱処理炉であって、
    前記セッタの搬送路の上流側に設けられた乾燥ゾーンおよび下流側に設けられた焼成ゾーンを備えた炉体と、
    前記セッタを略水平となる状態で前記炉体内において搬送する搬送手段と、
    前記乾燥ゾーンに配置された第1加熱手段と、
    前記焼成ゾーンに配置された第2加熱手段と、を具備し、
    前記第1加熱手段は、前記セッタに対して下方となる位置のみに配置された
    ことを特徴とする熱処理炉。
  2. 構造物形成層を含む基板が載置される載置部に下方から支持して昇降させるリフトピンの挿通孔が複数個設けられたセッタと、
    このセッタに載置されて搬送される前記基板を熱処理する請求項1に記載の熱処理炉と、
    を具備したことを特徴とする熱処理装置。
  3. 請求項2に記載の熱処理装置において、
    前記セッタの前記挿通孔の直径は、15mm以下である
    ことを特徴とする熱処理装置。
  4. 構造物形成層を含む基板が載置される載置部に下方から支持して昇降させるリフトピンの挿通孔が複数個設けられたセッタを、略水平となる状態で熱処理炉内において搬送しながら前記構造物形成層を乾燥させる乾燥工程と、この乾燥工程で乾燥された前記構造物形成層を焼成する焼成工程と、を含むディスプレイパネルの製造方法であって、
    前記乾燥工程では、前記セッタに対して下方となる位置のみに配置された加熱手段を用いて前記構造物形成層を乾燥させる
    ことを特徴とするディスプレイパネルの製造方法。
  5. 請求項4に記載のディスプレイパネルの製造方法において、
    前記セッタとして、耐熱性基板を用いる
    ことを特徴とするディスプレイパネルの製造方法。
  6. 請求項4または請求項5に記載のディスプレイパネルの製造方法において、
    前記セッタの前記挿通孔の直径は、15mm以下である
    ことを特徴とするディスプレイパネルの製造方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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CN102331174A (zh) * 2011-08-05 2012-01-25 湖南省中晟热能科技有限公司 一种微波、电混合加热辊道窑

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