JP2009097544A - ジャーナル軸受 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】ジャーナル軸受10Aは、回転可能な軸部11と、潤滑液を供給するための供給溝12aを備えて潤滑液を介して軸部11を支持する軸受部12と、潤滑液を供給する潤滑液供給部13と、を備え、軸部11は、軸方向から見て真円形状を呈しており、軸受部12は、軸方向から見て真円形状を呈しており、供給溝は、軸部11の上部から軸部11の回転方向とは逆方向で30〜60°の範囲内に設けられており、軸部11と軸受部12との間の潤滑液は、スターブ潤滑状態である。
【選択図】図1
Description
近年の省エネルギー化の流れの中で、ジャーナル軸受の小型化及び高速化が要求されており、ジャーナル軸受の安定性の向上が、これまで以上に重要になっている。
従来、自励振動を抑止可能な安定性の高い軸受として、ティルティングパッド軸受が用いられている。このティルティングパッド軸受は、複雑な構造を有するため高コストであり、組み付けに熟練を要する。
かかる構成によると、真円軸受において、スターブ潤滑状態であるので、自励振動の発生を防止することができる。したがって、ジャーナル軸受は、ティルティングパッド軸受と比べて簡単な構造を有し、かつ、ティルティングパッド軸受に匹敵する高い安定性を有することができる。
かかる構成によると、低速回転領域ではスターブ潤滑、高速回転領域ではフラッド潤滑、と潤滑状態を切り替えるので、低速回転領域で不安定なフラッド潤滑の欠点を解消し、全ての回転領域で軸部の振動が安定化する。また、楕円軸受において、軸部の上部から軸部の回転方向とは逆方向で90°に設けられた供給溝から潤滑液を供給するので、潤滑液による膜厚が最大となる。したがって、ジャーナル軸受は、ティルティングパッド軸受と比べて簡単な構造を有し、かつ、ティルティングパッド軸受に匹敵する高い安定性を有することができる。
図1は、本発明の第一の実施形態に係るジャーナル軸受を示す図であり、(a)は軸部及び軸受部を示す断面図、(b)は全体を示す模式図である。図1に示すように、本発明の第一の実施形態に係るジャーナル軸受10Aは、軸部11と、軸受部12と、DCモータ13と、ロータ14と、潤滑液供給部15と、調整弁16と、調整弁駆動部17と、軸部位置検出部18と、ポンプ19と、制御部20と、を備えている。
すなわち、第一の実施形態に係る軸部11及び軸受部12は、真円軸受であり、設置角度γは、軸部31の上部から軸部31の回転方向(図1(a)では反時計回り)とは逆方向で30〜60°の範囲内であることが好ましい。この範囲では、潤滑液の膜厚が最大となり、高い安定性が得られる。
潤滑液供給部15は、軸受部12に形成された供給溝12aを介して、軸部11と軸受部12との間に潤滑液を供給する。
調整弁16は、潤滑液の供給量を調整するための弁であり、ステッピングモータ17a及び動力伝達機構17bを備えた調整弁駆動部17により駆動される。
ここで、潤滑液による潤滑はスターブ潤滑である。「スターブ潤滑」は、潤滑液が適正な量であり、自励振動を発生するおそれがない潤滑状態である。
図2(a)に示すように、「フラッド潤滑」は、潤滑液1が過剰な量であり、自励振動を発生するおそれがある潤滑状態である。
図2(b)に示すように、「遷移状態」は、「フラッド潤滑」と後記する「スターブ潤滑」との間の潤滑状態であり、軸受隙間のくさび領域が潤滑油1で十分に満たされていない状態である。この遷移状態では、まだ自励振動を発生するおそれがある。
図2(c)に示すように、「スターブ潤滑」は、軸受隙間のくさび領域が潤滑油1で十分には満たされず、軸受隙間の下側の比較的狭い領域が潤滑液1で満たされた状態である。すなわち、「スターブ潤滑」は、潤滑液1が適正な量であり、自励振動を発生するおそれがない潤滑状態である。
なお、軸部11の回転方向に対して軸受隙間が先狭まりになる領域のことを「くさび領域」という。ここで、図2(a)のフラッド潤滑状態において潤滑液1で満たされた領域がくさび領域に相当する。また、軸部11の回転方向に対して軸受隙間が先広がりになる領域のことを「逆くさび領域」という。ここで、図2(a)のフラッド潤滑状態において潤滑液1が存在しない領域が逆くさび領域に相当する。
渦電流近接プローブ18aは、軸受部12の上部から鉛直方向への軸部11の距離を検出し、渦電流近接プローブ18bは、軸受部12の右部から水平方向への軸部11の距離を検出する。後記する潤滑液状態判定部20aは、これらの距離と軸部11の半径とに基づいて、軸部11の中心の二次元位置(鉛直位置及び水平位置)を算出し、この二次元位置の計時変化から軸部11の振幅を得ることが可能となる。
ポンプ19は、軸部11と軸受部12との間から排出された潤滑液を、潤滑液供給部15に戻す。
潤滑液状態判定部20aは、軸部位置検出部18によって検出された軸部11の位置に基づいて、潤滑液が、自励振動が発生するおそれがある状態であるか否かを判定する。
潤滑液状態判定部20aは、軸部位置検出部18による検出結果に基づいて、軸部11の振幅を算出し、算出された振幅が第一の閾値以上である場合には、潤滑液が、自励振動が発生するおそれがある状態であると判定し、算出された振幅が第一の閾値未満である場合には、潤滑液が、自励振動が発生するおそれがない状態であると判定する。
調整弁駆動制御部20bは、潤滑液状態判定部20aの判定結果に基づいて、調整弁駆動部17を介して調整弁16を駆動制御する。
調整弁駆動制御部20bは、判定結果が「自励振動が発生するおそれがある」である場合に、潤滑液における自励振動を防止するように調整弁16を駆動制御する。すなわち、調整弁16の開量を低減させ、軸部11と軸受部12との間の潤滑液量を減らす。
調整弁駆動制御部20bは、潤滑液状態判定部20aの判定結果に基づいて、調整弁駆動部17を介して調整弁16を駆動制御する。
調整弁駆動制御部20bは、判定結果が「焼付きが発生するおそれがある」である場合に、焼付きを防止するように調整弁16を駆動制御する。すなわち、調整弁16の開量を増大させ、軸部11と軸受部12との間の潤滑液量を増やす。
まず、ジャーナル軸受10Aは、調整弁16を所定の開量とした状態で、DCモータ13により軸部11を回転させる。このとき、潤滑液による潤滑はスターブ潤滑であり、軸受部12から排出液は、ポンプ19により潤滑液供給部15に戻される。
ここで、潤滑液状態判定部20aは、軸部位置検出部18の検出結果に基づいて軸受部12内における軸部11の振幅を算出しており、算出された振幅が第一の閾値以上である場合には、潤滑液が、自励振動が発生するおそれがある状態であると判定する。
そして、自励振動が発生するおそれがあると判定された場合には、調整弁駆動制御部20bは、調整弁16の開量を低減させ、自励振動の発生を防止する。
また、潤滑液状態判定部20aは、軸部位置検出部18の検出結果に基づいて軸受隙間を算出しており、算出された軸受隙間が第二の閾値未満である場合には、潤滑液が、軸部11及び軸受部12の焼付きが発生するおそれがある状態であると判定する。
そして、焼付きが発生するおそれがあると判定された場合には、調整弁駆動制御部20bは、調整弁16の開量を増大させ、焼付きの発生を防止する。
また、ジャーナル軸受10Aは、設置角度γを前記したように設定し、潤滑液による潤滑をスターブ潤滑とすることにより、軸部の振動が安定化するとともに、潤滑液による膜厚が最大となる。したがって、ジャーナル軸受10Aは、ティルティングパッド軸受と比べて簡単な構造を有し、かつ、ティルティングパッド軸受に匹敵する高い安定性を有することができる。
例えば、潤滑液状態判定部20aは、軸部位置検出部18による検出結果に基づいて、軸部11の振動数の変化率を算出し、軸部11の変化率が第三の閾値以上である場合には、潤滑液が、自励振動が発生するおそれがある状態であると判定し、算出された振動数の変化率が第三の閾値未満である場合には、潤滑液が、自励振動が発生するおそれがない状態であると判定することができる。
続いて、第二の実施形態に係るジャーナル軸受について、第一の実施形態に係るジャーナル軸受10Aとの相違点を中心に説明する。図3は、本発明の第二の実施形態に係るジャーナル軸受を示す図であり、(a)は軸部及び軸受部を示す断面図、(b)は全体を示す模式図である。図3に示すように、第二の実施形態に係るジャーナル軸受10Bは、軸部11及び軸受部12に代えて、軸部31及び軸受部32を備えている。
すなわち、第二の実施形態に係る軸部31及び軸受部32は、楕円軸受であり、設置角度γは、軸部31の上部から軸部31の回転方向(図2(a)では反時計回り)とは逆方向で90°であることが好ましい。この角度では、潤滑液の膜厚が最大となり、高い安定性が得られる。
また、ジャーナル軸受10Bは、設置角度γを前記したように設定し、潤滑液による潤滑をスターブ潤滑とすることにより、軸部の振動が安定化するとともに、潤滑液による膜厚が最大となる。したがって、ジャーナル軸受10Bは、ティルティングパッド軸受と比べて簡単な構造を有し、かつ、ティルティングパッド軸受に匹敵する高い安定性を有することができる。
続いて、第三の実施形態に係るジャーナル軸受について、第一の実施形態に係るジャーナル軸受10Aとの相違点を中心に説明する。図4は、本発明の第三の実施形態に係るジャーナル軸受を示す図であり、(a)は軸部及び軸受部を示す断面図、(b)は全体を示す模式図である。図4に示すように、本発明の第三の実施形態に係るジャーナル軸受10Cは、軸部位置検出部18及び制御部20に代えて、回転数検出部21及び制御部22を備えている。
制御部22は、例えば、CPU、RAM、ROM及び入出力回路を備えており、機能部として、調整弁駆動制御部22bを備えている。
調整弁駆動制御部22bは、検出された回転数が所定値未満の場合には、潤滑液による潤滑がスターブ潤滑となるように調整弁16を駆動制御し、検出された回転数が所定値以上の場合には、潤滑液による潤滑がフラッド潤滑となるように調整弁16を駆動制御する。かかる構成により、低速回転領域で不安定なフラッド潤滑の欠点を解消し、全ての回転領域で軸部の振動が安定化する。したがって、ジャーナル軸受10Cは、簡単な構造で高い安定性を有することができる。ここで、所定値は、フラッド潤滑で自励振動が発生するおそれのない、出来るだけ大きい値とすることができ、実験により予め決定することができる。
まず、ジャーナル軸受10Cは、駆動初期の低速回転領域では、調整弁16を所定の開量とした状態で、DCモータ13により軸部11を回転させる。このとき、潤滑液による潤滑はスターブ潤滑であり、軸受部12から排出液は、ポンプ19により潤滑液供給部15に戻される。
そして、調整弁駆動制御部22bは、回転数検出部21の検出結果が高速回転領域となったときに、調整弁16の開量を増加させ、潤滑液による潤滑をフラッド潤滑とする。
続いて、第四の実施形態に係るジャーナル軸受について、第三の実施形態に係るジャーナル軸受10Cとの相違点を中心に説明する。図5は、本発明の第四の実施形態に係るジャーナル軸受を示す図であり、(a)は軸部及び軸受部を示す断面図、(b)は全体を示す模式図である。図5に示すように、本発明の第四の実施形態に係るジャーナル軸受10Dは、軸部11及び軸受部12に代えて、軸部31及び軸受部32を備えている。
すなわち、第四の実施形態に係る軸部31及び軸受部32は、楕円軸受であり、設置角度γは、軸部31の上部から軸部31の回転方向(図5(a)では反時計回り)とは逆方向で90°である。
続いて、第五の実施形態に係るジャーナル軸受について、第一の実施形態に係るジャーナル軸受10Aとの相違点を中心に説明する。図6は、本発明の第五の実施形態に係るジャーナル軸受を示す図であり、(a)は軸部及び軸受部を示す断面図、(b)は全体を示す模式図である。図6に示すように、第五の実施形態に係るジャーナル軸受10Eは、軸部位置検出部18に代えて、軸受部12内の潤滑液を撮像する撮像部18cを備えている。ここで、撮像部18cがビデオカメラであり、透明な軸受部12を介して潤滑液を撮像する構成であってもよく、撮像部18cがCCDカメラであり、軸受部12に埋設されて潤滑液を撮像する構成であってもよい。
なお、第二の実施形態に係るジャーナル軸受10Bに撮像部18cを適用することも可能である。
m=(CH−CV)/CH=0.34
なお、真円軸受(軸部11及び軸受部12)及び楕円軸受(軸部31及び軸受部32)において、ジャーナル径は24.65mmであり、軸受部の幅は14.5mmである。DCモータ13の回転数は、0rpmから10000rpmまで連続的に変えることができる。ロータ14の質量は0.812kgであり、軸部11,31のバネ定数は5.2×104N/mであり、軸部の固有振動数は40Hzである。軸受部12,32は、透明なアクリルから形成されており、キシレンにより青色に着色された潤滑油(潤滑液)を用いることで、キャビテーションの発生領域を可視化することができる。潤滑油の粘度グレードはVG32であり、供給油温は常温(約25℃)である。潤滑油の供給量の調節は、軸受部12,32の端部から漏れ出す潤滑油の量を体積流量法によって測定し、調整弁16の開度を手動で変更することにより行われた。二つの渦電流近接プローブ18a,18bは、軸受部12,32の設置角度に関わらず、常に鉛直及び水平方向に設置可能となっている。
図7(b)における角度は、軸受部12の上面を0°、軸部11の回転方向を正、と定義されたものである。潤滑油の供給量Qは、Q=2.5×10−6m3/sとした。
なお、図7〜図26の(b)及び図27〜図28の(c)において、色が薄い(白い)部分がキャビテーションの発生部位である。
図8(b)における角度は、軸受部12の上面を0°、軸部11の回転方向を正、と定義されたものである。潤滑油の供給量Qは、Q=2.5×10−6m3/sとした。
図9(b)における角度は、軸受部12の上面を0°、軸部11の回転方向を正、と定義されたものである。潤滑油の供給量Qは、Q=2.5×10−6m3/sとした。
図10(b)における角度は、軸受部12の上面を0°、軸部11の回転方向を正、と定義されたものである。潤滑油の供給量Qは、Q=2.5×10−6m3/sとした。
図11(b)における角度は、軸受部12の上面を0°、軸部11の回転方向を正、と定義されたものである。潤滑油の供給量Qは、Q=2.5×10−6m3/sとした。
図12(b)における角度は、軸受部12の上面を0°、軸部11の回転方向を正、と定義されたものである。潤滑油の供給量Qは、Q=0.5×10−6m3/sとした。
図13(b)における角度は、軸受部12の上面を0°、軸部11の回転方向を正、と定義されたものである。潤滑油の供給量Qは、Q=0.5×10−6m3/sとした。
図14(b)における角度は、軸受部12の上面を0°、軸部11の回転方向を正、と定義されたものである。潤滑油の供給量Qは、Q=0.5×10−6m3/sとした。
図15(b)における角度は、軸受部12の上面を0°、軸部11の回転方向を正、と定義されたものである。潤滑油の供給量Qは、Q=0.5×10−6m3/sとした。
図16(b)における角度は、軸受部12の上面を0°、軸部11の回転方向を正、と定義されたものである。潤滑油の供給量Qは、Q=0.5×10−6m3/sとした。
したがって、真円軸受の場合には、スターブ潤滑とすることにより、高い安定性の真円軸受を具現化することが可能であり、特に、−60°≦γ≦−30°、スターブ潤滑とすることにより、より高い安定性の真円軸受を具現化することが可能であることがわかった。
図17(b)における角度は、軸受部32の上面を0°、軸部31の回転方向を正、と定義されたものである。潤滑油の供給量Qは、Q=2.5×10−6m3/sとした。
図18(b)における角度は、軸受部32の上面を0°、軸部31の回転方向を正、と定義されたものである。潤滑油の供給量Qは、Q=2.5×10−6m3/sとした。
図19(b)における角度は、軸受部32の上面を0°、軸部31の回転方向を正、と定義されたものである。潤滑油の供給量Qは、Q=2.5×10−6m3/sとした。
図20(b)における角度は、軸受部32の上面を0°、軸部31の回転方向を正、と定義されたものである。潤滑油の供給量Qは、Q=2.5×10−6m3/sとした。
図21(b)における角度は、軸受部32の上面を0°、軸部31の回転方向を正、と定義されたものである。潤滑油の供給量Qは、Q=2.5×10−6m3/sとした。
図22(b)における角度は、軸受部32の上面を0°、軸部31の回転方向を正、と定義されたものである。潤滑油の供給量Qは、0.5×10−6m3/sとした。
図23(b)における角度は、軸受部32の上面を0°、軸部31の回転方向を正、と定義されたものである。潤滑油の供給量Qは、Q=0.5×10−6m3/sとした。
図24(b)における角度は、軸受部32の上面を0°、軸部31の回転方向を正、と定義されたものである。潤滑油の供給量Qは、Q=0.5×10−6m3/sとした。
図25(b)における角度は、軸受部32の上面を0°、軸部31の回転方向を正、と定義されたものである。潤滑油の供給量Qは、Q=0.5×10−6m3/sとした。
図26(b)における角度は、軸受部32の上面を0°、軸部31の回転方向を正、と定義されたものである。潤滑油の供給量Qは、Q=0.5×10−6m3/sとした。
したがって、楕円軸受の場合には、スターブ潤滑とすることにより、高い安定性の楕円軸受を具現化することが可能であり、特に、γ=−90°、スターブ潤滑とすることにより、より高い安定性の楕円軸受を具現化することが可能であることがわかった。
しかし、図27(b)に示すように、スターブ潤滑における軸部32の中心位置は偏心率εが大きく、潤滑油による油膜厚さが薄くなっていることが分かった。
ここで、遷移状態(Q=1.8×10−6m3/s)の場合には、4500rpm付近の回転数領域で不安定な傾向があり、キャビテーションが消滅していることから、十分な安定性が得られていないと判断された。
以上の事項を鑑みて、潤滑液状態判定部20aは、軸部位置検出部18による検出結果に基づいて、軸部11の振幅を算出し、算出された振幅が第一の閾値以上である場合には、潤滑油が、自励振動が発生するおそれがある状態であると判定し、算出された振幅が第一の閾値未満である場合には、潤滑油が、自励振動が発生するおそれがない状態であると判定する。そして、調整弁駆動制御部20bは、潤滑液状態判定部20aの判定結果に基づいて、調整弁駆動部17を介して調整弁16を駆動制御する。すなわち、4500rpm未満の低速回転領域では、ジャーナル軸受10Aはフラッド潤滑(Q=2.5×10−6m3/s)である。そして、4500rpmで振幅Aが急激に増加して第一の閾値(ここでは、0.15mm)以上となると、潤滑液状態判定部20aは、潤滑油が、自励振動が発生するおそれがある状態であると判定し、調整弁駆動制御部20bは、調整弁駆動部17を介して調整弁16を駆動制御し、スターブ潤滑(Q=1.6×10−6m3/s)とする。かかる構成により、ジャーナル軸受10Aは、簡単な構造で高い安定性を有することができる。
しかし、図27(b)に示すように、スターブ潤滑における軸部32の中心位置は偏心率εが大きく、潤滑油による油膜厚さが薄くなっていることが分かった。
ここで、遷移状態(Q=1.8×10−6m3/s)の場合には、4500rpm付近の回転数領域で不安定な傾向があり、キャビテーションが消滅していることから、十分な安定性が得られていないと判断された。
以上の事項を鑑みて、調整弁駆動制御部22bは、検出された回転数が所定値(ここでは4400rpm)未満の場合には、潤滑液による潤滑がフラッド潤滑となるように調整弁16を駆動制御し、検出された回転数が所定値(ここでは4400rpm)以上の場合には、潤滑液による潤滑がスターブ潤滑となるように調整弁を駆動制御する。かかる構成により、ジャーナル軸受10Cは、簡単な構造で高い安定性を有することができる。
図29において、評価は4段階であり、「×」は特性が劣ることを表し、「△」は特性がやや劣ることを表し、「○」は特性が優れていることを表し、「◎」は特性が極めて優れていることを表す。
また、安定性(低速)は、4000rpm未満での軸受の回転の安定性の評価であり、安定性(高速)は、4000rpm以上での軸受の回転の安定性の評価である。
また、膜厚は、軸受の水平方向及び垂直方向にそれぞれ設置された非接触式変位計により測定された軸部の中心位置に基づく評価であり、潤滑液の厚み(膜厚)に関する評価である。なお、この結果が、図7〜図26の(c)において、プロットとして示されている。図7〜図26の(c)に記載されている数値は、対応するプロットにおける回転数を表す。この膜厚は、軸部の中心位置が軸受の中心位置に近づくほど、すなわち、偏心率εがゼロに近づくほど高評価となる評価である。また、図7〜図26の(c)及び図27の(b)に記載されている点線による曲線は、軸受における偏心率εの限界を表している。軸部の中心位置がこの曲線上に位置するということは、軸部と軸受部とが接触することを意味する。なお、「楕円、フラッド潤滑、−90°」及び「楕円、スターブ潤滑、−90°」における膜厚の評価は、ともに◎であるが、「楕円、フラッド潤滑、−90°」における膜厚の方が、「楕円、スターブ潤滑、−90°」における膜厚よりも好適である。
また、温度上昇は、実施例及び比較例における実験中において、温度計によって測定された、軸受の脇から漏れる潤滑液の温度に関する評価であり、温度が上昇しないほど高評価となる評価である。
11,31 軸部
12,32 軸受部
12a,32a 供給部
15 潤滑液供給部
16 調整弁
18 軸部位置検出部
18c 撮像部
20a 潤滑液状態判定部
20b 調整弁駆動制御部
21 回転数検出部
22b 調整弁駆動制御部
Claims (11)
- 回転可能な軸部と、
潤滑液を供給するための供給溝を備えて前記潤滑液を介して前記軸部を支持する軸受部と、
前記潤滑液を供給する潤滑液供給部と、
を備えたジャーナル軸受であって、
前記軸部は、軸方向から見て真円形状を呈しており、
前記軸受部は、軸方向から見て真円形状を呈しており、
前記軸部と前記軸受部との間の潤滑液は、スターブ潤滑状態である
ことを特徴とするジャーナル軸受。 - 前記供給溝は、前記軸部の上部から前記軸部の回転方向とは逆方向で30〜60°の範囲内に設けられている
ことを特徴とする請求項1に記載のジャーナル軸受。 - 回転可能な軸部と、
潤滑液を供給するための供給溝を備えて前記潤滑液を介して前記軸部を支持する軸受部と、
前記潤滑液を供給する潤滑液供給部と、
を備えたジャーナル軸受であって、
前記軸部は、軸方向から見て真円形状を呈しており、
前記軸受部は、楕円形状を呈しており、
前記軸部と前記軸受部との間の潤滑液は、スターブ潤滑状態である
ことを特徴とするジャーナル軸受。 - 前記供給溝は、前記軸受部の短軸方向に設けられており、かつ、前記軸部の上部から前記軸部の回転方向とは逆方向で90°の位置に設けられている
ことを特徴とする請求項3に記載のジャーナル軸受。 - 回転可能な軸部と、
潤滑液を供給するための供給溝を備えて前記潤滑液を介して前記軸部を支持する軸受部と、
前記潤滑液を供給する潤滑液供給部と、
前記潤滑液の供給量を調整するための調整弁と、前記調整弁を駆動制御する調整弁駆動制御部と、
前記軸受部内における前記軸部の位置を検出する軸部位置検出部と、
検出された前記軸部の位置に基づいて、前記潤滑液が、自励振動が発生するおそれがある状態であるか否かを判定する潤滑液状態判定部と、
を備えたジャーナル軸受であって、
前記潤滑液が、自励振動が発生するおそれがある状態であると判定された場合に、前記調整弁駆動制御部は、前記潤滑液における自励振動の発生を防止するように前記調整弁を駆動制御する
ことを特徴とするジャーナル軸受。 - 前記潤滑液状態判定部は、検出された前記軸部の位置に基づいて、前記潤滑液が、前記軸部及び前記軸受部の焼付きが発生するおそれがある状態であるか否かを判定し、
前記潤滑液が、前記軸部及び前記軸受部の焼付きが発生するおそれがある状態であると判定された場合に、前記調整弁駆動制御部は、前記軸部及び前記軸受部の焼付きの発生を防止するように前記調整弁を駆動制御する
ことを特徴とする請求項5に記載のジャーナル軸受。 - 回転可能な軸部と、
潤滑液を供給するための供給溝を備えて前記潤滑液を介して前記軸部を支持する軸受部と、
前記潤滑液を供給する潤滑液供給部と、
前記潤滑液の供給量を調整するための調整弁と、前記調整弁を駆動制御する調整弁駆動制御部と、
前記軸受部内の前記潤滑液を撮像する撮像部と、
撮像結果に基づいて、前記潤滑液にキャビテーションが発生していない場合には、前記潤滑液が、自励振動が発生するおそれがある状態であると判定し、前記潤滑液にキャビテーションが発生している場合には、前記潤滑液が、自励振動が発生するおそれがない状態であると判定する潤滑液状態判定部と、
を備えたジャーナル軸受であって、
前記潤滑液が、自励振動が発生するおそれがある状態であると判定された場合に、前記調整弁駆動制御部は、前記潤滑液における自励振動の発生を防止するように前記調整弁を駆動制御する
ことを特徴とするジャーナル軸受。 - 前記軸部は、軸方向から見て真円形状を呈しており、
前記軸受部は、軸方向から見て真円形状を呈しており、
前記供給溝は、前記軸部の上部から前記軸部の回転方向とは逆方向で30〜60°の範囲内に設けられている
ことを特徴とする請求項5から請求項7のいずれか一項に記載のジャーナル軸受。 - 前記軸部は、軸方向から見て真円形状を呈しており、
前記軸受部は、楕円形状を呈しており、
前記供給溝は、前記軸受部の短軸方向に設けられており、かつ、前記軸部の上部から前記軸部の回転方向とは逆方向で90°の位置に設けられている
ことを特徴とする請求項5から請求項7のいずれか一項に記載のジャーナル軸受。 - 回転可能な軸部と、潤滑液を供給するための供給溝を備えて前記潤滑液を介して前記軸部を支持する軸受部と、前記潤滑液を供給する潤滑液供給部と、前記潤滑液の供給量を調整するための調整弁と、前記調整弁を駆動制御する調整弁駆動制御部と、前記軸部の回転数を検出する回転数検出部と、を備えたジャーナル軸受であって、
前記軸部は、軸方向から見て真円形状を呈しており、
前記軸受部は、軸方向から見て真円形状を呈しており、
前記供給溝は、前記軸部の上部の位置に設けられており、
検出された回転数が所定値未満の場合には、前記調整弁駆動制御部は、前記潤滑液による潤滑がフラッド潤滑となるように前記調整弁を駆動制御し、
検出された回転数が所定値以上の場合には、前記調整弁駆動制御部は、前記潤滑液による潤滑がスターブ潤滑となるように前記調整弁を駆動制御する
ことを特徴とするジャーナル軸受。 - 回転可能な軸部と、潤滑液を供給するための供給溝を備えて前記潤滑液を介して前記軸部を支持する軸受部と、前記潤滑液を供給する潤滑液供給部と、前記潤滑液の供給量を調整するための調整弁と、前記調整弁を駆動制御する調整弁駆動制御部と、前記軸部の回転数を検出する回転数検出部と、を備えたジャーナル軸受であって、
前記軸部は、軸方向から見て真円形状を呈しており、
前記軸受部は、楕円形状を呈しており、
前記供給溝は、前記軸受部の短軸方向に設けられており、かつ、前記軸部の上部から前記軸部の回転方向とは逆方向で90°の位置に設けられており、
検出された回転数が所定値未満の場合には、前記調整弁駆動制御部は、前記潤滑液による潤滑がスターブ潤滑となるように前記調整弁を駆動制御し、
検出された回転数が所定値以上の場合には、前記調整弁駆動制御部は、前記潤滑液による潤滑がフラッド潤滑となるように前記調整弁を駆動制御する
ことを特徴とするジャーナル軸受。
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---|---|---|---|
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Applications Claiming Priority (1)
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Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2018077159A (ja) * | 2016-11-10 | 2018-05-17 | 株式会社豊田中央研究所 | 摺動装置 |
Citations (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JPH07243434A (ja) * | 1994-03-02 | 1995-09-19 | Nissan Motor Co Ltd | エンジンのクランク潤滑装置 |
JPH09264115A (ja) * | 1996-03-29 | 1997-10-07 | Mazda Motor Corp | エンジンの潤滑構造 |
-
2007
- 2007-10-12 JP JP2007267252A patent/JP2009097544A/ja active Pending
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